説明

毛包メラノサイト保護剤としてのドーパクロムトートメラーゼ(TRP−2)の発現誘導剤の同定方法、及び前記発現誘導剤の使用

【課題】ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤を同定する方法およびその作用剤の細胞保護活性を評価する方法、及び前記発現誘導剤の使用方法を提供する。
【解決手段】本発明は、毛包メラノサイト保護剤として、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を化粧品に使用することに関する。本発明はまた、化粧品として許容し得る媒質中にドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤を少なくとも1つ含む、白髪に対抗するための特定の化粧品組成物およびその使用に関する。本発明はさらに、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を少なくとも1つ含む化粧品組成物を適用することによって、白髪を処置する方法およびグレーまたは白い毛の自然の色素形成を保持する方法に関する。最後に、本発明は、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤を同定する方法およびその作用剤の細胞保護活性を評価する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛包メラノサイト保護剤として、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を化粧品に使用することに関する。特に、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤によって毛球の活性メラノサイトおよび毛包上面域の静態メラノサイト(quiescent melanocytes)の集団を維持および/または再生することにより、毛包のメラノサイト消失に対抗することを意図するものである。
【背景技術】
【0002】
毛包は、真皮深層にまで達する表皮の管状陥入鞘である。その基底部、すなわち毛球はそれ自体、陥入鞘を含んでおりそこには真皮乳頭がある。毛球の基底部は、毛髪を構成する角質化した細胞の前駆体が見られる細胞増殖域である。これら前駆体から誘導される上行性細胞は、毛球の上部において徐々に角質化し、この一群の角質化した細胞が毛幹を形成することになる。
【0003】
頭髪の色および体毛の色は、特に2つのグループのメラニン、すなわちユーメラニン(茶色および黒色色素)とフェオメラニン(赤色および黄色色素)が様々な量および比率で存在することによって決まる。頭髪および体毛の色素形成には、毛包の球部にメラノサイトが存在することが必要である。これらメラノサイトは活性な状態にある。つまり、メラニンを産生する。これら色素は毛幹を形成すべく角化細胞に送られ、その結果色素形成した頭髪または体毛が成長することになる。以下、このような構造を「色素形成の毛包ユニット」と呼ぶ。
【0004】
哺乳動物の場合、メラニン形成には少なくとも3つの酵素、すなわちチロシナーゼ、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2、チロシナーゼ関与タンパク2)およびDHICA(ディーカ)オキシダーゼ(TRP-1、チロシナーゼ関与タンパク1)が関与している。
【0005】
チロシナーゼは、メラニンの生合成を開始する酵素である。チロシナーゼはまた、メラニン形成を制限する酵素であるとも言われる。
【0006】
TRP-2は、ドーパクロム5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸(DHICA)の互変異性化を触媒する。TRP-2の非存在下では、ドーパクロムは自然に脱炭酸されて5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)を形成する。
【0007】
DHICAとDHIはいずれも色素の前駆体であり、TRP-1はDHICA分子を酸化してキノン誘導体を形成する。(Pawelek JM and Charkraborty AK. The enzymology of melanogenesis. In:Nordlund JJ, Boissy RE, Hearing VJ, King RA, OrtonneJ-P. The Pigmentary System: Physiology and Pathophysiology. New York: Oxford University Press; 1998. p.391-400)
【0008】
これら3つの酵素、チロシナーゼ、TRP-2およびTRP-1はメラニン形成に特異的に関与しているように思われる。また、これら3つの酵素の活性は、従来、ユーメラニンの生合成を最大限活性化するのに必要であると言われている。
【0009】
TRP-2の発現は、黒色マウスの毛の場合、毛球の活性メラノサイトおよび外側上皮鞘の静態メラノサイトの両者に認められる。また、黒色マウスにおいては、ドーパクロムトートメラーゼ活性が成長期に高くなることは知られている。しかし、TRP-2の発現と色素形成の強さとの相関関係については、いまだ明らかにされていない(Sturm他、1995年)。
【0010】
また、TRP-2は、シス-ジクロロジアミン白金(II)などのDNAを損傷する作用剤に抵抗してメラノサイトが発現する酵素であるとも言われてきた(Chu他2000年およびPak他2000年)。これらの結果は、TRP-2がメラニン形成とは無関係な機能にも関与していること、すなわち、酵素TRP-2が細胞保護の役割を果たしているかもしれぬことを示唆するものである。
【0011】
頭髪および体毛には周期がある。この周期は、成長期(アナーゲン)、退行期(カターゲン)および休止期(テロゲン)を含んでおり、この休止期の後には新たな成長期が現れる。この毛周期のために、表皮色素形成ユニットとは異なり、毛包色素形成ユニットは周期的に再生される。
【0012】
最近、ヒトにおけるこのプロセスが説明されている(Commo S.およびBernard B.、2000年、Pigment Cell Res. 13:253-259)。テロゲンからアナーゲンへの移行期間にテロゲンカプセルに含まれる不活性メラノサイトの一部が増殖し、それらが新生毛球の真皮乳頭の周囲に位置して、メラニンの合成に必要な酵素の発現を開始すること、すなわちこのメラノサイトの集団が毛球の活性メラノサイトと一致することがより具体的に示されている。また、メラノサイトの他の部分が毛包の上面域に不活性のまま存在すること、すなわちこのメラノサイトの集団が毛包の上面域の静態メラノサイトに一致することが示されている。
【0013】
これらのメラニン形成酵素は、アナーゲン相の全期間にわたって毛球のメラノサイトにおいて発現されるが、カターゲンおよびテロゲンの両期間中にはもはや発現されない。ヒト毛包におけるメラノサイトの正常な周期には、毛包色素形成ユニットを再生するために周期的に活性化される毛包の上面域、別名「貯蔵庫」といわれる域に、静態メラノサイトが存在することが必要である。色素形成の維持に関与するこの細胞再生のメカニズムは、毛包色素形成ユニットに特異的なものであり、表皮色素形成ユニットには見られない。
【0014】
白髪(毛の自然な白化)が毛幹のメラニンの減少と関連していることは、一般に認められている。しかし、この減少の理由については、今日まで明らかにされていない。幾つかの仮説によれば、皮膚の色素形成のメカニズムからの類推によって、メラニン形成の活性の減少と関連づけられ、また、メラニン移送における障害または毛球におけるメラノサイト数の減少(TobinおよびPaus、2001年)と関連づけられている。しかし、今日まで、毛の色素形成のいずれの論証も、これらの仮説を立証するにはいたっていない。
【0015】
ここで、本出願人は、白髪が毛球における活性メラノサイト数の減少および毛包の上面域における静態メラノサイト数の減少と関連があるとする前記仮説の正当性を初めて立証するような、2つの結果を明示する。このメラノサイトの時期尚早な減少および/または消失は、毛包に特異的であって、表皮に明らかな影響を及ぼすことはない。
【0016】
これまでは、白髪の毛包には静態メラノサイトが存在していると実際考えられていた(Takada他、1992年、Horikawa他、1996年、JennerおよびRandall、2000年)。
【0017】
しかし、本出願人は、白髪の進行が、限られた数であるが、メラニンを産生し運んでいる毛球のメラノサイトの数の減少と関連していることに気づいた。また本出願人は、意外なことにまた驚くべきことに、ヒト毛包の上面域(別名「貯蔵庫」とも呼ばれる)における静態メラノサイトの集団も、白髪プロセスの間に減少しており、その近傍の漏斗部および表皮とは異なり、白髪が非常に少数のメラノサイトしか有していないかまたはメラノサイトを全く有していないことに気づいた。このメラノサイトの消失が、毛に含まれるメラノサイトに時期尚早かつ特異的に影響を及ぼしているのである。
【0018】
したがって、白髪に対抗するためには、ヒト毛包のメラノサイトの消失、すなわち毛球の活性メラノサイトと毛包の上面域の静態メラノサイトの両者に影響を及ぼしているプロセスに対抗することが必要であるように思われる。
【0019】
また本出願人は、意外なことに、酵素TRP-2が、白人、アジア人およびアフリカ人の色素形成(茶、黒および赤)したヒト毛包のメラノサイトでは発現しないことに気づいた。この酵素は、毛球の活性メラノサイトおよびヒト毛包の上面域の静態メラノサイトいずれにおいても検出されないが、白人、アジア人およびアフリカ人の表皮および漏斗部においては発現する。TRP-2の欠損が、TRP-2を発現しないメラノサイト、つまり毛包の上面域の静態メラノサイトおよび毛球の活性メラノサイトの時期尚早な消失と関連しているのである。
【0020】
そこで、本出願人は、表皮色素形成ユニットにおけるメラニン形成(メラニン産生)に役割を果たしているTRP-2が、毛包色素形成ユニットにおいてまた別のそして今まで知られていなかった役割を果たすであろうことを立証した。すなわち、TRP-2の誘導によって、毛包の上面域の静態メラノサイトの集団および毛球の活性メラノサイトの集団が維持されかつ/または再生され、それによって頭髪、まつげおよび/または体毛の色素形成が確実に維持されるような毛包ユニットの周期的再生が促進されるであろうことを立証した。
【0021】
本出願人は、TRP-2の産生を誘導することが可能であることを明らかにした。本出願人は、TRP-2の産生を誘導することによって、毛の色素形成の原因となる毛包のメラノサイトの集団を維持しかつ/または再生する手段を確認した。また本出願人は、毛包メラノサイトのアポトーシスおよび/または老化を誘導する条件下でTRP-2誘導作用剤の細胞保護活性を評価した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】欧州特許願第0375520号
【特許文献2】仏国特許願第0015686号
【特許文献3】仏国特許願第0101438号
【特許文献4】欧州特許願第0641557号
【特許文献5】欧州特許願第0705593号
【特許文献6】欧州特許願第0780115号
【特許文献7】仏国特許願第0113337号
【特許文献8】欧州特許願第1010413号
【特許文献9】欧州特許願第1010414号
【特許文献10】欧州特許願第1010415号
【特許文献11】欧州特許願第1010416号
【特許文献12】欧州特許願第1013338号
【特許文献13】欧州特許願第1016453号
【特許文献14】欧州特許願第1018363号
【特許文献15】欧州特許願第1020219号
【特許文献16】欧州特許願第1025898号
【特許文献17】欧州特許願第1120101号
【特許文献18】欧州特許願第1120102号
【特許文献19】欧州特許願第1129684号
【特許文献20】欧州特許願第1160005号
【特許文献21】欧州特許願第1172077号
【特許文献22】欧州特許願第0447318号
【特許文献23】欧州特許願第0557489号
【特許文献24】米国特許第4,139,619号
【特許文献25】米国特許第4,596,812号
【特許文献26】WO96/09048
【特許文献27】欧州特許願第0648488号
【特許文献28】欧州特許願第0964852号
【特許文献29】欧州特許願第1068858号
【特許文献30】仏国特許第2768343号
【特許文献31】仏国特許第2782920A1号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Pawelek JM and Charkraborty AK. The enzymology of melanogenesis. In:Nordlund JJ, Boissy RE, Hearing VJ, King RA, OrtonneJ-P. The Pigmentary System: Physiology and Pathophysiology. New York: Oxford University Press; 1998. p.391-400
【非特許文献2】Commo S.およびBernard B.、2000年、Pigment Cell Res. 13:253-259
【非特許文献3】Maniatis他のマニュアル、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Joseph Sambrook、E.F.Fritsch、T. Maniatis、Hardcover、Cold Spring Harbor Laboratory Press
【非特許文献4】Current Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubel他編、Wiley Interscience
【非特許文献5】Pawelek JM他、Nature、1980、286:617-619)
【非特許文献6】Aroca PF他、J.Biochem.Biophys.Methods 1990;21:35-46
【非特許文献7】Palumbo A他、Biochem.Biophys.Acta 1987;925:203-209
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本出願人に従って、白髪の発現を防止および/または制限および/または阻止する手段、およびグレーまたは白髪の毛髪および/または体毛の色素形成を維持する手段を同定した。
【0025】
したがって、本発明の第一の課題は、毛包メラノサイト保護剤として、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を化粧品に使用することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
「毛包メラノサイト保護剤」とは、メラノサイトを保護することができる作用剤、特に、毛包メラノサイトの老化および/またはアポトーシスの原因となる細胞毒性作用剤からメラノサイトを保護することができる作用剤を意味するものとする。細胞毒性作用剤としては、例えば、TNFアルファ、TGFベータ、Fas/CD95リガンド、IL1ベータ、第一鉄および第一銅イオン、シスプラチンおよびオキサルプラチンなどの遺伝子毒性化学化合物、またはシクロホスファアミドなどの化合物といった、遺伝子毒性を有する分子ならびに酸化的ストレスを誘導する分子が挙げられる。
【0027】
特に、本発明によるドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、毛球の活性メラノサイトおよび毛包の上面域の静態メラノサイトの集団を維持および/または再生することによって、毛包のメラノサイトの消失に対抗することを意図したものである。
【0028】
また、本発明によるドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、毛包色素形成ユニットの周期的再生を促進することを意図したものである。
【0029】
したがって、本発明は、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を使用して、白髪の発現を防止および/または制限および/または阻止することに関する。
【0030】
また、本発明は、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を使用して、グレーの頭髪および/または体毛の自然のままの色素形成を維持することに関する。
【0031】
「ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤」とは、酵素、ドーパクロムトートメラーゼの産生を刺激することが可能な化合物を意味するものとする。
【0032】
このような作用剤は、ドーパクロムトートメラーゼをコードする発現ベクターである。前記酵素を発現するためのこのようなベクターの構築には、組織特異的プロモーター、特に、メラノサイト特異的プロモーターを使用することが好ましかろう。
【0033】
ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤は、特に下記の化合物から選択することができる。
・ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA Fang他、2001年)
・ジエチルスティルベストロールおよび/またはエストラジオールなどのステロイドホルモン類(Kippenberger他、1998年)
・グリシルリチン(Jung他、2001年)
・フォルスコリン
・ カンフェロール
【0034】
ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、Sox10の発現モジュレーターなどの、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーター活性化能を有する内因性因子のモジュレーターであってもよい。
【0035】
本発明の別の変形態様においては、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、Sox10などの、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤をコードする発現ベクターであってよい。
【0036】
誘導作用剤のためのこのような発現ベクターを構築するには、組織特異的プロモーター、特に、メラノサイトおよび/または角化細胞に特異的なプロモーターを使用することが好ましいであろう。
【0037】
好ましい変形態様においては、発現ベクターによるドーパクロムトートメラーゼ誘導作用剤の発現それ自体が誘導可能である。
【0038】
本発明の別の課題は、化粧品として許容し得る媒質中に、ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)、グリシルリチン、およびドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの上流に位置する内因性因子のモジュレーターまたはドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)をコードする発現ベクターまたはSox10などのドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤をコードする発現ベクターの中から選択されるドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現誘導剤を少なくとも1つ含む、白髪に対抗するための化粧品組成物である。
【0039】
本発明の組成物は、単位体積当たり、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%のドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を含む。
【0040】
本発明の組成物は、経口投与してもよく、または皮膚(毛で覆われている身体の皮膚領域全域)および/もしくは頭皮もしくは頭髪に適用してもよい。
【0041】
経口によれば、本発明の組成物は、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤とその他の活性化合物を溶液中に含み、水溶液または水・アルコール溶液などの栄養液とすることができ、任意で風味づけすることもできる。作用剤は、摂取可能な固体の添加剤中に組み入れることもできるし、また、例えば顆粒、丸薬、錠剤または糖衣錠の形で提供することもできる。また溶液に入れて栄養液とし、任意でその栄養液を摂取可能なカプセルで包むこともできる。
【0042】
投与形態によっては、本発明の組成物は、特に化粧品学において通常使用されるガレヌス製剤のいずれかの形で提供することができる。本発明の好ましい組成物は、頭皮および/または皮膚への局所適用に好適な化粧品組成物である。
【0043】
局所適用の場合、本発明に従って使用し得る組成物は、特に、水溶液、水・アルコール溶液もしくは油溶液の形態、またはローションタイプもしくは乳清タイプの分散液の形態、または脂肪相を水相に分散するか(O/W)もしくはその逆(W/O)によって得られるような乳タイプの液体濃度もしくは半液体濃度を有する乳液の形態、または水性もしくは無水性のクリームタイプもしくはゲルタイプの懸濁液もしくは乳液の形態、またはマイクロカプセルもしくは微粒子の形態、またはイオンタイプおよび/または非イオンタイプの小嚢状分散液の形態であってよい。したがって、その組成物は膏薬、チンキ剤、クリーム剤、軟膏剤、散剤、貼付吸収薬、含浸パッド剤、液剤、乳剤もしくは小嚢状分散剤、ローション剤、ゲル剤、噴霧剤、懸濁剤、シャンプー剤、エアゾル剤、または泡剤の形で提供することができる。これらは無水性であっても水性であってもよい。また、前記組成物は洗浄石鹸または洗浄固形石鹸を構成する固体製剤からなるものであってもよい。
【0044】
これら組成物は、常法に従って調製される。
【0045】
本発明に従って使用し得る組成物は、特にヘアケア用組成物であって、特にシャンプー、ヘアセットローション、トリートメントローション、ヘアスタイリングクリームもしくはジェル、場合によっては染料シャンプーの形態をとる染料(特に酸化染料)組成物、ヘア用再構築ローション、またはマスクとすることができる。
【0046】
本発明の化粧品組成物は、ヘアクリームもしくはローション、シャンプー、またはコンディショナーであることが好ましい。
【0047】
本発明に従って使用し得る組成物を構成する種々の成分の量は、当分野で従来使用されている量である。
【0048】
本発明に従って使用し得る組成物が乳剤の場合、脂肪相の割合は、組成物の総重量に対して5重量%〜80重量%の範囲、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲である。乳剤の形態の組成物に使用される油類、ワックス類、乳化剤類および乳化補助剤類は、化粧品分野で従来使用されているものから選択される。乳化剤および乳化補助剤は、本組成物中に、組成物の総重量に対して0.3重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の割合で存在する。乳剤はさらに脂質の小嚢を含んでいてよい。
【0049】
本発明に従って使用し得る組成物が液剤または油性ゲル剤である場合、脂肪相は、組成物の総重量に対して90重量%を上回る割合で存在していてよい。
【0050】
本発明の特に好ましい変形態様においては、本発明の組成物は、マイクロ球、ナノ球、オレオソームまたはナノカプセルなどの被膜に封入したドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を少なくとも1つ含むが、その被膜はドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤の化学的性質によって選択することができる。
【0051】
マイクロ球は、一例として、欧州特許願第0375520号に記載の方法に従って調製することができる。
【0052】
ナノ球は、水性懸濁剤の形態で提供することができ、仏国特許願第0015686号および仏国特許願第0101438号に記載の方法に従って調製することができる。
【0053】
オレオソームは、水性相に分散された薄膜の液晶被膜を有する油性小球で構成される、O/W型乳剤から成る(欧州特許願第0641557号および欧州特許願第0705593号参照)。
【0054】
また、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、シリコン界面活性剤から得られる薄膜の被膜から成るナノカプセルに封入することもできるが(欧州特許願第0780115号参照)、そのナノカプセルは水分散性ポリスルホン酸エステルをベースにして調整することもできる(仏国特許願第0113337号参照)。
【0055】
また、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、陽イオンの油性小球表面において、小球の大きさに関係なく錯体を形成することもできる(欧州特許願第1010413号、欧州特許願第1010414号、欧州特許願第1010415号、欧州特許願第1010416号、欧州特許願第1013338号、欧州特許願第1016453号、欧州特許願第1018363号、欧州特許願第1020219号、欧州特許願第1025898号、欧州特許願第1120101号、欧州特許願第1120102号、欧州特許願第1129684号、欧州特許願第1160005号および欧州特許願第1172077号参照)。
【0056】
ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤は、最終的に、薄膜の被膜を備え(欧州特許願第0447318号および欧州特許願第0557489号参照)また表面に陽イオン界面活性剤を含有する(陽イオン界面活性剤に関して先に引用した文献を参照)ナノカプセルまたはナノ粒子の表面において錯体を形成することができる。
【0057】
特に、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を封入している被膜の直径が10μm未満または10μmであるような組成物は好ましい。
【0058】
ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤が封入されているような変形態様によれば、前記作用剤は、ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)、ジエチルスティルベストロールおよび/またはエストラジオールなどのステロイドホルモン類、グリシルリチン、フォルスコリン、カンフェロール、およびドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの活性化能を有する内因性因子のモジュレーターまたはドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤をコードする発現ベクターなどから選択することができる。
【0059】
知られている方法で、本発明の組成物は、親水性または親油性のゲル化剤、親水性または親油性の添加剤、保存剤、抗酸化剤、溶剤、香料、賦形剤、遮断剤、臭気吸収剤および着色剤を含むこともできる。これら各種佐剤の量は、化粧品分野で従来使用されている量であって、例えば、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%である。これら佐剤は、その性質によって、脂肪相、水性相、および/または脂質小球に導入することができる。
【0060】
本発明で使用し得る油類またはワックス類の例としては、鉱油(流動パラフィン)、植物油(シアバターの液状留分、ひまわり油)、動物油(ペルヒドロスクワラン)、合成油(パーセリン油)、シリコーン油もしくはワックス(シクロメチコーン)、フッ素化油(ペルフルオロポリエーテル)、蜜蝋、カルナバ蝋、またはパラフィン蝋を挙げることができる。これら油類に脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)を添加することもできる。
【0061】
本発明で使用し得る乳化剤の例としては、ステアリン酸グリセリル、ポリソルベート60およびGattefosse社からTefose(登録商標)の名で販売されているPEG-6/PEG-32/ステアリン酸グリコール混合物などが挙げられる。
【0062】
本発明で使用し得る溶媒の例としては、低級アルコール、特にエタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0063】
本発明で使用し得る親水性ゲル化剤の例としては、カルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなどのアクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類、天然ゴム類および粘土類が挙げられる。一方、親油性ゲル化剤の例としては、ベントンなどの修飾粘土類、ステアリン酸アルミニウムなどの脂肪酸の金属塩、疎水性シリカ、エチルセルロース、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0064】
本発明に従って使用し得る組成物は、TRP-2の発現誘導剤を少なくとも1種とその他の活性剤を組み合わせたものであってよい。このような活性剤としては、下記の作用剤を例として挙げることができる。
- レチノールおよびそのエステル、ビタミンDおよびその誘導体、エストラジオールなどのエストロゲン、POMC誘導体などのcAMPモジュレーター、アデノシン、フォルスコリンおよびその誘導体、プロスタグランジン類およびその誘導体、ならびにトリイオドトリオニンおよびその誘導体などの、皮膚細胞の分化および/または増殖および/または色素形成を調節する作用剤、
- アヤメ科または大豆からの抽出物などの植物抽出物、これら抽出物はイソフラボンを含んでいてもいなくてもよい、
- 微生物抽出物、
- α-トコフェロールもしくはそのエステル、スーパーオキシドジスムターゼもしくはその模擬体、ある種の金属キレート化剤、またはアスコルビン酸およびそのエステルなどの抗ラジカル剤、
- ある種のイオウアミノ酸、13-シス-レチノイン酸および酢酸シプロテロンなどの抗脂濡剤、ならびに
- 亜鉛ピリチオン、二硫化セレン、クリンバゾール、ウンデシレン酸、ケトコナゾール、ピロクトンオラミン(オクトピロックス)およびシクロピロクトン(シクロピロックス)などの頭皮の落屑状態に対抗するその他の作用剤。特に、前記活性剤は、毛の再生を刺激しかつ/または毛の減少の減速を促進する活性剤とすることができ、その例として下記の作用剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
- 特にトコフェリルニコチネート、ベンジルニコチネート、およびメチルニコチネートまたはヘキシルニコチネートなどのC〜Cアルキルニコチネートを含むニコチン酸エステル、- 米国特許第4,139,619号および米国特許第4,596,812号に記載の2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン 3オキシドまたは「ミノキシジル」、WO96/09048に記載のアミネキシルまたは2,4-ジアミノピリミジン 3オキシドなどのピリミジン誘導体、
- 本出願人が欧州特許願第0648488号に記載した作用剤などの、リポキシゲナーゼを阻害する作用剤または毛再生を促進するシクロオキシダーゼ誘導剤、
- マクロライド系、ピラノシド系およびテトラサイクリン系抗生物質、特にエリスロマイシンなどの抗菌剤、
- シンナリジン、ニモジピンおよびニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬、
- エストリオールもしくはその類似体、またはチロキシンおよびその塩などのホルモン類、
- オキセンドロン、スピロノラクトンおよびフルタミドなどの抗アンドロゲン薬、
- 本出願人が欧州特許願第0964852号および欧州特許願第1068858号に記載したような作用剤またはフィナステリドなどの、5-α-レダクターゼのステロイド系または非ステロイド系阻害剤、クロマカリムおよびニコランジルなどのATP-依存性カリウムチャンネル拮抗薬、ならびに
- 仏国特許第2768343号に記載のキク抽出物および仏国特許第2782920A1号に記載のワレモコウ抽出物などの色素形成促進活性を有する植物抽出物。
【0065】
本発明の別の課題は、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を少なくとも1種含む先に定義済みの組成物を、投与するかまたは処置対象である領域に適用することを特徴とする、白髪を化粧品によって処置する方法に関する。
【0066】
本発明はまた、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を少なくとも1種含む先に定義済みの組成物を、投与するかまたは処置対象である領域に適用することを特徴とする、グレーまたは白い頭髪および/または体毛の自然の色素形成を維持することを意図した美容処置方法に関する。
【0067】
処置対象である領域は特に制限されないが、例えば、頭皮、眉毛、口髭および/またはあご髭、ならびに毛で覆われている皮膚の任意の領域である。
【0068】
特に、白髪の処置法およびグレーまたは白い頭髪および/または体毛の自然な色素形成は、先に記載の組成物を適用することから成る。
【0069】
白髪に対抗するための処置法ならびに/またはグレーまたは白い頭髪および/もしくは体毛の自然な色素形成を維持するための処置法は、例えば、晩に頭髪および頭皮に前記組成物を適用し一晩組成物が接触した状態を保ち、さらに場合によっては、朝この組成物を使って髪をシャンプーするかまたは洗浄して、すすぎ落とす前に再度組成物を数分間接触した状態にしておくことから成る。本発明の組成物は、ヘアローションの形態で適用した場合、場合によってすすぎ落とす、またはシャンプーの形態で適用した場合に特に有利であることが分かっている。
【0070】
本発明の別の課題において、本発明は、下記の工程を含む、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤の同定方法に関する。
a- メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼをほとんど発現しないかまたは全く発現しない(低基礎発現)培地で、メラノサイトの集団を培養する工程、
b- ドーパクロムトートメラーゼ発現の誘導活性を試験することが望まれる化合物を前記培地に添加する工程、
c- 前記化合物が誘導剤である場合にメラノサイトがドーパクロムトートメラーゼを発現し得るに十分な期間、メラノサイトをインキュベートする工程、
d- ドーパクロムトートメラーゼの発現を測定する工程、および
e- ドーパクロムトートメラーゼの発現を誘導する化合物を選択する工程。
【0071】
ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を同定する方法の各実施態様においては、細胞の培養を、インキュベーターにて37℃、5%COの条件下で行う。
【0072】
詳細には、工程(a)は以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、メラノサイトをM2培地(PromoCell、ハイデルベルグ、独)で第0日に接種する。細胞付着に必要な時間、すなわち2〜18時間が経過後、前記培地を、メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼほとんど発現しないかまたは全く発現しない(TRP-2基礎発現)、または不活性ドーパクロムトートメラーゼを発現するような培地と取り替える。具体的には、DMEM:F12(Gibco BRL-42400-044)、Ultroser G(Gibco BRL-15950-017)0.5%、PC-1(BioWhittaker 344022)0.5%、bFGF(Pepro Tech Inc 100-18B)5ng/ml、ヘパリン(シグマH-3149)75ng/ml、1%抗生物質、1%グルタミンである。細胞を、TRP-2の発現が減少するのに必要な時間、すなわち12〜72時間この培地中に保持する。
【0073】
工程(b)は以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、培養しているメラノサイトを、ドーパクロムトートメラーゼ発現の誘導活性を試験することが望まれる化合物で、TRP-2の発現を誘導するのに必要な時間処理する。この処理時間は一般に12〜72時間である。
【0074】
ドーパクロムトートメラーゼの発現を測定するための工程(d)は、例えば、ドーパクロムトートメラーゼをコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を測定することによって評価することができる。
【0075】
TRP-2のmRNAは、RT-PCR、ノーザンブロット法、示差表示(differential display)法(これら方法のプロトコールに関しては、Maniatis他のマニュアル、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Joseph Sambrook、E. F. Fritsch、T. Maniatis、Hardcover、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)などの、mRNAの検出を可能にするような方法であればいずれの方法によっても同定することができる。
【0076】
プローブおよびプライマーは、ドーパクロムトートメラーゼのmRNAの知られている配列から選択することができる(特にGenebank No.AJ000503、No.NM_001922、No.S69231の配列を参照)。
【0077】
一例として、RT-PCR解析の場合には、以下のオリゴヌクレオチドを使用することができよう。すなわち、5'-TGT GGA GAC TGC AAG TTT GGC および5'-GAG TTC TTC ATT AGT CAC TGG AGG G。
【0078】
- ドーパクロムトートメラーゼの測定。
TRP-2タンパクは、例えば、エンザイムイムノアッセイ法、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、免疫組織化学法などの特異的抗体を使用する方法(免疫検出法)によって検出することができよう(ManiatisおよびCurrent Protocols in Molecular Biology、F. M. Ausubel他編、Wiley Interscienceを参照)。
【0079】
TRP-2タンパクはまた、HPLC、配列決定といったタンパク質解析の化学的方法によっても検出することができる(ManiatisおよびCurrent Protocols in Molecular Biology、F. M. Ausubel他編、Wiley Interscienceを参照)。
【0080】
- ドーパクロムトートメラーゼ活性の測定。
標的細胞を抽出した後、ドーパクロムトートメラーゼ活性を、例えば分光測光法によって、475nmにおけるL-ドーパクロムの脱色を測定する(Pawelek JM他、Nature、1980、286:617-619)かまたはDHICAの形成による308nmにおける吸収の増加を測定する(Aroca PF他、J. Biochem. Biophys. Methods 1990;21:35-46)ことで評価することができる。また、別法として、HPLCによってドーパクロムとDHICAとを分離し、UVにおける吸収を測定し、それらを定量する(Palumbo A他、Biochem. Biophys. Acta 1987;925:203-209)ことによって評価することができる。
【0081】
本発明はまた、白髪の発現を防止しかつ/もしくは制限しかつ/もしくは阻止するための、ならびに/またはグレーもしくは白の頭髪および/または体毛の自然の色素形成を維持するための美容処置方法において、先に記載の方法によって選択可能なドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を使用することに関する。
【0082】
本発明はまた、白髪の発現を防止しかつ/もしくは制限しかつ/もしくは阻止するための、ならびに/またはグレーもしくは白の頭髪および/または体毛の自然の色素形成を維持することを意図した化粧品組成物の調製のために、先に記載の方法によって選択可能なドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を使用することに関する。
【0083】
本発明の別の態様は、ヒトまたはその他の哺乳動物由来のドーパクロムトートメラーゼ遺伝子のプロモーター領域の全部または一部を含むプラスミド構築物を使用して、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)発現の促進を可能にするような化合物の活性を評価することによって、TRP-2プロモーターの活性誘導剤を同定する方法に関する。
【0084】
詳細には、前記ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの活性誘導剤の同定方法は、下記の工程を含む。
a.レポーター遺伝子の上流に位置するドーパクロムトートメラーゼ遺伝子のプロモーター領域を含むプラスミドベクターを構築する工程、
b.工程(a)で得られたプラスミドベクターを細胞集団に移入する工程、
c.ドーパクロムトートメラーゼプロモーターの活性誘導能を測定することが望まれる化合物を、工程(b)で得られた2つの細胞集団のうちの一方の培地に添加する工程、および
d.工程(c)で得られた細胞集団におけるレポーター遺伝子の発現と、試験化合物と共にインキュベートしていない工程(b)で得られた細胞集団におけるレポーター遺伝子の発現とを比較することによって、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの活性を誘導する化合物を選択する工程。
【0085】
工程(a)を実施するために、例えば登録番号L38953でGenebank登録されているようなドーパクロムトートメラーゼをコードするヒトの遺伝子のプロモーター領域を、レポーター遺伝子をコードする配列の上流の、工程(b)を実施するために細胞内への転移を可能にするような構築物の中に挿入する。
【0086】
発現レポーター遺伝子は、その産物が測定可能な遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの遺伝子などを意味するものとする。
【0087】
工程(b)の場合、前記細胞内への移入を可能にするような構築物は、例えばpBlue-TOPO(登録商標)(Invitrogen、Groningen、CH、N)などのプラスミドであり、この場合、転移はトランスフェクションまたはリポフェクションによって得られる。
【0088】
工程(b)で使用する細胞集団は、ヒトもしくはその他の哺乳動物からのメラノサイト型の細胞集団であるか、または線維芽細胞もしくは角化細胞などの別の細胞型の細胞集団であってよい。
【0089】
最後に、本発明は、白髪の発現を防止しかつ/もしくは制限しかつ/もしくは阻止するための、ならびに/またはグレーもしくは白の頭髪および/または体毛の自然のままの色素形成を維持するための美容処置方法において、先に記載の方法によって同定可能なドーパクロムトートメラーゼプロモーターの活性誘導剤を使用することに関する。
【0090】
本発明はまた、白髪の発現を防止しかつ/もしくは制限しかつ/もしくは阻止することを意図し、ならびに/またはグレーもしくは白の頭髪および/または体毛の自然のままの色素形成を維持することを意図した化粧品組成物を調製するために、先に記載の方法によって選択可能なドーパクロムトートメラーゼプロモーターの活性誘導剤を使用することに関する。
【0091】
本発明はまた、下記の工程
a.TRP-2の発現を低い基礎発現量に制限するような培地で、メラノサイトの集団を培養する工程、
b.ドーパクロムトートメラーゼ発現を誘導する化合物を、前記培地に添加する工程、
c.メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼを発現し得る十分な期間、メラノサイトをインキュベートする工程、
d.前記細胞を、アポトーシスまたは老化を誘導する条件に曝露する工程、
e.細胞毒性を測定する工程、および
f.ドーパクロムトートメラーゼの発現を誘導する化合物で細胞保護効果を有する化合物を選択する工程
を含む、先に記載の方法によって同定されるドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤の細胞保護活性を評価する方法に関する。
【0092】
各実施態様においては、細胞の培養を、インキュベーターにて37℃、5%COの条件下で行う。
【0093】
詳細には、工程(a)は以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、メラノサイトをM2培地(PromoCell、ハイデルベルグ、独)で第0日に接種する。細胞付着に必要な時間、すなわち2〜18時間が経過後、前記培地を、メラノサイトがTRP-2をほとんど発現しないかまたは全く発現しない(低基礎発現)培地と取り替える。具体的には、DMEM:F12(Gibco BRL-42400-044)、Ultroser G(Gibco BRL-15950-017)0.5%、PC-1(BioWhittaker 344022)0.5%、bFGF(Pepro Tech Inc 100-18B)5ng/ml、ヘパリン(シグマH-3149)75ng/ml、1%抗生物質、1%グルタミンである。細胞を、TRP-2の発現が減少するのに必要な時間、すなわち12〜72時間この培地中に保持する。
【0094】
工程(b)は以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、培養しているメラノサイトを、ドーパクロムトートメラーゼの発現を誘導する化合物で、TRP-2の発現を誘導するのに必要な時間処理する。この処理時間は一般に12〜72時間である(工程c)。
【0095】
工程(d)は以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、細胞を、培地において、アポトーシスの誘導に必要な期間シスプラチン(例えば5〜50μM)で処理する。この処理期間は一般に12〜24時間である。
【0096】
工程(e)は、例えば以下のプロトコールに従って実施することができる。すなわち、販売元が提供するプロトコール(Roche 1-465-015)に従って「Cell Proliferation Kit II(XTT)」キットを使い、細胞毒性を測定する。アポトーシスは、販売元が提供するプロトコール(Roche 1 774 425)に従って「Cell Death Detection ELISA plus」キットを使い定量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、アナーゲン相における毛包メラノサイトの分布を示す顕微鏡写真を寄せ集めた図であり、(A)は倍率40倍の一連の外側上皮鞘像であり、(B)は倍率20倍の一連の外側上皮鞘像(毛幹に焦点を合わせた)であり、(C)は倍率20倍の一連の毛球像であり、(1)は非常に黒みがかった毛を、(2)は中程度に色素形成した毛を、(3)〜(5)は異なる色合いのグレーの毛を、また(6)は白い毛を表している図である。
【図2】図2は、表皮および毛(外側上皮鞘および毛球)のメラノサイトにおけるTRP-2の発現を視覚化した写真であり、共焦点レーザー顕微鏡を使用して分析した免疫組織化学的研究を示す写真である。
【図3】図3は、実施例2Bに記載のウェスタンブロット試験を実施して得た結果を表す写真である。
【図4】図4は、TRP-2発現に及ぼすフォルスコリン(Fk)の誘導効果を対照と比較して示すウェスタンブロットの結果を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
(実施例1)pMel-17タンパク標識による、異なる白髪化段階における毛包メラノサイトの免疫組織化学的視覚化
年齢49〜71歳の8人のドナーによって提供された生検試料から120を超える毛包を単離し、調べた。
【0099】
A-完全な毛包を単離するためのプロトコール
(Commo SおよびBernard BA、Pigment Cell Res、2000;13:253-259)
生検試料断片を、ディスパーゼ(2.4U/ml、ベーリンガーマンハイム社、独)中+04℃にて一晩培養する。双眼顕微鏡下、ピンセットを用いて毛髪を単離する。
【0100】
B-完全な毛包に関する免疫標識プロトコール
(Commo SおよびBernard BA、Pigment Cell Res、2000;13:253-259)
完全な毛髪を、エタノール中-20℃にて10分間固定する。固定および標識の各工程終了後に、リン酸緩衝液(pH7.4(PBS))-Tween20(0.05%)中で洗浄する。特にことわりのない限り、全工程は室温で行うものとする。0.1%過酸化水素溶液中で10分間試料をインキュベートし、試料中の内因性ペルオキシダーゼを中和する。非特異的結合部位をブロックするために、試料をスキムミルクと共に15分間インキュベートする。タンパクpMel-17を特異的に認識する一次抗体(Ab)NK1-beteb(Monsan、パリ、仏)を、10%正常血清(X0907、DAKO、Trappes、仏)を含有するPBS-Tween0.05%中で1/40に希釈する。一次抗体Abを、毛髪上+04℃にて18時間インキュベートする。ビオチンと結合した二次抗体Ab(E-433、DAKO、Trappes、仏)を1/400に希釈し、30分間インキュベートする。次いで、毛髪をストレプトアビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ(K-0377、DAKO、Trappes、仏)の存在下で培養し、最終的に3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)(AECキット-101、シグマ、Saint Quentin Fallavier、仏)の存在下で免疫標識を視覚化する。
【0101】
図1の像(B1)と像(B5)を比較すると、毛の色素形成の低下が毛球のメラニンの減少および毛球のメラノサイトの減少(C1およびC5参照)と関連していることが認められる。毛幹のメラニンが欠乏している白髪(B6)は毛球にメラノサイトを含んでいない(C6)。グレーおよび白の毛髪は外側上皮鞘の上面部に様々な量のメラノサイトを含んでおり、白髪の場合(A3〜A6)、色素形成した髪(A1およびA2)とは異なり、その量はゼロにもなり得る。
【0102】
(実施例2)コーカサス人の毛包メラノサイトおよび表皮メラノサイトにおけるドーパクロムトートメラーゼ発現の差異の立証
A-共焦点レーザー顕微鏡を使用して分析した免疫組織学的研究
A.1-毛包凍結切片の作成
(Commo SおよびBernard BA、Pigment Cell Res、2000;13:253-259)
毛包を含む頭皮生検試料断片を、tissue-Tek-OCT(Miles、Naperville、イリノイ、米国)に埋め込み、ドライアイスで凍結する。次いで、凍結生検試料をクリオスタット(CM3050、Leica、Rueil-Malmaison、仏)を用いて断面(7μm)に切る。
【0103】
A.2-完全な毛包および皮膚上皮断片を単離するためのプロトコール
(Commo SおよびBernard BA、Pigment Cell Res、2000;13:253-259)
生検試料断片を、ディスパーゼ(2.4U/ml、ベーリンガーマンハイム社、独)中+04℃にて一晩インキュベートする。双眼顕微鏡下、ピンセットを用いて真皮から上皮部分を分離する。次いで、毛包および表皮を分離するために上皮構造顕微解剖し、えり分ける。
【0104】
A.3-完全な毛包、皮膚断片および凍結切片に関する免疫標識プロトコール
完全な毛髪、皮膚の上皮断片および凍結切片をエタノール中-20℃にて10分間固定する。固定および標識の各工程終了後に、リン酸緩衝液(pH7.4(PBS))-Tween20(0.05%)中で洗浄する。特にことわりのない限り、全工程は室温で行うものとする。0.1%過酸化水素溶液中で10分間試料をインキュベートし、試料中の内因性ペルオキシダーゼを中和する。非特異的結合部位をブロックするために、試料をスキムミルクと共に15分間インキュベートする。一次抗体(Ab)を、10%正常血清(X0907、DAKO、Trappes、仏)を含有するPBS-Tween0.05%中で希釈する。タンパクpMel-17を特異的に認識する一次抗体AbのNK1-beteb(1/40、Monosan、パリ、仏)と、ヒトタンパクTRP-2を特異的に認識する一次抗体AbのαPEP8h(1/2000、Dr VJ Hearing、NIH、Bethesda、メリーランド、米国)(Virador他、2001年)とを、毛髪および皮膚の表皮断片上+04℃にて同時に18時間インキュベートする。Cy3(M32410、TEBU、le Perray en Yveline、仏)を結合させた、免疫グロブリン(Ig)G2bに対するヤギ二次抗体Abを1/80に希釈し、Cy5(111-175-144、Jackson Immunoresearch Lab. Inc. West Grove、ペンシルバニア、米国)を結合させたIgsに対する二次抗体Abを1/500に希釈し、それらを試料と共に30分間同時にインキュベートする。免疫標識を、共焦点顕微鏡(LSM510、Carl Zeiss、Oberkochen、独)を使用して分析する。観察に基づく結論:図2において、表皮メラノサイトにTRP-2の存在が認められる。一方、この酵素は、毛包上皮鞘のメラノサイトあるいは毛球のメラノサイトいずれにおいても発現していない。
【0105】
B-ウェスタンブロット分析による生化学的研究
B.1-ヒト毛包およびメラノサイトからタンパクを抽出するためのプロトコール(Commo S他、Differentiation、2000;66:157-164)
- 毛包からのタンパクの抽出:頭皮生検試料をディスパーゼ(2.4U/ml、ベーリンガーマンハイム社、独)中+04℃にて一晩処理した後、毛包を単離する。毛球部分を単離するために、単離した毛包を顕微解剖する。このようにして単離した80個の毛球を、タンパク抽出およびウェスタンブロット分析用として適当な溶解用緩衝液中に置く。
- メラノサイト培養菌からのタンパク抽出:M2培地(PromoCell、ハイデルベルグ、独)で培養したメラノサイトを、タンパク抽出に用いるものと同じ適当な溶解用緩衝液を用いて溶解し、ウェスタンブロットで分析する。
【0106】
下記の抗体を用いてウェスタンブロット(Maniatis他のプロトコールを参照)を実施する。Dr VJ Hearing(NIH、Bethesda、メリーランド、米国)が提供するαPEP8hおよびヒトTRP-2特異的ポリクローナル抗体、ならびにヒトチロシナーゼ特異的モノクローナル抗体、T311(Novocastra、Newcastle、英国)。
【0107】
図3の観察とコメント
チロシナーゼが毛球の抽出物に検出されることが観察される。この酵素は外側上皮鞘の抽出物中には検出されない。チロシナーゼの発現は調節されている。この酵素は、不活性メラノサイト(メラニンを産生しない)においては全く発現しないかまたはほとんど発現しない。コーカサス人の毛包間頭皮に含まれるメラノサイトがその例である。
【0108】
また、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)は、毛球抽出物および外側上皮鞘抽出物のいずれにおいても検出されない。TRP-2の発現は、チロシナーゼの発現およびメラニン形成の誘導の結果起こるものではなく、毛球の活性メラノサイトにおいては発現しない。
【0109】
(実施例3)ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)の発現に及ぼすフォルスコリンの誘導効果の実証
第1の工程(a)において、メラノサイトをM2培地(PromoCell、ハイデルベルグ、独)で第0日に接種する。細胞付着に必要な時間、すなわち2〜18時間が経過後、前記培地を、メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼがほとんど発現しないかまたは全く発現しない(低基礎TRP-2発現)、または不活性ドーパクロムトートメラーゼを発現するような培地と取り替える。具体的には、DMEM:F12(Gibco BRL-42400-044)、Ultroser G(Gibco BRL-15950-017)0.5%、PC-1(BioWhittaker 344022)0.5%、bFGF(Pepro Tech Inc 100-18B)5ng/ml、ヘパリン(シグマH-3149)75ng/ml、1%抗生物質、1%グルタミンである。細胞を、TRP-2の発現が減少するのに必要な時間、すなわち12〜72時間この培地中に保持する。
【0110】
工程(b)において、前記培地にフォルスコリン(20μM)を添加し、メラノサイトをこの培地で24時間培養する(工程c)。
【0111】
TRP-2濃度の視覚化(工程d)を、ヒトTRP-2タンパクを特異的に認識する抗体αPEP8hの存在下、従来のウェスタンブロット法によって実施する(Virador他、2001年)。
【0112】
ビメンチン(メラノサイトの細胞骨格タンパク質)を用いて、それぞれの異なる試験においてタンパク質負荷量が同等であることを保証する。
【0113】
図4に示す結果から、対照と比べ、フォルスコリンがドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)発現誘導能を有することが明らかである。
【0114】
(実施例4)組成物
- ヘアローション
ドーパクロムトートメラーゼ誘導剤 0.5g
プロピレングリコール 20g
エタノール、95% 30g
水 100gにするための十分量
【0115】
このローションは、処置対象である領域に毎日適用され、好ましくは頭皮全体に少なくとも10日間、好ましくは1〜2カ月間適用される。白髪またはグレーの髪の出現が減少し、次いで、グレーの髪に色素再沈着が見られる。
【0116】
- トリートメントシャンプー
ドーパクロムトートメラーゼ誘導剤 1.5g
ポリグリセリル3-ヒドロキシアリールエーテル 26g
ヒドロキシプロピルセルロース 2g
(Hercules社からKlucell Gの商品名で販売されている)
保存剤 十分量
エタノール、95% 50g
水 100gにするための十分量
【0117】
このシャンプー剤は、洗髪のたびに使用し、シャンプー剤をつけたらそのまま約1分間おく。長期間、すなわち約2カ月の使用によって、グレーの髪に徐々に色素が再沈着するようになる。
【0118】
このシャンプー剤は、毛髪が白くなるのを遅らせる目的で予防的に使用することもできる。
【0119】
- トリートメントゲル
ドーパクロムトートメラーゼ誘導剤 0.75g
ユーカリエッセンシャル油 1g
エコノゾール 0.2g
ラウリルポリグリセリル6セテアリル 1.9g
グリコエーテル
保存剤 十分量
カーボポール934P 0.3g
(BF Goodrich Corporation社から販売)
中和剤 適量 pH7
水 100gにするための適量
【0120】
このゲル剤は、処置対象である領域に一日2回(朝と晩)適用され、適用領域にはマッサージを施すものとする。3カ月適用を続けると、処置した領域の体毛または頭髪に色素再沈着が認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼを発現しない培地で、メラノサイトの集団を培養する工程、
b.ドーパクロムトートメラーゼ発現の誘導活性を試験することが望まれる化合物を前記培地に添加する工程、
c.前記化合物が誘導剤である場合にメラノサイトがドーパクロムトートメラーゼを発現し得るに十分な期間、メラノサイトをインキュベートする工程、
d.ドーパクロムトートメラーゼの発現を測定する工程、および
e.ドーパクロムトートメラーゼの発現を誘導する化合物を選択する工程
を含む、ドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤を同定する方法。
【請求項2】
メラノサイトによるドーパクロムトートメラーゼの発現を、ドーパクロムトートメラーゼをコードするメッセンジャーRNAを測定することによって決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドーパクロムトートメラーゼをコードするメッセンジャーRNAの測定を、RT-PCR法、ノーザンブロット法または示差表示法によって実施することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
メラノサイトによるドーパクロムトートメラーゼの発現を、ドーパクロムトートメラーゼの測定によって決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ドーパクロムトートメラーゼの発現を、エンザイムイムノアッセイ法、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、免疫組織化学法、HPLCまたは塩基配列決定法によって検出することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
メラノサイトによるドーパクロムトートメラーゼの発現を、培地におけるドーパクロムトートメラーゼ活性の測定によって決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
白髪の発現を防止しかつ/もしくは制限しかつ/もしくは阻止するための、および/またはグレーもしくは白の頭髪および/または体毛の自然の色素形成を維持するための美容処置方法における、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって同定されたドーパクロムトートメラーゼ発現誘導剤の使用。
【請求項8】
白髪の発現を防止し、かつ/もしくは制限し、かつ/もしくは阻止すること、ならびに/またはグレーもしくは白の頭髪および/もしくは体毛の自然の色素形成を維持することを意図した化粧品組成物の調製のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって選択されたドーパクロムトートメラーゼ発現誘導剤の使用。
【請求項9】
a.レポーター遺伝子の上流に位置するドーパクロムトートメラーゼ遺伝子のプロモーター領域を含むプラスミドベクターを構築する工程、
b.工程(a)で得られたプラスミドベクターを細胞集団に移入する工程、
c.ドーパクロムトートメラーゼプロモーターの活性誘導能を測定することが望まれる化合物を、工程(b)で得られた2つの細胞集団のうちの一方の細胞集団の培地に添加する工程、および
d.工程(c)で得られた細胞集団におけるレポーター遺伝子の発現と、試験化合物と共にインキュベートしていない工程(b)で得られた細胞集団におけるレポーター遺伝子の発現とを比較することによって、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの活性を誘導する化合物を選択する工程
を含むことを特徴とする、ドーパクロムトートメラーゼ(TRP-2)プロモーターの活性誘導剤の同定方法。
【請求項10】
a.TRP-2の発現を低い基礎発現量に制限するような培地で、メラノサイトの集団を培養する工程、
b.ドーパクロムトートメラーゼ発現を誘導する化合物を、前記培地に添加する工程、
c.メラノサイトがドーパクロムトートメラーゼを発現し得るに十分な期間、メラノサイトをインキュベートする工程、
d.前記細胞を、アポトーシスまたは老化を誘導する条件に曝露する工程、
e.細胞毒性を測定する工程、および
f.細胞保護効果を有する、ドーパクロムトートメラーゼの発現を誘導する化合物を選択する工程
を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって同定されたドーパクロムトートメラーゼの発現誘導剤の細胞保護活性を評価する方法。
【請求項11】
工程(d)が細胞をシスプラチンで処理することから成ることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−246564(P2010−246564A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167218(P2010−167218)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2007−28102(P2007−28102)の分割
【原出願日】平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】