説明

毛成長抑制剤

【課題】毛成長抑制剤の提供。
【解決手段】下記式(I)


(式中、R1及びR2はいずれか一方が水素であり他方がメトキシである)で表される化合物、又はその塩を有効成分として含有する毛成長抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛成長抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪や体毛は、生物学的には頭部、胸部、手足等の重要な器官を防護するものである。しかしながら、近年、特に手足等における体毛は、美的外観上無い方が好ましいとする傾向が高まっている。
【0003】
体毛を除去する方法としては、シェーバー、抜毛器等を用いる機械的除去方法、脱毛剤や除毛剤を用いた化学的作用による除去方法が挙げられる。しかしながら、これらの体毛除去方法は、皮膚に対して物理的又は化学的刺激を伴う場合があり、また抑毛作用という点では未だ不十分であるため、一定期間経過後には再び体毛除去処理を行わなければならない。体毛除去処理の軽減化が望まれている。
【0004】
フェナントロインドリジジン(Phenanthroindolizidine)は、ガガイモ科植物から単離されるアルカロイドとして知られている化合物であり(非特許文献1)、その活性としては、細胞毒性や抗腫瘍活性(非特許文献2、3)、抗菌活性(非特許文献4)、抗ウイルス活性(非特許文献5)、除草効果(特許文献1)などが知られている。
しかし、当該化合物が毛成長抑制に関与することはこれまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許公開第1711848号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Li et al, Heterocycles, 1989, 29(9):1797-1808
【非特許文献2】Su et al, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2008, 16(11):6233-6241
【非特許文献3】Lee, Planta Medica, 2003, 69(1):21-25
【非特許文献4】Mogg et al, Biochemical Systematics and Ecology, 2008, 36(5-6):383-391
【非特許文献5】Xi et al, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2006, 16(16):4300-4304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フェナントロインドリジジン化合物を有効成分とする毛成長抑制剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、毛成長を抑制する物質を探索した結果、フェナントロインドリジジン化合物が毛成長を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下を提供する。
1)下記式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R1及びR2はいずれか一方が水素であり他方がメトキシである)
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する毛成長抑制剤。
2)R1がメトキシであり且つR2が水素である1)記載の毛成長抑制剤。
3)1)記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する除毛又は脱毛用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、効果に優れた毛成長抑制剤及び除毛又は脱毛用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明化合物が毛成長に与える影響。A:毛成長の経時観察結果。n=9、mean±SD。***: P <0.001(non-paired t-test、vs Vehicle)。B:10日後の培養ヒト毛包画像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
【0015】
本明細書において、「毛成長抑制」とは、毛または毛包の伸長を抑制する作用、あるいは毛径を減少させる作用を意味する。
【0016】
本発明の毛成長抑制剤は、下記式(I):
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R1及びR2はいずれか一方が水素であり他方がメトキシである)
で表される化合物又はその塩を有効成分とする。
好ましい態様において、R1はメトキシであり且つR2は水素である。
本明細書において、上記化合物はその異性体を包含する。
式(I)化合物としては、好ましくは、(-)-Antofine((13aR)-9,11,12,13,13a,14-Hexahydro-2,3,6-trimethoxydibenzo[f,h]pyrrolo[1,2-b]isoquinoline)が挙げられる。
【0019】
式(I)化合物の塩としては、特に限定されないが、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0020】
上記式(I)化合物又はその塩は、Li et al(Heterocycles, 1989, 29(9):1797-1808)記載の方法等に従って、ガガイモ科植物から単離することができ、あるいはSu et al(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2008, 16(11):6233-6241)等に記載の公知の方法によって調製することができる。
【0021】
以下に、例示として、ガガイモ科植物フナバラソウ(Cynanchum atratum Bge.)から式(I)化合物Antofineを調製する方法を記載する。フナバラソウは、ガガイモ科カモメヅル属の多年草であり、その根は、従来、漢方で白薇(はくび)として、清熱涼血、解熱、利尿のために使用されている。白薇の薬効成分としては、強心配糖体キナンコール(Cynanchol)が知られている。
【0022】
まずフナバラソウ抽出物を調製する。抽出物は、フナバラソウの任意の部位、例えば全草若しくは根、又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよいが、根からの抽出物が好ましい。上記部位は、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。当該抽出物としては、市販されているものを利用してもよく、又は常法により得られる各種溶剤抽出物であってもよい。
【0023】
抽出のための溶剤には、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。溶剤の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン類;油脂、ワックス等その他オイル類等の有機溶剤;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類及びその水溶液が挙げられ、アルコール類としてはエタノールが好ましい。より好ましい溶剤は、水及びエタノール水溶液である。
【0024】
上記アルコール類の水溶液におけるアルコール類と水との配合割合(容量比)としては、0.001〜100:99.999〜0が好ましく、5〜95:95〜5がより好ましく、20〜80:80〜20がさらに好ましく、30〜70:70〜30がさらにより好ましく、40〜60:60〜40がなお好ましい。エタノール水溶液の場合、エタノール類濃度が40〜60容量%であることが好ましい。溶剤の使用量としては、フナバラソウ根(乾燥質量換算)1gに対して10〜150mLが好ましい。
【0025】
抽出物の調製には、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の任意の抽出手順を用いることができる。抽出には、ソックスレー抽出器等の通常使用される抽出器具を用いることができる。
例えば浸漬の場合、抽出時間は1分間〜2ヶ月間が好ましく、10分間〜4週間がより好ましく、抽出温度は、0℃〜溶媒沸点、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは15〜40℃である。浸漬の好適な条件の一例として、15〜40℃で、1時間〜4週間の浸漬が挙げられる。抽出時間を短縮する場合には、攪拌を伴う固液抽出が望ましい。固液抽出の好適な条件の一例としては、10〜100℃(好ましくは20〜100℃)下、1000〜5000rpmで1〜30分間の攪拌が挙げられる。
抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。必要に応じて、得られた抽出物をさらにろ過、減圧濃縮等の処理にかけてもよい。
【0026】
得られた抽出物を、酢酸エチル/水等を用いて液液分配して有機層を回収し、当該有機層をクロマトグラフィーにて分画する。クロマトグラフィーでは、例えばシリカゲルカラムと、ヘキサン/酢酸エチル/メタノール等の溶媒を用いて画分を得ることができる。一例として、ヘキサン/酢酸エチル=90/10→ヘキサン/酢酸エチル=0/100→メタノールの勾配溶媒が挙げられる。得られた各画分のうち酢酸エチル/メタノール=10/90〜酢酸エチル/メタノール=0/100溶出画分を、第2のクロマトグラフィーに供する。第2のクロマトグラフィーでは、例えばシリカゲルカラムと、クロロホルム/メタノール勾配を用いて画分を得ることができる。得られた各画分のうちクロロホルム/メタノール=2/100〜クロロホルム/メタノール=10/100溶出画分から、Antofineを含有する活性画分を得ることができる。
【0027】
後記実施例に示すように、上記式(I)化合物は、ヒト器官培養毛の伸長を有意に抑制する。従って、当該式(I)化合物又はその塩は、毛成長抑制剤として有用である。また、当該式(I)化合物又はその塩は、当該毛成長抑制作用を介して、発毛若しくは育毛の抑制、又は除毛、脱毛等の効果を発揮することができる。すなわち、当該式(I)化合物又はその塩は、毛成長抑制、発毛若しくは育毛の抑制、又は除毛、脱毛等のために使用することができる。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
【0028】
従って、一態様として、本発明は、上記式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する毛成長抑制剤を提供する。一実施形態として、本発明の毛成長抑制剤は、本質的に上記式(I)で表される化合物又はその塩から構成される。
【0029】
上記式(I)で表される化合物又はその塩(以下、式(I)化合物等)は、毛成長抑制のため、発毛又は育毛の抑制のため、あるいは除毛又は脱毛のための組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等として使用することができ、あるいはそれらの製造のために使用することができる。当該組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、毛成長抑制のため、発毛又は育毛の抑制のため、あるいは除毛又は脱毛のための有効成分であり得る。当該組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等もまた、本発明の範囲内である。
【0030】
上記医薬又は医薬部外品は、上記式(I)化合物等を有効成分として含有する。当該医薬又は医薬部外品は、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、経口投与でも外用剤等の非経口投与でもよい。例えば、経口投与形態としては、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投薬形態、ならびにエリキシロール、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与形態としては、注射、輸液、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、貼布剤等が挙げられる。
当該医薬又は医薬部外品は、好ましくは非経口形態であり得、より好ましくは皮膚外用剤の形態であり得る。
【0031】
上記医薬や医薬部外品は、上記式(I)化合物等を単独で又は組み合わせて含有していてもよく、さらに薬学的に許容される担体を組み合わせて含有していてもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、香料、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。また、当該医薬や医薬部外品は、当該式(I)化合物等の毛成長抑制作用が失われない限り、他の有効成分や薬理成分を含有していてもよい。
【0032】
上記医薬又は医薬部外品は、上記式(I)化合物等から、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や薬理成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該医薬又は医薬部外品における当該式(I)化合物等の含有量は、式(I)化合物の質量に換算して、通常0.0001〜10質量%であり、0.001〜5質量%とするのが好ましい。
【0033】
上記化粧料は、上記式(I)化合物等を有効成分として含有する。上記化粧料は、当該式(I)化合物等を単独で又は組み合わせて含有していてもよく、さらに化粧料として許容される担体を組み合わせて含有していてもよい。
斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、香料、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。また、当該化粧料は、上記式(I)化合物等の毛成長抑制作用が失われない限り、他の有効成分や化粧成分、例えば、保湿剤、美白剤、紫外線保護剤、細胞賦活剤、洗浄剤、角質溶解剤、メークアップ成分(例えば、化粧下地、ファンデーション、おしろい、パウダー、チーク、口紅、アイメーク、アイブロウ、マスカラ、その他)等を含有していてもよい。化粧料の形態としては、クリーム、乳液、ローション、懸濁液、フォーム、ジェル、パウダー、パック、シート、パッチ、スティック、ケーキ等、化粧料に使用され得る任意の形態が挙げられる。
好ましい例として、上記化粧料は、除毛又は脱毛作用を有するローション、乳液、クリーム、フォーム、ジェル、シート、顔又は身体用洗浄料等であり得る。
【0034】
上記化粧料は、上記式(I)化合物等から、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や化粧成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該化粧料における当該式(I)化合物等の含有量は、式(I)化合物の質量に換算して、通常0.0001〜10質量%であり、0.001〜5質量%とするのが好ましい。
【0035】
また本発明は、上記式(I)化合物等を投与することを特徴とする毛成長抑制方法を提供する。当該方法において、当該式(I)化合物等は、毛成長抑制のため、発毛又は育毛の抑制のため、あるいは除毛又は脱毛等のため、それらを必要とする対象に有効量で投与される。投与又は摂取する対象としては、動物、好ましくはヒト又は非ヒト哺乳動物、より好ましくはヒトが挙げられる。好ましい一態様として、本方法は、美容を目的として非治療的に行われる。
【0036】
好ましい投与量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、ヒトの皮膚に塗布する場合、投与量は、式(I)化合物の質量に換算して、成人1人(60kg)当たり、0.001〜100mg/日とすることが好ましく、0.01〜10mg/日がより好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0038】
製造例1 (-)-Antofine(化合物1)の調製
フナバラソウ(根、新和物産)850gに50%エタノール水溶液10Lを加え、室温で12日間、抽出を行った。抽出液をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、抽出物233.5gを得た。この抽出物を酢酸エチル/水による液々分配を行い、酢酸エチル画分32.1gを得た。次いで、酢酸エチル画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10→ヘキサン/酢酸エチル=0/100→100%メタノールグラジェント)により分画し、分画物1.51gを得た。この分画物をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム→メタノールグラジェント)により分画し、クロロホルム/メタノール=2/100〜クロロホルム/メタノール=10/100溶出画分を分取して濃縮し、(-)-Antofineを含む画分Aを62mg得た。
【0039】
画分Aの測定データは以下の通り。
1H-NMR(CDCl3,δppm):1.79(m, 1H), 1.93(m, 1H), 2.05(m, 1H), 2.26(m, 1H), 2.48(m, 1H), 2.51(m, 1H), 2.92(m, 1H), 3.36(dd, J=16, 3Hz, 1H), 3.48(m, 1H), 3.71(d, J=15Hz, 1H), 4.02(s, 3H), 4.07(s, 3H), 4.11(s, 3H), 4.70(d, J=15Hz, 1H), 7.21(dd, J=9, 3Hz, 1H), 7.31(s, 1H), 7.81(d, J=9Hz, 1H), 7.90(d, J=3Hz, 1H);MS:364[M+H]+.
[α]D27 -128.8°(c=0.10, CHCl3).
【0040】
試験例1 本発明化合物の抑毛効果
ヒト頭皮サンプルは0.1%ヒビテン液に1分間浸漬して消毒後、PBSにて洗浄した。その後、William E培地(Invitrogen)中、実体顕微鏡下にてピンセットとメスを用いて毛包を単離した。単離した毛包は、William E培地に2mM L-Glutamine(Invitrogen)、10μg/ml Insulin(Invitrogen)、40ng/ml Hydrocortisone(SIGMA)、1% Antibiotics-antimitotics(Invitrogen)となるように添加した培地中(24ウェルプレート、300μl)にて37℃、5% CO2条件下で培養した。化合物1の50%エタノール水溶液を、化合物1の最終濃度が100nM(36ng/ml)となるように培地に添加した。対照として、同量の50%エタノール溶液(Vehicle)を培地に添加した。
ヒト器官培養毛は、経時的に顕微鏡下で写真を撮影、同条件で撮影されたスケールを元に画像解析にて毛包の長さを算出した。画像解析はNewQube(version 4.0.3、Nexus)により実施し、初期値からの増加量を毛伸長量とした。
【0041】
結果を図1に示す。対照(Vehicle)群では、培養時間に従って毛包の伸長(毛成長)が観察された一方、化合物1を添加した群では、毛包の伸長が有意に抑制された。
【0042】
処方例
製造例1で得られたAntofineを有効成分として、下記に示す組成のローション、クリーム、エアゾール、パック剤、ファンデーション、化粧水、ジェルを常法により各々調製した。
【0043】
1.発毛抑制ローション
下記Aの成分を混合した溶液Aを調製した。これとは別に、下記Bの成分を混合した溶液Bを調製した。溶液Aに溶液Bを添加して均一に撹拌混合し、ローションを得た。

(組成) (配合:質量%)
A ポリオキシエチレン硬化ひまし油 0.8
エタノール 30.0
B Antofine 1.0
ドデシル硫酸ナトリウム 0.12
ドデシルメチルアミンオキシド 0.18
イソプロピルアルコール 15.0
ベンジルアルコール 15.0
グリセリン 2.0
精製水 残部
【0044】
2.発毛抑制クリーム
下記Aの成分を混合した溶液Aを調製した。これとは別に、下記Bの成分を混合した溶液Bを調製した。溶液Aに溶液Bを添加して均一に撹拌混合し、乳化後、冷却して、クリームを得た。

(組成) (配合:質量%)
A 流動パラフィン 10.0
スクワラン 7.0
ホホバ油 3.0
固形パラフィン 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
ソルビタンセスキオレエート 1.0
水酸化カリウム 0.1
B Antofine 1.0
グリセリン 3.0
エチルパラベン 0.1
精製水 残部
【0045】
3.エアゾール
下記Aの成分を均一に混合して容器に入れ、Bの液化石油ガス(噴射剤)を常法により容器に充填してエアゾールを製造した。

(組成) (配合:質量%)
A Antofine 1.0
セタノール 1.2
プロピレングリコール 4.0
エタノール 8.0
精製水 残部
B 液化石油ガス(噴射剤) 4.0
【0046】
4.発毛抑制パック剤
下記の組成のパック剤を常法により調製した。

(組成) (配合:質量%)
Antofine 3.0
ポリビニルアルコール 20.0
グリセリン 5.0
エタノール 16.0
香料 微量
色素 微量
精製水 残部
【0047】
5.ファンデーション
下記の組成のファンデーションを常法により調製した。

(組成) (配合:質量%)
Antofine 1.0
球状シリカビーズ 20.0
シリカ被覆セリサイト 45.0
超微粒子酸化チタン 10.0
黄酸化鉄 3.0
タルク 5.0
マイカ 5.0
ベンガラ 1.0
グンジョウ 1.0
パラベン 0.2
流動パラフィン 4.8
スクワラン 4.0
【0048】
6.発毛抑制化粧水
下記の組成の化粧水を常法により調製した。

(組成) (配合:質量%)
Antofine 5.0
グリセリン 15.0
ジプロピレングリコール 5.0
精製水 残部
【0049】
7.発毛抑制ジェル
下記の組成のジェルを常法により調製した。

(組成) (配合:質量%)
ポリアクリル酸 0.5
水酸化カリウム 0.15
グルカム 10.0
グリセリン 10.0
グリシンベタイン 3.0
Antofine 2.0
コハク酸 1.5
精製水 残部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2はいずれか一方が水素であり他方がメトキシである)
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する毛成長抑制剤。
【請求項2】
1がメトキシであり且つR2が水素である請求項1記載の毛成長抑制剤。
【請求項3】
請求項1記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する除毛又は脱毛用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−153661(P2012−153661A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14839(P2011−14839)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】