説明

毛穴を見え難くする化粧組成物及び方法

毛穴を見え難くする組成物及び方法が提供される。組成物はシリコーンエラストマーまたは水溶性もしくは水分散性ポリマー及び光散乱性粒子を基剤とし、特定した独特のレオロジープロフィルを有している。本発明の化合物及び方法は、毛穴定規によって測定したときに毛穴の見掛けを少なくとも約2階級、好ましくは少なくとも約4階級改善する。皮膚の自然な色調は維持したままで毛穴は目立たなくなりまたより小さく見えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の自然な色調を維持し、かつ、ねばつき感、べとつき感及び皮膚のつっぱり感を最小に抑制しながらも、皮膚の毛穴を化粧によって見え難くする化粧組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛穴を見え難くする化粧組成物、化粧品または化粧方法の最終目的は、消費者に満足を与えることである。多くの化粧品が顔面毛穴に有効であると宣伝している。しかしながら、どの程度の効果が得られたのかを判断することはしばしば難しく、また、たとえ効果が得られたとしても、このような効果には望ましくない官能効果が付随したりする。望ましくない官能効果は、ねばつき、べとつき、皮膚のつっぱりや、皮膚の不透明化、などである。
【0003】
シリコーンエラストマーと球形粒子とを併用して細い溝やしわを見え難くするメーキャップ化粧品は、欧州特許公開EP1136064Aに開示されている。米国特許US6,027,738は、シリコーン相溶性ビヒクルに分散したオルガノシリコーンエラストマーとシリコーン油基剤とを含有しているシリコーンゲルを含む無水メーキャップに関する。欧州特許公開EP0826364Aは、シリコーンエラストマーを含有している油性化粧パウダーを開示している。皮膚の自然な色調を維持しながらも、ねばつき、べとつき、皮膚のつっぱり、または、皮膚の不透明化もしくは白色化などの効果を与えることなく化粧によって毛穴を見え難くする商業的に適格な組成物が依然として要望されている。
【発明の開示】
【0004】
皮膚の自然な色調を維持しながらも目に見える毛穴のサイズを縮小する化粧組成物が開発された。本発明の組成物は、低い不透明度、低い光沢度、高剪断で比較的大きい法線力をもつ剪断ずり減粘レオロジーを特徴とする。本発明の組成物は、
(a)0.01−10%w/wの水基剤ポリマー、または、0.01−30%w/wの架橋ポリシロキサンエラストマーと、
(b)0.1−25%w/wの光散乱性粒子、即ち、分散した固体粒子と、
(c)化粧品に許容されるビヒクルと、
を含み、組成物が、
室温、1l/sの剪断速度で10Pa.s−100Pa.s、10,000l/sの剪断速度で0.01Pa.s−0.3Pa.sの粘度、
3%−6%の不透明度、
60度で10g.u.以下の光沢度、
10,000l/sの剪断速度で0.1N以下の法線力、
を有しており、毛穴定規で測定された顔面毛穴の見掛けが少なくとも2階級改善される。毛穴定規で測定された改善が少なくとも4階級という高い値になることもあり得る。
【0005】
本発明は、顔面毛穴を化粧によって見え難くする組成物及び方法を提供することによって、従来技術で満たすことができなかった要望を満たす。本発明の目的は、シリコーンエラストマーまたは水基剤ポリマーとその内部に分散した光散乱性粒子とを含む組成物である。組成物は、皮膚に塗布されるとその内部に構造をもつ層を形成し、毛穴定規(本文中で後記に定義)で測定した毛穴の見掛けを少なくとも2階級改善する。
【0006】
本発明組成物の特徴は、高剪断で比較的大きい法線力をもつ剪断減粘性レオロジーを有することである。ねばつき感が生じないように、本発明の組成物は、室温(25℃)、1l/sの剪断速度で10Pa.s−100Pa.sの粘度、10,000.1/sの剪断速度で0.01Pa.s−0.3Pa.sの粘度を有している。また、10,000l/sの剪断速度で法線力(F)は0.1N以下である。
【0007】
皮膚の自然な色調を強化するために、本発明の組成物は、3%−6%の不透明度を有している。組成物の光沢度は、60度で10g.u.(gloss unit)以下である。
【0008】
異なる指示がなければ、すべての量は最終組成物の重量を基準とする。
【0009】
本文中に使用した“含む”という用語は、包含する、から成立する、から構成された、から成る、及び/または、本質的にから成る、を意味する。
【0010】
本文中に使用した“皮膚”という用語は、顔、口、首、胸、背、腕、手、脚及び頭皮の外面及び内部の皮膚を包含する。
【0011】
本文中に使用した皮膚毛穴は、皮膚表面の開孔または凹みであると定義する。より具体的には、毛穴は皮脂腺の開孔である。毛穴は、皮膚に存在する微細開孔であり、油または皮脂が皮膚表面を潤滑し保護するための通路を提供する。腺は思春期に拡大し、これに伴って油の産生量が増加する。増加した量を処理するために毛穴が拡大したと消費者は報告しているが、毛穴をコントロールする真のメカニズムは現状では未だ解っていない。毛穴の全体的な見掛けは凹みの深さ、口径、及び、周囲の皮膚の色、肌理、及び、毛穴の周期性に依存する。
【0012】
ポリマー
皮膚に付着したときに毛穴を覆う皮膜層を形成するために本発明の組成物には皮膜形成ポリマーが使用される。
【0013】
エラストマーポリマー
本発明の第一の実施態様によれば、架橋シリコーンエラストマーが使用される。架橋シリコーンエラストマーは毛穴を覆う皮膜を形成して毛穴の見掛けを平坦にする。架橋シリコーンエラストマーはまた、皮膚に絹のような性質を与える。
【0014】
シリコーンエラストマーは、高度に架橋したシロキサンポリマー(架橋ポリシロキサンエラストマー)とシリコーン油とのブレンドである。供給元としては、GE Silicones(Waterford,NY)及びDow Corning(Midland,MI)がある。エラストマーは好ましくは、0.01−30%w/w、好ましくは1−10%w/wの量で含まれている。
【0015】
最も好ましくは、配合物中でエラストマーが均一に分散することを補助するために、エラストマーを追加のシリコーン油(シクロメチコーン及びジメチコーン)と組合せて含有させる。そのような場合にはシリコーン油が約0%−約80%の量で含まれる。油は更に皮膚に良好な感触を与えまた皮膚を緩和する。
【0016】
【表1】

【0017】
水基剤ポリマー
本発明の第二の実施態様によれば、皮膜形成ポリマーは、ある種の組成物で経験されるようなねばつき、べたつき及びつっぱりなどの感覚を最小にしながらも顔面毛穴を見え難くするように選択される。
顔面毛穴にあまりにも厚い皮膜が付着することを防ぐために、本発明の組成物は10%w/w以下の皮膜形成ポリマーを含有している。
【0018】
【表2】

【0019】
光散乱性粒子
本発明の光散乱性粒子は、最適に散乱するために、30マイクロメーター未満、好ましくは0.200−20マイクロメーターの粒度をもつ球形または非球形の粒子でよい。この光散乱性粒子は、顔料、マット剤または充填剤でよい。金属酸化物(例えば、二酸化チタン)、鉱物酸化物(例えば、シリカ、マイカ(例えば、チタン被覆マイカ)、タルク)、ナイロン、及び、ポリメチルメタクリレートクロスポリマー(例えば、GANZPEARL銘柄、PMMA)が適当な光散乱性粒子の例である。粒子は、表面被覆または表面処理されていてもよい。
【0020】
化粧組成物中の光散乱性粒子の量は、個々の材料の光散乱特性次第で、好ましくは0.1−25%w/w、より好ましくは0.5−10%w/w、最も好ましくは1−5%w/wの範囲である。光散乱性粒子及びポリマーは、光散乱性粒子対ポリマーが1:10000−10000:1、好ましくは10:1−1:100となる重量比で組成物中に存在する。
【0021】
光散乱性粒子は水分散性または油分散性でよい。例えば、本発明による水分散性二酸化チタンは微粒子化二酸化チタンであり、その粒子は被覆されていないか、または、粒子に親水性表面特性を与える材料で被覆されている。このような材料の例は酸化アルミニウム及びケイ酸アルミニウムである。本発明による油分散性二酸化チタンは微粒子化二酸化チタンであり、その粒子は疎水性表面特性を示す。
【0022】
【表3】


【0023】
任意成分
多様な種類の有効成分が本発明の化粧組成物中に存在し得る。有効成分とは、皮膚緩和剤以外及び組成物の物理的特性を改善するだけが目的の成分以外の皮膚または頭髪に有益な物質であると定義される。一般的な例としては、日光遮蔽剤、皮膚明色化剤、日焼け剤、ナイアシンアミド、ビタミン及び抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0024】
日光遮蔽剤は、常用の紫外線遮断物質を含む。代表的な化合物は、パラアミノ安息香酸(PABA)誘導体、ケイ皮酸塩及びサリチル酸塩である。例えば、オクチルメトキシシンナメート及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られる)を使用できる。オクチルメトキシシンナメート及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンはそれぞれ、パルソールTMMCX及びベンゾフェノン−3TMという商標で市販されている。日光遮蔽剤の正確な使用量は、太陽の紫外線に対する所望の防御度次第で変更できる。
【0025】
別の好ましい任意成分は、必須脂肪酸(EFA)類、即ち、すべての細胞の原形質膜形成に必須である脂肪酸から選択される。ケラチノサイト中でEFAが欠乏すると細胞が増殖過剰性になる。これはEFAの補給によって是正される。EFAはまた、表皮の脂質生合成を増進し、表皮の障壁形成用脂質を供給する。必須脂肪酸は好ましくは、リノール酸、ガンマ−リノレン酸、ホモ−ガンマ−リノレン酸、コロンビン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、ガンマ−リノレン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸及びそれらの混合物から選択される。
【0026】
その他の任意成分は、ハーブエキス、抗酸化剤、着色料及び香料を含む。これらの材料の量は0.001−20%w/wまでの範囲内のいずれかの値でよい。
【0027】
油中水型または水中油型のエマルジョンを形成するために油または油性材料が乳化剤と共に存在してもよいが、これは主として、使用される乳化剤の平均親水−親油バランス(HLB)次第である。
【0028】
化粧品に許容されるビヒクル
本発明の組成物はまた、組成物中の有効成分の希釈剤、分散剤または担体として作用するために化粧品に許容されるビヒクルを含み、これらは、組成物を皮膚または頭髪に塗布したときに組成物の分配を促進する。
【0029】
水に代替または付加されるビヒクルは、液体または固体の皮膚緩和剤、溶媒、保湿剤、増粘剤及び粉末を包含する。特に好ましい非水性担体は、ポリジメチルシロキサン及び/またはポリジメチルフェニルシロキサンである。その他の好ましい非水性担体は、オクタメチルシクロテトラシロキサンまたはデカメチルシクロペンタシロキサンのような環状ポリジメチルシロキサンである。本発明のシリコーンの粘度は、25℃で10−10,000,000センチストークスの範囲内のいずれかの値でよい。低粘度シリコーンと高粘度シリコーンとの混合物が特に望ましい。これらのシリコーンは、General Electric Companyから商標VicasilTM、SE及びSF、Dow Corning Companyから200及び550シリーズで入手可能である。本発明の組成物中に使用できるシリコーンの量は、5−95%w/wの範囲内のいずれかの量でよい。
【0030】
皮膚に湿潤効果を与えるために本発明の組成物に保湿剤を含有させてもよい。適当な保湿剤は多価アルコールであり、その非限定例はグリセロール(別名グリセリン)である。本発明で添加できるグリセリン以外の保湿剤としては、ソルビトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシル化グルコース及びヘキサントリオールが挙げられる。グリセロール及びソルビトールのような保湿剤は、皮膚、頭皮及び頭髪に対する優れた湿潤剤として知られている。例えば、国際特許WO9111171、WO9219216、WO9219275及び米国特許5,858,340参照。
【0031】
これらの成分の湿潤能力は濃度依存性である。本発明の組成物が保湿剤を含むとき、保湿剤は少なくとも1%w/wの濃度で含まれる。皮膚に対する湿潤効果及び組成物に対する可塑化効果を最適にするために、保湿剤の濃度は一般には1−99%w/w、好ましくは1−15%w/wの範囲である。最も好ましい保湿剤は、廉価で効力が高いという理由でグリセロール及びソルビトールである。
【0032】
水基剤の本発明の組成物中では、増粘剤は任意成分であるが、存在するのが好ましい。増粘剤は本発明の組成物中に約2%w/wまでの量で使用される。適当な増粘剤の例を以下の表に挙げる。
【0033】
【表4】

【0034】
水基剤の本発明の組成物中で中和剤は任意成分であるが、脂肪酸を中和し、これによって粘度を向上させてエマルジョン構造を安定化するために含有させるのが好ましい。適当な中和剤の非限定例は、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、及び、アミノメチルプロパノールエタノールアミンである。中和剤は好ましくは、0−約5%w/w、極めて好ましくは0.05−1%w/wの量で含有される。
【0035】
組成物の使用
本発明の組成物の所期の用途は主として、特に顔面皮膚の毛穴を見え難くする補佐物質としてヒトの皮膚に外用塗布する製品である。
【0036】
使用に際しては、少量、例えば1−5ml(ミリリットル)の組成物を適当な容器またはアプリケーターから皮膚または頭髪の露出領域に塗布する。必要ならば次いで手、指または適当なデバイスを使用して皮膚または頭髪に塗り拡げたり及び/または擦り込んだりする。
【0037】
本発明によれば、本発明の組成物は一回の塗布後に顔面皮膚の毛穴を毛穴定規で測定して少なくとも2階級見え難くする。
【0038】
本発明の組成物を本発明方法に従って塗布する前及び塗布した後の毛穴サイズの見掛けを客観的に測定する実験法として毛穴定規測定法を使用した。毛穴サイズの見掛けの客観的測定法として毛穴定規法をどのように開発し使用したかについて以下により詳細に説明する。
【0039】
毛穴定規
毛穴定規は、顔面皮膚の毛穴の状態を客観的に判定する、及び/または、長期間にわたって塗布した化粧組成物の経過または有効性を測定する検査デバイスである。
【0040】
毛穴定規デバイスの基礎は、消費者の視認に適した臨床的評価スケールの設定である。従って、毛穴定規デバイスは、消費者が視認できる臨床的に有用な顔面毛穴の評価ツールである。このデバイスは、消費者による自己評価または美容師もしくは販売員による評価のために使用できる。
【0041】
毛穴定規の基礎は、ヒトの皮膚の1つの領域の毛穴の性質を客観的に評価するために実験によって得られたスケールである。毛穴定規デバイスの基礎は9点スケールである。毛穴定規を開発するために本質的に以下の段階を要した。
1.写真撮影
2.分類
3.分類したデータの分析
4.像の選択
5.毛穴定規試案の消費者による検証。
【0042】
1.写真撮影
【0043】
100名の日本女性を対象者とし、同じ照明条件下、同じ撮影設定でデジタルカメラを使用して写真撮影した。女性たちには写真撮影の前に顔のメーキャップを落とすように依頼した。対象者の各々について、左横顔、正面及び右横顔の3つの角度の写真を撮影した。次に、デジタル像をCD−Rに書込み、Codonics(登録商標)カラープリンターでA4サイズの印画紙に一様にプリントした。プリンターの設定値はBARCO(登録商標)校正カラーモニターで観察したときに像の色に緊密に適合する最適の値に設定した。
【0044】
対象者の身元が識別できないように目をグレイアウトしておくのが好ましい。無関係な顔面構造の変化に惑わされないで毛穴の性質が容易に比較できるように1つの顔面の毛穴の像を変換するのがいっそう好ましい。
【0045】
2.分類
【0046】
プリントした100枚の写真を(アメリカ人及び日本人の判定人が)視認毛穴サイズの小さい順に、または、“目立つ毛穴”の数が増えていく順に9個の箱に分け入れた。この作業には6名のアメリカ人と3名の日本人が参加し、作業を完了するために判定人1名あたり約1.5−3時間を要した。判定人らは分類を遂行するために多数の方法の1つを採用した。少数の判定人らは先ず写真の山を3つの箱(即ち、低、中、高)に分け、これらの箱の各々を更に細かく分類し9個の箱に分け入れる最終結果に到達した。残りの判定人らは最初に両極端の視認毛穴サイズ状態の写真を確定し、中間にある写真の順序を順々に確定した。どの方法を採用するかにかかわりなく、判定人らは、9個の箱が常に視認毛穴サイズの違いを表すという結果を出すように指示された。判定人らは更に各箱について、その箱の中で最も代表的な写真を一枚確定するように依頼された。
【0047】
3.分類データの分析
【0048】
1つの“毛穴箱”の中味の判定は約90%の判定人が一致した。定規の次の開発段階は像の選択である。
【0049】
4.像の選択
【0050】
毛穴定規の像の選択は以下の段階から構成された。
1.各箱の“代表”像を選択する(毛穴定規試案)
2.異なる判定人の選択像が高度に一致する(標準偏差が小さい)
3.隣接する箱間の差が等しくなるような像を選択する
4.一致に達するまで日本人及びアメリカ人の判定人が上の作業を繰り返す。
【0051】
参照によって本発明に含まれる同時係属米国特許出願No.10/606,390の図1は、9個の像を有している毛穴定規を表す。毛穴定規の像は一連の毛穴状態を撮影しており、これらは日本人消費者の顔面の代表的な毛穴である。
【0052】
5.毛穴定規試案の検証
【0053】
定規の開発の次の段階は、毛穴定規試案の消費者による検証であった。これは2段階を含んでいた。第一段階では臨床医が定規を検証した。この検証の結果、臨床医による毛穴定規像のランク順序が日本人及びアメリカ人の判定人のランク順序と同じであった。
【0054】
検証プロセスの次の段階では、実験参加経験のない日本人消費者に像を見せて像のランク順序を決定させた。55名の日本人消費者(年齢:20−55、女性)に視認毛穴サイズの小さい順に写真をランク付けするように依頼した。消費者による像のランク付けは臨床医と同じ順序であった。二枚ずつ一対にした写真の各対の間には95%という有意義な差が存在していた。
【0055】
定規の1階級の改善は消費者及び専門家判定人の双方が容易に識別できるので適切であると考えられる。
【0056】
上記の結果は、毛穴定規が消費者に視認できる定規であり、また、毛穴の目視評価試験にも客観的に使用できることを示す。
【0057】
製品形態及び包装
組成物はその粘度及び消費者用途に適合する適当な容器に包装できる。例えば、組成物をそれぞれ蓋付きのつぼまたはチューブのような非変形性のボトルまたは搾り出し容器に容易に保存できる。
【0058】
従って本発明はまた、本文中に定義した化粧品に許容される組成物を収容している閉鎖容器を提供する。
【0059】
簡単な診断用毛穴定規デバイスと共に包装された化粧組成物を含む化粧品システムが本発明の別の実施態様である。
【0060】
以下の特定実施例は本発明をより詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0061】
後出の表5に示した配合物を以下の手順を使用して調製した。
【0062】
調製はいずれもオーバーヘッドミキサー(1000rpm)を使用して室温(25℃)で行った。
【0063】
後出の表5の組成は、入手したサンプルのパーセンテージでなく有効成分のパーセンテージで示されている。例えば実施例1では、70重量%のDow Corningの9040 Silicone Elastomer Blendを使用した。この材料は12−13重量%のシリコーンエラストマーポリマーと87−88重量%のシクロペンタシロキサンとから成り、後者はDow Corning 245 Fluidに等しい。従って、実施例1の配合物のシリコーンエラストマーポリマーの含量は8.75重量%であり、シクロペンタシロキサンの含量は61.25重量%である。
【0064】
組成物1−3
Dow Corningの9040 Silicone Elastomer BlendとDow Corning 200 Fluidとを合せ、オーバーヘッド機械的撹拌器を使用して均質になるまで撹拌することによって配合物1、2及び3を調製した。微粒添加剤をゆっくりと混ぜ入れ、次いで滑らかで均質な分散液が得られるまで20分間以上撹拌した。
【0065】
組成物4
オーバーヘッドミキサーを使用してCarbopolTM ETD2020を水に分散させた。この場合にはNeosilTM CT11から成る微粒添加剤をゆっくりと加えて混合物を高剪断で20分間均質混合した。次にNaOH溶液を使用して分散液のpHを5よりも高い値に調整した。最後に、SilsoftTMの表面皮膜形成剤を添加し、オーバーヘッドミキサーを使用して滑らかで均質な分散液が得られるまで混合物を均質混合した。
【0066】
組成物5
RhodopolTM 23粉末を1,3−ブチレングリコールに分散させ、次いで撹拌しながら水をゆっくりと加えた。濃度2重量%のRhodopolTM 23、濃度5重量%の1,3−ブチレングリコール及びバランス量の水から成る均質分散液が得られた。完全配合混合物中のRhodopolTM 23の濃度が0.50重量%になるために十分な量でこの分散液を混合容器に加えた。水とグリセロールとを添加し、オーバーヘッド機械的撹拌器を800rpmで使用してRhodopolTM 23が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。この時点で凝固防止のためにNeosilTM CT11をゆっくりと添加し、オーバーヘッド撹拌器を使用して分散液を均質混合した。最後に、FlexanTM II粉末を添加し、配合物を均質になるまで撹拌した。
【0067】
組成物6
StylezeTM CC−10、グリセロール及び水を混合容器に充填し、オーバーヘッド機械的撹拌器で均質になるまでゆっくりと撹拌した。CelquatTM 230M粉末を加えて溶解させた。NeosilTM CT11を添加し、分散液を滑らかで均質になるまでオーバーヘッド撹拌器で撹拌した。
【0068】
組成物7
オーバーヘッド機械的撹拌器を使用してCarbopolTM ETD2020を水に分散させ、次いで微粒二酸化チタンMT−100SAを加えて十分に分散するまで撹拌した。pHが約6になるまで水酸化ナトリウム溶液を加えてCarbopolTM ETD2020を中和することによって分散液の粘度を向上させた。AvalureTM AC120を添加し、得られた分散液を均質になるまで混合した。
【0069】
組成物8、9、11
配合手順は組成物1−3と同じ。
組成物10
配合手順は組成物6と同じ。
【0070】
後出の表6の物理的特性によって示されるように、表5の組成物1−5は本発明の範囲内、組成物6−11は本発明の範囲外である。表6はまた、Polaから提供されている1種類の市販組成物とShiseidoから提供されている2種類の市販組成物とのデータも含む。
【0071】
組成物の光学特性及びレオロジー特性は以下の手順に従って測定した。
不透明度
製品塗膜の不透明度を測定するためにHunterlab LabScanTM XE全自動分光光度計を使用した。真空プレートに配置したLenetaTM Form 2A不透明度試験チャートに塗膜を形成し、8パス型の湿潤皮膜アプリケーターを使用して2mil即ち50.8μmの湿潤厚さの皮膜を形成した(装置はいずれもPaul N.Gardner Co.,Pompano Beach,Floridaの製品)。この湿潤皮膜の膜厚は臨床試験の皮膜の膜厚の近似値になるように選択した。臨床試験では約2平方インチ、即ち1290mmに75μLを塗布したが、これは湿潤皮膜の膜厚58μmに相当する。不透明度を測定する前に塗膜を風乾した。
【0072】
不透明度の値は、試験チャートの黒色領域の塗膜のY値を白色領域のY値で除算して100%を乗算した不透明度パーセントとして記録した。Y値はHunterlab計器によって測定したCIE Tristimulus Y座標である。塗膜が完全に透明であるときは不透明度が0%であり、完全に不透明であるときは不透明度が100%である。
光沢度測定
製品塗膜の鏡面光沢は市販の光沢計Rhopoint20度/60度/85度Novo−GlossTM Statistical Glossmeter(Rhopoint Instrumentation,Ltd.,United Kingdom)を使用して測定した。鏡面光沢は製品皮膜の輝度の尺度である。国際標準では鏡面光沢を、特定の光源及び受容角度のときに屈折率1.567のガラスから正反射方向に反射された光束に対する物体から正反射方向に反射された光束の比であると定義している。
【0073】
光沢度スケールの定義としては、20度、60度及び85度の反射角におけるn=1.567の研磨黒色ガラスの光沢度を100グロスユニットとするという取決めがある。使用した光沢度計に2つの校正標準を配備した。一方は60度で光沢度0グロスであり、他方は93.2g.u.という高い光沢度である。反射角60度のときにサンプル間の光沢度の差が最大であったので、以後の測定はすべてこの角度で行った。
【0074】
不透明度測定と同様の手順を使用して不透明度試験チャートに塗布した皮膜の光沢度測定を行った。
【0075】
レオロジー測定
組成物のレオロジーは制御歪流動計(ARES,Rheometric Scientific,Piscataway,NJ)を使用して測定した。使用した試験幾何学形は、サンプル間ギャップ厚み100μmの25mm径の平行プレートであった。この幾何学形に使用できる剪断速度は回転速度及びサンプル間ギャップ厚みに依存する。100μmのギャップの場合、10,000−100,000l/sの剪断速度を使用できる。すべての測定は25℃で行った。
【0076】
少量のサンプルをプレート間に置き、厚さ100μmに圧迫した。平行プレートを互いに接近させるときにサンプルに作用した最大の力を制御する強制ギャップ試験モードを使用した。再現性を上げるために、プレート縁端の余剰のサンプル材料を除去した。
【0077】
サンプルを最初に剪断速度1l/sで剪断した。剪断速度を10,000l/sまで対数段階的に増加させ(10毎に1段階、各段階に約30秒)、サンプルの粘度及び法線力を記録した。測定の終了後、法線力を基底値に補正した。1l/s及び10,000l/sにおける粘度の値、及び10,000l/sにおける法線力の値をサンプルの特性値とした。
【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【実施例2】
【0080】
毛穴サイズの見掛けに対する組成物1−11、及び、Pola製品とShiseido製品との効果を上述の毛穴定規法を使用して官能パネルで評価した。組成物の塗布後30分以内に評価を行った。毛穴定規の階級変化を一般には脱イオン水の塗布に比べて評価した。いくつかの場合には、ポリマー及び微粒子を含まない配合物である配合ビヒクルに比較して、または、他の配合物に比較して評価した。試験組成物に引用したP値は、試験組成物の比較の対象とした製品を基底としたとき、被験組成物では基底からの母集団平均変化が0であるという帰無仮説に関連する。
【0081】
【表7】

【0082】
この実施例から、本発明の範囲内の組成物が毛穴定規に基づいて測定したときに少なくとも約2階級改善の程度まで毛穴サイズの見掛けを縮小することが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.01−30%w/wの架橋ポリシロキサンエラストマーと、
(b)0.1−25%w/wの光散乱性粒子と、
(c)化粧品に許容されるビヒクルと、
を含み、組成物が、
室温、1l/sの剪断速度で10Pa.s−100Pa.s、10,000l/sの剪断速度で0.01Pa.s−0.3Pa.sの粘度、
3%−6%の不透明度、
60度で10g.u.以下の光沢度、
10,000l/sの剪断速度で0.1N以下の法線力、
を有しており、組成物が、毛穴定規で測定された顔面毛穴の見掛けを少なくとも2階級改善する化粧組成物。
【請求項2】
組成物が更にシリコーン油を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エラストマーが組成物の1%−10%の量で存在する請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)0.01−10%w/wの水基剤ポリマーと、
(b)0.1−25%w/wの光散乱性粒子と、
(c)化粧品に許容されるビヒクルと、
を含み、
組成物が、
室温、1l/sの剪断速度で10Pa.s−100Pa.s、10,000l/sの剪断速度で0.01Pa.s−0.3Pa.sの粘度、
3%−6%の不透明度、
60度で10g.u.以下の光沢度、
10,000l/sの剪断速度で0.1N以下の法線力、
を有しており、組成物が、毛穴定規で測定された顔面毛穴の見掛けを少なくとも2階級改善する化粧組成物。
【請求項5】
前記ポリマーが組成物の1−10重量%の量で存在する請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
光散乱性粒子が、二酸化チタン、チタン被覆マイカ、シリカ、タルク、PMMAクロスポリマー、ナイロン、微晶質セルロース、及び、それらの混合物から成るグループから選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
光散乱性粒子が、チタン被覆マイカ、シリカ、PMMAクロスポリマー、及び、それらの混合物から成るグループから選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記光散乱性粒子が組成物の0.5−10重量%の量で存在する請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記光散乱性粒子が30マイクロメーター未満の粒度を有している請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
更に、2%w/wまでの量の増粘剤を含む請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に塗布する処置を含む皮膚の毛穴を見え難くする方法。
【請求項12】
顔面毛穴が毛穴定規で測定して少なくとも4階級改善される請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2007−510691(P2007−510691A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538789(P2006−538789)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012750
【国際公開番号】WO2005/048958
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】