説明

毛髪のパーマ方法及びこれに使用する装置

【課題】毛髪のパーマ方法において、毛髪にダメージを与える要因を低減すると共に、効果的なパーマネントが可能なパーマ方法とこれに使用する装置を提供する。
【解決手段】毛髪を複数分割してロッドに巻き付ける工程と、このロッドを加圧用ケースに挿入する工程と、該加圧ケースの一端側に設けた逆止弁を介して薬液を注入する工程と、前記加圧ケースの他端側の注入口から圧力ガスを段発的に注入する工程とから構成され、ガスの加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させる。この方法を実施するために、毛髪を複数分割して巻き付けたロッドを着脱自在に挿入し、開閉可能な円筒形状の圧力ケース本体と、このケース本体の長手方向の一端側に設けられた逆止弁と、他端側に設けられた注入口と、前記円筒形状の加圧ケースの長手方向側面に連設して設けられた毛髪挟み部と、該毛髪挟み部に設けられた樹脂製の弱密着部材とから構成される装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のパーマ方法及びこれに使用する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のストレートパーマやウエーブパーマの処理技術は、洗髪を行なった毛髪全体にコールド液等の軟化剤を塗布乃至含浸させて軟化処理を施した後、毛髪全体を複数等分に分割し、その分割した毛髪に熱処理、またはコーミング処理、或いはクリーム状の物質を塗布したり、またその分割した毛髪にロッドを巻き、次にコールド液等の硬化剤を塗布乃至含浸させて硬化処理を施し、所定の時間経過後ロッドを取り外し、最後に温湯リンス処理等を施すことによってストレートパーマーやウエーブパーマ処理を行なうものが中心であった。
【0003】
即ち、上記従来の処理技術は、毛髪に2種類のコールド液を含浸させることによって毛髪の硬度を変化させ、その過程に毛髪に熱処理、またコーミング処理、或いはクリーム状の物質を塗布したり、またその分割した毛髪をロッドに巻回させるものであり、毛髪にコールド液を充分含浸させるためは一定の時間放置する必要があるが、あまり長時間放置すると毛髪がコールド液によって損傷を受ける虞があるため、必然的に時間を短縮しているためストレート、ウエーブ処理の効果が長持ちしないという問題があった。
【0004】
そのため、現在スチームや加熱装置又は加熱ロッドを使った、毛髪へのコールド液の含浸又は浸透を促進する技術が各種商品化されて使用されている。しかしながら、この加熱によるコールド液の含浸又は浸透技術は、毛髪のダメージに直接繋がるものであり、しかも加熱の際に毛髪に対して加熱ムラが生じるためコールド液の含浸又は浸透が一定しないという問題があり、これに替わる技術が期待されている。
【0005】
そこで、例えばくせ毛、縮毛等に均一な圧力を加えることにより、毛髪指数を100に近ずける毛髪矯正方法およびそれに使用する装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【0006】
また、ヘア全体を複数等分に分割し、その分割したヘア全体に所定の圧力を加えることにより加圧処理を行なうヘアの処理方法と処理装置もあった(特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−309012号公報
【特許文献2】特開平6−178707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の毛髪矯正方法は、くせ毛や縮毛の毛髪係数を100に近ずけるために加圧子によって毛髪を側面から加圧させるものであり、通常のウエーブパーマ等に使用できる技術ではなかった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載された技術は、ローラ面を対向させて配置した複数のローラによる加圧装置によって、複数等分に分割したヘアに物理的な圧力を加えてヘアの断面を楕円形状に変形させ、この楕円形状から円形に復元する過程にパーマ液による処理を行い、パーマ液のヘアへの浸透効果を高めるものであるが、従来のパーマ処理技術に加えてさらに特殊な装置を使って加圧処理を行なう必要があり、作業者の負担が増え、しかも多額の投資が必要となるという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、現在使用されているロッドをそのまま利用して、簡単な構造の加圧ケースに投入してセットして加圧するだけで、パーマに使用するコールド液等の薬液を効果的に毛髪に含浸又は浸透させることができるパーマ方法及びこれに使用する装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため本発明の毛髪のパーマ方法は、毛髪を複数分割してロッドに巻き付ける工程と、このロッドを加圧用ケースに挿入する工程と、該加圧ケースの一端側に設けた逆止弁を介して薬液を注入する工程と、前記加圧ケースの他端側の注入口から圧力ガスを段発的に注入する工程とから構成され、ガスの加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させること第一の特徴とする。
【0012】
また、本発明の毛髪のパーマ方法に使用する装置は、毛髪を複数分割して巻き付けたロッドを着脱自在に挿入し、開閉可能な円筒形状の加圧ケース本体と、このケース本体の長手方向の一端側に設けられた逆止弁と、他端側に設けられた注入口と、前記円筒形状の加圧ケースの長手方向側面に連設して設けられた毛髪挟み部と、該毛髪挟み部に設けられた樹脂製の弱密着部材とから構成され、この弱密着部材を介して毛髪を挟んで前記ロッドを挿入固定し、前記逆止弁を介して薬液を注入可能とし、また他端側に設けられた注入口から圧力ガスを注入することを第二の特徴とする。
【0013】
上記の加圧ケースの一端側に設けた逆止弁から注入される薬液は、パーマ方法に使用されるコールド液ばかりでなく、リンス液や温水など適宜選択されるものであり、また他端側の注入口を開放するか、或いは吸引させることによって、前記の薬液を排出することができる。そして、予め薬液を塗布した毛髪をロッドに巻きつけて前記加圧ケースに挿入することもできる。
【0014】
また、上記加圧ケースは透明もしくは半透明の合成樹脂から形成されており、耐薬品性及び耐圧性に優れるものが選択される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る毛髪のパーマ方法によれば、毛髪を複数分割してロッドに巻き付ける工程と、このロッドを加圧用ケースに挿入する工程と、該加圧ケースの一端側に設けた逆止弁を介して薬液を注入する工程と、前記加圧ケースの他端側の注入口から圧力ガスを段発的に注入する工程とから構成され、ガスの加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させるため、加熱による毛髪のダメージを受けることなく、短時間でパーマ及びトリートメント等に使用する薬液を毛髪に含浸及び浸透させることができる。
【0016】
また、本発明の毛髪のパーマ方法に使用する装置は、毛髪を複数分割して巻き付けたロッドを着脱自在に挿入し、開閉可能な円筒形状の加圧ケース本体と、このケース本体の長手方向の一端側に設けられた逆止弁と、他端側に設けられた注入口と、前記円筒形状の加圧ケースの長手方向側面に連設して設けられた毛髪挟み部と、該毛髪挟み部に設けられた樹脂製の弱密着部材とから構成されているため、構造がシンプルであると同時に操作が簡単であり、また高価な装置を必要としないため安価であるという優れた効果を有する。
【0017】
そして、前記加圧ケースの毛髪挟み部には樹脂製の弱密着部材が設けられており、ロッドを挿入して毛髪を挟んだ状態で加圧ケースを封止しても完全には密閉されない状態であるため、前記注入口から圧力ガスを段発的に注入する際に微小のガス漏れを生じたまま加圧され、加圧ケースを破損することなく、しかも挿入されたロッド全体に圧力ガスによる加圧を加えることが可能となり、毛髪全体に均一な圧力を与えることができ、この圧力によって毛髪にパーマに使用する薬液を含浸又は浸透させることができるという優れた効果を有する。
【0018】
しかも、加圧ケース内でパーマに使用する薬液を塗布又は水洗等の作業を行なうことが可能であり、薬液が毛髪以外の周辺に飛び散る虞やもなく、また使用する薬液の量を一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づく実施例にて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は従来のパーマ方法の工程を説明するフローチャート、図2は本発明のパーマ方法の工程を説明するフローチャート、図3は本発明のパーマ方法に使用する装置を示す斜視図、図4は図3のA−A線断面説明図、図5は本発明のパーマ方法に使用する装置の使用例を示す図である。
【実施例】
【0020】
(従来のパーマ方法)
図1は従来のパーマ方法の工程を示しており、まずお客様から毛髪の状態を聞きながら毛髪の診断の診断を行なう(ステップS1)。次にシャンプーを使用して毛髪の前洗いを行なう(ステップS2)。そして1剤のコールド液をむらなく浸透させるために、予め痛んだ毛髪の処理を行なう(ステップS3)。次に1剤のコールド液を毛髪に塗布する(ステップS4)。コールド液を塗布された毛髪をスライスして一定の量握りロッドに巻く(ステップS5)。ロッドに巻かれた毛髪に対してさらに1剤のコールド液を丁寧に付ける(ステップS6)。この状態でコールド液が不要に蒸発することがないようにキャップをして15乃至20分間放置する(ステップS7)。ここでコールド液の浸透状態を確認し(ステップS8)、酸リンスによってアルカリ除去を行なう(ステップS9)。1剤で処理した毛髪に2剤のコールド液を十分に塗布し(ステップS10)、さらに15〜20分間放置するステップS11)。最後に毛髪からロッドを外して十分に温湯リンスを行い(ステップS12)セットする。
【0021】
上記の工程によって多くの美容院等で従来のパーマが行なわれており、全ての工程に約1時間程度かかっている。また、2剤のコールド液の浸透は1剤と比較して緩やかであるため、複数回に分けて塗布する必要があり、作業者の負担であった。
【0022】
(本発明のパーマ方法)
次に、図2に従って本発明のパーマ方法について説明する。 図2は本発明のパーマ方法を示すフローチャートであり、ステップS21〜ステップS24は上記従来のパーマ方法のステップS1〜ステップS4と同等であるため説明は省略する。
【0023】
まず1剤のコールド液を塗布した毛髪を所定の大きさのロッドに巻きつけ、後述する加圧ケースの中に装着する(ステップS25)。ここで、加圧ケースは軸方向回りに回転して開閉可能とされ、その長手方向側面に設けられた毛髪挟み部にはシリコーンゴム等の弱密着シートが対向して取り付けられており、このシリコーンゴムによってロッドに巻きつけた毛髪の元部が挟持される。次にこの加圧ケースの側端の注入口からコンプレッサー等の加圧装置からの段発的な加圧空気を供給することによって、加圧ケース内を加圧する(ステップS26)。尚、加圧時間は5〜10分間とする。この加圧処理によって、ロッドに巻きつけた毛髪に対して均一な圧力をかけることが可能となり、ステップS24で塗布したコールド液を毛髪の内部まで短時間で含浸及び浸透させることができる。
【0024】
次にコールド液の浸透状態を加圧ケースを介して確認し(ステップS27)、酸リンスによってアルカリ除去を行なう(ステップS28)。尚、この時点で上記加圧ケースを開放する必要はなく、加圧ケースの他端に設けられた逆止弁から酸リンスを注入することによって、加圧ケース内部で毛髪の水洗も可能である。そして、アルカリ除去された毛髪にさらに2剤のコールド液を塗布して(ステップS29)、再度加圧する(ステップS30)。この際、前記ステップS28と同様に逆止弁から2剤のコールド液を注入することも可能であり、圧力ケースの中で加圧によって2剤のコールド液を含浸及び浸透させることができる。尚、加圧時間は前回と同様5〜10分間とした。この加圧による2剤の毛髪への浸透を行なうことによって、短時間で浸透作業を行なうことが可能となる。
【0025】
2剤のコールド液の浸透が終了すると、加圧ケースからロッドを取り出し、毛髪をロッドから外した後十分に温湯リンスを行い(ステップS31)セットを行なう。
【0026】
上記の工程からなる、本発明のパーマ方法によればガス(空気)の加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させるため、加熱による毛髪のダメージを受けることなく、短時間でパーマに使用する薬液を毛髪に含浸及び浸透させることができる。
【0027】
次に、本発明のパーマ方法に使用する装置を図面に従って詳細に説明する。
【0028】
図3は本発明のパーマ方法に使用する装置の斜視図、図4は、図3の側面説明図を示しており、図に示すように本発明の装置である加圧ケース1は、透明の合成樹脂で円筒状に成形されたケース本体2は上下1対の略半円筒体からなり、軸方向側面部に設けられたヒンジ3回りに開閉可能とされ、毛髪を巻き付けたロッド4を挿入して嵌合部(図示せず)によって嵌合して封止可能とされている。そしてヒンジ3と対向する軸方向側面部には毛髪挟み部5がケース本体に連設して上下対向して設けられ、この毛髪挟み部5の対向する面にはシリコーンゴムからなる弱密着部材6がそれぞれ貼着され、ロッド4に巻き付けた毛髪の元部を挟持し、後述する加圧ガスによる加圧時に微小のガス漏れを生じる。
【0029】
またケース本体2の長手方向端部には、注入口7と他端部には逆止弁8が夫々設けられ、後述する圧縮ガスによるガスの注入と、パーマ液等の注入及び排出を可能とする。そして、ケース本体2の上下1対の略半円筒の当接部には気密用のOリング9が設けられ、加圧の際の不用なガス漏れを防止する。
【0030】
図5は、本発明のパーマ方法に使用する装置の使用例を示しており、上述した本発明のパーマ方法におけるステップS25の時点を示している。図に示すように、パーマを受ける人の毛髪10をパーマ用ロッド4に巻き付け、加圧ケース1に挿入して毛髪の元部を毛髪挟み部5で挟んだ状態で封止し、側端部の注入口7にチューブ11の一端を接続し、他端をコンプレッサー12と接続している。
【0031】
この状態から、コンプレッサー12の段発的な加圧によって圧縮されたガス(空気)がチューブ11を介して加圧ケース1内に供給され、微量なガス漏れを生じながら加圧ケース1内を加圧し、ロッド4に巻き付けられた毛髪10を周囲から均一な圧力で加圧する。この際、逆止弁8は加圧ケース1内が加圧されているため、封止された状態であり、また毛髪10には予めパーマ用の1剤であるコールド液が塗布されており、毛髪10の内部に急速に含浸又は浸透する。
【0032】
上記の実施例においては、パーマ液の1剤を使用する例で説明を行なったが、上述したパーマ方法にあるように、2剤のコールド液や温湯リンス等を逆止弁8を使用して注入して、さらにコンプレッサー12による段発的な加圧を行なうことも当然可能であり、また、注入口7から吸引装置などを使用することによって、コールド液や温湯リンス等の洗浄及び排出も可能であり、使用方法に限定されることはない。
【0033】
以上、本発明による毛髪のパーマ方法及び装置によれば、ガスの加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させるため、加熱による毛髪のダメージを受けることなく、短時間でパーマ及びトリートメント等に使用する薬液を毛髪に含浸及び浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来のパーマ方法の工程を説明するフローチャートである。
【図2】本発明のパーマ方法の工程を説明するフローチャートである。
【図3】本発明のパーマ方法に使用する装置を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面説明図である。
【図5】本発明のパーマ方法に使用する装置の使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 加圧ケース
2 ケース本体
3 ヒンジ
4 ロッド
5 毛髪挟み部
6 弱密着部材
7 注入口
8 逆止弁
9 Oリング
10 毛髪
11 チューブ
12 コンプレッサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を複数分割してロッドに巻き付ける工程と、このロッドを加圧用ケースに挿入する工程と、該加圧ケースの一端側に設けた逆止弁を介して薬液を注入する工程と、前記加圧ケースの他端側の注入口から圧力ガスを段発的に注入する工程とから構成され、ガスの加圧によって薬液を毛髪に含浸及び浸透させることを特徴とする毛髪のパーマ方法。
【請求項2】
毛髪を複数分割して巻き付けたロッドを着脱自在に挿入し、開閉可能な円筒形状の加圧ケース本体と、このケース本体の長手方向の一端側に設けられた逆止弁と、他端側に設けられた注入口と、前記円筒形状の加圧ケースの長手方向側面に連設して設けられた毛髪挟み部と、該毛髪挟み部に設けられた樹脂製の弱密着部材とから構成され、この弱密着部材を介して毛髪を挟んで前記ロッドを挿入固定し、前記逆止弁を介して薬液を注入可能とし、また他端側に設けられた注入口から圧力ガスを注入することを特徴とする、毛髪のパーマに使用する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−136367(P2009−136367A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313159(P2007−313159)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(507398257)
【Fターム(参考)】