説明

毛髪の増毛料及びエアゾール製品

【課題】充分な増毛効果を発揮することができる毛髪の増毛料と、この増毛料を簡単に使用し得るエアゾール製品を提供する。
【解決手段】毛髪の増毛料は、繊維粉末を0.1〜40.0重量%配合すると共に無機紛体を配合したことを特徴とする。前記無機紛体のサイズが、略1nm乃至略0.3mmの範囲にあることあ好ましい。また、前記無機紛体と繊維粉末との混合比率が、無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%であることが好ましい。またエアゾール製品は、前記何れかの増毛料からなる原液と噴射ガスとの混合比率が、原液10〜50;噴射ガス50〜90重量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に繊維粉末を付着させることによって太く見せることを実現した増毛料と、この増毛料を噴射ガスによって噴射するようにしたエアゾール製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は特許文献1に記載された染毛料の特許権(特許第3074443号)を取得している。この染毛料は、未着色粉末体と、着色剤と、糊剤とを調合してなり、必要に応じて水、溶剤、油剤、粉末剤、髪質改良剤、紫外線吸収剤、酸アルカリ剤、pH調整剤、イオン封鎖剤、香料を適宜調整してなるものである。
【0003】
特許文献1に記載された染毛料は染着性を高め、色の脱落の少ないものであるが、この染毛料を使用したとき、着色剤等が毛髪の表面に付着して細い毛髪が太くなり、見かけ上の増毛効果を発揮することができる。
【0004】
特許文献2に記載された頭髪用化粧料は、自然な状態で増毛効果(ボリュームアップ)が得られるように構成したものである。この頭髪用化粧料は、脂肪酸の揮発性塩基塩及び/又は脂肪酸と揮発性塩基、固形脂、繊維状物質並びに水性ポリマーを含有するものである。この頭髪用化粧料を使用することによって、自然な感じで頭髪をボリュームアップすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−143434号公報
【特許文献2】特開2003−137738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
毛髪は加齢と共に細くなるため、簡単に且つ充分な増毛効果を発揮し得る増毛料の開発が望まれている。
【0007】
上記特許文献1に記載された発明に於ける毛髪の増毛効果は副次的なものであり、充分な増毛効果を発揮し得るものではなく、上記の如き要求に応えることが困難であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明に於ける頭髪用化粧料では、ボリュームアップ効果を発揮し得るもののまだ十分ではなく、且つブラシを利用して塗布する必要があるため、使用上の難点が生じる虞がある。
【0009】
本発明の目的は、充分な増毛効果を発揮することができる毛髪の増毛料と、この増毛料を簡単に使用し得るエアゾール製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る毛髪の増毛料は、繊維粉末を0.1〜40.0重量%配合すると共に無機紛体を配合したことを特徴とするものである。
【0011】
上記毛髪の増毛料に於いて、前記無機紛体のサイズが、略1nm乃至略0.3mmの範囲にあることが好ましい。
【0012】
上記何れかの毛髪の増毛料に於いて、前記無機紛体と繊維粉末との混合比率が、無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%であることが好ましい。
【0013】
また本発明に係るエアゾール製品は、上記何れかの増毛料からなる原液と噴射ガスとの混合比率が、原液10〜50;噴射ガス50〜90重量%であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る毛髪の増毛料(以下単に「増毛料」という)では、繊維粉末に加えて無機紛体も配合したので、繊維粉末の分散を促進して毛髪に対する付着性が良い。このため、毛髪に付着した繊維粉末が毛羽立って自然な感じで見かけ上太い毛髪とすることができ、良好な増毛効果を発揮することができる。
【0015】
また、無機紛体のサイズが、略1nm乃至略0.3mmの範囲とすることによって、繊維粉末を好ましい状態で分散させることができる。
【0016】
特に、無機紛体と繊維粉末との比率を、無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%とすることによって、良好な増毛効果を引き出すことができる。
【0017】
本発明に係るエアゾール製品では、上記何れかの増毛料を噴射して毛髪に付着させることができる。このため、使用法が簡単で容易に増毛効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】エアゾール製品の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る増毛料の好ましい実施の形態について説明する。本発明に係る増毛料は、繊維粉末と無機紛体とを配合することによって、繊維粉末の分散を促進して毛髪に万遍なく付着させることを可能とし、且つ毛髪に付着したとき毛羽立って、細くなった毛髪を太く見せることが可能である。
【0020】
本発明に係る増毛料は、エタノール、セット樹脂、繊維粉末、無機紛体、油脂、を基本的な要素として配合されており、特に、繊維粉末は0.1〜40.0重量%の範囲で配合され、無機紛体と繊維粉末の混合比率が無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%の範囲で混合されている。
【0021】
繊維粉末は毛髪に付着して毛羽立ったようになり、細い毛髪を見かけ上太くする機能を有するものである。この繊維粉末として、材料を特に限定するものではなく、人体に悪影響を及ぼす虞のない天然繊維或いは合成繊維を用いることが可能である。入手のし易さを考慮すると、合成繊維であることが好ましい。また繊維粉末を合成繊維としたときにも材料を限定するものではなく、ナイロン繊維やポリエステル繊維を含む広範囲の合成繊維を採用することが可能である。
【0022】
繊維粉末の太さ及び長さは無制限なものではなく、自ずから制限がある。本件発明者の実験では、細くなった毛髪に毛羽立った状態で付着して見かけ上充分に太い毛髪とするには、太さは、略0.01d(デニール、以下同じ)〜略5.0dの範囲にあれば良く、特に、略0.1d〜略1.0dの範囲であることが好ましい。また、繊維粉末の長さは、略0.01mm〜略3.0mmの範囲にあれば良く、特に、略0.05mm〜略0.2mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
増毛料に於ける繊維粉末の配合割合は0.1〜40.0重量%の範囲である。繊維粉末の配合割合が前記範囲よりも少ないと、充分な増毛感(ボリューム感)を得ることが簡単ではなくなる虞がある。また、繊維粉末の配合割合が前記範囲よりも多いと、充分な増毛感を容易に得られるものの、原液の粘度が上昇して使用する際の容易さが損なわれる虞がある。特に、繊維粉末が40重量%よりも多く配合された増毛料をエアゾールの原液としたとき、円滑な噴射を実現することが困難になるという不具合が生じる虞がある。
【0024】
上記の如く、増毛料に於ける繊維粉末の配合割合は0.1〜40.0重量%の範囲であれば良いが、略15重量%〜略25重量%の範囲であることが好ましい。繊維粉末を前記範囲で配合した増毛料では、充分な増毛感を得ることが可能であり、且つエアゾールの原液とした場合でも良好な噴射を実現することが可能である。
【0025】
無機紛体は、増毛料に配合された繊維粉末を分散させる機能を有するものである。このため、この機能を有する無機紛体であれば特別な限定なく採用することが可能である。特に、無機紛体は多孔質で吸湿性を有するものであることが好ましい。このような無機紛体としては、例えば、酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、セリライト、雲母チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、結晶セルロース、スターチ等があり、これらの中から選択された1種又は複数種の混合物を採用することが可能である。特に必要がある場合、適切な表面処理を施したものを用いることもある。
【0026】
無機紛体のサイズは、略1nm〜略0.3mm程度の範囲であれば良く、略20nm〜略0.05mmの範囲にあることが好ましい。無機紛体のサイズが略1nmよりも小さいと繊維粉末を充分に分散させることが困難となり、また0.3mmよりも大きいと、エアゾール製品としたとき、ノズルに詰まる虞が生じる。
【0027】
セット樹脂は繊維粉末を毛髪に付着させる糊として機能するものであり、この機能を有するものであれば特別な限定なく採用することが可能である。このような機能を有するセット樹脂として、例えば、N、N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチレン)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体があり、この樹脂であればセット樹脂として好ましく採用することが可能である。また、例えば、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂アルカノールアミン液などの粘着性を有する天然高分子や合成高分子を、1種又は複数種を組み合わせて用いることも可能である。
【0028】
油脂は増毛料が付着した毛髪に光沢を与える機能を有するものであり、この機能を発揮し得るものであれば特別な限定なく採用することが可能である。このような機能を有する油脂として、例えば、エステル油、シリコン、シリコーン、動植物性油脂等があり、これらの油脂を1種又は複数種組み合わせて用いることも可能である。
【0029】
次に、基本処方を、エタノール、セット樹脂、繊維粉末(ナイロン粉末)、無機紛体(無水ケイ酸)、油脂とし、これらの配合割合を変化させていくつかのサンプルを作成して比較実験を行ったので、その結果について説明する。尚、以下の説明に於ける数値は全て重量%を表すものである。
【0030】
実験例1、エタノール45、セット樹脂30、繊維粉末20、無機紛体2、油脂3で処方したサンプルでは、毛髪に付着したとき、毛羽立ちが良く、軽く触った程度では落ちることがなかった。また付着後の乾燥時間は約10秒程度であり、充分に満足し得るものであった。
【0031】
実験例2、エタノール33、セット樹脂20、繊維粉末40、無機紛体4、油脂3で処方したサンプルでは、原液の粘度が高くなってペースト状になりつつあり、エアゾール原液の粘度としては限界となった。また毛髪に付着させる際に原液の伸びが多少劣化し、一様な付着状態が得られなくなる虞が生じた。
【0032】
実験例3、エタノール66.85、セット樹脂30、繊維粉末0.1、無機紛体0.05、油脂3で処方したサンプルでは、原液の粘度が低くなってエアゾール原液として噴射したとき、液だれが生じることがあり、エアゾール原液としては限界となった。原液の粘度が低いため、毛髪に付着させたときの伸びは良好であるものの、繊維粉末の付着量が少なく充分な毛羽立ちを実現するには複数回の操作が必要になる虞が生じた。
【0033】
実験例4、エタノール37、セット樹脂30、繊維粉末25、無機紛体5、油脂3で処方したサンプルでは、実験例1と同様に、毛髪に付着したとき、毛羽立ちが良く、軽く触った程度では落ちることがなかった。また付着後の乾燥時間は約10秒程度であり、充分に満足し得るものであった。
【0034】
実験例5、エタノール47、セット樹脂30、繊維粉末15、無機紛体5、油脂3で処方したサンプルでは、実験例1と同様に、毛髪に付着したとき、毛羽立ちが良く、軽く触った程度では落ちることがなかった。また付着後の乾燥時間は約10秒程度であり、充分に満足し得るものであった。
【0035】
次に、本発明に係る増毛料を原液としたエアゾール製品について説明する。エアゾール製品を構成する原液の場合、無機紛体と繊維粉末との混合比率が、無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%に設定され、この原液に対する噴射ガスの混合比率が、原液10〜50:噴射ガス50〜90重量%に設定されている。
【0036】
上記原液に於ける無機紛体と繊維粉末との混合比率、及びエアゾール製品に於ける原液と噴射ガスとの混合比率は、夫々エアゾール容器に対する充填の容易性、ノズルから噴射したときのノズル詰まりを生じないこと、等の条件を加味して設定されたものである。
【0037】
本発明に係る増毛料に配合された繊維粉末は、一般的な原液に配合される粉末或いは紛体と比較して充分に長いものである。このため、エアゾール容器のバルブ部分にはパウダー製品などの詰まりを防ぐ機構を有するものが採用されている。
【0038】
ここで、上記の如く構成された原液と噴射ガスとからなるエアゾール製品の好ましい例について図を用いて説明する。図1に示すように、エアゾール製品は、前述の繊維粉末と無機紛体を配合した原液部1と、噴射ガスを主成分とする気相部2と、を有する容器本体Aと、容器本体Aに固着され充填された原液を噴射するバルブBとを有して構成されている。
【0039】
気相部2の主成分である噴射ガスとしては、エアゾール製品に於いて一般的な噴射ガスを用いることが可能である。このような噴射ガスとしては、炭酸ガスや窒素ガス或いは圧縮空気等の圧縮ガス類、及び液化石油ガスやジメチルエーテル等の液化ガスがあり、何れも利用することが可能である。
【0040】
容器本体Aは上端部分にバルブBが固着されており、原液及び噴射ガスが充填されて内部に原液部1と、気相部2が構成される。容器本体Aとしては、エアゾール製品に於いて一般的に用いられる容器を利用することが可能である。従って、容器本体Aとしては、金属容器、ガラス容器、合成樹脂容器等の容器を選択的に採用することが好ましい。
【0041】
バルブBは、容器本体Aの上端部分に固着され、使用者による図示しないアクチュエータの操作に応じて、該容器本体Aに充填された原液を噴射し、或いは噴射を停止するものである。
【0042】
バルブBは、容器本体Aに固着されたマウンテンカップ11と、マウンテンカップ11に固着され内部に上端側が解放された流通室12が形成されたハウジング13と、マウンテンカップ11とハウジング13との間に配置された可撓性を有するステムラバー14と、流通室12に往復移動可能に収容されたステム15と、ステム15を上方に付勢するばね16と、ハウジング13の下端に形成され流通室12と連通する流通孔17aを有する筒状の突起17と、一端が突起17に接続され他端が原液内に配置されるディップチューブ18と、を有して構成されている。
【0043】
ハウジング13の内部に形成された流通室12は上端側が開放されており、下端側は突起17の流通孔17a、ディップチューブ18を介して容器本体Aの原液部1に連通している。そして、開放された上端側は可撓性を有するステムラバー14と流通室12内を往復移動するステム15とによって閉鎖されている。
【0044】
特に、流通室12の下端側であってハウジング13の内面には複数の溝20(本実施例では4本)が形成されており、この溝20の形成に伴ってばね16の端部を支持するための平坦面からなる支持部21が形成されている。また、支持部21に連続して形成された突起部分22は、ばね16を所定の配置位置に保持する機能を有している。尚、溝20の数は限定するものではなく、流通室12の径に応じて適宜設定することが好ましい。
【0045】
溝20は流通室12の下端側の底面に形成された傾斜面20aを有している。この傾斜面20aは、ハウジング13に形成された突起17の流通孔17aに向けて下降し得るような傾斜を持って形成されており、この溝20に原液が落下したような場合でも、容易に流通孔17aに流れ込むことが可能である。
【0046】
溝20の傾斜面20aに通孔25が形成されている。この通孔25は、傾斜面20aとハウジング13の下端面13aとの間を連通して、或いはハウジング13の下端面13a側の側面13bとの間を連通して形成されている。通孔25の径は特に限定するものではなく、容器本体Aに於ける気相部2に存在する噴射ガスが流通し得るような寸法であれば良い。また、通孔25をいくつ形成するか、についても特に限定するものではなく、原液に配合された繊維粉末や無機紛体の材質やサイズ或いは配合量等の諸条件に応じて適宜設定することが好ましい。
【0047】
ステム15は、中心に噴射孔15aが形成され、側面にオリフィス15bが形成されている。このオリフィス15bは、ステム15がばね16に付勢されて上方に位置するとき、ステムラバー14よりも上方となる位置に形成されている。従って、この状態では噴射孔15aは流通室12とは縁が切られており、原液の噴射が行われることのない停止状態となる。また、ステム15が下降したとき、オリフィス15bはステムラバー14よりも下方となる位置に形成されている。従って、この状態では、オリフィス15bを介して流通室12と噴射孔15aとが連通しており、原液の噴射が行われる作動状態となる。
【0048】
ステム15の外形形状は、上端側が平行な円筒部15cが形成され、オリフィス15bの形成位置よりも下方で下端側に向けて径が大きくなるテーパ部15dが形成され、下端面にばね16の上端を受け入れるリング状の溝が形成されている。そして、ステム15がばね16に付勢されて上昇し、テーパ部15dがステムラバー14と接触したとき、オリフィス15bがステムラバー14よりも上方に位置し、且つステム15が上昇限となるように構成されている。
【0049】
上記の如く構成されたエアゾール製品では、繊維粉末及び無機紛体が配合された原液と、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、フロンガス等の噴射ガスと、を容器本体Aに充填したとき、該容器本体Aの内部には原液部1と噴射ガスを主成分とする気相部2とに分離した状態となる。気相部2に存在する噴射ガスの圧力は、通孔25を介して流通室12に作用している。
【0050】
ステム15が上昇限にあり、原液の噴射が停止状態にあるとき、流通室12及び流通孔17aの原液部1よりも上部には気相部2の圧力が作用し、これにより、流通室12に原液が流入するのを防止している。
【0051】
使用者が図示しないノズルを頭部に向けてアクチュエータを操作するのに伴って、オリフィス15bがステムラバー14よりも下方となる位置までステム15が下降すると、オリフィス15bを介して噴射孔15aと流通室12とが連通する。このため、ディップチューブ18、流通孔17a、流通室12、オリフィス15b、噴射孔15aを通って原液部1の原液が噴射される。同時に、気相部2の噴射ガスが通孔25から流通室12に流入し、流入した噴射ガスは原液と共に毛髪に向けて噴射される。
【0052】
毛髪に対して原液を噴射している間、噴射ガスは溝20を構成する傾斜面20aから流通室12に流入することとなり、流通室12の内部に於ける流れは、流通室12の下端側から上方へと向かう略直線的となる。即ち、流通室12の内部に渦流が形成されることがなく、略一様な速度で流れることとなる。このため、原液を噴射している間、流通室12に繊維粉末及び無機紛体が堆積することがない。
【0053】
アクチュエータの操作を停止して原液の噴射を停止したとき、流通室12に於ける原液及び噴射ガスの流れが停止し、該流通室12の内部には原液が充満していることになる。このため、原液は流通孔17aを通って原液部1に戻り、これに伴って配合された繊維粉末及び無機紛体も原液部1に戻る。
【0054】
上記の如くして原液が容器本体Aの原液部1に戻る際に、繊維粉末及び無機紛体の一部が溝20の傾斜面20aに残留することがある。しかし、原液が原液部1に戻るのに伴って、流通室12には通孔25を介して気相部2に存在する噴射ガスが流入し、この噴射ガスの流れによって傾斜面20aに残留した繊維粉末及び無機紛体を移動させて流通孔17aから原液部1に落下させることが可能である。
【0055】
上記の如く構成されたエアゾール製品では、流通室12の下端側に気相部2と連通する通孔25を形成することによって、原液を噴射する際に流通室12内に形成される流線を略直線状にすることが可能となり、原液に配合された繊維粉末及び無機紛体が流通室12の内部で落下することがない。また、噴射を停止したときにも原液に配合された繊維粉末及び無機紛体が流通室12の内部に堆積することがない。このため、バルブBに於ける詰まりを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る増毛料は、毛髪に繊維粉末を付着させて見かけ上、毛髪の太さを太くすることができるため、染毛料と併用して利用することも可能である。
【0057】
また、本発明に係るエアゾール製品は、比較的に長い繊維粉末を配合した原液であっても、良好な状態で噴射することができるため、増毛料を毛髪に付着させる際に利用して有利である。
【符号の説明】
【0058】
A 容器本体
B バルブ
1 原液部
2 気相部
11 マウンテンカップ
12 流通室
13 ハウジング
13a 下端面
13b 側面
14 ステムラバー
15 ステム
15a 噴射孔
15b オリフィス
15c 円筒部
15d テーパ部
15e 溝
16 ばね
17 突起
17a 流通孔
18 ディップチューブ
20 溝
20a 傾斜面
21 支持部
22 突起部分
25 通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維粉末を0.1〜40.0重量%配合すると共に無機紛体を配合したことを特徴とする毛髪の増毛料。
【請求項2】
前記無機紛体のサイズが、略1nm乃至略0.3mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載した毛髪の増毛料。
【請求項3】
前記無機紛体と繊維粉末との混合比率が、無機紛体5〜30:繊維粉末70〜95重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載した毛髪の増毛料。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載した毛髪の増毛料からなる原液と噴射ガスとの混合比率が、原液10〜50;噴射ガス50〜90重量%であることを特徴とするエアゾール製品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−219025(P2012−219025A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83400(P2011−83400)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(591183935)中央エアゾール化学株式会社 (2)
【出願人】(507108977)株式会社三田理化 (2)
【Fターム(参考)】