説明

毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法および組成物

空気または周囲環境からの水蒸気に耐性を示す被膜を毛髪に形成して、毛髪を含むケラチン繊維の外観の縮れを予防または低減し、特に多湿状態において、ふわついた毛髪の量を低減する組成物と方法が開示される。前記組成物は、化粧品として許容されるビヒクル中に、疎水的に表面修飾された酸化物を含む疎水性粒子材料と1または複数種のフィルム形成剤の組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特に、頭髪の外観の縮れを予防または低減する方法および組成物、並びに、特に、多湿状態において、ふわついた毛髪の量を低減する方法および組成物に関する。より詳細には、本発明は、湿気、および空気または周囲の環境からの水蒸気に耐性を有する被膜を毛髪上に形成する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、数多くの化粧品組成物やパーソナルケア組成物を用いて、毛髪などのケラチン繊維の外観と触り心地を高めてきた。多湿状態に曝されることが原因となって、毛髪は、「腰がなくなり(poof out)」、膨脹体積(つまり、「縮れ体積」)が過大になり、あるいは外観が縮れるようになる。この縮れ状態にある毛髪は、ぼさぼさの外観を呈することが多くなり、毛髪のふわつきが多くなるという特徴を示すことが多くなる。この縮れ状態は、乾燥した、損傷を受けた、あるいは縮れた毛髪において、特に顕著である。
【0003】
毛髪の外観の縮れを低減する従来の取り組みは、シリコーン類を毛髪に塗布して行っていた。しかしながら、これら従来の組成物は、非現実的なものが多かった。その理由は、毛髪の外観の縮れを有効に低減するには膨大な量が必要になるので、毛髪を脂っこく粘着質にする原因になり、その結果、汚れが誘発され、くすんだ汚い外観を呈するようになるからである。従来の組成物は、剥離するか、見苦しい残留物を残す可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、美的に満足のいく、毛髪などのケラチン繊維に塗布する組成物を提供することを目的とする。該組成物によって、毛髪が多湿状態に曝された場合に、毛髪の外観の縮れは予防または低減され、ふわついた毛髪の量が低減される。本発明はさらに、毛髪の他の美的な特性(例えば、外観、触り心地、体積、輝き、柔らかさ)に悪影響を及ぼさずに、毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の目的及びその他の目的を達成するために、本発明によれば、毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法と組成物が提供される。驚くべきことに、本発明の組成物によれば、多湿状態に対して保護され、長期間に渡って、例えば、24時間、48時間、または数日、あるいは半永久的に、毛髪の外観の縮れが予防され、あるいは低減される。この保護は、洗髪を繰り返しても持続する。本発明の組成物は、無水であってもよいし、あるいは、エマルション、特に、油中水型またはシリコーン中水型のエマルションの形態であってもよい。
【0006】
本発明の一態様においては、毛髪の外観の縮れを防止または低減する方法がもたらされる。該方法は、組成物を毛髪に塗布することを含み、該組成物は、(a)約10nm〜約20μmのメジアン粒径を有する疎水的に表面修飾された酸化アルミニウムを含む疎水性の粒子材料であって、前記組成物に対して、約0.1重量%〜約2.0重量%含まれる疎水性の粒子材料と、(b)前記組成物に対して、約0.01重量%〜約20重量%含まれるシリコーン系の疎水性フィルム形成剤と、(c)20℃で約0.01mmHgより高い蒸気圧を有するシリコーン流体と、を含む化粧品として許容されるビヒクルを含む。組成物中での全ての不揮発性の水溶性または水分散性の有機成分の全重量百分率は、組成物の全重量を基準にすると、5%未満である。該組成物によれば、毛髪繊維の軸を実質的に均一に被膜できる。疎水性の粒子材料は、カプリルシランなどのアルキルシラン基で表面修飾されると好ましい。疎水性の粒子材料に、煙霧アルミナが含まれるとより好ましい。
【0007】
好適な実施形態では、シリコーン系の疎水性フィルム形成剤は、ジメチコン、アモジメチコン、ジメチコノール、シリコーンポリウレタン、シリコーンアクリレート、またはこれら組み合わせの中から選ぶことができる。特に、フィルム形成剤は、ポリ(アルキル)アクリレート骨格と、アルキルエステル側鎖にグラフトされたジメチコンポリマーを含むような、シリコーンアクリレートコポリマーであってもよい。
【0008】
前記組成物は、液体またはエマルションの形態をとることができる。特に、製品は、洗浄されずに毛髪に残存されることを意図したものであり、ブラシ、櫛、または指で毛髪全体に分散され、あるいは毛髪上に噴霧されてもよい。該組成物は、周囲の相対湿度が85%以上のときに、毛髪に塗布されてもよい。これに代えて、該組成物は、毛髪に毎日塗布されてもよい。これに代えて、該組成物は、毛髪に毎日塗布されてもよい。さらに、該組成物を毛髪に塗布した場合、少なくとも1回の洗髪の後、あるいは少なくとも2回の洗髪の後であっても、毛髪の外観の縮れを予防または防止できる。
【0009】
特定の実施形態では、該組成物をガラススライドに薄膜として塗布した場合、水滴の接触角を100°〜150°にできる。
【0010】
本発明のこれらの態様と他の態様は、添付の特許請求の範囲を含む、以下の本発明の詳細な説明を読むと、当業者により明確になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
重量パーセントという語で示される全ての量は、別途言及がない限り、全組成物に対するものである。別途規定されていない限り、「アルキル」という用語は、直鎖状、分岐状、または環状炭化水素、詳細には、1〜20の炭素原子を有する炭化水素、より詳細には、C1−12炭化水素を包含することを意図している。本発明の組成物は、本願明細書に記載された他の成分と同様に、本発明の成分を含む、本発明の成分からなる、本発明の成分から実質的に構成される、あるいは本発明の成分から構成されることができる。本願明細書で使用されるように、「実質的に構成される」は、組成物または成分が、追加の成分を含んでもよいことを意味しているが、これは、追加の成分が、請求された組成物または方法の基本的な特徴と新規な特徴を実質的に変えない場合に限られる。
【0012】
本願明細書で使用されるように、「ケラチン繊維」には、頭髪、睫毛、眉毛、顔の毛、および腕、脚などの体毛が含まれる。ケラチン繊維は、人間に限られるものではなく、例えば、ペットの毛や哺乳類の毛皮などの哺乳類由来の全てのケラチン繊維をも含んでいる。
【0013】
本発明の化粧品組成物は、概して、無水であるが、油中水型エマルションなどの水を含有する調合物も本発明の範囲に含まれる。本願明細書で使用されるように、油中水型のエマルションには、シリコーン中水型のエマルションが含まれる。全組成物の重量を基準にした重量パーセントに関して言及すると、組成物の全重量には、エマルションの水相と油相の両方が含まれると理解される。本発明に関して、水は揮発性溶媒と考えられるので、本願明細書に記載された疎水性成分や疎水性液体に関する限定からは除外される。
【0014】
ケラチン繊維(例えば、毛髪)の外観の縮れを低減または予防する本発明の化粧品組成物は、ケラチン繊維を被覆するために、疎水性の粒子材料とシリコーン系の疎水性フィルム形成剤との組み合わせを含む。この新規な組み合わせによれば、特に、毛髪が多湿状態に曝されたときに、毛髪の外観の縮れが低減および/または防止され、ふわついた毛髪の量が低減されることが分かった。多湿状態とは、周囲空気中の湿気が、毛髪に外観の縮れまたはふわつきを生じさせることができるレベルにあることを意味している。特定の実施形態では、周囲の相対湿度(RH)が、約30%より高い、約40%より高い、約50%より高い、約60%より高い、約70%より高い、約85%より高い、約95%より高い、あるいは約100%のときに、該組成物は、縮れを予防または低減し、毛髪のふわつきを低減するのに有効である。本発明の組み合わせで処理された毛髪は、等量のシリコーンのみで処理された毛髪よりも、毛髪の縮れに対してより強く抵抗することが観察された。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、周囲空気に含まれる水蒸気は、多湿状態において、多くなるが、この水蒸気に対する抵抗を大きくすることによって、毛髪の外観の縮れは低減または防止され、あるいはふわついた毛髪の量が低減される。また、本発明の組み合わせによって、ケラチン繊維の外観の縮れを低減または防止する、および/またはふわついた毛髪の量を低減する相乗効果が得られると考えられる。特に、該相乗効果は、多湿状態に曝された毛髪で観察されると考えられる。一実施形態では、該相乗効果は、乾燥した、損傷を受けた、あるいは巻き毛の毛髪で観察される。
【0015】
さらに、本発明の組成物によれば、疎水的な性質が毛髪に付与されて、毛髪の外観の縮れを予防または低減することもできると考えられている。本発明によれば、疎水的な性質が付与されると考えられる。接触角は、表面の疎水性を測定するものであり、液体/蒸気界面が固体表面に接触する角度である。接触角を測定する1つの方法は、組成物をフィルムとしてガラススライドに塗布し、揮発性物質を蒸発させることによって実施される。ガラススライド上の薄膜での水滴の接触角は、接触角測定器(contact angle geometer)を用いて、好適に測定できる。本発明によれば、揮発性溶媒の蒸発後に、表面にフィルムを形成できると考えられる。ある実施形態では、水滴の接触角は、約70°、約80°、約90°、または約100°より大きく、約110°、約120°、約130°、約140°、または約150°までであることを特徴とする。
【0016】
本発明の化粧品組成物の第1の成分には、1または複数種の粒子物質が含まれる。該粒子物質は、元来疎水性のものであるか、表面処理などによって疎水的に修飾されたものかの何れかである。理論に拘束されることを望むものではないが、粒子物質によって、水滴が位置する突起部を形成して周囲空気からの湿気を排除する、ナノスケール(1nm〜1000nm)またはマイクロスケール(1μm〜200μm)の表面粗さまたは表面構造がフィルム上に得られるので、表面への水の接触が全体として低減される、つまり、表面付着が低減される。
【0017】
一実施形態では、粒子材料には、動的(運動)摩擦係数μが0.5より大きい、少なくとも1種の疎水性粒子材料が含まれる。該粒子材料は、石灰質または粗粒状の触感を有し、実質的に非球形状を有してもよい。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、高いμ(つまり、0.5より大きい)を有する実質的に非球形状の粒子によって、湿気を排除するためのナノスケールの粗さが粒子にもたらされると考えられている。μの高い粒子によって高い抗力がもたらされるので、毛髪に対する粒子の持続性も向上される。
【0018】
表面粗さは、AFM、SEMなどで観察または測定できる。動的摩擦係数は、例えば、カトーテック株式会社で製造された摩擦試験機(KES−SE)を用いて適宜測定できる。該試験機は、2mm/秒において、負荷重量50gで大型の石英板上に均一に拡散された試料の特定量(例えば0.01g)を測定するために、シリコーンゴム製の摩擦プローブを用いている。
【0019】
本発明に係る好適な粒子材料は、アルミナ、特に、煙霧(または発熱性)アルミナとしても知られる疎水的に修飾された酸化アルミニウム(Al)である。(例えば、約7nm〜約40nmの粒径を有し、凝集粒子の大きさが約100〜約400nmである)煙霧(または発熱性)シリカを含む疎水的に修飾されたシリカ(SiO)も、特に有用であると考えられる。他の注目すべき粒子材料は、これらに限定される訳ではないが、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(FeO、Fe、またはFe)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、およびこれらの組み合わせを含む、疎水的に修飾された金属酸化物である。
【0020】
好適には、該粒子材料は、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛粒子の場合、例えば、紫外光の吸収または散乱を含む追加の機能を、組成物に付与するものであってもよいし、着色(例えば、色素)、真珠箔(例えば、雲母)などの美的な特性を付与するものであってもよい。粒状材料は、例えば、有機または無機の粒状色素に基づくものであってもよい。有機粒状色素の例には、レーキ、特にアルミニウムレーキ、ストロンチウムレーキ、バリウムレーキなどが含まれる。無機粒状色素の例には、酸化鉄、特に、赤色、黄色および黒色酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、フェリシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム三水和物(KFe(CN)・3H2O)、およびこれらの混合物が含まれる。粒状材料は、タルク、雲母、シリカ、およびこれらの混合物などの無機フィラー、あるいは欧州特許第1640419号明細書中に開示された全ての粘土に基づくものであってもよい。上記明細書の開示内容は、ここに包含されて参照される。
【0021】
一実施形態では、粒子材料は表面処理されて、疎水的に被膜される。疎水的に修飾された粒子と疎水的に修飾された粒子の製造方法は、例えば、Schutteらの米国特許第3393155号明細書、Wagnerらの米国特許第2705206号明細書、Wagnerらの米国特許第5500216号明細書、Kellerらの米国特許第6683126号明細書、Muellerらの米国特許第7083828号明細書、Russellらの米国特許出願公開第2006/0110541号明細書、およびDietzらの米国特許出願公開第2006/0110542号明細書に開示されている。上記各明細書の開示内容は、ここに包含されて参照される。本願明細書で使用されるように、疎水的に修飾された粒子は、表面修飾されていない粒子と比べて、表面修飾によって親水性を低くしたり、疎水性を高くしたものである。
【0022】
一実施形態では、本発明の一実施形態に係る疎水性粒子は、酸化物粒子(例えば、金属酸化物、二酸化珪素など)から形成できる。該酸化物粒子の表面は、例えば、アルキル基、シリコーン、シロキサン、アルキルシロキサン、有機シロキサン、フッ素化シロキサン、ペルフルオロシロキサン、有機シラン、アルキルシラン、フッ素化シラン、ペルフルオロ化シラン、ジシラザンなどの非極性ラジカルで覆われる(例えば、共有結合される)。表面処理は、粒子の疎水性を高めるような全ての処理である。粒子の表面は、有機分子またはシリコーン系の分子に共有結合またはイオン結合されてもよく、またはそれらに吸着されてもよく、あるいは、粒子を疎水性材料の層で物理的に被覆されてもよい。疎水的処理の種類には実質的に何らの制限もなく、アルキル、アリル、またはアリルシラン、シリコーン、ジメチコン、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、高分子シランが、これらのフルオロおよびペルフルオロ誘導体と同様に、列挙されてもよい。疎水性化合物は、何らかの好適な結合剤、リンカー基、または官能基(例えば、シラン、エステル、エーテルなど)によって、酸化物粒子に結合されてもよい。疎水性化合物は、例えば、アルキル、アリール、アリル、ビニル、アルキル−アリール、アリール−アルキル、有機シリコーン、およびこれらのフルオロまたはペルフルオロ誘導体の中から選ばれる疎水部を含む。ポリウレタン、エポキシなどを含む疎水的なポリマーコーティングも有用であると考えられる。その開示内容がここに包含されて参照されている、Farnerらの米国特許第6315990号明細書には、フルオロシランで被覆された好適な粒子が開示されている。該粒子は、酸素または水酸基などの求核基を有する粒子状物質と、少なくとも1種のフッ素原子で置換された炭化水素基および求核剤で置換可能な反応性のヒドロカルビロキシ基を有するシリコン含有化合物とを反応させて形成される。このような化合物の例は、商品名DYNASILANE(商標)F8261として、ニュージャージー州のピスカタウェイにあるシベントから市販されているトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランである。本発明に係る好適な疎水性コーティング剤は、酸化物、例えば、アルミナをトリメトキシカプリリルシランで処理して製造される。
【0023】
その開示内容がここに包含されて参照される、Kellerらの米国特許第6683126号明細書に記載された疎水的に修飾された粒子材料の全ても、有用であると考えられる。該粒子材料には、これに限られる訳ではないが、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリメトキシシラン、シリコーンオイル、クロロトリメチルシラン、およびジクロロジメチルシランを含む酸化物担持材料の表面近傍の水酸基と化学反応する少なくとも1種の反応性の官能基を含む酸化物材料(例えば、SiO、TiOなど)を、(ペルフルオロ)アルキルを含む化合物で処理して得られるものが含まれる。
【0024】
特に好適な一実施形態では、粒子材料は、アルキルシリル、フルオロアルキルシリル、またはペルフルオロアルキルシリル基で表面官能化された、好ましくは、アルキルシリル基で表面官能化された(つまり、アルキルシランで表面処理された)、煙霧(または発熱性)アルミナまたは煙霧(または発熱性)シリカである。典型的には、アルキルシリル基には、C1−20炭化水素(より典型的には、C1−8炭化水素)が含まれる。該炭素水素は、必要に応じて、フッ素化または全フッ素置換される。このような基は、粒子表面において、C1−12アルキルトリアルコキシシラン(例えば、C1−12アルキルトリメトキシシランまたはC1−12アルキルトリエトキシシラン)などのシランと反応させて導入される。好ましくは、粒子表面は、アルキルシリル基で官能化される(つまり、アルキルシランで表面処理される)。より好適には、粒子表面は、カプリリルシリル基としても知られるオクチルシリル基で官能化されて表面修飾される。前記官能基は、粒子をオクチルシラン(またはカプリルシラン)、例えば、トリエトキシカプリルシランまたはトリエトキシカプリリルシランと反応させて導入される。該粒子は、一般に、処理済みオクチルシランと称される。別の実施形態では、酸化物粒子は、フルオロアルキルシラン、C1−20ペルフルオロアルキルシラン、または、より典型的には、C1−12ペルフルオロアルキルシランなどのペルフルオロアルキルシランで表面処理された。この例には、酸化物粒子をCペルフルオロアルキルシランで表面処理した例示的な実施形態が含まれる。色素は、酸化物粒子をペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(INCI名)などのトリアルコキシフルオロアルキルシランで処理して調製された。粒子は、煙霧(または発熱性)であると好ましいので、初期の粒径は、一般に極めて小さい、つまり、約5nm〜約30nmである。これらの粒子材料の比表面積は、必ずしもこれに限られる訳ではないが、典型的には、約50〜約300m/gの範囲にあり、より典型的には、約75〜約250m/gの範囲にあり、好ましくは、約100〜200m/gの範囲にある。好適な疎水的に修飾されたアルミナ微粒子には、エボニック・インダストリーのAEROXIDE(登録商標) AluやAEROXIDE(登録商標) ALU C805などの(トリメトキシオクチルシランを煙霧アルミナと反応させて得られた)オクチルシランで処理された煙霧アルミナ酸化物が含まれる。該製品は、平均初期粒径が約13nm(ナノメートル)であり、比表面積(SSA)が約100±15m/gと考えられている。典型的には、アルミナまたは疎水的に修飾されたアルミナは焼成されていない。これは、粗金属酸化物中の揮発性不純物を除去するために、アルミナが高温まで、例えば、1000℃を上回る温度で加熱されていないことを意味している。好ましくは、粒子材料は、実質的に、焼成されたアルミナを含んでいない。これは、粒子材料に、焼成されたアルミナを意図的に加えておらず、含有量が組成物の性能、外観または触り心地に測定可能な影響を及ぼさないほど少量であることを意味している。より好ましくは、粒子材料は、焼成されたアルミナを含んでいない。他の実施形態では、組成物は、アルミナまたは疎水的に修飾されたアルミナを実質的に含んでいない。アルミナまたは疎水的に修飾されたアルミナを実質的に含まないとは、該成分が、1または複数種の粒子材料に対して、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満だけ含まれていることを意味している。
【0025】
追加の粒子として、疎水的に修飾された煙霧シリカなどを含んでもよい。該煙霧シリカが存在する場合、これに限られる訳ではないが、好適な疎水的に修飾された煙霧シリカ粒子には、ニュージャージー州のパーシパニーにあるエボニックデグサ社から入手できる、AEROSIL(商標)R202、AEROSIL(商標)R805、AEROSIL(商標)R812、AEROSIL(商標)R812S、AEROSIL(商標)R972、AEROSIL(商標)R974、AEROSIL(商標)R8200、AEROXIDE(商標)LE−1、AEROXIDE(商標)LE−2、およびAEROXIDE(商標)LE−3が含まれる。これらの粒子は、アルキルシリル基で表面官能化されて疎水性を示し、それぞれ約160±30m/g、約220±30m/g、および約100±30m/gの比表面積(SSA)を有する疎水的な煙霧シリカであると考えられている。Dietzらの米国特許出願公開第2006/0110542号明細書に開示された、疎水的に修飾されたシリカ粒子は、本願明細書に包含されて参照され、特に好適であると考えられる。他の任意的な粒子には、商品名Tegotop(商標)105(デグサ/コールドシュミット化学株式会社)で販売されたシリコーンワックス微粒子と、商品名Mincor(商標)300(BASF)で販売されたビニルポリマー微粒子が含まれる。シリカ(SiO)と疎水的に修飾されたシリカが、ある実施形態で有用であると考えられる一方で、他の実施形態では、組成物には、シリカまたは疎水的に修飾されたシリカは実質的に含まれない。シリカまたは疎水的に修飾されたシリカが実質的に含まれないとは、これらの成分が、1または複数種の粒子材料に対して、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満含まれていることを意味している。他の実施形態では、組成物には、シリカまたは疎水的に修飾されたシリカが含まれていない。「含まれていない」とは、粒子材料に、シリカまたは疎水的に修飾されたシリカを意図的に全く加えておらず、含有量が組成物の外観、触り心地または性能に影響を及ぼさないほど少量であることを意味している。
【0026】
1または複数種の粒子材料には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、および粉末に形成されるような有機ポリマー粒子が含まれてもよい。これに代えて、粒子材料は、米国特許出願公開第2005/0000531号明細書に開示された全ての殻材料(shell material)を含むマイクロカプセルであってもよい。該明細書の開示内容は、ここに包含されて、本願明細書で参照される。
【0027】
1または複数種の粒子材料は、典型的には、約1nm(ナノメートル)〜約1mm(ミリメートル)、より典型的には、約5nm〜約500μm(マイクロメートル)、好ましくは、約7nm〜約1μm、より好ましくは、約10nm〜約5μm、約20μm、約50μm、あるいは約100μmのメジアン粒径を有する粉末形態を取る。1以上の粒子材料が用いられる場合(例えば、修飾されたTiOおよび/または修飾されたSiO)、各粉末のメジアン粒径は、上述の範囲内にあると好ましい。
【0028】
約1mmを上回るメジアン粒径を有する粒子材料は、粒子自体が適当な大きさの範囲にある表面粗さを有さない限り、大きすぎる場合がある。例えば、20nmの範囲にあるポリマー鎖を有する大型の粒子を表面処理すれば、許容できる表面粗さを得ることができる。得られたフィルムの粗さは、一次粒子の大きさ、集合体中で凝集した粒子の大きさ、または粒子の大きさの分布によって特徴付けられてもよい。
【0029】
典型的には、1または複数種の粒子材料を、全組成物に対して、約0.01重量%〜約10重量%、より典型的には、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約2.0重量%、より好ましくは、約0.4重量%〜約1.5重量%含む。特定の実施形態では、1または複数種の粒子材料を、組成物に対して、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.67重量%、約0.7重量%、約0.75重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、および約1.5重量%を含んでもよい。
【0030】
ある実施形態では、粒子材料を、オクチルシリルで官能化された煙霧アルミナに対して、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上、約50重量%以上、約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、あるいは約95重量%以上含んでいてもよい。
【0031】
本発明の組成物の第2の成分には、1またはそれ以上のフィルム形成剤が含まれる。フィルム形成剤に、疎水性材料が含まれると好ましい。疎水性のフィルム形成剤には、これに限られる訳ではないが、疎水性のフィルム形成ポリマーを含む、化粧品組成物中での使用に適した全てのフィルム形成剤が含まれてもよい。フィルム形成ポリマーという用語は、それ自身で、あるいは少なくとも1種の補助的なフィルム形成剤の存在下において、粒子材料の表面に付着し、バインダとして機能する連続的なフィルムを形成できるポリマーを指すものと解される。「疎水性の」フィルム形成ポリマーという用語は、典型的には、25℃の水に約1重量%未満の溶解性を示すポリマー、あるいは、モノマーの個々の単量体単位が、25℃の水に約1重量%未満の溶解性を示すポリマーを指している。これに代えて、「疎水性の」フィルム形成ポリマーは、等体積の水とオクタノール混合物を振とうしたときに、優先的にオクタノール層に分配されるポリマーを指していてもよい。優先的とは、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは95重量%以上がオクタノール層に分配されることを意味している。フィルム形成剤は、シリコーン系であると好ましい。シリコーン系とは、疎水性のフィルム形成剤が、例えば、ジメチコン、アモジメチコン、ジメチコノール、シリコーンポリウレタン、シリコーンアクリレート、またはこれらの組み合わせなどの少なくとも1種のシリコーン成分を含むことを意味している。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、毛髪の外観の縮れの低減と予防、およびふわついた毛髪の量の低減は、集合体構造中で疎水性の粒子材料を、煉瓦やモルタル壁と同じように結合する疎水性のフィルム形成剤によって実現されると考えられているので、本発明の組成物で処理されると、水蒸気に対する髪の耐性は改善される。
【0032】
フィルム形成剤は、天然または合成のいずれであってもよいし、ポリマーまたは非ポリマーのいずれであってもよいし、樹脂、バインダであってもよいし、低または高モル質量のいずれであってもよい。ポリマーのフィルム形成剤は、天然または合成の何れであってもよいし、添加したものまたは濃縮したものの何れであってもよいし、単鎖またはヘテロ鎖の何れであってもよいし、単分散または多分散の何れであってもよいし、有機または無機の何れであってもよいし、直鎖状、分岐状、または架橋状の何れであってもよいし、帯電または非帯電の何れであってもよいし、熱可塑性または熱硬化性の何れであってもよいし、ゴム状、結晶性または非結晶性あるいはその両方であってもよいし、イソタクチックまたはシンジオタクチックあるいはアタクチックの何れであってもよい。
【0033】
ポリマーのフィルム形成剤には、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、シリコーンアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリエーテル、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリイミド、ゴム、エポキシ、ホルムアルデヒド樹脂、および前記ポリマーのホモポリマーとコポリマーが含まれる。
【0034】
好適な疎水性(親油性)のフィルム形成ポリマーには、これらに限られる訳ではないが、Kalafskyらの米国特許第7037515号明細書、Maらの米国特許第6685952号明細書、De La Poterieらの米国特許第6464969号明細書、Bodelinらの米国特許第6264933号明細書、Kellerらの米国特許第6683126号明細書、およびSamourらの米国特許第5911980号明細書に開示されているものが含まれる。前記明細書の開示内容は、ここに包含されて参照される。
【0035】
スチレン(S)、アルキルスチレン(AS)、エチレン/ブチレン(EB)、エチレン/プロピレン(EP)、ブタジエン(B)、イソプレン(I)、アクリレート(A)、およびメタアクリレート(MA)、またはこれらの組み合わせの中から選ばれる1または複数種の塊からなるコポリマーは、好適な疎水性のフィルム形成剤であると考えられる。特に言及されるのは、イソドデカン(IDD)中のゲル化剤として、Penrecoから商品名Vesagel MD 1600で販売されているコポリマーを含む、エチレン/プロピレン/スチレンとブチレン/エチレン/スチレンコポリマーである。
【0036】
特に言及されてもよいのは、ポリアルキレン、特にポリブテンなどのC−C20アルケンコポリマー、エチルセルロースやプロピルセルロースなどの、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和のC−Cアルキルラジカルを有するアルキルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、ニュージャージー州のウェインのISP社から)商品名Ganex V 220とGanex V 216で販売されているエイコセンまたはドデカンモノマーを有するビニルピロリドンのコポリマーを含む、ビニルピロリドンとC〜C40、より好ましくはC〜C20アルケンのコポリマー、商品名PA−18としてChevronから市販されているようなポリ無水樹脂、無水マレイン酸とオクタデセン−1などのC〜C40アルケンから誘導されるコポリマー、(New Phase Technologies社の)Performa V 825やGonzalezらの米国特許第7159878号明細書に開示され、本願明細書に包含されて参照されるポリマーなどのポリウレタンポリマー、これに限られる訳ではないが、(メチルアクリレートとも呼ばれる)メチルアクリル酸エステル、例えば、アルキル基が直鎖状、分岐状、および環状(C−C30)アルキルの中から選ばれる、例えば、(C−C20)アルキルメチルアクリレート、より詳細には、(C−C10)アルキルメチルアクリレートなどのアルキルメチルアクリレートを含むビニル性酸モノマーのエステルから生成されるポリマーとコポリマーである。上述したアルキルメチルアクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、などの中から選ばれる。上述したアリルメチルアクリレートは、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレートなどの中から選ばれる。前述したエステルのアルキル基は、例えば、フッ素化およびペルフルオロ化アルキル基の中から選ばれる。つまり、アルキル基の水素原子の一部または全部が、フッ素原子で置換されている。言及されるのは、メチルアクリルアミドなどの酸モノマーのアミド、例えば、N−アルキルメチルアクリルアミドや、これらに限られる訳ではないが、N−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミドおよびN−ウンデシルアクリルアミドを含む(C−C20)アルキルなどの酸モノマーのアミドである。疎水性のフィルム形成剤用のビニルポリマーは、ビニルエステル、(フルオロオレフィンを含む)オレフィン、ビニルエーテル、およびスチレンモノマーの中から選ばれる少なくとも1種の酸モノマーの単独重合または共重合によって生じてもよい。例えば、これらのモノマーは、酸モノマー、酸モノマーのエステル、上述したような酸モノマーのアミドと共重合されてもよい。上述したビニルエステルの非限定的な例は、ビニルアセテート、ビニルネオデカノエート、ビニルピバレート、ビニルベンゾエート、およびビニルt−ブチルベンゾエートの中から選ばれる。上述したオレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、オクテン、オクタデセンの中から選ばれ、ポリフッ素化オレフィンは、例えば、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロペン、およびクロロトリフルオロエチレンの中から選ばれる。上述したスチレンモノマーは、例えば、スチレンとアルファメチルスチレンの中から選ばれる。上で列挙されたモノマーは、限定的なものではなく、疎水性のフィルムになるアクリルおよびビニルモノマーの範囲に属し、当業者に公知の全てのモノマーを使用できる。この点から、特に言及されるのは、シリコーンアクリレートコポリマー、特に、市販のフィルム形成剤であるシクロペンタシロキサン(と)アクリレート/ジメチコンのコポリマー(KP−545、信越化学株式会社製)やメチルトリメチコン(と)アクリレート/ジメチコンのコポリマー(KP−549、信越化学株式会社製)などのポリアルキルアクリレート骨格とアルキルエステル側鎖にグラフトされるジメチコンポリマーからなるコポリマーである。
【0037】
当該技術分野で公知の他のフィルム形成剤を、組成物に用いると都合がよい。これらには、アクリレートコポリマー、アクリレートC12−22アルキルメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アモジメチコン、AMP/アクリレートコポリマー、ベヘニル/イソステアリル、ブチル化PVP、PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/ナトリウムPVM/MAコポリマー、ジメチコン、ジメチコンコポリマー、ジメチコン/メルカプトプロピルメチコンコポリマー、ジメチコンプロピルエチレンジアミンベヘネート、ジメチコノールエチルセルロース、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/MAコポリマー、エチレン/VAコポリマー、フルオロC2−8アルキルジメチコン、C30−38オレフィン/イソプロピルマレアート/MAコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、ヒドロキシエチルエチルセルロース、イソブチル/MAコポリマー、メチルメタクリレートクロスポリマー、メチルアクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクタデセン/MAコポリマー、オクタデセン/無水マレイン酸コポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、酸化ポリエチレン、ペルフルオロポリメチルイソプロプルエーテル、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/デセンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、PVP/MAコポリマー、PVP/VAコポリマー、アクリル酸ナトリウム/ビニルアルコールコポリマー、ステアロキシジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、ステアリルエーテル/MAコポリマー、スチレン/DVBコポリマー、スチレン/MAコポリマー、トリコンタニルPVP、トリメチルシロキシシリケート、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/ブチルマレート/イソボロニルアクリレートコポリマー、ビニルカプロラクタム/PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、およびビニルジメチコンが含まれる。
【0038】
疎水的なフィルム形成剤ポリマーの追加の非限定的な代表例には、ポリウレタン、ポリウレタンポリアクリレート、ポリウレタンポリビニルピロリドン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリ尿素樹脂、およびポリ尿素/ポリウレタンの中から選ばれる少なくとも1種の重縮合体が含まれる。ポリウレタンは、例えば、脂肪族、脂環式、および芳香族のポリウレタン、ポリ尿素ウレタン(polyureaurethanes)、および、少なくとも1種のポリエステル源、脂環式ポリエステル源、および芳香族ポリエステル源の少なくとも1種の配列、例えば、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサンの中から選ばれる少なくとも1種の分岐状および非分岐状シリコーン配列、およびフッ化基を含む少なくとも1種の配列の内の少なくとも1種からなるポリ尿素コポリマーであってもよい。重縮合体の追加の非限定的な代表例は、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド樹脂、エポキシエステル樹脂、アリルスルホンアミドエポキシ樹脂、およびホルムアルデヒドとアリルスルホンアミドの縮合から得られる樹脂の中から選ばれてもよい。
【0039】
疎水的なフィルムは、皮膚、爪、または毛髪に塗布した後に硬化する樹脂を用いて、その場で(in situ)形成されてもよい。該フィルムには、例えば、ハイドロシランとオレフィン置換シロキサンをその場でヒドロシリル化して形成された、あるいは、アルコキシ官能性シロキサンをその場で重縮合して形成されたポリジメチルシロキサンフィルムが含まれる。
【0040】
好適なポリマーのフィルム形成剤には、シリコーンポリマー、アクリレート、アルキルアクリレート、ポリウレタン、F2ケミカルズから市販されているFluomer(ポリペルフルオロペルヒドロフェナントレン)またはFlutec PP3などのフルオロポリマー、および(信越から)商品名KP545またはKP550として販売されているアクリレート/ジメチコンコポリマーなどのシリコーンアクリレートが含まれる。これらに限られる訳ではないが、好適なフィルム形成剤には、アミノビスプロピルジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アモジメチコン、アモジメチコンヒドロキシステアレート、ベヘニルジメチコン、C30−45アルキルジメチコン、C24−28アルキルジメチコン、C30−45アルキルメチコン、セテアリルメチコン、セチルジメチコン、ジメチコン、ジメトキシシリルエチレンジアミノプロピルジメチコン、ヘキシルメチコン、ヒドロキシプロピルジメチコン、ステアラミドプロピルジメチコン、ステアロキシジメチコン、ステアリルメチコン、ステアリルジメチコン、およびビニルジメチコンが含まれる。特に好適なのは、(CTFAモノグラフ番号1581に開示されて、本願明細書に包含されて参照される)メチコン、(CTFAモノグラフ番号840に開示されて、本願明細書に包含されて参照される)ジメチコン、(CTFAモノグラフ番号189に開示されて、本願明細書に包含されて参照される)アモジメチコンを含むシリコーンポリマーである。ここで示されたCTFAモノグラフの全ては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,12thEdition(2008)中に見出され、その内容はここに包含されて参照される。
【0041】
本発明の一実施形態では、組成物には、シリコーンゴムが含まれる。好適なシリコーンゴムの分子量は、典型的には、約200000〜約600000である。特別な例には、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ジメチコノール、フルオロシリコン、ジメチコン、またはこれらの混合物が含まれる。好適な実施形態では、フィルムを形成するシリコーンゴムは、高分子量のジメチコンである。高分子量のジメチコンは、高粘度を有し、一般にジメチコンゴムと称される。これに限定される訳ではないが、シリコーンゴムの粘度は、25℃において、約50000センチストークス〜約100000000センチストークスである。高分子量のジメチコンは、高分子量のジメチコンの取り扱いを容易にする低分子量のシリコーンまたは揮発性シリコーンと組み合わされて市販されている。(分子量が約500000の)高分子量のジメチコンを含む好適な混合物は、商品名SF1214としてMomentiveから市販されている。
【0042】
別の好適な実施形態では、フィルム形成ポリマーは、CTFAモノグラフ番号が10082であり、INCI名がアクリレート/ジメチコンであるシリコーンアクリレートである。このポリマーは、信越化学株式会社から商品名KP−544として市販されていて、アクリルポリマー骨格とジメチルポリシロキサン側鎖を有するグラフトされたコポリマーを含んでいる。同じポリマーが、イソプロピルアルコール(KP−541)、ブチルアルコールを含む種々の異なる溶媒に入れられて市販されている。
【0043】
別の実施形態では、フィルム形成ポリマーは、INCI名がビスヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマーであって、INCIモノグラフのID番号が22006であるシリコーンウレタンであってもよい。このポリマーは、Siltech社から商品名SILMER UR−5050として市販されていて、イソドデカン中に入れられている。
【0044】
これらに限られる訳ではないが、使用される他のフィルム形成剤には、天然、鉱物、および/または合成蝋が含まれる。天然蝋は、これらに限られる訳ではないが、蜜蝋、鯨蝋、ラノリン、およびセラック蝋を含む動物由来のものや、これらに限られる訳ではないが、カルナウバ、カンデリラ、西洋ヤマモモ、サトウキビ蝋などを含む植物由来のものである。有用であると考えられる鉱物蝋には、これらに限られる訳ではないが、オゾケライト、セレシン、モンタン、パラフィン、微結晶、石油、およびワセリンワックスが含まれる。合成蝋には、例えば、フィッシャートロプシュ(FT)ワックスや、エチレンホモポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、およびエチレンヘキセンコポリマーなどのポリオレフィンワックスが含まれる。代表的なエチレンホモポリマーワックスは、(Baker Huges Incorporatedから)商品名POLYWAX(登録商標)Polyethyleneとして市販されている。市販のエチレンアルファオレフィンコポリマーワックスには、(Baker Huges Incorporatedから)商品名PETROLITE(登録商標)Copolymersとして販売されているものが含まれる。別の好適なワックスは、ULTRABEE(商標)dimethiconol esterとしてNoveonから入手可能なジメチコノール蜜蝋である。
【0045】
ある実施形態では、拡散性、エマルション安定性、美的な外観および触り心地などを改善するために、(例えば、セルロース化合物、ポリサッカライド、ポリクオーターニウム(例えば、ポリクオーターニウム−37(INCI名))などの)親水性または水溶性のフィルム形成剤を組成物に添加するのが望ましい。あまり好ましくないかも知れないが、このような親水性または水溶性のフィルム形成剤を含むことも本発明の範囲に含まれる。親水性または水溶性のフィルム形成剤の量は限定されないが、多量の場合(例えば、フィルム形成剤の総重量を基準にして、20重量%以上の場合)、フィルム形成剤に対する疎水性粒子の比率を増やして、疎水性が低減した表面に対抗する必要がある。ある実施形態では、親水性または水溶性のフィルム形成剤の総重量パーセントは、全てのフィルム形成剤の総重量を基準にして、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、およびさらに好ましくは5%未満である。好適な実施形態では、親水性のフィルム形成剤は、組成物中に、フィルム形成剤の総重量に対して、約2重量%未満含まれている。一実施形態では、組成物には、水溶性のフィルム形成剤が実質的に含まれない。これは、1または複数種のフィルム形成剤に対して、水溶性のフィルム形成剤が、組成物に、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満含まれることを意味している。一実施形態では、組成物には、親水性のフィルム形成剤が含まれていない。
【0046】
高分子と非高分子のフィルム形成剤の組み合わせを含む、上述のフィルム形成剤の全ての組み合わせが適していると考えられる。
【0047】
フィルム形成剤は、組成物に対して、約0.01重量〜約20重量%、より典型的には、約0.25重量%〜約15重量%、好ましくは約1〜12重量%、より好ましくは1.5重量%〜約10重量%、さらに好ましくは約3重量%〜約8重量%含まれる。一般に、1または複数種のフィルム形成剤に対する1または複数種の疎水性の粒子材料の重量比率は、約1:1〜約1:100、約1:1.25〜約1:75、約1:1.5〜約1:50、約1:1.75〜約1:25、または約1:2〜約1:10である。1または複数種のフィルム形成剤に対する1または複数種の疎水的な粒子材料の以下の比率、つまり、約1:20、約1:15、約1:10、約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1.5、および約1:1が言及されてもよい。
【0048】
特定の実施形態では、組成物には、シリコーンゴムのフィルム形成剤に加えて、シリコーンアクリレートのフィルム形成剤が含まれる。シリコーンアクリレートのフィルム形成剤とシリコーンゴムのフィルム形成剤は、組成物に対して、それぞれ別個に、約0.01重量%〜約20重量%、より典型的には、約0.25重量%〜約15重量%、好ましくは、約1.0重量%〜約10重量%、より好ましくは、1.5重量%〜約8重量%、さらに好ましくは、約3重量%〜約5重量%含まれる。
【0049】
本発明の組成物は、典型的には、化粧品として許容されるビヒクルを含む。「化粧品として許容される」とは、ビヒクルが、人間の外皮に接触しても安全であることを意味している。ビヒクルには、単相、複合相系、またはエマルションを含む液体が含まれる。エマルションには、水中油型、水中シリコーン型、油中水型、シリコーン中水型などが含まれる。製品をスプレーにすることを意図している場合、単相のビヒクル、または水相と油相を含み、該油相にシリコーンオイルが含まれる複合相のビヒクルであると望ましい。エマルションとして調製する場合、乳化剤が典型的に含まれる。他の実施形態では、組成物には、実質的に乳化剤が含まれない。乳化剤が実質的に含まれないとは、乳化剤が意図的に加えられていないか、存在するとしても、存在する量が、エマルションの安定性に測定可能な影響を及ぼさないなど少量であることを意味している。
【0050】
一実施形態では、ビヒクルに揮発性溶媒が含まれてもよい。典型的には、揮発性溶媒の蒸気圧は、20℃において、約0.01mmHgである。揮発性溶媒には、揮発性のC5−12炭化水素(例えば、イソドデカン)、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、トルエンなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルなど)、ペルフルオロ炭化水素、ハイドロフルオロエーテル、フレオン、揮発性シリコーン(例えば、シクロペンタシロキサン)、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)などが含まれる。好適な揮発性溶媒は、化粧品として許容されるものである。
【0051】
揮発性シリコーンは、揮発性溶媒として好適である。揮発性シリコーンとは、油分が外気温で容易に蒸発することを意味している。典型的には、揮発性シリコーンオイルは、25℃において、約1Pa〜2kPaの範囲の蒸気圧を示し、25℃において、約0.1〜約10センチストークスの粘度、好ましくは約5センチストークス以下の粘度、より好ましくは、約2センチストークス以下の粘度を有すると好ましく、約35℃〜約250℃において、大気圧で沸騰する。揮発性シリコーンには、環状および直鎖状の揮発性のジメチルシロキサンシリコーンが含まれ、該ジメチルシロキサンシリコーンには、0.5センチストークスのジメチコン、0.65センチストークスのジメチコン、1センチストークスのジメチコン、および1.5センチストークスのジメチコンが含まれる。一実施形態では、揮発性シリコーンには、シクロジメチコンが含まれてもよく、該シクロジメチコンには、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、およびヘキサマー(D6)のシクロジメチコンあるいはそれらの混合物が含まれる。好適なジメチコンは、Dow Corningから商品名Dow Corning 200(登録商標)Fluidとして入手でき、該ジメチコンは、0.65〜5センチストークスの範囲の粘度を有する。好適な非極性の揮発性の液体シリコンオイルは、米国特許第4781917号明細書に開示されていて、その全体は、本願明細書に包含されて参照される。追加の揮発性シリコーン材料は、Toddらの”Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”,Cosmetics and Toiletries,91:27−32(1976)に開示されていて、その全体は、本願明細書に包含されて参照される。直鎖状の揮発性シリコーンは、一般に、25℃において、約5センチストークス未満の粘度を有するのに対し、環状シリコーンは、25℃において、約10センチストークス未満の粘度を有する。種々の粘度を有する揮発性シリコーンの例には、(Dow Corning社製の)Dow Corning 200、Dow Corning 244、Dow Corning 245、Dow Corning 344、およびDow Corning 345、(G.E.Silicones製の)SF−1204およびSF−1202 Silicone Fluids、(General Electric社製の)GE 7207および7158、および(SWS Silicones社製の)SWS−03314が含まれる。直鎖状の揮発性シリコーンには、ほんの数例を挙げると、メチルトリメチコン、トリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびドデカメチルペンタシロキサンなどの低分子量のポリジメチルシロキサン化合物が含まれる。本発明の特に好適な揮発性シリコーンには、シクロメチコンテトラマー、シクロメチコンペンタマー、シクロメチコンヘキサマー、トリシロキサン、メチルトリメチコンまたはそれらの組み合わせが含まれる。
【0052】
メタノール、(エチルアルコールとしても知られる)エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含む低級アルコール溶媒も有用であると考えられる。エタノールは、揮発性が高く、毒性が低いので、特に好適である。エタノールが、Exxonから入手されるSD Alcohol 40などの無水エタノールであると好ましい。他の実施形態では、組成物には、約50重量%未満、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、または約5重量%未満のエタノールが含まれる。ある実施形態では、組成物には、約2.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満のエタノールが含まれる。他の実施形態では、組成物には、実質的にエタノールが含まれない。エタノールが実質的に含まれないとは、エタノールを意図的に加えないことや、加えたとしても、存在する量が、製品の外観、手触り感または性能に測定可能な影響を及ぼさないほど少量であることを意味している。別の実施形態では、組成物には、エタノールが含まれない。
【0053】
揮発性のC5−12炭素水素の中で、特に言及されるのは、(Presperse社から)商品名Permethl−99Aとして入手できるイソデカンである。これらに限られる訳ではないが、フッ素化溶媒には、例えば、ペルフルオロエーテル、ペロフルオロデカリン、ペルフルオロメチルデカリン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロノナン、およびペルフルオロメチルシクロペンタンが含まれる。
【0054】
好適な実施形態では、溶媒には、揮発性シリコーン、好ましくは、シクロメチコンペンタマーと、無水エタノールの混合物が含まれる。溶媒系に対して、揮発性シリコーン(シクロメチコンペンタマー)が、約1重量%〜約99重量%、エタノールが、約1重量%〜約99重量%含まれると好ましい。溶媒系に対して、揮発性シリコーン(シクロメチコンペンタマー)が、約50重量%〜約99重量%、エタノールが、約1重量%〜約50重量%含まれるとより好ましい。好適な実施形態では、溶媒系に対して、揮発性シリコーン(シクロメチコンペンタマー)が、約70重量%〜約90重量%、エタノールが、約10重量%〜約30重量%含まれる。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明に係る組成物には、25℃での蒸気圧がエタノールの蒸気圧よりも低い1または複数種の溶媒が、エタノール、好ましくは無水エタノールと組み合わされて含まれる。別の実施形態では、本発明の組成物には、25℃での蒸気圧がエタノールの蒸気圧よりも高い1または複数種の溶媒が、エタノール、好ましくは無水エタノールと組み合わされて含まれる。
【0056】
(無水形態)
本発明の組成物は、無水または実質的に無水の形態として得られてもよい。「実質的に無水」とは、組成物中の水の重量%が、約0.5重量%未満、好ましくは約0.25重量%未満、最適には約0.1重量%未満であることを意味している。典型的には、無水組成物は、実質的に水分を含んでいない。実質的に水分を含んでいないとは、水分が意図的に組成物に加えられていないことや、水分のレベルが、空気から吸収される水を基準にして、予想されるよりも少量であることを意味している。無水の組成物には、典型的には、揮発性の炭化水素、揮発性のシリコーンなどの揮発性の疎水性溶媒が含まれる。
【0057】
(油中水型エマルション)
本発明に係る組成物は、油中水型エマルションとして調製されてもよい。これらのエマルションには、油分を含む連続相と水性非連続相が含まれる。
【0058】
油分を含む相は、組成物の総重量に基づいて、典型的には、約10重量%〜約99重量%、約20重量%〜約85重量%、または約30重量%〜約75重量%含まれ、水性非連続相は、組成物に対して、典型的には、約1重量%〜約90重量%、約5重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、または約15重量%〜約60重量%含まれる。一実施形態では、油分を含む相と水性相は、エマルションの総重量に対して、ほぼ等しい割合で含まれる。
【0059】
油分を含む相は、単一の油分または異なる油分の混合物から構成されてもよい。基本的に、全ての油分が有用であると考えられるが、疎水性が高い油分が好ましい。好適な非限定的な例には、植物油、オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、およびイソプロピルパルミテートなどのエステル、ジカプリルエーテルなどのエーテル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコールなどの脂肪族アルコール、イソオクタン、イソドデカン、およびイソヘキサデカンなどのイソパラフィン、ジメチコン、環状シリコーン、およびポリシロキサンなどのシリコーンオイル、鉱油、石油、イソエイコサン、およびポリイソブテンなどの炭化水素オイル、天然または合成蝋などが含まれる。
【0060】
好適な疎水性炭化水素オイルは、飽和または不飽和であってもよいし、脂肪族の特性を有してもよいし、直鎖状または分岐鎖状であってもよいし、あるいは脂環式の環または芳香族環を含んでもよい。炭素水素オイルには、6−20の炭素原子を有する炭化水素、より好ましくは、10−16の炭素原子を有する炭化水素が含まれる。代表的な炭化水素には、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、およびC8−20のイソパラフィンが含まれる。パラフィン系の炭化水素は、商標ISOPARSとして、Exxonから入手できるし、Permethyl Corporationからも入手できる。さらに、商品名Permethyl 99A(商標)として、Permethyl Corporationで製造されたC12イソパラフィン(イソドデカン)などのC8−20のパラフィン系炭素水素も好適であると考えられる。(商品名がPermethyl R(商標)である)イソヘキサデカンなどの種々の市販のC16イソパラフィンも好適である。好適な揮発性炭化水素の例には、例えば、(Presperse社製の)Permethyl 99Aを含むイソドデカンやイソデカン、およびExxon Chemicalsから入手可能なIsopar SeriesなどのC−CないしC12−C15のイソパラフィンが含まれる。代表的な炭化水素溶媒はイソドデカンである。
【0061】
エマルションに、幾つかのありふれた保湿剤を含む非揮発性の親水性成分が少量だけ含まれているか、あるいは含まれていないことが重要である。プロピレングリコール、エトキシジグリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、およびヘキシレングリコールを含むグリセリンやポリオールなどの成分は、除外されるか、あるいは、非揮発性の水溶性の有機成分または水分散性の有機成分などの非揮発性の親水性成分が、凝集状態において、組成物の総重量を基準にして、15重量%を上回らない、好ましくは、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満のレベルに保たれる必要がある。グリセリンは、特に有害であることが分かっているので、2重量%未満、または1重量%未満、あるいは完全に除去される必要がある。
【0062】
乳化剤の選択と乳化剤の量が、水蒸気に耐性を示すフィルムを得るのに重要であることが分かった。乳化剤自体は、水蒸気耐性を示すフィルムの形成に対して有害であるか、あるいは繰り返しの洗髪を通じた性能の耐久性に悪影響を及ぼす可能性があるので、組成物には、安定なエマルションを生成できる最低レベルの乳化剤が含まれると好ましい。乳化剤の量は、組成物の総重量に基づいて、典型的には、約0.001〜約10重量%、好ましくは、約0.01〜約5重量%の範囲、より好ましくは、0.1〜3重量%、最適には、約0.25〜約1重量%である。他の実施形態では、乳化剤が含まれていなくてもよい。乳化剤が極めて少ないか含まれていない組成物の場合、該組成物は、勢いよく混合または振とうされた場合に、組成物が一時的にエマルションを形成し、容器内で一定期間分離されなかった場合に、2個の別個の相に分離されるような「用時振とう」型をなしてもよい。
【0063】
油中水型エマルションの場合、乳化剤自体の親水性親油性バランス(HLB)を低く、好ましくは10未満、より好ましくは8.5未満にする必要がある。1以上の乳化剤の組み合わせが本発明の範囲内にあると考えられる場合でも、このような乳化剤のそれぞれのHLBを低くする必要がある。したがって、HLBの高い乳化剤とHLBの低い乳化剤を使用することは、組み合わされて低いHLB(例えば、8.5未満)が得られるとしても、あまり望ましくない。何故なら、組み合わせ後の系のHLBが8.5未満の場合でも、HLBの高い乳化剤が、水蒸気耐性を有するフィルムの形成に不利に寄与するからである。仮に存在するとしても、HLBが10を上回る乳化剤の量は、1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらに好ましくは0.2重量%未満である。
【0064】
乳化剤が−(CHCHO)−の形の鎖を含むポリエトキシル型(例えば、ポリオキシエチレンまたはエステル)である場合、nが20未満、好ましくは10未満、最適には5未満であると好ましい。プロポキシル化された乳化剤も好適であると考えられる。プロポキシル化された乳化剤は、好ましくは20未満、より好ましくは10未満、最適には5未満の酸化プロピレンの繰り返し単位も有する。
【0065】
これらに限られる訳ではないが、本発明の組成物中で使用できる乳化剤には、以下の1または複数、つまり、数例を挙げれば、ソルビタンエステル、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリコールやモノオレイン酸グリコールなどのグリコールエステル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールやポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンフェノール、ポリオキシエチレンセチルエーテルやポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ジメチコンコポリオール、ポリグリセリル−3−ジイソステアレートなどのポリグリセリルエステル、ラウリン酸グリセリル、ステアレス−2、ステアレス−10、およびステアレス−20が含まれる。追加の乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook 11th Edition 2006に示されていて、その開示内容はここに包含されて参照される。
【0066】
本発明に従って好適と考えられるHLBが極めて低い乳化剤の一例は、Span 83であり、該乳化剤は、モノオレイン酸とジオレイン酸のモル比が2:1のセスキエステルであり、HLBは3.7である。モノステアリン酸ソルビタン(INCI名)は、別の好適な乳化剤であり、HLB値は4.7である。
【0067】
水相に、1または複数種の追加の溶媒、好ましくは、エタノールイソプロパノールなどの低級アルコールを含む揮発性溶媒が含まれてもよい。水相に揮発性溶媒が存在する場合、該揮発性溶媒は、水相に対して、典型的には、約0.1重量%〜約75重量%、より典型的には、約35重量%まで、好ましくは約15重量%まで含まれる。微粒子は、溶媒が蒸発するように、フィルムの表面を押圧するのに役立つので、水と任意的な揮発性溶媒は、水蒸気耐性を有するフィルムの形成を促進すると考えられる。
【0068】
(シリコーン中水型エマルション)
有用であることが判明している油中水型エマルションの一類型は、シリコーンオイルを含む連続相と水性の非連続相を含むシリコーン中水型エマルションである。
【0069】
典型的には、水溶性成分を組成物に溶解するために、組成物中に水を取り込ませて、シリコーン中水型エマルションが形成される。例えば、外観および/または毛髪の手触りのような、追加の美的な利点を毛髪に与える他の物質として、水溶性ポリマーが水溶性成分に含まれてもよい。組成物に加えられる水の量は、所望の水溶性成分を溶解するのに要求される、あるいは必要な最小量であるのが好ましい。これに代えて、シリコーン中水型エマルションを形成し、組成物の粘度を増加するために、組成物中に水が取り込まれてもよい。導入される水の量は、所望の粘度を得るのに必要な最小量であると好ましい。
【0070】
シリコーンを含む相は、典型的には、組成物の総重量基準で、約10重量%〜約99重量%、約20重量%〜約85重量%、あるいは約30重量%〜約75重量%であり、水相は、組成物に対して、約1重量%〜約90重量%、約5重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、あるいは約15重量%〜約60重量%である。一実施形態では、シリコーンを含む相と水相は、エマルションの総重量に対して、ほぼ同じ割合で含まれてもよい。
【0071】
好ましくは、水溶性成分を溶解させるあるいは組成物の粘度を増加させるなどの所望の機能を得るのに必要な最小量の水だけが導入される必要がある。例えば、ローションの粘度が望まれ、組成物が構造中に少量の水溶性ポリマーを含む場合、通常、10%〜25%の水で十分である。別の例では、組成物にクリームの粘度が望まれたり、多量の水溶性成分(例えば、活性成分/ポリマーなど)が望まれる場合、約25%〜約50%の水が必要になる。シリコーンを含む、または油分を含む相は、組成物中に存在する水相の量に応じて、変えることができる。
【0072】
シリコーンオイル相には、揮発性シリコーンオイル、非揮発性シリコーンオイル、およびそれらの組み合わせが含まれてもよい。揮発性のシリコーンとは、油分が外気温で容易に蒸発することを意味している。典型的には、揮発性シリコーンオイルは、25℃において、約1Pa〜約2kPaの範囲の蒸気圧を示し、25℃において、約0.1〜約10センチストークス、好ましくは約5センチストークス以下、より好ましくは約2センチストークス以下の粘度を示し、約35℃〜約250℃において、大気圧で蒸発する。
【0073】
シリコーン中水型のエマルションのシリコーンオイル相に有用な揮発性シリコーンには、環状および直鎖状の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンが含まれる。一実施形態では、揮発性シリコーンには、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、およびヘキサマー(D6)シクロメチコンまたはそれらの混合物を含むシクロジメチコンが含まれてもよい。特に言及されるのは、揮発性のシクロメチコンヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびデカメチルシクロペンタシロキサンである。好適な揮発性ジメチコンは、商品名Dow Corning 200(登録商標)Fluidとして、Dow Corningから市販され、該揮発性ジメチコンは、約0.65〜約5センチストークスの範囲の粘度を有する。好適な非極性の揮発性液体シリコーンオイルは、米国特許第4781917号明細書に開示されていて、その開示内容の全体はここに包含されて参照される。追加の揮発性シリコーン材料は、Toddらの”Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”,Cosmetics and Toileteries,91:27−32(1976)に開示されていて、その開示内容の全体はここに包含されて参照される。直鎖状の揮発性シリコーンは、一般に、25℃において、約5センチストークス未満の粘度を有するのに対し、環状のシリコーンは、25℃において、約10センチストークス未満の粘度を有する。種々の粘度の揮発性シリコーンの例には、(Dow Corning社製の)Dow Corning 200、Dow Corning 244、Dow Corning 245、Dow Corning 344、およびDow Corning 345、(G.E.Silicones製の)SF−1204およびSF−1202 Silicone Fluids、(General Electric社製の)GE 7207および7158、および(SWS Silicone社製の)SWS−03314が含まれる。直鎖状の揮発性シリコーンには、数例を挙げると、ヘキサメチルジメチコン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびドデカメチルペンタシロキサンなどの低分子量のポリメチルシロキサン化合物が含まれる。
【0074】
非揮発性のシリコーンオイルには、典型的には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリルシロキサン、ポリアルキルアリルシロキサン、またはそれらの組み合わせが含まれる。ポリジメチルシロキサンは、好適な非揮発性シリコーンオイルである。非揮発性シリコーンオイルは、典型的には、25℃において、約10〜約60000センチストークス、好ましくは、約10〜約10000センチストークス、より好ましくは、約10〜約500センチストークスの粘度を有し、沸点は、大気圧において250℃より高い。非限定的な例には、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、およびジフェニルジメチコンが含まれる。
【0075】
揮発性および非揮発性のシリコーンオイルは、数例を挙げると、アルキル、アリール、アミン基、ビニル、ヒドロキシル、ハロアルキル基、アルキルアリール基、およびアクリレート基などの種々の官能基で、必要に応じて置換されてもよい。
【0076】
シリコーン中水型エマルションは、非イオン性の界面活性剤(乳化剤)で乳化される。好適な乳化剤には、米国特許第4122029号明細書に開示されたものを含むポリオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが含まれ、その開示内容は、ここに包含されて参照される。これらの乳化剤には、一般に、−(EO)−および/または−(PO)−基を側鎖に有するポリジオルガノシロキサン骨格、典型的にはポリジメチルシロキサンが含まれる。ここで、EOはエチレンオキシであり、POは1,2−プロピレンオキシであり、側鎖は、典型的には、水素または低級アルキル基(例えば、C1−6、典型的にはC1−3)でキャップされたり、水素または低級アルキル基が末端になっている。側鎖には、EOおよび/またはPOユニットが50以下(例えば、m+n≦50)、好ましくは、20以下、より好ましくは10以下含まれる。アルコキシル化された側鎖に加えて、シリコーン乳化剤には、シリコーン骨格にアルキル鎖ペンダントを有するものが含まれてもよい。他の好適なシリコーン中水型乳化剤は、米国特許第6685952号明細書に開示されていて、その開示内容は、ここに包含されて参照される。市販のシリコーン中水型乳化剤には、取引表記3225Cおよび5225C FORMULATION AIDとして、Dow Corningから入手可能なもの、General Electricから入手可能なSILICONE SF−1528、(ヴァージニア州のホープウェルにある)Gold Schmidt Chemical Corporationから入手可能なABIL EM 90とEM97、および(コネチカット州のダンベリーにある)OSI Specialitiesで販売されるSILWET(商標)シリーズの乳化剤が含まれる。
【0077】
これらに限られる訳ではないが、シリコーン中水型乳化剤の例には、PEG/PPG−18/18ジメチコン(商品名5225C、Dow Corning製)、PEG/PPG−19/19ジメチコン(商品名BY25−337、Dow Corning製)、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(商品名Abil EM−90、Goldschmidt Chemical Corporation製)、PEG−12ジメチコン(商品名SF1288、General Electric)、ラウリルPEG/PEG−18/18メチコン(商品名5200 FORMULATION AID、ダウコーニング製)、PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商品名9010および9011 silicone elastmer blend、Dow Corning製)、PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商品名KSG−20、信越製)、およびジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商品名KSG−210、信越製)が含まれる。
【0078】
水蒸気耐性を示すフィルムを得るには、乳化剤の選択と量が重要であることが分かっている。乳化剤自体が、水蒸気耐性を示すフィルムの形成に有害であったり、洗髪を繰り返したときの性能の持続性に悪影響を及ぼす可能性があるので、安定なエマルションを生成できる最低レベルの乳化剤が、組成物に含まれると好ましい。組成物中でのシリコーン中水型乳化剤の含有量は、典型的には、約0.001〜約10重量%、特に、約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは1重量%未満である。他の実施形態では、乳化剤は含まれなくてもよい。乳化剤が極めて少ないか含まれていない組成物の場合、該組成物は、勢いよく混合または振とうされた場合に、組成物が一時的にエマルションを形成し、容器内で一定期間分離されなかった場合に、2個の別個の相に分離されるような「用時振とう」型をなしてもよい。
【0079】
本発明の一実施形態では、1または複数種の疎水的な粒子材料とフィルム形成剤が、最初に、油中水型またはシリコーン中水型エマルションの油相またはシリコーン相に分散または溶解される。次に、油分またはシリコーンが、水相と混合されて、エマルションを形成する。エマルションには、典型的には、疎水性のフィルム形成剤と、油相またはシリコーン相に優先的に分散または溶解される何らかの疎水性色素が含まれる。
【0080】
ある実施形態では、本発明の組成物で処理された髪のつやを高める1または複数種の薬剤が含まれるのが望ましいことが分かっている。疎水的な粒子材料、特に、アルミナやシリカなどの疎水的に修飾された煙霧酸化物によって、消費者の観点から望ましくない可能性がある毛髪に、つや消し仕上げが付与される。髪のつやを修正する1または複数種の薬剤を含むことによって、耐水性を犠牲にせずに、髪のつやを回復できることが分かった。組成物が毛髪に塗布されるときに、粒子材料が覆われないように、つやを高める薬剤は、疎水的であると好ましく、室温で固体であると好ましい。例えば、半球状のPMMAなどのレンズ状の粒子がつやを与えるのに適していることが分かった。市販の材料は、商品名3D Tech PW(Plain) XP(Kobo)で販売されている半球状のメチルメタクリレートクロスポリマーである。他の好適なつや出し剤には、フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ポリブテン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテンが含まれる。
【0081】
屈折率が高いアリール置換されたシロキサンなどのシリコーン流体も、つや出し剤として有用である。特に言及されるのは、商品名SCI−TEC PTM 100(ISP)やPDM20(Wacker−Besil)で入手可能なフェニルトリメチコン、商品名PDM 1000(Wacker−Besil)で入手可能なトリメチルシロキシフェニルジメチコン(INCI名)である。PDM20材料の屈折率は、25℃において1.437である。PDM 1000材料の屈折率は、25℃において1.461である。別の好適なシリコーン流体は、トリメチルシロキシフェニルジメチコンである。一般に、25℃において1.4を上回る屈折率を有するアリール置換された全てのシリコーンが、本発明の組成物で処理された毛髪のつやを回復するのに適していると考えられる。Dow Corning HRIからHRI Fluidとして市販されているペンタフェニルトリメチルトリシロキサンまたはテトラフェニルテトラメチルトリシロキサンなどのフェニルシリコーンも、つやを出すのに有効である。メトキシケイヒ酸オクチルなどの特定の有機化合物が、つやを出すために用いられてもよい。
【0082】
つや出し剤は、典型的には、全組成物に対して、約0.01重量%〜約5重量%存在する。より典型的には、つや出し剤の成分は、組成物に対して、約0.05重量%〜約2.5重量%含まれる。好ましくは、つや出し剤は、組成物に対して、約0.1重量%〜約1.5重量%含まれ、この範囲には、つや出し剤が、組成物に対して、約0.1重量%、0.3重量%、0.5重量%、0,75重量%、1重量%、1.25重量%、または1.5重量%存在する実施形態が含まれる。
【0083】
上述したものに加えて、本発明に係る組成物には、煙霧アルミナまたは煙霧シリカの白色外観に対抗する追加の色素、光沢剤(pearlescent)、および/または着色剤、または毛髪に所望の色を付与する他のものが、該成分によって望まない製品の低下がもたらされない限り、含まれてもよい。これらに限られる訳ではないが、無機色素には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、フェリックブルー(ferric blue)および雲母が含まれ、有機色素には、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムレーキ、ウルトラマリン(ultramarine)、およびカーボンブラックが含まれ、これらに限られる訳ではないが、着色剤には、D&C Green#3、D&C Yellow#5、D&C Blue#1が含まれる。溶媒中での分散性を促進するために、色素および/または着色剤は、1または複数種の相溶化剤で覆われたり、表面処理されてもよい。好適な色素および/または着色剤は、疎水性を示すように表面処理されたものである。
【0084】
好適な着色剤には、酸化鉄、黒色酸化鉄、茶色酸化鉄、CI77489、CI77491、CI77492、CI77499、べんがら10−34−PC−2045、黒色色素11、茶色色素6、茶色色素7、赤色色素101、赤色色素102、黄色色素42、黄色色素43、赤色酸化鉄、合成酸化鉄、および黄色酸化鉄が含まれる。
【0085】
種々のフィラーと追加の成分が加えられてもよい。これらに限られる訳ではないが、好適なフィラーには、シリカ、処理済シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、雲母、カオリン、Orgasol(商標)などのナイロン粉末、ポリエチレン粉末、Teflon(商標)、窒化ホウ素、(Nobel Industries製の)Expancel(商標)などの共重合体ミクロスフィア、(Dow Corning製の)Polytrap(商標)およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(東芝のTospearl(商標))などが含まれる。
【0086】
これらに限られる訳ではないが、追加の色素および/または粉末フィラーには、ゴム、白亜、酸性白土、カオリン、セリサイト、モスコバイト、フロゴパイト、合成雲母、レピドライト、ビオタイト、リチア雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、スターチ、スメクタイト、粘土、アルキルおよび/またはトリアルキルアリルアンモニウムスメクタイト、化学的に修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機的に修飾されたモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸アルミニウムスターチケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成された硫酸カルシウム(焼成された石膏)、リン酸カルシウム、フッ化アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属セッケン(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、およびステアリン酸アルミニウム)、コロイド状の二酸化シリコーン、および窒化ホウ素などの無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、シクロデキストリン、ポリメチルメタクリル酸粉末(PMMA)、スチレンとアクリル酸の共重合体粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリエチレンテトラフッ化粉末、およびカルボキシビニルポリマーなどの有機粉末ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロールナトリウムなどのセルロース粉末、モノステアリン酸エチレングリコール、酸化マグネシウムなどの無機性の白色色素、および例えば、Bentone GelおよびRheopearl TT2などの安定剤/レオロジー改質剤が含まれる。他の有用な粉末は、米国特許第5688831号明細書に開示されていて、その開示内容は、ここに包含されて参照される。
【0087】
処理済の毛髪の水蒸気耐性と外観の縮れの低減が損なわれないならば、このような追加の色素、着色剤、およびフィラーの総量は、特に限定されない。存在するならば、典型的には、全ての追加の色素、着色剤、フィラーなどは、全組成物に対して、全体として、約0.1%〜約5%、より典型的には、組成物に対して、約0.1重量%〜約2重量%含まれる。
【0088】
本発明の組成物には、必要に応じて、ヘアケア製品に典型的に関連する他の活性および不活性成分が含まれてもよい。これらの他の成分の性質と含有量は、好ましくは、ケラチン繊維上に疎水的なフィルムを形成する安定なヘアケア製品を製造するのに好適である必要がある。これらの他の成分には、ケラチン繊維を改善する少なくとも1種の生理活性成分が含まれると好ましい。ヘアケア製品に追加の活性および/または不活性成分を選ぶことは、当該技術分野における技術常識の範囲内にある。これらに限られる訳ではないが、好適な他の成分には、アミノ酸、抗酸化剤、キレート剤、着色剤、皮膚軟化剤、乳化剤、賦形剤、フィラー、芳香剤、ゲル化剤、保湿剤、鉱物、保湿液、光安定剤(例えば、UV吸収剤)、防腐剤、安定化剤、汚染剤、界面活性剤、粘度および/またはレオロジー調整剤、ビタミン、蝋およびそれらの混合物が含まれる。本発明のヘアケア製品には、抗フケ剤、脱臭薬、日焼け止め剤および/または制汗剤が含まれてもよいと考えられる。存在するならば、このような追加の成分の量は、毛髪の外観の縮れを低減または予防する組成物の能力に悪影響を及ぼさないように賢明に選択される必要がある。全体として、全てのこのような追加の成分は、好適には、組成物に対して、5重量%未満、典型的には、組成物全体に対して、約2重量%未満、好ましくは、1重量%未満、より好ましくは、0.5重量%未満、理想的には、0.1重量%未満含まれる。
【0089】
一実施形態では、組成物には、カチオン性のヘアコンディショニング剤が含まれていないか、実質的に含まれていない。カチオン性のヘアコンディショニング剤が実質的に含まれていないとは、組成物に、0.5重量%未満、好ましくは、0.25重量%未満、より好ましくは、0.1重量%未満のカチオン性のコンディショニング剤が含まれることを意味している。
【0090】
他の実施形態では、組成物に、無水または極少量の水分を含むカチオン性(クオーターニウム)成分が、例えば1重量%未満の量だけ含まれていてもよい。これらに限られる訳ではないが、好適なクオーターニウム化合物には、ポリクオーターニウム37(INCI名)、シクロペンタシロキサンおよびシリコーンクオーターニウム18(INCI名)、PEG−2ジメドウフォームアミドエチルモニウムメトサルフェートおよびヘキシレングリコール(INCI名)、およびセトリモニウムクロリド(INCI名)が含まれる。存在するならば、このようなクオーターニウム化合物は、典型的には、全組成物に対して、約0.05重量%〜約1.5重量%、より典型的には、約0.1重量%〜約1重量%含まれる。
【0091】
本発明の組成物は、これらに限られる訳ではないが、シャンプー、コンディショナー、漿液、クリーム、エマルション、ゲル、軟膏、液体、分散体などの種々の洗い流すおよび残存させる形態を含む全ての好適な形態で調製されてもよい。
【0092】
一実施形態では、組成物は、毛髪に、ポンプで汲み上げられる、またはエアロゾル送出されるように調製されてもよい。エアロゾル送出するように調製された場合、組成物を髪の上に運搬する推進剤が含まれる。これらに限られる訳ではないが、好適な推進剤には、n−ブタン、イソブタン、およびイソブタン/プロパン、窒素、二酸化炭素、圧縮空気、亜酸化窒素、1,2−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジメチルエステル、およびこれらの混合物が含まれる。本明細書において、本発明の組成物の総重量が参照される場合、該重量は、推進剤の重量を除いたものだと理解される。
【0093】
一実施形態では、製品は、容器から組成物を分注する分注バルブなどのディスペンサに適合する容器を含むエアロゾル装置を含んで得られる。容器には、(例えば、1または複数種の粒子材料、1または複数種のフィルム形成剤、および揮発性溶媒を含む)本発明の組成物が充填される。好適な推進剤は、本発明の組成物を含む容器内に含まれてもよいし、デュアルチャンバ型のエアロゾル装置の第2の容器内に含まれてもよい。推進剤が、他の成分を含む容器内に含まれる場合、典型的には、推進剤を含む組成物に対して、約20重量%〜約50重量%存在する。
【0094】
毛髪の外観の縮れの予防と低減およびふわつく毛髪の量を低減に特に有害なのは、毛髪の表面にある粒子を被覆または被い隠したり、水を引きつけたり水と結合する可能性がある、プロピレングリコールまたはグリセリンなどの非揮発性の水溶性または水分散性の成分である。このような非揮発性の水溶性または水分散性の成分の組成物中での総量は、組成物の総重量を基準にして、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約1重量%未満、または約0.05重量%未満である。ある実施形態では、組成物には、非揮発性の水溶性または水分散性の成分、特に、液体の水溶性または水分散性の成分は含まれていない。
【0095】
これに限られる訳ではないが、他の任意的な成分には、毛髪にコンディショニング特性を付与するため、または触知できるフィルムの特性を改善するために導入されてもよいシリコーンエラストマーが含まれる。シリコーンエラストマーは、架橋結合された柔軟性を有するシリコーンであり、可逆的に大きく変形できる。このようなエラストマーは、例えば、白金触媒を用いて、SiHを含むジオルガノシロキサンと珪素にビニル基が結合されたオルガノポリシロキサンとを反応させて形成できる。好適なシリコーンエラストマーには、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、およびジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーが含まれる。一例として、Dow Corning 9040、9041および9506、Shin−Etsu KSG−15、16および17、Shin−Etsu KSP−100、101、102、103、104、105、200および300が挙げられる。エラストマーは、0.01%〜10%の濃度で存在すると好ましく、0.1%〜5%の濃度で存在するとさらに好ましく、1%〜3%の濃度で存在すると最適である。シリコーンエラストマーは、良好なフィルムを形成するものではなく、フィルム形成剤に対して粉末の比率を計算するときには含まれない。ビニルジメチコン/メチコン/シルセスキオキサンクロスポリマーは、このようなシリコーンエラストマーの1種であり、特に有用であることが分かっている。これらに限られる訳ではないが、必要に応じて存在してもよい他の成分には、コンディショナー(例えば、ポリクオーターニウム37/PGジカプリレート/トリデセス混合物)、美観調整剤(例えば、直径が4−8μmであるポリメタクリル酸メチル球状粉末)、シリコーン樹脂(トリメチルシロキシケイ酸など)、増粘剤(例えば、PEG150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)、日焼け止め剤、防腐剤、芳香剤などが含まれる。
【0096】
追加の成分が、フィラーとして、または化粧品分野でありふれた種々の機能的な目的を与えるために含まれてもよい。もっとも、上記の化粧品組成物を一貫して処方する追加の成分が含まれるとしても、含まれる追加の成分は、毛髪の外観の縮れの低減または予防と水蒸気耐性を有するフィルムの形成を妨害しない成分に限られる。
【0097】
本発明の無水組成物は、好適には、粒子材料を含む溶媒(例えば、エタノールおよびシクロメチコンペンタマー)とフィルム形成剤、および存在するならば、つや出し剤と任意的な成分を混合して調製されてもよい。これらの成分を添加する順番または混合する方法は実質的に制限されない。組成物は、室温で混合または均質化されてもよい。当該技術分野における全ての好適な技術を用いて形成された混合成分を混練することは、有用であるが、必ずしも必要でないことが分かった。例えば、4000RPMで約4分間運転されるSilversen L4RT混合機が好適であることが分かった。作業の完了ごとに、組成物は、例えば、ポンプスプレー、または後に推進剤を充填するエアロゾルスプレーに充填されてもよい。組成物が、それぞれが分離して調製される異なる相から調製されたエマルションである特定の実施形態では、相を結合して、室温で混合または混練することによって、あるいは当該技術分野における全ての他の好適な手段によって、エマルションが形成されてもよい。
【0098】
特に、乾燥し、損傷し、あるいは巻き毛になった毛髪において、ケラチン繊維に、疎水性の粒子材料とシリコーン系の疎水性フィルム形成剤との組み合わせを含むヘアケア組成物を塗布して、毛髪の外観の縮れと毛髪のふわつきを予防または低減する方法が、本発明によって提供される。本願明細書において、損法した毛髪とは、各種の毛髪繊維のことであって、外観、手触りまたは強度について有害な影響を受けた毛髪繊維のことを意味し、乾燥工程が頻繁に繰り返されることによって、毛髪繊維の手触りと強度に損傷が生じた、染髪処理された毛髪が含まれる。もっとも、本発明が適用されるのは、乾燥した、損傷した、または巻き毛の毛髪に限られない。本発明の方法と組成物は、美しい毛髪を含む全ての毛髪に適用されて、外観の縮れを低減または予防し、ケラチン繊維に耐水性フィルムを付与してもよい。
【0099】
本発明の組成物は、乾燥した毛髪または湿った毛髪に塗布されてもよい。本発明に係る組成物は、毛髪(頭髪、あごひげ、口ひげなど)に塗布されて、毛髪の外観の縮れが生じないように抵抗する力が付与されると好ましい。本発明の組成物は、毛髪繊維の軸を実質的に均一に被覆した毛髪の部位の至るところに分散されるとより好ましい。実質的に均一な分散は、毛髪の至るところに組成物を噴霧して、毛髪全体に組成物を沈着させて実現されてもよい。実質的に均一な分散は、組成物を手で毛髪に塗布して、すり込んで、組成物を指で毛髪の至るとことに広げて実現されてもよい。組成物は、ブラシまたは櫛を用いて毛髪全体に実質的に均一にする方法で、分散されてもよい。組成物は毛髪に塗布されて、毛髪に残存してもよい。これに代えて、組成物で処理された毛髪は、組成物を毛髪に塗布した後に、水で洗浄されてもよい。組成物は、消費者の要求に応じて、いつでも繰り返し塗布することができる。一実施形態では、組成物は、毎日、一日置きに、毎週、または隔週で塗布されてもよい。
【0100】
本発明の組成物は、毛髪、特に頭皮の毛髪に塗布されたときに、毛髪の外観の縮れを低減および/または予防し、不要な毛髪の量を減少させ、消費者がヘアスタイルを調え保てるように(例えば、毛髪をより扱いやすくしたり、容易に整えるように)改善し、ふわついた毛髪量を低減し、消費者が良好に一直線に並んだ毛髪を得ることができるように(例えば、乱れがちな、縮れた、またはふわついた毛髪をならしてなでつけるように)改善し、毛髪に望ましい触り心地(例えば、柔らかさまたは滑らかさ)を付与し、または消費者がヘアスタイルを保持したり拡張したり、または毛髪、特に頭皮の毛髪に塗布したときに、毛髪の量を変えたりできることがわかった。特に、本発明によれば、これらの特性が毛髪に付与されて、特に多湿状態において、毛髪に対する美的に望ましくない変化から保護することができる。
【0101】
毛髪の量とは、所定の範囲の毛髪が占有する構造体と構造空間を指していて、見た目や手触りによって生じる毛髪の見掛けの厚さに関係し、毛髪のこしにも関係する。こしは、触り心地、重量およびヘアセットによって決定できる。こしがなくなると、髪は柔らかな感触になり、処理しにくくなる。ある実施形態では、本発明の組成物によれば、毛髪の量を低減できる。例えば、本発明の組成物によれば、毛髪の量を少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%でさえ低減することができる。他の実施形態では、本発明の組成物によれば、毛髪の量は、約50%〜約100%、約65%〜約95%、約70%〜約90%、または約75%〜約85%低減される。
【0102】
前記組成物を毛髪に塗布すると直ぐに本発明の利益が生じ、該利益は塗布後、一定の時間持続する。前記利点は、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間または少なくとも18時間持続する。前記利点は、長期間持続してもよい。例えば、ある実施形態では、前記利点は、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日、少なくとも5日、または少なくとも1週間持続してもよい。他の実施形態では、前記利点は、半永久的に持続する。これは、前記利点が一週間以上の間持続することを意味している。好適な実施形態では、本発明の組み合わせで処理された毛髪は、少なくとも髪を1回シャンプーで洗った後に、先に特定された利点のいくつかまたは全て、特に外観の縮れに対する耐性が持続していてもよい。これは、髪を濡らし、髪にシャンプーを塗布し、髪をすすぐ1回のサイクルを意味している。より好適な実施形態では、本発明の組み合わせで処理された毛髪は、少なくとも毛髪を2回、3回、またはそれ以上シャンプーで洗った後に、先に特定された利点のいくつかまたは全て、特に外観の縮れに対する耐性が持続してもよい。
【0103】
先述の利点は、本発明の組成物で処理された見本を用いて試験できる。同様に、該組成物は、毛の美観を改善するために、犬などのペットの毛、または毛皮のコートなどの毛皮素材に塗布されてもよい。
【0104】
毛髪の量の変化は、C.R.Robbins and R.J.Crawfordによって、J.Soc.Cosmet.Chem.,35,pp.369−377(1984)に掲載された論文”A Method to Evaluate Hair Body”に記載された種々の技術や前記技術を修正した技術を用いて、毛束に基づいて測定されてもよい。前記論文の開示内容は、ここに包含されて本願明細書で参照される。毛髪の量の変化を評価する他の好適な方法には、毛束のデジタル写真を撮って、画像解析プログラムを用いて写真を分析することが含まれる。該画像解析プログラムは、Martech Personal Careの画像解析法として公知の市販の試験サービスである。毛髪の量の変化を評価する別の好適な手段には、半径方向寸法が異なるリングを通して毛束を引っ張り、引っ張りに要する力を量またははりの測定値に関連付けることが含まれる。この代替の試験の一例は、Dia−Stron Miniaure Tensil Tester 175を用いて実施され、該方法は、MarTech Personal CareのRadial Compression/Ring Methodとして公知の市販の試験サービスとして入手できる。毛髪の量の変化は、後述の試験プロトコルを用いて調査されると好ましい。
【0105】
(毛髪量の試験方法)
この方法は、細い欧州人の褐色のバージンヘアーを、ヘアホルダーと2cmのリングに取り付けるのに適した見本の形態に製造することを含む。各毛髪の見本は、リングに取り付けるのに適した重量と長さに構成され、毛束を2〜3回洗浄して前処理されてもよい。洗浄済のバージンヘアーの見本のそれぞれは、全ての測定値を得る前に、使用者が保持する端部が大きなくし(large end control comb)で5回とかされる。
【0106】
毛髪の毛束の量を試験するために、毛髪の見本は、一定速度で2cmのリングを通って引っ張られる。毛髪の毛束が2cmのリングを通って引っ張られる間に見本に加えられる力は、Dia−Stron Miniature Tensil Tester 170を用いて測定される。リングを通すために、毛髪の見本のそれぞれを引っ張るのに要する仕事量は、毛髪の毛束の全長に亘って毛髪に加えられた力の測定値の曲線の下方の領域を計算して得られる。これらの測定値の全ては、乾燥した毛髪から得られる。
【0107】
5〜6個の一連の測定値(曲線)が、分析前の洗浄済のバージンヘアーの毛束に対して得られる。ベースラインの値は、バージン毛束から得られた測定値から計算された平均仕事量を用いて決定される。次に、同一の毛髪の毛束が、本発明の組成物を用いて処理される。処理済の毛髪の毛束は、乾燥後、同様な方法で試験される。量の増加の割合は、処理済の毛髪の毛束から測定された平均仕事量とバージン毛束から得られたベースラインの平均仕事量を比べて決定される。仕事の増加は、毛髪量の増加の指標になる。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
この実施例によれば、毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物が得られる。剤型1Aと1Bは、表1に従って調製された。
【0109】
【表1】

【0110】
剤型1Aは、無水形態の例示的な実施形態である。剤型1Bによれば、用時振とう型のエマルションの例示的な実施形態が得られる。エマルションの持続時間を長くしたり、エマルションを安定化するために、剤型1Bに乳化剤が加えられてもよい。好適な乳化剤には、エトキシル化シリコーン乳化剤が含まれ、例えば、数ある中で、PEG−10ジメチコン、PEG/PPG−18/18ジメチコン、PEG/PPG−19/19ジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコンが含まれる。
【0111】
本願明細書に開示された特定の実施形態は、本発明のいくつかの態様を例示することを意図しているものであるので、本願明細書に記載され請求された発明は、該実施形態によって、その範囲を限定されるものではない。等価な実施形態の全てが、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際に、本願明細書中で示され記載されたものに加えて、本発明の種々の修正は、先述の記載から当業者にとって明らかである。このような修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることも意図される。本願明細書で引用された全ての刊行物は、その全体が参照されて包含される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を、毛髪に塗布することを含む、毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法であって、当該組成物が、
(a)メジアン粒径が約10nmと約20μmの間にあり、前記組成物に対して、約0.1重量%〜約2.0重量%含まれる疎水性粒子材料と、
(b)前記組成物に対して、約0.5重量%〜約20重量%含まれるシリコーン系の疎水性フィルム形成剤と、
(c)20℃での蒸気圧が約0.01mmHgより高い揮発性の炭化水素またはシリコーン流体と、を含み、
前記組成物中の全ての非揮発性で水溶性または水分散性の有機成分の総重量パーセントは、前記組成物の全重量を基準にして5%未満である、
毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項2】
前記疎水性粒子材料は、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、およびこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれる疎水性に表面修飾された酸化物を含む、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項3】
前記酸化物は、アルキルシラン基で表面修飾される、
請求項2に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項4】
前記アルキルシランは、カプリルシランである、
請求項3に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項5】
前記酸化物は、アルミナまたはシリカである、
請求項4に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項6】
前記アルミナは、表面修飾された煙霧アルミナである、
請求項2に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項7】
前記アルキルシランは、カプリルシランである、
請求項6に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項8】
前記シリカは、アルキルシラン基で表面修飾された煙霧シリカである、
請求項2に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項9】
前記アルキルシランは、カプリルシランである、
請求項8に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項10】
前記シリコーン系の疎水性フィルム形成剤には、ジメチコン、アモジメチコン、ジメチコノール、シリコーンポリウレタン、シリコーンアクリレート、またはこれらの組み合わせが含まれる、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項11】
前記シリコーン系の疎水性フィルム形成剤には、シリコーンアクリル酸コポリマーが含まれる、
請求項10に記載の毛髪の縮れた外観を予防または低減する方法。
【請求項12】
前記シリコーンアクリル酸コポリマーは、ポリアルキルアクリル酸骨格とアルキルエステル側鎖にグラフトされたジメチコンポリマーとからなるコポリマーである、
請求項11に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項13】
毛髪に塗布される前記組成物は、さらに水を含むエマルションである、
請求項3に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項14】
前記組成物には、さらにエチルアルコールが含まれる、
請求項13に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項15】
前記組成物は、ブラシ、櫛または指で毛髪の全体に分散され、毛髪繊維の軸を実質的に均一に被覆する、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項16】
前記毛髪の外観の縮れは、少なくとも1回シャンプーで洗った後に、低減または予防される、
請求項15に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項17】
毛髪の縮れの体積が低減される、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項18】
前記組成物は、毛髪に毎日塗布される、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項19】
前記組成物は、周囲の相対湿度が85%以上のときに、毛髪に塗布される、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項20】
前記組成物には、前記シリコーン流体が含まれ、
前記シリコーン流体の蒸気圧は、20℃において約0.01mmHgより高い、
請求項1に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する方法。
【請求項21】
毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物であって、当該組成物が、
(a)メジアン粒径が約10nmと約20μmの間にあり、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、およびこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれる疎水的に表面修飾された酸化物を含む疎水性粒子材料であって、前記組成物に対する含有量が約0.1重量%〜約2.0重量%である疎水性粒子材料と、
(b)前記組成物に対して、約0.1重量%〜約20重量%含まれるシリコーンアクリレート系のフィルム形成剤と、
(c)前記組成物に対して、約0.1重量%〜約20重量%含まれるシリコーン系のフィルム形成剤と、
(d)20℃での蒸気圧が約0.01mmHgより高いシリコーン流体を含む化粧品として許容されるビヒクルと、を含み、
前記組成物中での全ての非揮発性で水溶性または水分散性の有機成分の総重量パーセントは、前記組成物の全重量を基準にして、5%未満である、
毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項22】
前記シリコーン系のフィルム形成剤は、ジメチコン、アモジメチコン、ジメチコノール、シリコーンポリウレタン、およびこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれる、
請求項21に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項23】
揮発性のシリコーンは、シクロメチコンテトラマー、シクロメチコンペンタマー、シクロメチコンヘキサマー、トリシロキサン、メチルトリメチコン、またはこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれる、
請求項22に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項24】
前記酸化物は、アルキルシラン基で表面修飾される、
請求項21に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項25】
前記酸化物は、煙霧アルミナまたは煙霧シリカである、
請求項24に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項26】
前記酸化物は、煙霧アルミナであり、前記アルキルシランは、カプリルシランである、
請求項25に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項27】
前記ビヒクルには、さらにエチルアルコールが含まれる、
請求項21に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項28】
前記ビヒクルには、さらに水が含まれる、
請求項21に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項29】
前記組成物は、シリコーン中水型エマルション形態をとり、
前記エマルションには、さらに乳化剤が含まれる、
請求項28に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項30】
さらに、エチルアルコールが含まれる、
請求項29に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項31】
前記乳化剤は、−(EO)−および/または−(PO)n−基からなる側鎖を有する有機シロキサンポリマーを含み、
nとmの合計は約50以下であり、
前記側鎖の末端は、水素またはC1−8アルキル基である、
請求項29に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項32】
前記乳化剤には、peg−10ジメチコン、peg/ppg−18/18ジメチコン、peg/ppg−19/19ジメチコン、およびセチルpeg/ppg−10/1ジメチコンからなる群の中から選ばれる乳化剤が含まれる、
請求項31に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項33】
さらに、水溶性のフィルム形成剤が含まれる、
請求項21に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項34】
前記水溶性のフィルム形成剤は、クオーターニウムまたはポリクオーターニウムである、
請求項33に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。
【請求項35】
前記シリコーンアクリル酸コポリマーは、ポリアルキルアクリレート骨格とアルキルエステル側鎖にグラフトされたジメチコンポリマーとからなるコポリマーである、
請求項31に記載の毛髪の外観の縮れを予防または低減する組成物。



【公表番号】特表2013−510151(P2013−510151A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537914(P2012−537914)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054051
【国際公開番号】WO2011/056547
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】