説明

毛髪の染毛又は脱色方法、及び染毛用又は脱色用キット

【課題】ポンプフォーマーを用いた二剤式の泡状染毛剤又は脱色剤を円滑に使うための方法及びキットを提供すること。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤1と過酸化水素を含有する第2剤2とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、並びに容器本体12a及び容器本体12aに装着されるポンプフォーマー20を備える二剤式の染毛用又は脱色用キットを用いた毛髪の染毛又は脱色方法である。第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有する。混合液3の粘度が25℃において1〜300mPa・sである。ポンプフォーマー容器30は1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が1g以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の染毛又は脱色方法に関する。また本発明は、該染毛又は脱色方法に用いられる染毛用又は脱色用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
二剤式の毛髪染毛剤や二剤式の毛髪脱色剤としては、液状又はクリーム状のものが古くから広く普及している。しかし、これらを毛髪にむらなく塗布することは、慣れない人にとって難しい操作である。その理由は、髪に塗布する剤の粘度が、放置時の垂れ落ち防止のために、1000〜10000mPa・s程度と高めになるよう調整されており、そのことに起因して剤を均一に広げにくく、また毛髪の根元まで剤を充分に行きわたらせにくいからである。更に、毛髪の根元部分や後頭部への剤の塗布にはブロッキングや合わせ鏡等のスキルが必要とされ、操作に多くの時間を要する。
【0003】
これに対し、二剤式の毛髪染毛剤又は二剤式の脱色剤の混合液を、ノンエアゾールのフォーマー容器から泡状に吐出させる製品が知られている(例えば特許文献1)。この製品によれば、第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールのフォーマー容器から泡状に吐出することによって、慣れない人であっても簡単に混合液を毛髪にムラなく適用できる。その結果、仕上がりに色むらが生じにくくなる。またこの製品によれば、混合液を簡単に適用できるので、ブロッキングや合わせ鏡等のスキルが不要であり、操作に要する時間が従来の製品に比べはるかに短く済む。このような利点があることから、同文献に記載の製品は、市場に投入されたのが比較的最近であるにもかかわらず、商業的に成功をおさめ、大きな市場占有率を獲得している。
【0004】
特許文献1に記載の製品に用いられるノンエアゾールのフォーマー容器としてスクイズフォーマーを選択し、二剤式の毛髪染毛剤又は二剤式の毛髪脱色剤の操作を円滑に行うための技術についても知られている(特許文献2及び3参照)。これらの技術では、1回のスクイズで吐出される混合液の泡の量が、片手の上に載るのに適切な量である約3g以上であり、スクイズフォーマーのスクイズ量としては比較的多量な範疇に属する。それにもかかわらず、これらの文献に記載の技術によれば、スクイズを繰り返した後の混合液の泡質を、スクイズの開始当初から最後まで、極めてきめ細かくすることができるという効果や、毛髪全体の塗布に必要な全吐出質量を得るために行うスクイズの繰り返し数を低減し得るという効果が得られる。
【0005】
一方で、ノンエアゾールのフォーマー容器として、ポンプフォーマーが広く知られており、また手洗い用泡状洗剤や洗顔フォームのような日用品向けの容器として広く使われている。ポンプフォーマーはスクイズフォーマーと比較すると、1回の吐出操作あたりの泡の吐出質量を一定にしやすいという利点がある。また、吐出操作の開始当初から最後まで、気液混合比が一定の範囲内の泡が得やすいという利点も有している。しかしポンプフォーマーは、1回の押し下げ操作あたりの泡吐出質量が0.5g前後といった少量のものが主流であり、1g以上のものは、知られているものの、あまり使われていない。これは以下の(a)及び(b)に示す理由によるものと、考えられている。
【0006】
(a)1回の吐出操作あたりの泡の吐出体積は、1回の吐出操作あたりの泡の吐出質量(g)と気液混合比(mL/g)とで決まる。このうち気液混合比は、得られた泡の使いやすさの観点から、極端に変化させることはできない。よって、主に吐出質量の方で泡の吐出体積を調整することになる。
【0007】
(b)一方、1回の吐出操作あたりの泡の吐出体積は、ポンプフォーマーの空気室の体積に比例する。よって、1回の吐出体積を多くするには、ポンプフォーマーの空気室の体積を増やす必要がある。空気室の体積を増やすには、(1)空気室の高さを長くする(2)空気室の横断面の直径を大きくする、のいずれか一方又は両方を満たす必要がある。しかし、(1)の場合には1回の押し下げ距離(ストローク)がその分長くなるために、使いやすさの観点から、あまり長くすることはできない。(2)の場合には容器全体の横断面の面積も大きくなるので、当該容器を用いる製品の輸送効率や使いやすさ等の観点から、あまり大きくすることはできない。
【0008】
こういった事情から、一般に多く使われているポンプフォーマーは、1回の押し下げ操作あたりの泡吐出質量が0.5g前後となっているのである。したがって、多めの泡を一度に用いる場合、ポンプヘッドを押す回数が多くなる。手洗い用泡状洗剤や洗顔フォームの場合には、1回の洗浄又は洗顔あたりの泡の質量は、せいぜい1g前後であるので、ポンプヘッドを押す回数は2〜3回程度の少ない回数ですむ。この程度の回数ならば、使用者はそれほどの負担には感じないので、解決すべき課題として現在まで顕在化してこなかった。
【0009】
一方、二剤式の染毛剤を、ポンプフォーマーを用いて髪に適用するには、短時間で多量の泡を吐出させることになる。このことは、使用者に加わる身体的な負担が大きくなるという課題を、今回、本発明者は見出した。
【0010】
また、一般的なポンプフォーマーは、ポンプヘッドを短時間に何回も押すことを念頭に置いて設計されているので、ポンプヘッドを押し下げきった後、ポンプヘッドの押し下げ力を解除したときに、ポンプヘッドが押し下げ前の元の位置に直ちに戻すべく、バネを強くして、ポンプヘッドの押し圧はかなり高く設定してある。これを二剤式の染毛剤のように、1回の染毛操作全体で100g程度のまとまった量の剤を、5〜10分程度の短時間で髪に塗布しなければならない製品の場合には、短時間でポンプヘッドを100回以上押さなければならないので、使用者に加わる身体的な負担が一層大きくなる。
【0011】
加えて、下記に示すような解決手段により、使用者に加わる身体的な負担を軽減しようとしたところ、本発明者は、更に別の課題を見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−339216号公報
【特許文献2】国際公開第2008/136441号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/136433号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、スクイズフォーマーを用いた二剤式の泡状染毛剤では、該染毛剤を円滑に使うための技術が提案されているのに対して、ポンプフォーマーを用いた二剤式の泡状染毛剤では、該染毛剤を円滑に使うための技術は未だに提供されていないのが実情である。したがって本発明の課題は、ポンプフォーマーを用いた二剤式の泡状染毛剤を円滑に使うための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を解決すべく、本発明者は鋭意検討した結果、1回の押し下げ操作あたり、特定範囲の質量の泡が吐出されるポンプフォーマーを選択することによって、該ポンプフォーマーが二剤式の泡状染毛剤の泡吐出容器として円滑に使いやすいものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また本発明者は、1回の押し下げ操作あたり、特定範囲の質量の泡が吐出されるポンプフォーマーを用いた場合には、二剤式の泡状染毛剤の泡吐出容器として今までになかった新たな課題が生じることを発見した。そして、その新たな課題を解決する手段として、特定の形態のポンプフォーマーを採用することにより、該ポンプフォーマーが二剤式の泡状染毛剤の泡吐出容器として円滑に使いやすいものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち第1の本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、並びに
第1剤と第2剤との混合液を収容する容器本体、及び該容器本体に装着され、かつ該混合液を泡状に吐出させるポンプフォーマーを備える二剤式の染毛用又は脱色用キットを用いた毛髪の染毛又は脱色方法であって、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
前記混合液の粘度が25℃において1〜300mPa・sであり、
前記ポンプフォーマーが、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が1g以上であり、
以下の工程A)〜E)を含む毛髪の染毛又は脱色方法に係るものである。
A)第1剤と第2剤とを前記容器本体内で混合する工程。
B)前記容器本体に前記ポンプフォーマーが装着されたポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げて、前記混合液の泡を吐出させる工程。
C)吐出させた前記混合液の泡を髪に適用する工程。
D)髪に適用した前記混合液を3〜60分放置する工程。
E)髪に適用した前記混合液を洗い流す工程。
また第1の本発明は、該二剤式の染毛用又は脱色用キットに係るものである。
【0016】
また第2の本発明は、第1の発明において、ポンプフォーマー容器を正立させた状態において、該ポンプフォーマー容器の吐出口が、該吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度θが0〜70°に係るものである。
【0017】
第3の本発明は、第1の発明において、ポンプフォーマー容器の吐出口の面積が45〜200mm2に係るものである。
【0018】
第4の本発明は、第1の発明において、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態でポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げきるまでの最大荷重が10〜25Nに係るものである。
【0019】
第5の本発明は、第1の発明において、ポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げきった後、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態で該ポンプヘッドの押し下げ状態を解除したときに、該ポンプヘッドが押し下げ前の元の位置に戻るまでに0.2〜3秒要するものに係るものである。
【0020】
第6の本発明は、第1の発明において、ポンプフォーマー容器において、ポンプフォーマーの空気室が容器本体の外部に存在しているものに係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ポンプフォーマーを用いた二剤式の泡状染毛剤又は脱色剤を円滑に使うための方法及びキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(a)〜(d)は、本発明の二剤式の毛髪染毛用又は毛髪脱色用のキットの使用方法の一実施形態を示す模式図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の二剤式の毛髪染毛用又は毛髪脱色用のキットの使用方法の別の一実施形態を示す模式図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、第1剤と第2剤との混合液の泡を吐出させる状態を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明に用いられるポンプフォーマー容器におけるポンプフォーマーの要部拡大図である。
【図5】図5は、第1剤と第2剤との混合液の泡を吐出させるときの良くない状態を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明で用いられるポンプフォーマー容器の別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ここで本明細書において、各種の数値は、特に規定の無い場合、室温において測定した値であるものとする。室温とは25℃のことである。図1(a)〜(d)には、第1の本発明の二剤式の毛髪染毛用又は毛髪脱色用のキット(毛髪化粧品)の使用方法の一実施形態が示されている。本実施形態の毛髪染毛用又は毛髪脱色用のキット(以下、これらを総称して「毛髪化粧キット」と言う。)は、アルカリ剤を含有する第1剤1と、過酸化水素を含有する第2剤2とを有している。
【0024】
本発明において、二剤式の毛髪染毛用又は毛髪脱色用の組成物とは、第1剤1と第2剤2からなり、それらを使用時に混合して用いる染毛用又は脱色用の組成物を含む概念である。染毛用の場合、第1剤1はアルカリ剤と染料を含有し、第2剤2は過酸化水素を含有する。脱色用の場合、第1剤1は染料を含有することなくアルカリ剤を含有し、第2剤2は、過酸化水素を含有する。また、染毛用及び脱色用のいずれの場合も、本発明において用いられる組成物の概念には、過硫酸塩を含有する第3剤をも用いる形態も含まれる。その場合には、第1剤、第2剤及び第3剤が混合して用いられる。
【0025】
第1剤1は、第1容器11内に充填されている。第2剤2は、第1容器11よりも大きなサイズの第2容器12内に充填されている。第1容器11は、容器本体11aと、該容器本体11aの口部に螺合する蓋体11bとを備えている。同様に第2容器12も、容器本体12aと、該容器本体12aの口部に螺合する蓋体12bとを備えている。第2容器12の容器本体12aは、後述するように、ポンプフォーマー容器の容器本体を兼用している。
【0026】
第2容器12の容器本体12aは、胴部120と、胴部120の上部において滑らかに連なる肩部121と、肩部121の上部において上方に向けて開口した口頸部122とを備えている。胴部120は、その底面の形状が、高さ方向にわたって同じになっている。胴部120の底面の形状は、例えば円形や楕円形、あるいは略四角形とすることができる。底面の形状は容器全体への印刷のしやすさの観点から、一般的には円形や楕円形が採用されることが多い。肩部121は、その横断面の形状が、胴部120の底面の形状と相似形になっている。肩部121は、上方に向かうに連れて、その横断面が次第に縮径している。
【0027】
第1容器11は、第1剤1に含まれる染料の酸化及びアンモニアの揮発を防止するため、ガスが透過し難い材料から構成されていることが好ましい。一方、第2容器12は、第2剤に含まれる過酸化水素の分解によって生じる酸素に起因して容器12内の圧力が上昇することを防止するために、ガス透過性のある材料から構成されることが好ましい。
【0028】
本実施形態の毛髪化粧キットは、更にポンプフォーマー20を備えている。毛髪化粧キットの使用前の状態においては、ポンプフォーマー20は、容器本体と結合しておらず、単独の状態になっている。
【0029】
本実施形態の毛髪化粧キットを使用するときには、まず図1(a)に示す状態になっている第1容器11の蓋体11bを取り外し、これとともに第2容器12の蓋体12bを取り外す。そして図1(b)に示すように、第1容器11の容器本体11aを倒立させて、その口部を第2容器12の容器本体12aの口部内に挿入する。これによって、第1容器11の容器本体11a内に充填されている第1剤1を、第2容器12の容器本体12a内に注ぎ入れ、第1剤1と第2剤2とを混合する。この場合、図1(b)に示すように、第1容器11の容器本体11aの胴部は、その横断面のサイズが、第2容器12の容器本体12aの口部の横断面のサイズよりも大きくなっているので、第1容器11の容器本体11aの挿入は、第2容器12の容器本体12aの口部によって規制される。その結果、第1剤1を第2剤中に注ぎ入れるときに、第1容器11の容器本体11aが意図せず第2容器12の容器本体12a内に落ちてしまうことが防止される。
【0030】
第1剤1を第2剤2中に注ぎ入れて、第2容器12の容器本体12aには、第1剤1と第2剤2との混合液3が収容される。本発明においては、後述するように第1剤1と第2剤2はその粘度が、ジェル状やクリーム状の剤型と比較してはるかに低いので、第1剤1と第2剤2とが同一容器内に収容されただけでも、ある程度は混合される。よって後述するように、混合操作を行う前の状態であっても、第1剤1と第2剤2とが同一容器内に収容された状態であっても便宜上混合液3と呼ぶものとする。次いで、図1(c)に示すように、混合液3が収容された第2容器12の容器本体12aの口部から、ポンプフォーマー20を挿入する。ポンプフォーマー20は、容器本体12aに収容されている混合液3を泡状に吐出するために用いられる。ポンプフォーマー20は、空気室21、空気室21の底部から垂下する吸引管22、空気室21の上部に連なるポンプヘッド23等を有している。ポンプヘッド23内には、混合液3の吐出流路(図示せず)が形成されている。この吐出流路の一端は空気室21に連なる。吐出流路の他端は吐出口24において開口している。また、吐出流路内には、混合液3を泡状にするための泡生成部材や泡均質化部材(いずれも図示せず)が配置されている。泡均質化部材は、例えばメッシュシートや多孔質体等から構成されている。泡均質化部材は1個又は2個以上を用いることができる。例えば泡均質化部材としてメッシュシートを2個用いる場合には、空気室21に近い側のメッシュシートの目開きを、好ましくは50〜220メッシュ、一層好ましくは90〜195メッシュ、更に好ましくは130〜170メッシュとすることができる。一方、吐出口24に近い側のメッシュシートの目開きを、好ましくは150〜280メッシュ、更に好ましくは165〜250メッシュ、一層好ましくは180〜220メッシュとすることができる。ここで、メッシュとは、1インチ当たりの目の数をいう。以上の構成を有するポンプフォーマー20としては、従来公知の構造のものと同様のものを特に制限なく用いることができる。
【0031】
このポンプフォーマー20を備えたポンプフォーマー容器は、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が、従来のポンプフォーマー容器の吐出質量よりも多く設定されている。具体的には、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が1g以上に設定されており、好ましくは1.5g以上、更に好ましくは2g以上、一層好ましくは2.5g以上に設定されている。ポンプフォーマー容器の吐出質量を多く設定することには次の利点がある。すなわち、例えばセミロング(肩まで届く位の長さ)の毛髪全体を染毛又は脱色する場合、それに必要とされる混合液3の量は約100gと言われている。また、染毛又は脱色の操作は、第1剤1と第2剤2との化学反応の進行が進む前に完了させる必要がある。具体的には混合後約5〜10分以内という短時間で完了させる必要がある。したがって、約100gの混合液3を短時間でポンプフォーマー容器から吐出させるためには、1回当たりの吐出質量を多くして、少ない押し下げ操作回数で、目的とする量の泡を吐出させることが有利である。この観点から、本発明においては、ポンプフォーマー容器の1回の押し下げ操作あたりの吐出質量を前記の値以上に設定している。少ない押し下げ操作回数で、目的とする質量の泡を吐出させるためには、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量を多くすればするほど有利であるが、その反面、ポンプフォーマー20における空気室21の容積を大きくする必要がある。空気室21の容積を大きくすることは、ポンプフォーマー容器の容積を大きくすることにつながり、ひいては毛髪化粧キットの容積を大きくすることにもつながる。更に、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量を単に多くすると、ポンプヘッドを押し下げするときに混合液による抵抗が増大して押し圧が増してしまい、使いづらくなってしまう。また、本発明の泡状染毛剤を円滑に使うためにはフォーマー容器から吐出させた泡を、いったん片方の手に取ってから髪に適用することが好ましく、そのためには1回の押し下げ操作で得られる泡は片手で持てる範囲であることが好ましい。これらの観点から、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量の上限値は、好ましくは8g、更に好ましくは6g、一層好ましくは4gに設定する。なお、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量は、ポンプフォーマー20における液室(後述する図6において符号317で示す部位)の容積によって調整することができる。
【0032】
再び図1に戻ると、最後に、図1(d)に示すように、第2容器12の容器本体12aに、ポンプフォーマー20を螺合によって装着し、密閉して、ポンプフォーマー容器30が完成する。この状態においては、ポンプフォーマー20の空気室21は、容器本体12a内に位置している。このポンプフォーマー容器30は、後述する図3に示すように据え置き型のものでもよく、あるいは手で把持した状態で泡を吐出させるハンディ型でもよい。二剤式染毛剤用に使用するにおいて手頃な大きさであり、かつ染毛剤として泡の吐出操作と泡の適用操作を(特に両手で)繰り返し円滑に行い得る観点からは、ポンプフォーマー容器30は手で握る必要が無い据え置き型であることが好ましい。ポンプフォーマー容器30が完成したら、第1剤1と第2剤2との混合を促進させる。混合方法に制限はないが、例えば図1(d)に示すように、試験管を振とうするようにポンプフォーマー容器30を左右に軽く振る混合方法が挙げられる。ここで混合は、第2容器12の容器本体12aに、ポンプフォーマー20を装着する前に行うこともできる。この場合、第2容器12の蓋体12bで密閉した後に混合して、混合後にポンプフォーマー20を装着することが好ましい。ポンプフォーマー20の装着工程と混合工程の前後については、以下に示す別の混合方法を採用する場合も含め、いずれであってもよいが、蓋体12bの開閉操作を省略できる観点から、ポンプフォーマー20を装着した後に混合することが好ましい。
【0033】
別の混合方法として、ポンプフォーマー容器30を上下に激しく振とうする混合方法を採用することもできる。あるいは、ポンプフォーマー容器30を略正立状態から倒立ないし横倒し状態とし、再度略正立状態に戻す混合方法を採用することもできる。具体的には、ポンプフォーマー容器30を略正立状態から倒立ないし横倒し状態とし再度略正立状態に戻すサイクルを10秒間に好ましくは1〜30回、更に好ましくは1.5〜20回、一層好ましくは2〜10回の速さで行うと良い。略正立状態から倒立ないし横倒し状態とし再度略正立状態に戻す操作は好ましくは1〜15回、更に好ましくは2〜10回、一層好ましくは3〜7回行う。このようにポンプフォーマー容器30をゆっくりと振とうしても、本発明に用いられる第1剤1及び第2剤2はその粘度が、ジェル状やクリーム状の剤型と比較してはるかに低いから、均一な混合液3を容易に得ることができる。なお、本発明においては、先に述べた特許文献3に記載の技術と異なり、第1液1と第2液2とを混合して混合液3を得るときに、該混合液3が泡立つことは何ら差し支えない。ポンプフォーマーの空気室は外部から空気を取り込む機構であり、内容液が泡立って、ボトル内が泡で充満しても空気室へその泡が侵入することはない。そのため泡質が低下することは起こらないからである。
【0034】
以上の実施形態によれば、混合操作を効率的に行うことができ、かつ毛髪化粧キット全体の容積を小さくすることができるので有利である。
【0035】
図2(a)及び(b)には、第1の本発明の毛髪化粧キットの別の実施形態の使用方法が模式的に示されている。同図に示す毛髪化粧キットは、図1に示す毛髪化粧キットと同様に、第1容器11及び第2容器12を有している。各容器11,12内にはそれぞれ第1剤1及び第2剤2が充填されている。これらに加えて、本実施形態の毛髪化粧キットは、ポンプフォーマー容器30を有している。ポンプフォーマー容器30は、容器本体13aと、該容器本体13aの口部に螺合するポンプフォーマー20とを備えている。毛髪化粧キットの使用前の状態においては、ポンプフォーマー容器30の容器本体13a内は空になっている。ポンプフォーマー容器30の容器本体13aの形状は、先に述べた実施形態における第2容器12の容器本体12aの形状と同様であることが好ましい。
【0036】
図2(a)及び(b)に示す毛髪化粧キットを使用する場合には、まず図2(a)に示すように、第1容器11に充填されている第1剤1と、第2容器12に充填されている第2剤2とを、ポンプフォーマー容器30の容器本体13a内に注ぎ入れ、第1剤1と第2剤2とを混合する。混合方法は、先に述べた実施形態に関して説明した方法と同様とすることができる。この実施形態によれば、先に述べた実施形態と同様に、混合操作を効率的に行うことができ、かつポンプフォーマー容器30が容器本体13aと一体となっているので毛髪化粧キット全体の容積を小さくすることができるので有利である。また、本実施形態によれば、第1容器11に充填されている第1剤1と第2容器12に充填されている第2剤2とを小分けして使用することができ、1つの毛髪化粧キットを複数回使用できるので経済的であるという利点もある。この場合、第1容器11や第2容器12に使用量の目安となる目盛りを付してもよく、あるいは第1剤1と第2剤2とを計量用の容器(図示せず)で計量した後に、ポンプフォーマー容器30の容器本体13a内に注ぎ入れてもよい。更に、容器本体13a内が初期状態では空なので、容器本体13aが第1容器11と第2容器12とに比較して大きい場合には、第1容器11と第2容器12とのいずれか一方又は両方を容器本体13a内部に収容することができ、キット全体の容積の削減を図ることができる。また容器本体13aが大きければ、その分容器本体に熱が多く伝導することにより、第1剤と第2剤との混合時の発熱反応による熱を効率的に放熱することが期待できる。
【0037】
図2(a)に示す操作の第1の別法として、第1容器11に充填されている第1剤1と、第2容器12に充填されている第2剤2とを、別途に用意した容器(図示せず)内に注ぎ入れ、該容器内で第1剤1と第2剤2とを混合する操作を行うことができる。第1剤1と第2剤2とを混合する場合、容器を激しく振とうしたり、容器を倒立ないし横倒し状態としたりする場合には、容器の口部を蓋体(図示せず)で密閉することが好ましい。混合によって得られた混合液3は、ポンプフォーマー容器30の容器本体13内に移し替えられる。この操作によれば、図2(a)に示す操作と同様に、1つの毛髪化粧キットを複数回使用できるので経済的であるという利点がある。
【0038】
図2(a)に示す操作の第2の別法として、第1容器11の容器本体11aを倒立させて、その口部を第2容器12の容器本体12aの口部内に挿入し、第1容器11の容器本体11a内に充填されている第1剤1を、第2容器12の容器本体12a内に注ぎ入れ、第1剤1と第2剤2とを混合する操作を行うこともできる。この場合にも、混合によって得られた混合液3を、ポンプフォーマー容器30の容器本体13内に移し替えればよい。第1剤1と第2剤2とを混合する場合、容器を激しく振とうしたり、容器を倒立ないし横倒し状態としたりする場合には、第2容器12の容器本体12aの口部を蓋体12bで密閉することが好ましい。
【0039】
上述の第1の別法及び第2の別法に比べ、図2(a)に示す操作の方が、(i)毛髪化粧キットの構成要素の数を減らしてキット全体の体積を減らせる、(ii)混合操作から泡の吐出まで至る工程の数を減らせる、という利点があることから好ましい。
【0040】
混合操作完了後、いずれの実施形態であってもポンプフォーマー容器30のポンプヘッド23を押し下げて、混合液3の泡を吐出させる。泡の吐出においては、ポンプヘッド23の1回の押し下げ操作ごとに、ポンプヘッド23を押し下げきることが、少ない押し下げ操作回数で、多量の泡を吐出させることができる点から好ましい。
【0041】
泡を吐出させる場合には、例えば図3(a)に示すように、ポンプフォーマー容器30を平坦な台の上に載置し、この状態下に、片手でポンプヘッド23を押し下げて混合液3の泡4を吐出させる。このとき、吐出させた泡4を、ブラシやクシ等の道具で受け取っても、もう片方の手で受け取ってもよいが、もう片方の手に受け取るようにすることが、円滑な適用操作を行えることができる点から好ましい。ここで手を用いる場合には、手袋を装着することが好ましい。同図に示すポンプフォーマー容器30は据え置き型のものであるが、先に述べたとおり、ポンプフォーマー容器30としてハンディ型のものを用いることは何ら妨げられない。
【0042】
ここで、図3(a)に示す操作の別法として、図3(b)に示すように、ポンプフォーマーの容器本体の形状を略直方体(底面の形状が略長方形、特に略正方形である略直方体)とすることができる。一方の手でポンプヘッドを押しながら、もう片方の手で吐出させる泡を受け取る場合、ポンプフォーマーには一方の手のみで力を加えることになるので、容器30を支えるのは平坦な台のみとなってしまうので安定性に欠けるおそれがある。このような不安定な状態であっても、ポンプフォーマーの容器本体の底面の形状が略長方形ないし略正方形、特に略正方形であると、繰り返しポンプヘッドを押す操作をしても容器30が倒れ難い。しかも染毛剤のキット全体として収容箱の中での収容効率が良くなる。ここで「略」とは角をある程度に面取りするなど、多少の形状の変更を許容することを意味するものである。
【0043】
ポンプヘッドの押し下げ動作中に倒れにくくし、しかもキット全体の収容効率を図る観点から、ポンプフォーマーの容器本体の底面の面積は20〜60cm2が好ましく、30〜55cm2が更に好ましく、40〜50cm2が一層好ましい。
【0044】
次に、受け取った泡4を髪に適用する。染毛剤組成物を適用する毛髪には、ムラなく染毛できるとともに、液ダレを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、染毛処理の直前では整髪料が適用されていないことが好ましい。また、混合液が薄まらず、ムラなく染毛できるとともに、液ダレを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、乾いた毛髪であることが好ましい。染毛処理の直前に洗髪を行う場合には、染毛処理を行うまでに毛髪を乾燥させることが好ましい。毛髪を乾燥させるとは、少なくとも洗髪によって付着した水を主とする液体が、自然状態で垂れ落ちない程度まで除かれていることをいう。具体的には、タオルドライ状態やドライヤーにより乾燥状態とすることが好ましい。髪への泡4の適用には、例えばブラシやクシ等の道具を用いることができる。あるいは手に受けた泡4をそのまま手を用いて髪に適用することもできる。後者の適用方法を採用すると、泡4を髪の根元から毛先まで均一に、かつ容易に適用できるという利点がある。また本発明によればブロッキング操作が不要であるので、後者の方法によれば、ブロッキングしていない髪に混合液3の泡4を円滑に適用することができる。
【0045】
前記のいずれの方法を採用する場合であっても、泡4の髪への適用においては、ポンプヘッド23を1〜5回押し下げて吐出させた泡4を髪に適用した後、再びポンプヘッド23を1〜5回押し下げて泡4を吐出させる操作を繰り返すことが好ましい。この繰り返し単位あたりのポンプヘッド23を押し下げる回数は1〜4回が更に好ましく、1〜3回が更に好ましく、1〜2回が更に好ましく、最も好ましくは1回である。先に述べたとおり、本発明で用いられるポンプフォーマー容器30は、ポンプヘッド23の1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が、従来のポンプフォーマー容器よりも多く設定されているので、この程度の回数の押し下げ操作を行えば、手に受けた泡4の量は十分なものとなる。また、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が多く設定されているので、繰り返し単位あたりの泡の適用量も多くでき、誰でも簡単に均一に塗り広げやすくて綺麗に染毛することができるという利点がある。
【0046】
毛髪に泡4を適用する範囲は、毛髪全体であってもよく、特定の部分のみであってもよい。
【0047】
所定の量の(混合液3からなる)泡4を必要な量だけ毛髪に適用できたら、あるいは泡4の必要量全てを適用するまでの途中において、泡4が毛髪の根元まで十分にしかも均一に行きわたるように指で、シャンプーをするように泡4を揉み込むことが好ましい。揉み込むことにより、泡4が消えかかっても再度泡立つので混合液3が毛髪から垂れ落ちるのを防止することもできる。この場合、毛髪が絡まないようにするために、また泡4が飛び散らないようにするために、ゆっくりと揉み込むことが好ましい。揉み込む操作は、連続的に1回行ってもよく、断続的に複数回繰り返してもよい。このようにして、泡4を揉み込んだら、好ましくは3〜60分、より好ましくは5〜45分放置する。これによって、適用された混合液3によって毛髪が染められるか又は脱色される。そして所定時間の経過後、毛髪に適用した混合液3を水で洗い流し、染毛又は脱色操作を完了させる。混合液3を水で洗い流した後、必要に応じてシャンプー及び/又はコンディショナを適用することができる。
【0048】
以上の染毛又は脱色方法によれば、泡4の吐出操作の回数が少ないにもかかわらず、染毛又は脱色に必要な十分な量の泡4を吐出させることができるので、円滑に染毛又は脱色操作を行うことができる。かつブロッキング等の特殊な操作を行わずとも、髪の根元から毛先までむらなく染毛又は脱色を行える。
【0049】
次に、本発明で用いられる第1剤1及び第2剤2について説明する。第1剤1が含有するアルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。アルカリ剤の濃度は、第1剤1と第2剤2の混合液3におけるpHが好ましくは8〜12、更に好ましくは9〜11となるように適宜定められる。
【0050】
一方、第2剤2が含有する過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜9質量%、一層好ましくは3〜6質量%に設定し、第1剤1と第2剤2の混合液3中の過酸化水素濃度を、好ましくは1〜6質量%、一層好ましくは2〜5質量%とする。また、第2剤2のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、好ましくはpH2〜6、一層好ましくはpH2.5〜4とする。
【0051】
第1剤1と第2剤2は、いずれも水を主たる媒体とすることが好ましい。
【0052】
第1剤1と第2剤2の少なくとも一方は起泡剤を含有する。これにより、第1剤1と第2剤2の混合液3をポンプフォーマー容器30から吐出させることにより、容易に混合液3を発泡させ、かつその泡を持続させることができる。起泡剤としては、起泡性を持つものであれば何でも良いが、界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。この中でもアニオン界面活性剤又は両性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0053】
アニオン界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩等の硫酸エステル界面活性剤;脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、コハク酸アルキルの塩等のカルボン酸界面活性剤;アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル界面活性剤;スルホコハク酸塩、イセチオン酸塩、タウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等のスルホン酸界面活性剤等を使用することができる。好ましくは、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩が挙げられる。
【0054】
両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、スルホベタイン等を使用することが好ましい。
【0055】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル、アルキルアルカノールアミド等を使用することができ、なかでもアルキルポリグルコシド又はポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。好ましいアルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜14であって、グルコシドの縮合度が平均で1〜2のものが挙げられる。好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜18であって、ポリオキシエチレンの平均重合度が5〜40のものが挙げられる。
【0056】
カチオン界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等を使用することができる。半極性界面活性剤としては、アルキルアミノキサイド等を使用することができる。
【0057】
界面活性剤は二種以上を併用してもよい。第1剤1と第2剤2の混合液3中での界面活性剤の含有量は、頭髪に塗布しやすく、馴染みやすい泡を形成するために、0.1〜15質量%が好ましく、0.2〜10質量%が更に好ましく、0.5〜7質量%が一層好ましい。
【0058】
二剤式組成物が染毛用のものである場合に、第1剤1が含有する染料としては、酸化染料又は直接染料を挙げることができる。この酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4−アミノ−3−メチルフェノール、6−アミノ−3−メチルフェノール、オルトアミノフェノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール等の染料前駆体、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、メタアミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1−ナフトール等のカップラーが挙げられる。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド12、ベーシックレッド51、ベーシックブルー99、アシッドオレンジ7等を挙げることができる。
【0059】
第1剤1と第2剤2の少なくとも一方には、ポンプフォーマー容器30から吐出した混合液3の泡の泡持ちをよくし、泡を毛髪に適用した後にその泡がつぶれて液だれが生じることを抑制するため、高級アルコールを含有させることが好ましい。高級アルコールとしては、炭素数14〜24のものが好ましく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、2種以上を併用することができる。第1剤1と第2剤2との混合後の染毛用組成物全体に対して、好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、一層好ましくは0.2〜1質量%、更に更に好ましくは0.3〜0.8質量%含有する。
【0060】
このほか、第1剤1と第2剤2は、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。例えば、第1剤1と第2剤2の混合液3を毛髪に適用後、水分が蒸発し、過酸化水素等の刺激性成分が濃縮されて頭皮が刺激を受けることをなくすために、ポリオール類、その低級アルキルエーテル類等の不揮発性親水性溶剤を添加することが好ましい。また、泡質をしっかりとしたものとし、髪の根元から毛先まで行きわたらせやすく、液ダレしない泡を形成するために、更にコンディショニング効果を毛髪に付与するために、両性若しくはカチオン性ポリマー等を含有させることも好ましい。香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、ジブチルヒドロキシトルエン、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、硫酸オキシキノリン等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の有機溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、保湿剤等も適宜含有することができる。
【0061】
第1剤1の粘度(25℃)は、好ましくは1〜50mPa・s、更に好ましくは3〜40mPa・s、一層好ましくは5〜30mPa・sである。第2剤2の粘度(25℃)は、好ましくは1〜300mPa・s、更に好ましくは3〜200mPa・s、一層好ましくは5〜100mPa・sである。第1剤1と第2剤2との混合液3の粘度(25℃)は、1〜300mPa・sに設定し、好ましくは1〜100Pa・s、更に好ましくは3〜60mPa・s、一層好ましくは5〜50mPa・sに設定する。粘度の数値は、東京計器株式会社製B型回転粘度計(モデルTV−10)で、ローターNo.1を用い、ローターを1分間回転させた後の値である。測定対象が100mPa・s以下の場合の回転速度は60rpm、100〜200mPa・sの場合は30rpm、200〜500mPa・sの場合は12rpmで測定する。粘度は、第1剤1、第2剤2、混合液3のいずれも、25℃の恒温槽において測定するものとする。混合液3の場合、混合後直ちに測定するものとし、反応熱による温度変化は無視するものとする。混合液3の粘度を上述の範囲とすることによって、ポンプフォーマー容器30から吐出された泡状の該混合液3を毛髪へ適用し易い泡体積(気液混合比)を温度依存性なく実現しやすく、かつ混合液が毛髪に塗布されてから毛髪上で放置されている間の垂れ落ちを抑制できるので効果的である。ここで、気液混合比は、剤の髪への馴染み易さ及び塗り易さの点から、7〜40mL/g が好ましく、10〜30mL/gが更に好ましい。なお、ここでの気液混合比は次のようにして測定するものとする。
【0062】
ポンプフォーマー容器の容器本体内に、室温に調整しておいた第1剤と第2剤を投入し、均一に混合する。第1剤と第2剤とを同一容器内に投入してから1分経過後、50mLの容積の容器に目一杯の泡を吐出させ、溢れた分をすりきって50mLの泡を得る。泡を収容した容器の質量を測り、吐出(収容)した泡の質量を得る。この吐出された泡の質量(g)で体積50mLを割ることにより気液混合比(mL/g)が得られる。
【0063】
第1剤1と第2剤2の混合液3の粘度を上述の範囲に調整する方法としては、例えば第1剤1又は第2剤2にエタノール等の水溶性溶剤を添加したり、あるいは前述の界面活性剤、ポリオール類又は高級アルコールの種類や添加量を適宜調整したりする方法を採用すればよい。
【0064】
第1剤1と第2剤2の混合比は、染毛剤又は脱色剤から得られる色や明るさ等に応じて適宜定めることができる。具体的には質量比で第1剤:第2剤=3:1〜1:3が好ましく、より好ましくは2:1〜1:2である。
【0065】
第1剤1と第2剤2との合計量は、適用する髪の長さ、髪全体への適用かそれとも部分適用か、分割使用かそれとも一度に全て使用するか、などにもよるが、1つの毛髪化粧キット全体として、好ましくは50〜1000mL、更に好ましくは60〜500mL、一層好ましくは70〜300mL、更に一層好ましくは80〜200mLである。
【0066】
第2の本発明の毛髪化粧キットでは、第1の本発明の毛髪化粧キットにおいて、ポンプフォーマー容器30を正立させた状態において、図4に示すように、ポンプフォーマー容器30の吐出口24が下方を向いている。具体的には、吐出口24の開口面の垂線L1と鉛直方向L2とのなす角度θが好ましくは0〜70°、更に好ましくは10〜60°、一層好ましくは20〜50°となっている。吐出口24の向きをこのように設定することには、次の利点がある。
【0067】
一般的には吐出口が例えば図5に示すように水平方向ないしそれに近い方向を向いていることが多い。これは、吐出口部分の形状を金型から得るには、吐出口の向きは水平ないしそれに近い方向であることが、生産効率が良いからである。また従来のように、1回の吐出あたりの質量が少ない製品では、吐出口の向きが水平ないしそれに近い方向であっても何ら問題が無かった。
【0068】
一方で、本発明の毛髪化粧キットにおけるポンプフォーマー容器30は、先に述べたとおり、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているものである。吐出口が例えば図5に示すように(本図面のみ、便宜上、手袋をしていない状態で示しているが、手袋をしていることを意図している)水平方向ないしそれに近い方向を向いている場合には、ポンプヘッド23を意図せず勢いよく押し下げてしまうと、泡4が勢いよく吐出されて、同図に示すように、泡4が手のひらに首尾良く受け取られず、飛び散ってしまうという課題が生じることがある。このような課題は、染毛剤又は脱色剤キットとして1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているという本発明に特有のものであり、従来の技術、例えば特許文献1ないし3に記載の技術では生じ得ない課題である。かかる課題を解決することを目的として、第2の本発明においては、吐出口24の向きを従来の常識に反して上述のように設定している。このことによって、泡4が勢いよく吐出されても、図3に示すように、泡4を手のひらに首尾良く受け取ることができる。吐出口24の開口面の垂線L1と鉛直方向L2とのなす角度θを上述の範囲に設定するには、例えば通常ポンプヘッド23と吐出口24とは同一パーツからなるところ、ポンプヘッド23とは別のパーツを取り付けること等により行うことができる。
【0069】
第3の本発明の毛髪化粧キットでは、第1の本発明の毛髪化粧キットにおいて、ポンプフォーマー容器30におけるポンプフォーマー20の吐出口24の面積が従来のポンプフォーマーの吐出口の面積よりも大きく設定されている。具体的には、吐出口24の面積は好ましくは45〜200mm2、更に好ましくは55〜150mm2、更に好ましくは65〜100mm2に設定されている。吐出口24の面積をこのように大きく設定することには次の利点がある。すなわち、本発明の毛髪化粧キットにおけるポンプフォーマー容器30は、先に述べたとおり、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているものである。したがって、ポンプヘッド23を意図せず勢いよく押し下げてしまうと、泡4が勢いよく吐出されてしまい、泡4が手のひらに首尾良く受け取られず、飛び散ってしまうという課題が生じることがある。このような課題は、染毛剤又は脱色剤キットとして1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているという本発明に特有のものであり、従来の技術、例えば特許文献1ないし3に記載の技術では生じ得ない課題である。かかる課題を解決することを目的として、第3の本発明においては、吐出口24の面積を、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量との関係で、上述の範囲に設定している。このことによって、ポンプヘッド23を勢いよく押し下げても、泡4はそれほど勢いよく吐出されなくなるので、泡4を手のひらに首尾良く受け取ることができる。
【0070】
第4の本発明の毛髪化粧キットでは、第1の本発明の毛髪化粧キットにおいて、ポンプフォーマー容器30のポンプフォーマー20におけるポンプヘッド23を押し下げきるまでの最大荷重を、従来のポンプフォーマーのポンプヘッドの押し下げ荷重よりも軽く設定している。具体的には、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態でポンプヘッド23を押し下げきるまでの最大荷重が、好ましくは10〜25N、更に好ましくは12〜23N、更に好ましくは15〜22Nに設定されている。従来のポンプフォーマーのポンプヘッドの押し下げ荷重が重く設定されていたのは、連続してポンプヘッドを押すためにポンプヘッドの位置がすぐに、引っかからずに確実にポンプヘッドが原点復帰しなければならない、という常識があったからである。それを軽くすることは常識に反することであった。それにもかかわらず、本発明においてポンプヘッド23の押し下げ荷重をこのように軽く設定することには、次の利点がある。すなわち、先に述べたとおり、本発明の毛髪化粧キットにおけるポンプフォーマー容器30は、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているものである。したがって、1回の押し下げ操作だけでも十分な量の泡4を手に受けることができる。しかし、押し下げ操作時の荷重が大きいと、押し下げに過度の力を要し、使用者の身体的な負担が大きくなるという課題が生じる場合がある。更に、押し下げ操作時の荷重が大きいと、使用者は意図せず勢いよく押し下げてしまう傾向にある。先に述べたとおり、意図せず勢いよく押し下げることは、泡4が手のひらに首尾良く受け取られず、飛び散ってしまうという課題が生じる原因になることがある。また、勢いよく押し下げることは、押し下げ操作が不安定になるという課題が生じる原因になることもある。よって、染毛剤の使用においては有利とは言えない。このような課題は、染毛剤又は脱色剤キットとして1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているという本発明に特有のものであり、従来の技術、例えば特許文献1ないし3に記載の技術では生じ得ない課題である。かかる課題を解決することを目的として、第4の本発明においては、押し下げ操作時の荷重を上述の範囲に設定している。このことによって、比較的小さな力で押し下げ操作を行うことができるので、使用者の身体的な負担が軽減され、また押し下げ操作を安定的に、かつ意図せずとも押し下げ操作を緩やかに、ひいては吐出させた泡を確実に片手で受け取ることができる。押し下げ操作時の荷重を上述の範囲に設定するには、ポンプヘッド23に備えられているバネとして適切な弾性を有するものを選択すること等により行うことができる。
【0071】
ポンプフォーマー容器30のポンプヘッド23を押し下げきるまでの最大荷重の測定は次のとおりに行うものとする。すなわち、ポンプフォーマーの容器本体内に、室温に調整した第1剤と第2剤との混合液を投入し、均一に混合する。第1剤と第2剤とを同一容器内に投入してから1分経過後、空押しを数回行って泡が安定に吐出されるようになった後、ユニパルス株式会社製押し圧試験機ダイナミックフォースプロセッサF381を用い、押しスピード30mm/秒の速度でポンプヘッドを目一杯押し下げる。押し下げる過程の得られる最大の荷重を測定値とする。
【0072】
第5の本発明の毛髪化粧キットでは、第1の本発明の毛髪化粧キットにおいて、ポンプフォーマー容器30のポンプフォーマー20におけるポンプヘッド23を押し下げきった後、ポンプヘッド23の押し下げ状態を解除したときに、ポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間を制御している。具体的には、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態でポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間を好ましくは0.2〜3秒、更に好ましくは0.4〜2秒、更に好ましくは0.6〜1.5秒という比較的長い時間に設定している。通常のポンプフォーマー容器では、ポンプヘッドは、押し下げ前の元の位置に瞬時に戻るようになっている。本発明におけるこの時間設定は、先に述べた第4の本発明との関係において、特に技術的意義を有するものである。すなわち、ポンプヘッド23の押し下げ操作時の荷重を軽くすることは、換言すれば、ポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間が長くなることである。ポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間が長くなることは、一般的に言って、繰り返しポンプヘッドを押す操作を行うこととの関係で操作全体の遅延を招きかねないので有利とは言えない。特に上述の範囲の時間は一般のユーザーにとって、従来との差が明らかにわかる時間であるので尚更である。しかし、先に述べたとおり、本発明においては、染毛剤又は脱色剤キットとして1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出量が多く設定されているので、ポンプヘッド23を押し下げて泡4を吐出させれば十分な量の泡4が吐出されるので、1回の押し下げ操作のみでも十分な泡4を毛髪に適用することができる。したがって押し下げ操作を行ってから次の押し下げ操作を行うまでの時間の間隔が、従来のポンプフォーマー容器よりもはるかに長い。そのために、ポンプヘッド23を押し下げた後、これが押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間を短くする必要がない。換言すれば、ポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでに時間を要しても、染毛又は脱色の操作が遅延するということが起こらず、円滑に染毛操作を行うことができる。しかも先に述べた第4の本発明との関係において、ポンプヘッド23の押し下げ操作時の荷重が軽くなっているので、却って円滑に染毛操作を行うことができる。
【0073】
ポンプヘッド23を押し下げきった後、ポンプヘッド23の押し下げ状態を解除して、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態でポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻るまでの時間は、次のようにして測定される。すなわち、容器本体中に十分な量の混合液が存在した状態のポンプフォーマーを用意する。ポンプヘッド23を押し下げきった後、ポンプヘッド23の押し下げ状態を解除する前の任意の時点からポンプフォーマー容器を対象にビデオ撮影を開始する。押し下げ状態を解除してポンプヘッド23が押し下げ前の元の位置に戻って停止した後にビデオ撮影を停止する。撮影後に撮影した画像をコマ送りで再生する。ポンプヘッドが動いている状態のコマ数から求める時間を得る。
【0074】
第6の本発明の毛髪化粧キットでは、第1の本発明の毛髪化粧キットにおいて、図6に示すように、ポンプフォーマー容器30におけるポンプフォーマー20の空気室21が容器本体30aの外部に存在している。これまでに説明してきた実施形態においては、図6に示す実施形態と異なり、ポンプフォーマーの空気室は容器本体の内部に位置していた。本実施形態のように、空気室を容器本体の外部に位置させることには次の利点がある。すなわち、本発明の毛髪化粧キットにおけるポンプフォーマー容器30は、先に述べたとおり、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているものである。そして、泡4の吐出質量を多くするためには、ポンプフォーマーの空気室21の容積を大きくする必要があることも、先に述べたとおりである。しかし、空気室21をポンプフォーマー容器30の容器本体内に収容させるときに、空気室21の容積が大きいと、該容器本体の容積を必然的に大きくする必要がある。このことは、毛髪化粧キットの容積が大きくなってしまうという課題が生じる原因となる。このような課題は、染毛剤又は脱色剤キットとして1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量が多く設定されているという本発明に特有のものであり、従来の技術、例えば特許文献1ないし3に記載の技術では生じ得ない課題である。かかる課題を解決することを目的として、第6の本発明においては、ポンプフォーマー20の空気室21を容器本体30aの外部に位置させている。これにより、1回の押し下げ操作あたりの泡4の吐出質量を多くしても、ポンプフォーマー容器30全体の容積を小さくさせることができ、ひいては染毛用又は脱色用キット全体の容積も小さくすることができる。また、ポンプフォーマー容器30における容器本体の内部に空気室が存在しない分だけ、該容器本体の内部がすっきりしたものとなり、第1剤1と第2剤2とを混合を一層行いやすくなる。
【0075】
本実施形態におけるポンプフォーマー容器30の具体的な構造は以下のとおりである。すなわちポンプフォーマー容器30は、内容液を収容する容器本体30aと、容器本体30aの口首部312に取り付けられるポンプフォーマー20とからなり、ポンプフォーマー20は、ピストン部315と接続する往復動可能なポンプヘッド314を備えており、ポンプヘッド314が押圧されることにより、加圧されたシリンダ部316の小径の液室317から混合室319に内容液を送る第1流路320と、加圧されたシリンダ部316の大径の空気室21から混合室319に空気を送る第2流路321とを開放し、混合室319に送られた混合液と空気とを混合室319から吐出口24に至る発泡流路323において混合し発泡させて吐出する容器である。
【0076】
ピストン部315は空気室の中央部分を貫いて下端部分が液室317の内周面に沿って摺動する筒状ピストン部材324と、筒状ピストン部材324から径方向外側に張り出して設けられて空気室21の内周面に沿って摺動するエアピストン部材325とを含んで構成されており、かつポンプフォーマー20は、空気室21の底部周縁部321aを容器本体30aの口首部312の上方に配置すると共に、空気室21の外周面321bを口首部312の外周面312bに沿って配置して、空気室21を外側に設けた状態で、口首部312に一体として取り付けられている。
【0077】
空気室21の底部の外周面321bには雄ネジ部が形成されており、この空気室21の雄ネジ部と、口首部312の外周面312bに形成された雄ネジ部との双方に螺合する雌ネジ部が内周面に形成された接合スリーブ部材326を介して、ポンプフォーマー20が口首部312に一体として取り付けられている。
【0078】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されず、当業者の通常の知識の範囲内において、前記の各実施形態に対して適宜の改変を行った形態は、本発明の範囲内のものである。
【0079】
〔試験例〕
花王株式会社製「プリティアふんわり泡カラー」(色:カスタードブラウン 第1剤と第2剤との混合液の25℃における粘度12mPa・s、混合液の合計質量100g、フォーマー容器はスクイズフォーマー)の第1剤と第2剤を取り出し、下記試験に用いた。
〔試験例1〕
大和製罐株式会社製の据え置き型のポンプフォーマーG3(設計仕様:吐出質量3.0g、吐出体積30cm3、気液混合比10mL/g、ポンプヘッドのストローク20mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は5°、吐出口の断面積50mm2、標準に添付されているボトル本体は円筒状で、底面積は44.2cm2)の容器本体に、前記第1剤と第2剤を入れた。ユニパルス株式会社製の押し圧試験機ダイナミックフォースプロセッサ F381を用い、押しスピード30mm/秒でポンプヘッドを目一杯押した。最大荷重は29.0N(容器が空のときは16.9N)であった。押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.13秒であった。ポンプヘッドの1回の押し下げで実際に吐出された泡は、質量が3.1g、泡の体積が31cm3、気液混合比が10mL/gであった。当該泡は、ポンプヘッドの押し下げ操作1〜2回で片手に取るのにちょうどよく、手からこぼれ落ちないものである。
【0080】
〔試験例2〕
ポンプヘッドを利き手で押す以外は試験例1と同様に試験を行った。何回かポンプヘッドを押すと、押し圧が重いこともあって、無意識のうちに、試験例1の押しスピードに比べて素早く押す(目安として押しスピード50mm/秒程度)傾向であった。素早く押すと、吐出させた泡が、受け取る手のひらからこぼれ落ちることが多かった。
【0081】
〔試験例3〕
大和製罐株式会社製ポンプフォーマーG3の吐出口に別パーツを取り付けて、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度を30°に調整した。それ以外は試験例2と同様に試験を行った。ポンプヘッドを素早く押しても(目安として押しスピード50mm/秒程度)、泡は手からこぼれ落ちなかった。
【0082】
〔試験例4〕
大和製罐株式会社製ポンプフォーマーG3のバネを取り出して、株式会社ミスミから入手したバネ(型番:WY10−65 直径10mm、長さ65mm)を代わりに取り付けた。それ以外は試験例1と同様に試験を行った。最大荷重は19.7N(容器が空のときは9.9N)であった。押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.77秒であった。ポンプヘッド1回押し下げで実際に吐出された泡は、質量が2.8g、泡の体積が31cm3、気液混合比が11mL/gであった。ポンプヘッドの戻る速度は、試験例1と比較すると、一目でわかる位に遅く、常識的には繰り返し使用には向かないと思われた。しかし染毛用として使うと却って使いやすいものであることがわかる。
【0083】
〔試験例5〕
大和製罐株式会社製の据え置き型のポンプフォーマーE3(E3の中でも設計仕様は複数のものが存在するが、本試験例で用いたものの設計仕様は以下のとおり:吐出質量1.6g、吐出体積20cm3、気液混合比12.5mL/g、ポンプヘッドのストローク20mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は5°、吐出口の断面積50mm2、標準に添付されているボトル本体は円筒状で、底面積は28.3cm2)の容器本体に入れた。最大荷重は24.1N(容器が空のときは15.2N)であった。押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.13秒であった。実際に吐出された泡は、質量が1.64g、泡の体積が26cm3、気液混合比が16mL/gであった。当該泡は、ポンプヘッドの押し下げ操作2回程度で片手に取るのにちょうどよく、手からこぼれ落ちないものである。
【0084】
〔試験例6〕
特許文献1(特開2004−339216号公報)の実施例に記載されている、大和製罐株式会社製のハンディ型のポンプフォーマーF2(設計仕様:吐出質量0.75g、吐出体積10cm3、気液混合比13.3mL/g、ポンプヘッドのストローク15mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は0°、吐出口の断面積38mm2、標準に添付されているボトル本体は円筒状で、底面積は17.3cm2)を用いた以外は試験例1と同様に試験を行った。最大荷重は24.4N(容器が空のときは23.1N)、押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.07秒であった。実際に吐出された泡は、質量0.74g、泡体積が10cm3、気液混合比が14mL/gであった。当該泡は、ポンプヘッドの押し下げ操作5回程度押してやっと片手に取るのにちょうどよい量である。最大荷重は他の試験例よりも小さめではあるが、押す回数が多く、しかもハンディ型なので何回も押し続けていると疲れるものである。
【0085】
〔試験例7〕
中華民国にて市販されている、ポンプフォーマーによる2剤式泡状染毛剤「夢17 慕斬染」(委託製造:東安生技實業社)に同梱されている据え置き型のポンプフォーマー容器を用いた以外は試験例1と同様に試験を行った。ポンプヘッドのストローク17mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は0°、吐出口の断面積36mm2、ボトル本体は楕円筒状で、底面積は15.8cm2であった。最大荷重は33.8N(容器が空のときは32.5N)、押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.07秒であった。ポンプヘッド1回押し下げで実際に吐出された泡は、質量が0.78g、泡体積が9.4cm3、気液混合比が12mL/gであった。
【0086】
〔試験例8〕
中華民国にて市販されている、ポンプフォーマーによる2剤式泡状染毛剤「PRETTY COLOR」(製造:法實科技社)に同梱されているハンディ型のポンプフォーマー容器を用いた以外は試験例1と同様に試験を行った。ポンプヘッドのストローク15mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は0°、吐出口の断面積20mm2、ボトル本体は円筒状で、底面積は17.9cm2であった。最大荷重は24.9N(容器が空のときは23.3N)、押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.10秒であった。ポンプヘッド1回押し下げで実際に吐出された泡は、質量が0.76g、泡体積が8.4cm3、気液混合比が11mL/gであった。
【0087】
〔試験例9〕
中華人民共和国にて市販されている、ポンプフォーマーによる2剤式泡状染毛剤「BUBBLE HAIR COLOR」(製造:広州温雅日用化粧品社)に同梱されているハンディ型のポンプフォーマー容器を用いた以外は試験例1と同様に試験を行った。ポンプヘッドのストローク15mm、吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度は0°、吐出口の断面積28mm2、ボトル本体は円筒状で、底面積は15.2cm2であった。最大荷重は30.1N(容器が空のときは29.8N)、押し下げ力を解除した後ポンプヘッドが原点に戻るまでに要した時間は0.07秒であった。ポンプヘッド1回押し下げで実際に吐出された泡は、質量が0.69g、泡体積が9.0cm3、気液混合比が13mL/gであった。
【符号の説明】
【0088】
1 第1剤
2 第2剤
3 混合液
4 泡
11 第1容器
11a 容器本体
12 第2容器
12a 容器本体
13a 容器本体
20 ポンプフォーマー
23 ポンプヘッド
24 吐出口
30 ポンプフォーマー容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、並びに
第1剤と第2剤との混合液を収容する容器本体、及び該容器本体に装着され、かつ該混合液を泡状に吐出させるポンプフォーマーを備える二剤式の染毛用又は脱色用キットを用いた毛髪の染毛又は脱色方法であって、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
前記混合液の粘度が25℃において1〜300mPa・sであり、
前記ポンプフォーマーが、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が1g以上であり、
以下の工程A)〜E)を含む毛髪の染毛又は脱色方法。
A)第1剤と第2剤とを前記容器本体内で混合する工程。
B)前記容器本体に前記ポンプフォーマーが装着されたポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げて、前記混合液の泡を吐出させる工程。
C)吐出させた前記混合液の泡を髪に適用する工程。
D)髪に適用した前記混合液を3〜60分放置する工程。
E)髪に適用した前記混合液を洗い流す工程。
【請求項2】
前記キットが、第1剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された容器本体と、第1剤と第2剤との混合液を収容する前記容器本体と、該混合液を収容する該容器本体に装着される前記ポンプフォーマーとを備え、
前記混合液が収容された前記容器本体に前記ポンプフォーマーを装着することで前記ポンプフォーマー容器が完成される請求項1に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項3】
前記キットが、第1剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された該容器本体に装着される前記ポンプフォーマーを備え、
第2剤が充填された該容器本体内に第1剤を注ぎ入れた後、該容器本体に前記ポンプフォーマーを装着することで前記ポンプフォーマー容器が完成される請求項1に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項4】
ポンプフォーマー容器を正立させた状態において、該ポンプフォーマー容器の吐出口が、該吐出口の開口面の垂線と鉛直方向とのなす角度θが0〜70°である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項5】
ポンプフォーマー容器の吐出口の面積が45〜200mm2である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項6】
容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態でポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げきるまでの最大荷重が10〜25Nである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項7】
ポンプフォーマー容器のポンプヘッドを押し下げきった後、容器本体中に第1剤と第2剤との混合液を収容した状態で該ポンプヘッドの押し下げ状態を解除したときに、該ポンプヘッドが押し下げ前の元の位置に戻るまでに0.2〜3秒要する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項8】
ポンプフォーマーは、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が8g以下である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の染毛又は脱色方法。
【請求項9】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式染毛用又は脱色用組成物、並びに
第1剤と第2剤との混合液を収容する容器本体、及び該容器本体に装着され、かつ該混合液を泡状に吐出させるポンプフォーマーを備え、
前記容器本体に前記ポンプフォーマーが装着されてポンプフォーマー容器が完成され、
第1剤又は第2剤の少なくとも一方が起泡剤を含有し、
前記混合液の粘度が25℃において1〜300mPa・sであり、
前記ポンプフォーマー容器は、1回の押し下げ操作あたりの吐出質量が1g以上である、
二剤式の染毛用又は脱色用キット。
【請求項10】
第1剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された容器本体と、第1剤と第2剤との混合液を収容する前記容器本体と、該容器本体に装着される前記ポンプフォーマーとを備え、
第1剤と第2剤との混合液が収容された前記容器本体に前記ポンプフォーマーを装着することで前記ポンプフォーマー容器が完成される請求項9に記載の染毛用又は脱色用キット。
【請求項11】
第1剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された容器本体と、第2剤が充填された該容器本体に装着される前記ポンプフォーマーを備え、
第2剤が充填された該容器本体内に第1剤を注ぎ入れた後、該容器本体に前記ポンプフォーマーを装着することで前記ポンプフォーマー容器が完成される請求項9に記載の染毛用又は脱色用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71114(P2012−71114A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185691(P2011−185691)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】