説明

毛髪の蒸気処理のための装置

この発明は、液体タンク(4)と、蒸気発生器(8)に液体を供給するための手段(6)と、蒸気発生器で発生した蒸気を髪の房に向けて供給するための1つ以上の開口(12)と、加熱手段が設けられると共に髪の房と接触状態にもたらされる少なくとも1つの処理面(31)を具えた毛髪整形器具(30)とを含むハウジング(1)を具えた毛髪の蒸気処理のための装置に関する。本発明によると、蒸気発生器(8)が前記処理面(31)から熱的に独立した加熱部材(9)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を発生させるための手段と、蒸気と連係して毛髪の巻きほぐしや整髪または毛髪のセットのために与えられる毛髪整形器具とを用いた毛髪の処理(treatment)および/または整形(shaping)のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の蒸気処理のための装置が特許文献1に開示されているような従来技術として知られており、この装置は、その両端の一方に弾性的につながれた2つのジョーからなる平アイロンである。この文献によると、サンドウィッチ構造を形成する蒸気発生手段がジョーの一方に収容されている。より詳細には、一方のジョーは処理液のためのタンクを有し、前記処理液はこれを蒸発させるためのジョーの加熱部材と接触状態に配される髪の房に浸透し、次いでこの目的のために与えられ、かつ毛髪と接するように設計された処理面の開口を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2004/002262
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸気処理を熱処理と切り離すことが望まれる場合、この装置は、毛髪が蒸気の発生中に熱い処理面と接するようになっているため、これに制限がある。さらに、このようなジョーの構造は複雑であって、その部品をコンパクトな寸法に作る必要があるのみならず、電熱部材に対して極めて近接した蒸気発生手段の配置のため、その電気部品のすべての良好な絶縁をも必要とする。
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点の少なくとも一部を改善し、処理された毛髪に対して制御され、効果的かつ均一な方法で迅速に潤いを与えることができ、しかもこの加湿を熱および/または機械的張力および/または化学的に可能な補給源から切り離すことができる毛髪処理装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、複数の毛髪整形処置において効果的に用いることができる毛髪の蒸気処理のための装置にあり、毛髪に対する蒸気の均一な供給のために設計されたこの装置は、単純化された構造を有し、安全に作動する。
【0007】
本発明の他の目的は、作業中に信頼のおける髪の蒸気処理のための装置にあり、凝縮を回避するように設計され、容易かつ経済的に製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、液体タンクと、液体を蒸気発生器に供給するための手段と、発生した蒸気を髪の房に供給するための1つまたは複数の開口と、髪の房と接触状態になると共に加熱手段を具えた少なくとも1つの処理面を具えた毛髪整形器具とからなるハウジングを具え、蒸気発生器が前記処理面から熱的に独立した加熱部材を具えていることを特徴とする蒸気毛髪処理装置により達成される。
【0009】
毛髪整形器具は、例えば移動可能に連結されるか、または固定されたアームを持つ平アイロンや、少なくとも1つの加熱板と連係することができる円柱状加熱芯を持ち、この加熱芯に対して加熱板が反対側に配された巻き毛(curling)アイロンや、並べて配した複数の平行な処理面を具える矯正(straightening)ヘッドなどの如き処理面と接触状態にて毛髪を巻きほぐすか、これを整髪するか、あるいは髪の状態を単に維持するために少なくとも一時的および/または部分的に毛髪と接触状態になるように設計された器具を意味するように解釈される。
【0010】
熱的な独立は、蒸気発生専用の加熱部材が装備され、かつそれ自身に加熱部材を具える整形器具から独立した蒸気発生器を意味するように解釈される。
【0011】
従って、形成された蒸気発生器は、処理される髪の房に対して大量の連続蒸気流を直ちに与え、かつ低温の処理面に対してでも、処理面の温度をこのように独立させることを可能にし、従って処理される髪の房の永続的かつ完璧な処理、例えばその矯正やカーリング(curling)またはクリンピング(crimping)を達成する。
【0012】
実際に蒸気を使用した後に機械的作用に加えて熱的操作を及ぼす器具を用いて髪の房を処理することは、毛髪が水分の層ですでに被覆されているため、毛髪の乾燥を阻止することが確認されている。これは、毛髪の芯に含まれる水分が気化するというよりはむしろ、この層が整髪中に気化することは明らかであり、従って毛髪は熱い毛髪整形器具の作動に関連するあらゆる乾燥から保護される。
【0013】
同様に、熱作用を及ぼす器具による整形後の髪の房に蒸気を加える場合、髪の房に対する機械的作用と組み合わせ状態にあったとしても、蒸気は毛髪に対して熱い機器の作動に関連した乾燥を補償するように毛髪に再び湿気を与える。
【0014】
蒸気供給開口は毛髪整形器具に対して隣接していることが好都合である。
【0015】
「毛髪整形器具に隣接する供給開口」は、毛髪整形器具の端縁の近辺に、換言すれば毛髪を整形するための器具の髪の房のための入口または出口にできるだけ近接させて次々と配された1つまたは複数の蒸気出口を意味するように解釈される。
【0016】
このような構成により、蒸気が器具の内部に達することを阻止され、従って例えば熱および/または張力あるいは圧力の適用を伴う処理および/または固定(fixation)剤の如き整髪製品などの如き別な毛髪整形機能から蒸気処理機能が効果的に分離される。
【0017】
多数の屋内試験中に、自然な状態の髪の房か、あるいは化粧品で被覆された髪の房の何れかに制御された蒸気流を供給した場合、とても良好な結果が試験された髪の房に対する別な処理のそれと分けた蒸気の適用で得られることを確認した。それ故、これらの試験は、蒸気が例えば毛髪をきれいにすると共にこれに均一な潤いを与えることにより、次に続く処理のために毛髪を単に予め良好に用意されていることを示した。また、整髪処理後に蒸気を供給することにより、毛髪はより制御された方法で潤いを与えられ、これは全体に亙ってくまなく均一であるその見栄え、特につやおよび色の点で顕著な結果を伴い、その整髪を長い時間に亙って維持することも確認された。
【0018】
本発明の装置が供給開口に対して反対側に配された偏向部材を具えていることに優先傾向が与えられる。
【0019】
偏向部材を蒸気出口に対して反対側に配置することにより、この偏向部材は、一方において処理を受ける人の頭皮を保護するため、また他方において髪の房の後方に蒸気を向け直すための蒸気シールドとして機能し、従って髪の房の両側をその片側にのみ配された蒸気出口で処理する。この偏向部材を装置のハウジングと連係させるか、または毛髪整形器具と一体に形成することができる。
【0020】
蒸気通路は、毛髪整形器具の概ね細長い処理面と平行に一様に分布させた複数の開口を介して画成され、前記器具によるその整髪のそれに対して直交する方向に蒸気を向けることが好都合である。
【0021】
整髪の方向は、毛髪整形器具の概ね細長い処理面によって概ね規定され、その最長の面が髪の房の幅を概ね処理する。それ故、蒸気が髪の房の幅を覆う出口により供給された場合、髪の房の幅に対して直角に到達する蒸気通路は、髪の房の迅速かつさらなる均一な処理を可能にする。
【0022】
この蒸気発生器が電熱部材と熱接触状態にある気化チャンバーを具えていることと、この装置がそれぞれ気化チャンバーの出口を供給開口に接続して3センチよりも短い長さの1本または複数本の管を具えていることとに優先傾向が与えられる。
【0023】
この装置が持ち運び可能であることに優先傾向が与えられ、凝縮を排除すると同時に装置の構成を単純化すると共にその操作をより容易にするため、蒸気出口をハウジングの蒸気発生手段に対して可能な限り近づけて配することを可能する。
【0024】
従って、気化チャンバーは蒸気供給、すなわち出口にできるだけ近づけて配されており、それ故、蒸気は気化チャンバーの出口から1つまたは複数の管を介して髪の房を直接的に処理することを可能にする。気化チャンバーを出るこれらの蒸気管は、長さが非常に短いので、これらは、凝縮水が形成できないような方法で蒸気を供給し、凝縮水は最悪の場合にこの装置を使う人に火傷を負わせる可能性があるので、さもなければ髪の房に対する蒸気の作用を干渉および/または無効にするか、あるいはこの装置の有用性を損なう可能性がある。
【0025】
蒸気発生器は、5g/分よりも多く、好ましくは10g/分と60g/分との間の範囲の蒸気流を作り出すことが好都合である。
【0026】
従来技術で知られた毛髪の蒸気処理のための装置は、どちらかと言うと弱い蒸気流を発生するだけであり、毛髪に対する視覚的および/または永続的効果が確実ではない。5g/分よりも多く、好ましくは10g/分と60g/分との間の範囲にある蒸気流が発生する場合、本発明の装置は毛髪の効果的な処理を達成する。
【0027】
この装置が蒸気発生器に供給される液体の流量を調整するための制御機器を有することに優先傾向が与えられる。
【0028】
ポンプによって気化チャンバーに供給される液体の流量を調整するためのこのような機器は、発生する蒸気の流量をこの装置で処理される処理の種類および/または毛髪の種類に適合させることを可能にする。
【0029】
毛髪整形器具が蒸気用の制御器から独立した処理面の加熱部材用の制御器を具えていることに優先傾向が与えられる。
【0030】
これは、2つの機能を切り離すことを可能にし、それぞれの機能のための操作パラメーターを独立に調整することができる。
【0031】
毛髪整形器具は、この装置のハウジングから取り外し可能であることが好都合である。
【0032】
これは、この装置が左利きか、または右利きの何れかの人によって同じ器具あるいは複数の毛髪整形器具であったとしても共に用いられることを可能にするための単純かつ費用効果の高い解決方法を与える。
【0033】
タンクに収容される液体が処理製品であることに優先傾向が与えられる。
【0034】
処理液は、発生器によって蒸発し、次いで手入れ(care)処置,整形,染色,脱色などのために蒸気の形態で毛髪に注ぐことのできる任意の液体を意味するように解釈される。この液体は、本発明の好ましい一実施形態において水である。
【0035】
本発明の他の実施形態において、この装置は毛髪整形器具に近接するか、またはこれと連係する補助液体タンクを有する。
【0036】
従って、この補助タンクは、装置または毛髪整形器具の何れかと連係することができ、これは、例えば補助タンクからの液体が処理される髪の房と接触状態になる用途において、装置の蒸気発生器によって気化される必要のない液体を毛髪に注ぐことを可能にする。
【0037】
補助タンクに収容される液体が蒸気発生器に供給するためのタンクに収容された液体と異なっていることが好都合である。
【0038】
これは、蒸気処理に加えて整髪または染色剤の如き化粧液を供給することを可能にする。
【0039】
それ故、この化粧液が蒸気利用の前に供給される場合、蒸気を化粧液に対する搬送媒体として使うことができ、これがスケールの開口を介して毛髪の芯まで浸透することを可能にし、次の機械的処理が再びスケールを閉じて化粧液を定着させるためにある種の毛髪の焼灼を行う。
【0040】
さらに、化粧液が毛髪の機械的および熱的処理の後に供給される場合において、蒸気は搬送媒体として用いられ、従って化粧液を非常に高い温度に対する暴露、つまり熱的劣化から保護する。
【0041】
本発明の第1の別な一実施形態において、前記供給開口は毛髪整形器具に隣接してこれに対し上流に配されている。
【0042】
「上流」は、処理操作中において、整形処理を経る前に、髪の房の一部が蒸気の適用を最初に受けることを意味するように解釈される。
【0043】
毛髪整形器具の上流に放出される蒸気で髪の房を処理することにより行われた試験は、蒸気が毛髪のスケールを開き、これを完璧にきれいにすることを示していた。毛髪整形器具により続いて行われる機械的作用は、これよりも前の処理および/または手入れ処置からのものの如き、毛髪のあらゆる残留夾雑物を除去する。
【0044】
この屋内試験はまた、毛髪整形器具が化粧液供給システムを具えている場合、この毛髪整形器具の上流に放出された蒸気が毛髪の内部への前記化粧品の浸透を高め、従って前記化粧品の深い浸透動作を改善することも示した。
【0045】
蒸気の適用後の機械的作用に加えて熱作用を及ぼす器具で髪の房を処理することはまた、毛髪が水分の層で予め被覆されているので、毛髪の乾燥を阻止することも確認されている。これは、毛髪の芯に含まれる水分が蒸発するというよりはむしろ、この層が整髪処理中に気化することは明らかであり、従って熱い毛髪整形器具の使用に関連したあらゆる乾燥から毛髪を保護する。
【0046】
最後に、これらの屋内試験はまた、毛髪整形器具の上流に放出される蒸気が毛髪に充分な潤いを与え、従って高温、例えば230℃に加熱することができる毛髪整形器具の作動中の著しい乾燥からこれを保護していることを示した。
【0047】
本発明の第2の別な一実施形態において、前記供給開口は毛髪整形器具に隣接してその下流に配されている。
【0048】
「下流」は、処理操作中に、髪の房の一部が蒸気の適用を経る前に整形処理を最初に受けることを意味するように解釈される。
【0049】
本発明のこの変形例により形成された装置にて行われた試験は、髪の房の機械的な整形
【0050】
後、毛髪に対する整形器具の熱い処理面の適用に関連した乾燥を補償するように、蒸気が
ハウジングは取手を形成するように下方に延在する本体を具え、毛髪整形器具が取手に対して反対側に配されると共に供給開口から出た流路がハウジングの本体の長手方向軸線に沿って向きを調整されていることが好都合である。
【0051】
このようなハウジングの形状は、人間工学的な使用および蒸気による毛髪の効果的な処理の両方を確実にする。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態において、毛髪整形器具は反対方向に変位可能な2つの接合アームを有し、何れのアームも毛髪処理面を有し、これらアームの少なくとも一方は前記処理面と熱接触状態の加熱部材を有する。
【0053】
このような器具は、毛髪の効果的な長期に亙る矯正を確実にする。
【0054】
人間工学を目的として、接合アームは装置の取手のそれとほぼ平行な軸線の周りを旋回するように取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】閉じた位置にある毛髪整形器具を持つ本発明の特別な一実施形態による毛髪の蒸気処理のための装置の立体投影図である。
【図2】開いた位置にある毛髪整形器具を持つ図1の装置の立体投影図である。
【図3】そのハウジングを取り外した図1の装置の立体投影図である。
【図4】前出の図面の装置に属する毛髪整形器具の立体投影図である。
【図5】図1の装置の別の一実施形態による毛髪の蒸気処理のための装置の立体投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、決して限定ではない添付図面に示した本発明の特定な一実施形態を検討することによって、より容易に理解されよう。
【0057】
図1から図3および図5は、取り外し可能な水タンク4を収容する取手3を形成した下方に突出する延在部を持ち、上壁が取手の上部を形成する本体2を具えたプラスチック製ハウジング1からなる毛髪の蒸気処理のための装置を示している。ハウジング1の延在部はまた、ハウジング1の本体2に収容された蒸気発生器8に供給するための手段6、特に図3において認識可能であって制御スイッチ7により始動される電動ポンプ5を含む。ハウジング1の本体2は、電熱部材9と関連する瞬間気化チャンバー10からなる蒸気発生器8を有し、これらの部材は図3において認識可能である。瞬間気化チャンバー10は、流体をチャンバーの水入口から蒸気出口まで導くために複数のバッフルを配して囲まれた区画を概ね具えている。電力は、電気コード15によってこの装置に供給される。
【0058】
電動ポンプ5をタンク4および発生器8に接続する回路は、図3において認識可能である。故に、電動ポンプ5は、第1の管17によりタンク4に接続する入口16と、タンク4から流入する水を蒸気発生器8に供給する回路に通して導く排出開口18とを有する。より詳細には、蒸気発生器8に供給するこの回路は、当該供給回路を蒸気発生器8の気化チャンバー10の入口21に接続する第1の管枝20と、タンク4に接続する第2の管枝22とに分ける接合部に導かれ、かつポンプ5から流入する水の一部をタンク4に送られることを可能にする第2の管19を具えている。第1の管枝20の通路は、第2の管枝22のそれよりも狭く、 後者は、可撓性ホースから作られており、この装置は、管で蒸気発生器8に送られる水の流れを制御するための機構23をさらに具えている。この制御機構23は、円柱状のハウジング25を通過する第2の管枝22の可撓性ホースを圧縮するための手段を具えている。より詳細には、ローレット掛けされたつまみ24を回すことにより、制御機構23はハウジング25内のトグルレバーを作動させ、このレバーは可撓性ホースの外側の面を押す。
【0059】
ポンプ5が制御スイッチ7によって始動すると、これは第1の管17を介してタンク4からの水を吸引すると共に第2の管19を介してこの水を送り、従ってこの回路によって処理される水流は、蒸気発生器8に管で送られる第1の弱い流れと、タンクに管で送られるより強い流れとに分けられる。発生器8への水流は、つまみ24を回すことにより増大させることができ、タンク4への戻りホースを圧縮する。
【0060】
気化チャンバー10への水流は、これが瞬間気化チャンバー10のバッフルの通路に沿って流れるので、後者により迅速に蒸気に変えられる。蒸気は、入口21がある壁の反対の前記気化チャンバーの後壁に形成された複数の開口を介して気化チャンバー10を出る。気化チャンバー10の蒸気出口のそれぞれは、蒸気を装置の外に供給するために管14に通じている。それ故、図3において5本の短い管14を認識可能であり、例えばそれぞれの長さがおよそ1cmであり、気化チャンバー10を出た直後に蒸気を供給することができる。
【0061】
図2においてより明瞭に認識できるように、取手3の反対側のハウジング1の本体2の下部は、蒸気を分け与える複数の開口12を有する平坦面11によって塞がれ、開口のそれぞれは管14の出口に通じている。
【0062】
蒸気供給開口12は、毛髪整形器具30に隣接している。それ故、本体2の上部は、毛髪整形器具30を収容するのに都合がよく、後者は、延在部に配された少なくとも1つの処理面31を有し、ハウジング1の平坦面11と平行にここから数ミリメートル後退していてもよい。
【0063】
毛髪整形器具30は、図4においてより容易に認識可能であり、これは蝶番35によりつないで取り付けられ、他の一形態において圧縮ばね(図示せず)により開いた位置か、または閉じた位置に保持される2本のアーム33,34を具えている。それ故、これは、加熱部材によって構成された加熱手段と接触する矩形の平坦な処理面31を形成するように延在する広がった挿入シュー36をその自由端に持った上部アーム33を認めることができる。その自由端において、下部アーム34も同様に、加熱部材と接触状する矩形の平坦な処理面32を形成するように延在する広がった挿入シュー37を有する。
【0064】
処理面31,32のそれぞれは、この処理面に対してそれぞれのアーム33,34のプラスチック製のそれぞれ本体38および39の内側に配され、かつ抵抗体,CTP,赤外線などの加熱部材であってよい熱部材(図示せず)に対して熱接触する板金によって構成されている。
【0065】
本発明によると、それ故、蒸気発生器8は、各処理面31,32から熱的に独立し、かつ前記処理面のそれぞれがそれ自体で加熱部材を構成する加熱部材9を具えている。
【0066】
各電熱部材は、それ自身の制御器を有し、電気コード40によって電気が供給される。板を90℃から230℃までの範囲の温度に加熱するための加熱部材にて対応がなされている。一変形例において、この装置は、蒸気発生器8ならびに毛髪整形器具30の加熱板に電気を供給するための単一の電気コード15を有する。処理面31,32は熱伝導材料で作られ、研磨またはエナメルで被覆されたセラミック材料や、ガラス層などであってよい。
【0067】
それ故、アーム33,34は、弾性的に可動であり、開いた位置と閉じた位置との間にこれらの個々の処理面31,32の長手方向軸線と直交する軸線の周りに旋回することができる。それ故、アームが開いた位置にある場合、髪の房をアーム33,34の処理面31,32の間に挿入することができ、次にアームが閉じた位置にある場合、この房を前記処理面31,32と接触状態にするため、これに圧力を加えることができ、閉鎖はアームの本体38,39の外側面を押し付けることによって可能である。従って、平坦な処理面31,32はこれらが接触状態になると髪の房をまっすぐにする。
【0068】
毛髪整形器具30の他の別な実施形態において、ジョーは静止状態で閉じており、これを外側に広げ、次いで挿入シュー36,37を利用してこれを2つの板の間に押し込むことにより、髪の房を手作業で処理面31,32の間に差し込むことが必要である。髪の房をより容易に挿入することができるように、板を充分に広く開くための制御機構は考えつくことができ、例えば前記手段を取手から、またはこの装置の取手の近傍に作動させることができることが好都合である。
【0069】
本発明の有利な形態によると、下部アーム34は偏向部材42を具え、処理面32から後退しているが、この処理面と平行に配された壁43をさらに具えている。この壁43は、頭皮を蒸気の作用から保護する蒸気シールドを形成し、同時にこの蒸気を処理される髪の房の方にそらせる。この方法において蒸気をそらす他の効果は、蒸気を一方の面にだけ配された蒸気出口から房の前後に吹き込むことができるということである。
【0070】
本発明の他の有利な形態によると、上部アーム33は、取り付けブラケット45をこの装置のハウジング1の本体2に有し、より詳細には、ねじ46により取り外しできる締結具がこの装置の本体2の上部のねじ穴と連係し合う。この取り外し可能な締結具は、ねじ46を緩めることにより、図に示すような右利きの人が使うのに適した位置から、この器具が本体2の長手方向軸線の周りに180°回転して左利きの人がこの装置を使うことができる他の位置まで切り替えることを可能にする。この毛髪整形器具は、毛髪用の旋回締結クリップと連係する円筒状のカール(carl)部材を具えたものの如き他の器具と置換することができ、この器具は、次に取り付けブラケット45に挿入されてこの装置のハウジング1の本体2に装着される。
【0071】
図5は、偏向部材42の他の一実施形態を示しており、特にこれを装置のハウジング1の本体2と一体的に結合することを伴う。より詳細には、この偏向部材42は、一般的な音叉形状を有すると共に供給開口12が貫通する後壁44を具えており、これに接続するエルボーを形成するように前記後壁から間隔をあけた偏向壁43まで延在している。偏向壁43は、後壁44から遠く離れてこれと平行に配され、後者に向けて後方に曲がった先端で終わっている。このような偏向部材は、その平行な壁の間を髪の房が通過すると共に頭皮を保護ことを可能にし、同時に蒸気が偏向壁を介して髪の房に向けられることを確実にする。都合が良いことに、このような偏向部材をプラスチックから作ることができる。
【0072】
操作中、毛髪整形器具30は、制御スイッチを投入することによって作動し、加熱板が適切な温度に達した時を光(図示せず)で知らせることができる。次に、髪の房がこの房に圧力を加える毛髪整形器具30のアーム33,34の間に差し込まれ、次いで制御スイッチ7が押されて装置が直ちに蒸気を発生するように始動する。次に、この装置が髪の房に沿って動かされ、毛髪整形器具の処理面31,32との接触を介した矯正による蒸気処理を直ちに継続して与える。
【0073】
この器具の制御が装置のそれらから独立しているので、後者もまた、外気温またはごく僅かな加熱にて矯正板と共に用いることができる。これは髪の房を清潔にすることを可能にし、同時にその汚れと湿気とを除去する。
【0074】
図示しない一変形例において、蒸気供給開口は、蒸気処理の前に矯正を開始するために毛髪整形器具の上方に配される。
【0075】
本発明が単なる一例で示した記述かつ図示の実施形態に決して限定されないことは明らかである。特に種々の部材の構成上の点に関し、または均等技術への置換により、何れの方法においても本発明の保護範囲を逸脱することなく、変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体タンク(4)と、蒸気発生器(8)用の液体(6)を供給するための手段と、発生した蒸気を髪の房に供給するための1つまたは複数の開口(12)と、加熱手段を具えると共に髪の房と接触状態になる少なくとも1つの処理面(31)を具えた毛髪整形器具(30)とを具えたハウジング(1)を具え、前記蒸気発生器(8)が前記処理面(31)から熱的に独立した加熱部材(9)を具えていることを特徴とする毛髪の蒸気処理のための装置。
【請求項2】
前記蒸気供給開口(12)が前記毛髪整形器具(30)に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記供給開口に対して反対側に配された偏向部材を具えたことを特徴とする請求項1および請求項2に記載の装置。
【請求項4】
蒸気通路が一様に分布する複数の開口(12)によって画成され、前記毛髪整形器具(30)の概ね細長い前記処理面(31)に対して平行であり、前記器具によるその整形方向に対して直交する方向に蒸気を向けることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記蒸気発生器(8)が電熱部材(9)と熱接触状態の気化チャンバー(10)を具えていることを特徴とし、かつ前記装置が何れの場合においても3cmの長さよりも短く、出口を前記気化チャンバー(10)から前記供給開口(12)まで接続する1本または複数本の管(14)を具えていることをさらに特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
前記蒸気発生器(8)は、5g/分よりも大きく、好ましくは10g/分と60g/分との間の範囲にある蒸気流を発生することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記蒸気発生器(8)に向けた液体の流れを調整するための制御器具(23)を具えていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記毛髪整形器具(30)は、前記処理面(31)の前記加熱手段のための制御器を具え、これが前記蒸気の制御から独立していることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記タンクに収容される前記液体が処理製品であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記毛髪整形器具に隣接または関連する補助液体タンクを具えていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記補助タンクに収容される前記液体は、前記蒸気発生器に供給するための前記タンクに収容された前記液体と異なっていることを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−540143(P2010−540143A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527492(P2010−527492)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001374
【国際公開番号】WO2009/077673
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(594034072)セブ ソシエテ アノニム (63)
【Fターム(参考)】