説明

毛髪の酸化損傷を予防するヘアケア組成物、その組成物の使用方法、及び市販方法

毛髪の酸化損傷を防ぐことができるヘアケア組成物、方法、及び市販方法。この組成物は、毛嚢性菌類低減剤(「FFRA」)を含み、例えば頭皮又は顔など、酸化損傷の発現が少ないことが望ましい任意の領域に塗布することができる。本発明はまた、かかる組成物を使用及び市販する方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
毛髪の酸化損傷を予防するのに使用できるヘアケア組成物、その使用方法、及びその組成物の市販方法。
【背景技術】
【0002】
魅力的であると考えられている毛髪の外観には、多くの特質が寄与している。例えば、頭皮、あごひげ、又は口ひげのいずれの領域にあるものであっても、損傷していない毛髪は非常に好ましい。これに対し、酸化損傷した毛髪はそれほど魅力的ではなく、ぼんやりとして、生気のない、縮れているように見えることがある。更に、酸化損傷した毛髪は、スタイル及び髪質を整えるのがより困難であり得、典型的には、それほど多くの髪型にスタイルできず、酸化により毛髪が損傷した人を不満にさせ、だらしのない外観にさせる。酸化損傷した毛髪に関連する前述の問題のために、毛髪が酸化損傷した人の多くは、手入れに大変な努力と時間を費やしているが、依然として彼らの求める髪型及び外観は実現されていない。このことは、彼らの外観に対する不満及び/又は自信のなさを引き起こすことがある。これらの問題は、男性と女性両方の消費者が経験することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、毛髪が酸化損傷するのを防ぐことにより、いっそう魅力的な毛髪とより魅力的なヘアスタイルをもたらすことができる方法を消費者に提供するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、毛髪の酸化損傷を防ぐのに使用できるヘアケア組成物、その使用方法、及びそのような組成物の市販方法に関連する。
【0005】
1つの態様において、この組成物は毛嚢性菌類低減剤(「FFRA」)を含む。別の態様において、この方法には、毛髪の酸化損傷を防ぐ目的で、哺乳類の望ましい領域(例えば頭皮、あごひげ、口ひげ)に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することが含まれる。更に別の態様において、この市販方法は、FFRAを含むヘアケア組成物が、毛髪の酸化損傷を防ぐのに使用できることを伝達する。
【0006】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】毛幹の図(1a)及び倍率を拡大して示した顕微鏡写真(1b〜1c)。
【図1B】毛幹の図(1a)及び倍率を拡大して示した顕微鏡写真(1b〜1c)。
【図1C】毛幹の図(1a)及び倍率を拡大して示した顕微鏡写真(1b〜1c)。
【図2】不飽和親油性基質上のマラセチア細胞を、酸化物質にさらされると蛍光を発する染料(AMP)で処理した実験の結果得られた、アンプレックスウルトラレッド蛍光を示すグラフ。
【図3】10μMのH22を手作業でAMP染料に加えたときに生成されたアンプレックス蛍光信号を示すグラフである。この図は、信号がエトキシキンによって消失していることを示し、アンプレックスアッセイにおけるエトキシキンの排除効果を示している(pH=7.4)。
【図4】FFRA対プラシーボを含む、つけっ放しのさまざまなトニック処理の後の、マラセチア細胞数を示すグラフである。示されているFFRAは、(1)ナイアシンアミド、カフェイン、及びパンテノールの混合物、並びに(2)ナイアシンアミド及びパンテノールの混合物である。この図は、FFRAを塗布することによって頭皮からマラセチアが除去されることを示している。
【図5】さまざまな抗ふけ活性物質をシャンプー製剤によって送達し2週間使用した後の、マラセチアのレベル低下を示すグラフである。棒グラフは左から右へ順に:1%SeS2、1%ZPT、1%クリンバゾール、なし(コントロール)、1%血小板ZPT、1%SeS2、及び1%ケトコナゾールを表わしている。
【図6】FFRAトニック製剤(カフェイン/ナイアシンアミド/パンテノールの組み合わせ)を用いて得られた毛髪の酸化損傷低減を、髪質を向上させると主張しているがFFRAは含まないさまざまな市販製品を用いた場合と比較した、積分IRスペクトル結果のグラフである。この図は、FFRA製剤が、マラセチアによって生じた毛髪の酸化損傷の量を低下させていることを示している。棒グラフは左から右へ順に:製品A、製品B、製品C、製品D、及び本出願の技術を表わしている。
【図7】実施例13で検討されているように、試験製品プラシーボに比べ、試験製品(本出願の技術)で、統計的に有意に少ない酸化損傷が観察されたことを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ、はっきりと請求することによって終結しているが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと思われる。
【0009】
本発明は、望ましい領域に有効量のFFRAを塗布することにより、毛髪に対する酸化損傷を防ぐための方法を提供し、これにより本発明は、毛髪の酸化損傷を防止する驚異的な効果をもたらす。
【0010】
酸化は、化学物質間の化学結合を切断し、その性質を変化させる。毛髪に関しては、酸化はシスチンのジスルフィド結合を切断し、1つの副生成物としてシステイン酸(SO3=)を生じる。この酸化プロセスは、毛髪の脱色及び毛染め、紫外線曝露、及び通常の日常的活動によって起こる。酸化は、毛髪の脆化、毛髪のf層の喪失、及びメラニン分解を促進することにより、毛髪の健康を損なう。毛髪の表面は疎水性が低くなり、水がより浸透しやすくなる。酸化防止は、毛髪の健康を維持するのに役立つ。
【0011】
【化1】

【0012】
毛髪ケラチンは、光化学的手段(例えば紫外線曝露及び/又は大気中酸素)並びに化学的手段(脱色、パーマ、及び/又は永久毛染め)の両方により酸化される。酸化は、ジスルフィド結合切断による毛髪の引っ張り強さ低下、メラニン分解による色の変化、並びにf層及び疎水性の喪失による角皮の磨耗しやすさ増大を引き起こす。(Martin−K.4.Infrared and Raman Studies of Skin and Hair:A review of cosmetic spectroscopy.The Internet Journal of Vibrational Spectroscopy.Volume 3,Edition 2(1999)−Unilever)システイン酸残留物は、酸化により、毛髪に最も豊富に見られるアミノ酸であるシスチンのジスルフィド結合裂開により生じる。(Strassburger−J and Breuer−MM.Quantitative Fourier transform infrared spectroscopy of oxidize hair.J.Soc.Cosmet.Chem.,36,61〜74(January/February 1985))
【0013】
更に、さまざまな研究により、化学的及び物理的ストレスによって酸化損傷が生じ、及び酸化により角皮損傷が生じることが示されている。(Takada−K et.al.Influence of Oxidative and/or Reductive Treatment on Human Hair(I):Analysis of Hair−Damage after Oxidative and/or Reductive Treatment.J.Oleo Sci.,Vol 52,No.10,541〜548(2003))加えて、これらの研究では、抗酸化剤の使用によりシステイン酸が減少し、毛髪の損傷増大を防ぐことが結論付けられている。(Takada−K et.al.Influence of Oxidative and/or Reductive Treatment on Human Hair(II):Effect of Hydrophilic Extracts from Rosmarinus officinalis L.on Oxidative and/or Reductive Hair−Damage.J.Oleo Sci.,Vol.52,No.10,549〜556(2003))日常生活における化学的及び物理的ストレス、並びに環境ストレスは、毛髪を損傷し得る。更に、酸化生成物であるシステイン酸は、日常生活のストレス量に応じて毛髪内で増加する。
【0014】
毛髪の角皮は、脂肪酸f層によって表面が覆われている。これらの層が化学的及び物理的処理によって除去されると、毛髪表面が親水性になり、システイン酸の増加がもたらされ、損傷した毛髪の枝毛及び切れ毛の頻度が増大する。f層は毛髪の光沢をもたらすものであるため、f層の損傷又は喪失は、毛髪の光沢の低下をもたらす。
【0015】
更に、毛嚢内に菌類(マラセチアなど)が存在すると、酸化生成物が産生され、これにより、毛嚢から外に伸びる前であっても毛髪の酸化損傷が生じる。この菌類は更に、毛髪の表面の保護脂質を剥ぎ取る酵素を産生し、これにより環境による障害に由来する毛髪の酸化が増加する。例えば、Jun Xu,et al.,(2007)Dandruff−associated Malassezia genomes reveal convergent and divergent virulence traits shared with plant and human fungal pathogens.Proceedings of the National Academy of Science,USA,104(47)18731を参照のこと。
【0016】
驚くべきことに、本発明者らは、毛嚢性菌類低減剤(「FFRA」)の有効量を望ましい領域に塗布することにより、毛髪の酸化損傷を防ぎ得ることを見出した。FFRAは毛嚢及び表皮に存在する菌類の濃度を低下させ、これにより酸化損傷を低減する。
【0017】
消費者は、毛髪の酸化損傷を防ぐ目的でFFRA剤を使用することに慣れていないため、本発明は、かかる製品及び/又はその使用方法に由来する可能性がある効果を潜在的消費者が評価するのを助けるために、有利に使用することができる市販方法も提供する。更に、第1組成物を、FFRAを含む第2組成物と比較することにより、第1組成物の市販方法も提供する。
【0018】
特別の定めがない限り、百分率、部及び比率は全て、本発明のヘアケア組成物の全重量に基づいており、かつ、測定値は全て25℃で行われたものである。表に記載される成分に関連するような重量は全て、活性レベルに基づいており、したがって、特別の定めがない限り、市販の材料に含まれるかもしれないキャリア又は副生成物を含まない。
【0019】
本明細書で用いられる用語「ヘアケア組成物」とは、毛髪及び/又は毛髪の下の皮膚に塗布される組成物であって、毛髪の処理又はケアを行うために用いられる組成物を包含する組成物である。「ヘアケア組成物」という成句により意図される製品としては、液体、クリーム、拭き取り用品、ヘアコンディショナー(リンスオフ及びリーブオン)、ヘアトニック、シャンプー、染毛剤、ムース、噴射型ローション、エマルション、ひげそり用ジェル、ひげそり後用トニック及びローション、一時的あごひげ毛染め剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「毛髪の酸化損傷を防止する」とは、その毛髪領域(頭皮、あごひげなど)が未処理領域よりも酸化損傷が少ないことを意味する。これは、本発明の組成物が、有効な結果が得られる期間使用されたときに、毛髪の対象領域の毛幹が、統計的に有意な程度、酸化を受けることが防止される場合に示される。
【0021】
本明細書で用いられる用語「哺乳類の毛髪」とは、哺乳類の体の任意の部分上の毛髪を含み、顔、頭又は体の毛を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、頭皮、頭部、首、あごひげ、口ひげ、眉及びもみあげの毛髪を挙げることができる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「毛嚢性菌類低減剤」又は「FFRA」とは、毛嚢内に存在する菌類の数を減らす及び/又は減らし得るような任意の物質を意味する。
【0023】
本明細書で用いられる用語「局所的塗布」とは、本発明の組成物を、影響を受ける毛髪がそこから成長するケラチン性組織の表面上、及び/又は毛髪自体に、塗布又はのばすことを意味する。
【0024】
本明細書で用いられる用語「皮膚科学的に許容可能な」とは、そのように記述されている組成物又はそれらの成分が、過度の毒性、不適応性,不安定性、アレルギー反応、等を引き起こすことなく、哺乳類の角質組織と接触して用いるのに適していることを意味する。
【0025】
本明細書で用いられる用語「有効量」とは、毛髪の対象領域における毛幹の酸化損傷量を、統計的に有意な量、低減させるのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる用語「有効な結果が得られる期間」とは、毛髪の対象領域における毛幹の酸化損傷量を、統計的に有意な量、低減させるのに十分な期間を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる用語「安全な有効量」とは、有効な結果が得られる期間使用したとき、毛髪の対象領域の毛幹の酸化損傷量を、統計的に有意な量、低減させるのに十分な化合物又は組成物の量であるが、重篤な副作用を避けるのに十分なほど少ない量、すなわち、当事者の健全な判断の範囲内で、妥当なリスク対効果の比をもたらす量を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる用語「周囲条件」とは、本明細書中で使用するとき、特に指定のない限り、約1気圧、相対湿度約50%、及び約25℃における周囲条件を指す。
【0029】
I.酸化損傷を防止するためのFFRAを含むヘアケア組成物
1つの態様において、本発明は、毛髪の酸化損傷を防止するために使用され得るヘアケア組成物を提供する。1つの実施形態において、このヘアケア組成物はFFRAを含む。別の実施形態において、このヘアケア組成物は2種類以上のFFRAを含む。
【0030】
好ましくは、このFFRAは有効量存在し、より好ましくは安全な有効量存在する。本明細書で用いられる単数形の用語「FFRA」とは、1種類、又は複数のFFRAの組み合わせを含み得る広義の語である。所望により、ヘアケア組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体及び/又は任意の所望の好適な任意成分を含んでよい。
【0031】
理論に束縛されるものではないが、毛髪の酸化損傷の少なくとも1つの原因は、毛髪の漏斗管領域におけるマラセチアの存在に由来する者であり得る。図1及び表1に示すように、マラセチアは頭皮の適切な領域の毛幹上に存在する。図1は、毛幹の図及び倍率を拡大して示した顕微鏡写真である。注目されている領域は、毛髪が外に出る場所である漏斗管に存在し得る、毛幹の断面である。マラセチア細胞を視覚化するために染色が使用され、マラセチア細胞がこの領域の毛幹に付着していることが示されている。
【0032】
表1は更に、綿棒拭き取り(頭皮)及び引き抜き(毛嚢)の抽出アッセイを使用して得られた菌細胞数に基づく、この領域のマラセチア存在の証拠を示す。値は、各アッセイで得られた標本(n=約100)に含有されるMalassezia globosa、Malassezia restricta、又は合計菌類細胞の平均数を示す。綿棒拭き取り標本は、被験者の頭皮表面を「綿棒で拭う」ことにより採取される。引き抜き標本は、毛嚢内、及び毛嚢漏斗管のごく近くにある菌類を伴う、引き抜いた毛髪である。引き抜きアッセイで得られた細胞数が高濃度であることは、毛嚢及び毛嚢漏斗管に対する菌類の親和性を示している。
【0033】
【表1】

【0034】
本発明者は、毛髪を酸化損傷し得る物質をマラセチアが産生していると考える。毛髪の酸化は角皮構造に損傷をもたらし、これにより毛髪強度が低下し、他の損傷要因に対する抵抗性が低下する。理論に制限されるものではないが、本発明者は、M.globosa細胞が、1つ以上のメカニズムを介して毛髪に酸化損傷をもたらすと仮定する。例えば、マラセチア細胞はアリールアルコールオキシダーゼを分泌し、これが過酸化水素を生成することが示されている(Xu,J.,et al;Proceedings of the National Academy of Science,USA,(2007),104(47),18731を参照)。H22に曝露すると、毛髪に酸化損傷を起こし得る(Robbins,C.R.;Chemical and Physical Behavior of Human Hair,3rd ed.,p.131,Springer−Verlag(New York)を参照)。
【0035】
図2は、不飽和親油性基質上のマラセチア細胞を、酸化物質にさらされると蛍光を発する染料(AMP)で処理した実験の結果をまとめている。この基質は、毛髪に一般に見られる数多くの化合物の1つである(U.R.Bernier et.al.,Anal.Chem.2000,72,747を参照)。
【0036】
皮膚関連のpHが5.5で、基質上のマラセチアの作用により、顕著な蛍光信号が観察されている。細胞により産生された酸化性物質が、顕著な蛍光を生じる。この蛍光は、エトキシキン(EQ)などの還元性物質を混合物に加えると消失する。基質が存在しない場合にマラセチア細胞からは蛍光は観察されず、また、基質だけでマラセチア細胞が存在しない場合も蛍光は観察されない。
【0037】
図3は、10μMのH22を手動でAMP染料に加えたときに、同様の蛍光信号が生じることを示す。この信号も、エトキシキンで消失する。
【0038】
マラセチアは約500種類のさまざまな蛋白質を分泌することが知られているため、可能な他のメカニズムが、毛髪に対する酸化損傷を引き起こすことがあり得る。(Xu,J.,et al;Proceedings of the National Academy of Science,USA,(2007),104(47),18731を参照)。多くは未知の機能を有しているが、いくつかは確実にリパーゼ様の性質であり、毛髪角皮構造を損傷し得る。(DeAngelis et al;J.Invest.Dermatol.127,2138を参照。)
【0039】
図4は、FFRAを使用したマラセチア除去を示す。下記に示されるFFRAには、(1)ナイアシンアミド、カフェイン、及びパンテノールの混合物、並びに(2)ナイアシンアミド及びパンテノールの混合物が挙げられる。図4は、これらのFFRAを頭皮に塗布することによって、頭皮からマラセチアが除去されることを示す。この特定の実験において、製品はつけっ放しの状態で供給された。
【0040】
図4は、25%アルコール水性溶媒中、2種類の製剤のいずれでも、毎日の処理を2〜4週間行った後、頭皮にあるマラセチア細胞の平均数が有意に(p≦0.095)減少したことを示している。(本明細書において使用されるとき、N=ナイアシンアミド、P=パンテノール、C=カフェインである。)
【0041】
図5は、さまざまな抗ふけ活性が、シャンプー製剤状態で送達された2週間使用後に、マラセチア濃度を低減させ得ることを示す。
【0042】
この仮説を示すため、本発明者らは、カフェイン/ナイアシンアミド/パンテノールFFRA製剤(トニックとして送達)を、髪質を改善すると主張するがFFRAは含まないさまざまな市販製品と比較した、頭部分割臨床研究を実施した。図6に示すように、FFRA製剤は、マラセチアによって生じた毛髪の酸化損傷の量を低下させた。
【0043】
毛髪の酸化損傷は、毛髪中に存在するSO3=及びアミドのダイヤモンドATR−IRスペクトル帯を調べることによって測定することができる。具体的には、SO3=の存在は毛髪の酸化損傷の指標である。ゆえに、SO3=:アミドの比が低い場合は、酸化損傷が低いことを示す。毛髪標本サイズの変数は、毛髪標本中のアミド含有量(相対的定数)に関して結果を正規化することによって調整される。図6は、主張される技術、あるいは市販製品又はプラシーボによって処理した毛髪について、得られたSO3=:アミドの比を示す。このグラフは、頭部分割研究で使用された5種類の異なる処理について、スペクトル帯曲線(AUC)における領域間の差を示す。処理A〜Dは、髪質を向上させることが報告されている市販製品である。この部は、頭部分割研究においてプラシーボと比較した場合、SO3=帯領域において最大の相対的防止力をもたらす。この酸化損傷の防止は、p=0.0037で統計的に有意である。
【0044】
これらの結果に基づいて、FFRAがマラセチアを除去することにより酸化損傷を防止できると結論付けるのは妥当である。他の幅広い範囲の物質も、つけっ放し使用及びシャンプー洗い流し使用の両方においてマラセチアを除去することが示されているため、これらの活性物質も、同様の酸化損傷防止効果をもたらすはずである。
【0045】
II.FFRA組成物
FFRAを含む組成物は、液体、クリーム、シャンプー、コンディショナー、ムース、又はトニックなどの任意の好適な形態であり得る。更に、本明細書では任意の好適なFFRAを安全な有効量で使用することができる。当業者は特定の組成物に含まれる特定のFFRAの好適な量を決定することができるが、組成物中に含まれるFFRAの典型的な濃度は、0.1〜10%であり得、別の実施形態においてはシャンプー及びコンディショナーなどの洗い流し製品について0.5〜5%であり得、更には0.001〜0.5%であり得、別の実施形態では0.005〜0.5%であり得、更に別の実施形態においてはトニック又はムースなどのつけっ放しトリートメントについて0.01〜0.1%であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、FFRAは、パントテン酸及びパントテン酸誘導体(例えばパンテノール)、ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミド)、ピリジンチオン塩、炭酸亜鉛、ケトコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、エルビオール、硫化セレン、硫黄、コールタール、硫黄、ウィットフィールド(whitfield)の軟膏、カステラーニの塗料(castellani's paint)、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、ピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、橙皮油、尿素製剤、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンクリオキノール(ciloquinol)、チオベンダゾール、チオカルバメート類、ハロプロジン、ポリエン類、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン類、ティーツリーオイル、クローブリーフオイル、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、アゼライン酸、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、イソチアザリノン類(例えばオクチルイソチアザリノン及びアゾール類)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0047】
FFRAは、所望により他の好適な材料と組み合わせることもできる。1つの特定の実施形態において、FFRAは、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、キサンチン類(カフェインなど)、アグマチン、アミノグアニジン、エトキシクイン、塩化セチルピリジニウム、緑茶抽出物、カテキン類、フィトステロール類、ウルソル酸、植物抽出物、植物抽出物化合物、3−ブチリデンフタリド(3-butylidenepthalide)、その塩、その誘導体、及びこれらの混合物、角質溶解剤(例えばサリチル酸)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料と組み合わせられる。
【0048】
1つの特定の実施形態において、FFRAは、ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミド)に、キサンテン(例えばカフェイン)、パントテン酸誘導体(例えばパンテノール)、及びこれらの混合物からなる群から選択される別の材料を組み合わせたものを含む。別の実施形態において、FFRAは、パントテン酸誘導体(例えばパンテノール)に、キサンテン(例えばカフェイン)、ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミド)、及びこれらの混合物からなる群から選択される別の材料を組み合わせたものを含む。
【0049】
FFRA、及びFFRAと組み合わせ得る好適な材料を含め、具体的な材料については、下記で詳しく記述される。
【0050】
A.ビタミンB3化合物
本発明の組成物は、ビタミンB3化合物を有効量含み得る。ビタミンB3化合物には、米国特許第5,939,082号に記述されているものが挙げられる。特定の実施形態において、この組成物は別の方法として、組成物に対して0.001重量%〜50重量%、0.01重量%〜20重量%、0.05重量%〜10重量%、0.1重量%〜7重量%、又は0.5重量%〜5重量%のビタミンB3化合物を含み得る。
【0051】
本発明で使用する場合、「ビタミンB3化合物」とは、次式を有する化合物を意味する:
【0052】
【化2】

式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及びこれらの任意の塩類である。
【0053】
前述のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、非血管拡張性のニコチン酸エステル(例えば、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ミリスチル)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド及びナイアシンアミドN−オキシドを含む、ニコチン酸エステルが挙げられる。
【0054】
好適なニコチン酸エステルとしては、C1〜C22、好ましくはC1〜C16、より好ましくはC1〜C6アルコールのニコチン酸エステルが挙げられる。アルコールは、好適には直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式、飽和又は不飽和(芳香族を含む)、及び置換又は非置換である。エステルは好ましくは非血管拡張性である。本明細書で使用される用語「非血管拡張性」とは、エステルが、対象組成物中で皮膚に塗布された後、一般に目に見えるフラッシング反応を生じないことを意味する(かかる化合物は肉眼で認識できない血管拡張を生じさせる場合があるが、一般人口の大多数は目に見えるフラッシング反応を示さない、即ち、エステルは非発赤性である)。非血管拡張性のニコチン酸エステルとしては、ニコチン酸トコフェロール及びヘキサニコチン酸イノシトールが挙げられ、ニコチン酸トコフェロールが好ましい。
【0055】
ビタミンB3化合物の他の誘導体は、アミド基の水素の1つ以上を置換することにより得られる、ナイアシンアミドの誘導体である。本明細書で有用なナイアシンアミドの誘導体の非限定的な例としては、例えば、活性化ニコチン酸化合物(例えば、ニコチン酸アジド又は塩化ニコチニル)と、アミノ酸及び有機カルボン酸(例えば、C1〜C18)のニコチニルアルコールエステルとの反応に由来するニコチニルアミノ酸が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、ニコチン尿酸(C8H8N2O3)及びニコチニルヒドロキサム酸(C6H6N2O2)が挙げられ、これらは以下の化学構造を有する。
【0056】
ニコチン尿酸:
【0057】
【化3】

【0058】
ニコチニルヒドロキサム酸:
【0059】
【化4】

【0060】
代表的なニコチニルアルコールエステルとしては、カルボン酸サリチル酸、酢酸、グリコール酸、パルミチン酸等のニコチニルアルコールエステルが挙げられる。本明細書で有用なビタミンB3化合物の他の非限定的な例は、2−クロロニコチン酸アミド、6−アミノニコチンアミド、6−メチルニコチンアミド、n−メチルニコチンアミド、n,n−ジエチルニコチンアミド、n−(ヒドロキシメチル)−ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、n−ベンジルニコチンアミド、n−エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、イソニコチン酸メチル、チオニコチンアミド、ニアラミド、1−(3−ピリジルメチル)尿素、2−メルカプトニコチン酸、ニコモール及びナイアプラジンである。
【0061】
上記ビタミンB3化合物の例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sigma Chemical Company(ミズーリ州セントルイス)、ICN Biomedicals,Inc.(カリフォルニア州アーバイン)、及びAldrich Chemical Company(ウィスコンシン州ミルウォーキー)等の多数の供給元から市販されている。
【0062】
本明細書では、1種以上のビタミンB3化合物を使用することができる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロールである。ナイアシンアミドがより好ましい。
【0063】
使用するとき、ナイアシンアミドの塩、誘導体及び塩誘導体は、好ましくは、ナイアシンアミドと実質的に同じ有効性を有するものである。
【0064】
ビタミンB3化合物の塩もまた本明細書で有用である。本明細書で有用なビタミンB3化合物の塩の非限定的な例としては、有機塩又は無機塩、例えばアニオン性無機種を有する無機塩(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、好ましくは塩化物)、及び有機カルボン酸塩(モノ−、ジ−及びトリ−C1〜C18カルボン酸塩、例えば、酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩が挙げられ、好ましくは酢酸塩などのモノカルボン酸塩)が挙げられる。これら及びビタミンB3化合物の他の塩は、例えばW.Wenner,「The Reaction of L−Ascorbic and D−Iosascorbic Acid with Nicotinic Acid and Its Amide」,J.Organic Chemistry,Vol.14,22〜26(1949)に記述されているように、当事者によって容易に合成され得る。Wennerは、ナイアシンアミドのアスコルビン酸塩の合成について記載している。
【0065】
好ましい実施形態において、このビタミンB3化合物の環窒素は、実質的に化学的に遊離しており(例えば、非結合状態であり、かつ/若しくは妨害されておらず)、又は、皮膚まで送達された後、実質的に化学的に遊離状態になる(「化学的に遊離状態の」は、以下、代替的に「錯体化されていない」と称される)。より好ましくは、ビタミンB3化合物は、本質的に錯体化されていない。したがって、この組成物が、塩さもなければ錯体化型形態のビタミンB3化合物を含有する場合、そのような錯体は、この組成物が皮膚へ送達された時、好ましくは実質的に可逆的であり、より好ましくは本質的に可逆的である。例えば、そのような錯体は約5.0〜約6.0のpHで実質的に可逆的となることが望ましい。そのような可逆性は、当業者によって容易に決定され得る。
【0066】
より好ましくは、ビタミンB3化合物は、ケラチン性組織まで送達される前、この組成物中では実質的に錯体化されていない。望ましくない錯体の形成を最小限に抑える又は防ぐ典型的なアプローチには、ビタミンB3化合物と実質的に不可逆的となるか、又は他の錯体を形成する物質、pH調節、イオン強度調節、界面活性剤の使用を除くこと、並びに、ビタミンB3化合物及びそれと錯体を形成する物質を異なる相に配合することが挙げられる。かかる方法は、十分当業者のレベルの範囲内である。
【0067】
したがって、好ましい実施形態では、ビタミンB3化合物は、制限された量の塩形態を含有し、より好ましくはビタミンB3化合物の塩を実質的に含まない。好ましくは、ビタミンB3化合物は、約50%未満のそのような塩を含有し、より好ましくは本質的に塩の形態を含まない。pH約4〜約7の本明細書の組成物中のビタミンB3化合物は、典型的には、約50%未満の塩形態を含有する。
【0068】
ビタミンB3化合物は、実質的に純物質として、又は、天然(例えば、植物)原料からの好適な物理的及び/又は化学的単離により得られた抽出物として含まれてよい。ビタミンB3化合物は、好ましくは実質的に純粋であり、より好ましくは本質的に純粋である。
【0069】
B.パンテノール及びパントテン酸誘導体
本発明の組成物は、有効量のパンテノール及び/又はパントテン酸誘導体を含んでよい。パンテノール及びそれの誘導体には、D−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、DL−パンテノール、パントテン酸及びそれらの塩(好ましくは、カルシウム塩、トリ酢酸パンテニル)、ローヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、パントイルラクトース、ビタミンB錯体、又はそれらの混合物が包含されることがある。
【0070】
酸性組成物の中、又はアルミニウム含有活性物質のような酸生成性物質を含有する組成物の中で、パンテノール及び他の類似物質より安定であるパントテン酸誘導体を含有する組成物もまた、本明細書で用いるのに適していることもある。選択されたパントテン酸誘導体は、最も典型的には液体形態であり、この組成物の液体担体成分の全体にわたって分散されるか、さもなければ組成物の液体担体成分内で可溶化される。
【0071】
本明細書で用いられる用語「パントテン酸誘導体」とは、
【0072】
【化5】

式中、R1、R2及びR3は、水素、C2〜C20炭化水素、C2〜C20カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせであるが、R1、R2及びR3のうち2つ以下が水素である。一実施形態では、R1、R2及びR3は、水素、C2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせから独立に選択され、別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はC2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせであり、更に別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はエチルである。選択されたパントテン酸誘導体は、既知のあらゆる供給源であって、結果として得られる物質が上記に定義される化学式を有する限り、パントテン酸又はパントテン酸以外の物質を包含することができる供給源から誘導され得るか、さもなければそれら供給源から得られることができる。
【0073】
本明細書で用いるための選択されたパントテン酸誘導体の具体的非限定的例には、エチルパンテノール、パンテニルトリアセテート、及びそれらの組み合わせが包含される。特定の実施形態において、パントテン酸誘導体は、そのような1種類以上の派生形態の1種類以上のd−異性体、例えばd−エチルパンテノール、を含有する。
【0074】
1つの実施形態において、別の方法としてパンテノール及び/又はパントテン酸誘導体が、組成物に対し0.01重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、又は0.2重量%〜3重量%で使用される。
【0075】
C.抗ふけ活性物質
本発明の組成物は、本明細書のFFRAとして抗ふけ剤も含み得る。抗ふけ粒子の好適な非限定例としては以下のものが挙げられる:ピリジンチオン塩、炭酸亜鉛、例えばケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオールなどのアゾール、硫化セレン、粒子状硫黄、及びこれらの混合物。典型的な抗ふけ粒子は、ピリジンチオン塩である。このような抗ふけ粒子は、物理的及び化学的に組成物の構成成分と適合すべきであり、過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0076】
ピリジンチオン抗ふけ粒子、特に1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩は、本発明の組成物に用いるのに好適な粒子状抗ふけ剤である。ピリジンチオン抗ふけ粒子状物質の濃度は、典型的には組成物の0.1重量%〜4重量%、一般には0.05重量%〜3重量%、通常は0.1重量%〜2重量%の範囲である。好適なピリジンチオン塩としては、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニウムのような重金属、一般には亜鉛から形成されるものが挙げられ、典型的には1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリジンチオン」又は「ZPT」として既知)であり、通常は平板状粒子の形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩であり、この際、粒子は約20マイクロメートルまで、典型的には約5マイクロメートルまで、通常は約2.5マイクロメートルまでの平均サイズを有する。ナトリウムのようなその他のカチオンから形成される塩もまた、好適な場合がある。ピリジンチオン抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号;同第3,236,733号;同第3,753,196号;同第3,761,418号;同第4,345,080号;同第4,323,683号;同第4,379,753号;及び同第4,470,982号に記載されている。
【0077】
D.抗菌活性物質
本発明の組成物は更に、本明細書のFFRAとして抗菌活性物質を有し得る。好適な抗菌活性物質としては、コールタール、硫黄、ウィットフィールド(whitfield)の軟膏、カステラーニの塗料(castellani's paint)、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、橙皮油、尿素製剤、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンクリオキノール(ciloquinol)、チオベンダゾール、チオカルバメート類、ハロプロジン、ポリエン類、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン類(テルビナフィンなど)、ティーツリーオイル、クローブリーフオイル、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC−50、Elestab HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、イソチアザリノン類(オクチルイソチアザリノン及びアゾール類など)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には抗菌剤としては、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン及びコールタールが挙げられる。
【0078】
1.アゾール
アゾール抗菌剤には、ベンズイミダゾールのようなイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリムバゾール(climbazole)、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール及びテルコナゾール及びイトラコナゾールのようなトリアゾール及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物中、アゾール抗菌活性物質は、0.01重量%〜5重量%、又は0.1重量%〜3重量%、又は0.3重量%〜2重量%含まれる。本明細書の使用で特に好ましいのは、ケトコナゾールである。
【0079】
2.硫化セレン
硫化セレンは、本発明の組成物に使用するのに適した、微粒子抗ふけ剤である。いくつかの実施形態において、濃度は別の方法として、組成物に対して0.01重量%〜4重量%、又は0.05重量%〜3重量%、又は0.1重量%〜約2重量%の範囲であり得る。硫化セレンは一般にセレン1モル及び硫黄2モルを有する化合物とみなされるが、一般式Sexy(式中x+y=8)に従う環式構造であってよい。硫化セレンの平均粒径は、前方レーザー光散乱装置(forward laser light scattering device)(例えばMalvern 3600装置)で測定したときに、典型的には15μm未満である。硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、同第3,152,046号、同第4,089,945号、及び同第4,885,107号に記載されている。
【0080】
3.硫黄
硫黄も、本発明の組成物中に使用することができる。微粒子硫黄の有効濃度は、いくつかの実施形態において、組成物に対し1重量%〜4重量%、又は2重量%〜4重量%の範囲であり得る。
【0081】
E.キサンチン化合物
本発明の組成物はキサンチン化合物を含んでよい。本明細書で使用するとき、「キサンチン化合物」とは、1種以上のキサンチン、これらの誘導体、及びこれらの混合物を意味する。本明細書で有用であり得るキサンチン化合物は、カフェイン、キサンチン、1−メチルキサンチン、テオフィリン、テオブロミン、それらの誘導体、及びそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。一実施形態では、組成物は、約0.1%〜約10%のキサンチン化合物を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約5%のキサンチン化合物を含み、更に別の実施形態では、約1%〜約2%のキサンチン化合物を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、FFRA組成物はキサンチン化合物、ビタミンB3化合物、及びパンテノール化合物の混合物を含む。特定の実施形態では、相乗的混合物は、カフェイン、ナイアシンアミド、及びパンテノールを含む。一実施形態では、組成物は、約0.1%〜約10%のキサンチン化合物(例えば、カフェイン)を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約5%のキサンチン化合物を含み、更に別の実施形態では、約1%〜約2%のキサンチン化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.1%〜約25%のビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド)を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約15%のビタミンB3化合物、更に別の実施形態では、約3.5%〜約7.5%のビタミンB3化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.01%〜約3%のパンテノール化合物(例えば、パンテノール)、別の実施形態では、約0.02%〜約1%のパンテノール化合物、更に別の実施形態では、約0.2%〜約0.5%のパンテノール化合物を含む。組成物は、所望により、必要に応じて任意の他の好適な成分を含んでよい。一実施形態では、組成物はまた、体、衣類、又は家財道具の意図しない領域に望ましくなく滴ることがないよう、頭皮上に活性剤を保持するのに役立つ増粘剤も含み、組成物に直接性を提供する。
【0083】
II.毛髪の酸化損傷を防ぐ方法
本発明は更に、毛髪の酸化損傷を防ぎ、より光沢の優れた外観と、より取扱いやすい毛髪をもたらす方法を提供する。1つの態様において、この方法は、FFRAを含むヘアケア組成物を、スタイリングされた毛髪成長部位の皮膚表面に塗布することを含む。例えば、本ヘアケア組成物は、頭皮及び/又は顔(例えば、顎鬚又は口髭領域)に塗布することができる。いくつかの実施形態において、この方法は、毛髪の酸化損傷を防ぐことを求める哺乳類の皮膚領域に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することを含む。
【0084】
毛髪の領域は、体のいかなる部分の上に位置してもよい。例えば、毛髪は、頭皮又は顔又は首の少なくとも一部に位置する皮膚表面から成長することができる。
【0085】
更にもう1つの実施形態において、本方法は、投薬計画に従って本組成物を塗布する段階であって、
(a)頭皮及び/又は顔を清潔にして、浄化された頭皮及び/又は顔を作ることと、
(b)本組成物を、この浄化された頭皮及び/又は浄化された顔に局所的に塗布することとを含む、段階を含む。
【0086】
更に別の実施形態において、本方法は、
(a)酸化損傷の防止が望まれる哺乳類の毛髪領域を特定することと、
(b)その毛髪が生長する皮膚領域に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することと、を含む。
【0087】
別の態様において、本発明は、
(a)毛髪の光沢が求められる哺乳類の毛髪領域を特定することと、
(b)その毛髪が生長する皮膚領域に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することと、を含む、毛髪の光沢を促進するための方法を提供する。
【0088】
IV.市販方法
別の態様において、本発明は、毛髪の酸化損傷を防止するために使用し得るヘアケア組成物の市販方法を提供する。1つの実施形態において、この市販方法は
(1)容器と、
(2)その容器に入った、FFRAを含んだヘアケア組成物と、
(3)そのヘアケア組成物の使用により毛髪の酸化損傷を防ぐことができることを伝える通知と、を含む。
【0089】
別の態様において、本発明は、毛髪の酸化損傷を防止するために使用し得るヘアケア組成物の市販方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は
(a)FFRAを含むヘアケア組成物を売りに出すことと、
(b)この組成物が毛髪の酸化損傷を防止するために使用できることを伝えることと、を含む。
【0090】
別の態様では、本発明は、第1ヘアケア組成物の市販を行うために、第1ヘアケア組成物と第2ヘアケア組成物との比較を利用する市販方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は第1の市販方法で売りに出すことを含み、この第1の市販方法は、
(a)第1ヘアケア組成物と、
(b)第1ヘアケア組成物を第2ヘアケア組成物と比較する通知と、を含み、ここにおいてその第2のヘアケア組成物が第2の市販方法に含まれ、この第2の市販方法は:
(1)FFRAを含む第2のヘアケア組成物と、
(2)その第2のヘアケア組成物が毛髪の酸化損傷を防ぐために使用できるということを、潜在的消費者に対して伝える第2通知と、を含む。
【0091】
別の態様では、本発明は、第1ヘアケア組成物を市販するために、第1ヘアケア組成物が第2ヘアケア組成物と類似する又は同じであることを伝える少なくとも1つの視覚的合図を利用する市販方法を提供する。1つの実施形態において、この視覚的合図はメッセージを含む。特定の実施形態において、メッセージは、「比較する」「〜と比較する」「〜のような」「〜に類似する」「〜の代わりに試す」等のような語を含んでよい。別の実施形態において、視覚的合図は、第2ヘアケア組成物のパッケージ上に含まれる又はパッケージ付近にあるものと同じ又は類似する図を含んでよい。視覚的合図は、任意の好適な位置に位置付けられてよい。例えば、視覚的合図は、製品パッケージ上若しくはその付近、又は商品棚上若しくはその付近に位置してよい。
【0092】
特定の実施形態において、第1ヘアケア組成物は、第2ヘアケア組成物が市販されている容器と同じである少なくとも2色を有する容器に入れて市販される。1つの実施形態において、この方法は、第1ヘアケア組成物の市販方法を含み、この方法は
(a)第1の市販方法で売りに出すことを含み、この第1の市販方法は、
(1)第1の容器と、
(2)その容器に入った第1のヘアケア組成物と、
(3)その第1の容器上に配置され、少なくとも2つの色を含んだ、第1の図一式と、を含み、
(b)かつ、その第1の市販方法を、第2の市販方法の視野内に配置することを含み、この第2の市販方法は、
(1)第2の容器と、
(2)その第2の容器に入った第2のヘアケア組成物と、
(3)その第2の容器上に配置された、第2の図一式と、を含み、ここで第2の図一式は、
(i)その第1の図一式に含まれた色と同じ、少なくとも2つの色と、
(ii)その第2のヘアケア組成物が毛髪の酸化損傷を防ぐために使用できるということを、潜在的消費者に対して伝える通知と、を含む。
【0093】
本明細書で使用される用語「潜在的消費者」とは、市販方法及び/又はヘアケア組成物の、実際の若しくは潜在的購買者及び/又は実際の若しくは潜在的ユーザを意味する。
【0094】
本明細書では、ヘアケア組成物を保管及び/又は収容する任意の容器を用いてよい。好適な容器としては、瓶、トトル(tottle)、チューブ、パウチ、箱、タブ型容器、及び缶を挙げることができるが、これらに限定されない。更に、容器は、ヘアケア組成物自体を収容する一次容器、又は組成物を収容する少なくとも1つの一次容器を収容する二次容器を含んでよい。
【0095】
本明細書で使用される用語「図一式」又は「図」とは、容器上に配置された文字列及び/又は画像を指す。本明細書で使用される用語「〜上に配置された」とは、容器と一体である及び/又は容器上に位置することを意味し、その上に直接配置される(例えば、容器上に直接印刷される)、その上に間接的に配置される(例えば、容器の外部に貼付されたステッカー上に印刷される)、及び/又は任意の他の好適な手段により容器に適用される(例えば、噴霧される、接着される、描かれる、塗装される、印刷される、又は成形される)ことを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書で使用される用語「通知」とは、メッセージを意味し、印刷(例えば、容器に直接的又は間接的に取り付けられ、印刷された材料)、電子的、又は放送メッセージを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0097】
所望により、この第1の市販方法及び第2の市販方法は、互いに視野内に配置することができる。特定の実施形態において、この第1市販方法及び第2市販方法は、小売店の棚上又は小売店の他の陳列に、互いに隣接して配置することができる。
【0098】
本明細書で使用される用語「互いに視野内に配置する」とは、無矯正で健全な視力(unassisted 20/20 vision)を有する人が、第1市販方法と第2市販方法とを同時にみることができるように、第1市販方法と第2市販方法とを互いに近接して配置することを意味する。1つの特定の実施形態において、この第1市販方法と第2市販方法は、互いに2メートル以内に配置される。別の実施形態において、この第1市販方法と第2市販方法は、互いに1メートル以内に配置される。ある特定の実施形態において、この第1市販方法と第2市販方法は、互いに0.5メートル以内に配置される。
【0099】
本明細書において使用される用語「同様に」とは、何らかのかたちで類似していることを意味する。例えば、組成物、活性成分の組成、及び/又は組成物の使用によってもたらされ得る効果が類似していることである。
【実施例】
【0100】
以下は本発明の非限定的な例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。
【0101】
実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤等の微量物質は除外し得る。そのため、列挙した配合は、列挙した成分及びこのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明を作るために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。
【0102】
実施例1〜4:シャンプーの実施例
【0103】
【表2】

【0104】
実施例5〜7:コンディショナー実施例
【0105】
【表3】

【0106】
成分の定義
*1 ジメチコン/シクロメチコン:粘度が18,000,000mPasであるジメチコンとシクロペンタシロキサンとの配合物であって、GE Toshibaから入手可能なもの
*2 ジメチコン配合物:粘度が18,000,000mPasであるジメチコンと、粘度が200mPasのジメチコンとの配合物であって、GE Toshibaから入手可能なもの
*3 GEから入手可能な、粘度10,000mPasで、次式(I)を有するもの:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a (I)
(式中、Gはメチル;aは、整数1;bは、0、1又は2、好ましくは1;nは、400〜約600の数;mは、整数0;R1は、一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは整数3であり、Lは−N(CH32である)
*6 塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム/イソプロピルアルコール:Clariantから入手可能なGenamin KDMP
*7 ステアルアミドプロピルジメチルアミン:Inolexから入手可能なLexamine S−13
*8 グルタミン酸:味の素(Ajinomoto)から入手可能
*9 セチルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)より入手可能なKonolシリーズ
*10 ステアリルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)より入手可能なKonolシリーズ
*11 ポリソルベート−20:Lonza Inc.から入手可能なGlycosperse L−20K
*12 PPG−34:三洋化成(Sanyo Kasei)から入手可能なNew Pol PP−2000
*13 ポリアルファオレフィン:ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なPureSyn 100
*14 メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン:Rohm & Haasより入手可能なKathon CG
*15 パンテノール:Rocheから入手可能
*16 パンテニルエチルエーテル:Rocheから入手可能
*17 コラーゲン加水分解物:Hormelから入手可能なPeptein 2000
*18 ビタミンE:エーザイ(Eisai)から入手可能なEmix−d
*19 デシルグルコシド:コグニスジャパン社(Cognis Japan Ltd.)から入手可能なPlantacare 2000UP
*20 FFRA成分
【0107】
実施例8:トニックの実施例
【0108】
【表4】

*20−この実施例におけるFFRAは、ナイアシンアミド、パンテノール、及びカフェインの組み合わせ
【0109】
実施例9:染料の実施例
【0110】
【表5】

【0111】
実施例10:ムース
【0112】
【表6】

*20−この実施例におけるFFRAは、ナイアシンアミド、パンテノール、及びカフェインの組み合わせ
【0113】
実施例11:市販方法
実施例1のシャンプーを青と白の容器にパッケージ化し、小売店で消費者に販売する。容器上のラベルは、このシャンプーを洗髪に使用すると、毛髪の酸化損傷を防ぐのに役立つということを伝達する。
【0114】
実施例12:市販方法
青と白の瓶に収容されたシャンプー(本明細書では「対象シャンプー」)を、棚上で実施例11のシャンプーの隣に位置付ける。対象シャンプーの瓶に、消費者を対象シャンプーと実施例11のシャンプーとを比較するよう導くラベルを取り付ける。
【0115】
実施例13:臨床研究
1つの臨床研究において、研究者は第12週に毛髪を採取し、ATR−IRを用いてシステイン酸(SO3=)/アミドの比率を測定することにより、酸化損傷を評価した。下記の経過は、臨床状態及びデータを説明している。次のセクションでは、ATR−IRが酸化損傷を評価するのに有効な方法であることを記述している。
【0116】
これは、髪の毛が薄いことを自覚している、18才〜65才(包括的)の女性における、14週間の、二重盲式で、無作為化された、頭部分割及び比較臨床研究であった。この研究は、2週間の前処理相と、その後の12週間の処理相から構成された。
【0117】
ベースライン時及び第12週に、頭部の両側から、撮像部位の近位側の毛髪を抜き取ることにより、毛髪標本が採取され、研究者に送られた。標本の到着後、処理の始まりと終わりの時点における(システイン酸の濃度を測定することにより)酸化損傷のレベルを測定するため、ATR−IRを使用して処置された。処理用製品がプラシーボと比較され、その処理期間の利益効果が判定された。
【0118】
システイン酸の濃度がATR−IR(減衰全反射−フーリエ変換赤外線)によって測定された。それぞれの毛髪繊維について、第12週時点で、内毛根鞘から遠位側に1、3、5、7、10、及び50mmの位置での、システイン酸(酸化生成物)の濃度が測定された。内毛根鞘から1〜10mm離れた位置での測定値は、臨床試験中の毛髪の新たな成長を表わす。全システイン酸濃度/毛髪が、蛋白質濃度(アミド)によって正規化された。単純化のため、ATR−IRは、赤外線を放射して毛髪からの反射を分析する顕微鏡である。オペレータは、毛髪の表面上の特定の関心領域に焦点を合わせることができ、これにより毛髪繊維に沿った正確な領域に含まれるシステイン酸(SO3=及びアミド)の量を測定することができる。結果として得られたデータがSO3=/アミドで表現された。この値が大きいほど、SO3=/アミドの比が大きく(SO3=が少ない/アミドが多い)、よって酸化損傷が大きいことになる。
【0119】
図7に示されるように、実験(「試験」)製品(カフェイン、ナイアシンアミド及びパンテノールの組み合わせ)では、プラシーボに比較して統計学的に有意に酸化損傷が少ないことが観察された。試験製品は、毛根から毛髪繊維の先端に向かって、酸化損傷のレベルを遅延させることができる。加えて、試験製品プラシーボ値において、酸化のレベルと毛根からの距離との間に正の相関関係がある。
【0120】
第12週での試験製品及びプラシーボの間の酸化結果を、表7に示す。比が大きいほど(数値が大きいほど)、酸化損傷のレベルが大きいことを示す。
【0121】
【表7】

【0122】
アルファベット文字は、p<0.01の有意性を表わす。
【0123】
ジスルフィド酸化の測定値は、ダイヤモンド結晶内の減衰全反射−フーリエ変換赤外線(ATR−IR)を使用して測定された。これは、顕微鏡セットアップを用いて、システイン酸を標的とした特定の赤外線吸収で、赤外線を利用するものである。このシステムにより、毛幹に沿った特定の位置での毛髪表面の酸化損傷を評価することができる。
【0124】
減衰全反射(ATR)モードでのFT−IR分光法は、毛髪の酸化を調べるのに主に使用されており、より正確には、光損傷と、さまざまな成分によりもたらされた光防護を調べるのに使用されている。システイン酸及び他のシスチン酸化物は、明確に分離された吸収ピークを示す。ダイヤモンドセルATRは、標本に高圧をかけることができるため、より接触性が良くなり、これにより従来のATR結晶よりも再現性の高い結果が得られる。(The Science of Hair Care,2nd edition.Edited by Claude Bouillon and John Wilkinson.Pg 421)顕微鏡技法は、良好な透過範囲を伴う再現可能なスペクトルとして最も有用な方法であり、低いノイズレベルが得られる。この技法は特に、繊維の小さな部分を調べるのに適している。2次微分分光法は、酸化損傷のわずかな変化を評価することが可能であり、シスチンの硫黄酸化生成物を定量分析する機会が得られる。(Joy−M and Lewis−DM.The use of Fourier transform infra−red spectroscopy I the study of the surface chemistry of hair fibers.International Journal of Cosmetic Science 13,249〜261(1991))
【0125】
これらの結果、試験製品プラシーボ値において、頭皮から毛髪繊維に沿って徐々に遠位側へと測定を行うことによって、シスチンからシステイン酸への酸化増大が示されている。これらの結果は、自然の風化作用の影響についての、一般に公開されている結果に見出されている結果と同様である。毛髪の毛根側と先端側の比較により、自然の風化作用の影響を調べることができる。システイン酸は、毛根から先端に向かって増加することが見出されており、ただし増加の度合はかなり変動が大きいことが見出されている。風化作用(日光、風、手入れなどに曝露)が増大すると、1040cm-1のシステイン酸帯域の強度が増大する。(Martin−K.4.Infrared and Raman Studies of Skin and Hair:A review of cosmetic spectroscopy.The Internet Journal of Vibrational Spectroscopy.Volume 3,Edition 2(1999)−Unilever)結果、自然の未処理毛髪におけるシステイン酸の濃度は、毛根から先端に向かって増大していることが示されている。(Joy−M and Lewis−DM.The use of Fourier transform infra−red spectroscopy I the study of the surface chemistry of hair fibres.International Journal of Cosmetic Science 13,249〜261(1991))。
【0126】
まとめると、この臨床研究は、カフェイン/ナイアシンアミド/パンテノールの試験製剤が、毛髪の酸化損傷を低減させることを示している。これは、(1)試験製品が、ヒト臨床研究において、プラシーボに比べて酸化レベルを有意に低減していること、(2)酸化レベルを測定するのに使用された方法(ATR−IR)は十分に認められた方法であること、及び(3)毛根から毛幹に沿って先端に向かい酸化の増大が観察されることは、公開されている文献に合致していること、によって支持されている。
【0127】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0128】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0129】
本明細書において引用されているすべての文献は、その全体が参考として本明細書に組み込まれるが、ただし、その文献の何らかの部分が本出願の意図に矛盾する範囲については例外となり、どの文献の引用も、本発明についての先行技術であることを容認していると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.酸化損傷の防止が望まれる哺乳類の毛髪領域を特定することと、
b.毛髪が生長する該皮膚領域に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することと、を含む、毛髪の酸化損傷を防止するための方法。
【請求項2】
前記FFRAが、
パントテン酸及びパントテン酸誘導体、ビタミンB3化合物、ピリジンチオン塩、炭酸亜鉛、ケトコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、エルビオール、硫化セレン、硫黄、コールタール、硫黄、ウィットフィールドの軟膏、カステラーニの塗料、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、ピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、橙皮油、尿素製剤、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンクリオキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート類、ハロプロジン、ポリエン類、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン類、ティーツリーオイル、クローブリーフオイル、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、アゼライン酸、ヨードプロピニルブチルカルバメート、イソチアザリノン類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FFRAがパンテノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記FFRAがナイアシンアミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記FFRAがカフェイン、パンテノール、及びナイアシンアミドの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a.毛髪の光沢が求められる哺乳類の毛髪領域を特定することと、
b.毛髪が生長する該皮膚領域に、有効量のFFRAを含むヘアケア組成物を局所的に塗布することと、を含む、毛髪の光沢を促進するための方法。
【請求項7】
前記FFRAが、
パントテン酸及びパントテン酸誘導体、ビタミンB3化合物、ピリジンチオン塩、炭酸亜鉛、ケトコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、エルビオール、硫化セレン、硫黄、コールタール、硫黄、ウィットフィールドの軟膏、カステラーニの塗料、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、ピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、橙皮油、尿素製剤、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンクリオキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート類、ハロプロジン、ポリエン類、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン類、ティーツリーオイル、クローブリーフオイル、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、アゼライン酸、ヨードプロピニルブチルカルバメート、イソチアザリノン類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記FFRAがパンテノールを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記FFRAがナイアシンアミドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記FFRAがカフェイン、パンテノール、及びナイアシンアミドの混合物を含む、請求項6に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−521904(P2011−521904A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506503(P2011−506503)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/042317
【国際公開番号】WO2009/135006
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】