説明

毛髪を診断し、適切にクレンジング、コンディショニングおよびスタイリングする方法

毛髪を診断し、適切にクレンジングおよびコンディショニングする方法は、毛髪および頭皮の特徴を評価する工程と、評価結果に基づいて複数のシャンプーとコンディショナーを有するキットから選択されるシャンプーとコンディショナーで毛髪をクレンジングおよびコンディショニングする工程とを含む。キットのシャンプーとコンディショナーは特定の毛髪および頭皮に最も好適なシャンプーとコンディショナーを選択し用いられるよう、段階的な量で界面活性剤およびコンディショニングポリマーを含む。活性成分として、フィルム形成剤とスタティック・ディスチャージャーとボリューム付与樹脂とを含むポリマーコンプレックスを有するスタイリング助剤のキットで毛髪をスタイリングする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア分野に関する。より詳細には、毛髪および頭皮の特定の特徴に対処し、特定の所望の結果を得ることを意図した毛髪をシャンプーとコンディショナーでクレンジングおよびコンディショニングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーとコンディショナーはヘアケア業界の当業者および小売レベルで様々なものを選択している消費者に周知のものである。通常、シャンプーとコンディショナーは、化粧用シャンプーとコンディショナーと、医療用シャンプーとコンディショナーの2つの大きなカテゴリに分けられる。前者は、主に、特定の所望の結果を期待して消費者が用いるものであり、後者は、頭皮のメディカル条件に基づいた使用である。いずれの場合も、シャンプーの目的は自然に発生する油、環境汚れおよびスタイリング製品残渣を毛髪から除去することであり、コンディショニングの目的は、もつれの解消、静電気の削減または除去、光沢付与および湿潤および乾燥くし通り性の改善である。
【0003】
これらの目的に加えて、シャンプーとコンディショナーは、ある特定の特徴を有する毛髪の必要性に対処するために場合によっては互いに連係されている。例えば、シャンプーとコンディショナーは対にされて、ヘアタイプのカテゴリであるオイリー、ノーマルおよびドライヘア用に広く利用可能である。
【0004】
本発明は、主に、化粧用シャンプーとコンディショナーに関し、前段の記載は、次のように一般化される。シャンプーとコンディショナーは個別の機能を果たし、連係された最終的な利点が得られるようメーカーによりグループ化されている。従って、シャンプーとコンディショナーは、通常、互いに共依存した対として販売されており、大抵のものは、製品ラベルの指示に指定された、単一の毛髪特徴に対して機能することが多い。
【0005】
シャンプーとコンディショナーを小売店やヘア、ビューティサロンで購入する人は、上述したオイリー、ノーマル、ドライばかりでなく、ダメージ、弱い、パーマ、脆い等といった表示の下に販売されていることを知っている。一般的に、シャンプーとコンディショナーは、メーカーによって6つの主要な化粧「セグメント」を扱うようにされている。例えば、「ヘアタイプ」セグメントには「オイリー」、「ノーマル」、および「ドライ」の表示がある。
【0006】
その他のセグメントは「ヘアコンディション」、「ヘアテクスチャ」、「引張強さ」、「既に行われた化学的プロセス」および「美容上の最終的なメリット」である。これらはそれぞれ2つ以上の表示、すなわち、毛髪特徴が、それらを謳った製品のラベルに表示される。これらを下の第1表に6つのセグメントについてまとめる。
【0007】
【表1】

【0008】
シャンプーとコンディショナーに詳しい人は、現在市販されている大抵のブランドが単一のセグメントのみに対処していることを知っている。すなわち、あるメーカーのシャンプー/コンディショナーの対になった製品は、「オイリー」、「ノーマル」、および「ドライ」でのみ利用可能である。場合によっては、最大で2つのセグメントが単一製品で対処されていることがある。
【0009】
実際のところ、ある消費者の毛髪には異なる理由から互いに独立したいくつかのニーズがある。例えば、ヘアタイプ、テクスチャおよびうねり、および頭皮の皮脂(油)生成速度は遺伝的に決まる。毛髪に以前になされた化学的および機械的プロセスがそのコンディションに一時的に影響し得る。天気や季節の天候パターンのような環境条件もまた、用いるスタイリング製品同様、毛髪に影響を与える。従って、ある消費者の毛髪はいわゆる表示のいくつかの特徴に適しており、どのシャンプー/コンディショナー対が最も好適か決めるのは事実上不可能とさせている。
【0010】
いくつかの例を挙げてこの問題を述べる。消費者が乾燥した頭皮に、ダメージもある、ハイライトおよびヘアカラー処理した太く硬い毛髪を想像してみる。乾燥した頭皮を伴うフレーキングを防ぐマイルドなクレンジングが望まれる。更に、ダメージヘアの修復と保護も望まれる。頭皮の乾燥を改善する、ヘアカラー毛髪用、ダメージヘア用修復および保護用、あるいは艶やかさを与えるシャンプーとコンディショナーを買うこととなる。少なくとも4つのシャンプーとコンディショナー系を選ぶことになる。
【0011】
他の例を考えてみよう。ある消費者は、オイリーな頭皮を有していて毎日洗う必要がある。しかも、弱く、ヘアカラーした細い毛髪を有する。シャンプーとコンディショナーの可能性のうち、1つはオイリーな頭皮用系、1つは細いテクスチャを強化するボリュームのためのもの、1つは強度を与えるもの、1つはカラー処理した毛髪用のもの、1つはボリュームを増強するもの、1つは、細い毛髪は引張強さを欠く傾向にあるため強度を改善するものがある。
【0012】
実際のところ、上記のシャンプーとコンディショナー系のどれもこれらの消費者の毛髪に本当に理想的なものではない。
【0013】
これら2つの例から、消費者は、シャンプーとコンディショニングのニーズの全てに対処するには7または8つの別個の製品を購入する必要があることは明らかである。当然のことながら、洗髪および毛髪のコンディショニングの度に全てを使うことはできない。むしろ、製品を代わる代わる用いる結果、シャンプーとコンディショニングの度に毛髪が必要とする全てに適合するメリットは得られない。更に、4つのシャンプーおよび4つのコンディショナーを同時に用いようとする場合、シャンプーとコンディショナーは互いに適合しないため最良の結果は期待できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術のシャンプーとコンディショナーのこれらの欠点のため、本発明の目的は、シャンプーとコンディショナーを処方するとき、考慮するセグメントおよび表示の範囲を広げることである。
【0015】
より具体的には、本発明の目的は、油または皮脂生成速度、オイリー、ノーマル/オイリー、ノーマル/ドライまたはドライか、テクスチャは細い、普通、太いおよび非常に太いか、化学的処理されている等のヘアコンディション、例えば、直毛か巻毛かといった毛髪の形状、弱いか、強化が必要かといった毛髪の引張強さ、特定のシャンプーとコンディショナー処方において、化学、機械または環境因子により生じるダメージといった個々の頭皮のニーズに対処することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、ヘア、またはビューティサロンの次の来店までの間の個々の頭皮ニーズに消費者が対処できるようにすることである。同時に、本発明の目的は、来店後最初の数日間のみではなく、次の来店までの期間にわたって毛髪が所望の外観を有するように、消費者がヘアカットまたはスタイルの品質または完全性を次の来店まで維持できるようにすることである。
【0017】
本発明の更なる目的は、シャンプー、コンディショナーおよびスタイリング製品を含むキットの形態で上記の目的の全てに対処する製品をカスタマイズすることである。
【0018】
本発明の更なる目的は、製品の数はサロンで小売するには多すぎる可能性があるため、カスタマイズされた製品を顧客の自宅に直接中心地から発送可能とすることである。
【0019】
最後に、本発明の目的は、任意でワイヤレスの携帯型装置を用いて、注文が倉庫でなされるよう伝達されて、顧客の住居へ直接発送されるような、サロンでの製品の注文を容易にするデジタル通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の要約
従って、本発明は、毛髪を診断し、適切にクレンジングおよびコンディショニングする方法である。最も広い形態で、該方法は、頭皮を評価して、その皮脂生成速度を決定する工程と、毛髪を評価してそのテクスチャを決定する工程とを含む。これらの評価の結果に基づいて、該方法の次の工程は、複数の釣り合いのとれたシャンプーから1つの釣り合いのとれたシャンプーを推奨することであり、ここで、前記複数のうちの前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたシャンプーは、アニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤と、カチオンコンディショニングポリマーとを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定の頭皮タイプおよびヘアテクスチャ用の付加的な(incremental)クレンジングおよびコンディショニングを提供する。
【0021】
該方法の次の工程は、毛髪および頭皮を推奨の釣り合いのとれたシャンプーでクレンジングすることである。このクレンジング工程の後、該方法では、前に決定したテクスチャを確認する工程と、毛髪の状態を評価する工程とが続く。これらの評価の結果に基づいて、該方法の実施における次の工程は、複数の釣り合いのとれたコンディショナーから1つの釣り合いのとれたコンディショナーを推奨することであり、ここで個々の釣り合いのとれたコンディショナーは少なくとも1種の両性界面活性剤と、少なくとも1種のカチオンコンディショニングポリマーと、少なくとも1種のフィルム形成剤と、アミノ酸、タンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の双性イオン化合物とを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定のテクスチャおよび毛髪の状態用の付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する。
【0022】
該方法の最後の工程は、毛髪を推奨の釣り合いのとれたコンディショナーでコンディショニングすることである。
【0023】
本発明はまた、該方法を実施する釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーのキットである。本キットは、複数の釣り合いのとれたシャンプーを含み、ここで前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたシャンプーは、アニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤と、カチオンコンディショニングポリマーとを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定の頭皮タイプおよびヘアテクスチャ用の付加的なクレンジングおよびコンディショニングを提供する。
【0024】
該キットはまた、複数の釣り合いのとれたコンディショナーを含み、ここで、前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたコンディショナーは、少なくとも1種の両性界面活性剤と、少なくとも1種のカチオンコンディショニングポリマーと、少なくとも1種のフィルム形成剤と、アミノ酸、タンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の双性イオン化合物とを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定のテクスチャおよびヘアコンディション用の付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する。
【0025】
該キットは、最後に、特定の人の頭皮および毛髪のために、前記複数の釣り合いのとれたシャンプーから適切な釣り合いのとれたシャンプーを、そして前記複数の釣り合いのとれたコンディショナーから適切な釣り合いのとれたコンディショナーを特定する診断手段を含んでいてよい。診断手段は、例えば、ヘアケアプロフェッショナルが用いる1組の指示書、または適切なシャンプーとコンディショナーを選択するための指示とともに使用するための1つ以上のフローチャートであってもよい。
【0026】
本発明はまた、次にサロンに来店するまでの間、ヘアスタイルまたはカットの完全性を維持する方法も含む。該方法は、上述したクレンジングおよびコンディショニング方法と共に、さらに毛髪に施されるスタイルを決定する工程(該スタイルは、個々の毛髪繊維の形状および毛髪繊維の互いの空間関係に依存する)と、スタイリング助剤を毛髪に適用する工程(ここで、スタイリング助剤は、個々の毛髪繊維の形状と毛髪繊維の互いの空間関係のうち1つに影響し、そのスタイルで毛髪のカットを促進するように処方された活性成分を有する)とを含む。最後に、毛髪を所望のスタイルでカットする。
【0027】
次にサロンに来店するまでの間のヘアスタイルまたはカットの完全性を維持する方法はまた、毛髪のカット時に用いるスタイリング助剤が添加された活性成分を有する顧客に推奨された釣り合いのとれたシャンプーで毛髪および頭皮を定期的にクレンジングする工程と、毛髪のカット時に用いるスタイリング助剤が添加された活性成分を有する推奨の釣り合いのとれたコンディショナーで毛髪をコンディショニングする工程とを含む。
【0028】
本発明はまた、次にサロンに来店するまでの間のヘアスタイルまたはカットの完全性を維持する方法を実施するための2つの追加のキットも含む。サロンでスタイリストが用いるキットの1つはスタイリング助剤のキットである。このキットは、保湿剤と、ポリマーコンプレックスと、キャリアとをそれぞれ含む活性成分を有する複数のスタイリング助剤を含み、ここで、該ポリマーコンプレックスは少なくともフィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂の組み合わせである。保湿剤、フィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂が、複数のスタイリング助剤に比例した異なる量で提供され、それにより一方を他方から区別して、それぞれ毛髪繊維の形状および互いの空間関係の特定の態様に対処して、所望のスタイルを生成することができる。
【0029】
次にサロンに来店するまでヘアスタイルの完全性を維持するために顧客が自宅で用いる他のキットは、顧客の頭皮タイプおよびヘアテクスチャ用の付加的なクレンジングおよびコンディショニングを提供するために複数の釣り合いのとれたシャンプーから顧客に推奨された釣り合いのとれたシャンプーと、顧客のヘアテクスチャおよびヘアコンディションのために付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する複数の釣り合いのとれたコンディショナーから顧客に推奨された釣り合いのとれたコンディショナーとを含む。釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーは、毛髪をカットして、個々の毛髪繊維の形状と毛髪繊維の互いの空間関係の少なくとも1つを維持するようスタイリングしてヘアスタイルの完全性を維持するとき、スタイリング助剤の活性成分を更に含んでいてもよい。
【0030】
本発明を図面に従った記載を参照して、より詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
好適な実施形態の詳細な説明
本発明を詳細に議論する前に、原理を簡単に説明し、明細書および本発明の実施で用いる用語の定義について示す。定義に続いて、より詳細な原理を説明する。
I.基本原理
本発明によれば、頭皮タイプとヘアテクスチャの両方を用いて、個々の消費者のシャンプーのニーズを決定する。周知の通り、頭皮は毛髪に皮脂を与える。この皮脂が、毛髪表面と頭皮を平滑に柔らかくし、毛髪から過剰にエモリエント性が失われるのを保護する。皮脂生成は、遺伝的に決められホルモンで制御される。このように、皮脂生成速度は個人ごとに異なる。4つの一般的に認識されるカテゴリを用いて、頭皮での皮脂生成レベルを記載すると、オイリー、ノーマル/オイリー、ノーマル/ドライ、およびドライである。ただし、個々で観察される皮脂生成のレベル範囲は、これら4つよりもより狭いカテゴリに細分、またはより少ない広いカテゴリに分類され得ることが理解されるべきである。
【0032】
ヘアテクスチャは、毛髪の個々のストランドの細さおよび太さの程度として表される直径、平滑度および粗さにより決定される。テクスチャは、いかに容易に皮脂が毛髪ストランドに沿って中軸に向かって移動されるか決めるものであるため重要である。テクスチャは、細い、普通、太い、および非常に太いの4つのカテゴリで一般的に表されるが、テクスチャは、これら4つよりもより狭いカテゴリに細分、またはより少ない広いカテゴリに分類され得る。
【0033】
既述した通り、シャンプーの選択をするときは、頭皮とテクスチャの両方が重要である。例えば、オイリーな頭皮は、ドライな頭皮よりもクレンジングをより必要とする。毛髪自体が細いテクスチャの場合には、その直径と、頭皮からの皮脂の移動し易いために、皮脂が蓄積しやすい。従って、頭皮がオイリーでヘアテクスチャが細い場合には、皮脂が頭皮から毛髪に沿ってより移動し易く、頭皮を潤滑し保護する。しかしながら、頭皮とテクスチャのこの特定の組み合わせだと、固まったり、毛髪が凝集したり、汚れが早く蓄積する。これら2つの表示(オイリーな頭皮と細いテクスチャ)のためのシャンプーの選択は比較的単純である。つまり、毛髪に重みを与えないクレンジング力の高いシャンプーが必要である。
【0034】
表示がより極端な場合、例えば、オイリーな頭皮と太いテクスチャの毛髪だと、はっきり区別して検討をしなければならない。頭皮はクレンジングを必要としているが、太い毛髪は皮脂にあまり影響を受けておらず、細い毛髪より粗く厚いために、頭皮に沿ってそう容易には移動しないからである。従って、よりマイルドなクレンジングとある程度のエモリエントが太い毛髪に湿気を与え、柔らかくするために必要である。
【0035】
本発明によれば、ヘアテクスチャと毛髪の状態の両方を用いて、個々の消費者に必要なコンディショニングを決定する。毛髪の既存の状態としては、多孔性、弾性および強度、エモリエント性のレベル、カラー処理やダメージの存在といった以前の処理の形跡が挙げられる。一般に、毛髪の状態は、遺伝子配置により決まり、機械的および環境因子および化学的変化に影響される。
【0036】
4つ全てのテクスチャの毛髪のコンディショニングの背後にある基本的な目的は同じ−静電気の削減や湿潤および乾燥くし通り性の改善−であるものの、各テクスチャタイプの毛髪の現在の状態は、異なるレベルの修復、強化、保護および光沢を必要としている。
【0037】
例えば、2回処理のヘアカラーをした細い毛髪は、2回処理のヘアカラーをした太い毛髪と同じ基本コンディショニングを必要とする。しかしながら、そのテクスチャのために、細い毛髪は、太い毛髪よりも更に強化を必要とする。
【0038】
この基本原理に続いて、本発明に適用される、説明で用いる用語の定義を以下に示す。
【0039】
II.定義
頭皮の機能に関する定義をまずしておく。上述した通り、頭皮は毛髪に脂質(皮脂)を供給する。皮脂は、皮脂腺により連続的に生成されて、潤滑剤として作用して、毛髪表面と頭皮を滑らかに柔らかくし、ややオイリーな保護コーティングを毛髪に形成してエモリエント性(emolliency)が過剰に失われるのを防ぐ補助をする。皮脂生成は遺伝的に決められホルモンで制御される。従って、皮脂生成速度は個人ごとに異なり、特定の個人によっても時間と共に変化し得る。頭皮の皮脂生成レベルを説明する4つの一般的に認識されているカテゴリを下の第2表に特徴をまとめる。
【0040】
【表2】

【0041】
特定の個人の頭皮タイプを特定する他の方法は、次に必要な洗髪までの時間である。頭皮タイプと洗髪間隔のおよその相関性を第3表にまとめる。
【0042】
【表3】

【0043】
毛髪が一般的に分類される様々なテクスチャについて考えてみる。上述した通り、ヘアテクスチャは、毛髪の直径を含めた毛髪の各ストランドの細かさ、または太さ、すなわち、薄さ、または厚さ、同様に滑らかさと粗さの程度である。細かさと太さは遺伝的に決まる。毛髪の滑らかさと粗さは、遺伝子、機械的な考慮、化学的プロセスおよび環境により影響を受ける。テクスチャは、いかに容易に皮脂が頭皮から毛髪の中軸に向かって、それ自身で、またはブラシングやコーミングのような機械的な手段により移動されるかを決める。
【0044】
一般的にヘアテクスチャを説明する4つのカテゴリを下の第4表に特徴をまとめる。
【0045】
【表4】

【0046】
以下は毛髪の現在の状態を記載するのに用いる用語の定義である。上述した通り、毛髪の状態には、多孔性、弾性、強度、エモリエント性のレベル、ダメージの存在といった以前の処理の形跡が挙げられる。毛髪の状態は、巻毛か直毛か等、遺伝子配置、ブラシング、コーミングおよびスタイリングをはじめとする機械的因子、および日光、汚染、水をはじめとする環境因子により決まる。カラー、ブリーチ、パーマネントウェーブおよびストレートパーマをはじめとする化学的変化もまた、毛髪の状態に影響する。毛髪の状態の特徴を下の第5表にまとめる。
【0047】
【表5】

【0048】
III.クレンジングのための頭皮/テクスチャの関係
これらの定義はさしあたってのものであり、クレンジングまたはシャンプーに関連した頭皮とテクスチャのより完全な関係をまとめる。異なる頭皮タイプとヘアテクスチャの組み合わせにつき、異なる特徴を備えた少なくとも8つの異なる組み合わせが考えられる。
【0049】
【数1−1】

【0050】
【数1−2】

【0051】
IV.コンディショニングのためのテクスチャ/コンディションの関係
コンディショニングに関係のある毛髪のテクスチャとコンディションの関係をより完全に以下にまとめる。
A)細い/ノーマルまたは1回処理
細い毛髪がノーマル、または1回処理されている場合には、少量の引張強さおよび弾性が失われ得るため、コンディショニングと強化が必要である。
B)細い/天然巻毛、2回処理、パーマネントウェーブまたはストレートパーマ
細い毛髪が天然巻毛であるか、多数回のカラープロセスを経ているか、もしくはパーマネントウェーブまたはストレートパーマされている場合には、引張強さおよび弾性がかなり失われ得、修復および保護に加えて中程度のコンディショニングが必要である。
C)普通/ノーマルまたは1回処理
普通の毛髪がノーマルであるか、1回処理されている場合には、引張強さおよび弾性が少量失われ得、修復および保護に加えて中程度のコンディショニングが必要である。
D)普通/天然巻毛、2回処理、パーマネントウェーブまたはストレートパーマ
普通の毛髪が天然巻毛であるか、多数回のカラープロセスを経ているか、もしくはパーマネントウェーブまたはストレートパーマされている場合には、引張強さ、多孔性および弾性がいくらか失われ、触ると乾燥していて、修復および保護に加えて高レベルのコンディショニングが必要である。
E)太い/ノーマルまたは1回処理
太い毛髪がノーマルであるか、1回処理されている場合には、弾性およびエモリエント性が少量失われ得る。粗い表面のために、1回プロセス処理あり、またはなしで、修復および保護に加えて高レベルのコンディショニングが必要である。
F)太い/天然巻毛、2回処理、パーマネントウェーブまたはストレートパーマ
太い毛髪が天然巻毛であるか、多数回のカラープロセスを経ているか、もしくはパーマネントウェーブまたはストレートパーマされている場合には、弾性およびエモリエント性がいくらか失われ得る。粗い表面のために、任意の化学的相互作用あり、またはなしで、修復および保護に加えて非常に高レベルのコンディショニングが必要である。
G)非常に太い/ノーマルまたは1回処理
非常に太い毛髪がノーマルであるか、1回処理の場合には、弾性およびエモリエント性が少量失われ得る。非常に粗く脆い天然状態であるため、このタイプの毛髪には、修復および保護に加えて非常に高レベルのコンディショニングが必要である。
H)非常に太い/天然巻毛、2回処理、パーマネントウェーブまたはストレートパーマ
非常に太い毛髪が天然巻毛であるか、多数回のカラープロセスを経ているか、パーマされている場合には、弾性およびエモリエント性がいくらか失われる。非常に粗く脆い天然状態であるため、このタイプの毛髪には、基本的なコンディショニングに加えて、より高レベルの修復、強化およびエモリエント性が必要である。
【0052】
これら8つのテクスチャ/コンディションカテゴリのいずれかにある毛髪が、機械的、環境的または化学的手段によりダメージを受けている場合には、上述したものより、基本的なコンディショニングに加えて追加の修復および保護を必要とし得ることが重要である。
【0053】
V.釣り合いのとれたクレンジングおよびコンディショニング方法
前述の背景を踏まえると、本発明の一部は、以下の3つの別個の態様を包含する釣り合いのとれたクレンジングおよびコンディショニング方法である。
A)シャンプーとコンディショナーを処方するときに考慮すべき表示の範囲を広げる診断態様、
B)釣り合いのとれたクレンジングおよびコンディショニングにより消費者の個々のニーズに表示を整合させる(すなわち、相互に関連付ける)よう設計された製品態様、および
C)診断された基質(すなわち、毛髪)で製品を使用可能とする科学的な態様。
【0054】
これら3つの態様について詳細に述べる。
A.診断態様
診断態様は、シャンプーとコンディショナーを処方するときに考慮すべき表示の範囲を広げる。診断態様は、「基質」すなわち毛髪の特徴を説明するものであり、クレンジングおよびコンディショニング製品の組み合わせを提供する基本を確立する。
【0055】
診断態様は、経験的な試験により開発されたものであり、個人の毛髪と頭皮を診断してから、釣り合いのとれた(すなわち、段階的な)レベルの界面活性剤とコンディショニング成分とを含有するクレンジングおよびコンディショニング製品と整合させることができる。すなわち、より具体的には、本発明の方法を実施するシャンプーとコンディショナーの両方が、段階的なレベルのクレンジングおよびコンディショニング(基本的なコンディショニング、修復、保護、強化および光沢を含む)活性を有している。
【0056】
該方法によれば、各個人のクレンジングおよびコンディショニングニーズを決定し、複数のシャンプーとコンディショナーから、個人のニーズに対処する適切なシャンプーとコンディショナーを選択する。本発明によれば、これは、個人の観察および一組の所定の質問に応答するための次の少なくとも3つの別の基準を評価することによりなされる。(1)個人の頭皮、(2)個人の毛髪のテクスチャ、(3)個人の毛髪のコンディション。観察と応答を一組の所定の可能性と比べる。本発明の系統的なプロセスは、「シャンプー診断」と「コンディショナー診断」の2つの段階で実施される。
1)シャンプー診断
シャンプー診断では、頭皮を検査し評価して、皮脂生成速度を見積もって、フレーキングが存在するかどうかにより、用いるシャンプーに必要なクレンジング剤(すなわち、界面活性剤)の適切な比率を決定する。毛髪のテクスチャも評価して、毛髪が、細い、普通、太い、非常に太いかどうか判断し、このテクスチャによって、シャンプーに必要とされる保護(すなわちコンディショニング)のレベルが決まる。
【0057】
本発明によれば、シャンプー診断は4つの工程で進む。
【0058】
a)ステップ1−頭皮タイプの決定:頭皮を検査して過剰の油(皮脂)が生成されていないか、フレーキングがないか見る。「どのくらいの頻度で洗髪しますか?」という質問に対する回答を得る。回答が2〜4日(以上)毎に1回の場合には、頭皮ガイドライン表(上の第3表に示したもの)に頭皮コンディションを入れる。回答が毎日の場合には、「毎日シャンプーしないと、シャンプー後どのくらいで頭皮と毛髪が汚れて見えてきて、クレンジングが必要になりますか?」という質問に対する回答を得る。毎日〜4日(以上)毎に1回の回答を用いて、上の第3表に示した頭皮ガイドラインの頭皮コンディションを探す。
【0059】
b)ステップ2−ヘアテクスチャの決定:毛髪を目視検査し、触ってその直径を求め、粗さと滑らかさの程度を決定する。「毛髪は絡んだり、切れやすいですか?」という質問に対する回答を得る。回答によって、毛髪が、絡みやすければ粗く、そうでなければ滑らであり、引張強さについても、切れやすいかそうでないかで分かる。「ヘアスタイルリングしやすいですか?またスタイルがどの程度持続しますか?」という質問に回答してもらう。回答によって、スタイリングし難ければテクスチャが太いまたは非常に粗く、スタイルを持続できなければ細いことが分かる。
【0060】
c)ステップ3−シャンプー選択:ステップ1と2で得られた情報を用いて、個人の毛髪について必要なクレンジングレベルを事前に決定し、第6表に従って基本のシャンプーを勧める。
【0061】
d)ステップ4−シャンプー選択の再評価:細い、または普通の毛髪を更に検査して、ダメージを受けているかどうか決める。受けている場合には、ダメージを補うために第6表に従って、これと比例してコンディショニング活性のあるシャンプーを勧め得る。
【0062】
【表6】

【0063】
2)コンディショナー診断
シャンプー診断で決定した毛髪のテクスチャは、用いるコンディショナーに必要な強化とコンディショニングの比率に直接関係している。化学的変化履歴(パーマ、カラー処理等)に基づいた毛髪のコンディションおよびその引張強さ、弾性およびエモリエント性のレベルも評価する。これらは、必要な修復の比率に関係している。
【0064】
本発明によれば、コンディショナー診断もまた、シャンプーの選択とは区別される4つの工程で進む。
【0065】
a)ステップ1−ヘアテクスチャの事前評価を考慮する。
【0066】
b)ステップ2−ヘアコンディションの評価:毛髪のコンディションを評価して、化学的プロセスが存在しているか、または増大しつつあるかを調べる。毛髪が天然巻毛か直毛か決定する。毛髪の引張強さ、弾性および水分レベルを、毛髪の単一ストランドにストレッチテストを行うことにより検査する。光沢、ボリューム、濡れたり乾燥したときに絡む、フライアウェイおよびコントロールについての質問の回答を得る。
【0067】
c)ステップ3−コンディショナー選択:ステップ1と2で得られた情報を用いて、個人の毛髪について必要なコンディショニングレベルを事前に決定し、第7表に従って基本のコンディショナーを勧める。
【0068】
d)ステップ4−コンディショナー選択の再評価:検査の際に、多数層のカラー、誤った処理時間、または機械的もしくは環境的因子により毛髪がダメージを受けている場合には、第7表に示すような追加のコンディショニングが必要である。
【0069】
【表7】

【0070】
B.本発明の製品態様
本発明の製品態様は、1)釣り合いのとれたシャンプー、2)釣り合いのとれたコンディショナー、3)釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを含むキットの少なくとも3つの部分に分類される。
1)釣り合いのとれたシャンプー
本発明によれば、釣り合いのとれたシャンプーは、毛髪の診断された要件に対処するために特定の比率のクレンジングとコンディショニング特性を有するように処方される。4つの釣り合いのとれたシャンプーが開発されているが、4つより少ない、または多い釣り合いのとれたシャンプーを開発して、それぞれ、より太い、またはより細いスケールで毛髪の診断された要件に対処するのに用いることができるものと理解されるべきである。後述する通り、4つの釣り合いのとれたシャンプーは100/0、90/10、80/20および60/40で設計されている。100/0のシャンプーから60/40のシャンプーへとスペクトルを移動すると、クレンジング活性レベルがこれに比例して減少し、コンディショニングのレベルはこれに比例して上昇する。コンディショニングに対してより高レベルのクレンジング活性は、例えば、頭皮での高速の皮脂(油)生成および/またはより太い毛髪とは対照的により細い毛髪に対応する。
【0071】
下の第8表に上の第6表に規定したクレンジングのニーズに適合させるのに用いられる釣り合いのとれたシャンプーを特定する。
【0072】
【表8】

【0073】
2)釣り合いのとれたコンディショナー
本発明によれば、釣り合いのとれたコンディショナーは、修復、強化および保護を含むコンディショニングのために毛髪の診断された要件に対処するために特定の比率のコンディショニングと界面活性剤成分とを有するように処方される。4つの釣り合いのとれたコンディショナーが開発されているが、4つより少ない、または多い釣り合いのとれたコンディショナーを開発して、それぞれ、より太い、またはより細いスケールで毛髪の診断された要件に対処するのに用いることができることが理解されるべきである。後述する通り、4つの釣り合いのとれたコンディショナーは5/95、10/90、20/80および40/60で設計されている。5/95のコンディショナーから40/60のコンディショナーへとスペクトルを移動すると、コンディショニングのレベルがこれに比例して減少し、界面活性剤のレベルはこれに釣り合って上昇する。界面活性剤に対してより高レベルのコンディショニングは、例えば、次の診断のいずれか、または全てに対応する。細い、に対して太いテクスチャ、直毛に対して巻毛の状態、ノーマルに対して処理された毛髪、およびダメージのない毛髪に対してダメージのある毛髪。
【0074】
下の第9表に上の第7表に規定したコンディショナーのニーズに適合させるのに用いられる釣り合いのとれたシャンプーを特定する。
【0075】
【表9】

【0076】
3)釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーのキット
本明細書に記載した方法に加えて、本発明はまた、該方法を実施するための釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーのキットも提供する。該キットには、上述した釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナー、そして、どの釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーが特定の人の毛髪に最適であるか決定するための上述したシャンプーとコンディショナー診断を実施する診断手段を含む。キットの使用例について以下に示す。
【0077】
本発明の方法とシャンプーとコンディショナーの関係については図1を参照することにより達成される。図1は、本発明のシャンプーとコンディショナーの比例関係を例証する図である。図1には、個人の毛髪と頭皮を評価する5つの基準にそれぞれ関係するクレンジングとコンディショニングの相対的な程度を示すスケールで本発明の4つの代表的なシャンプーとコンディショナーを示してある。
C.釣り合いのとれたクレンジングとコンディショニングの科学的な態様
理論に制限されることは望むところではないが、本発明の方法の有利な使用は、当業界に公知の従来の成分で処方された釣り合いのとれたクレンジングおよびコンディショニング処方で達成される。本発明によれば、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーが、マクロ系(シャンプーとコンディショナー処方の両方について一般的な成分を指す)と両性電解質コンプレックスの点で説明する。他のシャンプーとコンディショナー処方を、本明細書に開示の教示に従って、本発明の方法で用いるために調製できることは当業者には明白であろう。従って、これらのシャンプーとコンディショナー処方は本発明で用いるのに好ましいが、本発明の方法は本明細書に開示された処方に限定されない。
1.マクロ系
マクロ系とは、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーに存在する成分を指し、個人の毛髪のクレンジングおよびコンディショニング要件を特定する診断プロセス中に考慮される全範囲の表示に科学的な解決を与えるよう設計された。当業者に明らかなように、シャンプーとコンディショナー処方は、処方により与えられる必要なそれぞれの機能(すなわち、クレンジング、コンディショニング、フィルム形成、強化等)に対処する多数の成分を含有している。
【0078】
本発明の目的のためにこれらの要件は別個に処理されるが、シャンプーとコンディショナー中の様々な成分は、正(スペクトルの一端)と負(スペクトルの他端)の相対的な電荷範囲で表される。当業者に周知の通り、個人の毛髪は負電荷を帯びている。これらの電荷の相関関係により、マクロ系は、修復、保護、強化および光沢という利点を与えて、電荷関係の確立によりクレンジングとコンディショニングの役割を向上する。
【0079】
本発明の方法と組み合わせて用いるシャンプーとコンディショナーの両方における重要な決定要因は、基本のコンディショニング系のその他の成分に加えてカチオンコンディショニング剤(または成分)の使用により一部提供されるカチオン活性である。釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナー中のカチオンコンディショニング剤は、静的除去性および湿潤と乾燥共存性の基本コンディショニングの役割に加えて、修復、保護および強化を行うことができる。全体のカチオン活性は、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナー内で相互作用する3つの一般的なクラスの成分により提供される。本発明のシャンプーとコンディショナーの釣り合いのとれたクレンジングとコンディショニング活性は、各クラスの成分における釣り合いのとれた(すなわち、段階的な)濃度のコンディショニング剤、界面活性剤および両性電解質により得られる。これについては、下の第10表にまとめる。
【0080】
【表10】

【0081】
上記の一般分類の各成分はシャンプーとコンディショナーに用いるのに当業界に周知である。これらの各分類の成分の代表例は、本明細書に参照により援用される次のような参考文献にある。「インターナショナル化粧成分辞典ハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)(第9版、2002年)」、「コスメティックサイエンス・アンド・テクノロジーハンドブック(Handbook of Cosmetic Science and Technology)(ハワードI.メイバッハ(Howard I.Maibach)2001年)」、「ヘアケアのサイエンス(The Science of Hair Care)(チャールズツビアック(Charles Zvizc)1986年)」、「ヒトの毛髪の化学的および物理的挙動(Chemical and Physical Behavior of Human Hair)(スプリンガー−フェアラーク(Springer−Verlag)、第3版 1994年)」、「コスメトロジーのミレディーの標準テキストブック(Milady’s Standard Textbook of Cosmetology)(2002年)」および「毛髪構造と化学概略(Hair Structure and Chemistry Simlified)(ジョンハラル(John Halal)、2002年)」。
a)界面活性剤
様々な界面活性剤を、各クラスの界面活性剤について本発明に従って用いることができる。用いられるアニオン界面活性剤の代表例としては、以下のクラスの界面活性剤から選択されるアニオン界面活性剤が例示されるがこれらに限られるものではない。
1)合計組成物の約1〜約10重量パーセントの式(I)のアルキルエーテルスルフェート:
R(OCHCHOSOX(I)
(式中、「R」は12〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、「n」は1〜4の整数であり、「X」はアルカリ金属や第4級アンモニウム基のようなカチオンである)
2)合計組成物の約1〜約10重量パーセントの式(II)のアルキルエーテルスルホスクシネート:
【0082】
【化1】

【0083】
(式中、「R」は8〜20個の炭素を有するアルキル基であり、「n」は1〜4の整数であり、「X」はアルカリ金属のようなカチオンである)。
【0084】
好ましくは、アニオン界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、PEG−12ジメチコーンスルホコハク酸二ナトリウムまたはこれらの混合物から構成される。ラウレス硫酸アンモニウムおよびラウレス硫酸ナトリウムは、コグニスコーポレーション(Cognis Corporation)N.A.より「スタンダポール(Standapol)EA−1」および「スタンダポール(Standapol)ES−2」という商品名で市販されている。ラウレススルホコハク酸二ナトリウムおよびPEG−12ジメチコーンスルホコハク酸二ナトリウムは、マッキンタイヤグループ(McIntyre Group)LTDより「マッカネート(Mackanate)EL」および「マッカネート(Mackanate)DC−50」という商品名で市販されている。
【0085】
用いられる両性界面活性剤の代表例としては、以下のクラスの界面活性剤から選択される両性界面活性剤が挙げられるがこれらに限られるものではない。
1)合計組成物の約1〜約5重量パーセントの式(III) のアミドアルキルベタイン:
RCONH(CHCHCO (III)
(式中、「RCO」は天然油から誘導された脂肪酸を表し(例えば、ヤシ油)、「n」は1〜3の整数であり、RおよびRはそれぞれ1〜4個の炭素を有するアルキル基(例えば、メチル基)である)。好ましいアミドアルキルベタインは、コグニスコーポレーション(Cognis Corporation)N.A.より「ヴェルベテックス(Velvetex)BK−35」という商品名で市販されているココアミドプロピルベタインである。
2)合計組成物の約0.1〜約5重量パーセントの式(IV)を有するアンホカルボキシレート化合物:
RCONH(CH)N (IV)
(式中、「R」は10〜21個の炭素を有するアルキル基であり、「x」は2〜4の整数であり、Rは水素であり、Rは2〜3個の炭素を有するカルボキシアルキル基であり、Rは2〜3個の炭素を含有するヒドロキシアルキル基である)。好ましくは、アンホカルボキシレート化合物は、マッキンタイヤグループ(McIntyre Group)LTDより「マッカム(Mackam)HPL28」という商品名で市販されているラウロアンホ酢酸ナトリウムおよびトリ−Kインダストリーズ(Tri−K Industries)より「ヴァマソフトココアバター(Vamasoft Cocoa Butter)」という商品名で市販されているココバターアンホ酢酸ナトリウムである。
【0086】
用いられるノニオン界面活性剤の代表例としては、以下のクラスの界面活性剤から選択されるノニオン界面活性剤が挙げられるがこれらに限られるものではない:
1)合計組成物の約1〜約10重量パーセントの、約8〜14個の炭素原子を含有する長鎖アルコールとグルコースまたはグルコース含有ポリマーとの縮合生成物である長鎖アルキルグルコシドまたはポリグルコシド。アルキルグルコシドはアルキルグルコシド1分子当たり約1〜6個のグルコース残基を有する。好ましいグルコシドは、ヘンケルコーポレーション(Henkel Corporation)より「プランタレン(Plantaren)1200」という商品名で市販されているラウリルグルコシドである。
2)合計組成物の約0.1〜約3重量パーセントの式(V)を有するアルカノールアミド界面活性剤:
RCONH(CHOH (V)
(式中、RCOは天然油(例えば、ヤシ油)から誘導された脂肪酸を表し、「n」は1〜3の整数である)。好ましいアルカノールアミドは、プロタメーンケミカルズ社(Protameen Chemicals Inc.)より「プロタミド(Protamide)CME」という商品名で市販されているコカミドMEAである。
3)合計組成物の約0.1〜約1重量パーセントのアルコキシル化アルコール、好ましくは平均120モルのエチレンオキサイドを有するメチルグルコースとオレイン酸のジエステルのポリエチレングリコールエーテル、これは、アメルコールコーポレーション(Amerchol Corporation)より「グルカメート(Glucamate)DOE−120」という商品名で市販されている。
b)カチオンコンディショニングポリマー
同様に、コンディショニング系用のカチオンコンディショニングポリマーは当業界に周知である。例えば、代表例のカチオンコンディショニングポリマーとしては、以下から選択されるカチオンコンディショニングポリマーが挙げられるがこれらに限られるものではない:
1)カチオンセルロース誘導体、および
2)ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化コポリマー。
【0087】
各コンディショナー成分の量は、組成物の合計重量に基づいて、約0.01〜約1パーセント、好ましくは約0.01パーセント〜約0.5パーセントの範囲である。
【0088】
カチオンセルロース誘導体は、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとのヒドロキシエチルセルロースの反応から誘導されたポリマー性第4級アンモニウム塩であるのが好ましい。平均分子量が300,000〜400,000のアメルコールコーポレーション(Amerchol Corporation)より「ポリマー(Polymer)JR−400」として供給されるポリクォーターニウム−10(Polyquaternium-10)として知られた材料をこの目的で用いてもよい。
【0089】
第2の好ましいカチオンポリマーとしては、硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーとの反応から誘導された化合物が挙げられる。平均分子量が約1,000,000の「ガフクアット(Gafquat)755N」でISPから市販されているポリクォーターニウム−11(Polyquaternium-11)として知られた材料をこの目的で用いてもよい。
c)第4級アンモニウム塩
本発明のコンディショナー系はまた、第4級アンモニウム塩も含んでいる。用いられる代表的な第4級アンモニウム塩としては、式(VI)を有する以下のカチオン界面活性剤のクラスから選択される第4級アンモニウム塩が挙げられるがこれに限られるものではない:
【0090】
【化2】

【0091】
式中、RはC14〜C22のアルキル基またはC〜Cのグルコンアミドアルキル基であり;RおよびRはそれぞれC〜Cのアルキル基であり、RはC〜Cアルキル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基であり;Xは塩化物、臭化物、メトスルフェートおよびこれらの混合物からなる群より選択される塩形成アニオンである。
【0092】
通常、上記コンディショニングアンモニウム塩の各々の量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1パーセント〜約7パーセント、好ましくは約0.1パーセント〜5パーセントの範囲である。
【0093】
1つの好ましいモノアルキル第4級化合物は、ベヘトリモニウムメトスルフェートとセテアリールアルコールの混合物である「インクロクアットベヘニル(Incroquat behenyl)TMS」という商品名でクローダ社(Croda Inc.)より市販されているベヘトリモニウムメトスルフェートである。
【0094】
第2の好ましいコンディショニング第4級化合物は、「セラフィル(Ceraphyl)60」という商品名でISPより市販されているクォーターニウム−22(Quaternium-22)として知られているグルコンアミドプロピルジメチル2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロライドである。
d)ノニオンシリコーン誘導化合物
本発明のコンディショニング系はまた、エモリエントとして用いるノニオンシリコーン誘導化合物(例えば、シロキサンおよびシロキサン誘導体)も含んでいる。代表的な用いられるシリコーン誘導化合物としては、式(VII)を有する以下のクラスから選択される不揮発性シリコーンコンディショニング剤が挙げられるがこれらに限られるものではない:
【0095】
【化3】

【0096】
式中、「R」はそれぞれ独立してアルキルまたはアルキルアリール基であり、xは7〜80,000の整数である。シリコーンは、合計組成物の約0.1重量パーセント〜約10重量パーセント、より好ましくは0.5パーセント〜5パーセントの量で存在している。
【0097】
好適な不揮発性シリコーンの例としては、200〜1000cpsの範囲の粘度を有するポリジメチルシロキサンとポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。これらの材料は、ダウコーニングコーポレーション(Dow Corning Corporation)より入手可能な「ジメチコーン(Dimethicone)200」およびISPにより供給される「Si−Tec PTM」シリーズとして知られている。
e)両性電解質系
上述した通り、両性電解質系はまた、アミノ酸やタンパク質のような非界面活性剤両性イオン化合物も挙げられ得る。用いられる代表的な両性イオン化合物としては、約0.1〜約3重量パーセントの範囲のアミノ酸誘導両性イオンおよび非加水分解小麦タンパク質が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0098】
特に好ましい組成物において、両性イオンは、コスモケール(Cosmocaire)C−100という商品名でセンターケム社(Centerchem,Inc.)より市販されているヒドロクレアチンおよびドラゴコ(Dragoco)より市販の「ドラゴダーム(Dragoderm)2/012550」として知られている非加水分解小麦グルテンである。
2.両性電解質コンプレックス
本発明によれば、両性電解質コンプレックスは、シャンプーとコンディショナーのカチオン活性を、マクロ系の他の成分クラスと相互作用させることにより制御すると考えられている一般的なクラスの「両性電解質」のことを指す。理論に制限されることは望むところではないが、両性電解質は、特定の診断へのマクロ系の調整を促進して、クレンジングとコンディショニングを最適にさせると考えられる。このように、最適なクレンジングとコンディショニングは、コンディショニング剤および界面活性剤とより広いシャンプーとコンディショナー組成物内で組み合わせる両性電解質の濃度を系統的に制御することにより達成される。
3)シャンプー用マクロ系および両性電解質コンプレックス
釣り合いのとれたシャンプー用のマクロ系は、頭皮油生成とヘアテクスチャの相互作用を利用して、ヘアタイプの範囲、そして各ヘアタイプについて対応のクレンジングニーズを特定する。当業界に知られている通り、テクスチャは、頭皮から毛髪への油(すなわち、皮脂)の移動を制限して、シャンプーから必要とされる場合には、必要なコンディショニングのレベルを確立する。同様に、頭皮の油の生成は、シャンプー中の界面活性剤から必要なクレンジングのレベルを決定する。頭皮油生成およびヘアテクスチャの診断は、特定のヘアタイプのシャンプーから必要なコンディショニング活性に対して相対的な釣り合いを確立する。
【0099】
a)界面活性剤系−界面活性剤の3つのカテゴリが、それぞれ、アニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤により示される通り、陰性、中性および両性電荷により表される本発明のシャンプーに用いられる。界面活性剤は、皮脂範囲(頭皮生成により決まる)およびヘアのテクスチャに対処するような比率でブレンドされる。各クラスの界面活性剤の相対的な濃度を処方して、所望のクレンジングが得られるエモリエント性のための毛髪の要求に比例するように両性電解質の活性をまとめる。
【0100】
b)コンディショニング系−静電気除去と、乾燥と湿潤のくし通りの機能は、シャンプー組成物中の両性電解質と相互作用するコンディショニング剤の存在によりシャンプーにおいて対処される。エモリエントと共のコンディショニング剤の濃度は、テクスチャおよび、頭皮の油生成速度に対するダメージの状態から決まる通り、個人の毛髪により必要とされるコンディショニングのレベルの増大に基づいてシャンプー組成物中で増大する。本発明によれば、これらのコンディショニング剤(例えば、それぞれ、カチオンコンディショニングポリマーと第4級アンモニウム塩)により与えられるカチオン活性の強度が、両性界面活性剤と組み合わせて用いることにより増大する(すなわち、相乗効果がある)ものと考えられる。
【0101】
c)両性電解質コンプレックス−本発明のシャンプー組成物において、両性電解質コンプレックスは、主に少なくとも1種の両性界面活性剤から構成されており、シャンプー組成物のpHのために、カチオンコンディショニング剤として挙動すると考えられる。その結果、シャンプー中の両性界面活性剤とコンディショニング剤は、個人のヘアタイプに必要なレベルのコンディショニングを与える。更に、両性電解質コンプレックス(主に両性界面活性剤から構成される)はまた、アニオン界面活性剤と反作用して、よりマイルドなクレンジングを行う。
【0102】
このように、理論に制限されることは望むところではないが、シャンプーのための両性電解質コンプレックスの一般的な機能には、次のように特徴付けることができる。毛髪に適用されると、異なる比率のノニオンエモリエントと両性界面活性剤がアニオン界面活性剤活性に影響する。本発明のシャンプー組成物中での高濃度の両性界面活性剤の相互作用は、クレンジング活性に影響し(アニオン界面活性剤の強力なクレンジング特性を弱めることによって)、一方で、カチオンコンディショナー剤との相乗効果を示す(基本コンディショニング、修復及び保護性能を増強することによる)。
【0103】
更に、本発明のシャンプーは、フレグランス、防腐剤、酸化防止剤およびキレート化剤のような従来の成分を追加して含有することができる。防腐剤は、洗い流す製品に適切な防腐剤であればいずれであってもよい。キレート化剤はEDTA二ナトリウムまたはEDTA三ナトリウムである。酸化防止剤はBHTまたは酢酸トコフェリルである。以下の脂肪アルコール(セテアリルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコール)のうち1つまたはそれ以上を含めてもよい。以下のエステル(ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、トリグリセリドおよびメドウフォメート(meadowfoamates))のうち1つまたはそれ以上を含めてもよい。保湿剤グリセリンおよびポリエチレングリコール、植物抽出液およびフレグランスを含めてもよい。
4)コンディショナー用マクロ系および両性電解質コンプレックス
釣り合いのとれたシャンプーと同様に、釣り合いのとれたコンディショナー用のマクロ系は、特定のヘアタイプのニーズに比例してコンディショニング、修復、強化、保護および毛髪の光沢の向上をすべく設計された両性電解質コンプレックスの系統だった使用によるカチオン成分の調整に頼っている。
【0104】
コンディショナー用のマクロ系は、個人のヘアタイプの特定のニーズに適合して、最良のコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を与えるために、カチオンコンディショニング剤/フィルム形成剤および両性電解質コンプレックス(コンディショナー中に存在しながらカチオン活性を示す)の比率を変えて、コンディショナーの相対的なカチオン活性を調整することにより作用する。特定のヘアタイプにより必要とされる必要なレベルのカチオン活性に影響する診断決定因子としては、ヘアテクスチャ、化学的プロセス、うねり、ダメージのレベルおよび強化(基質の直径の機能)が挙げられる。
【0105】
a)界面活性剤系−本発明によれば、コンディショナー用界面活性剤系は、後述する両性電解質コンプレックスの一部でもある両性界面活性剤から構成される。理論に制限されることは望むところではないが、両性界面活性剤は、コンディショニング組成物中のカチオンコンディショニング剤/フィルム形成剤および他の両性電解質の活性を増強することにより機能するものと考えられる。両性界面活性剤は、次の2つのやり方でコンディショナーの他の成分と相互作用するものと考えられる。
(i)カチオンコンディショニングポリマーとの相互作用−帯電防止および乾燥/湿潤共存性カチオンは、両性界面活性剤のカチオン活性により増強される、
(ii)両性電解質コンプレックス中の他の両性電解質との相互作用−両性界面活性剤は、アミノ酸およびタンパク質の修復の利益を増強する。
【0106】
b)コンディショニング系−当業者に明らかな通り、基本レベルの静電気除去、改善された湿潤および乾燥毛髪の共存性(combability)を提供するためには、一定レベルのカチオンコンディショニングポリマーが、全ての釣り合いのとれたコンディショナーに必要である。理論に制限されることは望むところではないが、カチオンコンディショニングポリマーとフィルム形成剤の有効性は、両性電解質コンプレックスの両性電解質との相互作用により増強されて、より高いヘアテクスチャにより必要とされる基本コンディショニングの増大する必要性に適合するものと考えられる。
【0107】
c)両性電解質コンプレックス−本発明のコンディショナーの両性電解質コンプレックスは、上述した両性界面活性剤と、少なくとも1種の追加の非界面活性剤両性電解質を含む。追加の非界面活性剤両性電解質は、毛髪のニーズに比例した修復および保護を与え、カチオンコンディショニングポリマーにより与えられる基本コンディショニングを増強する。用いる非界面活性剤両性電解質としては、アミノ酸やタンパク質のような両性イオン化合物が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0108】
このように、理論に制限されることは望むところではないが、コンディショナーのための両性電解質コンプレックスの一般的な機能には、次のような特徴があると考えられる。コンディショナー中の両性電解質コンプレックス(すなわち、少なくとも1種の両性界面活性剤と少なくとも1種の非界面活性剤両性電解質)は、カチオンコンディショニングポリマーとフィルム形成剤の個人の毛髪への付着性を増大して、美容上と構造上の両方の毛髪品質を改善するものと考えられる。アミノ酸やタンパク質のような非界面活性剤両性電解質のレベルを段階的に増やして用いると、個人の毛髪の修復特性および保護特性が増加する。
【0109】
当業者に公知の通り、テクスチャが減少するにつれて(すなわち、太いから細いへ)、必要なカチオンコンディショニング剤の付着レベルに関らず、フィルム形成剤の付着の必要性が増大する(基質の相対的な脆性に作用する)。その結果、個人の毛髪は、20/80または40/60と指定された本発明のコンディショナーにより提供されるような比較的少ない、または最小量の両性電解質コンプレックスのコンディショナーを必要とする傾向がある。
【0110】
同様に、個人の毛髪が、修復の必要性を示すと(ダメージまたは化学的毛髪処理の結果として)、修復(アミノ酸とタンパク質による)の必要性、およびカチオンコンディショニングポリマーの付着の必要性が増加する。その結果、個人の毛髪は、10/90または5/95と指定された本発明のコンディショナーにより提供されるような比較的多い、または最大量の両性電解質コンプレックスのコンディショナーを必要とする傾向がある。
【0111】
更に、テクスチャとダメージの両方の結果として表面光沢を失った毛髪は、増大したレベルのカチオンコンディショニングポリマー付着およびノニオン(シリコーン)活性を必要とする。
【0112】
VI.ヘアスタイルの完全性の維持
ここまでに開示された方法に従って、サロン来店中に特定のクライアントまたは顧客に用いるのに最も適した釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを決定したら、本発明の更なる態様は、次にサロンに来店するまでの間、自宅で顧客が利用できる最適な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを作成するだけでなく、次にサロンに来店するまでの間、ヘアカットまたはスタイルの品質および完全性を維持する方法とそれを組み合わせることである。該方法には、サロン内の段階と、ホームケアの段階の2つの段階を含む。
【0113】
サロン内の段階で、上述の議論に従って毛髪と頭皮の診断の実施に加えて、ヘアスタイリストと顧客がそのヘアスタイルを一緒に決める。スプレーの形態のカットおよびスタイリング助剤を、適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーで、シャンプーおよびコンディショニングした後の毛髪に適用して、カットおよびスタイリングしながら毛髪を所望のヘアスタイルに一致するような方法で作用させる。換言すれば、カットおよびスタイリング助剤を毛髪に適用して、所望および予め選択した方法でカットとスタイリングを容易にする。
【0114】
本発明によれば、カットおよびスタイリング助剤は、個人が望む特定のカットとスタイルとし、それを維持するのを容易にする添加剤または注入液を含めるように処方される。毛髪の特定のカットおよびスタイルとし、維持するのに必要とされる、最低で、2つの別個の機能基準「アビリティ」と「雰囲気」が、本発明者らにより特定されている。
【0115】
本発明の文脈において、「アビリティ」とは、特定のカットに望まれるヘアスタイルとするための毛髪繊維の予め選択された形状のことを指す。「アビリティ」は、毛髪繊維の形状およびスタイルについて少なくとも3つの定性副基準に分類され、カットおよびスタイリング助剤は、最大化または強める様々な添加剤と共に処方される。しかしながら、当業者に明らかな通り、その他の追加の副基準も「アビリティ」内で開発できるものと理解されるべきである。
【0116】
本発明によれば、「アビリティ」についての3つの定性副基準は、「ボリューム」、「直毛」および「巻毛」である。このように、例えば、これらの副基準の1つを最大にすべく処方されたカット助剤は、カット前またはカット中に毛髪に適用(例えば、スプレー)される。より具体的な例では、個人が毛髪がボリュームを有するように必要な特定のカットを選択した場合、個人の毛髪の「ボリューム」を最大にすべく処方されたカットおよび/またはスタイリング助剤を選択する。
【0117】
一般に、特別に処方されたカットおよび/またはスタイリング助剤を用いて、巻毛にするか、または比較的直毛の特性を毛髪に与えて、特定のスタイルおよびカットのために個人の毛髪の形状をボリュームを加えることにより非永久的に変化させる。本発明の文脈において、「ボリューム」とは、毛根から毛髪を持ち上げて、より多く厚く見せ、ボディを与え、頭皮から立っていることを指す。ボリュームを有するヘアカットまたはスタイルを特徴の1つとして選択する場合、個人の毛髪の「ボリューム」を強めるべく特別に処方されたカット助剤を用いる。
【0118】
本発明の文脈において「直毛」とは、毛髪を真っ直ぐでコンパクトかつ滑らかにすることを指し、柔らかさと密着性を与え、ひいては個々の毛髪が互いに揃っているため光沢を作る。最後に、本発明の文脈において「巻毛」とは、毛髪の個々のストランドが長さに沿って異なる直径を有しているため、異なる程度のスパイラルを毛髪に与えることを指す。弾性のある決まった巻毛が得られる。
【0119】
上述した通り、「雰囲気」が毛髪の特定のカットおよびスタイルを与えそれを維持するのに必要な本発明者により特定された第2の機能基準である。本発明の文脈において、「雰囲気」とは、サロンで施されたヘアスタイルに天気や天候の影響を模倣したり、これらの影響を抑制するために、個人の毛髪の外観を変えることを指す。「アビリティ」と同様に、「雰囲気」は少なくとも3つの定性副基準に分類される。3つの「雰囲気」副基準は本発明者らにより開発されたものであるが、当業者であれば、他の副基準も開発できるものと理解されるべきである。このように、カットおよびスタイリング助剤を処方して「雰囲気」を調整し、3つの異なる気候の毛髪に与える正の影響を模倣し、負の影響を制御する。
【0120】
「雰囲気」の3つの副基準は、「熱帯」、「北極」、「砂漠」である。本発明において、「熱帯」とは、個人の毛髪に元々存在している周囲の水分よりも高レベルの水分を与えて、毛髪繊維を膨潤させて、毛髪をより自然で、より多く健康的な外観を与えることにより、個人の毛髪に暖かく、湿った環境の外観および挙動を与えることを意味する。水分は、毛髪中の静電荷を消失させて、挙動の自然なパターンを向上させる傾向がある。毛髪は光沢があり、ほとんど「湿っていて」「はりがある」。しかしながら、通常湿気のマイナスの態様である縮れはコントロールされたままである。
【0121】
同様に、「北極」とは、個人の毛髪に、等レベルの水分と電荷を与えて繊維の元のサイズを維持することにより、個人の毛髪に、冷たく湿気の少ない環境での外観および挙動を与えることを意味する。その結果、毛髪の個々のストランドは、接近したままで頭皮に近い。毛髪繊維が揃っていて接近しているため毛髪には光沢があるように見える。しかしながら、フライアウェイはコントロールされる。
【0122】
同様に、「砂漠」とは、電荷レベルを増大しながら個人の毛髪から水分を除去することにより、個人の毛髪に暑く乾燥した環境の外観と挙動を与えることを意味する。これらの条件下で、毛髪繊維はより剛性となり、電荷によって毛髪繊維が分離して、寸法的にボリューム効果が得られる。その結果、毛髪は豊かに見え、マットな仕上がりのテクスチャである。フライアウェイと縮れの両方がコントロールされている。
【0123】
特定のヘアカットまたはスタイルに必要とされると、「アビリティ」か「雰囲気」のいずれか、または両方の機能基準を強めるよう処方されたカットおよびスタイリング助剤は、カットおよびスタイリングの前に、スプレーまたはその他形態で毛髪に適用される。全体で、カットおよびスタイリング助剤は、「アビリティ」と「雰囲気」のいくつかの可能な組み合わせを強めるよう処方される。強めるために本発明のカットおよびスタイリング助剤が特別に処方された「アビリティ」と「雰囲気」の組み合わせを下の第11表にまとめる。
【0124】
【表11】

【0125】
理論的には、「アビリティ」と「雰囲気」には9つの可能な組み合わせがあるが、第11表には7つしか示していないことを注記しておく。「熱帯」の「直毛」と、「北極」の「ボリューム」は第11表にないが、この組み合わせは用いられない。「直毛」の活性は、「熱帯」により生み出される影響を打ち消す傾向がある。というのは、前者は真っ直ぐで滑らかな毛髪にするために用いられ、熱帯の環境を連想させる後者は毛髪ストランドを互いに分離する傾向があるためである。同様に、「ボリューム」の活性は、「北極」により生み出される影響を打ち消す傾向がある。というのは、前者は毛髪をより豊かに見せるために用いられ、北極の環境を連想させる後者は毛髪をよりコンパクトにさせる傾向があるためである。しかしながら、2つ以上の「アビリティ」を「雰囲気」と組み合わせて、その他所望の影響およびその他可能な製品組み合わせとしてよい。
【0126】
これに関して、本発明はまた、サロンのヘアスタイリスト向けの、サロンキットと呼ばれ得るカットおよびスタイリング助剤のキットも含む。このキットには、少なくとも6つのスプレーまたはその他容器および適用手段が含まれ、「アビリティ」と「雰囲気」機能のそれぞれを強めるためのものである。
【0127】
ホームケアの段階に戻って、次にサロンに来店するまでの間に、顧客の毛髪と頭皮に本発明に従って診断を行い、次にサロンに来店するまでの間に自宅で最も適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを顧客に用いこれを推奨するということをまず思い起こす。最も適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを自宅で顧客が使用できるよう販売できるようにすることも本発明の一部である。スタイリング製品には、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーも付随する。
【0128】
更に、毛髪と頭皮の診断に加えて、顧客の毛髪が、「アビリティ」と「雰囲気」機能を強めるべく処方された助剤によりカットおよびスタイリングされるならば、ヘアスタイルの品質と完全性を維持するために、次にサロンに来店するまでの間に顧客がこれらの添加剤を用いることができるのが望ましい。
【0129】
本発明によれば、2つのやり方でこれは行われる。まず、サロンで顧客の毛髪をカットしスタイリングしている間に施した「アビリティ」と「雰囲気」機能を強めるための添加剤を、自宅で用いるのに特定の比率で、顧客に適した釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーに後で添加する。更に、「アビリティ」と「雰囲気」の機能を強める添加剤もまた、顧客が自宅で用いるスタイリング製品に含める。このようにして、特定の「アビリティ」と「雰囲気」機能を顧客のカットとスタイルで強めるための添加剤と組み合わせて顧客の毛髪と頭皮に適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを用い、同じ「アビリティ」と「雰囲気」機能を強めるべく処方されたスタイリング製品を任意で用いることにより、品質または完全性、すなわち、ヘアカットまたはスタイルの所望の外観を次にサロンに来店するまでの間維持する。
【0130】
「アビリティ」と「雰囲気」機能の様々な組み合わせを示す第11表に戻ると、自身の機能と組み合わせを数えると、少なくとも13の「アビリティ」と「雰囲気」機能と、添加処方により強められ、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーに釣り合いのとれた量で添加できるその組み合わせがある。更なる組み合わせも可能である。4つのシャンプーと4つのコンディショナーがあるため、少なくとも52(13掛ける4)の釣り合いのとれたシャンプーと少なくとも52の釣り合いのとれたコンディショナーが可能である。52の可能な釣り合いのとれたシャンプーと52の可能な釣り合いのとれたコンディショナーの在庫を維持するのに必要なスペースのあるサロンは少ないことは当業者には更に明白であろう。この理由から、「アビリティ」機能、「雰囲気」機能またはその組み合わせを強めるために特定の量で含まれた添加剤を有する適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーが、発送のための中心位置から顧客の住居へオーダーできることも本発明の一部である。
【0131】
これに関連して、発送のための中心位置から顧客の住居へオーダーされるホームケアキットを消費者に提供することも本発明の一部である。ホームケアキットには、それぞれ、釣り合いのとれた量の添加剤を有する釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーと、同じ添加剤を有するスタイリング製品とを含む。
【0132】
最後に、第11表にリストした13の「アビリティ」と「雰囲気」機能およびその組み合わせを再度参照して、それぞれ、それ自身の特徴を有するアロマを与えてもよい。特徴のあるアロマの試料を有するバイアルまたは小さな瓶を、同じ特徴のあるアロマを含むパフューム、バスオイル、ボディウォッシュ、石鹸、スキンクリーム、芳香キャンドルおよび同様の製品のような他の製品を顧客が購入する際に興味を引くようなやり方で、ホームケアキットに含めてもよい。
【0133】
ホームケアキットには、第三者からの販売促進用文献、特別提供品またはディスカウント証を含む提供品が含まれていてもよい。第三者により提供された商品および/またはサービスを購入する顧客により使用されると、サロンとホームケアキット提供者の両方が、販売により得られるコミッション、可能性のある顧客を第三者またはその他の利益を得る者に紹介する料金を受け取れる。これらの提供品は、顧客がサロンで以前購入した商品および/またはサービスに基づいて細かく照準を定めることができる。
【0134】
VII.「アビリティ」と「雰囲気」の化学
本発明によれば、上述した通り、「アビリティ」と「雰囲気」の機能は、これらの機能に対処すべく特別に処方されたカットおよびスタイリング助剤を用いることにより強められ、または最大化される。当業者に明白な通り、「アビリティ」と「雰囲気」を強めるための処方は、本発明の教示に従って公知の添加剤により容易に調製することができる。
【0135】
「アビリティ」と「雰囲気」に対処する処方は、少なくとも以下の成分:(1)保湿剤、(2)ポリマーコンプレックス、および(3)キャリアまたは溶剤を含む。更に、該処方には、防腐剤、フレグランス、キレート化剤、ハーバルエクストラクト、エモリエント、コンディショニング剤等といった様々な賦形剤も含めることができる。これらの各クラスの化合物の代表例は、本明細書に参照により援用される以下の参考文献に挙げられている:「インターナショナル化粧成分辞典ハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)(第9版、2002年)」、「コスメティックサイエンス・アンド・テクノロジーハンドブック(Handbook of Cosmetic Science and Technology)(ハワードI.メイバッハ(Howard I.Maibach)2001年)」、「ヘアケアのサイエンス(The Science of Hair Care)(チャールズツビアック(Charles Zviac)1986年)」、「ヒトの毛髪の化学的および物理的挙動(Chemical and Physical Behavior of Human Hair)(スプリンガー−フェアラーク(Springer−Verlag)、第3版 1994年)」、「コスメトロジーのミレディーの標準テキストブック(Milady’s Standard Textbook of Cosmetology)(2002年)」および「毛髪構造と化学概略(Hair Structure and Chemistry Simplified)(ジョンハラル(John Halal)、2002年)」。
【0136】
用いる保湿剤は、化粧用途に好適な保湿剤が挙げられる。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)を含むのが好ましい。保湿剤の1つの好ましいクラスは、式(VIII)のグリセロールと脂肪酸の第4級アンモニウム誘導体である:
【0137】
【化4】

【0138】
式中、「R」はC18〜C24の脂肪酸残基であり、「n」は2〜5の整数であり、「X」は塩素や臭素のような塩形成アニオンである。
【0139】
好ましい第4級アンモニウム誘導体は、ファンコア(Fancor)(登録商標)(ファニングコーポレーション(The Fanning Corporation))よりメドウクアット(Meadowquat)(登録商標)G1という商品名で市販されているLimnanthes Alba(メドウフォーム)グリセリル・クォータニウム(Glyceryl Quaternium)(40パーセント活性)である。
【0140】
本発明のポリマーコンプレックスは、(a)フィルム形成剤、(b)スタティック・ディスチャージャー、(c)ボリューム付与樹脂の少なくとも3つの異なる機能クラスのポリマーの組み合わせである。膜形成ポリマー(毛髪固定剤としても知られている)は当業界に周知であり、その膜形成特性のために毛髪を圧縮して、熱的な保護を与える。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)のフィルム形成剤を含有しているのが好ましい。フィルム形成剤の1つの好ましいクラスはアクリレートコポリマーである。特に好ましいアクリレートコポリマーは、インターナショナルスペシャルティプロダクツ社(International Specialty Products,Inc.)(ISP)よりスチレーズ(Styleze)(登録商標)CC−10(10パーセント活性)という商品名で市販されているジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとビニルピロリドンコポリマーである。
【0141】
本発明に従って用いられるスタティック・ディスチャージャーは、静電気を放電可能であれば何れのポリマー化合物であってもよい。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)のスタティック・ディスチャージャーを含有するのが好ましい。ポリマーの1つの好ましいクラスは、ポリマー界面活性剤であり、アニオン界面活性剤部分がより好ましい。特に好ましいポリマー界面活性剤は、ナショナルスターチ(National Starch)よりフレキサン(Flexan)(登録商標)IIという商品名で市販のポリスチレンスルホン酸ナトリウムである。
【0142】
ポリマーコンプレックスの他の成分に関しては、本発明に従うボリューム付与樹脂が当業界に知られている。処方は、合計組成物の約0.001〜約10重量パーセント(活性)のボリューム付与樹脂を含有するのが好ましい。ボリューム付与樹脂の好ましいクラスは、イミド、エステルおよび酸官能基を備えた合成ポリマーである。特に好ましい合成ポリマーは、ISPよりアクアフレックス(Aquaflex)(登録商標)XL−30(30パーセント活性)という商品名で市販されているポリイミド−1である。
【0143】
処方の残りの成分は、化粧用途に好適なキャリアまたは溶剤である。キャリアまたは溶剤は、水を大半と、エタノール、プロパノール等のような任意の水混和性有機溶剤を含むのが好ましい。
【0144】
上述した通り、スタイリングおよびカット助剤もまた様々な任意の成分を含むことができる。このような追加成分の1つは、化粧用途に用いられる当業界に周知のエモリエントである。エモリエントの1つの好ましいクラスは、シロキサンの脂肪酸エステルである。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)のエモリエントを含有するのが好ましい。特に好ましいエモリエントは、ファンコール(Fancor)よりファンコールシル(Fancorsil)(登録商標)LIM−1という商品名で市販されているジメチコーン(dimethicone)PEG−8メドウフォメート(meadowfomate)である。
【0145】
本発明のカットおよびスタイリング助剤のその他の任意の成分は毛髪固定剤である。毛髪固定剤は当業界に周知であり、一般的に、個人の毛髪を堅く保持することのできる合成ポリマーである。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)の毛髪固定剤を含有するのが好ましい。特に好ましい毛髪固定剤はISPより市販されているポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0146】
カットおよびスタイリング助剤はまた、一般的に公知のコンディショニング剤も含有することができる。処方は、合計組成物の約0.001〜約5重量パーセント(活性)のコンディショニング剤を含有するのが好ましい。コンディショニング剤の好ましいクラスは、シラノール末端タンパク質誘導体である。特に好ましいシラノール末端タンパク質誘導体は、クローダ(Croda)よりクローダソン(Crodasone)(登録商標)Wという商品名で市販されている加水分解小麦タンパク質PG−プロピルシラントリオールである。
【0147】
本発明によれば、カットおよびスタイリング助剤は、様々な成分の濃度を調製することにより処方され、所望の「アビリティ」および/または「雰囲気」機能を強める。第12表に、第11表に挙げた「アビリティ」および「雰囲気」機能に対処するカットおよびスタイリング助剤を処方する出発点として作用する代表的なマスター処方を示す。
【0148】
【表12】

【0149】
初期マスターバッチ処方から、様々な成分の濃度の相対的な調整によって、「アビリティ」および「雰囲気」機能の強化が変化することは当業者には明白であろう。理論に制限されることは望むところではないが、本発明者らは、水分と電荷の連続体において、保湿剤とポリマーコンプレックスのレベルを調整すると、所望のスタイルおよび毛髪のカットを得、それを維持するのに必要な「アビリティ」と「雰囲気」機能を強めることができるということを見出した。保湿剤とポリマーコンプレックスレベルのこの連続体と相関関係を第13表に示す。
【0150】
【表13】

【0151】
第11表に挙げた「アビリティ」および「雰囲気」機能のそれぞれに戻って、各機能または2つの機能の組み合わせを強める処方が、保湿剤とポリマーコンプレックスの3つの成分の相対濃度を変えることにより開発された。下の第14表に、主要成分(「X」と示す)を第11表に挙げた機能を強めるべく開発された各処方について列挙する。
【0152】
【表14】

【0153】
より好ましい実施形態において、6つの個々の濃縮物それぞれについての成分量を下の第15表に示す。
【0154】
【表15】

【0155】
第12表〜第15表から、当業者は第11表に示した機能に対処するために、代替の成分を有するスタイリングおよびカット助剤も処方できることが分かるであろう。従って、上記の処方が好ましいが、本発明によれば、同等の処方を用いて、第11表に本発明者らにより特定された機能を強めることができる。
【0156】
本発明の釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーに戻って、前述した通り、第11表に示した機能または組み合わせのそれぞれを、保湿剤とポリマーコンプレックス、そして、本発明のスタイリングおよびカット助剤について上記したその他の任意の成分を組み込んだシャンプーとコンディショナーで強めることができる。本発明によれば、シャンプーとコンディショナーに組み込んだ保湿剤とポリマーコンプレックスの総量は変えることができ、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーが、濃縮処方に既に同じまたは同等の成分を含んでいるかどうかといったパラメータに影響される。これらのパラメータは、本発明の教示に従って当業者であれば容易に決定することができる。
【0157】
上述した通り、「アビリティ」および「雰囲気」機能を与える釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーそれぞれについて52の可能な組み合わせがある。第14表と同様に、下の第16表および第17表に、シャンプーとコンディショナーそれぞれ、各処方において主要なポリマーコンプレックスと保湿剤の成分(「X」で示す)の各組み合わせのリストを示す。
【0158】
【表16−1】

【0159】
【表16−2】

【0160】
【表17−1】

【0161】
【表17−2】

【0162】
上記の説明に従って、当業者であれば、「アビリティ」および「雰囲気」機能に対処するためのシャンプーとコンディショナー処方を容易に調整できるであろう。例証の目的で、「アビリティ」および「雰囲気」機能に対処するための釣り合いのとれた80/20シャンプーをモディファイする保湿剤とポリマーコンプレックス成分の重量パーセントを下の第18表に記載する。
【0163】
【表18】

【0164】
VIII.自動診断および製品オーダーシステム
診断手段と、釣り合いのとれたシャンプー、コンディショナーおよびその他製品を顧客の自宅へ配送するための注文が望ましいことについては、何回か上述してきた。この目的のために、本発明はまた、顧客の毛髪および頭皮をサロンで診断するのに用い、顧客にとって適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを推奨し、釣り合いのとれたシャンプー、コンディショナーおよびその他製品を顧客の自宅へ配送するためにオーダーする技術システムも提供する。
【0165】
この技術システムには、サロンの受け付けまたはサロンの他の場所にあるサーバまたはデスクトップパーソナルコンピュータ(PC)が含まれる。サーバまたはPCは、ケーブル、DSLまたはその他技術を用いてブロードバンド接続によりインターネットに接続される。サーバまたはPCはまた、サロン全体に取り付けられた1つまたはそれ以上のワイヤレスネットワークハブにも接続されている。
【0166】
毛髪を一般にカットまたはスタイリングするサロン内でのサービスポイントである各イスまたはステーション、または2つまたは3つのステーションのそれぞれで、ハンドヘルド計算装置が利用可能である。WAND(広域ネットワーク装置)と呼ばれるハンドヘルド計算装置は、サロンでのワイヤレスネットワークに接続するために、必要であれば、ワイヤレスネットワークカードを有している。各WANDを用いてサーバまたはPCおよびインターネットをブラウズすることができる。更に、タブレットPC、ネットワークイネーブル携帯電話およびラップトップおよびデスクトップPCのような他の大きなワイヤレスおよびワイヤ装置をサロンでネットワークに接続してもよい。
【0167】
WANDのインターネットブラウザを用いて、スタイリストは本発明および出願の所有者のウェブサイトにログオンして、各顧客についての毛髪および頭皮診断を入力し、用いる適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーの推奨を受け取ることができる。
【0168】
具体的には、WANDからウェブサイトにアクセスすると、スタイリストはユーザIDとパスワードを入力してログインする。スタイリストは特定の日の予約にアクセスする。これに関して、WANDはこの情報をサロンの既存の自動予約カレンダーから得る。次に、スタイリストは特定の顧客を選択する。
【0169】
WANDを用いて、スタイリストは、関連する質問に対する応答をWANDに入力することにより、上述した毛髪および頭皮の診断を行い得る。あるいは、スタイリストは自身で診断を行って、結果をWANDに入力することができる。いずれの場合も、スタイリストは、用いる適切な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーの推奨を得る。次に、スタイリストは、サロンに来店する顧客がどのシャンプーとコンディショナーを使うかが分かり、顧客の自宅にそれらを配送するためのオーダーを開始することができる。シャンプーとコンディショナーはまた、顧客がそれらを用いて、次のサロン来店までに自宅でヘアカットとスタイルの完全性を維持するよう、顧客のヘアカットおよびスタイルに適した「アビリティ」および「雰囲気」機能に対処する添加剤を含めることにより、「カスタマイズ」することもできる。当然のことながら、「カスタマイズされた」ヘアスタイリング製品もまた、ホームケアキットとして前述した、顧客への自宅への発送物に含められる。顧客は、所有者のウェブサイトにより自宅から追加のオーダーをしてもよく、前述した通り、シャンプー、コンディショナーおよびスタイリング製品を「カスタマイズ」するのに用いた添加剤と同じアロマを有する他のビューティおよびホーム製品をオーダーしてもよい。
【0170】
技術システムを用いて、インターネットプロバイダやウェブサイトのような全国的なマーケティングパートナーによって、郵便番号、収入レベル、性別およびその他特徴によりターゲットを絞った潜在的な新たな顧客に予約の入ってないサロンの時間を知らせてもよい。
【0171】
最後に、技術システム、特に、サロンで広域ネットワーク(WAN)を用いて、顧客が毛髪を処理しながら、ラップトップまたはタブレットPCを用いてインターネットをブラウズし、e−メールメッセージをチェックし、購入できるようにしてもよい。提供品は顧客にターゲットを絞ったものであり、サロンおよびその他の店で顧客に以前販売した商品および/またはサービスに基づいていてもよい。このとき、サロンおよび技術システムプロバイダーは、購入、広告の閲覧またはその他のメリットにより得られるコミッションを受け取る。
【0172】
以下のこれに限定されるものではない実施例により、代表的な釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーと組み合わせて本発明の方法を用いる利点について例証する。
【実施例】
【0173】
実施例1
本発明に従って、両性電解質コンプレックス(+/−電荷成分)、カチオンコンディショニング剤(+電荷成分)およびノニオンエモリエント/修復剤(0電荷成分)の量を段階的に増やして4つの釣り合いのとれたシャンプーを処方した。アニオン(−電荷)成分およびその他ノニオン成分の重量パーセントは比較的一定に保った。シャンプーは、成分により与えられるコンディショニング活性に対する相対的なクレンジングに基づいて「100/0」、「90/10」、「80/20」、および「60/40」で示してある。「100/0」という指示から明らかな通り、この特定の処方ではカチオンコンディショニング剤を除いてある。シャンプー処方における主要成分(電荷カテゴリを含む)のリストを下の第19表に示す。図2は、釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーの両方(後述)についての処方成分の関係を表す追加の基準で、個人の毛髪および頭皮を評価する5つの基準にそれぞれ関係する、電荷(アニオン、中性、両性およびカチオン)により相対的に修正した以外は、図1と同様の図である。シャンプーの成分の一般比率(電荷により分類)を示すバーチャートも図3に示す。残りの成分は、水と、特にフレグランス、防腐剤、エクストラクトおよびエッセンシャルオイルといった一般的な賦形剤とを含んでいた。
【0174】
【表19】

【0175】
電荷による成分のカテゴリの実際の重量パーセントと、互いの相対的なカテゴリの重量パーセントの簡単にまとめたものを、それぞれ、下の第20表と第21表に示す。
【0176】
【表20】

【0177】
【表21】

【0178】
実施例2
実施例1と同様の方法で、両性電解質コンプレックス(+/−電荷成分)およびノニオンエモリエント/修復剤(0電荷成分)の量を段階的に減らして4つの釣り合いのとれたコンディショナーを処方した。カチオンコンディショニング剤(+電荷成分)のいくつかの重量パーセントは比較的一定に保った。主にシャンプーに用いられるため、全ての処方においてアニオン(−電荷)成分は除いた。コンディショナーは、コンディショナーに対する界面活性剤の相対的な比率に基づいて「5/95」、「10/90」、「20/80」、および「40/60」で示してある。コンディショナー処方における主要成分(電荷カテゴリを含む)のリストを下の第22表に示す。成分(電荷により分類)の一般比率を示すバーチャートも図4に示す。上述した図2も参照のこと。残りの成分は、水と、特にフレグランス、防腐剤、エクストラクトおよびエッセンシャルオイルといった一般的な賦形剤とを含んでいた。
【0179】
【表22】

【0180】
電荷による成分のカテゴリの実際の重量パーセントと、互いの相対的なカテゴリの重量パーセントの簡単にまとめたものを、それぞれ、下の第23表と第24表に示す。
【0181】
【表23】

【0182】
【表24】

【0183】
実施例3
図5は、8つの組み合わせの頭皮タイプとヘアテクスチャに用いる釣り合いのとれたシャンプーの決定を示すフローチャートであり、第8表に示した情報をフローチャートの形態で繰り返してある。この決定をいくつかの可能性のあるシナリオについて下に例証する。
【0184】
a)毎日毛髪をシャンプーする人;そうしないと、相当量の皮脂が毛髪と頭皮に気づく。頭皮タイプはオイリーである。毛髪は細く、一緒に固まり、毎日清浄にしないとフラットになる。図5を参照すると、推奨の釣り合いのとれたシャンプーは100/0である。
【0185】
b)1日おきに毛髪をシャンプーをする人;そうしないと、相当量の皮脂が毛髪と頭皮に気づく。頭皮タイプはノーマル/オイリーである。毛髪は非常に粗く、しなやかで、くせがあって、巻毛であり、スタイリング時にコントロールし難い。図5を参照すると、推奨の釣り合いのとれたシャンプーは80/20である。
【0186】
c)エクササイズのため毎日シャンプーする人、しかし、頭皮は乾燥していてフレーキングが観察される。毛髪はフライアウェイがあり、直径が小さい、すなわち、細く、スタイルを容易に保持しない。図5を参照すると、推奨の釣り合いのとれたシャンプーは60/40である。
【0187】
d)3日おきにシャンプーする人、皮脂が毛髪の中心軸に達し始めた、2日後の毛髪の感触を好む。頭皮タイプはノーマル/ドライである。毛髪は普通のテクスチャと判断されるが、パーマやカラー処理によりダメージを受けている。図5を参照すると、推奨の釣り合いのとれたシャンプーは、毛髪がダメージを受けているため、80/20ではなく60/40である。
【0188】
e)毎日シャンプーする人;そうしないと、頭皮が清浄でないと感じる。頭皮タイプはオイリーである。毛髪は直径が大きいため太いと見られる。図5を参照すると、推奨の釣り合いのとれたシャンプーは90/10である。
実施例4
図6は8つの組み合わせのヘアテクスチャと毛髪のコンディションに用いる釣り合いのとれたコンディショナーの決定を示すフローチャートである。この決定をいくつかの可能性のあるシナリオについて下に例証する。
【0189】
a)毛髪は以前に細いテクスチャと決定されたが、ナチュラルカラーから2つレベル上がったカラーでハイライトが施されている。コンディションは1回処理と考えられる。図6を参照すると、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは40/60である。
【0190】
b)毛髪は以前に太いと決定され、カラー処理はされてない、すなわちノーマルである。図6を参照すると、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは10/90である。
【0191】
c)毛髪は以前に普通のテクスチャと決定された。毛髪は、ブリーチでハイライトが施されており、ハイライト間で後にカラーを施され、すなわち2回処理された。図6を参照すると、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは10/90である。毛髪がダメージを受けている場合には、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは5/95である。
【0192】
d)毛髪は以前に太いと決定され、天然巻毛である。図6を参照すると、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは5/95である。
【0193】
e)毛髪は以前に細いテクスチャと決定され、ダメージを受けていると考えられる。図6を参照すると、推奨の釣り合いのとれたコンディショナーは、毛髪がダメージを受けているため、20/80ではなく10/90である。
実施例5
ノーマルでブリーチした毛髪の見本を、本発明のシャンプーとコンディショナーを用いて所定の回数処理、すなわち、洗髪とコンディショニングの後に色強度について評価した。コンディショニング分析に最も清浄なパレットとなるため、100/0(コンディショニング成分を含有しない)のシャンプーを用いた。
【0194】
コンディショニングスペクトル5/95と40/60の逆の終端で2つのコンディショナーを選択した。本発明の診断方法によれば、5/95コンディショナーは、最良のコンディショニングのブリーチした毛髪の見本を与えるものと予測され、コンディショナー40/60は最良のコンディショニングのノーマルな毛髪の見本を与えるものと予測される。
【0195】
6つの1回処理ブリーチ毛束と、6つの処理ピードモン毛束を、ラウリル硫酸アンモニウム/プロピレングリコール(10%/0.35%)の溶液で清浄にした。0.35グラムの100/0シャンプーを各毛束に適用し、1分間マッサージして、温水(35℃)で1分間濯いだ。過剰の水を除去し、0.5グラムのコンディショナー5/95または40/60を各束に適用し、1分間毛髪をマッサージし、温水で1分間濯いだ。各束を0.1%のRed 80 Dye溶液に1分間浸漬し、温水(35℃)で1分間濯いだ。束を束ラックに置き、40℃でオーブン乾燥させた。6人のパネリストが、BYKガードナー(Gardner)ライトボックスにて人工光下で束を評価した。束を1〜5の基準で色強度について格付けした。5は色強度について最も強い赤である。束はまた、ハンター(Hunter)比色計により色分析を行った。結果を第25表に示し、図7に図示してある。
【0196】
【表25】

【0197】
第25表から分かる通り、10回の処理後、選択したコンディショナーに応じて色強度において見本はクリアなパターンを示した。例えば、5/95コンディショナーで10回処理した後のブリーチした毛髪見本は、40/60コンディショナーで処理したものよりも色強度において平均して10パーセントの改善を示した。同様に、40/60コンディショナーで10回処理した後のノーマルな毛髪見本は、5/95コンディショナーで処理したものよりも色強度において平均して8パーセントの改善を示した。
実施例6
3.5グラムの1回処理ブリーチ毛束を0.35グラムのシャンプー100/0(クレンジングシャンプー)で処理した。シャンプーで毛髪を1分間マッサージして、温水(35℃)で1分間濯いだ。0.5グラムのコンディショナー(5/95または40/60)を各毛束に適用し、毛髪を1分間マッサージし、温水で1分間濯いだ。濡れた毛髪特質のもつれの解消、毛髪の感触、手触りを訓練したパネル(5人)により評価した。評価結果を下の第26表に列挙し、図8に図示する。
【0198】
【表26】

【0199】
第26表から分かる通り、5/95コンディショナーでコンディショニングした見本は、40/60コンディショナーでコンディショニングした見本よりも明らかに特性が改善した。色強度および毛髪特性のこれらの変化は微小に思われるが、当業者であれば、個人の毛髪に非常に歴然とした改善であることが分かるであろう。上の色強度データによれば、本発明の診断方法が、被験者の毛髪の最良のクレンジングおよびコンディショニングを促進するのに有用であることが示されている。同様に、上記の毛髪特性データはまた、被験者の毛髪の最良のクレンジングおよびコンディショニングを促進するのにこの診断方法が有用であるさらなる証拠も示すものである。
実施例7
本発明の診断方法の有効性を、選ばれた個人のホームユース試験で評価した。ランダムに選んだ37人が、ホームケア製品のプロフェッショナル用と一般用ブランド、すなわち、小売店から購入できるものの両方を用いた。「プロフェッショナル」ヘアケア製品とは、サロンで製品が購入されたことを意味する。同様に、「一般用ブランド」ヘアケア製品とは、ドラッグストアのようなサロンでない環境で製品が購入されたことを意味する。年齢層35〜50歳の女性は、大学教育を受け、平均で40,000ドル以上を稼いでいた。
【0200】
グループの各メンバーを、本発明の方法により個々に頭皮、毛髪のテクスチャおよびコンディションについて診断した。4週間本発明のシャンプーとコンディショナーのみを用いて、最もよく使うシャンプーとコンディショナーに対する結果を比較するよう依頼した。
【0201】
各個人に4週間の終わりに電話をして、使用のために診断した本発明のシャンプーとコンディショナーの比較性能の評価を依頼した。各個人に、本発明のシャンプーとコンディショナーの性能を、最もよく使うシャンプーとコンディショナーに対して、次の一般基準で格付けを依頼した:(1)本発明のシャンプーとコンディショナーの方が遥かに良かった;(2)本発明のシャンプーとコンディショナーの方が良かった、(3)結果は最もよく使う製品と同じであった、(4)本発明のシャンプーとコンディショナーは最もよく使う製品ほど良くなかった。
【0202】
更に、各個人に、フレグランス、製品のテクスチャ、泡の量、泡の実感、泡の感触、広がり、濯ぎ易さ、濡れた毛髪の感触、もつれの解消、全体的なシャンプーの実感および最もよく使うシャンプーとの全体的な比較に関して、シャンプーの格付けを依頼した。各個人に、フレグランス、製品のテクスチャ、コンディショナーの広がり、濯ぎ易さ、濯いだ後の濡れた毛髪の感触、もつれの解消およびくし通り、全体的なコンディショナーの実感および最もよく使う製品との全体的な比較に関して、コンディショナーの格付けを依頼し、コンディショナーについても同じ評価を行った。
【0203】
最後に、各個人に、毛髪の匂い、毛髪の感触、まとまり性、ボリュームとボディ、光沢、末端のコンディション、縮れ、フライアウェイ、柔らかさ、くし通り性(combability)、ヘアカラーへの影響、毛髪が清浄なままで清浄と感じる時間の長さ、全体の外観および最もよく使う製品との全体的な比較を含む、乾燥時の毛髪の全体的な状態に対処する一連の質問を尋ねた。
【0204】
本発明のシャンプー、コンディショナーおよび製品を組み合わせ使用の全体的な比較結果をそれぞれ図9〜11に図示してある。図9から分かる通り、78パーセントの参加者が、選択したシャンプーが、最もよく使うシャンプーよりも良い、または遥かに良いと格付けした。図10から分かる通り、87パーセントの参加者が、選択したコンディショナーが最もよく使うコンディショナーよりも良い、または遥かに良いと格付けした。最後に、図11から分かる通り、87パーセントの参加者が、シャンプーとコンディショナーの全体的な性能が、最もよく使うシャンプーとコンディショナーよりも良い、または遥かに良いと格付けした。
【0205】
上記を考慮すると、ホームユース試験調査では、本発明の診断方法によって、最もよく使うヘアケア製品より性能の優れたシャンプーとコンディショナーを参加者の大半が選択できたということが実証された。
結論
何らかのマーケットセグメント、すなわち、ヘアタイプ、ヘアコンディション、テクスチャ、引張強さ、化学的プロセスまたは美容上の最終的な利益に対処する従来のシャンプーとコンディショナーは、一般的に他のセグメントの問題点を概して無視している。本発明の釣り合いのとれたクレンジングとコンディショニング方法、および釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーの関連キットは、シャンプーとコンディショナーを処方するときに考慮される表示の範囲を広げる、消費者の個々のニーズにこの表示を整合させるべく設計された製品態様と、製品を診断基質で実行可能とする科学的態様とにより釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーを推奨するとき、全ての6つのセグメントの全ての重要性に同時に対処している。
【0206】
上記したもののの修正は当業者には明白であるが、添付の請求の範囲を超えて本発明は修正されないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】毛髪評価のための5つの別個の基準に対する本発明の釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーの関係を示す図である。
【図2】本発明の釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーによる成分電荷の関係を更に示す図1の図である。
【図3】釣り合いのとれたシャンプーに含有される活性成分の各カテゴリの相対重量パーセントを示すバーチャートである。
【図4】釣り合いのとれたコンディショナーに含有される活性成分の各カテゴリの相対重量パーセントを示すバーチャートである。
【図5】頭皮タイプとヘアテクスチャの8つの組み合わせに用いられる釣り合いのとれたシャンプーの決定を示すフローチャートである。
【図6】ヘアテクスチャと毛髪のコンディションの8つの組み合わせに用いられる釣り合いのとれたコンディショナーの決定を示すフローチャートである。
【図7】シャンプーとコンディショニングの10回処理後のブリーチしたノーマルヘア見本の色強度を示すバーチャートである。
【図8】シャンプーとコンディショニングの10回処理後の1回処理ブリーチヘアの束の、パネルにより決定した毛髪特徴を示すバーチャートである。
【図9】本発明の方法を用いて選択されたシャンプーによる、参加者が最もよく使うシャンプーと比べたホームユース調査参加者による全体的な満足感を示す円グラフである。
【図10】本発明の方法を用いて選択されたコンディショナーによる、参加者が最もよく使うコンディショナーと比べたホームユース調査参加者による全体的な満足感を示す円グラフである。
【図11】本発明の方法を用いて選択されたシャンプーとコンディショナーによる、参加者が最もよく使うシャンプーとコンディショナーと比べたホームユース調査参加者による全体的な組み合わせた満足感を示す円グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)頭皮を評価して、その皮脂生成速度を決定する工程と、
b)毛髪を評価してそのテクスチャを決定する工程と、
c)複数の釣り合いのとれたシャンプーから1つの釣り合いのとれたシャンプーを推奨する工程(ここで、前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたシャンプーは、アニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤と、カチオンコンディショニングポリマーとを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定の頭皮タイプおよびヘアテクスチャ用の付加的な(incremental)クレンジングおよびコンディショニングを提供する)と、
d)前記毛髪および頭皮を前記推奨の釣り合いのとれたシャンプーでクレンジングする工程と、
e)工程b)で決定した前記テクスチャを確認する工程と、
f)前記毛髪のコンディションを評価する工程と、
g)複数の釣り合いのとれたコンディショナーから釣り合いのとれた1つのコンディショナーを推奨する工程(ここで、前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたコンディショナーは、少なくとも1種の両性界面活性剤と、少なくとも1種のカチオンコンディショニングポリマーと、少なくとも1種のフィルム形成剤と、アミノ酸、タンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の双性イオン化合物とを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定のテクスチャおよびヘアコンディション用の付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する)と、
h)前記毛髪を前記推奨の釣り合いのとれたコンディショナーでコンディショニングする工程と
を含む毛髪を診断し、適切にクレンジングおよびコンディショニングする方法。
【請求項2】
前記皮脂生成速度が複数の頭皮タイプのうち1つで表される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の頭皮タイプが4つの頭皮タイプである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記4つの頭皮タイプがオイリー、ノーマル/オイリー、ノーマル/ドライおよびドライとして特定される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記皮脂生成速度が必要な洗浄頻度を基準として決定される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記テクスチャが複数のテクスチャカテゴリのうち1つで表される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のテクスチャカテゴリが4つのテクスチャカテゴリである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記4つのテクスチャカテゴリは、細い、普通、太い(coarse)および非常に太いとして特定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記テクスチャが目視および手触りにより決められる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のシャンプーの1つから前記カチオンコンディショニングポリマーを除く請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コンディションが複数のコンディションカテゴリの1つで表される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のコンディションカテゴリが6つのコンディションカテゴリである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記6つのコンディションカテゴリが、ノーマル、1回処理(single-processed)、2回処理(double-processed)、天然巻毛、パーマネントウェーブおよびストレートパーマ(straightened)として特定される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンディションが目視およびストレッチテストにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
a)前記毛髪がダメージを受けているかどうか評価する工程と、
b)前記複数の釣り合いのとれたコンディショナーから選択され、前記毛髪がダメージを受けていると判断されたとき、特定のテクスチャおよびヘアコンディションに推奨される前記釣り合いのとれたコンディショナーよりも高レベルのコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を有する釣り合いのとれたコンディショナーで前記毛髪をコンディショニングする工程と
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
a)前記毛髪に施すスタイルを、個々の毛髪繊維の形状と前記毛髪繊維の互いの空間関係に応じて決定する工程と、
b)前記個々の毛髪繊維の前記形状と前記毛髪繊維の互いの前記空間関係のうち1つに影響し、前記スタイルで前記毛髪のカットを促すように処方された活性成分を有するスタイリング助剤を前記毛髪に適用する工程と、
c)前記スタイルで前記毛髪をカットする工程と
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記個々の毛髪繊維の前記形状が、複数の定性「アビリティ」副基準へ分類される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の定性「アビリティ」副基準が3つの副基準である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記3つの副基準が「ボリューム」、「直毛」および「巻毛」である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記毛髪繊維の互いの前記空間関係が、複数の定性「雰囲気」副基準へ分類される請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の定性「雰囲気」副基準が3つの副基準である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記3つの副基準が「熱帯」、「北極」および「砂漠」である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記活性成分が、保湿剤と、少なくともフィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂の組み合わせであるポリマーコンプレックスと、キャリアとを含む請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記スタイルの完全性が、定期的に、
a)前記毛髪および頭皮を前記スタイリング助剤が添加された前記活性成分を有する前記推奨の釣り合いのとれたシャンプーでクレンジングし、
b)前記毛髪を前記スタイリング助剤が添加された前記活性成分を有する前記推奨の釣り合いのとれたコンディショナーでコンディショニングすること
により維持される請求項16に記載の方法。
【請求項25】
複数の釣り合いのとれたシャンプー(ここで、前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたシャンプーは、アニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤と、カチオンコンディショニングポリマーとを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定の頭皮タイプおよびヘアテクスチャ用の付加的なクレンジングおよびコンディショニングを提供する)と、
複数の釣り合いのとれたコンディショナー(ここで、前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたコンディショナーは、少なくとも1種の両性界面活性剤と、少なくとも1種のカチオンコンディショニングポリマーと、少なくとも1種のフィルム形成剤と、アミノ酸、タンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の双性イオン化合物とを互いに段階的な量でそれぞれ含み、特定のテクスチャおよびヘアコンディション用の付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する)と
を含む釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーのキット。
【請求項26】
特定の人の頭皮および毛髪のために、前記複数の釣り合いのとれたシャンプーから適切な釣り合いのとれたシャンプーを、そして前記複数の釣り合いのとれたコンディショナーから適切な釣り合いのとれたコンディショナーを特定する診断手段を更に含む請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記複数のシャンプーの1つから前記カチオンコンディショニングポリマーを除く請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記診断手段が前記適切なシャンプーとコンディショナーを前記複数の釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーから特定するフローチャートである請求項25に記載のキット。
【請求項29】
スタイリング助剤のキットであって、前記キットが複数のスタイリング助剤を含み、前記スタイリング助剤の各々が保湿剤と、ポリマーコンプレックスと、キャリアとを含む活性成分を有し、前記ポリマーコンプレックスが少なくともフィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂の組み合わせであり、前記保湿剤、フィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂が、前記複数のスタイリング助剤に比例した異なる量で提供される、キット。
【請求項30】
前記キャリアが水である請求項29に記載のスタイリング助剤のキット。
【請求項31】
前記複数のスタイリング助剤が6つのスタイリング助剤である請求項30に記載のスタイリング助剤のキット。
【請求項32】
前記6つのスタイリング助剤のうち3つが個々の毛髪繊維の形状に対処するものであり、前記6つのスタイリング助剤のうち他の3つが毛髪繊維の互いの空間関係に対処するものである請求項31に記載のスタイリング助剤のキット。
【請求項33】
釣り合いのとれたシャンプー(前記釣り合いのとれたシャンプーは複数の釣り合いのとれたシャンプーから顧客に推奨され、ここで前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたシャンプーはアニオン、ノニオンおよび両性界面活性剤と、カチオンコンディショニングポリマーとを互いに段階的な量でそれぞれ含み、顧客の頭皮タイプおよびヘアテクスチャの付加的なクレンジングおよびコンディショニングを提供する)と、
釣り合いのとれたコンディショナー(前記釣り合いのとれたコンディショナーは複数の釣り合いのとれたコンディショナーから前記顧客に推奨され、ここで前記複数のうちの個々の釣り合いのとれたコンディショナーは少なくとも1種の両性界面活性剤と、少なくとも1種のカチオンコンディショニングポリマーと、少なくとも1種のフィルム形成剤と、アミノ酸、タンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の双性イオン化合物とを互いに段階的な量でそれぞれ含み、顧客のヘアテクスチャおよびヘアコンディションの付加的なコンディショニング、修復、強化、光沢および保護を提供する)と
を含む自宅用の毛髪および頭皮処理のキット。
【請求項34】
スタイリング製品を更に含む請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記釣り合いのとれたシャンプーとコンディショナーが、保湿剤と、ポリマーコンプレックスとを含み、前記ポリマーコンプレックスが少なくともフィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂の組み合わせであり、前記保湿剤、フィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂が、ヘアスタイルの完全性を維持するために個々の毛髪繊維の形状および前記毛髪繊維の互いの空間関係のうち少なくとも1つを維持する量で提供される請求項33に記載のキット。
【請求項36】
前記スタイリング製品が、保湿剤と、ポリマーコンプレックスとを含み、前記ポリマーコンプレックスが少なくともフィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂の組み合わせであり、前記保湿剤、フィルム形成剤、スタティック・ディスチャージャーおよびボリューム付与樹脂が、ヘアスタイルの完全性を維持するために個々の毛髪繊維の形状および前記毛髪繊維の互いの空間関係のうち少なくとも1つを維持する量で提供される請求項34に記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2007−504163(P2007−504163A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524910(P2006−524910)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/028041
【国際公開番号】WO2005/020942
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506063167)プロファウンド ビューティー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】