説明

毛髪保持体用開閉治具及び毛髪処理用の毛髪保持具

【課題】周辺の毛髪の巻き込みがほとんどなく、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止され、操作性に優れる毛髪保持体用開閉治具の提供。
【解決手段】本発明の毛髪保持体用開閉治具3は、毛髪束を挿入して保持する筒状の毛髪保持体2の開口部21を開閉する。毛髪保持体2の一端部が挿入されて固定される内周が閉じた領域を形成する挿着口31と、挿着口31の拡縮手段32とを有する。開閉治具3は、ヒンジ部33を介して屈曲自在の長片部34及び短片部35を有するヒンジ部材30からなり、長片部34にガイド孔341が形成され、短片部35の先端部にガイド孔341に挿入されてガイド孔341の縁部に係止される係止部351が形成される。ヒンジ部材30をヒンジ部33で折り返し係止部351をガイド孔341に挿入することで挿着口31が形成され、拡縮手段32は長片部34を弾性変形させて挿着口31を拡縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に部分的な染色やパーマ等の処理を施すときに使用される、毛髪束を挿入して保持する筒状の毛髪保持体を開閉するための開閉治具、並びに該開閉治具が毛髪保持体に固定された毛髪処理用の毛髪保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毛髪に部分的に染色やパーマ等の処理を施すことが行われている。このような処理を施すときに使用される器具として、例えば、下記特許文献1に記載の毛髪巻取具が提案されている。この毛髪巻取具は、縦に二つ折りにしたプラスチックフィルム等の透明なシートに毛髪を取込み、その一方の上端外側に一端が開閉する髪留め具で毛髪束を固定し、取り込んだ毛髪束に毛染め剤を塗布することで、染毛を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2000−253922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された毛髪巻取具では、髪留め具の口を閉じる場合に保持された毛髪束だけでなく、周辺の毛髪も巻き込んで保持してしまうことが多く、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりするほか、操作性が悪いといった課題を有していた。上記の課題は特に自分自身で処理を行う場合に顕著であり、操作性を著しく悪化させていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る毛髪保持具用治具及び毛髪処理用の毛髪保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一端部の開口部から他端部に向けて毛髪束を挿入して保持する筒状の毛髪保持体における該開口部を開閉する毛髪保持体用開閉治具であって、前記毛髪保持体の前記一端部が挿入されて固定される内周が閉じた領域を形成している挿着口と、該挿着口を拡縮させる拡縮手段とを有している毛髪保持体用開閉治具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、前記本発明の毛髪保持体用開閉治具が前記毛髪保持体の前記一端部に固定されている毛髪処理用の毛髪保持具を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪保持体用開閉治具及び毛髪保持具によれば、周辺の毛髪を巻き込むことがほとんどなく、噛み込むこともないため、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止されるほか、操作性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の毛髪処理用の毛髪保持具(以下、単に毛髪保持具ともいう。)を、その好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の毛髪保持具の第1実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の毛髪保持具1は、一端部の開口部から他端部に向けて毛髪束を挿入して保持する筒状の毛髪保持体2と、毛髪保持体2における一端部の開口部を開閉する毛髪保持体用開閉治具(以下、単に開閉治具ともいう。)3とから構成されている。毛髪保持具1は、毛髪保持体2の前記一端部が後述する開閉治具3の挿着口31に挿入されて挿着口31の内周に固定される。固定方法に特に制限はないが、開閉治具3の繰り返し使用を考慮すると、前記挿着口の両内面に粘着剤が配された接着テープなどで固定することが好ましい。毛髪保持体2は、挿着口31の形態に応じて、前記一端部の全周を固定してもよく、部分的に固定してもよい。
【0011】
毛髪保持体2は、筒状体20を主体として構成されている。毛髪保持体2は、毛髪束の挿入口21及び染毛剤の注入口22を有している。本実施形態では、一端部の開口部が挿入口21、他端部の開口部が染毛剤の注入口22とされている。筒状体20は、一対の短冊状のシート23、23の両側部24、24が接合されて形成されている。
【0012】
筒状体20の長さは、処理を施す毛髪の長さに応じて適切な長さとされ、好ましくは処理を施す毛髪の長さよりも長く設定される。また、筒状体20の開口部は長円形状又は円形状であり、その大きさは、挿入する毛髪束の量に応じて適切な大きさに設定される。筒状体20の長さL20は50〜600mm、開口部(挿入口21、注入口22)の大きさは、長径5〜100mm、短径2〜40mm程度の範囲である。長径と短径が等しい場合には筒状体20の開口部は円形状となる。
【0013】
シート23は、染毛剤に対して非透過性の材料から形成されており、染毛剤が筒状体20の周面から外に漏れ出すことはない。その結果、毛髪保持体2に挿入されている毛髪束以外の毛髪が染毛されることが防止される。従って、本実施形態の毛髪保持体2を用いた染毛処理は、頭髪の部分的な染毛に特に効果的である。また、染毛剤は、毛髪保持体2内に比較的気密状態で存在することになるので、染毛剤に揮発成分が含まれている場合には、染毛中に該揮発成分が揮発することが防止され、染毛処理を効率的に行える、また揮発成分が目に沁みるという悪影響も防止することができるという利点もある。
【0014】
前述したシート23の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、塩化ビニル等の合成樹脂単体で製造されたフィルム、前記合成樹脂をブレンドして製造されたフィルムあるいは前記フィルムを多層にラミネートした合成樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0015】
図2に示すように、開閉治具3は、毛髪保持体2の前記一端部が挿入されて固定される、内周が閉じた領域を形成している挿着口31と、挿着口31を拡縮させる拡縮手段32とを有している。
【0016】
本実施形態の開閉治具3は、薄肉のヒンジ部33を介して屈曲自在に設けられた長片部34及び短片部35を有するヒンジ部材30からなる。ヒンジ部材30は合成樹脂の一体成形体(一部品)からなる。ヒンジ部材30の好ましい材質としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0017】
長片部34には先端部付近に平面視して矩形のガイド孔341が形成されている。また、長片部34には、ガイド孔341に隣接して長手方向に伸びる長孔342が形成されており、後述するように当該長片部34がまっすぐに伸びたときに、後述する短片部35の凸部352が収まって、毛髪保持具と毛髪との摩擦を大きくし、毛髪保持具が毛髪束からズレや抜け落ちを防止できるようになされている。
【0018】
短片部35の先端部には、ヒンジ部33の閉じる方向に折れ曲がる係止部351が形成されている。係止部351は、長片部34のガイド孔341に挿入されてガイド孔341に係止される。短片部35には、長片部34がまっすぐに伸びたときにその長孔342に収まる凸部352が形成されている。
【0019】
開閉治具3は、ヒンジ部材30をヒンジ部33で折り返して係止部351をガイド孔341に挿入して係止させることにより、挿着口31が形成される。挿着口31の内周は、長片部34、短片部35、ヒンジ部33の内面から構成されている。従って、前記特許文献1に記載の毛髪巻取具のような一端が開閉する構造とは異なり、図3に示すように、挿着口31の内周は閉じた領域を形成している。
【0020】
開閉治具3の拡縮手段32は、図3に示すように、長片部34をヒンジ部33側に向けてつぶすよう押圧力をかけたり該押圧力を解いたりして、長片部34を弾性変形させることにより、挿着口31が拡縮されるように設けられている。
【0021】
本実施形態の毛髪保持具1は、毛髪束を挿入するときには、図3に示すように、長片部34を弾性変形させ、挿着口31を広げた状態にする。これに伴って、毛髪保持具2の毛髪の挿入口21も広げられた状態になるので、毛髪束が挿入しやすくなる。この状態で、毛髪束を挿入口21から挿入し、生え際まで挿入した後、図2に示すように、長片部34の弾性変形を解くと、挿着口31が狭まって毛髪束が毛髪保持具によって保持される。そして、毛髪保持体2内に毛髪処理剤を注入し、毛髪保持体2をしごいて該毛髪処理剤を広げ、所望の毛髪束の処理を行う。
【0022】
上述のように、拡縮手段32が長片部34を弾性変形させ、あるいは、弾性変形を解くことによって、挿着口31を拡縮(挿入口21の開閉)させる。ここで、本実施形態では、“拡縮”の“拡”は長片部34を弾性変形させる場合(図3)の状態を指し、“拡縮”の“縮”は、長片部34の弾性変形を解いた場合(図2)の状態を指す。
【0023】
このように、本実施形態の毛髪保持具1は、毛髪束を挿入口21に挿入するときには開閉治具3の挿着口31が閉じた状態であるので、周辺の毛髪を巻き込むことがほとんどなく、噛み込むこともないため、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止されるほか、挿着口31の拡縮(挿入口21の開閉)も長片部34の弾性変形によって容易に行えるため、操作性に優れる。
【0024】
次に、本発明の毛髪保持具の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第2実施形態の毛髪保持具の特徴部分である開閉治具について説明し、第1実施形態の毛髪保持具と共通する部分については、その説明を省略する。よって、特に説明のない部分については、前記第1実施形態における説明が適宜適用される。
【0025】
図4に示すように、第2実施形態の毛髪保持具における開閉治具3’は、第1実施形態の開閉治具における長片部及び短片部の形態が異なる以外は、第1実施形態の開閉治具3と同様の構成である。即ち、第2実施形態の開閉治具3’は、長片部34’に長孔342’が二つ並列に設けられ、長孔342’に挿入される壁状の凸部352’が短片部35’に設けられている点以外は、第1実施形態の開閉治具3と同様の構成である。本実施形態の開閉治具3’においても、毛髪束を毛髪保持具の挿入口から挿入し、生え際まで挿入した後、長片部34’の弾性変形を解いたときに、挿入口が狭まって毛髪束が毛髪保持具によって保持される。本実施形態の開閉治具3’では、第1実施形態の毛髪保持具における開閉治具3と同様の効果が奏されるほか、長孔342’と長孔342’に挿入される凸部352’が二つ並列に設けられているので、毛髪と毛髪保持体との接触面積が増えて摩擦力も大きくなり、毛髪保持体の毛髪束からのずれや抜け落ちが確実に防止される。
【0026】
次に、本発明の毛髪保持具の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第3実施形態の毛髪保持具の特徴部分である開閉治具について説明し、第1実施形態の毛髪保持具と共通する部分については、その説明を省略する。よって、特に説明のない部分については、前記第1実施形態における説明が適宜適用される。
【0027】
図5に示すように、第3実施形態の毛髪保持具における開閉治具3’は、挿着口31’の拡縮手段32’が、長片部34’を屈伸させることにより、挿着口31’を拡縮(挿入口21を開閉)させるように設けられている。
【0028】
長片部34’の長さ方向中央部には、薄肉のヒンジ部343’が設けられており、長片部34’をこのヒンジ部343’で屈伸させることによって、挿着口31’を拡縮させる。長片部34’がこのような形態とされているため、長孔342’もヒンジ部343’の両側に二カ所設けられている。
【0029】
短片部35’の凸部352’も長孔342’に対応して二カ所に設けられている。また、係止部351’はその先端部がヒンジ部33側に折り曲げられており、挿着口31’を閉じたときの安定性がより高められている。
【0030】
ここで、本実施形態では、“拡縮”の“拡”は長片部34’を屈曲させる場合(図6)の状態を指し、“拡縮”の“縮”は、長片部34’をまっすぐに伸張させる場合(図5)の状態を指す。
【0031】
図6に示すように、本実施形態の毛髪保持具においても、前記第1実施形態の毛髪保持具1と同様に、毛髪束を挿入口21に挿入するときには開閉治具3’の挿着口31’が閉じた状態であるので、周辺の毛髪を巻き込むことがほとんどなく、噛み込むこともないため、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止されるほか、挿着口31’の拡縮(挿入口21の開閉)も長片部34’の屈伸によって容易に行えるため、操作性に優れる。
【0032】
次に、本発明の毛髪保持具の第4実施形態について説明する。以下の説明においては、第4実施形態の毛髪保持具の特徴部分である開閉治具について説明し、第1実施形態の毛髪保持具と共通する部分については、その説明を省略する。よって、特に説明のない部分については、前記第1実施形態における説明が適宜適用される。
【0033】
図7は、第4実施形態の毛髪保持具における開閉治具3’を、通常は屈曲しているヒンジ部33’を展開して伸ばした状態で示したものである。図7に示すように、第4実施形態の毛髪保持具における開閉治具3’は、ヒンジ部33’を介して屈曲自在に設けられた一対の片部36、37を有するヒンジ部材30’からなる。開閉治具3’は、ヒンジ部材30’の中央部に開口部311’が形成されており、開口部311’の両側にヒンジ部33’が形成されている。毛髪保持具1’は、開口部311’に毛髪保持体2の挿入口21側の一端部が挿入されて、ヒンジ部33’を屈曲させて、片部36、37の板面360と片部37の板面370に毛髪保持体2の一端部を接合することによって、開閉治具3’が毛髪保持体2に固定されて使用される。
【0034】
片部36の先端部の両側面部363は、傾斜面とされており、その断面はくさび型となっている。片部36の板面360には、片部36の幅方向に伸びる長孔362が設けられている。片部36の両側部にはヒンジ部33’を介した片部36、37の開閉動作を行いやすくするために、片部36の板面360から垂直方向に起立する操作片部364が設けられている。
【0035】
片部37の先端部の両側には、片部36の両側面部363を係止するための凹凸3731を有する柱373が設けられている。また、片部37の板面には、片部37の幅方向に伸び、長孔362に対応した凸部372が設けられており、開閉治具3’をヒンジ部33’で屈曲させ、片部36と片部37同士を係止させたときに、凸部372が長孔362に収まることによって、毛髪保持具と毛髪との摩擦を大きくし、毛髪保持具が毛髪束からズレや抜け落ちを防止できるようになされている。片部37の両側部にも片部36と同様に、ヒンジ部33’を介した片部36、37の開閉動作を行いやすくするために、片部37の板面370から垂直方向に起立する操作片部374が設けられている。
【0036】
本実施形態の毛髪保持具は、図8に示すように、毛髪保持体2の挿入口21側の一端部を開口部311’内に挿入し、該一端部を開閉治具3’の片部36の板面360と片部37の板面370に接合することによって、開閉治具3’が毛髪保持体2に固定される。そして、ヒンジ部33’を介して片部36、37を開いた状態として毛髪保持体2の挿入口21を拡げ、挿入口21から毛髪を挿入した後、片部36と片部37同士を閉じて片部36の両側面部363を両側の柱373の凹凸3731を構成する突条に係止させる。これにより、凸部372が長孔362に収まり、毛髪束がずれたり抜け落ちたりすることなく毛髪保持具2によって保持される。
【0037】
図9は、図8のA−A矢視拡大図である。なお、図9(a)では、操作片部364、374は図示していない。また、図9(b)では、操作片部364、374及び毛髪保持体2は図示していない。
【0038】
本実施形態の開閉治具3’においては、図9(a)に示すように、片部36、37の先端部365、375においてその両側部363を、柱373の凹凸3731を形成する突条に係止させることによって、片部36、37の先端部365、375及び、柱373で囲まれて挿着口31’が形成されており、挿着口31’の内周は閉じた領域を形成している。また、拡縮手段32’は、ヒンジ部を屈曲させて片部36の両側部363と柱373の係止位置を変えて、片部36、37同士を離したり、近づけたりすることにより、挿着口31’を拡縮させるように設けられている。
【0039】
本実施形態の開閉治具3’では、図9(a)に示すように、ヒンジ部を屈曲させて片部36、37同士を離した状態が、“拡縮”の“拡”の状態である。すなわち、毛髪保持体2の挿入口を広げている状態である。また、図9(b)に示すように、ヒンジ部をさらに屈曲させて片部36、37同士を近づけた状態が、“拡縮”の“縮”の状態である。すなわち、毛髪保持体の挿入口を狭めている状態である。
【0040】
本実施形態の毛髪保持具においても、前記第1実施形態の毛髪保持具1と同様に、毛髪束を毛髪保持体の挿入口に挿入するときには開閉治具3’の挿着口31’が閉じた状態であるので、周辺の毛髪を巻き込むことがほとんどなく、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止されるほか、挿着口31’の拡縮(挿入口21の開閉)もヒンジ部33’を屈曲させて片部36、37同士を離したり近づけたりすることによって容易に行えるため、操作性に優れる。
【0041】
次に、本発明の毛髪保持具の第5実施形態について説明する。以下の説明においては、第5実施形態の毛髪保持具の特徴部分である開閉治具について説明し、第1実施形態の開閉治具と共通する部分については、その説明を省略する。よって、特に説明のない部分については、前記第1実施形態における説明が適宜適用される。
【0042】
図10に示したように、本実施形態の開閉治具3’は、二つの環状部材38、39が弾性部材3839を介して連結されている。開閉治具3’では、挿着口31’が各環状部材38、39の環380、390同士の重なり部分で形成されている。
【0043】
環状部材38は、天面部381、底面部382、及びそれらを結ぶ二つの側面部383を有する内部が空洞の部材からなる。そして、これらの各面部の内面が前記環380を形成している。両側面部383には、環状部材39が上下動するときのガイドとなるガイド孔384が設けられている。
【0044】
環状部材39は、天面部391、底面部392、及びそれらを結ぶ二つの側面部393を有する内部が空洞の部材からなる。そして、これらの各面部の内面が前記環390を形成している。
【0045】
開閉治具3’においては、環状部材38のガイド孔384に通された天面部391と、環状部材38の底面部382の下に配された底面部392とが、側面部383の外側で、側面部393によって連結されている。天面部391におけるガイド孔384内の挿通部分の奥行きはガイド孔384の幅と略同じ長さとされている。そして、環状部材38の天面部381の内面と環状部材39の天面部391の外面が弾性部材3839を介して連結されている。本実施形態では、弾性部材3839には、コイルスプリングが採用されている。
【0046】
本実施形態の毛髪保持具1’では、毛髪保持体2の挿入口21側の一端部を挿着口31’内に挿入し、該一端部を、環状部材38の底面部382の内面及び環状部材39の天面部391の内面に接合することによって、開閉治具3’が毛髪保持体2に固定される。開閉治具3’において、拡縮手段32’は、弾性部材3839の弾性変形に伴う環状部材38、39同士の相対移動により、挿着口31’を拡縮するように設けられている。
【0047】
挿着口31’は、通常は毛髪保持体2を挿入し易いように挿着口31’が少し開いている。挿着口31’ (挿入口21)を広げる場合には、環状部材38の天面部381と、環状部材39の底面部392とを上下から押圧し、弾性部材3839を縮ませることで、環380、390同士の重なり部分を広げる(“拡縮”の“拡”の状態)。押圧力を解放して、弾性部材3839の縮んだ状態を解けばその弾性力によって挿着口31’(挿入口21)を狭めることができる(“拡縮”の“縮”の状態)。
【0048】
本実施形態の毛髪保持具においても、前記第1実施形態の毛髪保持具1と同様に、毛髪束を毛髪保持体2の挿入口21に挿入するときには、開閉治具3’の挿着口31’が閉じた状態であるので、周辺の毛髪を巻き込むことがほとんどなく、噛み込むこともないため、毛髪が折れたり、吊れて使用者に痛みを与えたりすることが防止されるほか、挿着口31’の拡縮(挿入口21の開閉)も、弾性部材3839の伸縮させるような環状部材38、39同士の相対移動によって容易に行えるため、操作性に優れる。
【0049】
本発明の毛髪保持具は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0050】
例えば、前記第5実施形態では、弾性部材としてコイルスプリングを採用したが、環状部材同士を相対移動可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ゴム柱やゴム管等の他の形態の弾性部材を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明における毛髪処理用の毛髪保持具の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】第1実施形態の毛髪保持具における開閉治具の形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】第1実施形態の毛髪保持具における開閉治具により毛髪保持体の挿入口を拡げた状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の毛髪保持具における開閉治具の形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の毛髪保持具における開閉治具の形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図6】第3実施形態の毛髪保持具における開閉治具により毛髪保持体の挿入口を拡げた状態を示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態の毛髪保持具における開閉治具の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】第4実施形態の毛髪保持具における開閉治具により、毛髪保持体の挿入口を拡げた状態を示す図である。
【図9】図8のA−A矢視拡大図であり、(a)は毛髪保持体の挿入口を広げている状態を示す図、(b)は毛髪保持体の挿入口を狭めている状態を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態の毛髪保持具における開閉治具の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1、1’ 毛髪処理用の毛髪保持具
2 毛髪保持体
20 筒状体
21 挿入口
22 注入口
3、3’ 毛髪保持体用開閉治具
30、30’ ヒンジ部材
31 31’ 挿着口
32、32’ 拡縮手段
33、33’ ヒンジ部
34、34’ 長片部
341 ガイド孔
342 長孔
35、35’ 短片部
351 係止部
352 凸部
36 片部
37 片部
38、39 環状部材
3839 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部の開口部から他端部に向けて毛髪束を挿入して保持する筒状の毛髪保持体における該開口部を開閉する毛髪保持体用開閉治具であって、
前記毛髪保持体の前記一端部が挿入されて固定される内周が閉じた領域を形成している挿着口と、該挿着口を拡縮させる拡縮手段とを有している毛髪保持体用開閉治具。
【請求項2】
ヒンジ部を介して屈曲自在に設けられた長片部及び短片部を有するヒンジ部材からなり、
前記長片部にガイド孔が形成されているとともに、前記短片部の先端部に前記ガイド孔に挿入されて該ガイド孔に係止される前記係止部が形成されており、
前記ヒンジ部材を該ヒンジ部で折り返して前記係止部を前記ガイド孔に挿入することにより前記挿着口が形成され、
前記拡縮手段は、前記長片部を弾性変形させるか又は屈伸させることにより、該挿着口を拡縮させるように設けられている請求項1に記載の毛髪保持体用開閉治具。
【請求項3】
ヒンジ部を介して屈曲自在に設けられた一対の片部を有するヒンジ部材からなり、
該ヒンジ部材の中央部に前記挿着口が形成されているとともに該挿着口の両側部に前記ヒンジ部が形成され、
前記拡縮手段は、前記ヒンジ部を屈曲させて前記片部同士を離したり近づけたりすることにより、前記挿着口を拡縮させるように設けられている請求項1に記載の毛髪保持体用開閉治具。
【請求項4】
少なくとも二つの環状部材が弾性部材を介して連結されてなり、
前記挿着口が各前記環状部材の環同士の重なり部分で形成されているとともに、前記拡縮手段が、前記弾性部材の弾性変形に伴う前記環状部材同士を相対移動させることにより、前記挿着口を拡縮するように設けられている請求項1に記載の毛髪保持体用開閉治具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の毛髪保持体用開閉治具が前記毛髪保持体の前記一端部に固定されている毛髪処理用の毛髪保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−168068(P2008−168068A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6235(P2007−6235)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】