説明

毛髪処理剤使用時の補助具

【課題】パーマネント、シャンプー等の際に、顔を汚すことがないとともに、装着状態を安定的に保持し作業をスムーズかつ正確に行える毛髪処理剤使用時の補助具を提供する。
【解決手段】装着者の額から前方に向けて突設させ、基部側12aが額に密着状に当接される庇部12と、庇部12に連結され顎又はその近傍に係着させて庇部12の前方突設状態を保持するように該庇部を支持する顎側支持部14と、少なくとも庇部12を後方側に拘引支持する耳かけ部材16と、を含むことを特徴とする毛髪処理剤使用時の補助具10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パーマネントウェーブやストレートパーマネント等のパーマネント、洗髪、毛染め等の際に利用される毛髪処理剤使用時の補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、美容院等でパーマネントウェーブやストレートパーマネントを施す場合には、客を座らせた状態で美容師が毛髪にパーマネント剤1液を塗布し、所要の時間放置して毛髪を軟化処理する。そして、形を整えてパーマネント剤2液を塗布し、所要の時間放置した後、仕上げが行われている。パーマネント剤(特にストレートパーマ剤)は、地肌につくと炎症を起したり、毛髪折れを起したりするおそれがあるので、粘性が高いものが用いられるとともに、毛髪に塗布する際には根元から1〜2cm程度あけて塗布される。パーマネント剤を塗布した毛髪をそのまま前に垂らすとパーマネント剤が顔につくので、通常は、例えば、毛髪が顔につかないように該毛髪を分けて横方向に向けて垂らす場合があった。しかしながら、前髪周辺の毛根流は前方側即ち顔側に向いているので、毛根流の方向とは異なる横方向に向けられる結果、毛髪の根元側に折れ曲がり状にクセがついてしまい、パーマネントの仕上がりが不自然であったり、髪が伸びた際に折れ曲りクセが残って見栄えが悪い問題があった。
【0003】
また、特許文献1には、シャンプー等の際に使用される耳カバー・顔カバーセットが提案されている。特許文献1では、耳全体を内包するように覆って装着される耳カバーと、該耳カバーに着脱自在な顔カバーとを有している。耳カバーには外部に向けて突設された円柱状の軸部が形成されるとともに、顔カバーは該耳カバーの軸部が挿通する挿通孔が設けられたベルト状部を有している。シャンプー等の際には、耳カバー・顔カバーセットを顔を上向きにした状態で装着し、両耳と額上端位置との3点で支持させて、顔面にシャンプー液等の付着防止を図るものであった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−135727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の耳カバー・顔カバーセットは、上記のように装着者が上向きで使うことが前提であり、しかも顔カバーは耳カバーの軸部周りに回動して角度が自在に変更できる構造である。しかしながら、例えば、特許文献1のものをパーマネント剤を塗布する作業のように座った姿勢で使用すると、顔カバーは安定せず、重力で自然に、又は美容師の作業で手や腕が当たった際に、簡単に顔カバーが耳カバーの軸部周りに下方に向けて回転して、顔カバーと顔との隙間が生じるおそれがあった。よって、該隙間からパーマネント剤を塗布した顔カバーの内側に毛髪が入りこみ、パーマネント剤付の毛髪が顔に付いたり、顔カバーの間に毛髪が挟まって損傷したりしてしまい、円滑で確実なパーマネント作業が困難であった。また、顔カバーで顔面の略全体を覆うので、使用時に蒸れたり、閉塞感、違和感、不快感を感じやすく長時間使用しにくかった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、例えば、パーマネントウェーブ、ストレートパーマネント等のパーマネント、シャンプー、毛染め等の際に、顔を汚すことがないとともに、装着状態を安定的に保持し作業をスムーズかつ正確に行える毛髪処理剤使用時の補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、装着者の額から前方に向けて突設させ、基部側12aが額に密着状に当接される庇部12と、庇部12に連結され顎又はその近傍に係着させて庇部12の前方突設状態を保持するように該庇部を支持する顎側支持部14と、少なくとも庇部12を後方側に拘引支持する耳かけ部材16と、を含むことを特徴とする毛髪処理剤使用時の補助具10から構成される。補助具10は例えば防水性及び処理剤に対する耐食性が高い素材で製造すると好適である。補助具10は装着者自身で毛髪処理を使う場合や、他人に毛髪処理を行ってもらう場合のいずれも利用できる。顎側支持部14の顔側への係着位置は、例えば、下唇と顎の間(下顎の前部側)、鼻と上唇の間(上顎の前部側)に係着させたり、口位置に係着させたり、顎の下側に掛けて係着させたり等任意の顔面又はその近傍に係着させる構成としてもよいが、顔に装着した際の装着感と庇部の前方突設状態を支持できるような態様で適宜設定される。また、顎側支持部14の庇部12との連結位置は、例えば、庇部12の基部側、庇部12の突出先端側や中間位置等任意の位置に接続されていても良い。また、顎側支持部14は、例えば、ある程度の幅広の帯状構造としてもよいし、細幅の帯又は杆状部材を複数並設させた構造等その他任意の構造でもよい。
【0008】
また、顎側支持部14は庇部12に接続して顔の側部から顎側にかけて周回し係着される環状フレーム18から構成されることとしてもよい。例えば、環状フレーム18に庇部12の基部を構成してもよい。
【0009】
また、環状フレーム18の周回長さを自在に調節する周回長さ調節装置24が設けられていることとしてもよい。
【0010】
また、環状フレーム18は庇部12の両側に接続されて端部を自由端とし自由端側を顎側に掛け回して脱着自在に係着させる係着部(22a,22b)付きの顎掛けフレーム部材20を含むこととしてもよい。係着部は、例えば、面ファスナ、ボタン、フック、バックル構成等その他任意の構成でもよい。また、顎掛けフレーム部材20の自由端側を重ねてクリップ部材等で挟むことで着脱自在に係着することもできる。係着部により顎掛けフレーム部材20の自由端側の係着位置を自在に変更することができるように構成することで周回長さ調節装置24を実現できる。
【0011】
また、庇部12と顎側支持部14は、硬質合成樹脂シートを加工して一体的に形成してなることとしてもよい。硬質合成樹脂シートは、硬質である程度の剛性を有するとともに、ある程度の可撓性を有して曲げ可能であり、さらに形状復元するものが選択される。庇部12と顎側支持部14は、一枚の硬質合成樹脂シートで一体的に形成してもよく、例えば、シート材を所定の型でプレス打ち抜き加工したり、切削加工して製造してもよい。
【0012】
また、庇部12に連続する顎側支持部14は、所要の横幅Dで顎側に伸び、顎側に係着固定させた状態で一体シートを曲げて形成したシート材自体の材料保持力により庇部12の前方突設状態を支持することとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪処理剤使用時の補助具によれば、装着者の額から前方に向けて突設させ、基部側が額に密着状に当接される庇部と、庇部に連結され顎又はその近傍に係着させて庇部の前方突設状態を保持するように該庇部を支持する顎側支持部と、少なくとも庇部を後方側に拘引支持する耳かけ部材と、を含むことから、例えば、毛髪にパーマネント液やシャンプー液、毛染め液等の処理剤の塗布を要する作業の際に、庇部で処理剤を塗布した毛髪又は毛髪から垂れ流れる処理剤を受けつつ、顎側支持部で庇部の突設状態を保持するので、座った姿勢で補助具を装着した場合でも補助具が簡単にずれることがなく処理剤が顔に付着するのを確実に防止でき、スムーズかつ正確な作業を実現できる。特にパーマネントを行う際には、パーマネント液を塗布した前髪周辺の毛髪を毛根流に沿って前方側に向けた状態で庇部に受けさせて保持できるので、毛髪が不自然に折れ曲がったりすることがなく、パーマネント作業を正確に行え良好に仕上げることができる。さらに、庇部と顎側支持部の顔側へ係着と耳かけ部材とを協働させて装着状態を保持するので毛髪がある頭部分には補助具はほとんど接触せず、毛髪処理作業の邪魔になりにくい。また、補助具の着脱操作も簡単に行なえ、使い勝手がよい。
【0014】
また、顎側支持部は庇部に接続して顔の側部から顎側にかけて周回し係着される環状フレームから構成されることから、庇部の突設状態の保持を確実に行える構造を具現できるとともに顔へ装着した際の安定性が高い。また、補助具が顔面を覆うことなく処理剤の顔面への付着防止等を確実に行え、蒸れたり不快感を感じにくく、装着感が良い。
【0015】
また、環状フレームの周回長さを自在に調節する周回長さ調節装置が設けられている構成とすることにより、周回長さ調節装置を介して顔の大きさや長さ等に対応して庇部及び顎側支持部を適切な装着位置に設置させて確実に顔面への処理剤の付着を防止できるとともに、違和感、不快感を感じることなく使用できる。また、1つの補助具で様々な顔に対応できるのでコストパフォーマンスも高い。
【0016】
また、環状フレームは庇部の両側に接続されて端部を自由端とし自由端側を顎側に掛け回して脱着自在に係着させる係着部付きの顎掛けフレーム部材を含むことから、例えば、係着部の着脱位置を変更させて、周回長さを調節することができ、構造が簡単で、使い勝手がよい調節装置を具現できる。
【0017】
また、庇部と顎側支持部は、硬質合成樹脂シートを加工して一体的に形成してなる構成とすることにより、軽量化できるとともに、簡単な工程だけで低コストで製造できる。
【0018】
また、庇部に連続する顎側支持部は、所要の横幅で顎側に伸び、顎側に係着固定させた状態で一体シートを曲げて形成したシート材自体の材料保持力により庇部の前方突設状態を支持する構成とすることにより、例えば切削やプレス等により加工したシート材を単に曲げるだけで簡単に製造できるとともに、庇部と顎側支持部とを一体的に形成するシート材の曲げ構成により支持強度を確保できるので、支持や強度保持のための他の部材を全く又は殆ど必要とせず部品点数を極力減らして、補助具の構造の単純化、軽量化及び製造コストの低廉化を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を参照しつつ本発明の毛髪処理剤使用時の補助具について説明する。本発明の毛髪処理剤使用時の補助具は、例えば、パーマネント剤、シャンプー、毛染め液等の毛髪処理剤を使用する時に顔側に装着されて、処理剤が顔についたり目に入ったりするのを防止しながら、種々の作業を円滑に行える作業補助具である。図1ないし図4は、本発明の投入口の補助具の一実施形態を示している。本実施形態において、毛髪処理剤使用時の補助具(以下、単に「補助具」ともいう)10は、図1、図2、図3、図4に示すように、庇部12と、庇部12に連結される顎側支持部14と、耳かけ部材16と、を含む。
【0020】
図1、図2に示すように、庇部12は、装着者の額から前方に向けて突設され、基部側12aが額に密着状に当接される。本実施形態では、庇部14は、例えば、帽子の庇のように面状に広がって形成されており、装着者の毛髪に処理剤を塗布した際に、該処理剤付きの毛髪自体或いは、毛髪や頭皮から垂れ流れる処理剤等を受ける部位であり、処理剤が顔へ付着するのを防止することができる。本実施形態では、庇部12は、例えば、透明又は不透明の硬質プラスチック等の硬質合成樹脂シート材からなり、後述のように顎側支持部14と一体的に形成されている。図3、図4にも示すように、庇部12は、平面視舌片状で突出先端側を円弧状に形成されるとともに、断面円弧状に曲成されて、基部側12aは額の左右両側からこめかみ近傍部分まで広がっており、突設先端側に向けて下り傾斜して形成され、正面視では目の周辺まで覆うように突設されている。なお、庇部12は、斜めに形成されているが、水平方向に向けて突設されていてもよい。また、庇部12は、曲面構成に限らず平面形状や、断面略コ字型形状等、その他任意の形状でもよい。
【0021】
顎側支持部14は、庇部12に連結され顎又はその近傍に係着させて庇部12の前方突設状態を保持するように該庇部12を支持する顎側の支持手段である。本実施形態において、図1、図2、図3に示すように、顎側支持部14は、庇部12に接続した環状フレーム18から構成されている。庇部12と顎側支持部14を構成する環状フレーム18とは、例えば、透明又は不透明の硬質プラスチック等の硬質合成樹脂製のシート材から一体的に形成されており、詳しくは硬質であるとともに手で変形可能な程度の可撓性を有して曲げ可能であり、さらに形状復元するものから形成されている。環状フレーム18は、顔の側部から顎側にかけて周回し顎側に係着される。すなわち、環状フレーム18の上部に庇部12の基部12aを一体的に有しており、下部側に顎又はその近傍に係着する顎側支持部14を一体的に形成し、前後に貫通し外部に連通した中空部Mを有している。本実施形態では、環状フレーム18は、庇部12の基部12aの左右両側にそれぞれ接続されて下方に(顎側に)延長されかつ延長端部を自由端とした1対の帯状の顎掛けフレーム部材20を含む。顎掛けフレーム部材20の自由端側には、該自由端どうしを脱着自在に係着させる雌雄の面ファスナ22a、22bが固定されている。顎掛けフレーム部材20は、自由端を顎側に掛け回し該面ファスナ22a、22bを介して接続することにより環状フレームを構成して、顎側に係着される顎側支持部14となる。よって、図6、図7に示すように、顎側支持部14は、例えば、左右両側のこめかみ近傍から頬側を含む顔の側部、そして下顎の前部側(下唇と顎の間の部位)に連続して掛かるように係着されており、環状フレーム18は顔の周りに環状に係着する。これにより装着時の安定性が高く、該顎側支持部14により庇部12の前方突設状態を良好に支持できるとともに、顔側へ処理剤等が入るのを防止できる。また、顔に装着した際に顔の中央部は覆われることがなく、装着時の蒸れや不快感が生じにくい。
【0022】
図1、図2、図3に示すように、顎掛けフレーム部材20は、例えば、側面視で数cm程度の所要の横幅(前後方向への幅)Dを有しており基部12の左右両側から自由端側を一部重ね合わせできるような長さで顎側に円弧状に伸びている。顎掛けフレーム部材20の面ファスナ22a、22bが設けられた自由端どうしの接続位置が、下顎の前部側に係着するようになっている。顎掛けフレーム部材20は庇部12とは一枚の硬質合成樹脂シートを加工して一体形成されており、庇部12となる部位を広く形成しつつ顎側支持部14を構成する顎掛けフレーム部材20を帯状に加工し、全体的に環状に曲成されて、環状フレームを構成している。このように、顎掛けフレーム部材20を庇部12の基部12aに一体的に連続するように形成した一体シート材を曲げて形成することでシート自体の材料の保持力で庇部12の前方突出状態を支持する。すなわち、顎掛けフレーム部材20の自由端を係着させた状態で、硬質合成樹脂からなるシート材の素材の剛性強度と、側面視での所要の横幅D(前後方向幅)でかつ長手方向に円弧状に曲げて形成されることにより、シート材自体の庇部12の前方突出状態を支持する強度を有効に確保している。なお、庇部12と顎側支持部14とは、例えば、溶かした樹脂を型に流し込んで形成することとしてもよい。
【0023】
面ファスナ22a、22bは、一方の顎掛けフレーム部材20に雄面ファスナ22aが、他方の顎掛けフレーム部材20に雌面ファスナ22bが取り付けられている。面ファスナ22a、22bは顎掛けフレーム部材20の長さ方向すなわち周回長さ方向に沿ってある程度長く設けられ、それらの接続位置を自在に変更することで環状フレーム18の周回長さを自在に調節できるようになっている。顎掛けフレーム部材20の自由端に固定された面ファスナ22a、22bは、環状フレーム18の周回長さを自在に調節する周回長さ調節装置24を構成する。これにより、例えば、環状フレーム18の可撓性により変形させて、図5の一点鎖線L1に示すように比較的顔が大きい人の場合には顎掛けフレーム部材20の自由端の面ファスナの重ねる部分を少なくしてより端側で接合させて、図5の二点鎖線L2に示すように比較的顔が小さい人の場合には自由端の面ファスナ22a、22bの重ね合わせ部分を大きくした状態で接合させて比較的小さな周回長さの環状フレームを構成することができる。なお、環状フレーム18は、庇部12の基部の一方側に接続されて端部を自由端とした比較的長い顎掛けフレーム部材を形成し、該長尺の顎掛けフレーム部材20の自由端を庇部12の基部側の他端側に面ファスナ等の係着部を介して着脱自在に接続できる構成としてもよい。環状フレームが一部で分断されて形成され、該分断部を着脱自在に接続でき、かつ接続位置を任意に変更して周回長さを変更できる構成であるとよい。また、例えば、庇部12と、顎側支持部14を含む環状フレーム18と、をそれぞれ別の部材で形成し、それらを接着、溶着やビス止め等の任意の固定手段で連結固定してもよい。また、庇部12と、U字状の顎側支持部14と、の2分割構成とし、顎側支持部のU字端部を庇部12に面ファスナ等の係着部で連結分離できる構成でもよい。この際、庇部12と顎側支持部14との接続位置を変更して周回長さを変更することもできる。
【0024】
さらに、図2、図4に示すように、庇部の基部12a及び顎掛けフレーム部材20を含む環状フレーム18の顔側の端縁部は、顔の曲面に対応した曲線で形成されている。例えば、額に密着される上部側と顎に係着する下部側近傍は円弧状に凹む曲線輪郭で形成されるとともに、それらを上下に接続して顔の両側部に係着する左右側辺は上下中間部分が徐々に後方に向けて円弧状に膨出した曲線輪郭で形成されている。また、これらの環状フレーム18の顔側の端縁部には、例えば、スポンジやゴム等からなる緩衝部材26が設けられており、装着時に痛みや違和感を生じないようになっている。なお、例えば、垂れ流れやすい処理剤を毛髪に塗布したり流したりする場合にはこの緩衝部材26の顔側への密着性を高いものとするとよい。さらに、環状フレーム18には、その周回長さ方向に沿って、例えば、針金等の金属製の補強用線条材28が設けられており、環状フレーム18の形状保持、強度向上し、ひいては、顎側支持部14による庇部の前方突設状態の支持力を向上している。
【0025】
耳かけ部材16は、庇部12を後方側に拘引支持するように、すなわち顔側への密着状態を保持するように、拘引支持するように耳にかけられる部材である。耳かけ部材16は、例えば、環状に形成されたゴム紐部材からなり、環状フレームの両側部にそれぞれ1つずつ接続されており、耳の裏に掛けられて庇部12及び顎側支持部14を構成する環状フレーム18全体を後方に付勢する。それぞれの耳かけ部材16は、例えば、環状フレーム18の各耳の位置に対応した庇部12の基部12aと顎掛けフレーム部材20との接続位置近傍に設けられた2個の貫通孔30に通係させて接続されている。なお耳かけ部材16はゴム紐からなるので、顔の大きさに対応して自在に伸縮させて装着できる。また、耳にかけるだけなので毛髪を頭側に向けて押さえつけることがなく毛髪処理の際に邪魔になりにくい。なお、環状フレーム18に周回長さ方向に沿って列状に複数個の貫通孔を離隔形成しておき、顔の大きさや長さ等に応じて耳かけ部材の接続位置を変更できるようにしてもよい。また、耳かけ部材と環状フレーム18の接続は、例えば、環状フレーム18にフックを形成して耳かけ部材を引っ掛ける構成など、その他任意の構成でもよい。
【0026】
次に、図5、図6、図7を参照しつつ、本実施形態に係る毛髪処理剤使用時の補助具10の作用について説明する。本実施形態では、例えば、ストレートパーマネント等を行う際のパーマネント剤1液を毛髪に塗布する場合について説明する。装着前に、装着者の顔の大きさに合わせて顎掛けフレーム部材20の自由端側の雌雄面ファスナ22a、22bの係着位置を調節して環状フレーム18の周回長さを調節する。補助具10を顔に当てて庇部12の基部12aを額に密着させつつ顎側支持部14を顔の両側部及び下唇と顎の間に掛けて、耳かけ部材16を耳にかける。この装着状態で、パーマネント剤を毛髪Hに塗布する。この際、パーマネント剤は粘性が高いのでほとんど垂れ流れないが、パーマネント剤を塗布した前髪周辺の毛髪Hを庇部12に載せて受けることができ、顔にパーマネント剤が付着するのを確実に防止できる。本実施形態に係る補助具では、周知のサンバイザーやシャンプーハットのように頭部周りにはめる構造ではなく、上記のように額から前方に突出した庇部12を顎側に係着固定する顎側支持部14で支持しつつ耳かけ部材16を介して後方に引っ張った状態で装着させる構造であるから、例えば、毛髪Hを庇部12に載せても該庇部12の先端側が下を向くように倒れ込んで基部と額との間等に隙間が生じ毛髪や処理剤が侵入するおそれがなく、庇部12の前方突出状態を良好かつ安定的に保持しながら、処理剤が顔へ付着するのを確実に防止できる。同時に、毛髪を押さえないので作業の邪魔にならない。さらに、パーマネント剤を塗布した前髪周辺の毛髪Hを、毛根流に沿って前方側に向けた状態で庇部12に受けさせて保持できるので、顔にパーマネント剤が付着するのを良好に防止しながら、従来のように毛髪Hが不自然に折り曲がってしまうこともなく、正確なパーマネント作業をスムーズに行えて、良好な仕上げを得ることができる。この状態で、所要時間放置しておき、毛髪を軟化処理する。その後、補助具10を取り外して諸作業が続けられる。取り外した補助具10は洗ってパーマネント剤を落として、繰返し利用することができる。本実施形態では、比較的粘性が高く垂れ流れにくいパーマネント剤の場合について適用したが、シャンプー等のように垂れ流れる性質の処理剤を毛髪に塗布する場合にも有効に適用することができる。
【0027】
以上説明した本発明の毛髪処理剤使用時の補助具は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の毛髪処理剤使用時の補助具は、例えば、パーマネントウェーブ、ストレートパーマネント、シャンプー、毛染め等の毛髪処理作業を自身で行う際に又は他人にしてもらう際に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の本実施形態に係る毛髪処理剤使用時の補助具の斜視図である。
【図2】図1の毛髪処理剤使用時の補助具の正面図である。
【図3】図1の毛髪処理剤使用時の補助具の側面図である。
【図4】図1の毛髪処理剤使用時の補助具の平面図である。
【図5】周回長さ調節装置の作用説明図である。
【図6】図1の毛髪処理剤使用時の補助具の使用状態を説明する側面図である。
【図7】図1の毛髪処理剤使用時の補助具の作用状態を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 補助具
12 庇部
14 顎側支持部
16 耳かけ部材
18 環状フレーム
20 顎掛けフレーム部材
22a、22b 雌雄の面ファスナ
24 周回長さ調節装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の額から前方に向けて突設させ、基部側が額に密着状に当接される庇部と、
庇部に連結され顎又はその近傍に係着させて庇部の前方突設状態を保持するように該庇部を支持する顎側支持部と、
少なくとも庇部を後方側に拘引支持する耳かけ部材と、を含むことを特徴とする毛髪処理剤使用時の補助具。
【請求項2】
顎側支持部は庇部に接続して顔の側部から顎側にかけて周回し係着される環状フレームから構成されることを特徴とする請求項1記載の毛髪処理剤使用時の補助具。
【請求項3】
環状フレームの周回長さを自在に調節する周回長さ調節装置が設けられていることを特徴とする請求項2記載の毛髪処理剤使用時の補助具。
【請求項4】
環状フレームは庇部の両側に接続されて端部を自由端とし自由端側を顎側に掛け回して脱着自在に係着させる係着部付きの顎掛けフレーム部材を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の毛髪処理剤使用時の補助具。
【請求項5】
庇部と顎側支持部は、硬質合成樹脂シートを加工して一体的に形成してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の毛髪処理剤使用時の補助具。
【請求項6】
庇部に連続する顎側支持部は、所要の横幅で顎側に伸び、顎側に係着固定させた状態で一体シートを曲げて形成したシート材自体の材料保持力により庇部の前方突設状態を支持することを特徴とする請求5記載の毛髪処理剤使用時の補助具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−189448(P2009−189448A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31241(P2008−31241)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(508045284)
【Fターム(参考)】