説明

毛髪処理剤

【課題】 化学処理による重度の損傷を受けた毛髪に対しても十分な退色防止効果を発揮し、かつ毛髪に良好な感触を与えることができる毛髪処理剤を提供する。
【解決手段】 (A)成分:平均重合度が特定の範囲内にある高重合ジメチルポリシロキサン、高重合ジメチコノール及び高重合アミノ変性シリコーンから選ばれる高重合シリコーンの1種以上と、(B)成分:紫外線吸収剤の1種以上と、(C)成分:酸性アミノ酸類の1種以上を含有する毛髪処理剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪処理剤に関する。更に詳しくは本発明は、酸化剤を含有する染毛剤組成物を用いて毛髪を染毛処理する場合において、染毛後の毛髪の褪色及び色落ちを十分に防止できる毛髪処理剤に関する。
【0002】
本発明において、染毛後の毛髪の「退色」とは、洗髪等の際における毛髪からの染料の流出(色落ち)と、日光等の影響による染料自体の分解(褪色)とを主な要因として生じる染毛後の毛髪の色調の変化もしくは劣化をいう。
【背景技術】
【0003】
酸化剤と染料を配合した染毛剤が広く用いられている。かかる染毛剤による染毛処理後の毛髪の色調を良好に保持するためには、その後の洗髪等による毛髪の色落ちを防いだり、日光等による染料の褪色を防止するという対策が有効である。従来における毛髪退色防止の提案として、例えば下記の特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−338317号公報 特許文献1はアミノ変性シリコーン誘導体と紫外線吸収剤を含有する毛髪化粧料を開示し、この毛髪化粧料は紫外線による毛髪の損傷を防止し、髪に光沢、滑らかさ及び良好なくし通り性を与える、としている。
【0005】
【特許文献2】特開2004−262609号公報 特許文献2は紫外線吸収剤と特定のフェノール誘導体を含有する毛髪色褪せ防止用化粧料を開示し、この毛髪色褪せ防止用化粧料は染毛した毛髪の色褪せ、特に日光による色褪せを防止する効果が高い、としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら本願発明者の研究によれば、酸化染毛処理その他の化学処理を重ねて重度の損傷を受けた毛髪においては、毛髪からの染料の流出(色落ち)による退色が優位に生じるためか、上記の特許文献1や特許文献2に記載の毛髪化粧料は有効な退色防止効果を発揮しない。更に、重度の損傷を受けた毛髪に対してこれらの毛髪化粧料を用いても、毛髪の感触が十分ではなかった。
【0007】
そこで本発明は、化学処理を重ねて重度の損傷を受けた毛髪に対しても十分な退色防止効果を発揮し、かつ毛髪に良好な感触を与えることができる毛髪処理剤を提供することを、解決すべき課題とする。
【0008】
本願発明者は、上記課題の解決手段を追及する過程で、毛髪処理剤に紫外線吸収剤と共に特定の重合度を持つ特定の種類のシリコ−ン類を選択的に配合し、更に酸性アミノ酸類を配合した場合に課題を解決し得るという知見を得て、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、下記(A)成分〜(C)成分を含有する、毛髪処理剤である。
【0010】
(A)共に平均重合度が2,000〜20,000の範囲内にある下記の(A1)成分〜(A3)成分から選ばれる高重合シリコーンの1種以上。
(A1)高重合ジメチルポリシロキサン。
(A2)高重合ジメチコノール。
(A3)高重合アミノ変性シリコーン。
【0011】
(B)紫外線吸収剤の1種以上。
【0012】
(C)酸性アミノ酸類の1種以上。
【0013】
なお、第1発明において、アミノ変性シリコーンの平均重合度という場合の「重合度」とは、アミノ変性シリコーンのモノマーユニットであるジメチルシロキサン部及びアミノ変性シロキサン部の重合度の合計を意味する。
【0014】
(第1発明の効果)
第1発明の毛髪処理剤は上記の(A)成分〜(C)成分を含有するので、余り損傷を受けていない毛髪に対してはもちろんであるが、化学処理を重ねて重度の損傷を受けた毛髪に対しても十分な退色防止効果を発揮し、かつ毛髪に良好な感触を与えることができる。
【0015】
第1発明の毛髪処理剤によってこのような効果が得られる理由は必ずしも十分に解明していないが、少なくとも以下の点を指摘することができる。
【0016】
即ち、平均重合度が2,000〜20,000の範囲内にある(A1)成分〜(A3)成分から選ばれる1種以上の高重合シリコーンが(A)成分として配合され、かつ(C)成分として酸性アミノ酸類が併せ配合されているので、重度の損傷を受けた毛髪においても、毛髪からの染料の流出(色落ち)が十分に防止される。なお、高重合シリコーンの平均重合度が2,000〜20,000の範囲を外れると、(C)成分が併せ配合されていても、色落ちの防止効果が不十分である。以上の点と、(B)成分である紫外線吸収剤による染料の褪色防止効果があいまって、重度の損傷を受けた毛髪においても、毛髪の退色が有効に防止されるものと考えられる。
【0017】
更に、主として(A)成分が仕上がり後の毛髪の艶や指通りの良さといった毛髪の良好な感触を与える。この効果に関して、高重合シリコーンの平均重合度が2,000未満であると感触向上効果が不十分となり、高重合シリコーンの平均重合度が20,000を超えると(A)成分及び/又は(B)成分の粘度が高すぎて、毛髪処理剤基剤への溶解性や、製造時の取扱いの困難性の点から実用的ではない。
【0018】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪処理剤における(A)成分が、(A1)成分及び(A2)成分から選ばれる1種以上と、(A3)成分から選ばれる1種以上とからなる、毛髪処理剤である。
【0019】
(第2発明の効果)
毛髪処理剤に配合される1種以上の(A)成分としては、(A1)成分及び(A2)成分から選ばれる1種以上と、(A3)成分から選ばれる1種以上との組み合わせが、特に好ましい。
【0020】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪処理剤における(B)成分が、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上である、毛髪処理剤である。
【0021】
(第3発明の効果)
(B)成分として配合される紫外線吸収剤の種類は限定されないが、特に、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0022】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪処理剤における(C)成分が、タウリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンから選ばれる1種以上である、毛髪処理剤である。
【0023】
(第4発明の効果)
(C)成分として配合される酸性アミノ酸類の種類は限定されないが、タウリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンから選ばれる1種以上を好ましく例示することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の毛髪処理剤は、余り損傷を受けていない毛髪に対してはもちろんであるが、化学処理を重ねて重度の損傷を受けた毛髪に対しても、十分な退色防止効果を発揮し、かつ毛髪に良好な感触を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0026】
〔毛髪処理剤〕
本発明の毛髪処理剤は、(A)成分として平均重合度が2,000〜20,000の範囲内にある特定の種類の高重合シリコーンの1種以上を含有し、(B)成分として紫外線吸収剤の1種以上を含有し、かつ、(C)成分として酸性アミノ酸類の1種以上を含有する。
【0027】
(毛髪処理剤の種類又は用途)
毛髪処理剤は、毛髪を処理するためのものである限りにおいて、その種類あるいは用途は限定されない。例えば、パーマネントウエーブ剤、酸化染毛剤、毛髪脱色剤、酸性染毛料、又はこれらの前処理剤、中間処理剤、後処理剤、あるいは、ヘアトリートメント剤、コンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、育毛養毛剤等の毛髪処理剤が挙げられるが、これらの例示に限定されない。これらの毛髪処理剤が2剤式や3剤式等の複数剤式に構成される場合には、毛髪処理剤はその内のいずれか1以上の剤を構成することができる。
【0028】
(毛髪処理剤の剤型、pH)
毛髪処理剤の剤型とpHは、その種類あるいは用途に応じて適宜に設定されるものであり、特段に限定されない。剤型としては、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧式)、泡状等を例示することができる。
【0029】
〔毛髪処理剤における主要成分〕
((A)成分)
(A)成分は、共に平均重合度が2,000〜20,000の範囲内にある下記の(A1)成分〜(A3)成分から選ばれる高重合シリコーンの1種以上である。
(A1)高重合ジメチルポリシロキサン。
(A2)高重合ジメチコノール。
(A3)高重合アミノ変性シリコーン。
【0030】
(A)成分としては、(A1)成分及び(A2)成分から選特ばれる1種以上と(A3)成分から選ばれる1種以上との組み合わせが特に好ましい。
【0031】
周知のように、ジメチルポリシロキサンとは、ジメチルシロキサンの単位が多数重合し、その両末端がトリメチルシロキサンで終わっている重合体である。ジメチコノールとは、INCI名であるが、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサンである。アミノ変性シリコーンとは、「−Si−O−」の繰り返しからなるポリシロキサン骨格を持ち、そのケイ素原子のアルキル側鎖の一部がアミノ変性されたものである。
【0032】
アミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等を挙げることができる。
【0033】
これらの高重合シリコーンは、その重合度が大きくなるほど、粘度も大きくなるという相関があるが、数値的に正確な相関関係は必ずしも明らかではない。よって前記した特定の平均重合度を示す高重合シリコーンを動粘度によって正確に規定することは困難である。大雑把な見当として、平均重合度が2,000〜20,000の範囲内の範囲内にある高分子量シリコーンは、動粘度が1,000,000mm/s以上に相当すると考えられる。毛髪処理剤における(A)成分の含有量は限定されないが、使用時において混合される毛髪処理剤においては混合時の含有量であることを前提として、好ましくは毛髪処理剤中の0.01〜30質量%、特に好ましくは0.1〜15質量%である。(A)成分の含有量が0.01質量%未満であるとその配合効果が十分に現れないという懸念があり、30質量%を超えると手や毛髪への残留性が高すぎて使用感が悪化するという懸念がある。
【0034】
((B)成分)
(B)成分は紫外線吸収剤の1種以上である。紫外線吸収剤の種類は限定されないが、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0035】
毛髪処理剤における(B)成分の含有量は限定されないが、使用時において混合される毛髪処理剤においては混合時の含有量であることを前提として、0.001〜10質量%の範囲内、特に好ましくは0.01〜5質量%である。(B)成分の含有量が0.001質量%未満であるとその配合効果が十分に現れないという懸念があり、10質量%を超えると皮膚刺激を高めるという懸念がある。
【0036】
上記した安息香酸系紫外線吸収剤の具体例としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸アミル等が挙げられる。
【0037】
上記したサリチル酸系紫外線吸収剤の具体例としては、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等が挙げられる。
【0038】
上記したケイ皮酸系紫外線吸収剤の具体例としては、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、ジパラメトキシケイ皮酸−モノ−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。
【0039】
上記したベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−3)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸(オキシベンゾン−4)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム(オキシベンゾン−5)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−1)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−6)、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−2)等が挙げられる。
【0040】
((C)成分)
(C)成分は、酸性アミノ酸類の1種以上である。酸性アミノ酸類の種類は限定されないが、タウリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンを好ましく例示することができる。
【0041】
毛髪処理剤における(C)成分の含有量は限定されないが、使用時において混合される毛髪処理剤においては混合時の含有量であることを前提として、好ましくは毛髪処理剤中の0.001〜5質量%、特に好ましくは0.005〜3質量%である。(C)成分の含有量が0.001質量%未満であるとその配合効果が十分に現れないという懸念があり、5質量%を超えると毛髪にべとつき感が生じ易くなるという懸念がある。
【0042】
(毛髪処理剤の種類又は用途に応じた必要成分)
毛髪処理剤には、上記の(A)成分〜(C)成分の他にも、前記した毛髪処理剤の種類又は用途に応じて、アルカリ剤(例えば毛髪脱色剤、酸化染毛剤、パーマネントウエーブ剤の第1剤)、酸化剤(例えば毛髪脱色剤、酸化染毛剤、パーマネントウエーブ剤の第2剤)、染料(例えば酸化染毛剤、酸性染毛料)、還元剤(例えばパーマネントウエーブ剤の第1剤)等が必要成分として配合される。
【0043】
アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等を適宜に選択して使用することができる。用いるアルカリ剤の種類及び配合量も技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0044】
酸化剤としては過酸化水素が代表的であるが、その他にも臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化物等が例示される。過酸化物としては、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が例示される。酸化剤の種類及び配合量は、技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0045】
染料としては、酸化染料中間体の他、各種の直接染料が用いられる。酸化染料中間体は主要中間体からなり、又は主要中間体とカプラーからなる。
【0046】
主要中間体としては、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類を例示することができる。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、N−β−ヒドロキシエチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸、2,5−ジアミノピリジン及びそれらの塩類等を例示することができる。
【0047】
カプラーとしては、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェニール、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸等が例示される。
【0048】
直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料及び分散染料を例示することができる。
【0049】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0050】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet 11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0051】
ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0052】
天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素等を例示できる。
【0053】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet
15等を例示できる。
【0054】
上記の主要中間体、カプラー、直接染料の種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0055】
還元剤としては、亜硫酸塩、酸性亜硫酸塩、L−システイン、N−アセチルシステイン、チオ乳酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、トリプロピルホスフィン、チオグリセリン、システアミン、ブチロラクトンチオール、グアニルシステイン等が例示される。還元剤の種類及び配合量は、技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0056】
〔毛髪処理剤におけるその他の任意的配合成分〕
染毛剤組成物や後処理剤組成物には、上記の成分の他にも、任意に、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、高分子物質、ポリペプタイド、タンパク加水分解物、前記した(C)成分以外のアミノ酸、ビタミン類、香料、殺菌・防腐剤、抗炎症剤、噴射剤、増粘剤等を配合できる。又、染毛剤組成物や後処理剤組成物の各成分の溶媒又は分散媒として水が配合され、各成分の濃度が調整される。これらの配合成分の幾つかについて以下に述べる。
【0057】
(油性成分)
油性成分としては油脂、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、前記した(A)成分以外のシリコーン類等が挙げられる。他にも油性成分として、炭化水素、ロウ及びエステル類も挙げられる。これらは、1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0058】
油脂としては、各種の植物油、動物油、等が挙げられる。
【0059】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0060】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0061】
シリコーン類としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0062】
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等、グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0063】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0064】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート等が例示される。
【0065】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0066】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0067】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0068】
(高分子物質)
高分子物質としては、前記(A2)成分以外のカチオン性ポリマー、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、前記(A1)成分以外の両性ポリマー、あるいは各種の水溶性ポリマーが例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0069】
水溶性ポリマーの具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマーが例示され、その他にも、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレン系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等が挙げられる。
【0070】
(ポリペプタイド、タンパク加水分解物、アミノ酸)
ポリペプタイドとしては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、エッグ、シルク、コンキオリン、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、コメ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、エンドウ、アーモンド、ブラジルナッツ、ジャガイモ及びトウモロコシなどの植物から得られるタンパク質が挙げられる。タンパク加水分解物としては、上記の各種のタンパク質を酸、アルカリ、酵素等により加水分解したタンパク加水分解物が挙げられる。アミノ酸としては(C)成分以外の中性又は塩基性アミノ酸が挙げられる。
【実施例】
【0071】
以下に本発明の実施例と比較例を説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施例、比較例によって限定されない。
【0072】
〔実施例及び比較例の内容〕
洗い流さないヘアトリートメント剤として、末尾の表1に示す実施例1〜実施例15(表において「実1」〜「実15」と表記)及び末尾の表2に示す比較例1〜比較例8(表において「比1」〜「比8」と表記)に係る組成のクリーム状の毛髪処理剤を常法に従って調製した。表中の各成分について示す数値は質量%単位で表記している。
【0073】
表において成分欄の左に「A」、「B」又は「C」と表記した成分はそれぞれ本発明の(A)成分、(B)成分又は(C)成分であることを示し、「A」についてはその重合度が第1発明に規定する範囲内のものである。次に、「A比」、「B比」又は「C比」と表記した成分はそれぞれ本発明の(A)成分に対する比較用の成分、(B)成分に対する比較用の成分又は(C)成分に対する比較用の成分であることを示し、「A比」についてはその重合度が第1発明に規定する範囲を外れるものである。
【0074】
又、「A」及び「A比」については、これらの成分名の直後に、例えば「高重合ジメチコノール1(1503FLUID)」のように、数字とカッコ書とを付記しているが、そのように付記した数字はそれぞれ同じ成分であっても別の市販原料を用いたことを表し、カッコ書はその市販原料名を表している。市販原料のメーカー名を表3に一覧で示す。
【0075】
〔実施例及び比較例の評価手順〕
これらの毛髪処理剤について、損傷が多い毛髪(以下「損傷毛」という)に適用した場合について評価を行った。以下に、試験で用いた損傷毛の作成方法を示す。
【0076】
(損傷毛の作成)
長さ15cmの黒髪毛束を用い、パーマネントウェーブ剤(ホーユー(株)製 ルテアTG)を用い常法により処理して乾燥させた後、脱色剤(ホーユー(株)製 ホーユーパウダーブリーチ)を使用し常法により脱色処理をおこなった。その後、酸化染毛剤(ホーユー(株)製 プロマスターEX B 7/6)で常法により染毛した。茶色の毛束が得られた。
【0077】
このようにして得られた毛束を用い、市販シャンプー、リンス(ホーユー(株)製 ビゲントリートメントシャンプー、リンス)で洗浄後、タオルドライ後濡れたままで各例の洗い流さないトリートメントを適量塗布し、ドライヤーで乾燥させ、仕上げた。
【0078】
〔評価項目及び評価基準〕
以上の評価手順による処理を行った損傷毛について、下記の評価項目を下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0079】
(仕上がり時の艶)
仕上がり時の毛髪の艶を、パネラー10名が目視によって確認し、艶を十分感じられる場合を2点、艶を感じられない場合を0点、どちらとも言えない場合を1点として評価し、パネラー10名の評価点の合計が20点〜16点の場合には◎、15点〜10点の場合には○、9点〜5点の場合には△、4点以下の場合には×として評価した。
【0080】
(仕上がり時の指通り)
仕上がり時の毛髪の指通りを、パネラー10名が手触りによって確認し、指通りが良い場合を2点、指通りが悪い場合を0点、どちらとも言えない場合を1点として評価し、パネラー10名の評価点の合計が20点〜16点の場合には◎、15点〜10点の場合には○、9点〜 5点の場合には△、4点以下の場合には×として評価した。
【0081】
(褪色防止効果)
毛髪処理を終えた直後の毛髪の色調に対して、その毛髪を日光に1週間暴露した時点における毛髪の色調を、染毛色の濃さおよび色調に基づいて対比し、その間における毛髪褪色の防止効果を評価した。パネラー10名が目視で確認し、褪色が防止されている場合を2点、褪色が防止されておらず、変色が確認できる場合を0点、どちらとも言えない場合を1点として評価し、パネラー10名の評価点の合計が20点〜16点の場合には◎、15点〜10点の場合には○、9点〜 5点の場合には△、4点以下の場合には×として評価した。
【0082】
(洗浄液への色落ちの少なさ)
毛髪処理を終えた直後の毛束を、室温25℃50%RHの恒温恒湿槽に24時間静置後、50℃の1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に浴比1:20で浸漬させ、5分経過後の水溶液を得た。本願発明の毛髪化粧料を適用しなかった試験用毛束(前記の損傷毛)にて同様の処理をおこない得られた水溶液と目視で比較し、本願発明の毛髪化粧料を適用した毛束の水溶液の色が、薄い場合を2点、濃い場合を0点、どちらとも言えない場合を1点として評価し、パネラー10名の評価点の合計が20点〜16点の場合には◎、15点〜10点の場合には○、9点〜 5点の場合には△、4点以下の場合には×として評価した。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、化学処理を重ねて重度の損傷を受けた毛髪に対しても十分な退色防止効果を発揮し、かつ毛髪に良好な感触を与えることができる毛髪処理剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分〜(C)成分を含有することを特徴とする毛髪処理剤。
(A)共に平均重合度が2,000〜20,000の範囲内にある下記の(A1)成分〜(A3)成分から選ばれる高重合シリコーンの1種以上。
(A1)高重合ジメチルポリシロキサン。
(A2)高重合ジメチコノール。
(A3)高重合アミノ変性シリコーン。
(B)紫外線吸収剤の1種以上。
(C)酸性アミノ酸類の1種以上。
【請求項2】
前記毛髪処理剤における(A)成分が、(A1)成分及び(A2)成分から選ばれる1種以上と、(A3)成分から選ばれる1種以上とからなることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記毛髪処理剤における(B)成分が、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記毛髪処理剤における(C)成分が、タウリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2011−42586(P2011−42586A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189842(P2009−189842)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】