説明

毛髪処理剤

【課題】 手に取って毛髪に塗布した後の手残り感の抑えられた毛髪処理剤を提供する。
【解決手段】 本発明の毛髪処理剤は、(A)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(B)アルカリ剤、(C)非イオン性界面活性剤、(D)25℃で液状の油性成分、および(E)水が配合されており、(D)成分である25℃で液状の油性成分の配合量が、2〜40質量%であることを特徴とするものである。本発明の毛髪処理剤には、更に、(F)カルボキシビニルポリマー、およびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンから選ばれる少なくとも1種が配合されていることが好ましく、また、(C)成分としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手にとって毛髪に塗布した際の手残り感の抑えられた毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
整髪料や毛髪保護剤などの所謂毛髪処理剤には、乳液やクリームといった乳化物があり、毛髪への柔軟性の付与、毛髪の保護・補修などといった目的に応じた油性成分が適宜配合されている。このような毛髪処理剤は、一度手に取ってから毛髪に塗布することで使用できることから、例えば所望のヘアデザインを容易に作ることができるといったメリットを有している一方で、掌に残った毛髪処理剤が、べたつきやヌルヌルとした手残り感を誘発するといった問題も抱えている。
【0003】
従来から、毛髪処理剤において、塗布した毛髪のべたつき感の抑制を図る技術については、種々検討されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、被膜形成能を有するアクリル系ポリマーやアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と、油性成分などとを配合することで、塗布後の毛髪のべたつきの抑制などを可能にした毛髪処理剤(毛髪化粧料)が提案されている。
【0004】
しかしながら、このような従来の毛髪処理剤は、上記のような手残り感に関しては、必ずしも良好に抑制し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−256257号公報
【特許文献2】特開2009−286751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、手に取って毛髪に塗布した後の手残り感の抑えられた毛髪処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成し得た本発明の毛髪処理剤は、(A)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(B)アルカリ剤、(C)非イオン性界面活性剤、(D)25℃で液状の油性成分、および(E)水が配合されており、(D)成分である25℃で液状の油性成分の配合量が、2〜40質量%であることを特徴とするものである。
【0008】
なお、本明細書でいう「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルの両者を含む意味である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手に取って毛髪に塗布した後の手残り感の抑えられた毛髪処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
油性成分を含む乳化型の毛髪処理剤において、上記のような手残り感が生じる背景には様々な要因が含まれていると推測されるが、その一つとして、毛髪処理剤中における油性成分の分散状態の影響が考えられる。
【0011】
例えば、水を含む水性媒体中に油性成分を分散させた乳化物の場合、乳化作用を有する両親媒性物質である界面活性剤を用いて、その乳化状態を形成、維持することが一般的とされている。この界面活性剤は、水性成分と油性成分との界面に吸着して液晶を形成することで、油性成分を微細な油滴にして水性媒体中に分散させる。乳化物中において、この微細な油滴の粒子径が小さくなると構造粘性の寄与が大きくなるために、乳化物の粘度が大きくなることが知られているが、このような粘性の高い乳化物は物理的に掌に粘着しやすいため、手残り感を強く感じるようになる。また、微細な油滴を含む乳化物では、油滴が安定に分散していることから、毛髪への塗布時に、油性成分を乳化物から良好に放出させて毛髪に付着させることが難しく、油性成分が掌に残りやすいため、これが手残り感を強くしていると考えられる。
【0012】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体と、(B)アルカリ剤と、(C)非イオン性界面活性剤とを組み合わせて、(E)水中に(D)25℃で液状の油性成分の油滴が分散した乳化物とすることで、上記の手残り感の問題を良好に解消できることを見出した。
【0013】
本発明の毛髪処理剤では、(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体が、(B)成分であるアルカリ剤によって中和されることで、(D)成分である油性成分の油滴を取り込みつつ水和ゲルを形成し、この水和ゲルに取り込まれた油滴を(C)成分である非イオン性界面活性剤の作用によって(E)成分である水中に安定に分散、維持できていると考えられる。そして、上記の水和ゲルは、外力がかかることで比較的容易に油滴を放出し得ることから、毛髪処理剤を毛髪に塗布した際に、(D)成分である油性成分が容易に放出されて毛髪に付着して、掌に残った毛髪処理剤中には(D)成分である油性成分量が非常に少なくなるために、上記の手残り感が良好に抑制できると考えられる。
【0014】
また、本発明の毛髪処理剤では、界面活性剤のみで乳化物とされている従来の毛髪処理剤に比べて、毛髪の塗布時に(D)成分である油性成分が毛髪処理剤中から放出されやすく、より効率よく毛髪に付着する。そのため、本発明の毛髪処理剤によれば、(D)成分である油性成分による作用をより良好に引き出すことが可能であり、毛髪の状態をより良好に高めることができる。
【0015】
本発明の毛髪処理剤に係る(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体は、アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合体であるが、(メタ)アクリル酸アルキルに係るアルキルとしては、炭素数が10〜30のアルキルであることが好ましい。
【0016】
(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸共重合体は、後記の(B)成分であるアルカリ剤で中和されることで、親水性基の作用によって膨潤して水和ゲルを形成する。ここに後記の(D)成分である油性成分を配合することで、(A)成分の構造中の親油性基が毛髪処理剤中の水性成分と油性成分との界面に吸着し、油性成分が上記の水和ゲル内に取り込まれて、乳化状態が形成されると考えられる。
【0017】
毛髪処理剤における(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の配合量は、毛髪処理剤の乳化状態を良好に形成できるようにする観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪処理剤における(A)成分の配合量が多すぎると、塗布後の毛髪が硬くなる虞がある。よって、毛髪処理剤における(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の配合量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
(B)成分であるアルカリ剤は、上記の通り、本発明の毛髪処理剤において、(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸共重合体を中和する役割を担うものである。
【0019】
本発明の毛髪処理剤に使用し得るアルカリ剤としては、特に制限はないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどの有機アルカリ;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの無機アルカリ;が挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
毛髪処理剤における(B)成分であるアルカリ剤の配合量は、(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体が水和ゲルを良好に形成できるように中和できる程度の量とすればよい。具体的には、例えば、(B)成分の配合量を、毛髪処理剤のpHが、4.5以上になる量とすることが好ましく、6以上になる量とすることがより好ましく、また、12以下になる量とすることが好ましく、8以下になる量とすることがより好ましい。なお、毛髪処理剤のpHが低すぎる場合には、(A)成分の中和が不十分となって、乳化状態が不安定になる虞がある。他方、毛髪処理剤のpHが高すぎる場合には、毛髪処理剤が過剰のアルカリ剤を含んでいるため、処理後の毛髪がバサバサとした感触になる虞がある。
【0021】
本発明の毛髪処理剤に係る(C)成分である非イオン性界面活性剤は、(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体と、(B)成分であるアルカリ剤と、(E)成分である水とで形成された水和ゲルに取り込まれた(D)成分である25℃で液状の油性成分の油滴を、毛髪処理剤中で安定に維持する役割を担うものである。
【0022】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの非イオン性界面活性剤の中でも、構造中にポリオキシエチレン鎖を有するものであれば、毛髪に付与する感触の低下をより良好に抑えつつ、毛髪処理剤の乳化状態を安定に維持することができる。よって、上記例示の非イオン性界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0023】
毛髪処理剤における(C)成分である非イオン性界面活性剤の配合量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪処理剤における(C)成分の量が多すぎると、毛髪処理剤の乳化状態が、(A)成分および(B)成分の作用による乳化ではなく、(C)成分による乳化状態に切り替わるようになって、手残り感の抑制効果が小さくなる傾向にある。よって、毛髪処理剤における(C)成分である非イオン性界面活性剤の配合量は、3質量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の毛髪処理剤における(D)成分である25℃で液状の油性成分としては、例えば、マカデミアンナッツ油、ホホバ種子油、オリーブ油、ローズヒップ油、アボカド油、パーシック油、アーモンド種子油、コーン油、ヒマワリ種子油、ハイブリッドヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、ヤシ油、マンゴー種子油、アボカド油不ケン化物などの植物油;トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジカプリン酸プロピレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルなどの多価アルコール脂肪酸エステル;ミリスチン酸ブチル、2−エチルヘキサン酸アルキル[2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸アルキル(14,16,18)(括弧内の数値はアルキル部分の炭素数)など]、セバシン酸ジエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール−3ベンジルエーテル(ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル)、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルなどの脂肪酸エステル;グリセリンモノセチルエーテル、モノオレイルグリセリルエーテルなどのアルキルグリセリルエーテル;植物性スクワラン、スクワラン、ポリエチレンワックス、流動パラフィンなどの炭化水素;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
毛髪処理剤における(D)成分である25℃で液状の油性成分の配合量は、その使用による効果(毛髪の状態や感触を良好にしたり、毛髪を保護・補修したりする効果)をより良好に確保する観点から、2質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪処理剤における(D)成分量が多すぎると、油性感が高まって手残り感の抑制効果が小さくなる虞がある。よって、毛髪処理剤における(D)成分である25℃で液状の油性成分の配合量は、40質量%以下であり、35質量%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明の毛髪処理剤は、媒体に(E)成分である水を使用する。毛髪処理剤における(E)成分である水の配合量は、例えば、40〜90質量%であることが好ましい。
【0027】
本発明の毛髪処理剤には、上記の(A)成分から(E)成分以外の成分を配合することもできる。
【0028】
例えば、本発明の毛髪処理剤には、(F)成分として、カルボキシビニルポリマー、およびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンから選ばれる少なくとも1種を配合した場合には、上記の手残り感の抑制効果を良好に維持したままで、毛髪表面に付着した毛髪処理剤による不自然な艶や、濡れたように見える現象(以下、「濡れ感」という)を抑制することができる。
【0029】
毛髪処理剤における(F)成分であるカルボキシビニルポリマー、およびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンの配合量(カルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンのいずれか一方のみを配合する場合は、その配合量であり、両者を配合する場合は、それらの合計量。)は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、また、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
また、本発明の毛髪処理剤には、上記の(F)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば一般的な化粧品に用いられている各種の成分を添加・配合することができる。このような添加成分の一例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、湿潤剤、酸化防止剤、香料などが挙げられる。
【0031】
本発明の毛髪処理剤は、例えば、整髪料やリーブオンタイプの保護剤のように、洗い流すことなく使用される毛髪処理剤として用いられる。本発明の毛髪処理剤においては、(D)成分である25℃で液状の油性成分や、その他の添加成分の選択によって、その用途に適した構成とすることができる。
【0032】
本発明の毛髪処理剤の調製方法については、(A)成分であるアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体と、(B)成分であるアルカリ剤と、(E)成分である水とで形成される水和ゲル中に、(D)成分である25℃で液状の油性成分が良好に取り込まれ、かつ(C)成分である非イオン性界面活性剤によって、乳化状態が良好に維持されるような手順であれば特に制限はない。
【0033】
具体的な調製方法としては、例えば、以下の(1)〜(3)の順序で調製する方法が挙げられる。
【0034】
(1)(A)成分と(E)成分である水の一部とを混合する。なお、(F)成分であるカルボキシビニルポリマーやヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを配合する場合、および(A)成分から(F)成分以外に水溶性の成分を配合する場合には、これらも水に投入し、(A)成分と共に水に混合することが好ましい。
【0035】
(2)(B)成分を(E)成分である水の残りの部分に溶解してアルカリ水溶液を調製し、上記(1)で得られた混合物を攪拌しつつ、ここに、上記のアルカリ水溶液を徐々に添加する。なお、上記のアルカリ水溶液は、その濃度を10質量%程度することが好ましい。
【0036】
(3)上記(2)で得られた混合物を攪拌しつつ、ここに、(C)成分と(D)成分とを、混ざり込みの状況を確認しながら徐々に添加して、本発明の毛髪処理剤を得る。
【0037】
本発明の毛髪処理剤を使用する際には、適量を手に取り、毛髪に塗布すればよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の表1〜表6では、毛髪処理剤全体で100%となるように各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、表1〜6では、その%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0039】
実施例1
表1に示す組成の毛髪処理剤を、下記の手順で調製した。
【0040】
まず、高分子[アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(メタクリル酸アルキルは、そのアルキル部分の炭素数が10〜30)]と精製水の一部とを混合した。次に、この混合物を攪拌しつつ、ここに、残りの精製水にアルカリ剤(水酸化カリウム)を溶解させた溶液を徐々に添加した。そして、これにより得られた混合物を攪拌しつつ、ここに、油性成分[2−エチルヘキサン酸アルキル(アルキル部分の炭素数が14、16および18)]と非イオン性界面活性剤[ポリオキシエチレン(20E.O.)硬化ヒマシ油(「E.O.」はエチレンオキサイドの略であり、その前の数値はその平均付加モル数である)]とを、混ざり込みの状態を確認しながら徐々に添加して、実施例1の毛髪処理剤を得た。
【0041】
実施例2〜29および比較例1〜10
表1〜表6に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして毛髪処理剤を調製した。なお、(A)成分以外の高分子(カルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンを含む)、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、および多価アルコールを配合した毛髪処理剤を調製する際には、これらの成分は、はじめの高分子と精製水との混合の際に添加した。
【0042】
実施例および比較例の毛髪処理剤を用いて、手残り感の評価と、処理後の毛髪の濡れ感および艶の評価とを、下記方法により行った。
【0043】
評価用ウィッグ[フォンテーヌ社製「FC121(商品名)」]を複数用意した。そして、各評価用ウィッグの毛髪を、長さ約25cmに切り揃えた後、シャンプー[ミルボン社製「ディーセス(商品名)」]で1回洗浄して水洗し、ドライヤーで乾燥させた。
【0044】
(手残り感の評価)
次に、専門のパネラー5名のそれぞれが、各毛髪処理剤5gを掌に取って延ばしてから、上記の各評価用ウィッグの毛髪に塗布した後の毛髪処理剤の手残り感を、下記の評価基準に従って点数付けした。
手残り感がかなり強い ・・・2点、
手残り感がややある ・・・1点、
手残り感が殆どない ・・・0点。
【0045】
(処理後の毛髪の濡れ感の評価)
上記専門のパネラー5名のそれぞれが、手残り感の評価の際に毛髪処理剤を塗布した評価用ウィッグの毛髪の見た目の濡れ感を、下記の評価基準に従って点数付けした。
かなり濡れた感じがある ・・・2点、
やや濡れた感じがある ・・・1点、
濡れた感じが殆どない ・・・0点。
【0046】
上記専門のパネラー5名のそれぞれが、手残り感の評価の際に毛髪処理剤を塗布した評価用ウィッグの毛髪の艶を、下記の評価基準に従って点数付けした。
不自然な艶が出ている ・・・2点、
どちらかというと自然な艶 ・・・1点、
自然な艶が出ている ・・・0点。
【0047】
そして、実施例および比較例の各毛髪処理剤について、手残り感、処理後の毛髪の濡れ感、および処理後の毛髪の艶のそれぞれについて、上記専門のパネラー5名の付けた点数を合計し、以下の基準で分類して、これらの評価とした。◎および○の場合に、その評価が良好であるといえる。
0〜2点 ・・・◎、
3〜5点 ・・・○、
6〜7点 ・・・△、
8点以上 ・・・×。
【0048】
上記の各評価結果を、表1〜表6に併記する。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
表1〜表6において、精製水の欄の「計100とする」とは、毛髪処理剤を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。また、表1〜表6に記載の「ポリオキシエチレン(5.5E.O.)セチルエーテル」における「E.O.」はエチレンオキサイドの略であり、その前の数値はその平均付加モル数である。
【0056】
表1〜表6から以下のことが分かる。(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分が配合されており、かつ(D)成分の配合量が適正な実施例1〜29の毛髪処理剤は、掌に取って毛髪に塗布した後の手残り感が良好であり、掌のべたつきやヌルヌルとした感触が抑えられていた。また、上記の各成分に加えて、(F)成分も配合した実施例17〜21、25〜29の各毛髪処理剤では、処理後の毛髪の濡れ感が良好に抑えられており、かつ自然な艶を付与できている。
【0057】
これに対し、(C)成分を配合していない比較例1および比較例7の毛髪処理剤、(A)成分の代わりに他の高分子を配合した比較例2〜5の毛髪処理剤、(A)成分を配合していない比較例6の毛髪処理剤、(D)成分の配合量が多すぎる比較例8の毛髪処理剤、(D)成分に代えて25℃で固形の油性成分を用いた比較例9の毛髪処理剤、並びに(D)成分に代えて25℃でペースト状の油性成分を用いた比較例10の毛髪処理剤では、掌に取って毛髪に塗布した後の手残り感が劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、
(B)アルカリ剤、
(C)非イオン性界面活性剤、
(D)25℃で液状の油性成分、および
(E)水
が配合されており、(D)成分である25℃で液状の油性成分の配合量が、2〜40質量%であることを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
更に、(F)カルボキシビニルポリマー、およびヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンから選ばれる少なくとも1種が配合されている請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
(C)成分である非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
(C)成分である非イオン性界面活性剤の配合量が、0.5〜3質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪処理剤。


【公開番号】特開2013−18735(P2013−18735A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152427(P2011−152427)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】