説明

毛髪処理用乳化組成物

【課題】毛髪表面の残留成分による不自然な手触りと化学処理によるヘアダメージを起こさず、毛髪のセット性を向上できる毛髪改質のための毛髪処理用乳化組成物及び該組成物の利用方法を提供する。
【解決手段】以下の、成分A、B、C1、およびC2を含む毛髪処理用乳化組成物;
成分A:6位に炭素数が8〜32のアシル基が置換されたL−アスコルビン酸化合物、
成分B:水中での第一酸解離定数pKa1が2〜4の無機酸又は有機酸もしくはそれらの塩、
成分C1:オクタノール/水分配係数ClogPが1〜2の芳香族アルコール及び、
成分C2:オクタノール/水分配係数ClogPが−1〜0のジオール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪処理用乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
理想のへスタイル実現は、生活者において最大の関心事である。しかも、TPOに合わせて所望のヘアスタイルへ自在にアレンジ出来ることが理想である。そのようなニーズを実現するために、ストレートやカールなど可逆的に、且つ、思い通りに形付けできるように毛髪を改質する技術が提案されている。
【0003】
毛髪は、その内部に存在する水素結合を、水・熱・整髪時の加重(テンション)を利用して組み換えることにより新たな形状を付与し、その後に水で濡らすことで再び元の形状に戻すといった、可逆的な形状付与ができる性質(セット性)を有している。しかし、特殊な美容技術を持たない一般の生活者が、自分の髪を所望のヘアスタイルへ自在にアレンジするには、生来の毛髪のもつセット性では不十分であった。そのため、生来の毛髪のセット性をより改善し自在にアレンジしやすく毛髪を改質する技術が提案されてきた。
【0004】
そのようなセット性を改善する毛髪改質技術としては、毛髪を還元及び/又は酸化等の化学処理を利用することにより改質する技術(特許文献1〜2)、毛髪内部に糖やアミノ酸や酵素を浸透させることにより改質する技術(特許文献3〜4)、皮膜形成性又は粘着性ポリマーを毛髪表面に残留付着させることにより改質する技術(特許文献5〜6)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−232791号公報
【特許文献2】特開2007−505819号公報
【特許文献3】特開2007−131581号公報
【特許文献4】特開2009−108085号公報
【特許文献5】特開2000−86463号公報
【特許文献6】特開2010−126521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術水準において、自然な髪の手触りのまま、ヘアダメージなく、毛髪のセット性を改善する毛髪改質技術は未だ見出されていない。そこで、本発明は毛髪表面の残留成分による不自然な手触りと化学処理によるヘアダメージを起こさず、毛髪のセット性を向上できる毛髪改質のための毛髪処理用乳化組成物及び該組成物の利用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の、成分A、B、C1、およびC2を含む毛髪処理用乳化組成物:
成分A:6位に炭素数が8〜32のアシル基が置換されたL−アスコルビン酸化合物、
成分B:水中での第一酸解離定数pKa1が2〜4の無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩、
成分C1:オクタノール/水分配係数ClogPが1〜2の芳香族アルコール、及び
成分C2:オクタノール/水分配係数ClogPが−1〜0のジオールに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による毛髪処理用乳化組成物を用いて毛髪内部を改質することによって、毛髪表面の残留成分による不自然な手触り及び化学処理によるヘアダメージを起こさず、毛髪のセット性を向上することができる。
さらに、本発明による毛髪手入れ方法によって、特殊な美容技術を持たない一般の生活者であっても、自分の髪を自在に所望のヘアスタイルへアレンジできる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0010】
本発明は、以下の、成分A、B、C1、およびC2を含む毛髪処理用乳化組成物;
成分A:6位に炭素数が8〜32のアシル基が置換されたL−アスコルビン酸化合物、
成分B:水中での第一酸解離定数pKa1が2〜4の無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩、
成分C1:オクタノール/水分配係数ClogPが1〜2の芳香族アルコール、及び
成分C2:オクタノール/水分配係数ClogPが−1〜0のジオールである。
以下、各成分について詳しく説明する。
【0011】
本発明の成分Aは、6位に炭素数が8〜32のアシル基が置換したL−アスコルビン酸化合物であり、具体的には、6−カプリル酸アスコルビル、6−カプリン酸アスコルビル、6−ラウリン酸アスコルビル、6−パルミチン酸アスコルビル、6−ステアリン酸アスコルビル、6−オレイン酸アスコルビル、6−リノール酸アスコルビル、6−リノレン酸アスコルビル、6−アラキジン酸アスコルビル、6−ベヘン酸アスコルビル、6−リグノセリン酸アスコルビル、6-ヘキサコサン酸アスコルビル、6-オクタコサン酸アスコルビル、6-トリアコンタン酸アスコルビル、6-ドトリアコンタン酸アスコルビルが挙げられる。
【0012】
毛髪のセット性の改善効果や毛髪処理用乳化組成物への配合適合性(乳化構造の安定性・組成物の経時の着色性)の観点から6−パルミチン酸アスコルビル、6−ステアリン酸アスコルビル、6−アラキジン酸アスコルビル、6−ベヘン酸アスコルビル、6−リグノセリン酸アスコルビル、6-ヘキサコサン酸アスコルビル、6-オクタコサン酸アスコルビル、6-トリアコンタン酸アスコルビル、6-ドトリアコンタン酸アスコルビルが好ましく、炭素数22〜26のアシル基が置換したL−アスコルビン酸化合物がより好ましい。具体的には6−ベヘン酸アスコルビル、6−リグノセリン酸アスコルビル、6-ヘキサコサン酸アスコルビルが挙げられる。
【0013】
また、成分Aは、毛髪のセット性の改善効果および該組成物の安定性の観点から、単独、2種以上を混合して該組成物に使用してもよく、該組成物中に好ましくは、0.01〜5.0質量%、更に好ましくは0.03〜4.0質量%、一層好ましくは0.05〜3.0質量%配合される。
【0014】
本発明の成分Bは、水中での第一酸解離定数pKaが2.0〜4.0の無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩であり、具体的には、無機酸としてリン酸(pKa=2.12)、有機酸として、グリコール酸(3.88)、乳酸(3.86)、リンゴ酸(3.46)、酒石酸(3.04)、クエン酸(3.15)が挙げられる。毛髪のセット性の改善効果、改質後の髪の手触りおよび該組成物の安定性の観点から、好ましくは、リン酸(塩)又はpKaが3.3〜3.9の有機酸もしくはそれらの塩であり、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸もしくはそれらの塩がより好ましい。
【0015】
また、本発明の成分Bの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモウム塩、有機アミン化合物の塩が挙げられる。
また、成分Bは、毛髪のセット性の改善効果および毛髪処理用乳化組成物の安定性の観点から、単独、2種以上を混合して該組成物に使用してもよく、該組成物中に好ましくは、0.01〜5.0質量%、更に好ましくは0.03〜4.0質量%、一層好ましくは0.05〜3.0質量%配合される。
【0016】
本発明の成分C1は、オクタノール/水分配係数ClogPが1〜2の芳香族アルコールを用いる。ここで、ClogPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度である、下式で定義されるオクタノール−水−分配係数(logP)の計算値をいい、ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその例が記載されている。
【0017】
logP=log([物質]オクタノール/[物質]
【0018】
〔上記式中、[物質]オクタノールは1−オクタノール相中の物質モル濃度を、[物質]は水相中の物質のモル濃度を示す。〕
【0019】
具体的には、成分Aの毛髪への浸透性に基づく毛髪のセット性の改善効果の観点から、ClogPが1〜2の芳香族アルコールとして、ベンジルアルコール(ClogP=1.1)、フェノキシエタノール(1.2)、2−ベンジルオキシエタノール(1.2)が用いられる。
【0020】
一方、成分C2は、毛髪処理用乳化組成物中での成分A及びClogPが1〜2の芳香族アルコールの分散性に基づく毛髪のセット性の改善効果の観点から、ClogPが−1〜0のジオールとしてプロピレングルコール(−0.92)、ジプロピレングルコール(−0.69)、1,3−ブタンジオール(−0.29)が用いられる。
【0021】
成分C1の芳香族アルコール及び成分C2のジオールは、毛髪のセット性の改善効果および毛髪処理用乳化組成物の安定性の観点から、それぞれを単独、2種以上を混合して該組成物に使用してもよい。上述の2つの観点から、ベンジルアルコールとジプロピレングルコール、ベンジルアルコールと1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコールとプロピレングルコールのいずれかの組み合わせで使用することがより好ましい。
【0022】
成分C1については、該組成物中に好ましくは、0.05〜5.0質量%、更に好ましくは0.1〜4.0質量%、一層好ましくは0.2〜3.0質量%、成分C2については、該組成物中に好ましくは、0.1〜10.0質量%、更に好ましくは0.2〜7.5質量%、一層好ましくは0.3〜5.0質量%配合される。
成分C1とC2の含有量比(C1/C2、質量比)は、各成分の働きを助長する観点から、好ましくは1/1〜1/20であり、より好ましくは1/1.5〜1/16である。
【0023】
本発明では、成分Aである特定のL−アスコルビン酸化合物と、成分Bである特定の無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩、特定の分配係数を示す芳香族アルコール、および成分C1の芳香族アルコールとは分配係数の異なる特定のジオールとを組み合わせて用いることで、これら成分の相乗効果によりセット性が改善される。
【0024】
ここで、成分Aは、毛髪と相互作用してセット性の向上を高め、成分Bは、成分Aと毛髪との相互作用を強化し、成分C1及びC2は、浸透部位の選択性を向上させる効果が考えられ、これら成分の組成により本発明のすぐれた効果が認められた。
【0025】
更に、本発明では、毛髪処理用乳化組成物中での成分Aの分散性に基づく毛髪のセット性の改善効果の観点から成分Dとして、エーテルアミン、アミドアミン、4級アンモノウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上のカチオン性界面活性剤を毛髪処理用乳化組成物に使用してもよい。
【0026】
エーテルアミンは、下記一般式(1)で表される。
【0027】
【化1】

【0028】
〔式(1)中、R1は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2及びR3は、同一又は異なる炭素数1〜6のアルキル基又は基−(AO)mH(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、mは1〜6の数を示し、m個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。〕
【0029】
本発明のエーテルアミンとして好ましい具体例は、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンが挙げられる。
【0030】
アミドアミンは、下記一般式(2)で表される。
【0031】
【化2】

【0032】
〔式(2)中、R4は炭素数17〜21の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、2個のR5は同一の炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。〕
【0033】
本発明のアミドアミンとして好ましい具体例は、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等が挙げられ、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等がより好ましい。
【0034】
第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3)で表される。
【0035】
【化3】

【0036】
〔式中、R6は炭素数12〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、X-は陰イオンを示す。〕
【0037】
本発明の第4級アンモニウム塩として好ましい具体例は、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、アラキルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられ、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩がより好ましい。また、陰イオンX-としては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等の無機・有機陰イオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンが更に好ましい。
【0038】
本発明では、更に成分Eとして、炭素数が12〜24の脂肪族アルコールを使用してもよい。本発明の脂肪族アルコールとして好ましい具体例は、直鎖及び分岐鎖、また飽和及び不飽和のいずれの脂肪族アルコールでもよく、炭素数は14〜22であるものが好ましく、更には炭素数16〜22であるものが好ましい。具体的にはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられる。これらのうち、乳化毛髪処理組成物中での成分Aの分散性に基づく毛髪のセット性の改善効果の観点からステアリルアルコール、セチルアルコール、べへニルアルコールが好ましい。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
本発明の毛髪処理用乳化組成物のpHは、水で10倍希釈した後に測定した値であり、毛髪への成分Aの浸透性及び毛髪と成分Aの相互作用強化を維持する観点から、pH2.0〜6.0が好ましく、pH2.5〜5.0がより好ましく、pH3.0〜4.0が更に好ましい。該組成物のpHは、成分Bの無機酸又は有機酸とそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン塩とを混合するか、または成分Bの無機酸又は有機酸とアルカリ剤を混合することで調製できる。
【0040】
本発明の毛髪処理用乳化組成物の形態は、液状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等を適宜選択できるが、形態に応じ希釈剤として、該組成物の安定性上の観点から水又は低級のアルコールを用いたものが好ましい。
【0041】
本発明の毛髪処理用乳化組成物を製剤するために、上述した成分以外に、通常の化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができる。このような任意の成分としては、例えば、感触向上剤、毛髪補修剤、キレート剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、保湿剤、紫外線吸収剤、香料などが挙げられる。
【0042】
本発明の毛髪処理用乳化組成物は、加熱器具で加熱しながら毛髪を手入れすることができる。
【0043】
本発明は、毛髪手入れ方法は、毛髪処理用乳化組成物を頭髪の一部又は全体に塗布する工程、その後すすぎ流す(リンスオフ)か又はすすぎ流さずそのまま(リーブオン)の状態の頭髪を加熱器具等により加温しながら整髪する工程を含む毛髪を手入れ方法である。
【0044】
なお、加熱器具による加熱温度は60℃以上100℃未満である。本発明の加熱器具として好ましい具体例は、ヘアドライヤー、ホットカーラーが挙げられる。また、通常の加熱温度が100℃以上の加熱器具においても、加熱温度を100℃未満に設定することで同様の効果が得られる。
【実施例】
【0045】
次に、実施例と比較例により本発明をさらに具体的に説明する。セット性は、毛髪の内部に存在する水素結合の組み換えに基づく、各個体が生れながら持つ形付けやすさである。このセット性が実施例及び比較例に示す組成物によって改質されることで、どの程度向上するかを調べ、本発明の効果の確認を行った。その概要は、先ず表1の配合に従い各実施例及び比較例の毛髪処理組成物を調製し、後述の毛髪処理方法とセット性評価方法・判定基準に従い、毛髪を処理し、セット性の向上効果を調べ、判定結果を表2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
<毛髪処理方法及びセット性評価方法>
(1)はじめに、日本人女性の非化学処理毛(直毛)を使い、長さ(L0)20cm、質量0.1gの評価用トレスを作成する。
(2)表1記載の各実施例及び比較例を1:2の割合で前述のトレスに塗布し、室温で15分間静置し、30秒間水ですすぎ流す。
(3)20℃、相対湿度65%の状況下で一昼夜静置する。
(4)75℃に加熱した直径26mmのカーラーに、前述のトレスを巻きつけ、10秒間保持し、その後速やかにカーラーからトレスを外す。
(5)10秒間冷却したのち、トレスを吊り下げて、その上端から下端までの長さ(L)を測定し、式1に従いウェーブ効率を決定した。ここで、今回使用した日本人女性の非化学処理毛の生来のセット性(何の処理も行わない状態でのセット性)は35%であった。
【0049】
[式1]
処理後のウェーブ効率(%)=〔L0−L〕/L0×100 (式1)
【0050】
<判定基準>
生来のセット性(35%)と前述の方法で決定する処理後のセット性から、式2に従いセット性の向上率を求めた。
セット性の向上率は、数値が高いほど好ましい。一般に、10%未満ではその向上効果が認知できにくい。
【0051】
[式2]
セット性の向上率(%)=処理後のウェーブ効率−35 (式2)
【0052】
なお、比較例1は、成分Aを含まないB〜Eの構成(ベース)であり、また、比較例2では上記ベースに、成分Aの類似骨格であるL−アスコルビン酸を添加したものである。また、以下の表3−5に記載の配合量は、全て質量%である。
【0053】
実施例3:ヘアコンディショナー
【0054】
【表3】

【0055】
*1:BRS−661C 花王(株)
*2:SH200C 東レ・ダウコーニング(株)
【0056】
実施例3に従い調整したヘアコンディショナーをシャンプー後の髪に適量馴染ませ、すすぎ流す。タオルドライ後の髪を加熱温度が75℃(ドライヤー吹き出し口での温風温度)であるドライヤーで乾かし、その後の髪のまとまり(うねりのなさ、毛流れのよさ、浮き・ハネ毛のなさ)及び手触り(パサつきのなさ、滑らかさ)を調べた結果、ヘアスタイルがしっかりとまとまり・落ち着き、しかもヘアダメージ感が抑制されていることを確認した。
【0057】
実施例4:リーブオン・トリートメント
【0058】
【表4】

【0059】
*3:シリコーンSM8704C 東レ・ダウコーニング(株)
【0060】
実施例4に従い調整したリーブオン・トリートメントを濡れ髪に適量(約3g)馴染ませたのち、ヘアドライヤーで髪を乾かしたあとの髪のまとまり(うねりのなさ、毛流れのよさ、浮き・ハネ毛のなさ)及び手触り(パサつきのなさ、滑らかさ)を調べた結果、ヘアスタイルがしっかりとまとまり、しかもヘアダメージ感が抑制されていることを確認した。
【0061】
実施例5:寝癖直し用ウォーター
【0062】
【表5】

【0063】
実施例5に従い調整した寝癖直し用ウォーターを寝癖部分に噴霧し馴染ませたあと、ヘアドライヤーで髪を整えた結果、簡単に寝癖が直せることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、成分A、B、C1、およびC2を含む毛髪処理用乳化組成物:
成分A:6位に炭素数が8〜32のアシル基が置換されたL−アスコルビン酸化合物、
成分B:水中での第一酸解離定数pKa1が2〜4の無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩、
成分C1:オクタノール/水分配係数ClogPが1〜2の芳香族アルコール、及び、
成分C2:オクタノール/水分配係数ClogPが−1〜0のジオール。
【請求項2】
成分Bが、リン酸もしくはpKaが3.3〜3.9の有機酸又はそれらの塩である請求項1に記載の毛髪処理用乳化組成物。
【請求項3】
成分C1が、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であり、成分C2が、プロピレングルコール、ジプロピレングルコール、1,3−ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2に記載の毛髪処理用乳化組成物。
【請求項4】
成分D:アミドアミン、エーテルアミン、4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカチオン性界面活性剤を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪処理用乳化組成物。
【請求項5】
成分E:炭素数が12乃至24の脂肪族アルコールを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の毛髪処理用乳化組成物。
【請求項6】
当該組成物のpHが2.0〜6.0である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の毛髪処理用乳化組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の毛髪処理用乳化組成物を頭髪の一部又は全体に塗布する工程、及びその後すすぎ流す(リンスオフ)かすすぎ流さずそのまま(リーブオン)の状態の頭髪を加温しながら整髪する工程を含む毛髪手入れ方法。
【請求項8】
前記加温温度が60℃以上100℃未満である請求項7に記載の毛髪手入れ方法。

【公開番号】特開2013−18721(P2013−18721A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151550(P2011−151550)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】