説明

毛髪化粧品及びその使用方法

【課題】均一な染色等を実現しながら、毛髪の艶を向上させることができる毛髪化粧品及びその使用方法を提供する。
【解決手段】本発明の毛髪化粧品は、(A)ミツロウ、及び平均分子量が6000以上の(B)ポリエチレングリコールを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物、並びに櫛付き容器を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に対し、均一な染色、脱色又は脱染(以下、「均一な染色等」とする)を実現しながら、毛髪の艶を向上させることができる毛髪化粧品及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪の表面を覆うキューティクルは、疎水性の物質を主成分として構成され、毛髪内部の領域を保護して毛髪を健康な状態に保つ役割を果たしている。ところが、毛髪は、化学的な影響、例えば染毛処理及び脱色処理、並びに物理的な影響、例えば紫外線及び熱によりダメージを受けていることが多い。ダメージを受けた毛髪は、疎水性を有するキューティクルが部分的に失われている。このようにキューティクルが失われた部位では、その周囲よりも疎水性が低下している。また、キューティクルの損失は、毛髪全体に均等に行き渡って生じる現象ではなく、特に化学的な影響及び物理的な影響を繰り返し受けた毛先付近において多く発生している。したがって、ダメージを受けた毛髪は、染毛処理又は脱色処理された場合、色調のムラが生じ易くなるという問題があった。
【0003】
また、毛髪全体のダメージの相違により、又は染毛された毛髪と染毛されていない毛髪の相違により毛髪は絡みやすくなる。ダメージを受けた毛髪に対し、櫛付き容器を用いて染毛又は脱色処理を施す場合、一度のコーミング操作で液剤を均一に塗布することは容易ではなかった。櫛付き容器を用いて、均一に液剤を塗布するためには、複数回の塗布操作、又は刷毛をさらに使用しながら塗布することが必要であり、塗布作業が煩雑であった。
【0004】
従来、例えば、特許文献1に開示される染毛・脱色剤組成物が知られている。この染毛・脱色剤組成物は、陽イオン性界面活性剤、高級アルコール、及びポリエチレングルコール等を含有する。特許文献1に開示される染毛・脱色剤組成物は、液剤の伸びを良くすることにより、塗布性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−126415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示される染毛・脱色剤組成物は、染毛又は脱色処理後の毛髪の艶が低下する場合があるという問題があった。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、特定のポリエチレングリコール及びミツロウを併用させることにより上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。本発明の目的とするところは、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物及び櫛付き容器からなる毛髪化粧品において、均一な染色等を実現しながら、毛髪の艶を向上させることができる毛髪化粧品及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の毛髪化粧品は、(A)ミツロウ、及び平均分子量が6000以上の(B)ポリエチレングリコールを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物、並びに櫛付き容器を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪化粧品において、前記(B)ポリエチレングリコールの平均分子量は、2万以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の毛髪化粧品の使用方法は、請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧品の使用方法において、前記毛髪化粧料組成物を櫛付き容器の櫛部に保持させる工程、毛髪の根元から毛先まで連続してコーミングすることにより、前記毛髪化粧料組成物を毛髪に付着させる工程からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物及び櫛付き容器からなる毛髪化粧品において、均一な染色等を実現しながら、毛髪の艶を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の櫛付き容器を示す斜視図。
【図2】(a)は実施形態の櫛付き容器の一部を示す正面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく平面図。
【図3】(a)は図2(c)の3a―3a線から見た櫛付き容器を示す正断面図、(b)は同じく図2(c)の3b−3b線から見た側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧品を具体化した第1実施形態について説明する。
毛髪化粧品は、毛髪化粧料組成物としての毛髪脱色・脱染剤及び櫛付き容器から構成される。毛髪化粧料組成物は2剤式の毛髪脱色・脱染剤として、毛髪の脱色及び脱染に使用される。また、毛髪化粧料組成物は、3剤式の脱色・脱染剤としても使用される。さらに、毛髪化粧料組成物は、1剤式の毛髪脱色剤として毛髪の脱色にも使用される。
【0012】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤における、毛髪化粧料組成物は、例えばアルカリ剤等を含有する第1剤と酸化剤等を含有する第2剤から構成される。この第1剤と第2剤とが混合された後、櫛付き容器を用いた毛髪の脱色及び脱染に使用される。
【0013】
<第1剤>
第1剤は、アルカリ剤の他に、例えば(A)ミツロウ及び(B)ポリエチレングリコールを含有する。
【0014】
(A)ミツロウは、ロウの一種であり、毛髪の艶を向上させるために配合される。また、(A)ミツロウは、(B)ポリエチレングリコールとの併用により、毛髪脱色・脱染剤の伸びを向上させて、櫛付き容器を用いた塗布性を向上させる。また、毛髪脱色・脱染剤による処理後の毛髪の均一な脱色性又は脱染性を向上させる。第1剤と第2剤が混合された混合物中における(A)ミツロウの含有量は、好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.025〜2.5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。混合物中における(A)ミツロウの含有量が0.005質量%未満では、毛髪の艶が低下する場合がある。この(A)ミツロウの含有量が5質量%を超えると、毛髪脱色・脱染剤による処理後の毛髪の均一な脱色性又は脱染性を向上させる効果が低下する場合がある。
【0015】
(B)ポリエチレングリコールは、毛髪脱色・脱染剤による処理後の毛髪の均一な脱色性又は脱染性を向上させる。また、毛髪脱色・脱染剤の伸びを向上させて、櫛付き容器を用いた塗布性を向上させる。(B)ポリエチレングリコールの平均分子量の下限は、6000、好ましくは2万、より好ましくは3万である。(B)ポリエチレングリコールの平均分子量が6000未満であると、毛髪の均一な脱色性又は脱染性が低下する。(B)ポリエチレングリコールの平均分子量の上限は、特に限定されないが、好ましくは500万である。(B)ポリエチレングリコールの平均分子量が500万を超えると製造コストの上昇を招く。尚、本実施形態においてポリエチレングリコールの平均分子量とは数平均分子量を示す。
【0016】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(B)ポリエチレングリコールの含有量は、好ましくは0.0005〜5質量%、より好ましくは0.005〜2.5質量%、さらに好ましくは0.025〜1質量%である。混合物中における(B)ポリエチレングリコールの含有量が0.0005質量%未満では、毛髪の均一な脱色性又は脱染性を向上する効果が低下する場合がある。また、櫛付き容器を用いた塗布性が低下する場合がある。この(B)ポリエチレングリコールの含有量が5質量%を超えると、櫛付き容器を用いた塗布性が低下し、毛髪の均一な脱色性又は脱染性を向上する効果が低下する場合がある。
【0017】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色性又は脱染性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及びそれらの塩が挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。有機アミンとしては、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及び2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの具体例の中でも、脱色性又は脱染性を十分に高めることができることから、アルカリ剤は、アルカノールアミン及びアンモニアから選ばれる少なくとも一種のみから構成されることが好ましい。
【0018】
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤のpHが8〜12の範囲となる量である。第1剤のpHが8未満では、第1剤が第2剤と混合されたときに、第2剤に酸化剤の作用が十分に促進されないおそれがある。第1剤のpHが12を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
【0019】
第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水、水溶性高分子化合物、上記以外の油性成分、上記以外の多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤を含有してもよい。
【0020】
水は、各成分の可溶化剤として作用する。水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。非イオン性の合成高分子化合物として、例えばヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0021】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、好ましくは油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0022】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばキャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0023】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0024】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0025】
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらの油性成分の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0026】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、上記以外のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0027】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として毛髪脱色・脱染剤を乳化又は可溶化し、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0029】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
【0031】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。
【0032】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0033】
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、レブリン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、及びアルギニンが挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。酸化助剤として脱色力及び脱染力を得るために配合してもよい。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0034】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。第1剤の剤型が固体状の場合、添加剤として、さらに分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、タルク、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、及びデンプンを配合してもよい。
【0035】
<第2剤>
第2剤は、酸化剤を含有する。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色する。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0036】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される、アルカリ剤以外の成分を適宜含有してもよい。
【0037】
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状(酸化剤が常温で液体の場合は除く)、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば乳化液が挙げられる。
【0038】
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤における、毛髪化粧料組成物は、例えばアルカリ剤を含有する第1剤、酸化剤を含有する第2剤、並びにアルカリ剤及び酸化剤以外の成分を含有する第3剤から構成される。この第1剤〜第3剤は、全て混合された後、櫛付き容器を用いて毛髪の脱色又は脱染に使用される。
【0039】
第1剤としては、2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤から(A)及び(B)成分が除かれた薬剤が挙げられる。第2剤の具体的な構成は、2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第2剤と同じである。第3剤としては、前述した2剤式の脱色・脱染剤における粉末状又はクリーム状を有する第1剤が挙げられる。3剤式の毛髪脱色・脱染剤と構成することにより、配合成分の保存安定性を向上させることができる。
【0040】
<1剤式の毛髪脱色剤>
1剤式の毛髪脱色剤では、毛髪化粧料組成物としての毛髪脱色剤が櫛付き容器、例えばアプリケータ容器に充填されている。この毛髪脱色剤は、使用直前に溶剤と混合され、アプリケータ容器から吐出されて毛髪の脱色に使用される。毛髪脱色剤は、(A)ミツロウ及び平均分子量が6000以上である(B)ポリエチレングリコールを含有し、好ましくはアルカリ剤、及び酸化剤を含有する。1剤式の毛髪脱色剤は、粉末状の剤型として構成されるため、アルカリ剤及び酸化剤は、好ましくは粉末状の酸化剤が用いられる。1剤式の毛髪脱色剤は、毛髪脱色剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。
【0041】
<櫛付き容器>
櫛付き容器は、公知のものを適用することができる。例えば、内容物を充填する容器本体と、その容器本体に連結されるとともに同容器本体内の内容物を吐出する櫛部とを備えたアプリケータ容器を用いることができる。こうしたアプリケータ容器を用いることにより、容器本体内における混合物の調製と、櫛部による混合物の毛髪への塗布操作を容易に行うことができる。容器本体としては、例えば、可撓性を有する合成樹脂から構成され、押圧することにより内容物を吐出させるタイプ、並びに金属から構成され、噴射剤、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、及び窒素ガスによって容器本体内の内容物を吐出させるタイプが挙げられる。櫛部は、公知の形状及び材質を適宜採用することができる。
【0042】
次に、櫛付き容器の一実施形態を図1〜3に従って説明する。
櫛付き容器11は、可撓性を有する合成樹脂によって有底円筒状に形成された容器本体12と、その容器本体12の上部開口部に嵌合される合成樹脂製の蓋体13とから構成されている(図1)。また、この容器本体12内には、毛髪化粧料組成物としての毛髪脱色・脱染剤が収容されるようになっている。
【0043】
また、容器本体12の上部開口部を構成する開口筒15は、容器本体12の上端部を縮径することによって円筒状に形成され、その外周面には雄ネジ部16が設けられている(図3(a)(b))。
【0044】
蓋体13の下部には、ほぼ円筒状に形成された嵌合筒17が配設されている。この嵌合筒17の内周面には、前記開口筒15の雄ネジ部16と螺合するための雌ネジ部18が設けられている(図3(a)(b))。
【0045】
嵌合筒17の上方には首部20が設けられ、その首部20の上方には複数の櫛歯21から構成された櫛部22が設けられている(図1)。首部20の内側は中空に形成され、容器本体12内の毛髪脱色・脱染剤を櫛部22に供給するための供給空間25が設けられている(図3(a)(b))。
【0046】
櫛部22は、略三角板状に形成された10枚の櫛歯21から構成され、これら各櫛歯21は首部20の上面から上方に突設されている(図2)。各櫛歯21は櫛部22の長さ方向に対し、平行に同一の間隔をおいて一列に並んで配設されている(図2)。
【0047】
この隣接する櫛歯21間の間隔は、特に限定されないが、毛髪脱色・脱染剤の伸びを良好にして、頭髪へのなじみを良くすることにより、スムーズなコーミング操作を実現する観点から、好ましくは3.0〜5.0mm、より好ましくは3.5〜4.5mm、さらに好ましくは3.7〜4.3mmである。この櫛歯21間の間隔が3.0mm未満の場合、特に損傷を受けた毛髪では櫛歯21と頭髪とが絡まりやすくなり、スムーズなコーミング操作ができない場合がある。一方、櫛歯21間の間隔が5.0mmを越える場合、毛髪脱色・脱染剤を頭髪になじませることが困難となり、均一な脱色性又は脱染性を実現することができない場合がある。
【0048】
各櫛歯21の先端部には、円孔状の吐出孔27が櫛歯21に対し垂直方向に穿設されている(図1,図3(a))。櫛部22の中央に位置する6枚の櫛歯21の内部には、円孔状の供給孔28が前記供給空間25から吐出孔27にかけて上下方向に延びるように穿設され、供給空間25から吐出孔27に至る毛髪脱色・脱染剤の供給路を形成している(図3(a))。
【0049】
毛髪脱色・脱染剤の使用時には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製され、必要量の混合物が櫛付き容器11の容器本体12内に充填される。または、第1剤及び第2剤がそれぞれ容器本体12内に充填され、容器本体12内で混合されることにより混合物が調製される。次に、容器本体12を押圧し、混合物を吐出孔27から吐出させ、混合物が櫛歯21間に保持される。最後に、毛髪の根元から毛先まで連続してコーミングすることにより、毛髪脱色・脱染剤を毛髪に付着及び塗布させる。
【0050】
本実施形態に係る毛髪化粧品は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る毛髪化粧品は、毛髪脱色・脱染剤及び櫛付き容器から構成される。毛髪脱色・脱染剤は、(A)ミツロウ、平均分子量が6000以上である(B)ポリエチレングリコール、アルカリ剤、及び酸化剤を含有する。したがって、毛髪脱色・脱染剤の伸びを良くすることができ、櫛付き容器を用いた毛髪脱色・脱染処理において、毛髪に対するコーミングのすべりを向上させることができる。それにより、ダメージを受けた絡みやすい毛髪に対しても、スムーズにコーミングすることができる。よって、櫛付き容器を用いた毛髪脱色・脱染処理において、均一な脱色性又は脱染性を実現することができる。また、脱色又は脱染処理後の毛髪の艶を向上させることができる。
【0051】
(2)好ましくは、(B)ポリエチレングリコールの平均分子量は、2万以上である。この場合、毛髪の均一な脱色性又は脱染性をより向上させることができる。
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
【0052】
・前記実施形態の毛髪脱色・脱染剤では、(A)ミツロウ及び平均分子量が6000以上である(B)ポリエチレングリコールが、使用時において、混合物中に含有されていれば、本発明の効果を奏することができる。したがって、毛髪脱色・脱染剤が複数剤型として構成される場合、保存時において、(A)及び(B)成分はいずれの剤中に含有されてもよい。
【0053】
・前記実施形態において、櫛歯21は、容器本体12の長手方向に対し、垂直方向に配列させた。しかしながら、櫛歯21は、容器本体12の長手方向に対し、平行に配列させてもよい。
【0054】
・前記実施形態において、櫛歯21の形状は、特に限定されず、その他、例えば四角板状、台形板状、及び円柱状を採用することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧品を具体化した第2実施形態について説明する。
【0055】
毛髪化粧品は、毛髪化粧料組成物としての染毛剤及び櫛付き容器から構成される。毛髪化粧料組成物は、染毛剤として毛髪の染毛に使用される。また、毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤とから構成される2剤式の毛髪化粧料である。
【0056】
第1剤は、例えば(A)ミツロウ、平均分子量が6000以上である(B)ポリエチレングリコール、アルカリ剤、及び酸化染料を配合する。
酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0057】
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0058】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0059】
染毛剤における第2剤は、第1剤と混合された後、毛髪の染色に使用される。第2剤の具体的な構成は、第1実施形態に係る第2剤と同じである。
第1剤及び第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。染毛剤の使用時には、まず第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製され、次に櫛付き容器を用いて混合物は毛髪に塗布される。櫛付き容器の具体的構成は、第1実施形態に係る櫛付き容器と同じである。具体的には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製され、必要量の混合物が櫛付き容器11の容器本体12内に充填される。または、第1剤及び第2剤がそれぞれ容器本体12内に充填され、容器本体12内で混合されることにより混合物が調製される。次に、容器本体12を押圧し、混合物を吐出孔27から吐出させ、混合物が櫛歯21間に保持される。次に、毛髪の根元から毛先まで連続してコーミングすることにより、染毛剤を毛髪に付着・塗布させる。
【0060】
本実施形態に係る毛髪化粧品は第1実施形態の効果に加えて以下の利点を有する。
(3)本実施形態に係る毛髪化粧品は、染毛剤及び櫛付き容器から構成される。染毛剤は、(A)ミツロウ、平均分子量が6000以上である(B)ポリエチレングリコール、アルカリ剤、及び酸化染料を含有する第1剤、並びに酸化剤を含有する第2剤とから構成される。したがって、染毛剤の伸びを良くすることができ、櫛付き容器を用いた染毛処理において、毛髪に対するコーミングのすべりを向上させることができる。また、ダメージを受け、絡みやすい毛髪に対しても、スムーズに塗布することができる。よって、櫛付き容器を用いた染毛操作によって、優れた均染性を実現することができる。また、染毛処理後の毛髪の艶を向上させることができる。
【0061】
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・第2実施形態の染毛剤について、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤と同様に1剤式又は3剤式の染毛剤として適用してもよい。また、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤及び第2実施形態の染毛剤について、3剤式以上に構成されていてもよい。
【実施例】
【0062】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
表1,2に示す各成分を含有する染毛剤の第1剤、及び表3に示す各成分を含有する第2剤を調製した。表1〜3における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して染毛剤を調製した。得られた染毛剤を図1に示される櫛付き容器11の容器本体12内に充填した。櫛歯21の吐出孔27から染毛剤を吐出させ、黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束という。)に塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流した後、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い毛髪の艶及び均染性の評価を行った。また、櫛付き容器11を用いて、染毛剤を毛束に塗布する際の塗布性について評価した。
【0063】
表中「成分」欄におけるA,Bの表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中「成分」欄におけるa,bの表記は、各比較例における本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。
【0064】
<毛髪の艶>
未処理の毛束と、染毛処理した毛束とをパネラーが標準光源下で目視にて、毛髪の艶を比較し、染毛処理毛束の艶が良いか否か評価した。「優れる:5」は、パネラー10人中「良い」と答えた人が9人以上であることを示し、「良好:4」は、パネラー10人中「良い」と答えた人が7〜8人であることを示し、「可:3」は、パネラー10人中「良い」と答えた人が5〜6人であることを示し、「やや不良:2」は、パネラー10人中「良い」と答えた人が3〜4人であることを示し、「不良:1」は、パネラー10人中「良い」と答えた人が2人以下であることを示す。結果を各表に示す。
【0065】
<均染性>
10名のパネラーが染毛剤処理後の毛束の色調の均一性を標準光源下で目視にて観察し、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を各表に示す。
【0066】
<塗布性>
パネラー20名が、櫛付き容器11を用いて、染毛剤を毛束に塗布する際の染毛剤の塗布性について評価した。塗布性は、染毛剤を毛束に塗布する際、染毛剤の伸びが良く、スムーズにコーミングすることができる場合を良いと判断した。パネラー20人中「良い」と答えた人が17人以上を評価5、パネラー20人中「良い」と答えた人が13〜16人を評価4、パネラー20人中「良い」と答えた人が9〜12人を評価3、パネラー20人中「良い」と答えた人が5〜8人を評価2、パネラー20人中「良い」と答えた人が2〜4人を評価1、パネラー20人中「良い」と答えた人が0〜1人を評価0とした。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

各表に示されるように、各実施例に係る染毛剤は、全ての評価項目における評価が3以上であることが分かった。
【0070】
染毛剤中において(A)ミツロウを含有しない比較例1及び(A)ミツロウの代わりに水添ホホバ油を含有する比較例2は、各実施例に対し、特に毛髪の艶の評価が低いことが分かった。
【0071】
染毛剤中において(B)ポリエチレングリコールを含有しない比較例3及び分子量4000のポリエチレングリコールを含有する比較例4は、各実施例に対し、特に櫛付き容器11を用いた塗布性、及び均染性の評価が低いことが分かった。
【0072】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記(A)ミツロウは、0.005〜5質量%含有する前記毛髪化粧品。(b)前記(B)ポリエチレングリコールは、0.0005〜5質量%含有する前記毛髪化粧品。
【符号の説明】
【0073】
11…櫛付き容器、12…容器本体、21…櫛歯、22…櫛部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ミツロウ、及び平均分子量が6000以上の(B)ポリエチレングリコールを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物、並びに櫛付き容器を備えていることを特徴とする毛髪化粧品。
【請求項2】
前記(B)ポリエチレングリコールの平均分子量は、2万以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧品の使用方法において、
前記毛髪化粧料組成物を櫛付き容器の櫛部に保持させる工程、
毛髪の根元から毛先まで連続してコーミングすることにより、前記毛髪化粧料組成物を毛髪に付着させる工程からなる毛髪化粧品の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−275282(P2010−275282A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132588(P2009−132588)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】