説明

毛髪化粧品

【課題】 毛髪化粧品において、毛髪脱色剤又は染毛剤をノンエアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出させて脱色ムラあるいは染色ムラを防止し、かつ十分な脱色力あるいは染毛力を得る。
【解決手段】 本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤が含有される2剤式毛髪化粧料、および第1剤と第2剤の混合剤を泡状に吐出するフォーマー容器からなる毛髪化粧品である。また、本発明の別の態様は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料と、第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するフォーマー容器とからなる毛髪化粧品であって、混合液中に界面活性剤を0.1〜10重量%含有し、混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sである毛髪化粧品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の混合液を泡状に吐出する毛髪化粧品、及び該毛髪化粧品を使用する毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤、染毛剤といった毛髪化粧料としては、液状又はクリーム状のものが普及しているが、これらを毛髪にムラなく塗布するのは難しい。特に、毛髪内側の根元部分や後頭部の塗布にはブロッキングや合わせ鏡等のスキルが必要とされ、多くの時間も要する。
【0003】
これに対し、剤を泡状に吐出することで、染毛操作を簡便化することが提案されている。例えば、2剤式染毛剤を2つのエアゾール缶を連結したタイプの吐出容器から同時に泡状に吐出させるもの(特許文献1参照)や、1剤式毛髪脱色剤を、ポンプフォーマー等のフォーマー容器に充填して泡状に吐出させるノンエアゾールタイプもの(特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−287534号公報
【特許文献2】特開平9−227347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2つのエアゾール缶を連結したタイプの吐出容器を用いるものは、第1剤と第2剤をそれぞれ独立したエアゾール缶から吐出させるので、剤の混合ムラが発生し易く、脱色ムラや染めムラが生じる場合がある。また、エアゾールタイプの吐出容器では、金属製の耐圧容器やマウンテンカップが使用されるため、それらが毛髪脱色剤又は染毛剤に含まれる過酸化水素により酸化されて腐食したり、過酸化水素の分解により耐圧容器の内圧が過度に上昇するという危険性がある。
【0006】
一方、1剤式毛髪脱色剤をフォーマー容器に充填したものは、過酸化水素を活性化せずに毛髪に塗布するものであり、一度の施術で得られる効果に乏しく、十分な明るさに脱色するためには、剤を塗布した後に長時間放置すること(朝塗布して夜洗い流すなど)、そして、数回の施術を繰り返すことが必要となり煩雑である。このため、放置時間中の髪のべたつき等も問題となる。
【0007】
これらに対し、本発明は、毛髪化粧品において、毛髪脱色剤又は染毛剤をノンエアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出させることにより脱色ムラあるいは染色ムラを防止し、かつ十分な脱色力あるいは染毛力を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤が含有される2剤式毛髪化粧料、および第1剤と第2剤の混合剤を泡状に吐出するフォーマー容器からなる毛髪化粧品を提供する。また、本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料と、第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するフォーマー容器とからなる毛髪化粧品であって、混合液中に界面活性剤を0.1〜10重量%含有し、混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sである毛髪化粧品を提供する。
【0009】
特に、第1剤に染料が含有されず、この毛髪化粧品が毛髪の脱色に用いられる態様と、第1剤に酸化染料又は直接染料が含有され、この毛髪化粧品が染毛に用いられる態様を提供する。
【0010】
また、本発明は、上述の毛髪化粧品の第1剤と第2剤の混合液をフォーマー容器から泡状に吐出し、毛髪に塗布した後、3〜60分放置し、洗い流す毛髪処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
この毛髪化粧品によれば、第1剤がアルカリ剤を含有するので脱色力あるいは染色力に優れ、短時間で所期の脱色あるいは染色の効果を得ることができる。
【0012】
また、フォーマー容器を用いて第1剤と第2剤を予め混合してから吐出するので、第1剤と第2剤の混合ムラが生じない。また、フォーマー容器を用いて気液混合により泡状に吐出された混合液は、毛髪の根元まで容易に到達するが、そこで液だまり等が生じることはなく、適度に薄く毛髪全体にいきわたる。したがって、従来の液状やクリーム状のように根元部分が極端に明るくなったり、混合液の付着量のムラによる脱色ムラあるいは染色ムラが生じることはない。よって、本発明により泡状吐出された混合液を、分け目、フェースライン等の新生部付近の毛髪に塗布することにより、新生部と既染部との色の段差を解消し、自然な仕上がりを得ることができる。また、混合液を毛髪に適度に薄く塗布することができるので、毛髪へのダメージが低減される。
【0013】
さらに、本発明によれば、フォーマー容器としてノンエアゾールタイプのものを用いるので、容器の腐食や内圧の上昇という問題も解消される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の毛髪化粧品は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤が含有される2剤式毛髪化粧料、および第1剤と第2剤の混合剤を泡状に吐出するフォーマー容器からなる毛髪化粧品である。また、本発明の毛髪化粧品は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するフォーマー容器からなるものであり、混合液中に界面活性剤を0.1〜10重量%含有し、混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sのものである。
【0015】
ここで、第1剤が含有するアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0016】
アルカリ剤の濃度は、第1剤と第2剤の混合液におけるpHが、8〜11、好ましくは9〜11となるように、適宜定められる。
【0017】
一方、第2剤は過酸化水素を含有する。第2剤の過酸化水素濃度は、好ましくは1〜9重量%、より好ましくは3〜6重量%であり、第1剤と第2剤の混合液中では、好ましくは1〜6重量%、より好ましくは2〜5重量%である。また、第2剤のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、好ましくはpH2〜6、より好ましくはpH2.5〜4とする。
【0018】
第1剤と第2剤の混合液は、必須成分として水をバランス量で含有する。
【0019】
界面活性剤は、フォーマー容器の泡吐出手段において、空気と毛髪化粧料を混合して容易に泡が形成されるようにし、且つその泡を安定化させるために、第1剤又は第2剤に含有される。また、第1剤が酸化染料又は直接染料を含有する場合には、これらの可溶化剤としての役割も有する。界面活性剤としては、公知の界面活性剤を使用することができる。例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤等を単独もしくは混合して使用することができる。
【0020】
酸化染料又は直接染料の可溶化のために、主に第1剤に含有される界面活性剤としては、第1剤がアンモニアや炭酸塩を含む場合が多く、高いイオン強度を有している点に鑑み、非イオン界面活性剤を使用することが好ましい。中でも、アルキルポリグリコシド又はポリオキシエチレンアルキルエーテルをより好ましく使用することができる。特に好ましいアルキルポリグリコシドとしては、アルキル基の炭素数が10〜14であって、グルコシドの縮合度が平均で1〜2のものが挙げられる。また、特に好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜14であって、ポリオキシエチレンの重合度が10〜30のものが挙げられる。
【0021】
また、毛髪に塗布しやすい良好な泡立ちを実現するためには、界面活性剤としてアニオン界面活性剤を使用することが好ましい。アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、更にはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。また、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤と併用することが特に好ましい。アニオン界面活性剤又は両性界面活性剤は、第1剤又は第2剤に含有されるが、第1剤がアンモニアや炭酸塩を含む場合が多く、高いイオン強度を有している点に鑑み、第2剤に含有されることが好ましい。
【0022】
界面活性剤の含有量は、毛髪に塗布しやすい十分な泡立ち及び泡安定性を得るため、第1剤と第2剤の混合液中で0.1〜10重量%である。そして、脱色用の態様の好ましい含有量は0.1〜3重量%であり、より好ましくは0.5〜2.5重量%、特に好ましくは1〜2重量%である。また、染毛用の態様では、酸化染料又は直接染料を可溶化する目的も加味されるので、好ましい含有量は1〜5重量%、より好ましくは2〜4重量%である。
【0023】
本発明の毛髪化粧品は、毛髪化粧料に染料を含有させない場合には毛髪の脱色に用いることができ、酸化染料又は直接染料を含有させることにより染毛に用いることができる。染毛に用いる場合、第1剤は酸化染料又は直接染料を含有する。この酸化染料としては、例えば、パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4−アミノ−3−メチルフェノール、6−アミノ−3−メチルフェノール、オルトアミノフェノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール等の染料前駆体、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、メタアミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1−ナフトール等のカップラーが挙げられる。直接染料としては、例えば、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド12、ベーシックレッド51、ベーシックブルー99、アシッドオレンジ7等をあげることができる。
【0024】
また、本発明において、第1剤又は第2剤、好ましくは第2剤が、不揮発性親水性溶剤を比較的多量に含有することが好ましい。これにより、2剤式毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、放置している間に、その毛髪化粧料から水分が蒸発し、過酸化水素等の刺激性の成分が濃縮されることで頭皮が刺激を受けることを軽減することができる。不揮発性親水性溶剤としては、消泡作用のないものが好ましく、例えば、ポリオール類やその低級アルキルエーテル類などが挙げられる。ポリオール類としては、炭素数2〜6のものが好ましく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前述のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。中でも好ましくはポリオールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテルが挙げられ、特に好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0025】
不揮発性親水性溶剤の含有量は、頭皮刺激を低減する効果と泡質を良好なものとする点から第1剤と第2剤の混合液中に0.1〜30重量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは12〜25重量%である。
【0026】
また、本発明において、第1剤又は第2剤が高級アルコールを含有することが好ましい。高級アルコールにより泡もちが良くなり、2剤式毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、放置している間の液だれを抑制するために効果的である。高級アルコールとしては、炭素数10〜24ものが好ましく、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0027】
高級アルコールの含有量は、液だれを抑制する効果と泡質を良好なものとする点から、第1剤と第2剤の混合液中に0.1〜3重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2重量%、特に好ましくは0.3〜1.5重量%である。
【0028】
また、本発明において、第1剤又は第2剤がカチオン性ポリマーを含有することも好ましい。カチオン性ポリマーによりコンディショニング効果を毛髪に付与することができる。カチオン性ポリマーを添加する場合には、すすぎ時の感触向上のためにアニオン界面活性剤と複合体を形成させることが好ましいが、保存安定性の点からアニオン界面活性剤を含有している第2剤とは別にして、第1剤に添加しておくことが好ましい。
【0029】
カチオン性ポリマーの好ましい含有量は、第1剤と第2剤の混合液中に0.1〜3重量%であり、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0030】
ここで、カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にすすぎ時やシャンプー時の感触の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体が最も好ましい。
【0031】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体の骨格としては、次の一般式(1)又は(2)で示されるものが好ましい。
【0032】
【化1】

【0033】
式(1)及び(2)中、R1及びR2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R3及びR4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、Xは陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。
【0034】
ジアリル4級アンモニウム塩と共重合体を構成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩、アクリルアミドが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩が好ましい。アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩とジアリル4級アンモニウム塩との共重合体は、ジアリル4級アンモニウム塩の構成比率が高く、全体としてカチオン性ポリマーとなる。
【0035】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム−6、例えばマーコート100;ONDEO Nalco社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22、例えばマーコート280、同295;ONDEO Nalco社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7、例えばマーコート550;ONDEO Nalco社)等が挙げられ、なかでもマーコート280、同295が好ましい。
【0036】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、次の一般式(3)で表されるものが好ましい。


【0037】
【化2】

【0038】
式(3)中、R5は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R6、R7及びR8は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、Yは酸素原子又はイミノ基を示し、rは1〜10の整数を示し、sとtはその和が20〜8000となる数を示し、Xは前記と同じ意味を示す。
【0039】
本発明で用いられる4級化ポリビニルピロリドン誘導体の分子量としては1万〜200万、特に5万〜150万が好ましい。市販品としては、ガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社)等が挙げられる。
【0040】
カチオン化セルロース誘導体としては、例えば次の一般式(4)で表されるものが好ましい。
【0041】
【化3】



【0042】
式(4)中、Aはアンヒドログルコース単位の残基を示し、fは50〜2万の整数を示し、R9は、それぞれ次の一般式(5)で表される置換基を示す。
【0043】
【化4】

【0044】
式(5)中、R10及びR11は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、gは0〜10の整数を示し、hは0〜3の整数を示し、iは0〜10の整数を示し、R12は炭素数1〜3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を、R13、R14及びR15は同一でも異なってもよく、炭素数10までのアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、また式中の窒素原子を含む複素環を形成してもよい。Xは前記と同じ意味を示す。
【0045】
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度、すなわちアンヒドログルコース単位当りのhの平均値は、0.01〜1、特に0.02〜0.5が好ましい。また、g+iの合計は平均1〜3である。カチオン置換度は、0.01未満では十分でなく、また1を超えてもかまわないが反応収率の点より1以下が好ましい。ここで用いるカチオン化セルロース誘導体の分子量は10万〜300万が好ましい。市販品としては、レオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR−125、同JR−400、同JR−30M、同LR−400、同LR−30M(以上、ユニオンカーバイド社)等が挙げられる。その他のカチオン化セルロース誘導体としてはヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられ、市販品としてはセルコートH−100、同L−200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社)等が挙げられる。
【0046】
この他、第1剤又は第2剤は、必要に応じて、香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、フェナセチン、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール等の揮発性又は疎水性の溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコーン等のシリコーン類、保湿剤等を含有することができる。
【0047】
また、第1剤と第2剤は、その混合剤の粘度(25℃、B型回転粘度計で、ローターNo.1を用い、30rpmで1分間回転させた後の値とする。但し、粘度が160mPa・mを超える場合は、12rpmで1分間回転させた後の値とする。)が、25℃において50mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下になるように調製すると、塗布しやすい泡体積(即ち、気液混合比)を温度依存性なく実現しやすい点で好ましい。また、その混合液の粘度が、25℃において1〜300mPa・s、好ましくは10〜200mPa・s、より好ましくは30〜120mPa・sになるように調製すると、塗布しやすい泡体積を温度依存性なく実現しやすい点および混合液が毛髪に塗布されてから毛髪上で放置されている間の垂れ落ちを抑制できる点で効果的である。ここで、気液混合比は、剤の髪への馴染み易さ及び塗り易さの点から、7〜40mL/gが好ましく、15〜30mL/gがより好ましい。なお、ここでの気液混合比は次の様にして測定した値である。
【0048】
まず、25℃で吐出した泡の重量と体積を測定することにより気液混合比を求める。スクイズフォーマー容器のボトル(大和製罐社製、容積150mL、メッシュの粗さ(目開き)は混合室200メッシュ(1インチ(25.4mm)あたり200の桝目)、先端255メッシュ)に混合液を100g入れ、残量が80gの時点から、20gの泡を1000mLのメスシリンダーに吐出し、最初の吐出から1分後に泡の体積を測定する。この吐出された泡の容積(mL)を重量20gで割ることにより気液混合比(mL/g)が得られる。
【0049】
また、混合液の粘度を上記の範囲に調整することでスクイズフォーマーなどで泡を吐出する際にスクイズしやすくなり好ましい。第1剤と第2剤の混合液の粘度を上述の範囲に調整するためには、エタノール等の水溶性溶剤を添加したり、あるいは界面活性剤、ポリオール類、並びに、高級アルコールの含有量や種類を適宜調整すればよい。
【0050】
なお、第1剤及び第2剤は液状であることが好ましいが、第1剤と第2剤との混合液の粘度が、25℃において1〜300mPa・sの溶液となるのであれば、第1剤又は第2剤は粉末、顆粒、ペースト等の形状であってもよい。
【0051】
この他、脱色効果を高めるため、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を混合液中に含有させることもできる。
【0052】
本発明において、フォーマー容器は、ノンエアゾールタイプの容器であって、第1剤と第2剤の混合液を、噴射剤を使用することなく空気と混合して泡状に吐出させるために使用する。フォーマー容器の使用により、吐出させた剤の飛び散りを防止できるという効果も得られる。特に、ノンエアゾールタイプの容器は、エアゾールタイプの容器に比べて、製品を安価に製造可能であり、高圧ガスの噴射剤が不要であるため、製品を流通においてより安全に取り扱うことができる。
【0053】
フォーマー容器としては、泡吐出手段を有する公知のポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器、電動式泡立て器あるいは蓄圧式ポンプフォーマー容器等を使用することができる。より具体的には、例えば、食品と容器(vol.35,No.10,p588〜593(1994);vol.35,No.11,p624〜627(1994);vol.36,No.3,p154〜158(1995))に記載のポンプフォーマーE3タイプ、同F2タイプ(以上、大和製罐社製)、スクイズフォーマー(大和製罐社製)、電動泡立て器(松下電工製)、エアスプレーフォーマー(エアスプレーインターナショナル社製)等が挙げられる。
【0054】
フォーマー容器において、内容物に接触する部分(容器内壁,泡吐出手段内壁等)は、アルカリおよび過酸化水素により腐食せず、また、過酸化水素の分解により発生した酸素が透過する材質で構成することが好ましい。
【0055】
第1剤、第2剤及びフォーマー容器からなる本発明の毛髪化粧品の製品形態としては、第1剤又は第2剤をそれぞれフォーマー容器と別個の容器に充填し、使用時に双方の剤をフォーマー容器に移し入れ、混合するようにしてもよいが、一方の剤をフォーマー容器に充填し、他方の剤を別個の容器に充填し、使用時に、他方の剤をフォーマー容器内に移し入れるようにしてもよい。この場合、第2剤は、過酸化水素の分解によって生じる酸素のために容器内の圧力が上昇することを防止するため、ガス透過性のある容器に入れることが好ましく、一方、第1剤は、酸化染料の酸化及びアンモニアの揮発を防止するため、酸素が透過し難い容器を用いる必要がある。そこで、第2剤を、酸素透過性のある材質(例えば、ポリエチレン)から成るフォーマー容器に充填することが好ましい。
【0056】
また、本発明の毛髪化粧品の使用方法としては、フォーマー容器内で第1剤と第2剤を混合し、その容器から吐出される泡状の剤を、直接毛髪に塗布してもよく、手またはブラシなどの道具を使って毛髪に塗布してもよい。塗布後は3〜60分程度、好ましくは5〜45分程度放置し、洗い流す。その後、適宜シャンプーやリンスをした後水洗して、髪を乾かす。
【実施例】
【0057】
実施例1A〜実施例1C:毛髪脱色用化粧品
表1の配合で第1剤と第2剤を調製し、得られた第1剤と第2剤を混合比(重量比)1:1.5で、A:スクイズフォーマー(大和製罐社製)、B:ポンプフォーマー(F2タイプ、大和製罐社性)、C:電動泡立て器(アワウォッシュ、松下電工製)に入れて混合し、それぞれ吐出させた。吐出させた泡80gを毛髪全体に塗布し、30分間放置したのち、洗い流すことにより毛髪の脱色を行った。この場合の泡立ち、泡もち、頭皮への刺激、脱色ムラ、塗布性(塗りやすさ、髪へのなじみやすさ)、剤の飛び散りについて、それぞれ次の基準で評価した。結果を表2に示す。




【0058】
【表1】

【0059】
泡立ちの評価基準
◎:極めて均一できめ細かい泡
○:均一できめ細かい泡
△:不均一できめが粗い泡
×:泡になりきれず、水分が混じる
【0060】
泡もちの評価基準
◎:非常に持続性が長く、放置時まで泡が持続する
○:十分な持続性を有し、塗布後もしばらく泡が持続する
△:塗布する上で問題のない持続性を有するが、塗布した後すぐに泡が消える
×:吐出後すぐに泡が消え、塗布中に液ダレを生じることがある
【0061】
頭皮への刺激の評価基準
◎:刺激を感じない
○:ほとんど刺激を感じない
△:刺激を感じるが、耐えられないレベルではない
×:大きな刺激を感じる
【0062】
脱色ムラの評価基準
◎:脱色ムラがなく極めて均一に脱色できる
○:ほとんど脱色ラがなく均一に脱色できる
△:若干の脱色ムラがある
×:脱色ムラが大きい
【0063】
塗布性(塗りやすさ、髪へのなじみやすさ)の評価基準
◎:毛髪の上に泡を押し当てるだけで根元までしっかり剤がなじむ
○:手グシで簡単に剤を根元までなじませることができる
△:毛量の多い後頭部の根元等、場所によって剤がなじみにくい場合がある
×:なじみが悪く、根元などを塗り残す

【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果から、A、B、Cのいずれのフォーマー容器を用いた場合でも、剤の飛び散りが無く、ムラなく脱色でき、皮膚刺激も問題にならなかったことがわかる。
【0066】
また、最後の脱色から時間が経過し,新生部の黒髪とすでに脱色されている髪との色(明るさ)の段差が目立つ髪に対し、いずれのフォーマー容器を用いても、この段差を解消し、自然な仕上がりを得ることができた。
【0067】
実施例2:染毛用毛髪化粧品
表3の配合で第1剤と第2剤を調製し、得られた第1剤と第2剤を混合比(重量比)1:1.5で、Aのスクイズフォーマーに入れて混合し、泡状に吐出させた。吐出させた泡80gを毛髪全体に塗布し、30分間放置した後、洗い流すことにより染毛した。その結果、剤の飛び散りが無く、ムラなく染色でき、皮膚刺激も問題にならなかった。
【0068】
また、新生部の黒髪と既染部の髪の色との段差を解消し、自然な仕上がりを得ることができた。



















【0069】
【表3】

【0070】
実施例3、4:染毛用毛髪化粧品
表4、表5の配合で第1剤と第2剤を調製し、得られた第1剤と第2剤を混合比(重量比)1:1.5で、Aのスクイズフォーマーに入れて混合し、泡状に吐出させた。吐出させた泡80gを用いて実施例2と同様に毛髪全体を染毛した。その結果、剤の飛び散りが無く、ムラなく染色でき、皮膚刺激も問題にならなかった。
【0071】
また、新生部の黒髪と既染部の髪の色との段差を解消し、自然な仕上がりを得ることができた。















【0072】
【表4】


























【0073】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤を、ノンエアゾール式のフォーマー容器から泡状に吐出させる毛髪化粧品が提供される。この毛髪化粧品から吐出される2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の泡は、毛髪になじみ易い泡質を有し、頭皮への刺激や剤の飛び散りを生じさせることがなく、十分な脱色力あるいは染色力を有する。従って、本発明の毛髪化粧品は、均一でムラの少ない脱色仕上がり又は染毛仕上がりを実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤の少なくとも一方に界面活性剤が含有される毛髪化粧料であって、第1剤と第2剤とを使用直前に混合し、泡状に吐出して毛髪に塗布して用いる2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤から選ばれる毛髪化粧料、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するノンエアゾールタイプのフォーマー容器からなる毛髪化粧品。
【請求項2】
第1剤が、酸化染料又は直接染料を含有する請求項1記載の毛髪化粧品。
【請求項3】
混合液中に、更に不揮発性親水性溶剤を0.1〜30重量%含有する請求項1又は2記載の毛髪化粧品。
【請求項4】
不揮発性親水性溶剤が、ポリオール及びその低級アルキルエーテルから選ばれる少なくとも一種である請求項3記載の毛髪化粧品。
【請求項5】
混合液中に、更に高級アルコールを0.1〜3重量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧品。
【請求項6】
混合液中に、更にカチオン性ポリマーを0.1〜3重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧品。

【公開番号】特開2011−173922(P2011−173922A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123082(P2011−123082)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2011−85916(P2011−85916)の分割
【原出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】