説明

毛髪化粧料及び縮毛矯正剤キット

【課題】流し時及び仕上げ後の良好な感触が得られると共に、実用的な操作性を有する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】リン酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、高級アルコール、及び水を配合した毛髪化粧料。この毛髪化粧料には、酸化剤を配合しても良く、この配合後の毛髪化粧料を縮毛矯正用第2剤として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料及び縮毛矯正剤キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレートパーマの第2剤等の毛髪化粧料として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを含むものが知られている。公知の毛髪化粧料としては、特開2006−298822号公報が開示するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及び当該エステル以外のリン酸エステルを配合したものがある。また、特開2009−126795号が開示するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、当該エステル以外のリン酸エステル、及びポリエチレングリコールを配合したものがある。
【0003】
ところで、毛髪化粧料に対しては、一般的に、仕上げ後の感触、流し時の感触が良好であることが求められる。また、毛髪に素早く塗布できる操作性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−298822
【特許文献2】特開2009−126795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、流し時及び仕上げ後の良好な感触が得られると共に、実用的な操作性を有する毛髪化粧料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、毛髪化粧料の配合成分として、リン酸エステル型界面活性剤に加えて、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル及び高級アルコールを配合すれば、流し時及び仕上げ後の良好な感触が得られると共に、操作性が実用的であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明に係る毛髪化粧料は、
[A]リン酸エステル型界面活性剤、
[B]ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(以下において、「ポリオキシエチレン」を「POE」と称することがある。)、
[C]ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
[D]ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(以下において、「ポリオキシプロピレン」を「POP」と称することがある。)、
[E]高級アルコール、及び
[F]水
が配合されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る毛髪化粧料によれば、上記[A]〜[F]成分が配合されることから、流し時及び仕上げ後の良好な感触が得られると共に、操作性が実用的となる。
【0009】
上記[B]成分として、脂肪酸とソルビットのポリエチレングリコールエーテルとのエステルであって、前記ポリエチレングリコールエーテルにおけるポリエチレングリコールの平均付加モル数が30以下(この平均付加モル数は、5以上20以下が良い。)、かつ、前記ソルビットのポリエチレングリコールエーテル1モルに対する前記脂肪酸の構成モル比が3モル以上5モル以下であるものが配合されると良い。このような[B]成分が配合されると、操作性を一層向上させることができる。
【0010】
本発明に係る毛髪化粧料における上記[B]成分の配合量としては、0.2質量%以上2.0質量%以下が好ましい。当該範囲内に設定することによって、操作性がより良好になる。
【0011】
本発明に係る毛髪化粧料には、[G]酸化剤をさらに配合させても良い。この[G]成分である酸化剤を配合することによって、縮毛矯正用第2剤やパーマネントウェーブ用第2剤等として適用することができる。
【0012】
また本発明の縮毛矯正剤キットは、少なくとも還元剤を配合した縮毛矯正用第1剤と上記縮毛矯正用第2剤として用いられる本発明の毛髪化粧料とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明による毛髪化粧料によれば、毛髪に塗布した後の洗い流しにおける感触及び仕上げ後の乾燥させた毛髪の感触が、共に良好となる。また、毛髪に塗布する際の操作性が実用的であるので、毛髪に対する施術時間の短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の毛髪化粧料は、[A]リン酸エステル型界面活性剤、[B]ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(POEソルビット脂肪酸エステル)、[C]ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POEアルキルエーテル)、[D]ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(POPアルキルエーテル)、[E]高級アルコール、及び[F]水が配合されたものである。以下、これら[A]〜[F]成分について順次説明する。
【0015】
([A]成分:リン酸エステル型界面活性剤)
公知の毛髪化粧料で用いられているリン酸エステル型界面活性剤から選択した一種又は二種以上を、[A]成分として本発明の毛髪化粧料に配合できる。
【0016】
[A]成分としては、POEアルキルエーテルリン酸(モノPOEアルキルエーテルリン酸、ジPOEアルキルエーテルリン酸、トリPOEアルキルエーテルリン酸)、POEアルキルエーテルリン酸塩(モノPOEアルキルエーテルリン酸塩、ジPOEアルキルエーテルリン酸)、POEアルキルフェニルエーテルリン酸、POEアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸エステル(リン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル、リン酸トリアルキルエステル)、アルキルリン酸エステル塩(リン酸モノアルキルエステル塩、リン酸ジアルキルエステル塩)等が挙げられる。
【0017】
POEアルキルエーテルリン酸としては、例えば、POEオレイルエーテルリン酸、POEラウリルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸、POEオクチルエーテルリン酸、POEデシルエーテルリン酸が挙げられる。また、POEアルキルエーテルリン酸塩としては、POEアルキルエーテルリン酸のナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。POEアルキルエーテルリン酸及びその塩において、POE(n)における平均付加モル数nは、例えば2以上20以下であり、アルキル基単位の炭素数は、例えば10以上24以下である。
【0018】
POEアルキルエーテルリン酸の具体例を挙げれば、POE(3)オレイルエーテルリン酸、POE(8)オレイルエーテルリン酸、POE(10)オレイルエーテルリン酸、POE(4)ラウリルエーテルリン酸、POE(10)ラウリルエーテルリン酸、POE(5)セチルエーテルリン酸、POE(2)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、POE(4)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、POE(6)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、POE(8)(C12−15)アルキルエーテルリン酸、POE(10)(C12−15)アルキルエーテルリン酸である。
【0019】
POEアルキルフェニルエーテルリン酸としては、例えば、POEオレイルフェニルエーテルリン酸、POEラウリルフェニルエーテルリン酸、POEセチルフェニルエーテルリン酸、POEオクチルフェニルエーテルリン酸、POEデシルフェニルエーテルリン酸、POEエチルフェニルエーテルリン酸が挙げられる。また、POEアルキルフェニルエーテルリン酸塩としては、POEアルキルフェニルエーテルリン酸のナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。POEアルキルエーテルフェニルリン酸及びその塩において、POEの平均付加モル数は例えば2以上20以下であり、アルキル基単位の炭素数は例えば8以上30以下である。
【0020】
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸ジメチル、リン酸セチル、リン酸ジセチル、リン酸トリオレイル、リン酸トリステアリル等が挙げられる。また、リン酸エステル塩としては、リン酸エステルのナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。リン酸エステルにおけるアルキル基単位の炭素数は例えば10以上18以下である。
【0021】
[A]成分が2種以上配合される場合、アルキルリン酸エステル及び/又はその塩と、POEアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩との組合せが好適である。
【0022】
本発明の毛髪化粧料における[A]成分の配合量は、特に限定されないが、0.30質量%以上2.5質量%以下が好ましい。
【0023】
([B]成分:POEソルビット脂肪酸エステル)
公知の毛髪化粧料で用いられているPOEソルビット脂肪酸エステルから選択した一種又は二種以上を、[B]成分として本発明の毛髪化粧料に配合できる。
【0024】
[B]成分は、POEソルビットと脂肪酸とのモノ乃至ヘキサエステルである。POEの平均付加モル数を(n)としたときの[B]成分の具体例としては、モノラウリン酸POE(6)ソルビット、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(20)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(40)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(50)ソルビット、ペンタイソステアリン酸POE(20)ソルビット、ペンタイソステアリン酸POE(30)ソルビット、ペンタイソステアリン酸POE(40)ソルビット、ペンタイソステアリン酸POE(50)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット、ペンタオレイン酸(40)ソルビットが挙げられる。[B]成分において、POEの平均付加モル数は、例えば5以上40以下であり、構成脂肪酸の脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば14以上24以下である。
【0025】
[B]成分として、脂肪酸とソルビットのポリエチレングリコールエーテルとのエステルであって、そのソルビットのポリエチレングリコールエーテルにおけるポリエチレングリコールの平均付加モル数が30以下(この平均付加モル数は5以上20以下が良い。)かつ、前記ソルビットのポリエチレングリコールエーテル1モルに対する前記脂肪酸の構成モル比が3モル以上5モル以下であるものが配合されると良い。このような平均付加モル数、脂肪酸等のモル比の[B]成分が配合されれば、塗布の際に毛髪に対してなじみ易くなり、より操作性の良好なものとなる。なお、[B]成分のHLBの範囲としては、例えば7〜10である。
【0026】
[B]成分の配合量は、特に限定されない。この配合量が0.2質量%以上2.0質量%以下であると、塗布の際に毛髪に対してなじみ易くなり、操作性をより向上させることができる。
【0027】
([C]成分:POEアルキルエーテル)
公知の毛髪化粧料で用いられているPOEアルキルエーテルから選択した一種又は二種以上を、[C]成分として本発明の毛髪化粧料に配合できる。
【0028】
[C]成分としては、例えば、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE(C12−15)アルキルエーテル、POE2級アルキルエーテルが挙げられる。[C]成分において、POE(n)における平均付加モル数nは、例えば2以上60以下(5以上30以下でも良い。)であり、アルキル基単位の炭素数は、例えば10以上24以下(14以上22以下でも良い。)である。
【0029】
POEの平均付加モル数を(n)としたときの[C]成分の具体例としては、POE(2)ラウリルエーテル、POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(21)ラウリルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(2)セチルエーテル、POE(5.5)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(2)ステアリルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(21)ステアリルエーテル、POE(2)オレイルエーテル、POE(7)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(2)(C12−15)アルキルエーテル、POE(4)(C12−15)アルキルエーテル、POE(10)(C12−15)アルキルエーテル、POE(3)2級アルキルエーテル、POE(5)2級アルキルエーテル、POE(7)2級アルキルエーテル、POE(9)2級アルキルエーテル、POE(12)2級アルキルエーテルが挙げられる。
【0030】
本発明の毛髪化粧料における[C]成分の配合量は、特に限定されないが、0.2質量%以上5.0質量%以下が好ましい。このPOEアルキルエーテルの配合量を上記範囲とすることによって、当該毛髪化粧料の粘度低下を抑止することができ、操作性を良好なものにすることができる。
【0031】
([D]成分:POPアルキルエーテル)
公知の毛髪化粧料で用いられているPOPアルキルエーテルから選択した一種又は二種以上を、[D]成分として本発明の毛髪化粧料に配合できる。
【0032】
[D]成分としては、例えば、POPステアリルエーテル、POPミリスチルエーテル、POPオレイルエーテル、POPラウリルエーテル、POPラノリルエーテル、POPセチルエーテルが挙げられる。[D]成分において、POP(n)における平均付加モル数nは、例えば2以上60以下(5以上30以下でも良い。)であり、アルキル基単位の炭素数は、例えば10以上24以下(14以上20以下でも良い。)である。
【0033】
POPの平均付加モル数を(n)としたときの[D]成分の具体例としては、POP(11)ステアリルエーテル、POP(15)ステアリルエーテル、POP(3)ミリスチルエーテル、POP(4)ミリスチルエーテル、POP(10)オレイルエーテル、POP(20)オレイルエーテル、POP(23)オレイルエーテル、POP(30)オレイルエーテル、POP(4)ラウリルエーテル、POP(7)ラウリルエーテル、POP(2)ラノリルエーテル、POP(5)ラノリルエーテル、POP(10)ラノリルエーテル、POP(20)ラノリルエーテル、POP(30)ラノリルエーテル、POP(10)セチルエーテル、POP(20)セチルエーテルが挙げられる。
【0034】
本発明の毛髪化粧料における[D]成分の配合量は、特に限定されないが、0.2質量%以上2.5質量%以下が良く、0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましい。このPOPアルキルエーテルの配合量を上記範囲とすることによって、操作性を良好なものにすることができる。
【0035】
([E]成分:高級アルコール)
公知の毛髪化粧料で用いられている高級アルコールから選択した一種又は二種以上を、[E]成分として本発明の毛髪化粧料に配合できる。
【0036】
[E]成分は、直鎖又は分岐の不飽和又は飽和の一価アルコールであって炭素数6以上のものである(炭素数は、12以上22以下が良く、14以上20以下が好ましい。)。[E]成分としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノールが挙げられる。
【0037】
[E]成分は、本発明の毛髪化粧料の粘度調整剤としても機能する。よって、毛髪化粧料における[E]成分の配合量は、毛髪化粧料に求められる粘度に応じて調節すればよいが、通常0.1質量%以上10質量%以下である。
【0038】
([F]成分:水)
本発明の毛髪化粧料は、通常、水中油型の乳化物となっており、[F]成分である水を主たる分散媒とする(本発明の毛髪化粧料における[F]成分の配合量は、例えば60質量%以上98質量%以下である。)。用いられる水の種類は、このような水中油型乳化物を形成することが可能である限り特に限定されるものではないが、イオン交換水、蒸留水などの精製水を好ましく用いることができる。
【0039】
([G]成分:酸化剤)
公知の毛髪化粧料で用いられている酸化剤から選択した一種又は二種以上を、[G]成分として本発明の毛髪化粧料に任意配合できる。
【0040】
[G]成分は、当該成分を配合した本発明の毛髪化粧料を2剤式パーマの第2剤として用いた場合等には、毛髪内のジスルフィド結合を再結合させる効果を有する。具体的な酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸ナトリウムが挙げられる。過酸化水素を[G]成分に採用した場合、本発明の毛髪化粧料における過酸化水素の配合量は、当該毛髪化粧料を2剤式パーマの第2剤として用いるときには、例えば1.0質量%以上2.5質量%以下であり、その毛髪化粧料を毛髪脱色剤として用いるときには、例えば、2.0質量%以上6.0質量%以下である。
【0041】
なお、[G]成分として過酸化水素を配合する場合、過酸化水素が水素と酸素に分解することを防止するために本発明の毛髪化粧料のpHを酸性域に設定することが好ましい。具体的には、そのpHの下限としては2.0が好ましく、2.5がより好ましい。一方、pHの上限は7.0が好ましく、4.5がより好ましい。
【0042】
毛髪化粧料のpHを前記のように調整する場合、必要に応じてpH調整剤を使用する。pH調整剤としては、化粧料に一般に利用されている各種の無機酸や有機酸を用いる。具体例としては、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、レブリン酸、シュウ酸、マレイン酸等の有機酸;が挙げられる。また、過酸化水素の安定剤としての機能を有するヒドロキシエタンジホスホン酸もpH調整剤として使用できる。
【0043】
更に、前記の酸とその塩とを組み合わせて使用することが好ましい。このように酸とその塩とを組み合わせて使用することで緩衝能を持たせ、より安定したpH域の組成物になるため、毛髪化粧料中の過酸化水素の安定性を更に向上させることができる。
【0044】
また本発明の毛髪化粧料では、過酸化水素の安定性を高めるために前記ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、フェノキシエタノール、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、サリチル酸及びその塩等の安定剤を配合することも好ましい。毛髪化粧料中の前記安定剤の配合量は、過酸化水素濃度や各種配合成分に応じて適宜調節すればよいが、0.05〜1.0質量%が好ましい。
【0045】
本発明の毛髪化粧料の粘度は、4000mPa・s以上25000mPa・s以下であることが好ましく、7000mPa・s以上15000mPa・s以下であることがより好ましい。4000mPa・s未満であると液垂れにより塗布性が劣り、25000mPa・sを超えると容器から出しにくくなるとともに毛髪へ塗り広げにくいものとなる。ここで、前記粘度は、B型回転粘度計を用い、25℃、12rpmの条件における測定開始後60秒後の測定値である。
【0046】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の毛髪化粧料成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、動物油や植物油等の油脂、ロウ、炭化水素、脂肪酸、多価アルコール、エーテル、エステル、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、水溶性高分子、植物海藻エキス、アミノ酸及びその誘導体、タンパク質及びその誘導体、紫外線吸収剤、ビタミン及びその誘導体、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、香料等が挙げられ、このような成分の中から、毛髪化粧料の用途に応じて必要とされる成分や好ましい成分を、適宜選択して配合することができる。なお、これらの任意成分から上記[A]〜[G]成分は除かれる。
【0047】
なお、分散媒には、水のみを使用してもよく、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(炭素数が2〜5のアルコール)等の有機溶媒を、分散媒全量中5質量%以下程度の量で水と併用してもよい。また、毛髪化粧料における分散媒の配合量は、例えば、60〜98質量%である。
【0048】
本発明の毛髪化粧料は、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、スタイリング剤等として適宜に使用可能なものである。
【0049】
また、任意成分である[G]成分を配合した毛髪化粧料の場合、これを、2剤式パーマ剤の第2剤、染毛剤、毛髪脱色剤等に適用できる。前記「2剤式パーマ剤」における「パーマ剤」とは、還元反応、酸化反応等の化学反応を利用して毛髪形状を変化させるために用いられるものである。パーマ剤としては、例えば、毛髪をウェーブ状に形成するためのウェーブ剤、ウェーブ状等の毛髪を直毛に近づけるためのストレート剤が挙げられる。また、「パーマ剤」は、還元反応を利用するための「パーマ用第1剤」と、酸化反応を利用するための「パーマ用第2剤」で構成される。後記「縮毛矯正用第1剤」は、パーマ用第1剤の一種であり、「縮毛矯正用第2剤」は、パーマ用第2剤の一種である。
【0050】
本発明の毛髪化粧料により構成される縮毛矯正用第2剤と、縮毛矯正用第1剤とで、縮毛矯正剤キットを構成する。
【0051】
上記縮毛矯正用第1剤には、還元剤から選択した一種又は二種以上が配合された公知の縮毛矯正用第1剤を適用できる。縮毛矯正用第1剤の還元剤としては、毛髪中のケラチンを還元する能力のあるものであれば特に制限はなく、例えばチオグリコール酸やその誘導体及びそれらの塩(アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩等)、システインやその誘導体及びそれらの塩(塩酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等)等、メルカプト基を有する種々の還元剤等が挙げられる。
【0052】
縮毛矯正剤キットを使用した縮毛の矯正処理方法は、次の(1)から(4)の手順を有する。(1)毛髪に縮毛矯正用第1剤を塗布し、毛髪のケラチンにおいて還元反応を進行させる。(2)毛髪に塗布した縮毛矯正用第1剤を、洗浄除去する。(3)整髪用アイロン(整髪用アイロン温度は、例えば160℃以上220℃以下)を用い、毛髪を直毛に近づけるように伸ばす。(4)毛髪に縮毛矯正用第2剤を塗布し、毛髪のケラチンにおいて酸化反応を進行させる。以上の手順による縮毛矯正では、手順(4)の直前の毛髪は、乾燥又はそれに近い状態となる。このような状態の毛髪にクリーム状の薬剤を塗布することは、湿潤した毛髪よりも塗布し難いようになるが、本発明の縮毛矯正用第2剤であれば毛髪全体に素早く塗布できる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
リン酸エステル型界面活性剤としてリン酸ジセチル0.30質量%及びPOE(10)セチルエーテルリン酸0.15質量%、POEソルビット脂肪酸エステルとしてテトラオレイン酸POE(6)ソルビット0.4質量%、POEアルキルエーテルとしてPOE(21)ステアリルエーテル0.7質量%、POPアルキルエーテルとしてPOP(15)ステアエリルエーテル1.3質量%、高級アルコールとしてセトステアリルエーテル2.35質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.5質量%、ジプロピレングリコール4.5質量%、過酸化水素1.5%、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.08質量%、リン酸一水素ナトリウム1.1質量%、リン酸0.21質量%、香料0.1質量%、水残量を水中油型乳化状態になるまで充分に攪拌させることによって、クリーム状水中油型毛髪化粧料を調製した。なお、過酸化水素は35%過酸化水素水を用いた。
【0055】
[実施例2〜5及び比較例1〜4]
これらの例においても、表1に記載の成分及び量に変更した以外は実施例1と同様にして、毛髪化粧料の調製を行った。
【0056】
(毛髪の処理後の評価)
〔毛髪化粧料の流し時、及び仕上げ後の毛髪の感触〕
同一人物から採取した毛束サンプル(長さ20cm、質量1.5g)を9束準備し、これらを10%ラウレスNa水溶液で洗浄し、乾燥させた。
これらの毛束に縮毛矯正用第1剤を1.5g塗布し、ストレート形状を保つようにコーミングし、20分間放置した。その後、各毛束を水洗し乾燥させた後、180℃の整髪用アイロンでストレート処理を行った。続いて、実施例1〜5及び比較例1〜4の毛髪化粧料1.5gを各毛束サンプルに塗布し、5分間放置後に水洗を行い、この際(流し時)の毛髪の感触(やわらかさ)を5名の専門の評価者が順次評価した。さらにその後、ミルボン社製「ディーセスノイ トリートメント ウィローリュクス」(商品名)3gを各毛束サンプルに塗布し、水洗した後、乾燥させて仕上げた際(仕上げ後)の毛髪の感触を5名の評価者が順次評価した。なお、評価は比較例1に対する相対評価として行った。
【0057】
上記縮毛矯正用第1剤は、チオグリコール酸アンモニウム8質量%、モノエタノールアミン4質量%、POEセチルエーテルリン酸3質量%、リン酸ジセチル1.5質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム2質量%、ジチオグリコール酸ジアンモニウム1質量%、水残量を混合し、分散させることによって調製したものを用いた。
【0058】
流し時及び仕上げ後の毛髪の感触の評価基準は以下の通りである。
比較例1と比較して、よい ・・・2点
比較例1と比較して、同等 ・・・1点
比較例1と比較して、劣っている・・・0点
【0059】
〔塗布時の操作性〕
乾燥したウィッグを用い、左半分には常に比較例1の組成物を50g塗布し、右半分には実施例1〜5及び比較例1〜4をそれぞれ50g塗布し、その塗布しやすさを専門の評価者5名によって以下の判定基準に従って採点した。ここでいう塗布しやすさとは、頭髪全体に素早く塗布でき、素早く毛髪になじむことをいう。なお、評価は比較例1に対する相対評価を行った。
【0060】
塗布時の操作性の評価基準は以下の通りである。
比較例1と比較して、よい ・・・2点
比較例1と比較して、同等(操作性が実用的) ・・・1点
比較例1と比較して、劣っている ・・・0点
【0061】
(粘度測定)
B型回転粘度計を用い、12rpm、4号ローター、25℃、測定開始後60秒後の値を粘度とした。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果から明らかなように、本発明による毛髪化粧料(実施例1〜5)によれば、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルを配合しなかった比較例1に比べ、優れた流し時の感触及び仕上げ後の感触を得ることが可能であることが分かった。また当該毛髪化粧料によって毛髪を処理した場合、操作性が実用的であることも明らかになった。この実用的な操作性は、実施例の毛髪化粧料が塗布しやすい粘度範囲を有していることに起因すると考えられる。
【0064】
特に実施例2については、[B]成分であるテトラオレイン酸POE(6)ソルビットの配合量を実施例1の0.4質量%に比して0.1質量%と少量にしたにも関わらず、流し時の感触を充分に得られた。一方で仕上げ後の感触及び操作性に関しては、実施例1の結果よりやや劣ることになったが、実用上問題の無い評価結果となった。
実施例3については、[D]成分であるPOP(15)ステアリルエーテルの配合量を実施例1の1.3質量%に比して2.6質量%としても、良好な流し時及び仕上げ後の感触結果はほぼ維持され、操作性に関しても実用的な結果となった。
【0065】
また、比較例2の通り、[B]成分であるPOEソルビット脂肪酸エステルではなく、[C]成分の一種であるPOE(5)セチルエーテルを配合した場合には、流し時の感触及び仕上げ後の感触に劣る結果となった。また、比較例3の通り、[B]成分であるPOEソルビット脂肪酸エステルではなく、POE(5)フィトステロールを配合した場合には、流し時の感触、仕上げ後の感触及び操作性の全ての評価結果が悪いものであった。そして比較例4の通り、[B]成分であるPOEソルビット脂肪酸エステルではなく、POE(1)POP(8)セチルエーテルを配合した場合には、流し時の感触及び仕上げ後の感触に劣る結果となった。
【0066】
[実施例6]
リン酸ジセチル0.30質量%、POE(10)セチルエーテルリン酸0.15質量%、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット0.4質量%、POE(21)ステアリルエーテル0.7質量%、POP(15)ステアエリルエーテル1.3質量%、セトステアリルエーテル2.35質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.5質量%、ジプロピレングリコール4.5質量%、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.08質量%、リン酸一水素ナトリウム1.1質量%、リン酸0.21質量%、香料0.1質量%、水残量を水中油型乳化状態になるまで充分に攪拌させることによって、粘度が8640mPa・sのクリーム状水中油型毛髪化粧料を調製した。この毛髪化粧料は、流し時の感触、仕上がり後の感触及び操作性の全てが良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明の毛髪化粧料は、流し時の感触と仕上げ後の良好な感触が得られるものであると共に、実用的な操作性を発揮するものであるため、縮毛矯正用第2剤等として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]リン酸エステル型界面活性剤、
[B]ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、
[C]ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
[D]ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
[E]高級アルコール、及び
[F]水
が配合される毛髪化粧料。
【請求項2】
上記[B]ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとして、脂肪酸とソルビットのポリエチレングリコールエーテルとのエステルであって、前記ソルビットのポリエチレングリコールエーテルにおけるポリエチレングリコールの平均付加モル数が30以下、かつ、前記ソルビットのポリエチレングリコールエーテル1モルに対する前記脂肪酸の構成モル比が3モル以上5モル以下であるものが配合される請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
上記[B]ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの配合量が0.2質量%以上2.0質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
[G]酸化剤をさらに配合した請求項1、請求項2又は請求項3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
縮毛矯正用第2剤として用いられる請求項4に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
少なくとも還元剤を配合した縮毛矯正用第1剤と、
請求項5に記載の毛髪化粧料と
を備える縮毛矯正剤キット。

【公開番号】特開2011−173864(P2011−173864A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276475(P2010−276475)
【出願日】平成22年12月12日(2010.12.12)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】