説明

毛髪化粧料用基剤及び毛髪化粧料

【課題】可塑剤となる油剤を不要とすることができ、良好なヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、且つ毛髪化粧料の透明性を維持すると共にスプレー詰まりを抑制することができる毛髪化粧料用基剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る毛髪化粧料用基剤は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)との共重合体からなり、前記成分(A)の組成から理論的に計算されるガラス転移温度が40℃以下であり、溶媒可溶性を有する。毛髪化粧料用基剤が高分子量化されていると共に架橋による網目状構造を有し、ヘアスタイリング保持性、再整髪性、移行防止性が向上する。また高分子量化されていると共に架橋による網目状構造を有するにもかかわらず、毛髪化粧料に許容される溶媒に良好に分散すると共に透明性を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料用基剤、及びこの毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアスプレー、ヘアムース、ヘアセットローション、ヘアジェル等の整髪用の化粧料(毛髪化粧料)として、種々の皮膜形成用の基剤(毛髪化粧料用基剤)を含有するものが提供されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、近年、毛髪化粧料によって毛髪が整髪された後、この毛髪を、毛髪化粧料を水等で再溶解させることなく再整髪することが可能な毛髪化粧料として、毛髪化粧料用基剤と可塑剤である油剤とを含有するものが提供されている(特許文献4参照)。この毛髪化粧料は油剤によって適度な粘着性が付与され、このためこの毛髪化粧料が良好なヘアスタイリング保持性と再整髪性とを発揮する。
【0004】
しかし、毛髪化粧料基剤と油剤とを含有する毛髪化粧料には、前記二種類の原料を組み合わせる必要があるという問題、並びに整髪後、油剤が毛髪から揮発したり、櫛、手櫛、ブラシ等により再整髪する場合に前記櫛等に油剤が移行したりするなどの理由により、経時的に再整髪性が低下しやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、特願2008−103935号において、可塑剤である油剤を含有することなく良好なヘアスタイリング保持性と再整髪性とを発揮する毛髪化粧料基剤を提案しているが、整髪した毛髪のべたつきの更なる抑制が求められるようになっている。
【0006】
また、特許文献5のように多官能エチレン性不飽和単量体を共重合して毛髪化粧料用基剤を調製すれば、毛髪化粧料基剤のベタ付きを抑制することはできるが、このような毛髪化粧料用基剤は毛髪化粧料に使用される溶媒に溶解せずにエマルションを形成するため、使用に制限があった。
【0007】
また、近年、再整髪性を有するヘアスプレー等の液状の毛髪化粧料の需要が高まっている。このような液状の毛髪化粧料に使用される毛髪化粧料基剤には、液状の毛髪化粧料中に良好に分散し、毛髪化粧料の透明性を維持して化粧料としての良好な外観を維持し、且つスプレー詰まり等の原因とならないことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3310150号公報
【特許文献2】特開平9−328414号公報
【特許文献3】特開2002−167316号公報
【特許文献4】特許第3723674号公報
【特許文献5】特表2004−521860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、毛髪化粧料に配合される毛髪化粧料用基剤であって、可塑剤となる油剤を使用することなく毛髪化粧料に良好なヘアスタイリング保持性を付与すると共に整髪された毛髪の再整髪性を長時間に亘り維持することができ、その整髪した毛髪より毛髪化粧料用基剤が毛髪以外に移行することにより生じる不快感を使用者に与えない毛髪化粧料用基剤、並びにこの毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【0010】
また、その毛髪化粧料用基剤が毛髪化粧料に許容される溶媒に溶解することにより、外観が透明な毛髪化粧料に対しても配合することが可能な毛髪化粧料用基剤、並びにこの毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る毛髪化粧料用基剤は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)との共重合体からなり、前記成分(A)の組成から理論的に計算されるガラス転移温度が40℃以下であり、溶媒可溶性を有することを特徴とする。
【0012】
多官能とは、エチレン性不飽和官能基を2以上含有することを意味する。溶媒可溶性とは、毛髪化粧料に許容されている溶媒に対する溶解性を有することを意味する。25℃において前記溶媒に毛髪化粧料用基剤を5質量%の割合で加えて調製される溶液に、波長400nmの光を透過光路長1cmで透過させた場合の光透過率が、毛髪化粧料用基剤を含有しない溶媒について同じ条件で測定される光透過率に対して95%以上となる場合には、毛髪化粧料用基剤が溶媒可溶性を有する。
【0013】
本発明によれば、(A)成分と(B)成分とが共重合することにより、毛髪化粧料用基剤が高分子量化されていると共に架橋による網目状構造を有し、ヘアスタイリング保持性、再整髪性、移行防止性が向上している。またこのように高分子量化されていると共に架橋による網目状構造を有するにもかかわらず、毛髪化粧料に許容される溶媒に良好に分散すると共に透明性を維持することができる。
【0014】
この毛髪化粧料用基剤のガラス転移温度は、特に35℃以下であることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料で整髪された毛髪のごわつきが更に確実に防止されると共に、再整髪性も更に優れたものとなる。
【0015】
また、毛髪化粧料用基剤の重量平均分子量は1000〜1000000の範囲であることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤のヘアスタイリング保持性、再整髪性、移行防止性が更に向上する。
【0016】
また、上記単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)は、ノニオン性不飽和単量体(a1)のみからなることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤がノニオン性樹脂で構成され、毛髪化粧料中に毛髪化粧料用基剤と共にアニオン性樹脂、カチオン性樹脂及び両性樹脂から選択される他の樹脂が配合されても、毛髪化粧料用基剤と他の樹脂との相溶性が高くなる。このため、毛髪化粧料用基剤を変更することなく毛髪化粧料の組成を変更することが容易となり、毛髪化粧料の組成設計の自由度が高くなる。
【0017】
更に、上記ノニオン性不飽和単量体(a1)がN,N−ジメチルアクリルアミドを含むことも好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤の水、アルコール及び液化石油ガスへの溶解性が向上し、毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料の組成設計の自由度が更に高くなる。
【0018】
また、上記単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)が、ノニオン性不飽和単量体(a1)及びイオン性不飽和単量体(a2)から選ばれる少なくとも一種の単量体からなるものであっても良い。イオン性不飽和単量体(a2)にはアニオン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体及び両性不飽和単量体が含まれる。両性不飽和単量体には、両性不飽和単量体の前駆体も含まれる。
【0019】
更に上記イオン性不飽和単量体(a2)がアニオン性不飽和単量体及び1〜3級アミノ基含有不飽和単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体を含み、上記重合体中の前記単量体に由来する構成単位の一部又は全部が中和されていることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤に良好な水溶性が付与され、上記単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)を構成するモノマーの種類とその組成比の組み合わせの自由度が大きくなる。
【0020】
また、上記イオン性不飽和単量体(a2)が、両性化可能な不飽和単量体を含み、上記重合体中の前記両性化可能な不飽和単量体に由来する構造単位が両性化剤で両性化されていることも好ましい。この場合、予め両性化された単量体が使用される場合よりも単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)の重合反応が安定化する。
【0021】
また、上記成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(B)の割合が1〜10重量%の範囲であることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤の架橋による高分子量化が抑制され、重合過程においてゲル化しにくくなる。
【0022】
また、毛髪化粧料用基剤は、毛髪化粧料に許容される親水性溶媒に対する可溶性を有することが好ましい。毛髪化粧料に許容される親水性溶媒には、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどがあり、特に毛髪化粧料が水とエタノールの少なくともいずれかに対する可溶性を有することが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基材が配合された毛髪化粧料の組成設計の自由度が高くなる。
【0023】
本発明に係る毛髪化粧料は、上記毛髪化粧料用基剤を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料は、可塑剤となる油剤を使用することなく良好なヘアスタイリング保持性が付与され、整髪された毛髪の再整髪性が長時間に亘り維持され、且つこの毛髪化粧料による整髪後の毛髪にべたつきやごわつきが生じにくくなり、更に櫛、手櫛、ブラシ等により再整髪する場合に前記櫛等に毛髪化粧料基剤が移行しにくくなって使用者にべたつき感を感じる等の不快感を与えないようにすることができる。しかも、透明な液状の毛髪化粧料への配合が可能となって、毛髪化粧料の組成設計の自由度が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。尚、以下の化合物名の表記における「(メタ)アクリ((meth)acry−)」は、「アクリ(acry−)」および「メタクリ(methacry−)]のうち一方又は双方を意味する。
【0026】
本発明に係る毛髪化粧料用基剤は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を重合させてなる重合体である。この毛髪化粧料基剤は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)の組成比より理論的に計算されるガラス転移温度が40℃以下である必要がある。このため、この毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料で整髪された毛髪にごわつきやべたつきによる不快な感触が生じず、また整髪後の髪型が乱れた場合には手櫛等で容易に整髪(再整髪)することが可能で、前記櫛等に毛髪化粧料基剤が移行し、べたつきを感じる等の不快感をより生じないようにすることを可能とする。
【0027】
上記組成比より理論的に計算されるガラス転移温度とは、下記のFoxの式で算出したTgの値をいう。
【0028】
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg
からWは、毛髪化粧料用基剤の合成に使用されるn種のモノマーの各重量分率を示し、TgからTgは、各モノマーのみが重合して得られるホモポリマーのガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。
【0029】
ガラス転移温度の算出に使用される主なホモポリマーのガラス転移温度を下記に例示する。
アクリル酸ブチル:−45℃(228K)
アクリル酸2−エチルヘキシル:−55℃(218K)
アクリル酸ヒドロキシエチル:−15℃(258K)
アクリル酸メトキシエチル:−50℃(223K)
アクリル酸エトキシエチル:−70℃(203K)
アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(n=9):−71℃(202K)
アクリル酸ポリエチレングリコール(n=10):−59℃(214K)
アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=6):−64℃(228K)
メタクリル酸メチル:105℃(378K)
メタクリル酸ラウリル:−65℃(208K)
アクリル酸:106℃(378K)
メタクリル酸:130℃(403K)
N,N−ジメチルアクリルアミド:119℃(392K)
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)より理論的に計算されるガラス転移温度は上記の通り40℃以下であるが、好ましくは35℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。このように理論的に計算されるガラス転移温度が低いことにより、毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料で整髪された毛髪のごわつきが更に確実に防止されると共に、再整髪性も更に優れたものとなる。理論的に計算されるガラス転移温度の下限は特に制限されないが、−80℃以上であることが好ましい。
【0030】
毛髪化粧料基剤の重量平均分子量は1000〜1000000の範囲であることが好ましい。この場合、毛髪化粧料を含有する毛髪化粧料がエアゾール等のように霧状に噴霧する形態である場合でも、毛髪化粧料の噴霧性が良好となり、整髪された毛髪のごわつき及びべたつきが更に確実に防止されると共に、再整髪性も更に優れたものとなる。この毛髪化粧料基剤の重量平均分子量は5000以上であれば更に好ましく、10000以上であれば特に好ましい。またこの毛髪化粧料基剤の重量平均分子量は500000以下であれば更に好ましく、200000以下であれば特に好ましい。
【0031】
この毛髪化粧料用基剤は、ノニオン性樹脂、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂の、いずれであっても良い。いずれの場合であっても、毛髪化粧料用基剤は上記効果を発揮する。
【0032】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)に含まれるエチレン性不飽和単量体は適宜の化合物から選択されるが、特にこの単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)がノニオン性不飽和単量体(a1)及びイオン性不飽和単量体(a2)から選ばれる少なくとも一種からなることが好ましい。前記イオン性不飽和単量体(a2)にはアニオン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体及び両性不飽和単量体が含まれる。前記両性不飽和単量体には、両性不飽和単量体の前駆体、すなわち両性化により両性不飽和単量体となる単量体も含まれる。
【0033】
ノニオン性不飽和単量体(a1)の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸へプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の、直鎖状、分岐鎖状又は脂環式の炭化水素基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル;スチレン;ビニルピロリドン;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の、(メタ)アクリル酸のエステル類;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、前記ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類の水酸基末端がアルキルエーテル化されたもの;(メタ)アクリル酸グリセリル等の単官能不飽和単量体が挙げられる。これらのノニオン性不飽和単量体(a1)は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。
【0034】
ノニオン性不飽和単量体(a1)のうち、特にN,N−ジメチルアクリルアミドが使用される場合、毛髪化粧料用基剤の水、アルコール及び液化石油ガスへの溶解性が特に向上する。この水、アルコール及び液化石油ガスは、毛髪化粧料に許容されている溶媒のなかでも、特に広く使用されている。特にN,N−ジメチルアクリルアミドの含有量が単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)の総量に対して10〜100重量%である場合には、毛髪化粧料用基剤が優れた水溶性、アルコール溶解性、及び液化石油ガス溶解性を兼ね備えたものになる。
【0035】
イオン性不飽和単量体(a2)のうち、アニオン性不飽和単量体としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体、スルホン酸基含有単量体、リン酸基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0036】
上記アニオン性不飽和単量体のうち、カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、2−メタアクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、β−カルボキシエチルアクリレート;アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−プロペノイックアシッド、3−(2−カルボキシエトキシ)−3−オキシプロピルエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0037】
上記アニオン性不飽和単量体のうち、スルホン酸基含有単量体としては、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族ビニル基含有スルホン酸;スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体等が挙げられる。
【0038】
またアニオン性不飽和単量体のうち、リン酸基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のメタアクリロイルオキアルキルリン酸モノエステル等が挙げられる。
【0039】
上記イオン性不飽和単量体(a2)のうち、カチオン性不飽和単量体としては、例えば1〜3級アミノ基含有不飽和単量体、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0040】
上記カチオン性不飽和単量体のうち、1〜3級アミノ基含有不飽和単量体としては、例えば(メタ)アリルアミン、アミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体等が挙げられる。
【0041】
上記カチオン性不飽和単量体のうち、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体としては、例えば、上記の3級アミノ基含有不飽和単量体を、4級化剤(炭素数が1〜12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等)を用いて4級化したもの等が挙げられる。具体的には、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体として、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0042】
両性不飽和単量体としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミン誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体、モノクロロ酢酸のアミノメチルプロパノール塩、モノクロロ酢酸のトリエタノールアミン塩、モノクロロ酢酸カリウム、モノブロモプロピオン酸ナトリウム等のハロゲン化脂肪酸塩による変性物、プロピオラクトン等のラクトン類、プロパンサルトン等のサルトン類による変性物等が挙げられる。
【0043】
また、両性不飽和単量体の前駆体として、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミン誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。
【0044】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)に両性不飽和単量体の前駆体が含まれる場合には、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)の重合後、この重合により得られる重合体中の、前記前駆体に由来する構造単位が、両性化剤(モノクロロ酢酸、モノブロモプロピオン酸、プロピオラクトン等のラクトン類;プロパンサルトン等のサルトン類等)で両性化される。両性化により副次的に生成する塩は、必要に応じて濾過、イオン交換等の適宜の手法で除去される。このように両性不飽和単量体の前駆体が使用されると、予め両性化された単量体が使用される場合よりも単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)の重合反応が安定化する。
【0045】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)に含まれる単量体の種類及び含有量は、毛髪化粧料用基剤に要求される粘着性等の特性、各種溶媒に対する溶解性、各種成分との相溶性等に応じて適宜決定される。また、この単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)に含まれる単量体の種類及び含有量は、毛髪化粧料用基剤のガラス転移点及び重量平均分子量が所定の値となるように決定される。
【0046】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)がノニオン性不飽和単量体(a1)のみからなる場合には、ノニオン性樹脂からなる毛髪化粧料用基剤が得られる。この場合、毛髪化粧料中に毛髪化粧料用基剤と共にアニオン性樹脂、カチオン性樹脂及び両性樹脂から選択される他の樹脂が配合されても、毛髪化粧料用基剤と他の樹脂との相溶性が高くなる。このため、毛髪化粧料用基剤を変更することなく毛髪化粧料の組成を変更することが容易となり、毛髪化粧料の組成設計の自由度が高くなる。また、更にこの単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)にN,N−ジメチルアクリルアミドが含まれている場合は、既述の通り、毛髪化粧料用基剤の水、アルコール及び液化石油ガスへの溶解性が特に向上する。この場合、毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料の組成設計の自由度が更に高くなる。
【0047】
多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)としては適宜の化合物が使用されるが、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン(n=2〜50)グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン(n=2〜50)グリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレン(n=2〜50)グリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエステル(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するウレタンオリゴマー;下記式(1)や下記式(3)に示されるような、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するシリコーン化合物等の多官能不飽和単量体が挙げられる。
【0048】
【化1】

【0049】
式(1)中、Dは下記式(2)で表される不飽和結合含有基、複数のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。
【0050】
【化2】

【0051】
式(2)中、Rは水素原子又はメチル基、Xは酸素原子、pは1〜4の整数を示す。
【0052】
【化3】

【0053】
式(3)中、Xはポリエーテル変性又はアルキル変性のアクリロイル基を示す。nは2以上の整数を示し、好ましくは2〜6の整数である。mは1以上の整数であり、式(3)で示される化合物の分子量が1000〜20000となるような値であることが好ましい。
【0054】
多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)に含まれる単量体の種類及び含有量は、毛髪化粧料用基剤の重量平均分子量が所定の値となるように決定されるが、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)は特にポリエチレン(n=9〜23)グリコールジ(メタ)アクリレート)、ポリプロピレン(n=4〜14)グリコールジ(メタ)アクリレートから選択されることが好ましい。また、毛髪化粧料用基剤の合成に使用される単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)との総量に対する、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の割合は、1重量%以上であることが好ましく、この場合、整髪された毛髪からの毛髪化粧料用基剤の移行を特に防ぐことができると共に整髪後の毛髪のべたつきを更に抑制することができる。また、この多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の割合は10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることが更に好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤の溶媒溶解性が特に向上すると共にこの毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料の粘度上昇を抑制することができ、毛髪化粧料用基剤の配合量を充分に大きくしても毛髪化粧料の粘度が過度に高くならないようにすることができる。
【0055】
また、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)が、イオン性不飽和単量体(a2)としてアニオン性不飽和単量体及び1〜3級のアミノ基含有不飽和単量体から選択される少なくとも一種の単量体を含む場合や、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)がアニオン性不飽和単量体及び1〜3級のアミノ基含有不飽和単量体から選択される少なくとも一種の単量体を含む場合には、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)との重合体中の前記単量体に由来する構成単位の一部又は全部が中和剤により中和されていることが好ましい。この場合、毛髪化粧料用基剤に良好な水溶性が付与される。
【0056】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)のうち少なくとも一方がアニオン性不飽和単量体を含む場合、中和剤として好ましくは有機又は無機の塩基性化合物が使用される。有機の塩基性化合物は水溶性を有することが好ましい。この有機の塩基性化合物としては、例えば、モルホリン、N,N−ジメチルアミン、N−N−ジエチルアミン、エタノールアミン、N−N−ジエタノールアミン、N,N,N−トリエタノールアミン、2−アミノ−2メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。また無機の塩基性化合物としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0057】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)のうち少なくとも一方が1〜3級アミノ基含有不飽和単量体を含む場合、中和剤として好ましくは有機又は無機の酸が使用される。有機又は無機の酸としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、低級アルキルモノカルボン酸塩(例えば酢酸、プロピオン酸等)、ヒドロキシカルボン酸(例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等)、二塩基酸(例えばマレイン酸等)等が挙げられる。
【0058】
これらの中和剤は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。
【0059】
中和剤による中和は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の重合により生成する重合体に対して行われる。また単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を併せた成分中に含まれるアニオン性不飽和単量体及び1〜3級のアミノ基含有不飽和単量体のうち一部又は全部が、重合前に予め中和されても良い。特に単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を併せた成分中にアニオン性不飽和単量体と1〜3級のアミノ基含有不飽和単量体とが共に含まれる場合には、各単量体が重合前にそれぞれ中和されることが好ましい。
【0060】
重合体の中和率は適宜設定されるが、毛髪化粧料用基剤に充分に高い水溶性が付与されるためには、重合体中のアニオン性不飽和単量体及び1〜3級のアミノ基含有不飽和単量体に由来する構成単位のうち50〜100%が中和されることが好ましい。
【0061】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)は、適宜の重合方法で重合される。前記重合方法として、例えば親水性溶媒を用いた通常の溶液重合法等の公知の重合方法が採用され得る。溶液重合法が採用される場合、例えば親水性溶媒中に単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を溶解すると共に重合開始剤を添加して反応溶液を調製し、この反応溶液を窒素気流下、溶媒の沸点又はそれに近い温度で攪拌することによって単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を重合させることができる。この反応溶液中には重合反応の開始当初から単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)に含まれる単量体の全種及び全量が溶解していても良いが、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)に含まれる単量体の種類、量等に応じて、重合反応を進行させながら反応溶液中に単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を分割して添加し、或いは重合反応を進行させながら反応溶液中に単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を連続滴下しても良い。前記親水性溶媒の使用量は、重合反応終了時の溶液中の樹脂固形分濃度が20〜80重量%の範囲となるように調整されることが好ましい。
【0062】
溶液重合に使用される親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等の水に可溶な脂肪族アルコール;アセトン;メチルセロソルブ;エチルセロソルブ;ジオキサン;酢酸メチル;酢酸エチル;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。親水性溶媒は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。
【0063】
重合開始剤としては適宜のものが使用されるが、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド等のアゾ系化合物等を使用することが好ましい。重合開始剤の使用量は、重合体のガラス転移点及び重量平均分子量が所定の値となるように適宜決定される。
【0064】
また、反応溶液中には、分子量調節等のため、必要に応じて連鎖移動剤が添加されても良い。連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えばラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロール等のメルカプタン基を有する化合物;次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の無機塩等が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、重合体の分子量が所望の範囲となるように適宜決定されるが、通常、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の総量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0065】
また、リビングラジカル重合法により単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)を重合させても良い。この場合、重合体の重量平均分子量の調整が容易になると共に、連鎖移動剤を使用する場合よりも分子量分布の狭い重合体が生成する。
【0066】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の重合時の温度、時間等の重合条件は、単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)や重合開始剤の種類等に応じ、高い反応率で重合反応が進行するように適宜設定される。重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行っても良い。重合反応終了時の未反応モノマーの残存量は少量であるほど好ましい。
【0067】
このような単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)及び多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)の重合反応により、毛髪化粧料用基剤が生成する。溶液重合法の場合は、毛髪化粧料用基剤の親水性溶媒溶液が生成する。
【0068】
この毛髪化粧料用基剤に必要に応じて種々の成分が配合されることで、適宜の毛髪化粧料が調製される。溶液重合法によって毛髪化粧料用基剤の親水性溶媒溶液が生成する場合には、この親水性溶媒溶液に必要に応じて種々の成分が配合されることで、毛髪化粧料が調製される。また、この親水性溶媒溶液から親水性溶媒を留去して得られる固形状の毛髪化粧料用基剤に必要に応じて種々の成分が配合されることで、毛髪化粧料が調製されても良い。
【0069】
例えば毛髪化粧料用基剤が、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、95体積%のエタノール等の含水アルコール、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル等の親水性溶媒に溶解することで、ヘアスプレー剤が調製される。このヘアスプレー剤中の毛髪化粧料用基剤の固形分濃度は0.5〜15重量%の範囲が好ましい。
【0070】
このヘアスプレー剤が噴射剤と共に耐圧容器内に加圧封入されることで、ヘアスプレーが作製される。上記噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG);トリクロロモノフルオロメタン(フロン11)、ジクロロジフルオロメタン(フロン12)、ジクロロテトラフルオロエタン(フロン114)、メチレンクロライド、ハイドロフルオロカーボン(HFC152a等)等を成分とするハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル;炭酸ガス等が挙げられる。これらの噴射剤は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。特に本発明に係る毛髪化粧料用基剤はLPGとの相溶性が高いため、LPGが用いられることが好ましい。耐圧容器内には、ヘアスプレー剤と噴射剤とが2:8〜8:2の重量比で封入されることが好ましい。
【0071】
また、この毛髪化粧料用基剤は水溶性及びアルコール溶解性が高いため、この毛髪化粧料用基剤が親水性溶媒又は水と親水性溶媒との混合溶媒に溶解され、更に各種添加剤が加えられることで、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアローション、ノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)、ヘアゲル、ヘアスタイリングフォーム(ヘアムース)、カーラーウォーター等の毛髪化粧料が調製される。
【0072】
毛髪化粧料の調製時には、この毛髪化粧料用基剤と、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂及びノニオン性樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂とが併用されても良い。
【0073】
これらのアニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂及びノニオン性樹脂としては、例えば「薬事日報社編、「医薬部外品原料規格2006」、株式会社薬事日報社、平成18年6月16日」に適合するものが挙げられる。
【0074】
アニオン性樹脂の具体例としては、プラスサイズL−9540B(互応化学工業(株)製)等のアクリル樹脂アルカノールアミン液(成分コード500001);カーボポール940(B.F.Goodrich製)等のカルボキシビニルポリマー(成分コード101243);ウルトラホールド8(BASF社製)等のアクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(成分コード522001);レジン28−1310(NSC社製)等の酢酸ビニル・クロトン酸共重合体液(成分コード522037);ガントレッツES−225(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液(成分コード504304);ガントレッツES−425(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体液(成分コード504305);ポリアクリル酸(成分コード108622)等が挙げられる。
【0075】
カチオン性樹脂の具体例としては、マーコート550(カルゴン社製)等のアクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液(成分コード532001);ガフカット755(ISP社製)等のビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩液(成分コード520526);ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液(成分コード506024)等が挙げられる。
【0076】
ノニオン性樹脂の具体例としては、ルビスコールK(BASF社製)等のポリビニルピロリドン(成分コード008805);酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(成分コード523102);ポリアクリル酸アミド(成分コード520988)等が挙げられる。
【0077】
両性樹脂の具体例としては、プラスサイズL−401(互応化学工業株式会社製)等のポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液(成分コード521111);プラスサイズL−450(互応化学工業株式会社製)等のメタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液(成分コード523245);ユカフォーマーAM−75(三菱化学株式会社製)等のN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液(成分コード521112)等が挙げられる。
【0078】
固形状のこれらの樹脂が販売され、或いはこれらの樹脂から調製された溶液や中和溶液が販売されている。これらの固形状の樹脂、溶液、中和溶液等を毛髪化粧料に配合することができる。また、固形状の樹脂から樹脂溶液や中和溶液等を調製し、この樹脂溶液や中和溶液等を毛髪化粧料中に配合しても良い。また、樹脂溶液から中和溶液を調製し、この中和溶液を毛髪化粧料に配合しても良い。
【0079】
毛髪化粧料中の毛髪化粧料用基剤の含有量は、毛髪化粧料の形態、毛髪化粧料の構成成分等に応じて適宜設定されるが、水、アルコール、LPG等の溶媒を含めた毛髪化粧料の全成分の総量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7重量%、特に好ましくは1〜5重量%の範囲とする。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の具体的な実施例を示す。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0081】
尚、以下に使用される「部」及び「%」は、特に明示しない限り全て重量基準であり、また表中に示される各成分の配合量は全て「重量部」で表したものである。
【0082】
〔実施例1,2,4〜16,18〜22,比較例1,3,4〕
反応容器として、還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機が取り付けられた容量1リットルの五つ口フラスコを用い、この反応容器中にエタノール100部を仕込み、窒素気流下、昇温した。この反応容器中のエタノールが還流状態(約80℃)になったところで、このエタノール中に重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を添加した。重合開始剤の添加量は、実施例1,2では3部、実施例4,5,6,15,16,20,21,比較例1では1.5部、実施例7,9,11,14,比較例3,4では0.8部、実施例8,19では0.1部、実施例10,12,13では0.15部、実施例18,22では2部とした。
【0083】
次に、前記開始剤の添加後、直ちに各実施例及び比較例ごとに表1に示す原料を混合した混合物を、反応容器内に滴下漏斗から2時間連続して滴下し、反応溶液を調製した。滴下終了後、1時間ごとに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をエタノール5部に溶解して3回添加した。さらに、この反応溶液を3時間放置して重合反応を進行させた。
【0084】
重合反応の終了後、実施例6については、クロロ酢酸ナトリウム水溶液を加えてベタイン化処理を施した。
【0085】
次に、反応容器内の溶液から溶媒を留去すると共に、この反応溶液内にエタノールを加えることで溶液中の溶媒含有量を調整し、固形分濃度40%の毛髪化粧料用基剤の溶液を得た。
【0086】
〔実施例3,17〕
実施例1の場合と同じ反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル150部と重合開始剤(ターシャリーブチルパーベンゾエート)とを仕込み、窒素気流下、昇温し、液温を130℃に保持した。重合開始剤の添加量は、実施例3では5部、実施例17では15部とした。
【0087】
次に、各実施例ごとに表1に示す原料を混合した混合物を、反応容器内に滴下漏斗から連続して滴下し、反応溶液を調製した。滴下に要した時間は、実施例3では4時間、実施例17では2時間である。滴下終了後、1時間ごとにターシャリーブチルパーベンゾエート1部をエチレングリコールモノブチルエーテル10部に溶解して3回添加した。さらに、この反応溶液を3時間放置して重合反応を進行させた。
【0088】
次に、反応容器中の溶液から溶媒を留去すると共に、この反応容器中にエタノールを加えることで溶液中の溶媒含有量を調整し、固形分濃度40%の毛髪化粧料用基剤の溶液を得た。
【0089】
〔比較例2〕
実施例1の場合と同じ反応容器に、乳酸エチル200部と重合開始剤(1,3−ビス−(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン)25部とを仕込み、窒素気流下、昇温し、液温を150℃に保持した。
【0090】
次に、表1に示す原料を混合した混合物を、反応容器内に滴下漏斗から連続して3時間で滴下し、反応溶液を調製した。滴下終了後、1時間ごとに1,3−ビス−(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン1部を乳酸エチル10部に溶解して3回添加した。さらに、この反応溶液を3時間放置して重合反応を進行させた。
【0091】
次に、反応容器中の溶液から溶媒を留去すると共に、この反応容器中にエタノールを加えることで溶液中の溶媒含有量を調整し、固形分濃度40%の毛髪化粧料用基剤の溶液を得た。
【0092】
〔重量平均分子量〕
各実施例及び比較例で得られた毛髪化粧料用基剤の重量平均分子量及びガラス転移点は、表1に示される通りである。
【0093】
この重量平均分子量の測定時には、まず各実施例及び比較例で得られた毛髪化粧料用基剤から溶媒を蒸発させて乾固し、固形状の毛髪化粧料用基剤を得た。この毛髪化粧料用基剤をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製GPC測定装置、SHODEX SYSTEM 11)により重量平均分子量を測定した。
【0094】
測定条件の詳細は下記の通りである。
・カラム:SHODEX KF−800P、KF−805、KF−803、KF−801の、4本直列
・移動層:THF(テトラヒドロフラン)
・流量:1ml
・カラム温度:45℃
・検出器:RI
・換算:ポリスチレン
〔性能評価〕
各実施例及び比較例で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液12.5部、エタノール77.5部、水10部を混合し、毛髪化粧料(ヘアミスト剤)を調製した。
【0095】
この毛髪化粧料について、下記の評価試験を行った。その結果を下記表1に示す。
【0096】
(1)ヘアスタイリング保持性評価試験
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に毛髪化粧料を噴霧し、この毛髪を整髪した後、乾燥した。この毛髪を25℃、60%R.H.の条件下に3時間放置した後の状態を目視で観察し、ヘアスタイリング保持性を下記評価基準で評価した。
◎…非常に良好:整髪当初の状態からほとんど変化していない。
○…やや良好:すこし変化しているが、整髪当初の状態に近い。
△…やや劣る:毛髪に少し垂れが生じ、整髪当初の状態とは異なる。
×…非常に劣る:毛髪の殆どに垂れが生じている。
【0097】
(2)再整髪性評価試験
長さ10cm、重量1gの毛束に1gの毛髪化粧料を均一に塗布した。この毛束を直径3cmのロッドに巻き付けた後、50℃の乾燥機中で30分間乾燥させた。この毛束をデシケーター中で常温にした後、ロッドから毛束を外した。このカールされた毛束の根元を固定し、毛先側を自重により下方に垂れ下げさせた。この状態で、毛束中の毛髪の根元と毛先との間の高低差(L)を測定した。
【0098】
次に、カールされた毛束を直線状に引き伸ばしてから、再度この毛束を直径3cmのロッドに巻き付けた後、25℃、60%R.H.の条件下で30分間保持した。その後、ロットから毛束を外し、前記と同一の手法により毛束中の毛髪の根元と毛先との間の高低差(L)を測定した。
【0099】
上記高低差(L,L)の測定結果に基づいて、下記式(I)で定義される再整髪率を算出し、その結果に基づいて下記評価基準により再整髪性を評価した。
【0100】
再整髪率(%)={(10−L)/(10−L)}×100 …(I)
◎…非常に良好:再整髪率が80%以上。
○…やや良好:再整髪率が70%以上。
△…やや劣る:再整髪率が60%以上。
×…非常に劣る:再整髪率が60%未満。
【0101】
(3)べたつき性評価試験(官能試験)
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に毛髪化粧料を噴霧し、この毛髪を整髪した後、乾燥した。
【0102】
10名の被験者がこの毛髪に手で触れ、その触感に基づいて、毛髪に不快と感じるべたつきがあるか否かを、各被験者が回答した。
【0103】
この被験者の回答に基づいて、べたつき性を下記評価基準で評価した。
◎…非常に良好:被験者9人以上が不快でないと回答した。
○…やや良好:被験者7人以上が不快でないと回答した。
△…やや悪い:被験者5人以上が不快でないと回答した。
×…悪い:被験者6人以上が不快であると回答した。
【0104】
(4)樹脂の移行性
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に毛髪化粧料を噴霧し、この毛髪を整髪した後、乾燥した。
【0105】
10名の被験者がこの毛髪に手で触れ、その触れた手にべたつきがあるか否かを、各被験者が回答した。
【0106】
この被験者の回答に基づいて、樹脂の移行性を下記評価基準で評価した。
◎…非常に良好:被験者9人以上がべたつきがないと回答した。
○…やや良好:被験者7人以上がべたつきがないと回答した。
△…やや悪い:被験者5人以上がべたつきがないと回答した。
×…悪い:被験者6人以上がべたつきがあると回答した。
【0107】
(5)溶解性
各実施例及び比較例で調製された毛髪化粧料用基剤の固形分濃度40%の溶液を希釈して固形分濃度5質量%のエタノール溶液を調製し、この溶液の、波長400nmの光の透過率(透過光路長1cm)を、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)で測定した。純エタノールについても、同じ条件で光の透過率を測定した。
【0108】
そして、純エタノールの光の透過率に対する、毛髪化粧料用基剤の固形分濃度5質量%のエタノール溶液の光の透過率の割合を導出し、これが95%以上の場合を「○」、95%未満の場合を「×」と評価した。
【0109】
【表1】

【0110】
〔他の毛髪化粧料についての評価〕
実施例2で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、下記表2及び表3に示す二種の組成のヘアスタイリングスプレー剤を調製した。この各ヘアスタイリングスプレー剤は、表1に示されるヘアミスト剤の場合と同様に優れたヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、かつこのヘアスタイリングスプレー剤による整髪後の毛髪にべたつきがなく、樹脂が移行しにくいことが確認された。
【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
実施例7で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、下記表4に示す組成のヘアミスト剤を調製した。このヘアミスト剤は、表1に示されるヘアミスト剤の場合と同様に優れたヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、かつこのヘアミスト剤による整髪後の毛髪にべたつきがなく、樹脂が移行しにくいことが確認された。
【0114】
【表4】

【0115】
実施例9で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、下記表5及び表6に示す二種の組成のヘアスタイリングフォームを調製した。この各ヘアスタイリングフォームは、表1に示されるヘアミスト剤の場合と同様に優れたヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、かつこの各ヘアスタイリングフォームによる整髪後の毛髪にべたつきがなく、樹脂が移行しにくいことが確認された。
【0116】
【表5】

【0117】
【表6】

【0118】
実施例1で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、下記表7に示す組成のヘアワックスを調製した。このヘアワックスは、表1に示されるヘアミスト剤の場合と同様に優れたヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、かつこのヘアワックスによる整髪後の毛髪にべたつきがなく、樹脂が移行しにくいことが確認された。
【0119】
【表7】

【0120】
実施例2で得られた毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、下記表8に示す組成のヘアジェルを調製した。このヘアジェルは、表1に示されるヘアミスト剤の場合と同様に優れたヘアスタイリング保持性と再整髪性とを備え、かつこのヘアジェルによる整髪後の毛髪にべたつきがなく、樹脂が移行しにくいことが確認された。
【0121】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単官能エチレン性不飽和単量体成分(A)と、多官能エチレン性不飽和単量体成分(B)との共重合体からなり、前記成分(A)の組成から理論的に計算されるガラス転移温度が40℃以下であり、溶媒可溶性を有することを特徴とする毛髪化粧料用基剤。
【請求項2】
上記ガラス転移温度が35℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項3】
重量平均分子量が1000〜1000000の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項4】
上記成分(A)が、ノニオン性不飽和単量体(a1)のみからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項5】
上記ノニオン性不飽和単量体(a1)がN,N−ジメチルアクリルアミドを含むことを特徴とする請求項4に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項6】
上記成分(A)が、ノニオン性不飽和単量体(a1)及びイオン性不飽和単量体(a2)から選ばれる少なくとも一種の単量体からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項7】
上記成分(A)がイオン性不飽和単量体(a2)を含み、
この単量体(a2)が、アニオン性不飽和単量体及び1〜3級アミノ基含有不飽和単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体を含み、
上記共重合体中の前記単量体に由来する構成単位の一部又は全部が中和されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項8】
上記成分(A)がイオン性不飽和単量体(a2)を含み、
この単量体(a2)が、両性化可能な不飽和単量体を含み、
上記共重合体中の前記両性化可能な不飽和単量体に由来する構造単位が両性化剤で両性化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項9】
上記成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(B)の割合が1〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【請求項10】
毛髪化粧料に許容される親水性溶媒に対する可溶性を有することを特徴とする毛髪化粧料用基剤。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−26250(P2011−26250A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174344(P2009−174344)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000166683)互応化学工業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】