説明

毛髪化粧料用添加剤およびそれを含有する毛髪化粧料

【課題】 本発明の課題は、ポリクオタニウム−10に代表される半合成系毛髪化粧料用添加剤とポリクオタニウム−6あるいは7に代表される合成系毛髪化粧料用添加剤のそれぞれの欠点を克服し、仕上がりにしなやかな感触を与える毛髪化粧料用添加剤、およびそれを含有する毛髪化粧料を提供することにある。
【解決手段】 上記課題を解決する方法として、OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させることにより毛髪化粧料用添加剤を製造し、それを毛髪化粧料組成に加えることにより達成できることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料用添加剤およびそれを含有する毛髪化粧料に関し、更に詳しくはOH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させ製造した毛髪化粧料用添加剤およびそれを含有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪をポリマーで処理し所望の風合いを付与することは周知である。このような毛髪化粧品用ポリマーとしては、ノニオン系、アニオン系及びカチオン系のポリマーが使用されている。ノニオン系ポリマーとしてはポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等が使用されているが、ポリビニリピロリドンは湿度条件の影響を受けやすい。即ち吸湿前のフィルムは硬くてフレーキング現象を起こしやすいのに対し、高温多湿時には非常に柔軟となってブロッキング現象を起こし、毛髪が互いに固着してくし入れや、ブラッシングが不可能になる恐れがある。ポリビニルメチルエーテルにおいては、このような湿度による影響が更に著しい。
【0003】
アニオン系ポリマーとしては、ビニルカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸等の共重合体が挙げられる。このアニオン系ポリマーはノニオン系ポリマーとは異なり湿度による影響は受けにくいが、一般にアニオン系ポリマーの皮膜は硬く、整髪効果は高いが、逆にもろいため、フレーキング現象が起こるおそれがある。更に、アニオン性であることによりカチオン性物質の添加は制限され、洗髪時のコンディショナー剤(カチオン性)等による固化現象も懸念される。
【0004】
カチオン性ポリマーとしてセルロースあるいはグアーガム等に塩化グリシジルプロピルトリメチルアンモニウムのようなカチオン化剤を反応させたポリマー(例としてポリクオタニウム−10)が毛髪化粧料用添加剤として汎用されている。しかしながら、使い続けることによりに毛髪にゴワつきやハリが出てしまうという点で十分に満足のいくものではなかった。また合成ポリマーとしてジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー(ポリクオタニウム−6)あるいはアクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−7)が毛髪化粧料用添加剤として使われているが、例えばポリクオタニウム−7をシャンプーなどに添加した場合、シャンプー時にぬめり感があり十分に満足のいくものではなかった。
【0005】
また、水溶性モノマーとポリサッカライドのグラフトコポリマーの調整法に関して、ポリサッカライドを溶解させない溶媒中で反応させる(特許文献1参照)、あるいは固相に近い状態において電子線照射により重合させる(特許文献2参照)方法が開示されているが、いずれも反応率が低くなる欠点がある。また共重合性比の異なる複種類の単量体の共重合においては共重合体の組成を均一にするために重合性の良い単量体を連続的あるいは逐次添加することが常用手段であるが不均一系ではその反応が困難であった。
【特許文献1】特開昭54−83987号公報
【特許文献2】特表2008−509250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ポリクオタニウム−10に代表される半合成系毛髪化粧料用添加剤とポリクオタニウム−6あるいは7に代表される合成系毛髪化粧料用添加剤のそれぞれの欠点を克服し、仕上がりにしなやかな感触を与える毛髪化粧料用添加剤およびそれを含有する毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する方法として、OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させることにより毛髪化粧料用添加剤を製造し、それを毛髪化粧料組成に加えることにより達成できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のOH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体に、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させた毛髪化粧料用添加剤を含有する毛髪化粧料は、仕上がりが優れているばかりでなく、汎用品のヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルプロピルトリメチルアンモニウムを反応させたポリマー(ポリクオタニウム−10)に比べ、添加量が少量ですむ特徴を有している。また、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−7)の場合、添加量を増やすと使用時にぬめり感が出てくる。それに対して、本発明品は添加量を増やしてもぬめり感のような不快感がない特徴を有している。その結果、毛髪化粧料を調合する際に幅広い量の添加が可能となった。
【0009】
また本発明はOH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体にカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させることに特徴があるが、カチオン性水溶性単量体のみをグラフト重合した毛髪化粧料用添加剤を含有する毛髪化粧料で処理した頭髪はべたつき感があるのに対し、グラフト共重合させる複数種類の水溶性単量体中にカチオン性水溶性単量体およびベタイン型水溶性単量体、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させた本発明品で処理した頭髪はさらさら感がでて、仕上がりの風合いの優れたものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳述する。
【0011】
本発明の毛髪化粧料用添加剤は、OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体を実質的に均一な状態でグラフト共重合させることにより得られるが、反応に必要ならば水媒体中に少量のアルコール類等水溶性有機溶媒も混在させることも可能である。
【0012】
また本発明は複数種類の水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体と前記ベタイン型水溶性単量体のモル比が1:20〜20:1の範囲である水溶性単量体をグラフト共重合させることに特徴があるが、本発明品で処理した頭髪はさらさら感がでて、仕上がりの風合いの優れたものとなる。これ以外の範囲では処理後の頭髪にべたつき感出てしまう、あるいはコンディショニング効果がなくなるなど、問題が生じる。
【0013】
本発明で用いるOH基をもつ天然高分子または天然高分子誘導体は、水媒体中で実質的に均一な状態で反応を行うため、水に対する溶解度が高い必要がある。代表的な天然高分子としては澱粉類、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、キトサン、カラギーナン、ジュランガム、プルラン、マンナン、フェヌグリーク、セリシンなどが挙げられるが、溶解度の点からグアーガム、ローカストビーンガムおよびセリシンが好ましい。天然高分子誘導体としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムなどが挙げられるが、これも溶解度の点からヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルグアーガムが好ましく、さらに好ましくはヒドロキシエチルセルロースである。これらの天然高分子または天然高分子誘導体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0014】
また上記OH基をもつ天然高分子または天然高分子誘導体の分子量に関しては実質的に均一な水溶液の状態でグラフト共重合を行うため2%水溶液粘度が25℃において20000mPa・s以下であることが好ましい。これより高い分子量をもつ天然高分子または天然高分子誘導体では溶解液の粘度が著しく高くなり均一なグラフト共重合を行うことが困難になる。上記の最も好ましい天然高分子誘導体であるヒドロキシエチルセルロースに関しては反応液の粘度を考慮すると2%水溶液粘度が25℃において100〜10000mPa・sの範囲が好ましい。
【0015】
OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体の総量とカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体の複数種類の水溶性単量体の総量との重量比は、5:95〜80:20が好ましく、この範囲外では本発明品の天然高分子と合成高分子の相乗作用の特徴が発揮されない。また、さらに好ましくは5:95〜50:50である。
【0016】
本発明におけるグラフト重合は均一な反応をさせるために通常攪拌下行われる。そのために反応濃度が高すぎると攪拌が困難になり、低すぎると最終製品が低濃度となり輸送コストが嵩むこととなる。よって反応濃度は、OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体と複数種類の水溶性単量体の合計の濃度として10〜50重量%であるが、好ましくは10〜30重量%である。
【0017】
カチオン性水溶性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの塩などが挙げられる。また四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、アリルアミン、ジアリルメチルアミンおよびこれらの塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。重合体の安定性、安全性からジアリルジメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。これらのカチオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0018】
カチオン性水溶性単量体と共重合するベタイン型水溶性単量体の例としては三級アミノ基含有カチオン性単量体であるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドにモノハロ酢酸あるいはモノハロ酢酸ナトリウムを反応させたもの等が挙げられる。これらのベタイン型水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0019】
カチオン性およびベタイン型水溶性単量体と、必要に応じ共重合する非イオン性水溶性単量体の例としては(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド等が挙げられる。重合反応の容易さからアクリルアミドがより好ましい。これらの非イオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。またグラフト重合体が水溶性である限りにおいて、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の疎水性単量体を共重合させることも可能である。
【0020】
グラフト共重合時の温度はOH基をもつ天然高分子または天然高分子誘導体が水に溶解する温度が必要で、使用する天然高分子または天然高分子誘導体によって異なるが、通常30〜95℃の範囲で行う。
【0021】
重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は水溶性が好ましく、アゾ系、レドックス系、過酸化物系いずれでも重合することが可能である。水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。またレドックス系の例としては、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせが挙げられる。さらに過硫酸塩、過酸化物の例としては、過硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素などを挙げることができるが、効率的にグラフト共重合をさせるには過硫酸塩が好ましい。過硫酸塩を用いる場合、50℃以上で重合反応を行うことが好ましい。
【0022】
本発明は水に溶解したOH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体の存在化で、カチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させるが、その際、複数種類の水溶性単量体を一括して仕込み、窒素置換した後、重合開始剤を添加して重合させても良いが、複種類の水溶性単量体の一部あるいは全量を、重合開始剤を添加した後に攪拌下、少量ずつ連続的あるいは逐次的に添加しても良い。特に、共重合する複数種類の単量体の共重合性比が異なる場合、重合性の良い単量体の一部を重合中に連続的あるいは逐次添加し共重合体の組成を均一にすることが好ましい。例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドを共重合する場合、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドの一部を重合中に連続的に添加することが好ましい。またイオン性基を偏在化するためにアクリルアミドの一部を重合中に連続的に添加した後、ベタイン型単量体の全量あるいは一部を連続的に添加するなど、複数種類の水溶性単量体のそれぞれの添加時期または添加量を変化させることも可能である。
【0023】
GPC−MALSを用いた測定によるグラフト共重合体の重量平均分子量は1万〜300万が好ましい。300万以上になると種々の成分を含む毛髪化粧料組成に溶解しにくくなり、また1万以下では添加効果が低くなる。さらに好ましくは2万〜200万である。分子量を調整するために重合時に必要に応じた量の連鎖移動剤を加えることもできる。連鎖移動剤としてはイソプロピルアルコール、メルカプトエタノー ル、グルコン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等、一般的に使用される連鎖移動性を持った化合物から任意のものを選ぶことができる。
【0024】
水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合はOH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体との重量比にも関係してくるが5〜90モル%の範囲である。しかしながら、本発明品の毛髪化粧料用添加剤をシャンプーに用いる場合、カチオン当量値が高すぎるとシャンプー組成の主成分であるアニオン性界面活性剤とコンプレックスを形成し不溶化し白濁してしまうため、5〜30モル%の範囲が好ましい。
【0025】
またリンス、コンディショナー、トリートメントに用いる場合、主成分がカチオン性界面活性剤であるため、水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は毛髪化粧料に求められる効果に応じて5〜90モル%の範囲で選ばれるが5〜60モル%の範囲がより好ましい。
【0026】
またセット用整髪料、パーマ液、染毛料に用いる場合、イオン性界面活性剤を含まない場合が多いため、水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は、同様に求められる効果に応じて5〜90モル%の範囲で選ばれる。セット用整髪料には、液体、クリーム、エマルジョン、スプレー、泡状、ジェル等の形態があるが、どのような形態でも使用できる。
【0027】
また複数種類の水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体のモル比が1:20〜20:1の範囲であることが好ましい。この範囲外ではカチオン性水溶性単量体あるいはベタイン型水溶性単量体単独のグラフト共重合体と変わらず、本発明のグラフト共重合体の特徴が発現されない。
【0028】
本発明のグラフト共重合体は添加剤として毛髪化粧料に対して通常0.05〜5%添加されるが、それぞれの毛髪化粧料に求められる効果を示す範囲において添加量は特に限定されない。
【0029】
本発明のグラフト共重合体を添加成分として含有する毛髪化粧料のその他の成分は、毛髪化粧料の用途に応じ、毛髪化粧料において公知であるアニオン性界面活性剤(例えば、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウリル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等のN−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等)、カチオン性界面活性剤(例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等)、ベタイン型界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、ミリスチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等)等である。
【0030】
さらに必要に応じて、本発明の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合しても良い。任意成分としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマーなどの炭化水素類、エタノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等のアルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルドデシル、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリコール、テトラオレイン酸ポリエチレングリコールソルビット、モノステアリン酸グリセリル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、水添ヒマシ油ポリエチレングリコール等のエステル油類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニル)酸、オレイン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等の高級脂肪酸類およびその誘導体である。
【0031】
また、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子などの天然水溶性高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、カチオン化ガーガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子などの半合成水溶性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、4,000,000、600,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリエチレンイミンなどの合成水溶性高分子である。
【0032】
また、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機物質、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン、ポリエチレングリコール付加シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、3−(4′−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4′−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、安息香酸系、アントラニル酸系、サリチル酸系、桂皮酸系、ベンゾフェノン系等、各種紫外線吸収剤である。
【0033】
さらに(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、アスパラギン酸ナトリウム等の保湿剤、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等の抗菌剤、塩化カルプロニウム等の血管拡張剤、メントール類等の清涼感付与剤、ニコチン酸ベンジル等の刺激感付与剤、ビタミンA、B、C、D、E等のビタミン類、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌防腐剤、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等のキレート化剤、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤、エアゾール製品の場合は液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤、金属イオン捕獲剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料、等である。
【0034】
また本発明品と異なる公知のカチオン性、アニオン性、両イオン性、ノニオン性の合成系、半合成系、天然系のポリマーを本発明品と併用することも可能である。カチオン性ポリマーとしては、例えば、例えばルビカットFC370、FC550、FC905、HM552、MonoCP(以上、BASF社)等のビニルイミダゾリウムクロライド/ビニルピロリドンコポリマー、セルカットH−100(粘度1000mPa・s)、L−200(粘度100mPa・s)(以上、ナショナル・スターチ社)等のヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、マーコート100、550等の塩化ジアリルジメチルアンモニウムのホモポリマー及び塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、これらを含むターポリマー(マーコート3331)、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとを含むコポリマーまたはターポリマー(マーコート2001)等(以上、ナルコ社)、ガフカット734、755N、755(以上、ISP社)等のビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ルビフレックス(BASF社)、コポリマー845、937、958(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、コポリマーVC−713(ISP社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ガフカットHS−100(ISP社)等のビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、成分表示名称がポリクオタニウム−52のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールのコポリマー、特開平2−180911号公報に記載の水溶性高分子化合物等のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、N−プロピオニルポリエチレンイミン/メチルポリシロキサンコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル/メトキシポリエチレングリコールコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アルキルエステルコポリマー等が挙げられる。アニオン性ポリマーとしては、例えばガントレッツES−225、ES−425、SP−215(以上、ISP社)等のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステルコポリマー、レジン28−1310(ナショナル・スターチ社)、ルビセットCA(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、レジン28−2930(ナショナル・スターチ社)等の酢酸ビルニ/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ルビセットCAP(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、ADVANTAGECP(ISP社)等の酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソポロニルアクリレートコポリマー、プラスサイズL53P、L−75CB、L−9540B(互応化学社)、ダイヤホールド(三菱化学社)等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー、ウルトラホールド8、ウルトラホールド・ストロング(以上、BASF社)、アンフォーマーV−42(ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミドコポリマー、ルビフレックスVBM35(BASF社)等のポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー等、成分表示名称がポリウレタンー1のイソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸及びジイソシアン酸イソホロンのコポリマー等のウレタンポリマーが挙げられる。両イオン性ポリマーとしては、例えばユカフォーマーSM、301、205S、201、W等(以上、三菱化学社)のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステルコポリマー、アンフォーマー28−4910、LV−71(以上、ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミドコポリマー等が挙げられる。ノニオン性ポリマーとしては、例えばルビスコールK12、17、30、60、80、90(以上、BASF社)、PVP K15、30、60、90(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン、ルビスコールVA28、37、55、64、73、VA37E(以上、BASF社)、PVP/VA E−735、E−635、E−535、E−335、S−630、W−735(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ルビスコールVAP343(BASF社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルコポリマー、Dowtex(ダウ・ケミカル社)等の酢酸ビニル/N−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンコポリマー等が挙げられる。
【0035】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【実施例1】
【0036】
攪拌機、還流冷却管、単量体滴下口、および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、脱イオン水134.31g、50%アクリルアミド水溶液5.22g、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液21.72g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)1.64g、ギ酸ナトリウム0.35gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース8.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入1時間後、10%過硫酸アンモニウム水溶液1.60gを添加し重合を開始させた。一方で、25%ギ酸ナトリウム水溶液1.40gに50%アクリルアミド水溶液19.64g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)4.31g、を加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後再度10%過硫酸アンモニウム水溶液1.60gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC-MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量35万を示した。これをグラフト共重合体1とする。
【実施例2】
【0037】
実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水138.45g、50%アクリルアミド水溶液6.08g、80%メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液3.17g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)1.63g、ギ酸ナトリウム0.35gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース8.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入1時間後、2%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し重合を開始させた。一方で、25%ギ酸ナトリウム水溶液1.40gに50%アクリルアミド水溶液22.88g、80%メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液11.92g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)6.15g、を加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後再度2%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC-MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量190万を示した。これをグラフト共重合体2とする。
【実施例3】
【0038】
実施例1と同様の反応容器に、攪拌機、還流冷却管、単量体滴下口、および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに、脱イオン水134.01g、50%アクリルアミド水溶液6.64g、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液15.78g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)1.78g、ギ酸ナトリウム0.35gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース8.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入1時間後、10%過硫酸アンモニウム水溶液1.60gを添加し重合を開始させた。一方で、25%ギ酸ナトリウム水溶液1.40gに50%アクリルアミド水溶液24.97g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)6.71g、を加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後再度10%過硫酸アンモニウム水溶液1.60gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC-MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量85万を示した。これをグラフト共重合体3とする。
【実施例4】
【0039】
実施例1と同様の反応容器に、実施例1と同様の反応容器に、脱イオン水124.98g、50%アクリルアミド水溶液5.47g、80%メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液4.98g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)5.14g、ギ酸ナトリウム0.35gを加え、均一な混合溶液とした。攪拌しながらヒドロキシエチルセルロース8.00gを加え、窒素導入管より窒素を導入し、恒温水槽により内部温度を65℃に調整した。窒素導入1時間後、2%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し重合を開始させた。一方で、25%ギ酸ナトリウム水溶液1.40gに50%アクリルアミド水溶液20.56g、80%メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液18.75g、70%ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体水溶液(大阪有機製)19.34g、を加え、混合液を調整した。この混合液を、反応開始直後から5時間かけて系内に滴下しながら重合を行った。5時間後再度2%過硫酸アンモニウム水溶液0.80gを添加し、さらに17時間重合を継続し反応を終了した。GPC-MALSにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量150万を示した。これをグラフト重合体4とする。
【実施例5】
【0040】
実施例1〜4の各グラフト重合体と市販カチオンポリマーを表1に示す組成で溶解し、シャンプー液を調整した。添加した濃度と溶解時のシャンプー液の外観を表2に示した。各サンプルについて、毛髪シャンプーとしての使用感を下記方法により官能評価し、表3に示されている基準により評価した。
(1)成分Aの調整
精製水を60℃まで加温し、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、モノエタノールアミドを加え攪拌した。加温を止め、1、3−ブタンジオール、フェノキシエタノール、EDTA・2Na・2HOを添加後攪拌し、室温まで冷却した。
(2)成分Bの調整
各グラフト重合体、及び市販カチオンポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)シャンプー液の調整
成分Aを60℃まで加熱し、成分Bを添加し十分に攪拌した後、室温にまで冷却した。
(4)評価方法
各シャンプー液について、パネラー5名により実用試験を行い、洗髪時の泡立ち、洗髪時の滑らかさ、洗髪時の指どおり、洗髪時のぬめり感、すすぎ速さ、洗浄後のきしみ感、洗浄後の櫛どおりについて官能評価し、ポリクオタニウム−10の1.0%シャンプー液の使い心地を標準値3として、表3に示される基準により評価した。結果を表4、対照品である市販カチオンポリマーの使用感を表5に示す。
【0041】
(表1)
シャンプー液組成

【0042】
(表2)

【0043】
(表3)

【0044】
(表4)

【0045】
(表5)

【0046】
表4と表5の結果比較から明らかなように、ポリクオタニウム−10では高いコンディショニング効果を得るために1.0%程度の添加が必要であるのに対し、本発明品のグラフト重合体1〜4は、0.1%程度の添加量で同等の効果を得ることができると判明した。また、ポリクオタニウム−7の場合、0.2%以上の添加でシャンプー溶液が微濁し、使用時に強いぬめり感を伴うのに対し、本発明品のグラフト重合体1〜4は、高添加にも関わらずぬめりが生じないことも明らかとなった。さらに、グラフト重合体1〜4は、すすぎ速度が速く使用後のさっぱり感が強いこと、加えて、使用感がなめらかであり、洗浄後のしっとり感が強いことが大きな特徴であると確認された。
【実施例6】
【0047】
グラフト重合体1〜4と市販カチオンポリマーを表6に示す組成で溶解し、コンディショナー液を調整した。各サンプルについて、毛髪コンディショナーとしての使用感を下記方法により官能評価し、表7に示されている基準により評価した。
(1)成分Aの調整
カチオン系界面活性剤、ステアリルアルコール、グルタミン酸を75℃下で攪拌し、融解した。次いで75℃に温めたイオン交換水を加えさらに溶解した。
(2)成分Bの調整
各グラフト重合体、及び市販カチオンポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)コンディショナー液の調整
成分Aを75℃まで加熱し、成分Bを添加し十分に攪拌した後、室温にまで冷却した。
(4)評価方法
各コンディショナー液について、パネラー5名により実用試験を行った。コンディショナーを使用する前には、表1で示した組成でポリマーを添加しないシャンプーを調整し、それを使用して毛髪の洗浄を行った。洗髪後、使用した各コンディショニンナーの塗布時のしなやかさ、塗布時のなめらかさ、毛髪のすすぎ時のなめらかさ、タオルドライ後の指通りの良さ、乾燥直後の毛髪の指通りの良さ、乾燥直後のサラサラ感、乾燥翌日の毛髪のうるおい感について官能評価し、表7に示される基準により評価した。評価に際しては、カチオンポリマー無添加にて調整したコンディショナーの使い心地を標準値3とした。ポリマー無添加品、グラフト重合体1〜4の使用感、及び対照品である市販カチオンポリマーの使用感を表8に示す。
【0048】
(表6)

【0049】
(表7)

【0050】
(表8)

【0051】
表8の結果比較から、グラフト重合体1〜4は、コンディショナーに添加することで、高いコンディショニング効果を発現することが分かった。この効果は、既存品ポリクオタニウム−6よりも高かった。また、本発明品は、乾燥直後、及び乾燥翌日の髪の状態を良好に保つ効果が高く、乾燥後の髪の感触を柔らかくする効果があることも確認された。
【実施例7】
【0052】
グラフト重合体1〜4と市販カチオンポリマーをそれぞれ0.5%濃度にて溶解した。この溶液を、カール保持力を有するセット用整髪料として使用し、使用感を下記方法により官能評価した。
(1)評価方法
溶解した0.5%ポリマー溶液に、長さ35cmの束状の髪の毛を15秒間浸漬させた。取り出した後水分を軽く切り、直径2cmのヘアカーラーに髪全体を巻きつけ、高温ドライヤーにて15分乾燥させた。髪をカーラーに巻いた状態のまま、温度26℃、湿度60%の恒温室にて30分間静置した。その後、ヘアカーラーから髪をはずし、毛束根元から毛先までの長さを測定した。このときの長さをL0とした。測定後の髪をつるし、さらに30分静置した。その後の髪全体の長さを測定し、この値をL1とした。測定後の髪に5回櫛を通し、再度測定した値をL2として記録した。また、使用後の髪の感触も同時に評価した。カール保持力評価は、L0、L1、L2値の比較により行った。その際、水のみに浸漬させた毛束のL0、L1、L2値を測定してブランクとした。ブランク値、グラフト重合体1〜4、及び対照品である市販カチオンポリマーのL0、L1、L2の値と使用後の感触を表9に示す。
【0053】
(表9)

【0054】
表9の結果から明らかなように、グラフト重合体1〜4においてはL0、L1、L2いずれの値も小さかった。これらの結果は、本発明品には優れたカール生成力、保持力があること、生成されたカールは櫛通しに対しても耐久性があることが分かった。使用後の感触については、ブランクの場合、髪が乾燥してまとまり感がなくぱさぱさになり、ポリクオタニウム−6、7ではポリマー由来のべとつきが髪の残り、ポリクオタニウム−10では髪が束状に固まり堅くばさばさな感触になったが、本発明品では、使用後の感触が柔らかく、髪に潤いとさらさら感を与える特徴があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させたことを特徴とする毛髪化粧料用添加剤。
【請求項2】
前記複数種類の水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体と前記ベタイン型水溶性単量体のモル比が1:20〜20:1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項3】
前記OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体の総量と前記複数種類の水溶性単量体の総量との重量比が5:95〜80:20であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項4】
前記OH基をもつ天然高分子または天然高分子誘導体の2%水溶液粘度が25℃において20000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項5】
前記グラフト共重合の開始剤が過硫酸塩であり、50℃以上で重合反応を行うことを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項6】
前記ベタイン型単量体およびアクリルアミドの一部を連続的あるいは逐次添加しながら攪拌下グラフト共重合させたことを特徴とする請求項9に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項7】
前記グラフト共重合において必要に応じて連鎖移動剤を添加することにより分子量を調整し、生成したグラフト共重合体の重量平均分子量が1万〜300万であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項8】
前記複数種類の水溶性単量体の主成分がジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項9】
前記OH基をもつ天然高分子が、グアーガム、ローカストビーンガムおよびセリシンから選ばれる天然高分子であり、前記OH基をもつ天然高分子誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルグアーガムから選ばれる天然高分子誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項10】
天然高分子を用いず、前記OH基をもつ天然高分子誘導体が、2%水溶液粘度が25℃において100〜10000mPa・sであるヒドロキシエチルセルロースであり、前記複数種類の水溶性単量体の主成分がジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドであり、該ベタイン型単量体およびアクリルアミドの一部を連続的あるいは逐次添加しながら攪拌下、過硫酸塩を開始剤として用い50℃以上でグラフト共重合させたことを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用添加剤。
【請求項11】
OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体を水に溶解した後、水媒体中でカチオン性水溶性単量体とベタイン型水溶性単量体を必須成分とし、必要に応じ、それらと共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含む複数種類の水溶性単量体をグラフト共重合させた毛髪化粧料用添加剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項12】
前記OH基をもつ天然高分子および/または天然高分子誘導体の総量と前記複数種類の水溶性単量体の総量との重量比が5:95〜80:20であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項13】
前記OH基をもつ天然高分子または天然高分子誘導体の2%水溶液粘度が25℃において20000mPa・s以下であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項14】
グラフト共重合させた毛髪化粧料用添加剤の重量平均分子量が1万〜300万であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項15】
毛髪化粧料がシャンプーであり、前記複数種類の水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体が5〜30モル%の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項16】
毛髪化粧料がリンス、コンディショナー、トリートメント、セット用整髪料、パーマ液、染毛料であり、前記複数種類の水溶性単量体中の前記カチオン性水溶性単量体が5〜90モル%の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項17】
前記複数種類の水溶性単量体の主成分がジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドであることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項18】
前記OH基をもつ天然高分子が、グアーガム、ローカストビーンガムおよびセリシンから選ばれる天然高分子であり、前記OH基をもつ天然高分子誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルグアーガムから選ばれる天然高分子誘導体であることを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。
【請求項19】
天然高分子を用いず、前記OH基をもつ天然高分子誘導体が、2%水溶液粘度が25℃において100〜10000mPa・sであるヒドロキシエチルセルロースであり、前記複数種類の水溶性単量体の主成分がジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルメタアクリレ−トにモノハロ酢酸を反応させたベタイン型単量体およびアクリルアミドであり、該ベタイン型単量体およびアクリルアミドの一部を連続的あるいは逐次添加しながら攪拌下、過硫酸塩を開始剤として用い50℃以上でグラフト共重合させたことを特徴とする請求項11に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−189277(P2010−189277A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32097(P2009−32097)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】