説明

毛髪化粧料組成物、その使用方法及び毛髪化粧料用品

【課題】ノンエアゾールフォーマー容器から泡状剤型で吐出される毛髪化粧料であって、毛髪に良好な感触を付与し、かつ吐出泡質の不具合のない毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、非イオン性界面活性剤を10質量%以上含有し、かつ、カチオン化ポリマー、並びにジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体から選ばれる少なくとも一種、及びシリコーン類を含有する毛髪化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物、その使用方法及び毛髪化粧料用品に関する。更に詳しくは、本発明は、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物と、その使用方法と、その毛髪化粧料組成物及びノンエアゾールフォーマー容器を含んで構成される毛髪化粧料用品に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤や毛髪脱色剤等の毛髪化粧料を使用時に泡状の剤型にして用いることが知られている。一般的には、これらの毛髪化粧料を泡状の剤型で使用すると、毛髪にムラなく均一に塗布することが容易であり、汎用されているゲル状やクリーム状の毛髪化粧料の使用時における毛髪ブロッキングの手間を不要化できる、等の利点を期待できる。
【0003】
泡状の剤型で用いる毛髪化粧料は、エアゾールタイプとノンエアゾールタイプに大別することができる。エアゾールタイプは液化ガスのような噴射剤を用い、エアゾールを利用した気泡の形成により剤型を泡状にする。ノンエアゾールタイプは、噴射剤を用いずに、ポンプフォーマーやスクイズフォーマーその他のノンエアゾールフォーマー容器(以下、単に「フォーマー容器」ともいう)を使用して空気を取り込んだ気泡を形成し、剤型を泡状にする。泡状剤型化するための容器の構成が簡易でコスト的に有利である点、保存時や取扱い時の危険がない点等からは、ノンエアゾールフォーマー容器が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−136818号公報。
【特許文献2】特開平10−287534号公報。
【特許文献3】特開2007−291015号公報。
【特許文献4】特開2008−291020号公報。
【特許文献5】特開2004−339216号公報。
【特許文献6】特開2010−006803号公報。 上記の特許文献1、特許文献2には、エアゾールにより剤型を泡状にして用いる酸化染毛剤組成物あるいは染毛剤組成物が開示されている。又、上記の特許文献3、特許文献4には、ノンエアゾールフォーマー容器により剤型を泡状にして用いる染毛剤等が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノンエアゾールフォーマー容器から吐出される泡状剤型の毛髪化粧料では、毛髪の良好な感触が得られ難いという問題があった。そのため、例えば特許文献5に開示された毛髪化粧品を構成する2剤式毛髪化粧料(泡状染毛剤)や、特許文献6に開示された二剤式泡状染毛剤のように、感触向上成分として従来から知られているカチオン化ポリマーを配合することが試みられていた。
【0006】
しかし、毛髪化粧料にカチオン化ポリマーを配合すると、毛髪化粧料の粘度の上昇に基づき、(1)毛髪化粧料がノンエアゾールフォーマー容器のネットのメッシュを通過し難くなってキメの細かい良質な泡を生成できないという問題、(2)泡質も強くなりすぎて、毛髪へのなじみが悪く毛髪に塗布し難い泡となるという問題、等の吐出泡質の不具合が発生することが判明した。
【0007】
そこで本発明は、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状剤型で吐出される毛髪化粧料であって、毛髪に良好な感触を付与することができ、かつ、吐出泡質の不具合のない毛髪化粧料を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、下記の(A)成分を10質量%以上含有し、かつ、下記の(B)成分及び(C)成分を含有する、毛髪化粧料組成物である。
(A)非イオン性界面活性剤。
(B)カチオン化ポリマー、並びにジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体から選ばれる少なくとも一種。
(C)シリコーン類。
【0009】
上記の第1発明において「10質量%以上」とは、「第1剤と第2剤の混合時において10質量%以上」であることを意味する。同様に、本願明細書において、ある成分の含有量を規定する数値は、特にことわりがない限り、「第1剤と第2剤の混合時における含有量」であることを意味している。
【0010】
又、本発明においては、高分子であるカチオン性界面活性剤は「カチオン化ポリマー」に包含されず、「界面活性剤」に包含される。更に、高分子であるカチオン化シリコーンも「カチオン化ポリマー」に包含されず、「シリコーン類」に包含される。
【0011】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪化粧料組成物において、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比A/Bが10〜1000の範囲内である、毛髪化粧料組成物である。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪化粧料組成物において、(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/Bが0.01〜50の範囲内である、毛髪化粧料組成物である。
【0013】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物において、(B)成分がカチオン化多糖類、並びにジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として少なくとも含む重合体及び共重合体から選ばれる少なくとも一種である、毛髪化粧料組成物である。
【0014】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記1発明〜第4発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物が酸化染毛剤、酸性染毛料、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤である、毛髪化粧料組成物である。
【0015】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用する、毛髪化粧料組成物の使用方法である。
【0016】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される、毛髪化粧料用品である。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状剤型で吐出される毛髪化粧料であって、毛髪に良好な感触を付与することができ、かつ吐出泡質の不具合のない毛髪化粧料組成物が提供される。このような効果が得られる理由は、以下のように推定することができる。
【0018】
(A)成分である非イオン性界面活性剤を起泡剤として含む毛髪化粧料に(B)成分を配合すると、(1)毛髪化粧料がノンエアゾールフォーマー容器のネットのメッシュを通過し難くなって微細な泡を生成できない、(2)泡質も強くなりすぎ、毛髪へのなじみが悪く毛髪に塗布し難い泡となる、等の吐出泡質の不具合を生じ得る。
【0019】
しかし、更に(C)成分であるシリコーン類を配合すると、毛髪化粧料の粘度上昇が抑制され流動性が改善される結果、上記(1)の不具合が解消され、微細な泡を生成できる。又、(C)成分は界面活性剤の配列を乱すという作用に基づき一定の消泡作用を示すため、上記(2)の不具合が解消され、強すぎる泡質が適度に弱くなる。加えて、(C)成分は元々感触向上成分であるため、毛髪の感触が更に向上する。
【0020】
一方、(C)成分は、上記した消泡作用に基づき、泡状剤型の毛髪化粧料の適用時に垂れ落ちを起こし易くなるという問題もある。しかし、(B)成分により泡質が強くなる点と、(A)成分である非イオン性界面活性剤を10質量%以上含有する点とから、この問題はバランス良く解消される。なぜなら、(A)成分は、消泡し難い泡を生成し、かつ、刺激が少ないため、10質量%以上の(A)成分が、少ない刺激のもとに、(C)成分の消泡作用を適度なレベルに抑制するからである。
【0021】
なお、毛髪化粧料組成物における(A)成分の含有量が10質量%未満である場合は、泡状剤型の毛髪化粧料の適用時に、垂れ落ちを起こし易くなる。
【0022】
第2発明に規定するように、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比A/Bは、10〜1000の範囲内であることが好ましい。A/Bが10未満であると前記した(B)成分の負の作用が表面化して吐出泡質が必要以上に強くなる恐れがあり、A/Bが1000を超えると毛髪の感触が悪くなる恐れがある。
【0023】
第3発明に規定するように、(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/Bは、0.01〜50の範囲内であることが好ましい。C/Bが0.01未満であると、前記した(B)成分の負の作用が表面化して吐出泡質が必要以上に強くなる恐れがあり、C/Bが50を超えると、(B)成分と(C)成分のバランスが崩れて消泡しやすくなる恐れがある。
【0024】
第4発明に規定するように、(B)成分としては水溶性に優れるカチオン化多糖類、並びにジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として少なくとも含む重合体及び共重合体から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0025】
第5発明によれば、毛髪化粧料組成物の特に好ましい実施形態である酸化染毛剤、酸性染毛料、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤が提供される。
【0026】
第6発明によれば、毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から良好な泡状に吐出させて毛髪に適用するための有効な方法が提供される。
【0027】
第7発明によれば、毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される簡便な毛髪化粧料用品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0029】
〔毛髪化粧料組成物〕
本発明に係る毛髪化粧料組成物は、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用するためのものであり、必須成分として(A)成分である非イオン性界面活性剤を10質量%以上含有し、かつ(B)成分であるカチオン化ポリマー並びにジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体から選ばれる少なくとも一種と、(C)成分であるシリコーン類を含有する。
【0030】
毛髪化粧料組成物は2剤式であるが、第1剤及び/又は第2剤を更に複数の剤に分割して構成したものも包含される。
【0031】
2剤式である毛髪化粧料組成物において、(A)成分〜(C)成分の第1剤と第2剤への配合の態様は基本的に限定がなく、任意に選択できる。例えば(A)成分は第1剤と第2剤のいずれか一方に配合しても良いが、第1剤と第2剤の混合時配合量が10質量%以上となるように、第1剤と第2剤の双方に分散配合しても良い。又、(B)成分及び(C)成分も、第1剤と第2剤のいずれか一方に配合しても良いが、第1剤と第2剤の双方に分散配合しても良い。
【0032】
〔毛髪化粧料組成物の剤型など〕
2剤式である毛髪化粧料組成物における第1剤及び第2剤の起泡前の剤型としては、例えば固体状、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状の剤型としては、例えば粉末状、及び錠剤が挙げられる。固体状の剤型とする場合には、第1剤及び第2剤を混合するに際して分散性に優れるという観点から、粉末状であることが好ましい。なお、例えば第1剤を固体状の剤型とする場合には第2剤は水を含有する剤とされる。要するに、毛髪化粧料組成物では、その第1剤と2剤の混合時において、それぞれ流動性が確保できるものであれば、剤型は特に限定されない。
【0033】
又、毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤の少なくとも一方に、起泡させるための基剤として水が含有されている。水の含有量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0034】
〔(A)成分〕
本発明の(A)成分は毛髪化粧料組成物に10質量%以上配合される非イオン性界面活性剤である。(A)成分の配合量は、後述する質量比A/Bに関して好ましい配合量を設定できる他、毛髪化粧料組成物中の11質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。(A)成分の配合量の上限は限定されないが、例えば50質量%以下にとどめることができる。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては以下のものが例示されるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤は、その1種類を単独で用いても良いが、その2種類以上を併用しても良い。特にHLB14以上の非イオン性活性剤とHLB5以上14未満の非イオン性活性剤を併用すると製剤の安定性が良い。HLB(親水親油バランス:Hydrophile-Lipophile Balance)は公知のGriffinの式から算出される。
【0036】
1.ポリオキシエチレン(以下POEと略す)セチルエーテル、POEラウリルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、
POEオレイルエーテル、POEトリデシルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEデシルペンタデシルエーテル、POEデシルテトラデシルエーテル、POEアルキル(C12〜14)エーテル等のPOEアルキルエーテル。
【0037】
2.POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル。
【0038】
3.モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル。
【0039】
4.モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン等のPOEグリセリルモノ脂肪酸エステル。
【0040】
5.テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ等のPOEソルビトール脂肪酸エステル。
【0041】
6.POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油。
【0042】
7.モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール。
【0043】
8.親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン等の高級脂肪酸グリセリンエステル。
【0044】
9.モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル。
【0045】
10.POEラノリン、POEラノリンアルコール、POEソルビトールラノリン等のラノリン誘導体。
【0046】
11.ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等のアルキロールアミド。
【0047】
12.POEステアリン酸アミド等のPOE脂肪酸アミド。
【0048】
13.ショ糖脂肪酸エステル。
【0049】
14.ジメチルラウリルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド。
【0050】
15.ラウリルグルコシド、アルキル(8〜16)グルコシド等のアルキルグルコシド。
【0051】
16.レシチン誘導体水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン等。
【0052】
17.POE・ポリオキシプロピレン(以下POPと略す)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル。
【0053】
〔(A)成分以外の界面活性剤〕
なお、本発明の毛髪化粧料組成物に上記非イオン性界面活性剤に加えて任意の他種の界面活性剤を配合する点については、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。これらの他種の界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0054】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91等が例示されるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いても良いが、起泡性及び感触の面から2種類以上を併用することが好ましい。カチオン性界面活性剤の配合量は0.1〜10質量%が好ましい。
【0055】
アニオン性界面活性剤としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)等のN−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステル等が例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アニオン性界面活性剤の配合量は0.05〜10質量%が好ましい。
【0056】
両性界面活性剤としては、以下のものが例示される。
【0057】
1.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0058】
2.デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0059】
3.ココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、綿実アンホ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0060】
4.ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0061】
5.ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン。
【0062】
両性界面活性剤の配合量は0.05〜10質量%が好ましい。
【0063】
〔(B)成分〕
本発明の(B)成分はカチオン化ポリマー、並びにジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体から選ばれる少なくとも一種である。(B)成分の配合量は特段に限定されないが、0.01〜2質量%の範囲内が好ましい。一方、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比A/Bは、限定はされないが、10〜1000の範囲内、特に50〜500の範囲内であることが好ましい。(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/Bも、限定はされないが、0.01〜50の範囲内、特に0.1〜20の範囲内であることが好ましい。
【0064】
カチオン化ポリマーとしては、水溶性のカチオン化ポリマーが好ましい。水溶性のカチオン化ポリマーとしては、カチオン化多糖類であるカチオン化セルロース、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム等の他、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6、例えばマーコート100;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7、例えばマーコート550;Nalco社)、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0065】
カチオン化セルロースの具体例としては、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム-10、例えばレオガードG、同GP;ライオン社、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M;Amerchol社)、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4、例えばセルコートHC-100、同HC-200、同LC-100、同L-200;ナショナルスターチアンドケミカル社)等が挙げられる。
【0066】
カチオン化グアーガムの具体例として、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム等が挙げられる。
【0067】
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11、例えばガフコート734、同755、同755N;アイエスピー・ジャパン社)等が挙げられる。
【0068】
ジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22、例えばマーコート280、同295;Nalco社)、アクリル酸/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-39、例えばマーコートプラス3330,3331;Nalco社)等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも、毛髪化粧料組成物の粘度上昇を考慮すると、特にカチオン化多糖類、並びにジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として少なくとも含む重合体及び共重合体から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
〔(B)成分以外のポリマー〕
なお、本発明の毛髪化粧料組成物に上記カチオン化ポリマーに加えて任意の他種のポリマーを配合する点については、発明の効果を妨げない範囲で配合できる。
【0070】
これらのポリマーとしては、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、アクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体等の、B成分に該当する成分を除く両性ポリマー、アラビアガム、カラヤガム等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマー、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系ポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマー、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、等が例示される。
【0071】
〔(C)成分〕
本発明の(C)成分はシリコーン類である。(C)成分の配合量は限定されないが、後述する質量比C/Bに関して好ましい配合量を設定できる。一般的には、毛髪化粧料組成物中の0.01〜3質量%程度の範囲内が好ましい。
【0072】
シリコーン類の具体例として、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとして好ましくは、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとして好ましくは、PEG−10ジメチコン、PEG−11ジメチコンが挙げられる。
【0073】
〔毛髪化粧料組成物のカテゴリー〕
本発明の毛髪化粧料組成物は、限定はされないが、例えば酸化染毛剤、酸性染毛料、毛髪脱色剤、又は毛髪脱染剤として構成される。特に好ましくは、酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として構成される。
【0074】
(酸化染毛剤)
酸化染毛剤は、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、毛髪のメラニンを分解し、酸化剤による酸化染料の酸化重合に起因して染毛を行う。酸化染料は染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料に代えて、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料、分散染料等の直接染料を配合することもできる。
【0075】
染料中間体としては、例えばフェニレンジアミン類、アミノフェノール類、トルイレンジアミン類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩類が挙げられる。塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩等が挙げられる。
【0076】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する化合物であって、必要に応じて第1剤に含有される。カプラーとしては、例えばレゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩が挙げられる。
【0077】
酸化染毛剤中における染料中間体の含有量は好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。染料中間体の含有量が0.01質量%未満の場合、十分な染色性が得られない恐れがある。染料中間体の含有量が10質量%を超えても染色性はそれ以上向上しないことから、染毛の経済性が低下する恐れがある。
【0078】
第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0079】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及び硫酸塩が挙げられる。有機アミン類としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン及びリジン、並びに塩基性アミノ酸塩が挙げられる。塩基性アミノ酸の塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0080】
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤及び第2剤を混合した酸化染毛剤においてpHが7〜12の範囲となる量である。pHが7未満では、第2剤に酸化剤としての過酸化水素が含有される場合、過酸化水素の作用が十分に促進されない恐れがある。使用時のpHが12を超えると、酸化染毛剤が毛髪に塗布されたときに、毛髪に損傷等の不具合が発生し易くなる恐れがある。
【0081】
第2剤は少なくとも酸化剤を含んでいる。酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させる。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及び、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。
【0082】
第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満の場合、酸化染料を十分に酸化重合させることが困難となる恐れがある。酸化剤の含有量が10.0質量%を超える場合、毛髪が損傷し易くなる恐れがある。
【0083】
(酸性染毛料)
酸性染毛料は、通常は1剤式であって、液性がpH2.5〜4.0程度の酸性であり、陽イオン性を帯びた毛髪に対して酸性染料をイオン結合させるものである。酸性染料としては、例えばニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料等が挙げられる。
【0084】
酸性染料として、より具体的には、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0085】
酸性染毛料中における酸性染料の含有量は、0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
【0086】
(毛髪脱色剤)
毛髪脱色剤は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなり、毛髪のメラニンを分解して毛髪を脱色する。毛髪脱色剤は、酸化染料を含有しない点を除けば、基本的に酸化染毛剤と同様に構成される。
【0087】
(毛髪脱染剤)
毛髪脱染剤は通常は2剤以上の多剤式であって、毛髪の脱染(毛髪に染着した染料の分解)を主目的とするものであり、毛髪脱色剤との比較では、第1剤にアルカリ剤を配合すると共に、更にアルカリ剤の一種である過硫酸塩を脱色助剤として配合する点が異なる。第1剤は粉末状ないしは顆粒状、タブレット状等であり、第2剤は液状である。
【0088】
過硫酸塩としては、過硫酸のアルカリ金属塩が好ましく例示され、過硫酸カリウムあるいは過硫酸ナトリウムがとりわけ好ましく例示される。過硫酸塩の配合量は限定されないが、好ましくは2.0〜25質量%の範囲内、より好ましくは3.5〜18質量%の範囲内である。
【0089】
〔毛髪化粧料組成物における他の成分〕
毛髪化粧料組成物における第1剤や第2剤には、必要に応じ、上記した成分以外にも、例えば油性成分、キレート剤、無機塩、分散剤等を適宜に選択して含有させてもよい。
【0090】
油性成分としては、前記シリコーン類を除き、例えば高級アルコール、油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、多価アルコールが挙げられる。
【0091】
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。高級アルコールは、毛髪化粧料組成物をノンエアゾールタイプの泡状の剤型にして毛髪に塗布した際において、剤の垂れ落ち防止効果を増進する作用がある。
【0092】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。
【0093】
ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
【0094】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。
【0095】
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。
【0096】
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0097】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0098】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0099】
キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類が挙げられる。無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが挙げられる。分散剤としては、例えばステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0100】
毛髪化粧料組成物における第1剤や第2剤には、その他にも、例えば糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。
【0101】
〔毛髪化粧料組成物の使用方法〕
本発明に係る毛髪化粧料組成物の使用方法は、上記した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用する方法である。
【0102】
ノンエアゾールフォーマー容器としては、毛髪化粧料組成物に対してノンエアゾールタイプの起泡と吐出を行える機能を有するものである限りにおいて限定されない。好ましくは、後述のノンエアゾールフォーマー容器を用いて起泡させることができる。
【0103】
〔毛髪化粧料用品〕
本発明に係る毛髪化粧料用品は、使用時にノンエアゾールタイプの泡状の剤型にして毛髪に適用するための上記毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される。
【0104】
ノンエアゾールフォーマー容器の代表的な例として、ポンプフォーマーやスクイズフォーマーを挙げることができる。ポンプフォーマーとは、ポンプヘッド部を押圧操作することにより収容液(例えば、毛髪化粧料の第1剤/第2剤混合液)を泡状にして吐出させるもので、収容液を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出器を容器本体の口首部に装着したものである。ポンプフォーマーは特開2007−275777号公報等に開示されており、公知である。スクイズフォーマーとは、軟質合成樹脂製の容器本体を手指を用いてスクイズする(容器に対する圧縮操作と圧縮解除操作を繰り返す)ことにより、同上の収容液と空気をフォーマー用吐出ヘッドの気液混合室に導入して混合し、泡吐出器により形成された泡をノズルから吐出するものである。スクイズフォーマーは特開2008−291024号公報や雑誌「フレグランスジャーナル」の2009年6月号に掲載された文献「ヘアカラー技術の新しい動向(−泡状ヘアカラー技術の開発−)」等に記載されており、公知である。
【0105】
ノンエアゾールフォーマー容器の泡吐出器は、泡を形成するための多孔質膜を1つ又は複数有する。多孔質膜の材質としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。多孔質膜のメッシュとしては、例えば50〜300メッシュが好ましい。また、気体と液体の混合比(気液混合比)は、気体/液体=5/1〜20/1の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0106】
以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。
【0107】
〔2剤式染毛剤の構成〕
末尾の表1に示す組成の染毛剤第1剤の例1〜例6と、表2に示す組成の染毛剤第2剤の例1〜例13を準備し、これらの第1剤と第2剤を表3の「組合せ」の欄に示す通りに選択的に組合せて、実施例1〜実施例14、比較例1〜比較例4に係る2剤式染毛剤を構成した。
【0108】
表1及び表2において、第1剤又は第2剤の成分の含有量を示す数値は、第1剤と第2剤の混合時の含有量表記ではなく、第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量表記である。本発明の(A)成分、(B)成分又は(C)成分に該当する成分については、表の左側の欄外に「A」、「B」又は「C」と表示した。表2に示す「C」成分であるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体としては、東レ・ダウコーニング社製のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(20%)であるFZ−4671を用いた。
【0109】
表3において、「組合せ」の欄中の「第1剤」と「第2剤」の項に表示した数字は、表1又は表2に示す第1剤又は第2剤の例番号である。表3には、各実施例、比較例における質量比A/Bと質量比C/Bも併せて示した。
【0110】
〔2剤式染毛剤の評価〕
上記の各実施例、各比較例に係る第1剤と第2剤を質量比1:1の割合で前記したノンエアゾールフォーマー容器(ポンプフォーマー)に収容して混合液とし、そのポンプヘッド部を押圧操作することにより前記混合液を泡剤型で吐出した。ポンプフォーマーとしては、(株)吉野工業所製の商品名W−5721、WPフォーマーポンプ Lノズルタイプ(気/液混合比:13/1、吐出量:0.9g(1プッシュ)、多孔質膜:90メッシュのポリエチレン製メッシュリング2枚)を使用した。
【0111】
(泡質の評価)
ノンエアゾールフォーマー容器から吐出した各実施例、各比較例に係る泡状の染毛剤について、キメの細かさ・かさ高さの観察評価により「泡質」を評価した。
【0112】
評価は以下の評価基準に基づく8段階の評価により行い、評価結果を表3に示した。
【0113】
◎ :泡のキメが細かく大変整っており、非常にかさ高い泡である
◎〜○ :泡のキメが整っており、非常にかさ高い泡である
○ :泡のキメが整っており、かさ高い泡である
○〜△ :泡のキメが整っており、ややかさ高さに欠ける泡である
△ :僅かに泡かみがあり、かさ高さに欠ける泡である
△〜× :泡かみが多く、かさ高さに欠ける泡である
× :泡かみが多く、水っぽく広がる泡である
×× :泡かみが多く大きな泡をかみ、大変水っぽく広がる泡である
ここで、泡かみとは、泡の大きさが均一な、いわゆるキメが整った状態ではなく、大きな気泡を含んでポンプフォーマー容器から吐出される様子をいう。
【0114】
(感触の評価)
各実施例、各比較例に係る上記の泡状の染毛剤を、吐出後直ちに、評価用毛髪として用いた30cmのロング毛束にそれぞれ常法により塗布した。そして、塗布後の評価用毛髪を30分後に水洗し、シャンプーを2回行い、次いでトリートメントを行ったもとで、10名のパネラーにより評価用毛髪の感触を評価した。
【0115】
評価は以下の評価基準に基づく8段階の評価により行い、10名のパネラーの評価結果の内、最も多い評価結果を採用した。評価結果を表3に示した。
【0116】
◎ :毛髪にごわつきがなく、非常に滑らかであり指通りが良い
◎〜○ :毛髪にごわつきがなく、滑らかさがあり指通りが良い
○ :毛髪にごわつきがほとんどなく、滑らかである
○〜△ :毛髪にごわつきが少なく、滑らかである
△ :毛髪にごわつきが僅かに感じられ、毛髪表面に滑らかさが足りない
△〜× :毛髪にごわつきが感じられ、毛髪表面が滑らかさが足りない
× :毛髪がごわつき、毛髪表面が滑らかでない
×× :毛髪が非常にごわつき、毛髪表面がなめらかでない
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明によって、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状剤型で吐出される毛髪化粧料であって、毛髪に良好な感触を付与することができ、かつ吐出泡質の不具合のない毛髪化粧料が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、下記の(A)成分を10質量%以上含有し、かつ、下記の(B)成分及び(C)成分を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
(A)非イオン性界面活性剤。
(B)カチオン化ポリマー、並びにジアリル4級アンモニウム塩及びアクリル酸を構成単位として少なくとも含む共重合体から選ばれる少なくとも一種。
(C)シリコーン類。
【請求項2】
前記(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比A/Bが10〜1000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/Bが0.01〜50の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記(B)成分がカチオン化多糖類、並びにジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として少なくとも含む重合体及び共重合体から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
前記毛髪化粧料組成物が酸化染毛剤、酸性染毛料、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用することを特徴とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成されることを特徴とする毛髪化粧料用品。

【公開番号】特開2012−97022(P2012−97022A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245607(P2010−245607)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】