説明

毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品

【課題】染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられ、振とうにより泡状に発泡させて使用する毛髪化粧料組成物において、使用時の泡質を向上させることができる毛髪化粧料組成物及び毛髪化粧用品を提供する。
【解決手段】染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される毛髪化粧料組成物は、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される。毛髪化粧料組成物は、非イオン性ポリマーを含有し、好ましくは、使用時の含有量として0.3〜15質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させて泡状の剤型として使用する毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品に関し、さらに詳しくは、使用時の泡質を向上させた毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の薬剤を混合することにより効果を発揮する毛髪化粧料組成物が知られている。そのような毛髪化粧料組成物としては、例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤、例えば過酸化水素を含有する第2剤とから構成される染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤が知られている。アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。
【0003】
ところで、使用時の剤型が泡状(フォーム状)の毛髪化粧料組成物である染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤が知られている。例えば、特許文献1に開示される泡状の毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤を含む内溶液の入ったスクイズ式泡吐出容器を振ることにより、空気と内溶液とを混合して内溶液を発泡させるとともに、スクイズ時にネット又は多孔質体からなる泡均質化手段を通過させることで泡状の剤型としている。こうした泡状の剤型の毛髪化粧料組成物は、剤型が液状やゲル状の組成物に比べて、液だれの心配が少なく、毛髪への塗布性及び使用感に優れるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、毛髪化粧料組成物を容器内で振とうして発泡させて泡状の剤型としてから毛髪に塗布する構成の場合、容器内に形成された泡状の組成物の泡質が経時的に異なってくるという問題があった。例えば、時間経過に伴って、容器内の上部側に位置する泡ほど泡のきめが粗くなるとともに、下部側に位置する泡ほど水っぽい泡となりやすい。泡状になった直後に吐出された組成物と、泡状になって時間が経過した後に吐出された組成物を毛髪に塗布した場合、毛髪に対する組成物の塗布状態を一定にすることは難しく、脱色ムラ又は染色ムラが生じる(均染性等が低下する)原因となる。そのため、振とうにより泡状に発泡させて使用する毛髪化粧料組成物において、使用時の泡質の改善が求められていた。
【0006】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、振とうにより泡状に発泡させて使用する毛髪化粧料組成物において、非イオン性ポリマーを含有させることにより上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。本発明の目的とするところは、振とうにより泡状に発泡させて使用する毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品において、使用時の泡質を向上させることのできる毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の毛髪化粧料組成物は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、(A)非イオン性ポリマーを含有することを特徴とする。
【0008】
なお、本明細書中における「振とう」とは、液剤と空気とを混合する操作において、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作を意味する。
【0009】
請求項2に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1に記載の発明において、前記(A)非イオン性ポリマーは、α−グルコース及びα−グルコースの誘導体から選ばれる少なくとも一種を構成単位とするオリゴ糖又は多糖であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項2に記載の発明において、前記(A)非イオン性ポリマーは、デンプン及びシクロデキストリンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記(A)非イオン性ポリマーを、使用時の含有量として0.3〜15質量%含有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、さらに(B)界面活性剤を、使用時の含有量として1.5〜10質量%含有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記(A)非イオン性ポリマーを含有する粉末状の第1剤と、酸化剤を含有する液状の第2剤とを備え、前記第1剤と第2剤とを混合して発泡させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の毛髪化粧用品は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物と、該毛髪化粧料組成物を振とうにより発泡させるための発泡用具とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪化粧料組成物及び毛髪化粧用品によれば、振とうにより泡状に発泡させて使用する毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品において、使用時の泡質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は毛髪脱色・脱染用品を示す図。(b)は蓋体22を取り外し、各剤を容器本体21に投入する工程を示す図。(c)は容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る工程を示す図。(d)は蓋体22を取り外し、容器本体21内の発泡後の染毛剤14を手で直接取り出して毛髪に塗布する工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の毛髪化粧料組成物を含んでなる毛髪化粧用品を、毛髪脱色・脱染剤を含んでなる毛髪脱色・脱染用品に具体化した第1実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る毛髪脱色・脱染用品を構成する毛髪脱色・脱染剤は、例えば第1剤と第2剤とから構成される2剤式の毛髪化粧料組成物であり、所定の発泡用具を用いて第1剤と第2剤との混合物を振とうにより発泡させて泡状の剤型として使用されるものである。
【0018】
[毛髪脱色・脱染剤]
<第1剤>
第1剤は、(A)非イオン性ポリマーを含有し、例えば(B)界面活性剤をさらに含有してもよい。また、第1剤は、好ましくはアルカリ剤を含有する。
【0019】
(A)非イオン性ポリマーは、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、例えば「泡の均質性」、「泡の弾力性」を向上させる。非イオン性ポリマーとしては、非イオン性の天然又は半合成高分子、及び合成高分子が挙げられる。それらの中で、「泡の均質性」及び「泡の弾力性」を向上させる観点から、非イオン性の天然又は半合成高分子である非イオン性の糖類が好ましく、α−グルコース及びα−グルコースの誘導体(以下、α−グルコース等という。)を構成単位とするオリゴ糖及び多糖がとくに好ましい。α−グルコース等を構成単位とするオリゴ糖及び多糖としては、例えばデンプン、加水分解デンプン、デンプン誘導体、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリンが挙げられる。その他の非イオン性の糖類としては、例えばセルロース、グアーガム、寒天、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。また、「泡の均質性」を向上させる観点から、水に対して溶解性の高い溶解性の非イオン性ポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)よりも、水に対して溶解性の低い分散性の非イオン性ポリマー(例えば、デンプン、シクロデキストリン)を含有させることが好ましい。
【0020】
なお、非イオン性の合成高分子としては、例えば、ポリビニルカプロラクタム、PVP、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及び高重合ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0021】
また、泡の均質性をより保ちやすくすることができるという観点から、非イオン性ポリマーは2種以上を含有させることが好ましい。とくに、分散性の非イオン性ポリマーを2種以上含有させることが好ましく、そのうちの少なくとも一種がデンプンとなるように含有させることがより好ましい。
【0022】
第1剤と第2剤とが混合された混合物中における非イオン性ポリマーの含有量(使用時の含有量)は、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。上記混合物中における非イオン性ポリマーの含有量が0.3%未満であると、泡質を向上させる作用が低下するおそれがある。また、上記混合物中における非イオン性ポリマーの含有量が15質量%を超えると、泡が硬くなるおそれがある。
【0023】
(B)界面活性剤は、第1剤と第2剤との混合物を振とうした際の発泡性の向上に寄与するとともに、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、例えば「泡の弾力性」を向上させる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0024】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0026】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウリルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。
【0027】
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、「POE」と記載する。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。
【0028】
エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0029】
第1剤と第2剤とが混合された混合物中における界面活性剤の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは1.5〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%、さらに好ましくは3〜5質量%である。上記混合物中における界面活性剤の含有量が1.5%未満であると、泡質を向上させる作用が低下するおそれがある。また、上記混合物中における界面活性剤の含有量が10質量%を超えると毛髪がべたつき、感触が低下するおそれがある。
【0030】
なお、第1剤と第2剤との混合物の発泡性を向上させる観点から、両性界面活性剤を含有させることが好ましい。この場合、混合物中における両性界面活性剤の含有量を0.5〜10質量%とすることが好ましく、1.5〜4質量%とすることがより好ましい。また、同様の観点から、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含有させるとともに、第1剤と第2剤との混合時(使用時)において、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを接触させて相互作用させるように構成することが好ましい。この場合、混合物中におけるアニオン性界面活性剤の含有量を0.5〜1.5質量%とするとともに、混合物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量を0.5〜2.0質量%とすることが好ましい。第1剤と第2剤との混合時に、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを接触させて相互作用させるように構成する方法としては、例えば、両方の界面活性剤をそれぞれ別剤中に分割して保存し、使用時に両方の界面活性剤を溶剤存在下にて接触させる方法や、両方の界面活性剤を固体状態で保存する等により同一剤中に保存し、使用時に溶剤存在下にて接触させる方法が挙げられる。
【0031】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及びそれらの塩が挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。有機アミン類としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば、硫酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。塩としては、アンモニウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0032】
アルカリ剤の含有量は、第1剤が例えば液剤の場合、好ましくは第1剤のpHが8〜12の範囲となる量である。第1剤のpHが8未満では、第1剤が第2剤と混合されたときに、第2剤に含有される酸化剤の作用が十分に促進されないおそれがある。第1剤のpHが12を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
【0033】
第1剤は必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水、上記以外の高分子化合物、油性成分、多価アルコール、溶剤、糖、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸化助剤、賦形剤、分散剤を含有してもよい。
【0034】
水は各成分の可溶化剤として含有されるとともに、発泡させるための基材として予め水が含有されてもよい。上記以外の高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物としては、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、及びヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0035】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
【0036】
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0037】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0038】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。これらの油性成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0039】
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0040】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0041】
溶剤の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、及びアルキルエーテルが挙げられる。
【0042】
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、レブリン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、及びグルタミン酸が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。キレート化剤としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。賦形剤としては、例えば硫酸ナトリウムが挙げられる。分散剤としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、タルクが挙げられる。
【0043】
第1剤の保存時の剤型はとくに限定されず、具体例として、例えば粉末状、液状、ゲル状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。難溶性の非イオン性ポリマーを含有させる場合には、第1剤を粉末状とすることが好ましい。仮に、第1剤の剤形が液状であると、難溶性の非イオン性ポリマーは液中にて分散状態で存在することから経時的に徐々に沈殿していく。こうした沈殿状態の第1剤は、第2剤との混合性が悪くなりやすい。なお、使用時においては、第1剤は第2剤と混合されるとともに振とうされることにより発泡して泡状の剤型となる。なお、第2剤との混合性及び保存安定性の観点から、第1剤の保存時の剤型を粉末状とすることが好ましい。
【0044】
<第2剤>
第2剤は酸化剤を含有する。酸化剤は毛髪に含まれるメラニンを脱色する。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0045】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、第2剤は安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有してもよい。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有されるアルカリ剤以外の成分を適宜含有してもよい。
【0046】
第2剤の保存時の剤型は、とくに限定されず、具体例として、例えば粉末状、液状、ゲル状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。使用時においては、第2剤は第1剤と混合されるとともに振とうされることにより発泡して泡状の剤型となる。
【0047】
なお、第1剤の保存時の剤型を粉末状とした場合には、第1剤との混合性の観点から、第2剤の保存時の剤型を液状とすることが好ましい。この場合、第2剤中に水を含有させることが好ましい。第2剤中における水の含有量は、第1剤と第2剤とが混合された混合物中における含有量(使用時の含有量)として、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。さらに、発泡を速やかに開始させるという観点から、少なくとも、水を含有する第2剤中に(B)界面活性剤を含有させることが好ましい。
【0048】
[毛髪脱色・脱染用品]
次に、毛髪脱色・脱染用品について図1に基づいて説明する。
毛髪脱色・脱染用品は、毛髪脱色・脱染剤10と、毛髪脱色・脱染剤10を振とうするための発泡用具とを備えている。毛髪脱色・脱染剤10を構成する第1剤11及び第2剤12は、個別に包装された包装体として使用時まで保管される。なお、各剤の包装形態としては、特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装が挙げられる。
【0049】
本実施形態の発泡用具は、図1(a)に示されるように、毛髪脱色・脱染剤10を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器20である。閉塞可能容器20は、有底筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する半球状の蓋体22とを備えている。容器本体21は、底部よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、毛髪脱色・脱染剤10を泡状の剤型としたときに、例えば手により直接毛髪脱色・脱染剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで例えば手により泡状の毛髪脱色・脱染剤を取り出す際に、泡状の毛髪脱色・脱染剤が容器本体21の内面に残留しにくくなっている。
【0050】
蓋体22の周縁部にフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部が容器本体21の開口部に嵌合されるようになっている。なお、本実施形態の閉塞可能容器20では、嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで蓋体22が液密に装着されるようになっている。
【0051】
閉塞可能容器20は、第1剤11及び第2剤12が個別に包装された状態で収容可能に形成されている。このように閉塞可能容器20を2剤式の毛髪脱色・脱染剤10の外装容器として、各剤をまとめて保管することができる。なお、本実施形態の閉塞可能容器20には、脱色・脱染処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品も収容可能に形成されている。こうした閉塞可能容器20は、軽量化の観点から、樹脂材料、又は、耐水性を付与した紙材料から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0052】
次に、毛髪脱色・脱染用品の使用方法の一例について説明する。
まず、容器本体21から蓋体22を取り外し、第1剤11及び第2剤12の包装体を取り出すとともにそれら包装体を開封し、図1(b)に示されるように各剤を容器本体21に投入することで各剤を接触させ、混合物(発泡前の毛髪脱色・脱染剤13)とする。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る操作を行う。このとき、閉塞可能容器20内では、各剤が混合されるとともに、各剤の混合物が上下に振とうされることで混合物と空気とが混合される。このように混合物に空気を振り混ぜる操作により、混合物の発泡が開始される。そして、閉塞可能容器20を所定の回数振ることで、発泡操作を完了する。この発泡操作により、泡状の毛髪脱色・脱染剤(発泡後の毛髪脱色・脱染剤14)が調製される。次に、図1(d)に示されるように、蓋体22を取り外し、容器本体21内の発泡後の毛髪脱色・脱染剤14を例えば手で直接取り出して毛髪に塗布する。このとき、発泡後の毛髪脱色・脱染剤14は泡状をなしていることから、液だれを起こすことなく毛髪に容易に馴染ませることができる。そして、毛髪脱色・脱染剤が塗布された毛髪を所定時間放置することで、毛髪が脱色又は脱染される。続いて、毛髪脱色・脱染剤を水又は温水で洗い流すことで、脱色・脱染処理が完了される。
【0053】
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の毛髪脱色・脱染剤は、振とうにより泡状に発泡させて使用するものであって、非イオン性ポリマーを含有している。したがって、使用時の泡質、とくに泡の均質性を向上させることができる。例えば、閉塞可能容器内で発泡させて得られた発泡後の毛髪脱色・脱染剤は、所定時間経過後も閉塞可能容器内の上部側に位置する泡と下部側に位置する泡との間でその泡質に大きな差異が生じることはない。そのため、脱色・脱染ムラを防止し、均染性を向上させることができる。
【0054】
また、上記構成によれば、第1剤の保存時の剤型を粉末状とするとともに第2剤の保存時の剤型を液状とした場合に、第1剤と第2剤との混合性を向上させることができる。
(2)好ましくは、非イオン性ポリマーは、α−グルコースを構成単位とするオリゴ糖又は多糖であり、具体的にはデンプン又はシクロデキストリンである。この場合、使用時の泡質をより効果的に向上させることができる。
【0055】
(3)好ましくは、非イオン性ポリマーを2種以上含有する。この場合、泡の均質性をより保ちやすくすることができる。
(4)好ましくは、非イオン性ポリマーを、使用時の含有量として0.3〜15質量%含有している。この場合、使用時の泡質をより確実に向上させることができる。
【0056】
(5)好ましくは、界面活性剤を、使用時の含有量として1.5〜10質量%含有している。この場合、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、とくに泡の弾力性を向上させることができる。さらに、使用時の含有量を3〜8質量%とした場合には、染毛剤の洗い流し時において毛髪がべとつかず、感触をより向上させることができる。
【0057】
(6)本実施形態の毛髪脱色・脱染剤は、閉塞可能容器内にて振とうして発泡させる発泡操作によって泡状の剤型とされる。こうした発泡操作は、熟練を要しない容易な操作であるため、簡便に発泡させることができるとともに、そうした発泡操作を楽しむことができる。また、スクイズ式フォーマー容器やポンプ式フォーマー容器を用いて泡状とする構成と比較して容器の構成を簡略化することができる。さらに、スクイズ式フォーマー容器やポンプ式フォーマー容器では、一度の吐出操作で吐出できる泡の量が制限されるため、容器内の毛髪脱色・脱染剤を全て泡状に吐出するためには多数回の吐出操作を必要とする。一方、上記構成によれば振とう操作のみですぐに塗布可能な泡状物を得ることができる。また、エアゾールを用いて泡状とする染毛剤も知られているが、こうした構成に比べ、上記構成によれば環境への負担が軽減できる。
【0058】
(第2実施形態)
以下、本発明の毛髪化粧料組成物を含んでなる毛髪化粧用品を、染毛剤を含んでなる染毛用品に具体化した第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る染毛用品を構成する染毛剤は、例えば第1剤と第2剤とから構成される2剤式の毛髪化粧料組成物であり、所定の発泡用具を用いて第1剤と第2剤との混合物を振とうにより発泡させて泡状の剤型として使用されるものである。
【0059】
[染毛剤]
<第1剤>
第1剤は、アルカリ剤の他に(A)非イオン性ポリマーを含有し、例えば(B)界面活性剤をさらに含有してもよい。第1剤は好ましくは酸化染料を含有する。
【0060】
酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0061】
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0062】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。
【0063】
また、第1剤は上記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。直接染料としては、例えば黄色203号が挙げられる。
【0064】
第1剤の保存時の剤型はとくに限定されず、具体例として、例えば粉末状、液状、ゲル状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。難溶性の非イオン性ポリマーを含有させる場合には、第1剤を粉末状とすることが好ましい。仮に、第1剤の剤形が液状であると、難溶性の非イオン性ポリマーは液中にて分散状態で存在することから経時的に徐々に沈殿していく。こうした沈殿状態の第1剤は、第2剤との混合性が悪くなりやすい。なお、使用時においては、第1剤は第2剤と混合されるとともに振とうされることにより発泡して泡状の剤型となる。
【0065】
<第2剤>
第2剤の具体的な構成は、第1実施形態の2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第2剤と同じである。
【0066】
[染毛用品]
染毛用品の具体的な構成は、毛髪脱色・脱染剤を染毛剤に変更した点を除いて第1実施形態の毛髪脱色・脱染用品と同じである。また、本実施形態の染毛用品の使用方法は、第1実施形態に係る毛髪脱色・脱染用品の使用方法と同じである。
【0067】
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(7)本実施形態の染毛剤は、振とうにより泡状に発泡させて使用するものであって、非イオン性ポリマーを含有している。したがって、使用時の泡質、とくに「泡の均質性」を向上させることができる。例えば、閉塞可能容器内で発泡させて得られた発泡後の毛髪脱色・脱染剤は、所定時間経過後も閉塞可能容器内の上部側に位置する泡と下部側に位置する泡との間でその泡質に大きな差異が生じることはない。そのため、染色ムラを防止し、均染性を向上させることができる。
【0068】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1実施形態及び第2実施形態の毛髪化粧料組成物について、第1剤に含有させた非イオン性ポリマーを第2剤に含有させてもよい。このように構成した場合にも、第1剤と第2剤とが混合された毛髪化粧料組成物について泡質を向上させることができる。
【0069】
・ 第1実施形態及び第2実施形態の毛髪化粧料組成物は、第1剤及び第2剤を構成する各成分が分離されることにより、3剤式以上に構成されてもよい。例えば、アルカリ剤を含有する第1剤、酸化剤を含有する第2剤、及び非イオン性ポリマーを含有する第3剤から構成される毛髪化粧料組成物としてもよい。
【0070】
・ 第1実施形態及び第2実施形態では、毛髪化粧料組成物と空気とを振り混ぜる操作により、毛髪化粧料組成物を発泡させているが、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。すなわち、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0071】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有するカップ容器に投入して、その容器内で行われる。このような発泡用具を用いた場合であっても、前記実施形態の毛髪化粧料組成物によれば、発泡性を高めることが容易となる。
【実施例】
【0072】
次に実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
表1及び2に示す各成分を含有する、染毛剤の第1剤及び第2剤を調製した。表1及び2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中の「成分」欄における(A)、(B)の表記は本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示し、(a)の表記は、比較例においてA成分の代替成分として用いた化合物を示す。なお、本実施例及び比較例では、第1剤を粉末状に調製するとともに第2剤を液状に調製している。
【0073】
まず、表1及び2に示す第1剤及び第2剤を図1に示される閉塞可能容器内に投入し、閉塞可能容器内を密閉した状態で20〜30回程度振って、内部の第1剤と第2剤との混合物を振とうすることにより、泡状の染毛剤を得た。得られた泡状の染毛剤を手(手袋着用)にとり、黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束と記載する。)に塗布した後、室温(25℃)にて30分間放置した。そして、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流し、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置することにより、染色処理された毛束を得た。
【0074】
表1及び2に示す実施例及び比較例の染毛剤を発泡させて得られた泡状の染毛剤について、泡の均質性、泡の弾力性、及び混合性について下記に示す方法に従い評価を行なった。また、染毛剤の洗い流し時における毛束の感触、及び得られた毛束の均染性について下記に示す方法に従い評価を行なった。結果を表1及び2に示す。
【0075】
<泡の均質性>
得られた泡状の染毛剤を閉塞可能容器内にて10分間放置し、閉塞可能容器の上部及び下部に位置する泡の泡質について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「泡の均質性」欄において、“5”は「泡質の差が全くない」ことを示し、“4”は「泡質の差がほとんどない」ことを示し、“3”は「泡質の差があまりない」ことを示し、“2”は「泡質の差がある」ことを示し、“1”は「泡質の差があり、その差が大きい」ことを示す。
【0076】
<泡の弾力性>
得られた泡状の染毛剤の弾力性について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「泡の弾力性」欄において、“5”は「手に取ったときの泡崩れが全くない(泡を押したときの押し返しがある)」ことを示し、“4”は「手に取ったときの泡崩れがほとんどない」ことを示し、“3”は「手に取ったときの泡崩れがあまりない」ことを示し、“2”は「手に取ったときの泡崩れがある」ことを示し、“1”は「手に取ったときの泡崩れがかなりある(泡を押したときの押し返しが全くない)」ことを示す。
【0077】
<混合性>
得られた泡状の染毛剤について、専門のパネラーが目視にて継粉の有無を観察することにより、粉末状の第1剤と液状の第2剤との混合性を評価した。各表中の「泡の混合性」欄において、“5”は「継粉が全くない(十分に混合している)」ことを示し、“4”は「継粉がほとんどない」ことを示し、“3”は「継粉があまりない」ことを示し、“2”は「継粉が目立つ」ことを示し、“1”は「継粉がかなり目立つ(混合していない)」ことを示す。
【0078】
<感触(べたつき)>
染毛剤の洗い流し時における毛束(毛髪)の感触について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「感触(べたつき)」欄において、“5”は「べたつきが全くない」ことを示し、“4”は「べたつきがほとんどない」ことを示し、“3”は「べたつきがあまりない」ことを示し、“2”は「べたつきが感じられる」ことを示し、“1”は「べたつきが強く感じられる」ことを示す。
【0079】
<均染性>
染毛処理が施された毛束の均染性について、専門のパネラーが標準光源下で目視にて観察することにより評価した。各表中の「均染性」欄において、“5”は「染色ムラが全くない」ことを示し、“4”は「染色ムラがほとんどない」ことを示し、“3”は「染色ムラがあまりない」ことを示し、“2”は「染色ムラが目立つ」ことを示し、“1”は「染色ムラが非常に目立つ」ことを示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

表1及び2に示すように、非イオン性ポリマーを含有する各実施例は、各項目において良好な評価が得られた。とくに、非イオン性ポリマーとして、α−グルコース等を構成単位とするオリゴ糖及び多糖である、デンプン又はシクロデキストリンを含有する実施例1及び2は、他の非イオン性ポリマーを含有する実施例3と比較して、「泡の均質性」、「泡の弾力性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が高いことが分かった。また、非イオン性ポリマーを2種含有する実施例4及び5は、同量の非イオン性ポリマーを1種のみ含有する実施例1及び2と比較して、「泡の均質性」及び「均染性」の評価が高いことが分かった。
【0082】
一方、非イオン性ポリマーに代えてアニオン性ポリマーを含有する比較例1は、各実施例に対して、「泡の均質性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が低いことが分かった。また、非イオン性ポリマーに代えてカチオン性ポリマーを含有する比較例2は、各実施例に対して、「泡の均質性」、「泡の弾力性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が低いことが分かった。
【0083】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術思想について記載する。
(イ)染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、両性界面活性剤を含有し、非イオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【0084】
(ロ)染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含有するとともに、使用時にアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを溶剤存在下にて接触させるように構成され、非イオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【0085】
(ハ)前記発泡用具が、前記毛髪化粧料組成物を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器であり、前記閉塞可能容器内で前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる操作により発泡させることを特徴とする毛髪化粧用品。
【符号の説明】
【0086】
10…毛髪脱色・脱染剤、11…第1剤、12…第2剤、13…発泡前の毛髪脱色・脱染剤、14…発泡後の毛髪脱色・脱染剤、20…密閉可能容器、21…容器本体、22…蓋体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、(A)非イオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
前記(A)非イオン性ポリマーは、α−グルコース及びα−グルコースの誘導体から選ばれる少なくとも一種を構成単位とするオリゴ糖又は多糖であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記(A)非イオン性ポリマーは、デンプン及びシクロデキストリンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記(A)非イオン性ポリマーを、使用時の含有量として0.3〜15質量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
さらに(B)界面活性剤を、使用時の含有量として1.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項6】
前記(A)非イオン性ポリマーを含有する粉末状の第1剤と、酸化剤を含有する液状の第2剤とを備え、前記第1剤と第2剤とを混合して発泡させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物と、該毛髪化粧料組成物を振とうにより発泡させるための発泡用具とを備えることを特徴とする毛髪化粧用品。

【図1】
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【公開番号】特開2011−93821(P2011−93821A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247090(P2009−247090)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】