説明

毛髪化粧料組成物、毛髪化粧料組成物の使用方法、及び毛髪化粧料用品

【課題】泡質に優れ、毛髪処理時の刺激が少なく、かつ毛髪処理後の毛髪に良好な感触を付与する毛髪化粧料組成物、当該毛髪化粧料組成物の使用方法、及び毛髪化粧料用品を提供すること。
【解決手段】染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、下記(A)成分及び(B)成分を含有し、かつ、当該混合液中の非イオン性界面活性剤の含有量が10質量%以上である毛髪化粧料組成物。(A)アルキルグルコシド、(B)カチオン性界面活性剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物、毛髪化粧料組成物の使用方法、及び毛髪化粧料用品に関する。更に詳しくは、本発明は、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物と、その使用方法と、その毛髪化粧料組成物及びノンエアゾールフォーマー容器を含んで構成される毛髪化粧料用品に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤や毛髪脱色剤等の毛髪化粧料を使用時に泡状の剤型にして用いることが知られている。一般的には、これらの毛髪化粧料を泡状の剤型で使用すると、毛髪にムラなく均一に塗布することが容易であり、汎用されているゲル状やクリーム状の毛髪化粧料の使用時における毛髪ブロッキングの手間を不要化できる、等の利点を期待できる。
【0003】
泡状の剤型で用いる毛髪化粧料は、エアゾールタイプとノンエアゾールタイプに大別することができる。エアゾールタイプは液化ガスのような噴射剤を用い、エアゾールを利用した気泡の形成により剤型を泡状にする。ノンエアゾールタイプは、噴射剤を用いずに、ポンプフォーマーやスクイズフォーマーその他のノンエアゾールフォーマー容器(以下、単に「フォーマー容器」ともいう)を使用して空気を取り込んだ気泡を形成し、剤型を泡状にする。
【0004】
下記特許文献1,2には、エアゾールにより剤型を泡状にされる酸化染毛剤が記載されている。下記特許文献3,4には、スクイズフォーマー等のノンエアゾールフォーマー容器を使用して剤型を泡状にして使用される染毛剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−136818号公報。
【特許文献2】特開平10−287534号公報。
【特許文献3】特開2007−291015号公報。
【特許文献4】特開2008−291020号公報。
【特許文献5】特開2007−291016号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
毛髪化粧料を泡状の剤型として使用する場合は、泡状剤型化するための容器の構成が簡易でコスト的に有利である点、保存時や取扱い時の危険がない点等からは、ノンエアゾールフォーマー容器が好ましい。しかし、従来の染毛剤や毛髪脱色剤等の毛髪化粧料を泡状の剤型とする場合、起泡剤として主にアニオン性界面活性剤を用いていたため、毛髪の感触について満足できるものではなかった。
【0007】
そこで、泡状の剤型の染毛剤に、染毛処理後の毛髪の感触を向上させるためにカチオン性界面活性剤を用いることが検討されてきた(特許文献5)が、良好な泡質を確保し、皮膚への刺激を低減し、かつ仕上がりの毛髪の良好な感触を実現することはできていなかった。
【0008】
本願発明者は鋭意研究を重ねた結果、(A)アルキルグルコシド及び(B)カチオン性界面活性剤を併用することが重要であることを発見した。更には、第1剤と第2剤の混合液中の(A)成分を含めた非イオン性界面活性剤の含有量を10質量%以上とすることで、泡質に優れ、毛髪処理時の刺激が少なく、かつ毛髪処理後の毛髪に良好な感触を付与する毛髪化粧料組成物が得られることを突き止めた。
【0009】
よって、泡質に優れ、毛髪処理時の刺激が少なく、かつ毛髪処理後の毛髪に良好な感触を付与する毛髪化粧料組成物、当該毛髪化粧料組成物の使用方法、及び毛髪化粧料用品を提供することを、本発明が解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、
染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、下記(A)成分及び(B)成分を含有し、かつ、当該混合液中の非イオン性界面活性剤の含有量が10質量%以上である毛髪化粧料組成物である。
(A)アルキルグルコシド
(B)カチオン性界面活性剤
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、
前記(B)成分が、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、及び長鎖ジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上である第1発明に記載の毛髪化粧料組成物である。
【0011】
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、
前記第1剤と第2剤の混合液中の(A)成分と(B)成分の質量比が(A)/(B)=0.03〜1.5である第1発明又は第2発明に記載の毛髪化粧料組成物である。
【0012】
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、
第1発明〜第3発明のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用する毛髪化粧料組成物の使用方法である。
【0013】
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、
第1発明〜第3発明のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される毛髪化粧料用品である。
【発明の効果】
【0014】
上記第1発明によって、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状剤型で吐出される毛髪化粧料であって、泡質に優れ、毛髪処理時の刺激が少なく、かつ毛髪処理後の毛髪に良好な感触を付与する毛髪化粧料組成物が提供される。
【0015】
第1剤と第2剤の混合液が上記(A)成分を含有し、上記(B)成分を含有しない場合、毛髪化粧料組成物の泡質及び毛髪処理後の毛髪の感触の評価結果が悪くなる。一方で、上記(A)成分を含有せず、上記(B)成分を含有する場合、毛髪化粧料組成物の使用時の刺激及び泡質の評価結果が悪くなる。また、当該混合液が(A)成分以外の非イオン性界面活性剤を10質量%以上含有しても、(A)成分が含まれないので、毛髪化粧料組成物の使用時の刺激及び泡質の評価結果が悪くなる。
【0016】
よって、上記(A)成分と(B)成分を含有すること、及び(A)成分を含む非イオン性界面活性剤の含有量が10質量%以上であることの相乗効果によって第1発明の効果が奏されると考えられる。
【0017】
本発明の効果の観点から、第2発明に記載の(B)成分を選択することが好ましい。(A)成分との相乗効果がより向上すると考えられる。
【0018】
上記第3発明によって、更に本発明の効果がバランスよく向上する。
【0019】
上記第4発明によって、毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から良好な泡状に吐出させて毛髪に適用するための有効な方法が提供される。
【0020】
上記第5発明によって、毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される簡便な毛髪化粧料用品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0022】
〔毛髪化粧料組成物〕
本発明に係る毛髪化粧料組成物は、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用するものである。
【0023】
非イオン性界面活性剤は、消泡し難い泡を生成するという特質がある。第1剤と第2剤の混合液には(A)成分を含む非イオン性界面活性剤が10質量%以上含有されればよいが、11質量%〜25質量%が好ましい。非イオン性界面活性剤が10質量%未満である場合、本発明の効果を確保できない。
【0024】
本発明において、非イオン性界面活性剤には、(A)成分であるアルキルグルコシドが含まれる。ゆえに、(A)成分のみで10質量%以上としても良いし、(A)成分と他の非イオン性界面活性剤の合計で10質量%以上としても良い。
【0025】
本発明においては、非イオン性界面活性剤のうち、特にアルキルグルコシドに着目する必要がある。本発明は、(A)成分であるアルキルグルコシドと(B)成分であるカチオン性界面活性剤とを含有する毛髪化粧料組成物である。第1剤と第2剤の混合液中の質量比は特に限定されないが、(A)/(B)=0.03〜1.5の範囲内がより好ましく、(A)/(B)=0.1〜0.8が更に好ましい。0.03を下回ると、上記比率の範囲内の場合と比べて、刺激を生じるおそれがあり、1.5を超えると、上記比率の範囲内の場合と比べて、毛髪の感触が低下するおそれがある。2剤式である毛髪化粧料組成物において、(A)成分と(B)成分の第1剤と第2剤への配合の態様は基本的に限定がなく、任意に選択できる。
【0026】
本発明はノンエアゾールフォーマー容器を利用して毛髪への適用時の剤型を泡状とするので、第1剤と第2剤の混合液は可溶化系又は分散系であることが好ましい。第1剤及び第2剤の混合後の粘度が1000mPa・s未満、好ましくは300mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下であることが好ましい。ノンエアゾールタイプは、噴射剤を用いずに、ポンプフォーマーやスクイズフォーマーその他のノンエアゾールフォーマー容器を使用して空気を取り込んだ気泡を形成し、剤型を泡状にするからである。粘度が高いと毛髪化粧料組成物が容器内を移動しにくくなり、その結果起泡しにくくなる。
【0027】
毛髪化粧料組成物は2剤式であるが、第1剤及び/又は第2剤を更に複数の剤に分割して構成したものも包含される。
【0028】
上記染毛剤とは、例えば酸化染毛剤、酸性染毛料を含む概念である。上記毛髪脱色剤とは、例えば毛髪脱色剤、毛髪脱染剤を含む概念である。
【0029】
以上により、本発明は、本発明の効果を奏する泡状の毛髪化粧料組成物の形成方法をも開示する。
【0030】
〔毛髪化粧料組成物の剤型など〕
2剤式である毛髪化粧料組成物における第1剤及び第2剤の起泡前の剤型としては、例えば固体状、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。その中でも、可溶化系、分散系又は乳化系の剤型とすることが好ましく、より好ましくは、第1剤及び第2剤共に可溶化系、特に水溶液又は分散系の剤型である。固体状の剤型としては、例えば粉末状、及び錠剤が挙げられる。固体状の剤型とする場合には、第1剤及び第2剤を混合するに際して分散性に優れるという観点から、粉末状であることが好ましい。なお、例えば第1剤を固体状の剤型とする場合には第2剤は水を含有する剤とされる。要するに、毛髪化粧料組成物では、その第1剤と2剤の混合時において、それぞれ流動性が確保できるものであれば、剤型は特に限定されない。
【0031】
又、毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤の少なくとも一方に、起泡させるための基剤として水が含有されている。水の含有量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0032】
本発明の毛髪化粧料組成物の第1剤、第2剤は常法により調製可能である。
【0033】
〔(A)成分〕
本発明の(A)成分はアルキルグルコシドである。
【0034】
上記(A)成分のアルキル基はグルコシド結合によって糖部分に結合している。当該アルキル基は本発明の効果を阻害しない限り特にその構成を限定されない。当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、これらを組み合わせたものであって良く、飽和・不飽和の別も限定されない。直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基であることが好ましく、直鎖状の飽和アルキル基であることがより好ましい。当該アルキル基の炭素数は特に限定されないが、6〜24であることが好ましく、6〜18であることがより好ましく、8〜16であることが更に好ましい。(A)成分として最も好ましいものは、アルキル(8〜16)グルコシドである。後述の実施例において使用されるアルキル(8〜16)グルコシドは、直鎖状アルキル基の炭素数が8〜16である、炭素数違いのアルキルグルコシドの混合物である。
【0035】
第1剤と第2剤の混合液中の(A)成分の含有量は(A)成分を含有する限り特に限定されないが、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。上述の(A)/(B)の好ましい範囲を考慮することが更に好ましい。(A)成分の含有量が0.1質量%未満である場合は毛髪化粧料組成物の使用時の刺激の低減及び泡質が不十分となるおそれがあり、20質量%を超えてもそれ以上本発明の効果が向上しない、即ちコスト的に不利になるおそれがある。
【0036】
よって、上記条件を満たすように、第1剤及び/又は第2剤に(A)成分を含有させればよい。
【0037】
〔(A)成分以外の非イオン性界面活性剤〕
本発明においては、第1剤と第2剤の混合液の非イオン性界面活性剤の含有量が10質量%以上である。上記した(A)成分以外の非イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0038】
1.ポリオキシエチレン(以下POEと略す)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、
POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEトリデシルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEデシルペンタデシルエーテル、POEデシルテトラデシルエーテル、POEアルキルエーテル。
【0039】
2.POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル。
【0040】
3.モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル。
【0041】
4.モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン等のPOEグリセリルモノ脂肪酸エステル。
【0042】
5.テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ等のPOEソルビトール脂肪酸エステル。
【0043】
6.POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油。
【0044】
7.モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール。
【0045】
8.親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン等の高級脂肪酸グリセリンエステル。
【0046】
9.モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル。
【0047】
10.POEラノリン、POEラノリンアルコール、POEソルビトールラノリン等のラノリン誘導体。
【0048】
11.ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等のアルキロールアミド。
【0049】
12.POEステアリン酸アミド等のPOE脂肪酸アミド。
【0050】
13.ショ糖脂肪酸エステル。
【0051】
14.ジメチルラウリルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド。
【0052】
15.レシチン誘導体水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン等。
【0053】
16.POE・ポリオキシプロピレン(以下POPと略す)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル。
【0054】
〔(B)成分〕
本発明の(B)成分のカチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91等が挙げられる。好ましくは、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウムから選ばれる1種以上である。本発明の毛髪化粧料組成物は、好ましくは2種以上の上記したカチオン性界面活性剤を含有する。
【0055】
第1剤と第2剤の混合液中の(B)成分の含有量は(B)成分を含有する限り特に限定されないが、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。上述の(A)/(B)の好ましい範囲を考慮することが更に好ましい。(B)成分の含有量が0.01質量%未満である場合は毛髪化粧料組成物の泡質及び毛髪処理後の毛髪の感触が不十分となるおそれがあり、10質量%を超えてもそれ以上本発明の効果が向上しない、即ちコスト的に不利になるおそれがあり、また、毛髪化粧料組成物の使用時の刺激の低減が不十分になるおそれがある。
【0056】
よって、上記条件を満たすように、第1剤及び/又は第2剤に(B)成分を含有させればよい。
【0057】
〔毛髪化粧料組成物のカテゴリー〕
本発明の毛髪化粧料組成物は、限定はされないが、例えば酸化染毛剤、酸性染毛料、毛髪脱色剤、又は毛髪脱染剤として構成される。特に好ましくは、酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として構成される。
【0058】
(酸化染毛剤)
酸化染毛剤は、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなり、毛髪のメラニンを分解し、酸化剤による酸化染料の酸化重合に起因して染毛を行う。酸化染料は染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料に代えて、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料、分散染料等の直接染料を配合することもできる。
【0059】
染料中間体としては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、例えばフェニレンジアミン類、アミノフェノール類、トルイレンジアミン類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩類が挙げられる。塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩等が挙げられる。
【0060】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する化合物であって、必要に応じて第1剤に含有される。カプラーとしては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、例えばレゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩が挙げられる。
【0061】
酸化染毛剤中における染料中間体の含有量は特に限定されないが好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。染料中間体の含有量が0.01質量%未満の場合、十分な染色性が得られない恐れがある。染料中間体の含有量が10質量%を超えても染色性はそれ以上向上しないことから、染毛の経済性が低下する恐れがある。
【0062】
第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0063】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。アルカリ剤としては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及び硫酸塩が挙げられる。有機アミン類としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジン等が挙げられる。無機アルカリとしては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン及びリジン、並びに塩基性アミノ酸塩が挙げられる。塩基性アミノ酸の塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸アンモニウムが挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミンが挙げられる。
【0064】
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤及び第2剤を混合した酸化染毛剤においてpHが7〜12の範囲となる量である。pHが7未満では、第2剤に酸化剤としての過酸化水素が含有される場合、過酸化水素の作用が十分に促進されない恐れがある。使用時のpHが12を超えると、酸化染毛剤が毛髪に塗布されたときに、毛髪に損傷等の不具合が発生し易くなる恐れがある。
【0065】
第2剤は少なくとも酸化剤を含んでいる。酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させる。酸化剤としては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及び、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。
【0066】
第2剤中における酸化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満の場合、酸化染料を十分に酸化重合させることが困難となる恐れがある。酸化剤の含有量が10.0質量%を超える場合、毛髪が損傷し易くなる恐れがある。
【0067】
(酸性染毛料)
酸性染毛料は、液性がpH2.5〜4.0程度の酸性であり、陽イオン性を帯びた毛髪に対して酸性染料をイオン結合させるものである。酸性染料としては、例えばニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料等が挙げられる。
【0068】
酸性染料としては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、より具体的には、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0069】
酸性染毛料中における酸性染料の含有量は特に限定されないが、0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
【0070】
(毛髪脱色剤)
毛髪脱色剤は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなり、毛髪のメラニンを分解して毛髪を脱色する。毛髪脱色剤は、酸化染料を含有しない点を除けば、基本的に酸化染毛剤と同様に構成される。
【0071】
(毛髪脱染剤)
毛髪脱染剤は通常は2剤以上の多剤式であって、毛髪の脱染(毛髪に染着した染料の分解)を主目的とするものであり、毛髪脱色剤との比較では、第1剤にアルカリ剤を配合すると共に、更にアルカリ剤の一種である過硫酸塩を脱色助剤として配合する点が異なる。第1剤は粉末状ないしは顆粒状、タブレット状等であり、第2剤は液状である。
【0072】
過硫酸塩としては、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、過硫酸のアルカリ金属塩が好ましく例示され、過硫酸カリウムあるいは過硫酸ナトリウムがとりわけ好ましく例示される。過硫酸塩の第1剤中の含有量は限定されないが、好ましくは2.0〜25質量%の範囲内、より好ましくは3.5〜18質量%の範囲内である。
【0073】
〔毛髪化粧料組成物における他の成分〕
本発明の毛髪化粧料組成物における第1剤や第2剤には、本発明の効果を阻害しない限り、必要に応じて上記した成分以外にも、例えば油性成分、シリコーン類、水溶性高分子化合物、キレート剤、無機塩、分散剤、両イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等を適宜に選択して含有させてもよい。
【0074】
油性成分としては、例えば油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、多価アルコールが挙げられる。
【0075】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。
【0076】
シリコーン類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンが挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン重合体等が挙げられる。
【0077】
ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
【0078】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。
【0079】
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。
【0080】
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0081】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0082】
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0083】
水溶性高分子化合物としては、例えば天然系高分子、半合成系高分子、合成系高分子が挙げられる。
【0084】
天然系高分子の具体例としては、アラビアガム、カラギーナン、ガラクタン、グアーガム、クインスシードガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、カードラン、サクシノグルカン、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、タマリンドガム等が挙げられる。
【0085】
半合成系高分子の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等のセルロース系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、可溶性デンプン等のデンプン系高分子;アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;カチオン化グアーガム等のグアーガム系高分子等が挙げられる。
【0086】
合成系高分子の具体例としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、4級化ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム等のビニル系高分子;ポリエチレンオキシド;エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体;ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体のカチオン化物;ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリル酸共重合体等の第4級アンモニウム塩重合物誘導体、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体エマルション及びアクリル酸アルキル・イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルモノエステル共重合体エマルション等のアクリル酸系水分散ポリマーなどが挙げられる。
【0087】
また、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物としては、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、及びヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0088】
キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類が挙げられる。
【0089】
無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが挙げられる。分散剤としては、例えばステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0090】
両性界面活性剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0091】
1.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0092】
2.デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0093】
3.ココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、綿実アンホ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0094】
4.ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0095】
5.ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン。
【0096】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)等のN−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステル等が例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミン。
【0097】
その他にも、例えば糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。
【0098】
〔毛髪化粧料組成物の使用方法〕
本発明に係る毛髪化粧料組成物の使用方法は、上記した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用する方法である。
【0099】
ノンエアゾールフォーマー容器としては、毛髪化粧料組成物に対してノンエアゾールタイプの起泡と吐出を行える機能を有するものである限りにおいて限定されない。好ましくは、後述のノンエアゾールフォーマー容器を用いて起泡させることができる。
【0100】
また、本発明により、上記した毛髪化粧料組成物を用いる美容方法、特に、泡状とした毛髪化粧料組成物を用いる美容方法が提供される。
【0101】
〔毛髪化粧料用品〕
本発明に係る毛髪化粧料用品は、使用時にノンエアゾールタイプの泡状の剤型にして毛髪に適用するための上記毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成される。
【0102】
ノンエアゾールフォーマー容器の代表的な例として、ポンプフォーマーやスクイズフォーマーを挙げることができる。ポンプフォーマーとは、ポンプヘッド部を押圧操作することにより収容液(例えば、毛髪化粧料の第1剤/第2剤混合液)を泡状にして吐出させるもので、収容液を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出器を容器本体の口首部に装着したものである。ポンプフォーマーは特開2007−275777号公報等に開示されており、公知である。スクイズフォーマーとは、軟質合成樹脂製の容器本体を手指を用いてスクイズする(容器に対する圧縮操作と圧縮解除操作を繰り返す)ことにより、同上の収容液と空気をフォーマー用吐出ヘッドの気液混合室に導入して混合し、泡吐出器により形成された泡をノズルから吐出するものである。スクイズフォーマーは特開2008−291024号公報や雑誌「フレグランスジャーナル」の2009年6月号に掲載された文献「ヘアカラー技術の新しい動向(−泡状ヘアカラー技術の開発−)」等に記載されており、公知である。
【0103】
ノンエアゾールフォーマー容器の泡吐出器は、泡を形成するための多孔質膜を1つ又は複数有する。多孔質膜の材質としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。多孔質膜のメッシュとしては、例えば50〜300メッシュが好ましい。また、気体と液体の混合比(気液混合比)は、気体/液体=5/1〜20/1の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0104】
以下に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されない。
【0105】
(2剤式染毛剤の構成)
表1に示すように、「第1剤」の欄に例1〜例12として示す組成の染毛剤第1剤と、「第2剤」の欄に例1〜例2として示す組成の染毛剤第2剤とを常法により準備し、これらの第1剤と第2剤を表2の「組み合わせ」の欄に示す通りに選択的に組合せて、実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例3に係る2剤式の染毛剤を構成した。
【0106】
表1において、第1剤又は第2剤の成分の含有量を示す数値は、第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量表記であり、第1剤と第2剤の混合時の含有量表記ではない。強アンモニア水、モノエタノールアミン溶液、過酸化水素水の%表示も質量%を意味する。又、表1では、本発明の(A)成分又は(B)成分に該当する成分について、表の左側の欄外にその旨を表示した。(A)成分と(B)成分の質量比は「A/B」として示した。(A)成分以外の非イオン性界面活性剤は「N」と表の左側の欄外に表示した。表1中の「POE(5)アルキル(C12〜14)エーテル」はアルキル鎖の炭素数が12〜14であるPOEアルキルエーテルの混合原料である。
【0107】
〔2剤式染毛剤の評価〕
上記の各実施例、各比較例に係る第1剤と第2剤を質量比1:1の割合でノンエアゾールフォーマー容器(ポンプフォーマー)に収容して混合液とし、そのポンプヘッド部を押圧操作することにより前記混合液を泡剤型で吐出した。ポンプフォーマーとしては、(株)吉野工業所製の商品名W−5721、WPフォーマーポンプ Lノズルタイプ(気/液混合比:13/1、吐出量:0.9g(1プッシュ)、多孔質膜:90メッシュのポリエチレン製メッシュリング2枚)を使用した。
【0108】
(刺激の評価)
各実施例及び比較例に係る染毛剤の使用時の刺激について評価した。各実施例及び比較例についての評価は、表2の「刺激」の欄に示した。
【0109】
パネラー5名の各上腕部に各実施例及び比較例の泡剤型の染毛剤を塗布し、塗布から10分後に各パネラーが感じた刺激の官能評価を以下の3段階で行った。即ち、パネラーが刺激を感じない場合を3点とし、弱い痛み、若干しみる等の弱い刺激をパネラーが感じる場合を2点とし、強い痛み、しみる等の強い刺激をパネラーが感じる場合を1点として、パネラーの感じる刺激を採点した。5名のパネラーの採点結果の平均点を算出した。そして、感覚刺激の評価として、算出された平均点が2.6点以上の場合を「○」とし、1.6点以上2.6点未満の場合を「△」とし、1.6点未満の場合を「×」とした。
【0110】
(泡質の評価)
各実施例及び比較例に係る染毛剤の泡質について評価した。各実施例及び比較例についての評価は、表2の「泡質」の欄に示した。
【0111】
ノンエアゾールフォーマー容器から吐出した各実施例、各比較例に係る泡状の染毛剤について、キメの細かさ・かさ高さの観察評価により「泡質」を評価した。10名のパネラーの評価結果の内、最も多い評価結果を採用した。
【0112】
評価は以下の評価基準に基づく8段階の評価により行った。
◎ :泡のキメが細かく大変整っており、非常にかさ高い泡である
◎〜○ :泡のキメが整っており、非常にかさ高い泡である
○ :泡のキメが整っており、かさ高い泡である
○〜△ :泡のキメが整っており、ややかさ高さに欠ける泡である
△ :僅かに泡かみがあり、かさ高さに欠ける泡である
△〜× :泡かみが多く、かさ高さに欠ける泡である
× :泡かみが多く、水っぽく広がる泡である
×× :泡かみが多く大きな泡をかみ、大変水っぽく広がる泡である
ここで、泡かみとは、泡の大きさが均一な、いわゆるキメが整った状態ではなく、大きな気泡を含んでポンプフォーマー容器から吐出される様子をいう。
【0113】
(感触の評価)
各実施例及び比較例に係る染毛剤を使用して染毛処理を行った後の、毛髪の感触について評価した。各実施例及び比較例についての評価は、表2の「感触」の欄に示した。
【0114】
各実施例、各比較例に係る上記の泡状の染毛剤を、吐出後直ちに、評価用毛髪として用いた30cmのロング毛束にそれぞれ常法により塗布した。そして、塗布後の評価用毛髪を30分後に水洗し、シャンプーを2回行い、次いでトリートメントを行ったもとで、10名のパネラーにより評価用毛髪の感触を評価した。
【0115】
評価は以下の評価基準に基づく8段階の評価により行い、10名のパネラーの評価結果の内、最も多い評価結果を採用した。
【0116】
◎ :毛髪にごわつきがなく、非常に滑らかであり指通りが良い
◎〜○ :毛髪にごわつきがなく、滑らかさがあり指通りが良い
○ :毛髪にごわつきがほとんどなく、滑らかである
○〜△ :毛髪にごわつきが少なく、滑らかである
△ :毛髪にごわつきが僅かに感じられ、毛髪表面に滑らかさが足りない
△〜× :毛髪にごわつきが感じられ、毛髪表面が滑らかさが足りない
× :毛髪がごわつき、毛髪表面が滑らかでない
×× :毛髪が非常にごわつき、毛髪表面がなめらかでない
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明により、泡質に優れ、毛髪処理時の刺激が少なく、かつ毛髪処理後の毛髪に良好な感触を付与する毛髪化粧料組成物、当該毛髪化粧料組成物の使用方法、及び毛髪化粧料用品が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤又は毛髪脱色剤として構成され、使用時に第1剤と第2剤の混合液をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、下記(A)成分及び(B)成分を含有し、かつ、当該混合液中の非イオン性界面活性剤の含有量が10質量%以上であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
(A)アルキルグルコシド
(B)カチオン性界面活性剤
【請求項2】
前記(B)成分が、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、及び長鎖ジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記第1剤と第2剤の混合液中の(A)成分と(B)成分の質量比が(A)/(B)=0.03〜1.5であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物をノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出させて毛髪に適用することを特徴とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載した毛髪化粧料組成物と、この毛髪化粧料組成物を泡状に吐出させるためのノンエアゾールフォーマー容器とを含んで構成されることを特徴とする毛髪化粧料用品。


【公開番号】特開2012−97026(P2012−97026A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245611(P2010−245611)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】