説明

毛髪化粧料組成物、毛髪化粧用品及び毛髪化粧料組成物の使用方法

【課題】発泡性を高めることの容易な毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品を提供する。
【解決手段】酸化染毛剤は、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される。染毛用品は、酸化染毛剤10と閉塞可能容器20とを備えている。酸化染毛剤10には、両性界面活性剤が含有され、その酸化染毛剤10の振とうにより発泡させることで泡状の剤型とされる。閉塞可能容器20は、振とうにより発泡させる操作を行うためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤又は脱色脱染剤として構成されるとともに、剤型を泡状にして用いる毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品に関する。
【背景技術】
【0002】
剤型を泡状にして用いる染毛剤が知られている(特許文献1〜4参照)。特許文献1には、エアゾールにより剤型を泡状にされる酸化染毛剤が記載されている。特許文献2〜4には、ポンプフォーマーやスクイズフォーマー等のフォーマー容器を使用して剤型を泡状にされる染毛剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−136818号公報
【特許文献2】特開2007−291015号公報
【特許文献3】特開2007−275777号公報
【特許文献4】特開2008−291020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアゾールを用いて剤型を泡状にするには、例えば液化ガスといった噴射剤が用いられる。この点、フォーマー容器では、噴射剤を用いずに剤型を泡状にすることができるものの、特定の部位において空気と毛髪化粧料とを混合させるとともにネットを通じることで剤型を泡状にするため、発泡用具の構成の複雑化を招く傾向にある。
【0005】
本発明は、噴射剤及びフォーマー容器を用いずに、使用時に泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物において、発泡性を改善する組成を見出すことでなされたものである。本発明の目的は、発泡性を高めることの容易な毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための第1発明の毛髪化粧料組成物は、染毛剤又は脱色脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、両性界面活性剤が含有されてなり、振とうにより発泡させる発泡操作によって前記泡状の剤型とされることを要旨とする。
【0007】
ここで、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0008】
第2発明は、第1発明に記載の毛髪化粧料組成物において、前記両性界面活性剤の含有量が、前記毛髪化粧料組成物中において1.5〜4.0質量%であることを要旨とする。
【0009】
第3発明は、第1発明又は第2発明に記載の毛髪化粧料組成物において、前記発泡操作が、前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる操作であることを要旨とする。
【0010】
第4発明の毛髪化粧用品は、第1発明から第3発明のいずれかに記載の毛髪化粧料組成物と、前記発泡操作を行うための発泡用具とを備えたことを要旨とする。
【0011】
第5発明は、第4発明に記載の毛髪化粧用品において、前記発泡用具が、前記毛髪化粧料組成物を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器であり、前記発泡操作が、前記閉塞可能容器内で前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる操作であることを要旨とする。
【0012】
第6発明は、第5発明に記載の毛髪化粧用品において、前記毛髪化粧料組成物の質量(g)に対する前記閉塞可能容器の内容量(mL)の比率(mL/g)が2〜15の範囲であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発泡性を高めることの容易な毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)〜(d)は、実施形態における染毛用品の使用方法を示す説明図。
【0015】
【図2】閉塞可能容器を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を酸化染毛剤として構成される毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品としての染毛用品に具体化した実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本実施形態の酸化染毛剤は、使用時に泡状の剤型とされて毛髪に適用されるものである。酸化染毛剤は、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる二剤式の酸化染毛剤である。酸化染毛剤には、両性界面活性剤が含有されている。酸化染毛剤は、使用時に第1剤と第2剤とを接触させるとともに振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型とされる。
【0018】
本実施形態の第1剤は、少なくとも酸化染料及びアルカリ剤を含んでいる。酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は、少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0019】
染料中間体としては、例えばフェニレンジアミン類(但し、メタフェニレンジアミンを除く。)、アミノフェノール類(但し、メタアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール及びパラメチルアミノフェノールを除く。)、トルイレンジアミン類(但し、トルエン−3,4−ジアミン及びトルエン−2,4−ジアミンを除く。)、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類(但し、2,6−ジアミノピリジンを除く。)、及びそれらの塩類が挙げられる。塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩等が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0020】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する化合物であって、必要に応じて第1剤に含有される。カプラーとしては、例えばレゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0021】
酸化染毛剤中における染料中間体の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。染料中間体の含有量が0.01質量%未満の場合、十分な染色性が得られないおそれがある。染料中間体の含有量が10質量%を超えても染色性はそれ以上向上しないことから、染毛の経済性が低下するおそれがある。
【0022】
第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0023】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及び硫酸塩が挙げられる。有機アミン類としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、及びリジン、並びに塩基性アミノ酸塩が挙げられる。塩基性アミノ酸の塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸アンモニウムが挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0024】
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤及び第2剤を混合した酸化染毛剤においてpHが7〜12の範囲となる量である。pHが7未満では、第2剤に酸化剤としての過酸化水素が含有される場合、過酸化水素の作用が十分に促進されないおそれがある。混合液のpHが12を超えると、酸化染毛剤が毛髪に塗布されたときに、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすくなるおそれがある。
【0025】
第2剤は少なくとも酸化剤を含んでいる。酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色する。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及び、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化剤は、好ましくは、毛髪に含まれるメラニンの脱色力に優れることから、過酸化水素から構成される。
【0026】
第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満の場合、酸化染料を十分に酸化重合させることが困難となるおそれがある。酸化剤の含有量が10.0質量%を超える場合、毛髪が損傷しやすくなるおそれがある。
【0027】
酸化染毛剤を構成する第1剤及び第2剤の少なくとも一方には、両性界面活性剤が含有される。両性界面活性剤は、前記発泡操作によって泡状の剤型とするに際して、発泡量及び泡のきめ細やかさを高める。
【0028】
両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンが挙げられる。
【0029】
脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン、又はヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと記載されることもある。)、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン、又はラウリン酸アミドプロピルベタインと記載されることもある。)、及びリシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、塩として配合してもよい。その塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0030】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えばデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインは、塩として配合してもよい。その塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0031】
N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩としては、例えばココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンであり、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインと記載されることもある。)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、及び綿実アンホ酢酸Naが挙げられる。
【0032】
N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩としては、例えばココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Naが挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤は単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。両性界面活性剤の中でも、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0034】
酸化染毛剤中における両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜10.0質量%であり、より好ましくは1.5〜4.0質量%である。特に、酸化染毛剤中における両性界面活性剤の含有量を1.5〜4.0質量%の範囲とすることで、優れた発泡性を発揮させることが更に容易となる。
【0035】
酸化染毛剤を構成する第1剤及び第2剤の少なくとも一方には、発泡させるための基材として水が含有されている。酸化染毛剤中における水の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。ここで、酸化染毛剤の振とうによる発泡を速やかに開始させるという観点から、前記両性界面活性剤は、第1剤及び第2剤のうち、水を含有する剤に含有されることが好ましい。
【0036】
第1剤及び第2剤の剤型としては、例えば固体状、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状の剤型としては、例えば粉末状、及び錠剤が挙げられる。固体状の剤型とする場合においては、第1剤及び第2剤を混合するに際して分散性に優れるという観点から、粉末状であることが好ましい。なお、例えば第1剤を固体状の剤型とする場合には、第2剤は水を含有する剤とされる。
【0037】
第1剤及び第2剤には、必要に応じて、例えば油性成分、両性界面活性剤以外の界面活性剤、水溶性高分子化合物、キレート剤、無機塩、及び分散剤を含有させてもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0038】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0039】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0040】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0041】
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。
【0042】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0043】
両性界面活性剤以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)等のN−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0044】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアルミニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91が挙げられる。
【0045】
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、及びPOEセチルステアリルジエーテルが挙げられる。
【0046】
エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えばモノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、及びラウリン酸ポリグリセリルが挙げられる。
【0047】
水溶性高分子化合物としては、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類が挙げられる。無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが挙げられる。分散剤としては、例えばステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0048】
第1剤及び第2剤には、その他の成分として例えば糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。
【0049】
染毛用品は、第1剤、第2剤、及び前記発泡操作を行うための発泡用具を備えている。第1剤及び第2剤は、個別に包装された包装体として使用時まで保管される。なお、各剤の包装形態としては、特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装が挙げられる。
【0050】
本実施形態の発泡用具は、酸化染毛剤を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器である。図1(a)に示されるように、閉塞可能容器20は、有底筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する蓋体22とを備えている。
【0051】
蓋体22の周縁部にはフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部が容器本体21の開口部に嵌合されるようになっている。なお、本実施形態の閉塞可能容器20では、嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで蓋体22が液密に装着されるようになっているが、容器本体21を閉塞させる構造は特に限定されない。例えば、蓋体に凹条を形成するとともにその凹条を容器本体の開口部周縁に形成した凸条に圧入させる構造により閉塞可能としてもよい。
【0052】
閉塞可能容器20は、第1剤の包装体11及び第2剤の包装体12が収容可能に形成されている。こうした閉塞可能容器20では、同容器20を酸化染毛剤10の外装容器として、各剤をまとめて保管することができる。なお、本実施形態の閉塞可能容器20には、染毛処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品も収容されるように形成されている。こうした閉塞可能容器は、軽量化の観点から、樹脂材料、又は、耐水性を付与した紙材料から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0053】
こうした染毛用品を用いて染毛処理を施すには、まず、第1剤の包装体11、及び第2剤の包装体12を容器本体21から取り出し、各包装体11,12を開封した後、図1(b)に示されるように各剤を閉塞可能容器に投入する。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る操作を行う。このとき、閉塞可能容器20内では、各剤が混合されるとともに各剤の混合物である酸化染毛剤が上下に振とうされることで酸化染毛剤に空気が混入される。このように酸化染毛剤に空気を振り混ぜる操作により、酸化染毛剤の発泡が開始される。そして、閉塞可能容器20を所定の回数振ることで、発泡操作を完了する。この発泡操作により、図1(b)に示される発泡前の酸化染毛剤13から、図1(d)に示される泡状の酸化染毛剤14が調製される。続いて、泡状の酸化染毛剤14を例えば手で取り出して毛髪に塗布する。このとき、酸化染毛剤は泡状をなしているため、毛髪に容易に馴染ませることができる。こうして酸化染毛剤が塗布された毛髪を所定時間放置することで、毛髪が染色される。続いて、酸化染毛剤を水又は温水で洗い流すことで、染毛処理が完了される。
【0054】
ここで、図2に示されるように、容器本体21はその底壁よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を取り出す際に、酸化染毛剤が容器本体21の内面に残留しにくくなっている。
【0055】
酸化染毛剤の質量(g)に対する閉塞可能容器20の内容量(mL)の比率(mL/g)は、2〜15の範囲であることが好ましい。前記比率(mL/g)が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における酸化染毛剤の移動量が確保されやすくなるため、酸化染毛剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記比率(mL/g)が15を超える場合、酸化染毛剤の発泡操作完了後において、閉塞可能容器20内に余剰となる空間が増すことで、発泡後の酸化染毛剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0056】
本実施形態の閉塞可能容器20は、径方向の寸法よりも高さ方向の寸法が大きくなるように形成されることで、容易に把持できるようになっている。図2に示される閉塞可能容器20の収容部の高さh1は、10〜25cmが好ましい。閉塞可能容器の収容部の高さh1が10cm以上の場合、閉塞可能容器20内において、泡状とされる酸化染毛剤の体積が十分に確保されやすくなる。一方、閉塞可能容器20の収容部の高さh1が25cmを超える場合、閉塞可能容器20が取り扱いにくくなるおそれがある。
【0057】
閉塞可能容器20内において、発泡前の酸化染毛剤13の高さh2(cm)に対する閉塞可能容器の収容部の高さh1(cm)の高さ比率(高さ比率=閉塞可能容器の収容部の高さh1/発泡前の酸化染毛剤の高さh2)は、2〜15の範囲であることが好ましい。この高さ比率が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における酸化染毛剤の移動量が確保されやすくなるため、酸化染毛剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記高さ比率が15を超える場合、酸化染毛剤の発泡操作完了後において、容器本体21に余剰となる空間が増すことで、発泡後の酸化染毛剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0058】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)本実施形態の酸化染毛剤は、両性界面活性剤が含有されてなり、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型とされる構成である。このため、酸化染毛剤の使用時には、前記発泡操作を行うことで、両性界面活性剤の起泡力が好適に発現されるようになる。つまり、両性界面活性剤の含有によって、発泡量及び泡のきめ細やかさといった発泡性が高められるようになる。従って、例えばフォーマー容器のように複雑な構造の容器や、エアゾールのように噴射剤を用いずに前記発泡操作を行う場合において、発泡性を高めることが容易となる。
【0059】
(2)フォーマー容器による発泡、及びエアゾールを用いた発泡は、容器内の酸化染毛剤を吐出させる操作と何ら変わりがないため、酸化染毛剤の剤型を泡状に変化させるときの楽しみに欠けるものである。本実施形態では、振とうにより発泡させる発泡操作であるため、使用時に剤型を泡状に変化させる操作を楽しむことができる。また、フォーマー容器による発泡は、噴射剤を用いずに発泡させることができるという利点があるものの、一回の吐出操作で吐出される酸化染毛剤の量は比較的少ない。これに対して、本実施形態の振とうによる発泡操作によれば、一度に比較的多く量の酸化染毛剤を発泡させることも容易となる。
【0060】
(3)両性界面活性剤の含有量が、酸化染毛剤中において1.5〜4.0質量%であることで、上記の発泡操作を通じた発泡性を高めることが更に容易となる。
【0061】
(4)本実施形態の発泡操作は、酸化染毛剤に空気を振り混ぜる操作である。こうした発泡操作は、熟練を要しない分かりやすい操作であるため、簡便に発泡させることができるとともに、そうした発泡操作を楽しむことができる。
【0062】
(5)本実施形態の染毛用品では、酸化染毛剤と閉塞可能容器とを備えているため、発泡させるため発泡用具を別途準備する必要はなく、手軽に発泡操作を行うことができる。
【0063】
(6)本実施形態の酸化染毛剤は、例えば泡立て器を用いて発泡させることもできる。この場合であっても、例えばフォーマー容器のような複雑な構造の容器を用いずに、発泡させることができる。こうした泡立て器による発泡操作においても、両性界面活性剤の含有により発泡性を高めることが容易となる。ここで、本実施形態では、発泡用具として閉塞可能容器を適用している。このような閉塞可能容器であれば、容器本体と蓋体といった極めてシンプルな発泡用具で発泡操作を行うことができる点において有利である。
【0064】
(7)閉塞可能容器は、第1剤及び第2剤が個別に包装された状態で収容可能に形成されている。このため、染毛用品では、酸化染毛剤の使用時まで各剤を閉塞可能容器内に収容して保管又は流通させることができる。このように本実施形態の染毛用品では、個包装の外装として閉塞可能容器を用いる構成であるため、染毛用品としての包装を簡略化することができる。
【0065】
(8)酸化染毛剤の質量(g)に対する閉塞可能容器の内容量(mL)の比率(mL/g)が2〜15の範囲であることで、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができるとともに、容器本体から酸化染毛剤を容易に取り出すことができるようになる。従って、発泡操作を簡便に行うことのできる染毛用品を提供することができる。しかも、振り混ぜる操作により、閉塞可能容器内において酸化染毛剤の移動量が確保されやすいことから、酸化染毛剤への空気の混入及び空気の微細化が促進される結果、きめ細やかな泡質を形成することが容易となる。
【0066】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
【0067】
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤として構成されているが、常法に従って、酸性染毛料、又は脱色脱染剤として構成することもできる。また、脱色脱染剤として構成する場合であれば、毛髪化粧用品として毛髪脱色脱染用品を提供することができる。この場合であっても、振とうにより発泡させる発泡操作によって前記泡状の剤型とする際に、両性界面活性剤が含有されることにより、発泡性を高めることが容易となる。以下、特に断りのない限り、毛髪化粧料組成物は、染毛剤及び毛髪脱色脱染剤を含むことを意味する。
【0068】
・前記酸化染毛剤は、二剤式の酸化染毛剤として構成されているが、少なくとも一方の剤を、複数の剤に分割して構成するとともに、それら複数の剤を使用時に混合するように構成してもよい。なお、脱色脱染剤として構成する場合も同様に剤を分割して構成することができる。また、例えば酸性染毛料の場合は一剤式として構成することもできる。
【0069】
・前記発泡操作を次のように変更することができる。すなわち、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0070】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有する容器に投入して、その容器内で行われる。このような発泡用具を用いた場合であっても、前記実施形態の毛髪化粧料組成物によれば、発泡性を高めることが容易となる。
【0071】
・前記容器本体は、有底円筒状に形成されているが、例えば有底角柱状に変更することもできる。また、蓋体の形状についても、例えば容器本体の形状に応じて適宜変更してもよい。
【0072】
・前記閉塞可能容器には、第1剤及び第2剤が個別に包装された状態で収容可能に形成されている。すなわち、閉塞可能容器を各剤の外装として用いているが、各剤のうち少なくとも一方を閉塞可能容器外に保存するように構成してもよい。
【0073】
・前記実施形態のように閉塞可能容器を上下に振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよいし、例えば閉塞可能容器を把持して手首を捻るようにして閉塞可能容器を振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよい。
【0074】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0075】
(イ)染毛剤又は脱色脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物の使用方法であって、前記毛髪化粧料組成物は両性界面活性剤が含有されてなり、前記使用時に、前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる発泡操作を実施することで前記泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【0076】
(ロ)染毛剤又は脱色脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物の使用方法であって、前記毛髪化粧料組成物は両性界面活性剤が含有されてなり、前記使用時に、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の発泡操作を実施することで前記泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【0077】
(ハ)前記毛髪化粧料組成物は、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とを備え、前記閉塞可能容器は、前記第1剤及び前記第2剤が個別に包装された状態で収容可能に形成されている毛髪化粧用品。
【実施例】
【0078】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
【0079】
(実施例1〜9)
各実施例では、表1に示される各成分を混合することにより、二剤式の酸化染毛剤を調製した。表1において各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。なお、第1剤の剤型は粉末状であり、第2剤の剤型は液状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。次に、閉塞可能容器(A1)又は泡立て器(B)を用いて、各例の酸化染毛剤の発泡操作を行った。なお、閉塞可能容器(A1)の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器(A1)内に、第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器(A1)を上下に20回振った。こうした酸化染毛剤に空気を振り混ぜる発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。また、泡立て器(B)は、酸化染毛剤調整用の泡立て器であり、容量600mLのカップに第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入した後、泡立て器(B)を所定の回数、回転させて撹拌する発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0080】
(比較例1)
比較例1では、表1に示されるように、実施例1と同じ二剤式の酸化染毛剤を用いた。比較例1では、発泡用具としてスクイズ式のフォーマー容器(C)を用いて、常法に従って発泡操作を行った。
【0081】
(比較例2)
比較例2では、表1に示されるように、実施例1と同じ二剤式酸化染毛剤を用いた。比較例2では、発泡用具としてポンプ式のフォーマー容器(D)を用いて、常法に従って発泡操作を行った。
【0082】
(比較例3及び4)
比較例3及び4では、表1に示されるように、両性界面活性剤を配合せずに二剤式の酸化染毛剤を調製した以外は、実施例1と同様にして発泡操作を行った。
【0083】
<発泡量>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。その結果、発泡量が非常に優れるものを評価5とし、発泡量が優れるものを評価4とし、泡立ちが良好なものを評価3とし、発泡量がやや不良なものを評価2とし、発泡量が悪いものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表1の“発泡量の評価”欄に示している。
【0084】
<泡のきめ細やかさ>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。その結果、泡のきめ細やかさが非常に優れるものを評価5とし、泡のきめ細やかさが優れるものを評価4とし、泡のきめ細やかさが良好なものを評価3とし、泡がやや粗いものを評価2とし、泡が非常に粗いものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表1の“泡のきめ細やかさの評価”欄に示している。
【0085】
<発泡操作後の取り扱い性>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後にポリエチレン製の手袋をした手に取り、毛髪に持っていく際に、剤が手に保持される状態を観察した。その結果、手への保持性が非常に優れるものを評価5とし、保持性に優れるものを評価4とし、保持性が良好なものを評価3とし、保持性にやや劣るものを評価2とし、保持性に劣るものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表1の“発泡操作後の取り扱い性の評価”欄に示している。
【0086】
【表1】

表1に示されるように、実施例1〜9では、発泡量、泡のきめ細やかさ、及び発泡操作後の取り扱い性のいずれの結果も評価3以上であった。特に、実施例1〜3、5〜7及び9では、発泡量、泡のきめ細やかさ、及び発泡操作後の取り扱い性のいずれの結果も評価4以上であった。この結果から、酸化染毛剤中(混合物中)における両性界面活性剤の含有量は、1.5〜4.0質量%の範囲が好ましいことが分かる。
【0087】
これに対して、比較例1及び2では、発泡用具として、それぞれスクイズ式のフォーマー容器(C)及びポンプ式のフォーマー容器(D)を用いているため、発泡量の結果は評価1であった。比較例3では、閉塞可能容器(A1)を用いているものの、両性界面活性剤をカチオン性界面活性剤に変更しているため、発泡量の結果は評価1であった。比較例4では、閉塞可能容器(A1)を用いているものの、両性界面活性剤をアニオン性界面活性剤に変更しているため、泡のきめ細やかさの結果は評価1であった。なお、比較例1〜3において、表1の“発泡操作後の取り扱い性の評価”欄に示される“×”は、泡立たなかったため、評価不能であったことを示している。
【0088】
(実施例1a)
実施例1aでは、上下に振とうする回数を10回に変更した以外は実施例1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0089】
(実施例1b及び1c)
実施例1b及び1cでは、表2に示されるように、容量の異なる閉塞可能容器(A2,A3)を用いて、上下に振とうする回数を10回に変更した以外は実施例1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0090】
(実施例1d〜1f)
実施例1d〜1fでは、表2に示されるように、閉塞可能容器(A1)に投入する酸化染毛剤の量を変更するとともに、閉塞可能容器(A1)を上下に振る回数について10回に変更した以外は実施例1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0091】
(評価)
実施例1a〜1fについて、上記の<発泡量>、及び<泡のきめ細やかさ>の評価を行った。判定結果の数値を表2の“発泡量の評価”欄、及び“泡のきめ細やかさの評価”欄に示している。
【0092】
【表2】

表2に示されるように、実施例1a、1c及び1eでは、発泡量の評価、及び泡のきめ細やかさの評価の結果は、評価4又は5であり、実施例1b、1dよりも優れている。この結果から、酸化染毛剤(混合物)の質量(g)に対する内容量(mL)の比率(mL/g)は2〜15の範囲が好ましいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によって、発泡性を高めることの容易な毛髪化粧料組成物、及び毛髪化粧用品が提供される。
【符号の説明】
【0094】
10…酸化染毛剤、11…第1剤の包装体、12…第2剤の包装体、13…発泡前の酸化染毛剤、14…発泡後の酸化染毛剤、20…閉塞可能容器、21…容器本体、22…蓋体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛剤又は脱色脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、
前記毛髪化粧料組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを含む複数の剤を混合してなり、
前記毛髪化粧料組成物中には、両性界面活性剤が0.5質量%以上含有されてなり、前記毛髪化粧料組成物を手動で振とうして発泡させる発泡操作によって前記泡状の剤型とされることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
前記発泡操作が容器内で行われることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物と、前記発泡操作を行うための発泡用具とを備えたことを特徴とする毛髪化粧用品。
【請求項4】
請求項1に記載の毛髪化粧料組成物の使用方法であって、前記発泡操作は容器内で行われるものであり、前記毛髪化粧料組成物を前記容器に投入し、前記発泡操作を行うことで、前記毛髪化粧料組成物を前記泡状の剤型にすることを特徴とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【請求項5】
前記容器内の前記毛髪化粧料組成物を振とうさせる発泡用具をさらに用いて前記発泡操作を行うことを特徴とする請求項4に記載の毛髪化粧料組成物の使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−32379(P2013−32379A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226539(P2012−226539)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2009−247088(P2009−247088)の分割
【原出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】