説明

毛髪化粧料組成物

【課題】滑らかな感触を与えながら、高いセット保持力を有するものであって、かつ、性能にばらつきが生じることのない毛髪用化粧料組成物を提供する。
【解決手段】(A)シリカゾルと(B)平均組成式
SiO(4−a)/2
(式中、Rは同一または異種の1価の炭化水素基または置換炭化水素基、aは1.8〜2.2の範囲の数を示す)
で表されるポリオルガノシロキサンとを、前記(A)成分中のSiO2分と前記(B)成分の重量比が1:99〜50:50となるように予め混合し、この混合物を水性媒体中に乳化させてシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンとした後、このシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンを他の成分と混合してなる毛髪化粧料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物に係り、さらに詳しくは優れた艶や滑らかな感触を与えつつ、良好な毛髪のセット保持力を有する毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャンプーやコンディショナーなどの各種毛髪化粧料組成物においては、毛髪に滑らかさ、柔らかさ、しっとり感といった様々な感触を付与する目的で、シリコーン油、エステル油、炭化水素油などの油分や、カチオン性界面活性剤などが組合わされて使用されている。特にシリコーン油は、表面張力が低く毛髪に均一に広がり易いうえ、良好な艶、光沢が得られ、また、付与する感触の多様性にも優れることから、広く用いられている。
【0003】
しかしながら、従来のシリコーン油を配合した毛髪化粧料組成物では、滑らかさを十分に付与しようとするとシリコーン油を大量に配合しなければならず、そのために、毛髪の腰が失われ、セット保持力が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このため、十分な滑らかさを与えつつ、高いセット保持力を有する毛髪化粧料組成物の開発が進められており、例えば、特定の硬質のシリコーンポリマーをオクタメチルテトラシロキサンのような揮発性物質に溶解させて配合した組成物(例えば、特許文献1参照。)や、非硬質の架橋シリコーンポリマーを使用した組成物(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかしながら、これらはいずれも滑らかさの点でなお不十分であった。
【0005】
また、シリカコア−シリコーンシェル体を使用した化粧料組成物(例えば、特許文献3参照。)が提案されているが、シリカコア−シリコーンシェル体は乳化重合時のオルガノシロキサン重合度制御が困難であるため、安定した性能を得にくいという問題があった。また、滑らかさも十分満足できるものではなかった。
【0006】
一方、シリカ、マイカなどの無機粉体や、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの有機粉体を用いた毛髪化粧料(例えば、特許文献4〜6参照。)が提案されている。しかしながら、これらはさらさら感は与えるものの、滑らかさやしっとり感は不十分であった。
【特許文献1】米国特許第4902499号明細書
【特許文献2】特許第3043816号公報
【特許文献3】特開平10−114622号公報
【特許文献4】特開昭57−140708号公報
【特許文献5】特開平4−124121号公報
【特許文献6】特開平6−80559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、十分な滑らかさを与えながら、高いセット保持力を有する毛髪化粧料組成物の開発が進められているが、滑らかさが不十分であったり、性能の安定性に欠けるなどの問題があり、未だ十分満足できるものは得られていない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、滑らかな感触を与えながら、高いセット保持力を有するものであって、かつ、性能のばらつきもない毛髪用化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、シリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合物を乳化したシリコーンエマルジョンを配合することにより、毛髪に十分な滑らかな感触を与えながら、良好なセット保持力を有することができ、しかも、性能がばらつくこともない毛髪化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)シリカゾルと(B)下記平均組成式[I]
SiO(4−a)/2 …[I]
(式中、Rは同一または異種の1価の炭化水素基または置換炭化水素基、aは1.8〜2.2の範囲の数を示す)
で表されるポリオルガノシロキサンとを、前記(A)成分中のSiO2分と前記(B)成分の重量比が1:99〜50:50となるように予め混合し、この混合物を水性媒体中に乳化させてシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンとした後、このシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンを他の成分と混合してなることを特徴とする毛髪化粧料組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、シリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合物のエマルジョンを含有させたので、毛髪のセット保持力を有しつつ、べたつきのない、滑らかな触感を安定して毛髪に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明に用いられる(A)成分のシリカゾルは、SiO2を基本単位とする液中分散体を指称するものであり、好ましくは平均粒子径が4〜100nm、より好ましくは10〜50nmのものである。分散媒体である液体としては、水、アルコール、エチレングリコールなどが挙げられるが、毛髪化粧料に配合しやすいエマルジョンが得られることから、水が好ましい。すなわち、(A)成分のシリカゾルとしては、水中分散体である水性シリカゾルが好ましい。なお、水性シリカゾルは、特性分類から酸性のものとアルカリ性のものに分けられるが、エマルジョン調製時の乳化条件によって、適宜選択して使用される。
【0013】
また、本発明に用いられる(B)成分のポリオルガノシロキサンは、前記平均組成式[I]で表されるものである。
【0014】
[I]式中、R1で示される基のうち、1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの直鎖または分岐状アルキル基、フェニル基、ナフチル基、キセニル基などのアリール基、ベンジル基、β-フェニルエチル基、メチルベンジル基、ナフチルメチル基などのアラルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。また、1価の置換炭化水素基としては、例えば3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基などのアルキルアミノ基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-フルオロプロピル基などのフルオロアルキル基などが挙げられる。なかでも、入手の容易さと付与する触感が良好であることから、R1は、メチル基、フェニル基、3-アミノプロピル基やN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基などのアミノ含有基が好ましい。
【0015】
なお、Rがアミノ含有基を含むポリオルガノシロキサンとしては、アミン当量が約0.02〜約3ミリ当量/gであって、かつ、次式[II]および[III]:
SiO(4−a−b)/2 …[II]
SiO(4−c)/2 …[III]
[式中、RおよびRはそれぞれ同一または異種の炭素数1〜6の1価の炭化水素基または置換炭化水素基;Qは基−RNHZ(ここで、Rは炭素原子および水素原子;炭素原子、水素原子および酸素原子;または炭素原子、水素原子およびイオウ原子を含む2価の連結基、Zは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基および基−CHCHNHからなる群より選ばれる原子または基);a、bはそれぞれ0<a≦2、1≦b≦3およびa+b≦3を満たす数;cは1〜3の範囲の数を示す]
で表される構成単位を含み、それらの構成単位比[II]:[III](モル比)が1:2〜1:65の範囲のものが挙げられる。
【0016】
この(B)成分のポリオルガノシロキサンは、粘度が25℃において0.005〜1000Pa・sの範囲のものが好ましい。粘度が0.005Pa・s未満であると、滑らかさを十分に付与することができず、一方1000Pa・sを越えると、使用後、水の揮発に伴ってエマルジョン粒子が破壊されても、シリカやポリオルガノシロキサンが髪表面に広がり難いため、セット保持力や滑らかさが十分に得られない。より好ましい粘度は25℃において0.1〜500Pa・sの範囲である。
【0017】
なお、(B)成分のポリオルガノシロキサンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよいが、2種以上を混合して使用する場合、上記の好ましい粘度は、その混合物に適用され、混合前の各々のオルガノシロキサンの粘度は特に限定されるものではない。
【0018】
本発明の効果を得るためには、(A)成分のシリカゾル中のSiO2分と(B)成分のポリオルガノシロキサンの重量比が1:99〜50:50であることが必要であり、(A)成分中のSiO2分の割合が前記範囲より少ないと、十分な滑らかさとセット保持力が得られず、一方、50重量%を越えると、セット保持力は高いものの、滑らかさが不十分となる。好ましくは(A)成分中のSiO2分と(B)成分の重量比が5:95〜40:60の範囲であり、10:90〜30:70の範囲であるとより好ましい。
【0019】
また、(A)成分のシリカゾルおよび(B)成分のポリオルガノシロキサンの毛髪化粧料組成物中の含有量は、用途により適宜定められるが、本発明の効果を十分に得るためには、例えば毛髪化粧料組成物がシャンプー組成物の場合、0.1〜10重量%、ヘアコンディショナー組成物の場合、0.1〜20重量%の範囲が好ましい。より好ましくは、シャンプー組成物の場合、0.1〜2重量%、ヘアコンディショナー組成物の場合、0.1〜5重量%の範囲である。
【0020】
(A)成分のシリカゾルと(B)成分のポリオルガノシロキサンは、予め混合し、この混合物を乳化剤を用いて水性媒体中に乳化分散させた状態、すなわち、シリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合物のエマルジョン(シリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン)の形態で毛髪化粧料組成物中に添加される。エマルジョン粒子径は、通常、0.1〜500μmの範囲にされるが、用途によっては粒子径があまり大きいと毛髪化粧料組成物中での安定性が低下するおそれがあるため、目的とする毛髪化粧料組成物の種類によって適宜調整することが好ましい。例えば、シャンプー組成物の場合には、100μm以下が好ましく、50μm以下であるとより好ましい。
【0021】
なお、(A)成分のシリカゾルと(B)成分のポリオルガノシロキサンの混合物を乳化させずに毛髪化粧料組成物に添加した場合には、滑らかさを与えないどころか、逆に引っ掛かり感を与える。
【0022】
シリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンの製造には、公知の方法を用いることができ、例えば、コロイドミル、ラインミル、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化機や、アンカーミキサーと、ホモミキサーまたはディスパーミキサーが一体となった乳化機などを用いて行うことができる。
【0023】
また、エマルジョンを製造する際に使用する乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤の各種の界面活性剤を使用することができる。
【0024】
アニオン性界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリルサルフェート、ラウリルサルフェート、テトラデセンスルホン酸、ヒドロキシテトラデセンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
【0025】
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジステアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0026】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0027】
両性界面活性剤としては、ラウリルアミンオキシド、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタインなどが挙げられる。
【0028】
界面活性剤は、例えば目的とする毛髪化粧料組成物がシャンプーのようなアニオン性組成物の場合、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の使用が好ましく、また、リンス、コンディショナーなどのカチオン性組成物の場合、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の使用が好ましい。なお、このようにノニオン性界面活性剤は、アニオン性組成物およびカチオン性組成物のいずれにも安定に配合でき、しかも、エマルジョンの粒子径制御が比較的容易であることから、好ましく使用される。
【0029】
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20) ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(18)ノニルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO14)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(EO80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノバルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノバルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)フィトステロール、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(8)ステアリルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのノニオン系界面活性剤のなかでも、得られるエマルジョンの安定性が良好なことから、HLBが6〜20のものを使用することが好ましい。
【0030】
この界面活性剤の配合量は、エマルジョン全体の1〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。1重量%未満では、各成分を良好に分散させることが困難になり、また40重量%を超えるとエマルジョンの安定性が低下する。
【0031】
また、エマルジョンの分散媒としての水の配合量は、エマルジョン全体の20〜90重量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜80重量%である。
【0032】
本発明においては、(B)成分としてアミノ基を含有するポリオルガノシロキサンを含む場合には、エマルジョン中に酸を配合してもよい。酸としては、酢酸、乳酸などの有機酸;塩酸、硫酸、りん酸などの無機酸が使用される。このような酸を配合することにより、アミノ基を含有するポリオルガノシロキサンのアミノ基部分を酸で中和し、エマルジョンの安定性を改善することができる。
【0033】
本発明の毛髪化粧料組成物は、上記シリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンに、用途に応じて、第4級アンモニウム塩;各種の界面活性剤;流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、各種エステル油などの油分;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールポリエチレングリコールなどの水溶性油分;ヒアルロン酸、コンドロイチン酸、ピロリドンカルボン酸などの保湿剤;カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤;カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体4級アンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド誘導体4級アンモニウム、ポリオキシエチレンポリアルキレン、ポリアミンなどのカチオン性高分子;紫外線吸収剤;香料などを配合して調製される。
【0034】
本発明の毛髪化粧料組成物が、リンス、コンディショナー、トリートメントなどの組成物である場合には、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上を毛髪化粧料組成物中0.1〜5重量%配合することが望ましい。第4級アンモニウム塩の配合量が0.1 重量%未満では、リンス効果が不十分となり、逆に5重量%を越えると、得られる組成物の粘性が高くなり使用性が低下する。なお、第4級アンモニウム塩としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェートなどが挙げられ、なかでも塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムおよび塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムが好ましい。
【0035】
また、本発明の毛髪化粧料組成物が、シャンプーなどの洗浄用組成物である場合には、脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N‐アシルアミノ酸塩などのアニオン性界面活性剤;モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステルス、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、シ゛ステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸グリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのアルキルアルカノールアミドなどのノニオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、やし油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどのベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤の1種または2種以上を毛髪化粧料組成物中5〜40重量%配合することが望ましい。この成分の配合量が5重量%未満では、洗浄性および洗浄時の泡立ちが不十分となり、逆に40重量%を越えると、得られる組成物の粘性が高くなり使用性が低下する。
【0036】
本発明の毛髪化粧料組成物の具体例としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアスタイリング剤、ムース、ヘアクリーム、ヘアジェル、髪油、染毛料、スキ油、鬢付油、セットローション、チック、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアスプレー、ポマードなどが挙げられる。また、その形態としては、固形状、グル状、液状、ペースト状のものなどが例示される。
【0037】
本発明の毛髪化粧料組成物においては、毛髪に優れた滑らかさを与えながら、高いセット保持力を有することができる。しかも、シリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合物のエマルジョンは、シリカコア−シリコーンシェル体エマルジョンのような重合度の制御が難しいといった問題もないので、性能にばらつきが生ずることがない。
【0038】
また、本発明で用いるシリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合物のエマルジョンは、シリカゾルとポリオルガノシロキサンの混合比や使用するポリオルガノシロキサンの種類や粘度を変えることで、滑らかさ、柔らかさ、しっとり感、さらさら感、こし、ボリューム感などの要求される様々な触感の改善を行うことができる。
【0039】
本発明は、特にシャンプー組成物に適用した場合に、次のような効果を得ることができる。すなわち、シャンプーは通常リンスあるいはコンディショナーと組み合わせて使用されることが多いが、本発明のシャンプー組成物を使用し、次いで、リンスあるいはコンディショナーを使用することにより、それぞれの効果が相加相乗されて、毛髪の滑らかさを大きく向上させることができる。
【実施例】
【0040】
次に本発明の実施例および比較例を記載する。なお、これらの例において、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、粘度は25℃における測定値である。
【0041】
実施例1
水性シリカゾル(日産化学工業(株)社製 商品名スノーテックスOL-40:平均粒子径44nm pH 2.3)100部と、粘度10Pa・sのポリジメチルシロキサン300部とを混合した後、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル10部およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル8部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水500部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-1)を得た。次いで、得られたシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-1)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0042】
実施例2
水性シリカゾル(日産化学工業(株)社製 商品名スノーテックス40:平均粒子径20nm SiO2 40.0% pH 9.5)200部と、粘度10Pa・sのポリジメチルシロキサン300部とを混合した後、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル12部およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル10部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水500部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-2)を得た。次いで、得られたシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-2)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0043】
実施例3
水性シリカゾルのスノーテックス OL-40 250部と、粘度5Pa・sのα,ωヒドロキシポリジメチルシロキサン300部とを混合した後、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル8部およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル10部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水500部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-3)を得た。次いで、得られたシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-3)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0044】
実施例4
水性シリカゾルのスノーテックス OL-40 100部と、粘度5Pa・s、アミノ基含有量0.5%のN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ポリジメチルシロキサン300部を混合した後、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル10部およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル8部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水500部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-4)を得た。次いで、得られたシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-4)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0045】
実施例5
粘度0.5Pa・sのポリジメチルシロキサン200部と粘度15kPa・sのポリジメチルシロキサン100部の混合物に、水性シリカゾルのスノーテックス OL-40 200部を混合した後、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル12部およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル9部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水500部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-5)を得た。次いで、得られたシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョン(E-5)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0046】
比較例1
粘度10Pa・sのポリジメチルシロキサン300部に、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル8部、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル8部およびイオン交換水30部を加え60℃で約10分間攪拌した。加温を止めた後、ここにイオン交換水200部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリコーンエマルジョン(E-6)を得た。次いで、得られたシリコーンエマルジョン(E-6)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0047】
比較例2
水性シリカゾルのスノーテックス OL-40 500部、イオン交換水648部およびn-ドデシルベンゼンスルフォン酸8.2部の混合系に、オクタメチルシクロテトラシロキサン200部を加え、ホモミキサーにより予備攪拌した。その後、ホモジナイザーに300kgf/cm2(約29.4MPa)の圧力で2回通して、乳化分散させた。この乳化分散物を、コンデンサー、温度計および攪拌機を備えたセパラブルフラスコ内に移し、85℃で5時間加熱攪拌した後、5℃で48時間冷却して重合を行った。次いで、炭酸ナトリウムを加えて中和し、pH7のコロイダルシリカコア‐シリコーンシェルエマルジョン(E-7)を得た。次いで、得られたコロイダルシリカコア‐シリコーンシェルエマルジョン(E-7)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0048】
比較例3
シリコーンエマルジョン(E-6) 100部と、水性シリカゾルのスノーテックス OL-40 15部を混合し、エマルジョン(E-8)を得た。次いで、得られたエマルジョン(E-8)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0049】
比較例4
煙霧質シリカ(日本アエロジル社製 商品名アエロジル200)5部と、粘度10Pa・sのポリジメチルシロキサン95部を150℃で5時間加熱攪拌した後、80℃まで冷却した。ここに、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル2部、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル3部およびイオン交換水15部を加え約30分間攪拌した。加温を止めた後、イオン交換水85部を徐々に加えながら攪拌し、乳白色のシリカ−シリコーン混合物エマルジョン(E-9)を得た。次いで、得られたシリカ−シリコーン混合物エマルジョン(E-9)を用いて表2に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0050】
上記実施例1〜5および比較例1〜4における各エマルジョンの組成を表1に、また、調製された各シャンプー組成物の「洗髪時の指通り」、「すすぎ時の指通り」、「乾燥後の滑らかさ」および「セット保持力」の評価結果を組成とともに表2に示す。
【0051】
なお、「洗髪時の指通り」、「すすぎ時の指通り」、「乾燥後の滑らかさ」および「セット保持力」の評価は、以下に示す2通りの方法で行った。
【0052】
評価方法(I):12人のパネリストがそれぞれ、長さ25cmの健常な毛髪10gを40℃の水に浸し、シャンプー組成物2gで1分間洗髪した後、30秒間40℃の水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。その後、各パネリストに、「洗髪時の指通り」、「すすぎ時の指通り」および「乾燥後の滑らかさ」を、下記の基準で点数付けしてもらい、その平均値を算出した。なお、指通り、特にすすぎ時の指通りは、近年、さっぱりと洗いあがる感触が好まれ、引っ掛かり感があったほうがよいとされる傾向もあるが、ここでは、指に抵抗をあまり感じず、軽く指が抜けるものが良好で、引っ掛かりを感ずるものを不良とした。
5:非常に良好4:良好3:普通2:やや不良1:不良
【0053】
また、乾燥後の毛髪2gに20cmの距離からヘアーセット組成物4gを均一に吹き付け塗布した後、この毛髪を外径1.2cmのカーラーに巻き、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。次いで、温度30℃、相対湿度80%雰囲気中に、カーラーから外した毛髪を垂直に吊し、その直後の長さL1と1時間放置後の長さL2を測定して次式よりカールリテンションを算出し、下記の基準で点数付けし、「セット保持力」を評価した。
カールリテンション(%)=(25-L2)/(25-L1)×1005:カールリテンション60%以上3:カールリテンション30%以上、60%未満1:カールリテンション30%未満
【0054】
評価方法(II):12人のパネリストがそれぞれ、長さ25cmの健常な毛髪10gを40℃の水に浸し、シャンプー組成物2gで1分間洗髪した後、1分間40℃の水ですすいだ。次いで、この髪に後述する比較例5で調製したコンディショナー組成物1gを塗り広げ、1分後、40℃の水で1分間すすぎ、ドライヤーで乾燥させた。その後、各パネリストに、「乾燥後の滑らかさ」を、評価方法(I)の場合と同様の基準で点数付けしてもらい、その平均値を算出した。また、乾燥後の毛髪について評価方法(I)の場合と同様に処理し、カールリテンションを算出して、「セット保持力」を評価した。
【0055】
【表1】

【表2】

【0056】
実施例6〜10、比較例5〜8
エマルジョン(E-1)〜(E-9)を用いて表3に示す組成でコンディショナー組成物を調製した。
【0057】
上記実施例6〜10および比較例5〜8で調製したコンディショナー組成物の「乾燥後の滑らかさ」および「セット保持力」の評価結果を組成とともに表3に示す。
【0058】
なお、「乾燥後の滑らかさ」および「セット保持力」の評価は、以下に示す方法で行った。
【0059】
すなわち、12人のパネリストがそれぞれ、長さ25cmの健常な毛髪10gを40℃の水に浸し、コンディショナー組成物2gを濡れた毛髪に塗り広げ、1分後、30秒間40℃の水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。その後、各パネリストに、「乾燥後の滑らかさ」を、前記の評価方法(I)の場合と同様の基準で点数付けしてもらい、その平均値を算出した。また、評価方法(I)の場合と同様に処理し、カールリテンションを算出して、「セット保持力」を評価した。
【0060】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリカゾルと(B)平均組成式
SiO(4−a)/2
(式中、Rは同一または異種の1価の炭化水素基または置換炭化水素基、aは1.8〜2.2の範囲の数を示す)
で表されるポリオルガノシロキサンとを、前記(A)成分中のSiO2分と前記(B)成分の重量比が1:99〜50:50となるように予め混合し、この混合物を水性媒体中に乳化させてシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンとした後、このシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンを他の成分と混合してなることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
(A)シリカゾルと(B)平均組成式
SiO(4−a)/2
(式中、Rは同一または異種の1価の炭化水素基または置換炭化水素基、aは1.8〜2.2の範囲の数を示す)
で表されるポリオルガノシロキサンとを、前記(A)成分中のSiO2分と前記(B)成分の重量比が1:99〜50:50となるように予め混合し、この混合物を水性媒体中に乳化させてシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンとした後、このシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンを他の成分と混合してなることを特徴とするシャンプー組成物。
【請求項3】
(A)シリカゾルと(B)平均組成式
SiO(4−a)/2
(式中、Rは同一または異種の1価の炭化水素基または置換炭化水素基、aは1.8〜2.2の範囲の数を示す)
で表されるポリオルガノシロキサンとを、前記(A)成分中のSiO2分と前記(B)成分の重量比が1:99〜50:50となるように予め混合し、この混合物を水性媒体中に乳化させてシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンとした後、このシリカゾル−シリコーン混合物エマルジョンを他の成分と混合してなることを特徴とするヘアコンディショナー組成物。

【公開番号】特開2007−16055(P2007−16055A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294622(P2006−294622)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【分割の表示】特願2002−75835(P2002−75835)の分割
【原出願日】平成14年3月19日(2002.3.19)
【出願人】(000221111)ジーイー東芝シリコーン株式会社 (257)
【Fターム(参考)】