説明

毛髪化粧料組成物

【課題】ハチミツに起因する変臭や変色の発生を抑制することのできる、保存安定性の高い毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】毛髪化粧料組成物は、その保存時にハチミツ及び以下の(A)〜(D)成分が同一剤中に含有されている。(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水。毛髪化粧料組成物は、好ましくは、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比が0.25〜8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハチミツを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物に関し、さらに詳しくは、その保存時にハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水が同一剤中に含有される毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪化粧料組成物として、例えばアルカリ剤や酸化剤等を含有する染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤が知られている。酸化剤は毛髪中のメラニンを脱色する。アルカリ剤は酸化剤の作用を促進することにより脱色後の毛髪の明度を向上させる。また、毛髪化粧料組成物中に染料を含有させる場合、アルカリ剤は毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、毛髪化粧料組成物の染色性を向上させる。
【0003】
従来、こうした毛髪化粧料組成物に対し、保湿性を高めて仕上がり後の毛髪の感触を良好にすることを目的としてハチミツを配合する場合がある。例えば、特許文献1の脱色剤組成物では、アルカリ剤として配合されるアルカノールアミンに起因する仕上り後の毛髪の感触の悪化を、ハチミツを配合することによって抑制している。また、特許文献2には、ハチミツを第1剤中に含有するヘアカラーが記載されている(段落[0033]等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−073242号公報
【特許文献2】特開2006−347971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ハチミツを含有する特許文献1及び2の毛髪化粧料組成物は、その保存時において変臭・変色が起こりやすく、保存安定性が低いという問題があった。これはハチミツが外的ストレス、例えば熱、pHの変化、アルカリ条件下、及び酸性条件下に対して不安定であり、その外的ストレスによってハチミツが変臭・変色することに起因する。とくに、特許文献1及び2の毛髪化粧料組成物では、アルカリ剤を含有する第1剤中にハチミツが配合されている。そのため、ハチミツを配合させた場合には上記変臭・変色が発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、保存時において、ハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を同一剤中に含有させることにより、上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。この発明の目的は、ハチミツに起因する変臭・変色の発生を抑制することのできる、保存安定性の高い毛髪化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の毛髪化粧料組成物は、ハチミツを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、その保存時にハチミツ及び以下の(A)〜(D)成分が同一剤中に含有されることを特徴とする。(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)水。
【0008】
請求項2に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1に記載の発明において、前記(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する前記(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比が0.25〜8であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、さらに、(E)高級脂肪酸を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、ハチミツに起因する変臭・変色の発生を抑制することができ、保存安定性が高められる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を毛髪脱色・脱染剤に具体化した第1実施形態について説明する。毛髪化粧料組成物は2剤式の毛髪脱色・脱染剤として、毛髪の脱色及び脱染に使用される。また、毛髪化粧料組成物は、3剤式の脱色・脱染剤としても使用される。
【0012】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えばアルカリ剤等を含有する第1剤と酸化剤等を含有する第2剤とから構成される。この第1剤と第2剤とが混合された後、毛髪の脱色及び脱染に使用される。
【0013】
<第1剤>
第1剤はハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を含有し、例えば、(E)高級脂肪酸をさらに含有してもよい。
【0014】
ハチミツは保湿性を高めて仕上がり後の毛髪の感触を良好にする。ハチミツは、植物の花蜜、植物の生組織上からの分泌物、及び植物の生組織上で植物の汁液を吸う昆虫の分泌物からミツバチによって生成されたものである。その蜜源となる植物としては、特に限定されるものではないが、例えば、アカシア、レンゲ、ナタネ、ミカンが挙げられる。また、ハチミツの形状は、液状のもの又は結晶化しているもの、或いは両者の混合物の何れであってもよい。
【0015】
第1剤と第2剤とが混合された混合物(毛髪脱色・脱染剤)中における(A)ハチミツの含有量は、好ましくは0.0005〜2.5質量%、より好ましくは0.0025〜0.5質量%、さらに好ましくは0.005〜0.25質量%である。この含有量が0.0005質量%未満では、仕上がり後の毛髪の感触を良好にする効果を十分に発揮できない場合がある。一方、この含有量が2.5質量%を超えると、第1剤の保存安定性が低下するおそれや、べたつき等が生じて毛髪の感触が低下するおそれがある。
【0016】
なお、第1剤中における(A)ハチミツの含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。この含有量が5質量%を超えると第1剤の保存安定性が低下するおそれがある。
【0017】
(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールは、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール及び(C)界面活性剤との併用により、ハチミツに起因する第1剤の変臭・変色の発生を抑制し、第1剤の保存安定性を向上させる。なお、主鎖とはアルコール分子中において、水酸基に結合する炭素を含む炭素鎖のうち、最長の炭素鎖を意味する。(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、主鎖又は分岐鎖中に不飽和結合を有していてもよい。なお、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの主鎖の炭素数は、ハチミツに起因する第1剤の変臭・変色の発生抑制効果をより向上させる観点から16〜18であることがより好ましい。
【0018】
(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールとしては、例えば1−デカノール、ヘキシルデカノール、ラウリルアルコール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、2−トリデカノール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、2−テトラデカノール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、及びイソステアリルアルコールが挙げられる。これらは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの中で、第1剤の保存安定性をより向上させるという観点から、セチルアルコール及びステアリルアルコールを用いることがより好ましい。
【0019】
第1剤中における(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。この含有量が0.01質量%未満では、第1剤の保存安定性を高める作用を得ることができない場合がある。また、この含有量が20質量%を超えると製剤の毛髪への塗布作業における操作性が低下するおそれがある。
【0020】
(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールは、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール及び(C)界面活性剤との併用により、ハチミツに起因する第1剤の変臭や変色の発生を抑制し、第1剤の保存安定性を向上させる。なお、主鎖とはアルコール分子中において、水酸基に結合する炭素を含む炭素鎖のうち、最長の炭素鎖を意味する。(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、主鎖又は分岐鎖中に不飽和結合を有していてもよい。なお、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの主鎖の炭素数は、ハチミツに起因する第1剤の変臭・変色の発生抑制効果をより向上させる観点から20〜22であることがより好ましい。(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールとしては、例えばアラキルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、トリコサノール、及びテトラコサノールが挙げられる。これらは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0021】
第1剤中における(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。この含有量が0.01質量%未満では、第1剤の保存安定性を高める作用を得ることができない場合がある。一方、この含有量が20質量%を超えると製剤の毛髪への塗布作業における操作性が低下するおそれがある。
【0022】
なお、第1剤の保存安定性を高めるという効果をより確実に得るという観点から、第1剤中における、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール含有量の質量比(A/B)は、好ましくは0.25〜8、より好ましくは0.5〜8、さらに好ましくは2〜4である。
【0023】
(C)界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として各成分を乳化又は可溶化し、組成物の粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。(C)界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらのなかで、乳化安定性を向上させる観点から非イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種とを併用することがさらに好ましい。乳化安定性を向上させることにより、ハチミツの保存安定性がさらに向上する。
【0024】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0026】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
【0027】
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、「POE」と記載する。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。
【0028】
エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0029】
第1剤中における(C)界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは2〜7質量%である。この含有量が0.01質量%未満では、第1剤の保存安定性が低下するおそれがある。一方、この含有量が20質量%を超えると、製剤の毛髪への塗布作業における操作性が低下するおそれがある。
【0030】
(D)水は各成分の可溶化剤又は溶媒として作用する。
(E)高級脂肪酸は、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、及び(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールとの併用により、第1剤の保存安定性をより大きく向上させる。そのため、第1剤は好ましくは(E)高級脂肪酸を含有する。(E)高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸が挙げられる。これらの高級脂肪酸の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらのなかで、第1剤の保存安定性を向上させる観点からステアリン酸及びオレイン酸を用いることがより好ましい。
【0031】
第1剤中における(E)高級脂肪酸の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。この含有量が0.01質量%未満では、第1剤の保存安定性を向上させる作用を高めることができない場合がある。また、この含有量が10質量%を超えると毛髪の感触が低下するおそれがある。
【0032】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及びそれらの塩が挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。有機アミン類としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0033】
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤のpHが8〜12の範囲となる量である。第1剤のpHが8未満では、第1剤が第2剤と混合されたときに、第2剤に含有される酸化剤の作用が十分に促進されないおそれがある。第1剤のpHが12を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
【0034】
第1剤は必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水溶性高分子化合物、上記以外の油性成分、多価アルコール、糖、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸化助剤を含有してもよい。
【0035】
水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、及びヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられる。非イオン性の合成高分子化合物として、例えばヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0036】
油性成分は毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は好ましくは油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、炭化水素、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0037】
油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
【0038】
炭化水素としては、例えばパラフィン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0039】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。これらの油性成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0040】
シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0041】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0042】
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。
【0043】
安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、レブリン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、及びアルギニンが挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸、及び亜硫酸塩、例えば亜硫酸ナトリウムが挙げられる。酸化助剤は脱色力及び脱染力を高めるために配合される。酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0044】
第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤の第1剤は常法に従い、各成分を混合させることにより製造することができる。第1剤を製造する際には、熱によるハチミツの変臭・変色を抑制するという観点から、混合工程において、ハチミツ未配合の中間混合物(製剤)の温度を60℃以下(より好ましくは50℃以下)に冷却した後にハチミツを配合することが好ましい。また、ハチミツを配合する工程以降の工程についても、製剤の温度を60℃以下に保った状態で実施することが好ましい。
【0045】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。
【0046】
<第2剤>
第2剤は酸化剤を含有する。酸化剤は毛髪に含まれるメラニンを脱色する。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0047】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有されるアルカリ剤以外の成分を適宜含有してもよい。
【0048】
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状(酸化剤が常温で液体の場合は除く)、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば乳化液が挙げられる。
【0049】
毛髪脱色・脱染剤の使用時には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製される。次いで、必要量の混合物がコーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
【0050】
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、アルカリ剤等を含有する第1剤と、酸化剤等を含有する第2剤と、上記2剤式の毛髪脱色・脱染剤に配合される各成分のうち、アルカリ剤及び酸化剤以外の成分から選ばれる少なくとも一成分を含有する第3剤とから構成される。その際、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)水、及び(E)高級脂肪酸の各成分はハチミツと同一剤中に配合されて保存される。なお、保存安定性の観点から、ハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を第3剤中に含有させることが好ましい。この第1剤〜第3剤は、全て混合された後、毛髪の脱色又は脱染に使用される。
【0051】
次に、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤における作用効果について、以下に記載する。
(1)毛髪脱色・脱染剤の第1剤は、ハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を含有している。したがって、保存時において、ハチミツに起因する第1剤の変臭・変色が抑制され、第1剤の保存安定性が向上する。また、上記各成分を含有させた場合にも、仕上がり後の毛髪の感触が良好なものとなるというハチミツを含有することによる作用効果を得ることができる。
【0052】
(2)本実施形態の構成によれば、外的ストレス環境下、例えばpH8.5以上のアルカリ性を示す第1剤中においても、ハチミツの変臭・変色を抑制することができる。それにより、アルカリ剤とハチミツとを別剤とすることなく、同一剤中(第1剤中)に配合して保存することができる。
【0053】
(3)好ましくは、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比は0.25〜8である。この場合、第1剤の保存安定性をより確実に向上させることができる。
【0054】
(4)好ましくは、さらに、(E)高級脂肪酸を含有している。この場合、第1剤の保存安定性をさらに向上させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を染毛剤に具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る染毛剤は、第1剤と第2剤とから構成される2剤式の染毛剤である。
【0055】
<第1剤>
第1剤はハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を含有し、例えば、(E)高級脂肪酸をさらに含有してもよい。また、第1剤はアルカリ剤及び酸化染料を含有する。第1剤の具体的な構成は、酸化染料を含有する点を除いて、第1実施形態の2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第1剤と同じである。
【0056】
酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0057】
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0058】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。
【0059】
また、第1剤は上記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0060】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。
【0061】
<第2剤>
第2剤の具体的な構成は、第1実施形態の2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第2剤と同じである。
【0062】
染毛剤の使用時には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製される。次いで、必要量の混合物がコーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
次に、第2実施形態の染毛剤における作用効果について、以下に記載する。
【0063】
(5)染毛剤は、ハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を含有している。したがって、保存時において、ハチミツに起因する第1剤の変臭・変色が抑制され、第1剤の保存安定性が向上する。また、上記各成分を含有させた場合にも、仕上がり後の毛髪の感触が良好なものとなるというハチミツを含有することによる作用効果を得ることができる。
【0064】
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記各実施形態を変更することも可能である。
【0065】
・ 第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤は、ハチミツ並びに(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)水、及び(E)高級脂肪酸の各成分を第1剤中に含有させていたが、これら各成分を第2剤中に含有させてもよい。この点については、第2実施形態の染毛剤に関しても同様である。
【0066】
・ 第2実施形態の染毛剤について、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤と同様に3剤式の染毛剤として適用してもよい。また、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤及び第2実施形態の染毛剤について、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)水、及び(E)高級脂肪酸の各成分とハチミツとが同一剤中に配合されて保存されるのであれば、4剤式以上に構成されていてもよい。
【0067】
・ 第2実施形態の染毛剤について、ハチミツと酸化染料とを同一剤中に配合して保存する場合には、同剤中におけるハチミツの含有量を5質量%以下とすることが好ましい。ハチミツの含有量が5質量%を超えると、酸化染料の保存安定性が低下し、染毛剤の染毛性が低下するおそれがある。
【実施例】
【0068】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
表1及び2に示す各成分を含有する、二剤式の染毛剤の第1剤及び第2剤を調製した。なお、第1剤の調製に関しては、まず、ハチミツ、染料、及び香料以外の成分を混合・乳化させた中間混合物を調製した。そして、その中間混合物を60℃以下に冷却した後に、ハチミツ、染料、及び香料を配合することにより第1剤を調製した。表1及び2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、50℃で7日間保存した後の第1剤について、下記に示す方法に従い変臭・変色抑制効果(保存安定性)の評価を行なった。
【0069】
また、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して染毛剤を調製した。得られた染毛剤を、黒毛の人毛毛束(以下、単に「毛束」という。)に刷毛を用いて塗布した。次いで、染毛剤を塗布した毛束を室温(25℃)にて30分間放置した。そして、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流した後、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い仕上がり後の毛髪の感触の評価を行なった。
【0070】
なお、表中の「成分」欄におけるA〜Eの表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。また、表中の「質量比」は、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する前記(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比(A/B)を示す。
【0071】
<保存安定性の評価>
所定期間保存された第1剤に変臭・変色が生じているか否かについて、10名のパネラーが以下の基準により評価した。変臭及び変色ともに認められない(5点)、変臭及び変色の一方が僅かに認められる(4点)、変臭及び変色の両方が僅かに認められる(3点)、変臭及び変色の一方が明らかに認められる(2点)、変臭及び変色の両方が明らかに認められる(1点)として評価した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1、2に示す。
【0072】
<仕上がり後の毛髪の感触の評価>
10名のパネラーが、染毛処理が施された毛束を手で触れることにより、仕上がり後の毛髪の感触を評価した。そして、仕上がり後の毛髪の感触について、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1、2に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

表1及び2に示すように、ハチミツを含有する比較例2〜5は、ハチミツを含有しない比較例1に対し、仕上がり後の毛髪の感触に関する評価は高くなるものの、ハチミツの変色・変臭が生じ、保存安定性の評価が大きく低下することが分かる。そして、ハチミツ、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を第1剤中に含有する各実施例は、同成分のいずれかを含有しない比較例2〜4に対し、保存安定性の評価が高いことが分かった。また、染毛剤中に(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水を含有させた各実施例は、仕上がり後の毛髪の感触に関しする評価が低下しないことが分かった。
【0075】
さらに、実施例13〜18の結果から、第1剤中における(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比(A/B)が0.5〜8の範囲である実施例14〜18は、同質量比の範囲外である実施例13に対し、保存安定性の評価が高いことが分かった。とくに、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比(A/B)が2〜4の範囲である実施例16及び17は、同質量比の範囲外である実施例13〜15及び18に対し、保存安定性の評価がより高くなることが分かった。
【0076】
また、実施例1〜12の結果から、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、及び(D)水に加えて、さらに(E)高級脂肪酸を含有する実施例1〜11では、(E)高級脂肪酸を含有しない実施例12に対し、保存安定性が高められることが分かった。一方、(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールを含有しない比較例2、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールを含有しない比較例3〜5はいずれも各実施例に対し、保存安定性の評価が低いことが分かった。
【0077】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) ハチミツを含有する毛髪化粧料組成物の製造方法であって、各成分を混合する混合工程において、ハチミツ未配合の中間混合物の温度を60℃以下に冷却した後にハチミツを配合することを特徴とする毛髪化粧料組成物の製造方法。
【0078】
(ロ) ハチミツを含有する毛髪化粧料組成物の保存方法であって、その保存時において、ハチミツと以下の(A)〜(D)成分とを同一剤中に含有させることを特徴とする毛髪化粧料組成物の保存方法。(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハチミツを含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、その保存時にハチミツ及び以下の(A)〜(D)成分が同一剤中に含有されることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコール、
(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコール、
(C)界面活性剤、
(D)水。
【請求項2】
前記(B)主鎖が炭素数20〜24の高級アルコールの含有量に対する前記(A)主鎖が炭素数10〜18の高級アルコールの含有量の質量比が0.25〜8であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
さらに、(E)高級脂肪酸を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。

【公開番号】特開2010−275277(P2010−275277A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132575(P2009−132575)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】