説明

毛髪化粧料

【課題】サラサラ感を付与するだけでなく、毛髪が硬化しにくく、手触り感も良好で、かつ適度な潤いを与えるといった種々の性能をバランスよく発揮できる毛髪化粧料、たとえば洗い流さないタイプの毛髪化粧料として好適な毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明の毛髪化粧料は、架橋型シリコーンを0.3〜5.0重量%、およびナイロンパウダーを0.1〜2.0重量%の量で含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛先がぱさつくことなく、毛髪全体にサラサラとした感触を付与することができる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において様々な環境下にさらされている毛髪、特にカラーリング処理またはパーマネント処理を施した毛髪はある程度のダメージを受けているため、指どおりが悪く、まとまり感も損なわれがちである。その一方で、サラサラ感を向上させたいという要望、またはスタイリングを容易にしたい、ナチュラル感にあふれた毛髪にしたいという要望は根強く存在する。
【0003】
洗い流さないタイプの毛髪化粧料は、毛髪を固着させるようなセット力を持たせることを主目的とせず、毛髪に対して潤い、つや感、手触り感などを付与することを主目的とし、即効性、持続性をも要求されるという性質を有するものである。こうした毛髪化粧料は、毛髪に処方した後に洗髪することを前提としていないため、余剰成分が毛髪に残存しやすく、つや感を向上させることができても、べた付き感があるなどの問題が生じやすく、多岐にわたる性能をバランスよく付与させた毛髪化粧料を実現させるのは容易ではなかった。
【0004】
こうしたなか、毛髪化粧料に様々な性能を付与すべく、特定の成分を配合した毛髪化粧料の試みがなされている。たとえば、特許文献1〜3には、高重合シリコーンまたはパウダー類などの原料を配合することにより、毛髪のダメージを軽減させた毛髪化粧料が開示されている。また、特許文献4〜6には、架橋型シリコーンを配合した毛髪化粧料、または微粒子ナイロン粉末を配合した毛髪化粧料などが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの毛髪化粧料は、毛髪にサラサラ感を付与できても、毛先がぱさついてしまったりサラサラ感の持続性が芳しくなかったりしがちであり、サラサラ感を付与し、それを持続させるだけでなく、毛髪が硬化しにくく、手触り感も良好で、かつ適度な潤いを与えるといった種々の性能をバランスよく発揮できる洗い流さないタイプの毛髪化粧料は未だ実現されていない。
【特許文献1】特許2537629号
【特許文献2】特開2004−196711号公報
【特許文献3】特開平4−173721号公報
【特許文献4】特開2005−82521号公報
【特許文献5】特開2004−352671号公報
【特許文献6】特開2001−253810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、サラサラ感を付与し、それを持続させるだけでなく、毛髪が硬化しにくく、手触り感も良好で、かつ適度な潤いを与えるといった種々の性能をバランスよく発揮できる毛髪化粧料、たとえば洗い流さないタイプの毛髪化粧料として好適な毛髪化粧料を提供することを目的している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、架橋型シリコーンとナイロンパウダーとを、各々特定の量で含有させることにより上記課題を解決し得る毛髪化粧料を見出すに至った。
本発明の毛髪化粧料は、架橋型シリコーンを0.3〜5.0重量%、およびナイロンパウダーを0.1〜2.0重量%の量で含有することを特徴としている。
【0008】
前記架橋型シリコーンは、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサンおよびα、ω-ジビニルジメチルポリシロキサンからなる群より選ばれる少なく
とも1種を(共)重合させて得られるものであってもよい。
【0009】
また、前記ナイロンパウダーは、平均粒子径0.1〜50μmであるのが望ましい。
さらに、アミノ変性シリコーンを0.1〜1.5重量%の量で含有し、また、ジメチルポリシロキサンを0.25〜5.0重量%の量で含有してもよい。
【0010】
また、ピロリドンカルボン酸変性シリコーンを0.1〜5.0重量%の量で含有し、抱水性油剤を0.1〜3.0重量%の量で含有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪がぱさつくことなく、しかも毛髪全体にサラサラ感を付与することができるとともに、そのサラサラ感の持続性も良好である。また、本発明の毛髪化粧料を処方した後の毛髪は、べた付き感が低減され、かつ手触り感も良好であり、毛髪自体に柔軟性と潤い感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、本明細書において、「(共)重合」とは、重合または共重合を意味する。
本発明の毛髪化粧料は、架橋型シリコーンを0.3〜5.0重量%、およびナイロンパウダーを0.1〜2.0重量%の量で含有することを特徴としている。
【0013】
[架橋型シリコーン]
本発明に配合される架橋型シリコーンとは、クロスポリマーのシリコーンともいい、モノマーが重合することによって架橋構造を有するシリコーンおよびその誘導体を意味し、たとえば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサンおよびα,ω-ジビニルジメチルポリシロキサンの1種または2種以上を重合または共重合させて得られるシリコーンおよびその誘導体が、好適な架橋型シリコーンとして挙げられる。
【0014】
このような架橋型シリコーンは、ゴム弾性を有した粉体であり、毛髪にサラサラ感を付与することができるだけでなく、毛髪表面に皮膜を形成して外的ダメージ要因から毛髪を有効に保護することができる。本発明の毛髪化粧料には、この架橋型シリコーンが、通常0.3〜5.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%の量で含まれる。上記下限値未満であると、毛髪にサラサラ感を充分に付与しにくく、上記上限値を超えると、架橋型シリコーン自体が有する粉っぽさが強調されやすくなり、毛先がぱさつく原因となるおそれがある。
【0015】
本発明の毛髪化粧料を製造する際、架橋型シリコーンを直接粉体のまま配合してもよいが、いったんこの架橋型シリコーンを界面活性剤に分散させてエマルジョンとし、このエマルジョンを配合してもよい。架橋型シリコーンとして上市されているものには、トレフィルE-506S、E-508、トーレ・シリコーンBY29-129、PF-2001PIFEmulsion(東レ・ダウコーニング(株)製)が挙げられる。
【0016】
[ナイロンパウダー]
本発明の毛髪化粧料は、上記特定の量の架橋型シリコーンと、特定の量のナイロンパウダーとを含むことを特徴としている。本発明に用いられるナイロンパウダーとしては、通
常平均粒子径が0.1〜50μmの微粒子状のナイロンパウダーが好適に用いられる。平
均粒子径とは、レーザー回折式測定法により、モード径またはメジアン径として求められる値を意味する。このようなナイロンパウダーとして上市されているものには、ナイロンHK-5000(住化エンビロサイエンス(株)製)が挙げられる。
【0017】
このようなナイロンパウダーは、毛髪に与えるサラサラ感度が強く、その持続性にも優れている。また、処方後の毛髪に軽い感触を与えるという特性をも持ち合わせている。本発明の毛髪化粧料には、ナイロンパウダーが、通常0.1〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%の量で含まれる。上記下限値未満であると、毛髪に充分なサラサラ感を付与しにくく、その持続性も低下するおそれがある。上記上限値を超えると、粉っぽさが強調されやすく、毛先がぱさつきやすくなる傾向にある。
【0018】
本発明の毛髪化粧料は、上記架橋型シリコーンとナイロンパウダーとを各々特定の量で含んでいるので、互いの成分が有する効果を相乗的に発揮できるとともに、各成分単独では不充分な部分を互いに補充しあう効果をも奏するので、各々単独で配合するよりも、これらを組み合わせて配合することで、毛髪化粧料としてより優れた効果を発揮できる。
【0019】
具体的には、架橋型シリコーンを単独で配合した場合、毛髪にサラサラ感を付与したり、毛髪表面に皮膜を形成して外的ダメージ要因から毛髪を有効に保護したりすることができるものの、毛髪にザラザラ感および粉っぽさが残存するおそれがあり、また、毛先がぱさついてしまうおそれもあった。一方、ナイロンパウダーを単独で配合した場合、毛髪に持続性に優れたサラサラ感を付与できるとともに軽い感触を与えることができるものの、毛髪がまとまりにくく、毛先がぱさつく傾向にあった。しかしながら、これら架橋型シリコーンとナイロンパウダーとを組み合わせ、各々特定の量で配合することにより、毛先のぱさつきを有効に低減することができるとともに、毛髪全体にサラサラした手触り感を付与することができ、またこうした質感の持続性を向上させることができる。
【0020】
[アミノ変性シリコーン]
本発明の毛髪化粧料には、さらにアミノ変性シリコーンを配合してもよい。アミノ変性シリコーンは、具体的には下記式(I)で表される。
【0021】
【化1】

(式(I)中、A1およびA2は相互に同一でも異なってもよく、水素原子またはオルガノシリル基R3Si−(Rは相互に同一でも異なってもよく、1価の炭化水素基を表す)
を表し、R1はヒドロキシル基又はアルキル基を表し、R2およびR3は相互に同一でも異
なってもよく、アルキレン基を表す。xは50〜200の整数であり、yは1〜5の整数である。)
【0022】
アミノ変性シリコーンを配合すると、指通りの滑らかさ、柔らかさ、およびしっとりした潤い感といった多岐にわたる使用感を毛髪に付与することができる。通常、こうした多岐にわたる使用感を付与するためには、特定の1成分を配合するだけで補うのは困難であり、複数の成分を配合することによって所望の使用感を付与できるようにする。しかしながら、アミノ変性シリコーン自体がこれら複数の特性を合わせもつという特性を有しているので、本発明の毛髪化粧料にさらにアミノ変性シリコーンを配合するだけで、上記架橋
型シリコーンおよびナイロンパウダーと相まって、種々の特性を付与した毛髪化粧料を実現することができる。したがって、所望の使用感を得るために複数の成分を配合するといった煩雑さを解消することもでき、毛髪化粧料の生産性をも向上させることができる。また、このアミノ変性シリコーンを配合すれば、所望の使用感を得るべく配合される他の成分の配合量を低減しても所望の効果を得ることができるため、余剰成分を削減できるというメリットもある。
【0023】
本発明の毛髪化粧料には、アミノ変性シリコーンが、通常0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜1.1重量%の量で含まれる。上記上限値を超えると、毛髪にべたつき感が生じるおそれがあり、上記下限値未満であると、指通りの滑らかさ、柔らかさ、およびしっとりした潤い感といった多岐にわたる使用感をバランスよく発揮することが困難となる傾向にある。
【0024】
[ジメチルポリシロキサン]
本発明の毛髪化粧料には、さらにジメチルポリシロキサンを配合してもよい。ジメチルポリシロキサンとは、直鎖状のシリコーン油であり、具体的には下記式(II)で表される。
【0025】
【化2】

(式(II)中、nは3〜3000の整数である。)
本発明の毛髪化粧料に用いられるジメチルポリシロキサンとしては、上記式(II)中のnが3〜2500であるのが好ましく、100〜2500であるのがより好ましい。さらに上記式(II)中のnが650以上の高重合ジメチルポリシロキサンであるのが最も好ましい。また、このようなジメチルポリシロキサンは、20℃において粘度がB型粘度計による測定で1万cs以上であるのが望ましい。
【0026】
ジメチルポリシロキサンを配合すると、毛髪に指を通した際に、サラサラした手触り感だけでなく、つるっとした質感をも付与できる。したがって、べたつき感を抑制しつつより滑らかな指通り感を実現することができる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料には、ジメチルポリシロキサンが、通常0.25〜5.0重量%の量で含まれる。上記上限値を超えると、べたつき感が強調されて毛髪全体の重量感が増すおそれがあるとともに、指通りが悪化する傾向にある。また、上記下限値未満であると、滑らかな指通り感を実現することが困難となるおそれがある。
【0028】
上述した架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーに加え、アミノ変性シリコーンを配合した毛髪化粧料において、さらにジメチルポリシロキサンを配合すれば、毛髪に対してよりつるっとした質感を補強的に付与することも可能となる。
【0029】
[ピロリドンカルボン酸変性シリコーン]
本発明の毛髪化粧料には、さらにピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合してもよい。ピロリドンカルボン酸変性シリコーンとは、具体的には下記式(III)で表される分
子量3000〜10000のシリコーンである。
【0030】
【化3】

(式(III)中、n/m+nは1/500〜1/10となる整数である。)
このようなピロリドンカルボン酸変性シリコーンは、分子量が6000程度であるのが好ましく、また、n/m+nは0.01程度であるのが好ましい。
【0031】
ピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合すると、上述した架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーが奏する効果を阻害することなく、さらに毛髪に対して柔軟性を付与することができる。
【0032】
本発明の毛髪化粧料には、ピロリドンカルボン酸変性シリコーンが、通常0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%の量で含まれる。上記上限値を超えると、必要以上にべたつき感が残存するおそれがあり、上記下限値未満であると、毛髪に付与される柔軟性が不充分となる傾向にある。
【0033】
上述した架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーに加え、アミノ変性シリコーンを配合した毛髪化粧料において、さらにピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合すれば、毛髪に対してより柔軟性を補強的に付与することも可能となる。
【0034】
[抱水性油剤]
本発明の毛髪化粧料には、さらに抱水性油剤を配合してもよい。抱水性油剤とは、毛髪上で水を抱えることにより保湿効果を付与する油剤である。このような抱水性油剤は、以下の抱水力試験法により抱水力100以上のものを意味する。
【0035】
《抱水力試験法》:50℃に加熱した油10gを200mLビーカーに秤り取り、デスパーミキサーにて3000rpmで攪拌しながら50℃の水を徐々に、水が排液しない最大限(質量g)を測定し、この数値を試料10で除し、100倍して抱水力とする。
【0036】
このような抱水性油剤としては、具体的には、たとえば、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラ
ウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/べへニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/べへニル/オクチルドデシル)等のアミノ酸系エステル油剤;
ダイマージリノール酸ジオクチルドデシル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸(イソステアリル/フィトステリル)等のダイマー酸のエステル;
ヒマシ油、シア脂等の多価アルコール脂肪酸エステル;
ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステルおよび(アジピン酸
・2−エチルへキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、(12−ヒドロキシステアリン酸・ステアリン酸・ロジン酸)ジペンタエリスリトールエステル、(12−ヒドロキシステアリン酸・イソステアリン酸)ジペンタエリスリトールエステル等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル;
コレステロール、コレスタノール、デヒドロコレステロール、ラノリン脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等のコレステロール誘導体およびフィトステロール誘導体;
ラノリン、吸着精製ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸等のラノリン誘導体およびこれらをポリオキシアルキレンで変性したものが挙げられる。
【0037】
これらのなかでも、アミノ酸系エステル油剤とダイマー酸のエステル、コレステロール誘導体、またはフィトステロール誘導体が好ましく、さらにはラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、
ダイマージリノール酸(イソステアリル/フィトステリル)がより好ましい。
【0038】
抱水性油剤を配合すると、上述した架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーが奏する効果を阻害することなく、さらに毛髪に対してしっとりとした潤い感を付与することができる。
【0039】
本発明の毛髪化粧料には、抱水性油剤が、通常0.1〜3.0重量%の量で含まれる。上記上限値を超えると、必要以上にしっとり感が増すことによって逆に毛髪に重量感を与えるおそれがあり、上記下限値未満であると、毛髪に対してしっとりとした潤い感を充分に付与することができない傾向にある。
【0040】
上述した架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーに加え、アミノ変性シリコーンを配合した毛髪化粧料において、さらに抱水性油剤を配合すれば、毛髪に対してよりしっとりとした潤い感を補強的に付与することも可能となる。
【0041】
[その他の成分]
本発明の毛髪化粧料には、上述した成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分、たとえば添加剤、および溶剤を含んでいてもよい。
【0042】
添加剤としては、塩酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸などの有機酸およびこれらのナトリウム塩、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤;
コラーゲンやケラチンなどの加水分解物およびその誘導体などの毛髪保護剤;
炭酸アルキレン、パラフィン、流動パラフィン、ミツロウ、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、エステル油、トリグリセリド、ワセリン、ラノリンなどの油剤;
グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビトールなどの保湿剤;
ミリスチルアルコールなどのアルコール類;
塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤のほか、アニオン性、両性、非イオン性の界面活性剤;
メチルパラベン、ブチルパラベンなどの防腐剤;
キレート剤、増粘剤、糖類、アミノ酸、および香料などが挙げられる。
溶剤としては、通常、水が用いられ、イオン交換水、蒸留水、精製水などの精製工程を経たものが好ましい。
【0043】
[毛髪化粧料およびその製造方法]
本発明の毛髪化粧料は、架橋型シリコーンおよびナイロンパウダーとを特定の量で含むことによって、多岐にわたる効果を奏することから、特に洗い流さないタイプの毛髪化粧料に好適である。
【0044】
剤型は特に限定されず、液状、クリーム状、乳液状、ジェル状、ミスト状、フォーム状、スプレー状のいずれであってもよいが、特に乳液状であると、使用感が良好であるので好適である。
【0045】
本発明の毛髪化粧料は、上述した各成分が毛髪化粧料中に均一に分散している状態、特にナイロンパウダーが均一に分散している状態であればよく、毛髪化粧料の粘度は特に制限されないが、20℃においてB型粘度計による測定によれば、通常2000〜20000cs、好ましくは5000〜12000csである。
【0046】
本発明の毛髪化粧料は、上述した成分を、公知の方法で適宜、攪拌、混合、過熱、冷却、溶解、分散(乳化)等することによって製造できる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、得られた各毛髪化粧料を用いて、以下の方法および基準にしたがって評価を行った。
【0048】
[評価方法]
中国人毛髪10g、30cm(ビューラックス製BS-B3A)にブリーチ処理(6%過酸化水素水pH11の水溶液400mL に30分浸漬させ、その後、水洗し、ドライヤーで乾燥させる処理)を施し、次いでパーマ処理(チオグリコール酸6.0%pH9の水溶液を塗
布し、15分放置した。水洗後、10%臭素酸Na水溶液を塗布して20分間放置し、水洗し、乾燥させる処理)を施した後、さらにブリーチ処理を再度施して評価用毛束を作製した。
【0049】
その評価用毛束を、シャンプー、およびトリートメントした後、タオルドライした。タオルドライ後の評価用毛束に、得られた毛髪化粧料を0.6gの量塗布し、毛髪に馴染ま
せた後、ドライヤーで乾燥させた。その評価用毛束を用いて専門テスター(美容師)による官能評価を行い、以下に示すように各項目について評価した。
【0050】
《サラサラ感》
◎:非常にサラサラする
○:サラサラする
△:どちらとも言えない
×:サラサラしない
【0051】
《サラサラ感の持続性》
20代〜50代の日本人女性、20名に得られた毛髪化粧料を使用させ、使用後5時間経過した毛髪のサラサラ感について、「全くサラサラしない」という場合を最低点0点、「非常にサラサラする」という場合を最高点5点とする評価基準に基づいて、採点させた。次いで、これらの平均点を求め、以下の基準により評価を行った。
◎:平均点が4〜5点
○:平均点が2.5〜4点未満
△:平均点が1〜2.5点未満
×:平均点が0〜1未満
【0052】
《毛先のぱさつき具合い》
◎:全くぱさつかない
○:ほとんどぱさつかない
△:ぱさつく
×:非常にぱさつく
【0053】
《指通りの滑らかさ》
◎:非常に滑らかである
○:滑らかである
△:やや滑らかである
×:滑らかさがない
【0054】
《べたつき感》
◎:全くべたつかない
○:ほとんどべたつかない
△:べたつく
×:非常にべたつく
【0055】
《柔らかさ》
◎:非常に柔らかい
○:柔らかい
△:やや柔らかい
×:柔らかさがない
【0056】
《しっとり潤い感》
◎:しっとり感があり、潤いを感じる
○:しっとり感があり、やや潤いを感じる
△:しっとり感およびうるおい感がない
×:しっとりしすぎて重く、サラサラが損なわれている
【0057】
《粘度》
20℃において、B型粘度計(メーカー:東京計器、形式:BM、3号ローター、6rpm、60s)を用いて測定した。
【0058】
[実施例1]
攪拌機つき反応容器Aに、イオン交換水および防腐剤を添加し、これらを85℃で加温溶解させた。別の反応容器Bに界面活性剤、油剤、防腐剤、およびグリセリンを添加し、これらを85℃で加温溶解させた。反応容器Aの内容物を攪拌しながら、該反応容器Aに反応容器Bの内容物を添加し、ホモミキサーで攪拌および乳化させた後、60℃まで冷却した。次いで、シリコーンおよび香料を添加し、乳液状の毛髪化粧料を得た。なお、各成分の配合割合は表1に示すとおり、イオン交換水を添加して全量を100重量部とした際における配合量である。得られた毛髪化粧料を用いて、上述した方法および基準にしたがって評価を行った。その結果を表1に示す。
【0059】
[実施例2〜12、比較例1〜4]
各成分の配合割合を表1に示すとおりとした以外は、実施例1にしたがって毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

表1の結果より、架橋型シリコーンとナイロンパウダーとを各々特定の量で配合すると、毛先がぱさつかず、毛髪全体がサラサラした手触りになり、その質感が持続することがわかる。
【0061】
[実施例13〜18]
実施例1において、架橋型シリコーンを3重量%、ナイロンパウダーを0.5重量%の量で配合し、さらにアミノ変性シリコーンを配合した以外は、実施例1にしたがって毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表2に示す。
【0062】
[実施例19〜25]
実施例1において、架橋型シリコーンを3重量%、ナイロンパウダーを0.5重量%の量で配合し、さらにジメチルポリシロキサン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、および抱水性油剤を配合して、アミノ変性シリコーンを配合した毛髪化粧料と配合しない毛髪化粧料とを得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表2に示す。
【0063】
【表2】

表2の結果より、アミノ変性シリコーンを配合すれば、指通りの滑らかさ、柔らかさ、およびしっとり潤い感のすべてにおいて優れた効果を発揮することがわかる。また、アミノ変性シリコーン以外の成分であるジメチルポリシロキサン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、抱水性油剤の各配合量を低減しても、指通りの滑らかさ、柔らかさ、およびしっとり潤い感を充分に付与することができることがわかる。
【0064】
[実施例26〜30]
実施例1において、架橋型シリコーンを3重量%、ナイロンパウダーを0.5重量%の量で配合し、さらにジメチルポリシロキサンを配合した以外は、実施例1にしたがって毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表3に示す。
【0065】
[実施例31〜36]
実施例26において、ジメチルポリシロキサンの代わりにピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合して毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表3に示す。
【0066】
[実施例37]
実施例26において、ジメチルポリシロキサンに加え、ピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合して毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

表3の結果より、ジメチルポリシロキサンの重合度nが好適であると、べたつきが低減され、滑らかな指通りを実現できることがわかる。また、ジメチルポリシロキサンとピロリドンカルボン酸変性シリコーンとを組み合わせて配合すれば、より優れた効果を発揮でき、好ましいことがわかる。
【0068】
[実施例38〜48]
実施例1において、架橋型シリコーンを3重量%、ナイロンパウダーを0.5重量%の量で配合し、さらに抱水性油剤を配合した以外は、実施例1にしたがって毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表4に示す。
【0069】
[実施例49〜51]
実施例47において、さらにジメチルポリシロキサンおよび/またはピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合して毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の各成分の配合割合および評価結果を表4に示す。
【0070】
【表4】

表4の結果より、抱水性油剤の中でもアミノ酸系エステル油剤、ダイマー酸のエステル、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体を採用すると、べたつき感を抑制できるとともに、よりしっとり潤い感を付与することができることがわかる。また、抱水性油剤、ジメチルポリシロキサン、およびピロリドンカルボン酸変性シリコーンを組み合わせて配合すると、より優れた効果を発揮できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋型シリコーンを0.3〜5.0重量%、およびナイロンパウダーを0.1〜2.0重量%の量で含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
前記架橋型シリコーンが、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサンおよびα、ω-ジビニルジメチルポリシロキサンからなる群より選ばれる少なく
とも1種を(共)重合させて得られることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記ナイロンパウダーが、平均粒子径0.1〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに、アミノ変性シリコーンを0.1〜1.5重量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
さらに、ジメチルポリシロキサンを0.25〜5.0重量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
さらに、ピロリドンカルボン酸変性シリコーンを0.1〜5.0重量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
さらに、抱水性油剤を0.1〜3.0重量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−102237(P2009−102237A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273602(P2007−273602)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】