説明

毛髪化粧料

【課題】セット性及び再セット性に優れた毛髪化粧料の提供。
【解決手段】(A)(A1)及び(A2)から選ばれる1種以上の共重合体、
(A1)(a)(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、(b)(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜50質量%、(c)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 0〜30質量%、(d)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜40質量%の共重合体、
(A2)(a)(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、(b)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 5〜45質量%、(c)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜30質量%、(d)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜30質量%の共重合体、
(B)長鎖アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1種以上
を含有し、水酸基を2個以上有し、分子量62〜1000であり、30℃で液状の化合物の含有量が1質量%未満である毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セット性及び再セット性に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整髪に用いるエアゾール式毛髪化粧料は、整髪性ポリマーの固着力を用いて、髪を固定するものが一般的であるが、一度固定した後は再整髪できず、仕上がった髪がゴワつく、硬いなどの不満が生じている。
一方、ヘアワックスなどのスタイリング剤では、髪を油の粘着力で保持することから、髪は固まることなく自然な仕上がりが得られ、再整髪も可能であるが、油による粘着力はべたつきの原因となる。しかも整髪性ポリマーの固着力に比べて極めて弱く、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しい。
【0003】
整髪性ポリマーと油剤を含有し、一定以上の粘着力を有する毛髪化粧料が、頭髪を固めずに自然なまとまりを付与でき、ヘアスタイルの保持性に優れるものとして提案されている(特許文献1)。しかし、このものは、粘着性が十分でないため、再セット性が低く、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しく、仕上がり後の髪がふんわりした仕上がりにならないという問題があった。
【0004】
また、ふんわりとした仕上がりと再整髪が可能なエアゾール式毛髪化粧料として、整髪性ポリマーとポリオールとを一定比率で含有し、更に特定の可塑剤を含有する組成物を原液とするものが提案されている(特許文献2)。しかしながら、このものも、粘着性が十分でないため、思いどおりのヘアスタイルを長時間保持することは難しい。また、より再セット性に優れた毛髪化粧料が望まれていた。
【特許文献1】特開平11-116443号公報
【特許文献2】特開2005-68134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、セット性及び再セット性に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定の被膜形成性共重合体と、可塑剤成分を組み合わせて用いることにより、セット性及び再セット性に優れるとともに、べたつきやごわつきのない毛髪化粧料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)並びに(B):
(A)(A1)及び(A2)から選ばれる1種以上の共重合体、
(A1)(a)一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 及びR3 は同一又は異なって水素原子又は炭素数4〜12のアルキル基を示すが、R2 とR3 が共に水素原子となることはない)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、
(b)一般式(2)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R1 は前記と同じものを示し、R4 及びR5 は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜50質量%、
(c)一般式(3)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R1 は前記と同じものを示し、R6 は炭素数2又は3のアルキレン基を、R7 及びR8 は同一又は異なってメチル基又はエチル基を示す。aは0又は1の数を示す)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 0〜30質量%、及び
(d)一般式(4)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R1 は前記と同じものを示し、R9 及びR10は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示す。b及びcはそれぞれ0〜50の数を示すが、b及びcが同時に0となることはない)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜40質量%
の共重合体、
(A2)(a)一般式(5)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R12 は水素原子又はメチル基を、R13 及びR14 は同一又は異なって水素原子又は炭素数4〜12のアルキル基を示すか、R13 とR14 が一緒になって隣接する窒素原子と共に環を形成する)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、
(b)一般式(6)
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R12 は前記と同じものを示し、R15は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 5〜45質量%、
(c)一般式(7)
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R12 は前記と同じものを示し、R16 は炭素数2又は3のアルキレン基を、R17 及びR18 は同一又は異なってメチル基又はエチル基を示す。aは0又は1の数を示す)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜30質量%、及び
(d)一般式(8)
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、R12 は前記と同じものを示し、R19 及びR20は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を、R21は水素原子又はメチル基を示す。b及びcはそれぞれ0〜50の数を示すが、b及びcが同時に0となることはない)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜30質量%
の共重合体、
(B)長鎖アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1種以上
を含有し、水酸基を2個以上有し、分子量62〜1000であり、30℃で液状の化合物の含有量が1質量%未満である毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の毛髪化粧料は、セット性及び再セット性に優れ、しかも、べたつきやごわつきのないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明で用いる成分(A)の共重合体のうち、(A1)における(a)一般式(1)で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えばN−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチルウンデシル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。中でも、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−分岐アルキル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の30〜80質量%、好ましくは40〜70質量%用いられる。
【0026】
(b)一般式(2)で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。中でも、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の2〜50質量%、好ましくは10〜35質量%用いられる。
【0027】
(c)一般式(3)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系及び(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の0〜30質量%、好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%用いられる。
【0028】
また、(d)一般式(4)で表わされるモノマーは、ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルである。式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、最も好ましくはメチル基である。かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(4)としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖は、C2-4アルキレンオキシドのホモポリマー又はコポリマーであり、コポリマーの場合はエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。アルキレンオキシドの重合度はガスクロマトグラフィーにて分析することができ、平均値で1〜50であるものが好ましい。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の0〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%用いられる。
【0029】
(A1)の共重合体としては、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N−メチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N−メチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
が好ましく、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0030】
また、(A2)における(a)一般式(5)で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられ、中でもN−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の30〜80質量%、好ましくは40〜70質量%用いられる。
【0031】
(b)一般式(6)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられる。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%用いられる。
【0032】
(c)一般式(7)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系及び(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%用いられる。
【0033】
また、(d)一般式(8)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖は、C2-4アルキレンオキシドのホモポリマー又はコポリマーであり、コポリマーの場合はエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。アルキレンオキシドの重合度はガスクロマトグラフィーにて分析することができ、平均値で1〜50であるものが好ましい。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて、モノマー全体の0〜30質量%、好ましくは5〜15質量%用いられる。
【0034】
(A2)の共重合体としては、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート、
N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/n−ブチル(メタ)アクリレート、
N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/n−ブチル(メタ)アクリレート、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/エチル(メタ)アクリレート
が好ましく、
N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド/N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0035】
(A1)及び(A2)の共重合体は、それぞれ上記のようなモノマーを組み合わせ、例えば、特開平8-291206号公報、又は特開平2-180911号公報に記載の方法により、製造することができる。
【0036】
得られる共重合体の重量平均分子量(ゲルろ過クロマトグラフィー(ポリエチレングリコール換算)による)は、重合条件を選択すれば1,000〜1,000,000に制御でき、本発明においては、重量平均分子量10,000〜500,000、特に20,000〜200,000のものが好ましい。
【0037】
かくして得られる共重合体は、水溶性付与のために、その3級アミノ基を無機酸又は有機酸で中和して使用することができる。この場合、全3級アミノ基の50%以上を中和するのが好ましい。
【0038】
無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸等が;有機酸としては、例えば酢酸、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、乳酸、ジメチロールプロピオン酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0039】
また、共重合体中のアミノ基は、適当な4級化剤を用いて4級化することもできる。この場合は全3級アミノ基の50%以上を4級化することが好ましい。
【0040】
かかる4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の硫酸ジアルキル;塩化メチル、臭化プロピル、塩化ベンジル等のハロゲン化アルキルやハロゲン化アラルキルなどが挙げられる。
【0041】
このような4級化共重合体は、モノマー(3)又は(7)を4級化剤にて4級化を行った後に共重合させる方法によっても得ることができる。
【0042】
成分(A)の共重合体としては、(A1)及び(A2)から選ばれる1種以上を用いることができ、毛髪化粧料の全組成中(噴射剤を含有する場合は、噴射剤を含む毛髪化粧料全体。以下同じ)に0.3〜10質量%、特に0.5〜5質量%、更に0.7〜3.5質量%含有するのが、高いセット力と再セット性を得る上で好ましい。
【0043】
成分(B)は、長鎖アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸トリグリセリドから選ばれるものである。
【0044】
長鎖アルキルグリセリルエーテルにおける長鎖アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、分岐鎖がより好ましい。長鎖アルキル基の炭素数としては、4〜22、特に8〜18のものが好ましい。具体例としては、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基が挙げられ、特にイソデシル基、ラウリル基、セチル基、イソステアリル基が好ましい。
【0045】
また、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸トリグリセリドにおける脂肪酸としては、炭素数4〜22、特に8〜18のものが好ましく、具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ベヘン酸が挙げられる。
これらの脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドが好ましく、具体例としては、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、カプリル酸ジグリセリド、カプリン酸ジグリセリド、オレイン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド等が挙げられる。
【0046】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、成分(A)を可塑化して高い粘着力を引き出す観点から、毛髪化粧料の全組成中に0.5〜15質量%、特に0.8〜8質量%、更に1〜5質量%含有するのが好ましい。
【0047】
また成分(B)の2種以上を併用する場合には、脂肪酸モノグリセリドとアルキルグリセリルエーテルの少なくとも一方あるいは両方が含まれていることが好ましく、両方含まれていることがより好ましい。この場合、脂肪酸モノグリセリドとアルキルグリセリルエーテルの合計で、成分(B)全量中の45質量%以上をなしていることが好ましく、55質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上が特に好ましい。
【0048】
また、成分(A)と(B)の含有質量割合は、高いセット力と再セット性を得る点から、(A)/(B)=65/35〜35/65、特に55/45〜40/60の範囲に調整することが好ましい。
【0049】
本発明の毛髪化粧料には、更にエタノール及び/又は水が含有される。これらの含有量は、化粧料に含まれる共重合体や可塑剤の溶解性や噴霧状態を良好にする観点から、全組成中の4〜98.4質量%が好ましく、更には30〜98質量%、特に50〜95質量%が好ましい。
【0050】
本発明の毛髪化粧料は、水酸基を2個以上有し、分子量62〜1000、好ましくは62〜2000、より好ましくは62〜3000、最も好ましくは62以上であり、30℃で液状の化合物の含有量が1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満であり、更に、含有しないのが最も好ましい。
かかる化合物としては、プロピレングリコール(分子量76.1)、1,3−ブチレングリコール(分子量90.1)、グリセリン(分子量92.1)、イソペンチレングリコール(分子量104.1)、ヘキシレングリコール(分子量118.2)、ジプロピレングリコール(分子量134.2)、ポリプロピレングリコール(重合度9,分子量540)、ポリエチレングリコール600等が挙げられる。なお、ここでいう「液状」とは、ブルックフィールド型回転粘度計(ローターNo.2,回転数12rpm,60秒間,30℃)で測定した粘度が1000mPa・s以下の状態をいう。
【0051】
また、本発明の毛髪化粧料は、通常の毛髪化粧料に使用される各種成分、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、前記以外の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、pH調整剤、ビタミン類、蛋白質、アミノ酸類、生薬類、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を、目的に応じて含有することができる。
本発明の毛髪化粧料は、エアゾール式スプレー、ポンプ式スプレー、エアゾール式フォーム、ポンプ式フォーム、ヘアワックス、セットローション等として、適用することができる。
【0052】
本発明の毛髪化粧料は、更に(C)噴射剤を用いて、エアゾール式毛髪化粧料とすることができる。
成分(C)以外の成分(以下原液とする)と成分(C)との質量割合は、(原液)/(C)=50/50〜30/70、特に45/55〜35/65であるのが、作業性良く、かつセット性と再セット性を得る上で好ましい。
【0053】
エアゾール式毛髪化粧料は、原液と噴射剤とを耐圧容器に充填することにより製造される。
【0054】
原液は、30℃における粘度が15mPa・s以下、特に10mPa・s以下であるのが、原液を微細な液滴として噴射するために好ましい。なお、ここでの粘度とは、ブルックフィールド型粘度計(ローター BLアダプター,回転数30rpm,60秒間,30℃)により測定した値をいう。
【0055】
また、噴射剤としては、液化天然ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量比で、原液/噴射剤=5/95〜80/20、特に40/60〜70/30の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るためには25℃の温度で0.12〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
【0056】
耐圧容器に使用するバルブは、ステム径φ0.33〜0.46mm,ハウジング径φ0.33〜0.65mm×ベーパータップ径φ0〜0.64mmが好ましい。水を含む処方系では、特にステム径φ0.33〜0.42mm、ハウジング径φ0.33〜0.42mm、かつベーパータップ無しが好ましく、非水系では、特にステム径φ0.40〜0.46mm、ハウジング径φ0.42〜0.65mm×ベーパータップ径φ0.33〜0.46mmが好ましい。
【実施例】
【0057】
実施例1〜3
表1に示す組成の毛髪化粧料(ポンプスプレー)を、常法により製造した。得られた毛髪化粧料について、セット性、再セット性、べたつきのなさ及びごわつきのなさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0058】
(評価方法)
(1)セット性:
専門パネラー10人により、各ヘアスプレーを用いて髪をセットし、セット性について、以下の基準に従って官能評価を行った。結果を、評価点の平均値で示した。
【0059】
(評価基準)
5:非常に良い。
4:良い。
3:やや良い。
2:やや悪い。
1:悪い。
【0060】
(2)再セット性:
専門パネラー10人により、各ヘアスプレーを用いて髪をセットし、スプレー施術後、25℃65%の環境で9時間経過後の再整髪性について、以下の基準に従って官能評価を行った。結果を、評価点の平均値で示した。
【0061】
(評価基準)
5:非常に良い。
4:良い。
3:やや良い。
2:やや悪い。
1:悪い。
【0062】
(3)べたつきのなさ及びごわつきのなさ:
専門パネラー10人により、各ヘアスプレーを用いて髪をセットし、べたつきのなさ、ごわつきのなさについて、以下の基準に従って官能評価を行った。結果を、評価点の平均値で示した。
【0063】
(評価基準)
5:非常に良い。
4:良い。
3:やや良い。
2:やや悪い。
1:悪い。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例4〜12及び比較例1〜5
常法に従って表2に示すヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.15MPa,20℃)と共に、表2に示す原液/噴射剤(質量比)で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填して、エアゾール式毛髪化粧料を製造した。容器内の圧力は25℃で0.23Mpaであった。
バルブ:ステム径φ0.41mm,ハウジング径φ0.64mm×ベーパータップ径φ0.41mm
ボタン:口径φ0.46mm(MB,コンケープ)
(日本プリシジョンバルブ社)
【0066】
得られた毛髪化粧料について、実施例1〜3と同様にして、セット性、再セット性、べたつきのなさ及びごわつきのなさを評価した。結果を表2に併せて示す。
【0067】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)並びに(B):
(A)(A1)及び(A2)から選ばれる1種以上の共重合体、
(A1)(a)一般式(1)
【化1】

(式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 及びR3 は同一又は異なって水素原子又は炭素数4〜12のアルキル基を示すが、R2 とR3 が共に水素原子となることはない)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、
(b)一般式(2)
【化2】

(式中、R1 は前記と同じものを示し、R4 及びR5 は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜50質量%、
(c)一般式(3)
【化3】

(式中、R1 は前記と同じものを示し、R6 は炭素数2又は3のアルキレン基を、R7 及びR8 は同一又は異なってメチル基又はエチル基を示す。aは0又は1の数を示す)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 0〜30質量%、及び
(d)一般式(4)
【化4】

(式中、R1 は前記と同じものを示し、R9 及びR10は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示す。b及びcはそれぞれ0〜50の数を示すが、b及びcが同時に0となることはない)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜40質量%
の共重合体、
(A2)(a)一般式(5)
【化5】

(式中、R12 は水素原子又はメチル基を、R13 及びR14 は同一又は異なって水素原子又は炭素数4〜12のアルキル基を示すか、R13 とR14 が一緒になって隣接する窒素原子と共に環を形成する)
で表わされる(メタ)アクリルアミド系モノマー 30〜80質量%、
(b)一般式(6)
【化6】

(式中、R12 は前記と同じものを示し、R15は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 5〜45質量%、
(c)一般式(7)
【化7】

(式中、R12 は前記と同じものを示し、R16 は炭素数2又は3のアルキレン基を、R17 及びR18 は同一又は異なってメチル基又はエチル基を示す。aは0又は1の数を示す)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマー 2〜30質量%、及び
(d)一般式(8)
【化8】

(式中、R12 は前記と同じものを示し、R19 及びR20は同一又は異なって炭素数2〜4のアルキレン基を、R21は水素原子又はメチル基を示す。b及びcはそれぞれ0〜50の数を示すが、b及びcが同時に0となることはない)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー 0〜30質量%
の共重合体、
(B)長鎖アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1種以上
を含有し、水酸基を2個以上有し、分子量62〜1000であり、30℃で液状の化合物の含有量が1質量%未満である毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A)/(B)=65/35〜35/65である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に、(C)噴射剤を含有するエアゾール式毛髪化粧料である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(C)以外の成分(以下原液とする)と成分(C)との質量割合が、(原液)/(C)=50/50〜30/70である請求項3記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−23963(P2009−23963A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189700(P2007−189700)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】