説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪につや(艶)を与えると共に望みの髪型に整えるために十分なセット力を有し、且つ髪への塗布性に優れ、ベタつき感が少なく自然な仕上がり感が得られ、しかもネイル化粧料が剥がれるのを低減できる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の毛髪化粧料は、髪化粧料全体に占める割合で、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス:1〜30%(「質量%」の意味、以下同じ)、(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.05〜2%、および(C)ヤシ油:1〜15%を配合したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪につや(艶)を与えると共に望みの髪型に整えるために十分なセット力を発揮する毛髪化粧料に関するものであり、特に髪への塗布性に優れ、ベタつき感が少なく自然な仕上がり感が得られ、しかも使用する際に爪用の化粧料が剥がれにくい特性をも併せ持った毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料においては、従来一般的にヘアをセットするためにセット樹脂やワックス成分(若しくはロウ類)を配合することがある。主としてワックス成分を用いる剤型は、再整髪性を持つことから市場価値が高いものとなる。
【0003】
しかしながら、ワックス成分(以下、「ロウ類」と呼ぶ)を配合すると、整髪力(セット力)はあっても、髪にベタつきが生じたり、髪への伸びが悪くなるという問題が生じる。これを解決する手段として、アクリル酸ポリマーと油脂類を組み合わせて配合することが試みられているが、油脂類を配合すると、毛髪化粧料の伸びや塗布性が良くなってもセット力が下がってしまうため、更なるセット力の向上が望まれている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、爪用の化粧料(以下、「ネイル化粧料」と呼ぶことがある)に関して、近年では、ネイルサロンと呼ばれる専門店も知られており、ネイル化粧料への関心が高まっている。そのような背景において、ネイル化粧料自体に求められる性能としては、塗布後の持ちが良いこと(即ち、剥がれ難いこと)が知られており、ネイル化粧料を塗布した後、重ね塗りをする例もある(例えば、特許文献2、3)。
【0005】
しかしながら、毛髪に毛髪化粧料を塗布する際に、毛髪化粧料が爪に付着しネイル化粧料が剥がれやすい状態になる問題が指摘されている。こうしたことから、毛髪化粧料への要求特性として、爪に付着してもネイル化粧料が剥がれ難いものであるということも併せて望まれているのが実情である。
【特許文献1】特開2004−161628号 特許請求の範囲など
【特許文献2】特開2001−278748号 特許請求の範囲など
【特許文献3】特開2002−68941号 特許請求の範囲など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、毛髪につや(艶)を与えると共に望みの髪型に整えるために十分なセット力を有し、且つ髪への塗布性に優れ、ベタつき感が少なく自然な仕上がり感が得られ、しかもネイル化粧料が剥がれるのを低減できる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成することができた本発明の毛髪化粧料とは、毛髪化粧料全体に占める割合で、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス:1〜30%(「質量%」の意味、以下同じ)、(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.05〜2%、および(C)ヤシ油:1〜15%を配合したものである点に要旨を有するものである。
【0008】
本発明の毛髪化粧料においては、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスと、(C)ヤシ油の配合割合[(A):(C)]が、10:1〜1:4(質量比)であることや、(A)成分におけるキャンデリラロウとマイクロクリスタリンワックスの配合割合(キャンデリラロウ:マイクロクリスタリンワックス)が、9:1〜1:9(質量比)である等の要件を満足することが好ましい。
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、基本的な剤型としてクリーム状(乳液状を含む)で使用されることを想定したものであるが、その粘度は100〜30000mPa・sであることが適切である。また、このような毛髪化粧料は、その使用に際して爪用化粧料が剥がれにくい特性を発揮するものとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、少なくとも、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス、(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、および(C)ヤシ油を適切な割合で配合することによって、毛髪につや(艶)を与えると共に望みの髪型に整えるために十分なセット力を有し、且つ髪への塗布性に優れ、ベタつき感が少なく自然な仕上がり感が得られる毛髪化粧料が実現でき、しかも使用に際して爪用化粧料が剥がれにくいという特性をも発揮するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明者は、上記のような特性を発揮する毛髪化粧料を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、少なくとも(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス等のロウ類、(B)増粘剤としてのアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、および(C)油脂類としてのヤシ油を適切な比率で配合した毛髪化粧料では、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
上記キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス等のロウ類[上記(A)成分]は、毛髪化粧料を塗布したときの毛髪に十分なセット力を付与するのに有用な成分である。こうした効果を発揮させるためには、上記ロウ類は、毛髪化粧料全体に占める割合で、1%以上配合する必要がある。しかしながら、その配合量が過剰になって30%を超えると毛髪化粧料の伸びが悪くなり、ベタつきがでることになる。尚、これらのロウ類の配合量は、好ましくは5%以上とするのがよい。
【0013】
ところで、本発明の毛髪化粧料で用いるロウ類は、上記の他、様々なものが用いられている(例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、ワセリン等)。本発明者が検討したところ、本発明の毛髪化粧料では、上記した各種ロウ類のうち、上記キャンデリラロウとマイクロクリスタリンワックスの組合せが、セット力を付与する上で最も有効な組合せであることが明らかになった。但し、これらのロウ類はその種類によって毛髪の「つや感」や「セット力」に与える影響が異なり、これらの配合割合も適切にすることが好ましい。即ち、(A)成分による「セット力」付与効果を、「つや感」を低下させることなく有効に発揮させるためには、キャンデリラロウとマイクロクリスタリンワックスの配合割合(キャンデリラロウ:マイクロクリスタリンワックス)が、9:1〜1:9(質量比)の範囲であることが好ましい。
【0014】
上記(B)成分であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、高分子乳化剤としての性質を持つ増粘剤であり、親油部が油と水の界面に吸着し、親水部が水で膨潤して油滴の周囲に水和ゲル相を形成するものであり、毛髪化粧料に適度の粘性を付与して安定性を高め、毛髪に適度のツヤを与えてセット性を付与する成分である。こうした効果を発揮させるためには、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、毛髪化粧料全体に占める割合で、0.05%以上配合する必要がある。しかしながら、その配合量が過剰になって2%を超えると毛髪化粧料の伸びが悪くなり(特に、剤型がクリーム状のとき)、ベタつきがでることになる。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は、好ましくは0.1%以上、1%以下とするのが良い。
【0015】
上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の具体的なものとして、例えば「CARBOPOL1342」、「PEMULEN TR−1」、「PEMULEN TR−2」(いずれも商品名:BFGoodrich社製)等が例示できる。このアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、アルカリ剤で中和することによって増粘するものである。このとき用いるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ塩、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
一方、油脂類としてのヤシ油[上記(C)成分]は、毛髪化粧料の伸びや塗布性を改善し、ベタつき感を低減してセット力を向上するのに有効な成分である。こうした効果を発揮させるためには、ヤシ油の配合割合は、毛髪化粧料全体に占める割合で少なくとも1%以上とする必要がある。しかしながら、ヤシ油の配合割合が過剰になると、セット力が低下する傾向を示すので、毛髪化粧料全体に占める割合で15%以下とする必要がある。
【0017】
ところで、毛髪化粧料には油脂類として上記したヤシ油の他、シア油、軽質流動パラフィン、コハク酸ジオクチル、パルミチル酸イソプロピル等も知られている。しかしながら、本発明者が検討したところによれば、これらのうち、特にヤシ油だけを選択して用いた場合にクリーム状の毛髪化粧料の伸びが良好になると共に、ベタつき感を改善してセット力を向上させ、しかもネイル化粧料の剥がれも極力低減できることが明らかになった。
【0018】
本発明の毛髪化粧料においては、毛髪のセット力とクリームの伸び性とは相反する特性であるが、これらの特性をバランス良く発揮させるためには、上記キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス等のロウ類[上記(A)成分]と、油脂類としてのヤシ油の配合割合も適切な範囲に調整することも有効である。こうした観点から、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスと、(C)ヤシ油の配合割合[(A):(C)]が、10:1〜1:4(質量比)であることが好ましい(後記実施例5)。
【0019】
即ち、上記配合割合[(A):(C)]で10:1よりもロウ類が多くなると[例えば20:1]、セット力は高いがクリームの伸びが悪くなり、ベタつきがでることになる。一方、上記配合割合[(A):(C)]で1:4よりもヤシ油が多くなると[例えば1:5]、クリームの伸びは良くなるが、十分なセット力が得られなくなる。
【0020】
本発明の毛髪化粧料には、上記成分以外にも毛髪化粧料に通常添加されるような成分(添加剤)を含有させることもできる。こうした添加剤としては、蛋白質類、アミノ酸類、紫外線吸収剤類、保湿剤類、油脂類、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素系化合物類、シリコーン類、カチオン化ポリマー類、界面活性剤類(陽イオン界面活性剤類・陰イオン界面活性剤類・非イオン界面活性剤類・両性界面活性剤類)、増粘・ゲル化剤類、消臭剤類、防腐剤類、キレート剤類、pH調整剤・酸・アルカリ類、溶剤類、抗炎症剤類、香料、色素等を挙げることができ、これらを適宜配合することができる。また、本発明の毛髪化粧料は、日常的に毛髪を処理するために用いることができ、その剤型は、乳液状若しくはクリーム状のタイプが最適である。
【0021】
本発明の毛髪化粧料は、基本的な剤型としてクリーム状で使用されることを想定したものであるが、その粘度は100〜30000mPa・s程度であることが適切である。即ち、毛髪化粧料の粘度が100mPa・s未満となると、毛髪化粧料の安定性が悪くなり、30000mPa・sを超えると毛髪化粧料の伸びが悪くなる。また本発明の毛髪化粧料は、後記実施例にも示すように、その使用に際してネイル化粧料が剥がれるのを低減できるという特性を発揮するものである。
【実施例】
【0022】
次に、実施例によって本発明をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0023】
後述する各種毛髪化粧料(処方例)について、下記の項目について評価した。
【0024】
(クリームの伸びの評価方法)
専門パネラー10名により、下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均点を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0025】
(ブリーチ処理毛の作製)
化学的処理を全く受けていない毛髪に下記のブリーチ処理をし、以下の評価に用いた。
【0026】
(ブリーチ処理)
トーナーブリーチパウダ−EX(粉末ブリーチ剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイドEX06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を、毛髪に質量比(ブリーチ剤:毛髪)1:1の割合で塗布し、35℃、30分間の条件で処理した後、10質量%のSDS溶液(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)によって洗浄し、その後乾燥した。
【0027】
(ベタつき感の評価方法)
専門パネラー10名により、上記のブリーチ処理した毛髪の毛束(5.0g、20cm)に試料(毛髪化粧料)0.5gを塗布し、下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均点を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
5点:非常にベタつきが少ない
4点:ベタつきが少ない
3点:普通
2点:ベタつきがある
1点:非常にベタつきがある
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0028】
(セット力の評価方法)
20℃、60%湿度下に24時間放置したブリーチ処理した毛髪(1.0g、20cm)の毛束に試料(毛髪化粧料)0.2gを塗布し、直径25mmのロッドに巻きつけた後、20℃、60%湿度下に10分間放置した。その後ロッドをはずした直後のカールした状態の毛束長を測定し、下記(1)式にてセット力を求め、下記の基準で評価した。
セット力(%)=100×(20−A)/20 …(1)
但し、A:ロッドを外した直後の毛束長さ(cm:初期の毛束長は20cm)
【0029】
[評価基準]
◎:50%以上
○:40%以上、50%未満
△:30%以上、40%未満
×:30%未満
【0030】
(セット保持力の評価方法)
20℃、60%湿度下に24時間放置したブリーチ処理した毛髪(1.0g、20cm)の毛束に試料(毛髪化粧料)0.2gを塗布し、直径25mmのロッドに巻きつけた後、20℃、60%湿度下に10分間放置した。上記処理によってセットした毛束を、30℃、90%湿度下で吊るした状態で1時間放置した後、毛束の長さを測定した。ロットをはずした直後に吊るした状態の毛束長を100%とし、1時間放置後の毛束長が長くなるにつれて、セット保持力が低くなると評価した。評価基準は下記のとおりである。
【0031】
[評価基準]
◎:100%以上、120%未満
○:120%以上、140%未満
△:140%以上、160%未満
×:160%以上
【0032】
(つや感の評価方法)
専門パネラー10名により、ブリーチ処理を2回施した毛髪(5.0g、20cm)の毛束に試料(毛髪化粧料)0.5gを塗布し、下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均点を求め、下記の基準で判定した。
【0033】
[評価点]
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0034】
(ネイル化粧料の剥がれ難さの評価方法)
爪の上にネイル化粧料(マニキュア)を塗布し乾燥後、対象の液(毛髪化粧料)0.3gを爪の半分に塗布し室温にて40分放置後、ティッシュペーパーで拭い取り、未処理部分と比較し剥がれ具合を下記の評価基準で判定した。爪に毛髪化粧料を塗布した状態を図1(図面代用写真)に示す。
○:剥離なし、
△:わずかな剥離がある、
×:大部分の剥離がある
【0035】
ネイル化粧料の剥がれ難さの基準を図2に示す。尚、図2(a)は剥離なし(○)の状態、図2(b)はわずかな剥離がある(△)の状態、図2(c)は大部分の剥離がある(×)の状態、を夫々示している。
【0036】
(粘度の測定方法)
B型粘度計(「BM型」:株式会社トキメック社製)を用い、温度30℃、ローターNo.4、回転数30〜6rpm、2分間の条件で測定した。
【0037】
[実施例1]
下記表1に示した各種毛髪化粧料(処方例1〜6)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表1に併記する。
【0038】
【表1】

【0039】
この表1の結果から次のように考察できる。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が0.05%未満では(処方例1)、粘度が低く安定性が悪くなるため、ベタつきが生じ、セット力やつや感が悪くなることが分かる。これに対して2%より多くなると(処方例6)、クリームの伸びが悪くベタつきが生じ、髪への塗布が不均一になるため、つや感が悪くなることが分かる。
【0040】
[実施例2]
下記表2に示す各種毛髪化粧料(処方例3、7〜10)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表2に併記する。尚、この処方例は、油脂類の種類を変えて配合したものである。
【0041】
【表2】

【0042】
油脂類の影響を比較したところ、ヤシ油を配合したものが(処方例3)、毛髪化粧料の塗布時に爪に付着してもネイル化粧料が剥がれ難い性質があることが分かる。また、ヤシ油を配合することにより、クリームの伸びやベタつきを改善しセット力を向上させることが分かる。ネイル化粧料の剥がれ難さの試験結果に関し、代表図例として、図3(図面代用写真)に処方例3[図3(a):○]、処方例8[図3(b):△]、処方例9[図3(c):×]の毛髪化粧料を塗布した後のネイル化粧料の状態を示す。
【0043】
[実施例3]
下記表3に示す各種毛髪化粧料(処方例3、11〜16)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表3に併記する。
【0044】
【表3】

【0045】
ヤシ油の配合量に関し、0.4%以下では、クリームの伸びが悪くベタつきが生じる結果であった。また、15%より多く配合すると、セット力が悪くなる傾向がある。一方、ヤシ油が全く配合されない例(処方例11)では、ネイル化粧料が剥がれやすい傾向がみられるが、その他ではそのような傾向はみられなかった(処方例3、12〜16)。ヤシ油の配合量に関し、クリームの伸びが良く、セットの保持性が良いためには、1%以上、15%以下が最適であることが分かる。
【0046】
[実施例4]
下記表4に示す各種毛髪化粧料(処方例17〜23)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表4に併記する。
【0047】
【表4】

【0048】
ロウ類としてのキャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスの総量で、1%未満では(処方例23)、十分なセット力を得られず、30%より多くなると(処方例17)セット力は高くなるが、クリームの伸びが悪くなり、ベタつきが出ることが分かる。ロウ類として、キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスの総量は、十分なセット力を持ち、且つクリームの伸びが良いという性能を発揮させるためには、1%以上、30%以下が最適であることが分かる。
【0049】
[実施例5]
下記表5に示す各種毛髪化粧料(処方例24〜30)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表5に併記する。
【0050】
【表5】

【0051】
表5から次の様に考察できる。即ち、ロウ類の総量(キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスの総量)とヤシ油との比で10:1よりロウ類が多くなると(処方例24、25)、セット力は高いがクリームの伸びが悪くなり、ベタつきのでることが分かる。これに対し、1:4よりヤシ油が多くなると(処方例30)、クリームの伸びは良く、ベタつきは少ないが、十分なセット力が得られないことが分かる。セット力が高く、クリームの伸びがよくかつベタつきが少ない仕上がりを得るためには、ロウ類の総量とヤシ油との比が10:1〜1:4であることが好ましく、より好ましくは5:1〜1:2の範囲が最適であることが分かる。尚、この実施例では、アルカリ剤としてアルギニンを水酸化ナトリウムに変更したが、特に問題はなかった。
【0052】
[実施例6]
下記表6、7に示す各種毛髪化粧料(処方例18、31〜42)を調製し、上記した各項目について評価を行った。その結果を、表6、7に併記する。
【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
キャンデリラロウとマイクロクリスタリンワックスとの比で9:1よりキャンデリラロウが多くなると(処方例32)、つや感は良好であるが、十分なセット力は得られず、1:9よりマイクロクリスタリンワックスが多くなると(処方例39)、セット力やセット保持力は高くなるが良好なつや感が得られないことが分かる。また、「セット力」付与効果を、「つや感」を低下させることなく有効に発揮させるためには、キャンデリラロウまたはマイクロクリスタリンワックスの成分を単独で配合しても十分でないことが分かる(処方例40〜42)。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】爪に毛髪化粧料を塗布した状態を示す図面代用写真である。
【図2】ネイル化粧料の剥がれ難さの基準を示す図面代用写真である。
【図3】処方例3、8、9の毛髪化粧料を塗布した後においてネイル化粧料の状態を示す図面代用写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪化粧料全体に占める割合で、(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックス:1〜30%(「質量%」の意味、以下同じ)、(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.05〜2%、および(C)ヤシ油:1〜15%を配合したものであることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
(A)キャンデリラロウおよびマイクロクリスタリンワックスと、(C)ヤシ油の配合割合[(A):(C)]が、10:1〜1:4(質量比)である請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(A)成分におけるキャンデリラロウとマイクロクリスタリンワックスの配合割合(キャンデリラロウ:マイクロクリスタリンワックス)が、9:1〜1:9(質量比)である請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
粘度が100〜30000mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
使用に際して爪用化粧料が剥がれるのを低減できる特性を発揮するものである請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−286751(P2009−286751A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142945(P2008−142945)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000213482)中野製薬株式会社 (57)
【Fターム(参考)】