説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪の損傷の有無にかかわらず、使用し始めから使用後までの毛髪へのなじみ、すすぎ時の滑らかさや指通り、乾燥後の仕上がりにおける柔らかさ、さらさら感、しっとり感などにおいて良好な効果を発揮するコンディショニング効果に優れた毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】下記の成分(1)〜(3)を含有する毛髪化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。(1)一般式(I):R-O-(C24O)-H (I)〔式中、Rは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、エチレンオキサイドの付加分子数であるmは、0又は正の整数を示す〕にて表される脂肪族アルコールの混合物であって、当該mの平均値が3以下の正の数である、脂肪族アルコールの混合物を、組成物の0.1〜15質量%、(2)カチオン界面活性剤の1種又は2種以上を、組成物の0.01〜10質量%、(3)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアコンディショニング効果に優れる毛髪化粧料、特に、染毛剤やパーマ剤等による化学的な損傷、摩擦等の物理的な損傷を受けた毛髪と、損傷を受けていない毛髪の双方に対して、使用し始めから使用後までのなめらかさ、指通りのよさ、サラサラ感、うるおい感等、に優れる毛髪化粧料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
シャンプー後の毛髪の艶や指通りを修復するため、ヘアコンディショナー等の毛髪保護剤が用いられている。
【0003】
このような毛髪保護剤(以下、単にヘアコンディショナーということがある)には、通常は、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果が高いカチオン界面活性剤、特に、第4級アンモニウム型カチオン界面活性剤が配合されている。しかしながら、当該カチオン界面活性剤のみの配合では、毛髪乾燥後のさらさら感、しっとり感が十分ではない傾向が認められる。
【0004】
そこで、毛髪のコンディショニング効果、特に乾燥後に良好なすべり性としっとり感を付与するために、カチオン界面活性剤の代わりに、ヒドロキシエーテルアミン化合物を配合する毛髪化粧料(特許文献1)や、アミドアミンを配合した毛髪化粧料(特許文献2)、アルコキシプロピルジメチルアミンを配合した毛髪化粧料(特許文献3、4)等が開示されている。また、毛髪化粧料に高粘度のジメチルポリシロキサンを配合することにより、使用感触を改善することも開示されている(特許文献5)。
【特許文献1】特開2004−323495号公報
【特許文献2】特開平9−71516号公報
【特許文献3】特開2004−67534号公報
【特許文献4】特開2004−2261号公報
【特許文献5】特開平4−305516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のヒドロキシエーテルアミン化合物と高級アルコールを配合した毛髪化粧料は、有機酸として乳酸、クエン酸を配合しているものが好適であると記載されているものの、染毛剤やパーマ剤等の化学的な損傷や、摩擦などの物理的な損傷等の損傷が進んだ毛髪に対して適用した場合には、使用始めからタオルドライ後までのなめらかさ、指通りのよさに関しては効果が十分でない。また、この特許文献5の毛髪化粧料において、シリコーン油として高重合ジメチルポリシロキサン(10万mPa・s)を配合した場合は、損傷を受けていない毛髪に対してはある程度の効果が得られるものの、損傷毛に対しては、塗布後の髪のしなやかさ、使用直後のサラサラ感、使用翌日のうるおい感が十分ではない。また、特許文献2のアミドアミン配合の毛髪化粧料は、使用後の毛髪のうるおい感や損傷を受けていない毛髪に対する効果に欠けていた。特許文献3,4のアルコキシプロピルジメチルアミンを配合した毛髪化粧料は、使用始めからタオルドライ後までのなめらかさ、指通りのよさに関しては効果が十分でない。
【0006】
一般的に、特定の対象層の評価や、特定の評価項目だけを向上させる技術は今まで多く知られているものの、毛髪の損傷の有無にかかわらず、使用し始めから使用後まで満足が得られる技術を得ることは困難であった。
【0007】
本発明の課題は、毛髪の損傷の有無にかかわらず、使用し始めから使用後までの毛髪へのなじみ、すすぎ時の滑らかさや指通り、乾燥後の仕上がりにおける柔らかさ、さらさら感、しっとり感などにおいて良好な効果を発揮するコンディショニング効果に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のエチレンオキサイド付加高級アルコールとカチオン界面活性剤を配合することにより、上記の課題を解決し得る毛髪化粧料が提供されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の成分(1)〜(3)を含有する毛髪化粧料(以下、本発明の毛髪化粧料ともいう)を提供する発明である。
(1) 一般式(I):
-O-(C24O)-H (I)
〔式中、Rは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、エチレンオキサイドの付加分子数であるmは、0又は正の整数を示す〕
にて表される脂肪族アルコールの混合物であって、当該mの平均値が3以下の正の数である、脂肪族アルコールの混合物(以下、脂肪族アルコール混合物ともいう)を、組成物の0.1〜15質量%
(2) カチオン界面活性剤の1種又は2種以上を、組成物の0.01〜10質量%
(3) 水
【発明の効果】
【0010】
本発明により、使用し始めから使用後までのなめらかさ、指どおりのよさ、サラサラ感、うるおい感、等に優れた毛髪化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記の本発明の毛髪化粧料の具体的な内容について説明する。
【0012】
[配合成分]
1.脂肪族アルコールの混合物
上述のように、本発明の毛髪化粧料に配合される脂肪族アルコールの混合物は、一般式(I)にて表される、少なくとも当該混合物の一部を構成する脂肪族アルコールにエチレンオキサイド(以下、EOともいう)が付加され、当該混合物としてのEO結合数mの平均が3以下の正の数であることにより規定される。好適には、mが0、1又は2の脂肪族アルコールの存在比(質量比)は、当該混合物の60質量%以上である。さらに好適には、mが0の脂肪族アルコールが当該混合物の30〜70質量%、mが1の脂肪族アルコールが同18〜25質量%、mが2の脂肪族アルコールが同8〜18質量%、である。
【0013】
また、式(I)における基Rは、炭素原子数が8〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、好適には、当該炭素原子数は14〜18である。さらに具体的には、ステアリル基、パルミチル基等を好適な基Rとして挙げることができる。
【0014】
このような内容の脂肪族アルコールの混合物は市販されており、これを本発明の毛髪化粧料に配合することができる。市販品としては、EMALEX602(日本エマルジョン社製)が好適である。また、当該脂肪族アルコールは、常法に従って合成することも可能である。
【0015】
例えば、オキシエチレン鎖のない原料脂肪族アルコールを、事実上の無水条件、かつ、当該脂肪族アルコールの0.005〜5質量%程度のアルカリ触媒の存在下において、選択した脂肪族アルコールの融点よりも10〜30℃程度高い温度にて加熱攪拌を行い、次いで、エチレンオキサイドを5〜15mmHg程度の減圧下にて、系の温度がこれ以上は上昇しないように冷却を行いながら徐々に圧入し、エトキシレーションを行う。反応時間は、概ね1〜5時間程度であるが、種々の条件により影響されるものであり、適宜調整することができる。得られたエトキシレートを酸にて中和して、所望する脂肪族アルコールの混合物を得ることができる。
【0016】
なお、上記のアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0017】
脂肪族アルコール混合物の、本発明の毛髪化粧料における配合量は、毛髪化粧料の具体的な形態や剤形等に応じて適宜選択することが可能である。目安としては、組成物の0.1〜15質量%が好適であり、特に好適には1〜10質量%である。配合量が少なすぎると、すすぎ時と乾燥後の毛髪のなめらかさに欠ける傾向があり、過剰に配合すると製剤の安定性に影響が顕れ、さらに、製剤の毛髪への塗布時の伸びに欠ける傾向がある。
【0018】
2.カチオン性界面活性剤
本発明の毛髪化粧料に配合されるカチオン界面活性剤としては、例えば、下記一般式(II)にて示される4級化ヒドロキシエーテルアミン化合物、が挙げられる。
【0019】
【化1】

[式(II)中、R、Rはそれぞれ炭素原子数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は、下記一般式(III)にて示される基であるが、R、Rの少なくとも一方又は両方は当該一般式(III)で示される基である。また、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基である。さらに、Mは、無機酸及び/又は有機酸であり、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、有機酸としては、酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等が挙げられる。
【0020】
【化2】

(式(III)中、Rは直鎖又は分岐した炭素原子数6〜24のアルキル基、アルケニル基、又は、ヒドロキシアルキル基であり、ヒドロキシプロピレンオキサイドの付加分子数であるnは1〜5の整数である。)]
【0021】
このようなカチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、あるいはアミン塩、塩化モノアルキルヒドロキシアルキルエーテルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンジエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルアミドプロピルメチルアミン塩、ヒドロキシプロピル-ビス-アルキルアンモニウム塩、ヒドロキシプロピル-ビス-アルキルアミドアンモニウム塩、ジアルキルアミドエチルエチルヒドロキシアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0022】
カチオン性界面活性剤の配合量は、毛髪化粧料の具体的な形態や剤形等に応じて適宜選択することが可能である。目安としては組成物の0.01〜10質量%が好適であり、特に好適には0.1〜5質量%である。この配合量が組成物の0.01質量%未満では、目的とするコンディショニング効果を実質的に得ることができず、10質量%を超えて用いると、毛髪にべたつきを与えてしまう傾向が認められる。
【0023】
3.水
水は、通常は、イオン交換水又は精製水が用いられ、本発明の毛髪化粧料の具体的な形態や剤形等に応じて、その配合の手順や配合量を自由に選択することが可能である。
【0024】
4.シリコーン類
本発明の毛髪化粧料には、シリコーン類、すなわち、シリコーン又はシリコーン誘導体を配合することが、毛髪において、いっそうのコンディショニング効果を発揮させることが可能であり、好適である場合が多い。
【0025】
本発明の毛髪用化粧料に配合され得るシリコーン又はシリコーン誘導体は、具体的には、トリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン、カプリリルメチコン等の揮発性シリコーンオイル;ジメチコン、ジメチコノール、側鎖変性タイプ・直鎖ABNタイプ等のポリエーテル変性シリコーン;フェニル変性シリコーン、プロピルシルセスキオキサン、アルキル変性シリコーン、シリコーンレジン、メチルハイドロジェンシリコーン等の変性シリコーン;アルキル変性、アルコキシ変性、ポリアミド変性、ポリエーテル変性等によるシリコーンレジン;ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー等が挙げられるが、特に、シクロメチコン、ジメチコンが好適である。
【0026】
これらのシリコーン又はシリコーン誘導体のうち、揮発性シリコーンを除いて、重合度や変性率には特に制限はないが、特に好ましくは、下記平均組成式(IV)で示される高重合オルガノポリシロキサンが例示される。
【0027】
[RSiO]x (IV)
[式(IV)中、Rはメチル基あるいはアリール基、Rはメチル基あるいは水酸基である。xは、当該オルガノポリシロキサンが25℃で100万mPa・s以上の粘度を示す範囲のシロキサン重合度を表す正の整数である。]
【0028】
上記のシリコーン類の本発明の組成物における配合量は自由に選択可能であるが、通常は、オルガノポリシロキサン(IV)を含めて、組成物の0.01〜5質量%の範囲が好適である。
【0029】
このような高重合シリコーンを化粧料中に安定に配合するために、水性媒体中にエマルジョン粒子として分散した水性シリコーンエマルションとして配合することが好ましい。当該シリコーンエマルション中における高重合オルガノポリシロキサンの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.3μm〜10.0μmである。
【0030】
このような高重合シリコーンを化粧料中に安定に配合するために、水性媒体中にエマルジョン粒子として分散した水性シリコーンエマルションとして配合することが好ましい。
【0031】
水性媒体としては特に限定されるものではないが、通常水を主成分とし、必要に応じて界面活性剤やその他水性成分を含むことができる。
【0032】
高重合オルガノポリシロキサンを予めエマルション化せずに、低粘度シリコーン油などの溶剤中に溶解して配合したり、さらにこれを毛髪化粧料中で乳化してエマルションとすることも可能ではある。
【0033】
本発明で用いる高重合オルガノポリシロキサンの水性エマルジョンは、公知の方法により製造することができる。例えば、機械的乳化法、乳化重合法等が挙げられる。乳化重合法では、粒径のコントロールが容易で、粒度分布のシャープなものが得られるので好ましい。
【0034】
乳化重合法については、例えば、重合度の小さなジメチルポリシロキサン、界面活性剤、水からなる粗エマルジョンを、重合触媒及び界面活性剤を含む水溶液に滴下しながら乳化重合する方法が、特開昭63−183517号公報に記載されている。また、特開昭62−141029号公報などにも乳化重合方法が記載されている。
【0035】
5.一般的配合成分
本発明の毛髪化粧料には、上記の成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、化粧料の分野で用いられる一般的な成分を配合することができる。
【0036】
例えば、保湿剤としては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、グルコース、マルトース、蔗糖、フラクトース、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、澱粉、分解糖還元アルコール等の単糖、2糖もしくはオリゴ糖及びそれらの誘導体、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、イソプレングリコール、ポリグルタミン酸ナトリウム、アルキレンオキシド誘導体{例えば、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(25)POP(40)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(45)POP(34)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル}等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0037】
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略である。
【0038】
また、さらにレシチン、加水分解タンパクとその誘導体;アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、トリメチルグリシン等のアミノ酸;ビタミン類、セレシン等の毛髪補修成分を配合することにより、さらに毛髪の修復・保護効果に優れ、かつ、その効果が長時間持続する毛髪化粧料が得られる。
【0039】
また、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、各種エステル油、アボガド油、ツバキ油、パーム油、牛脂、ホホバ油、ポリアルキレングリコールポリエーテル及びそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素油等の油分;紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤;カオリン、タルク、シリカ、PMMA、ジンクピリチオン等の水不溶性粉末;アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン等の樹脂類;大豆蛋白、ゼラチン、フィッシュコラーゲン、絹フィブロイン、エラスチン等の蛋白又は蛋白分解物;エチルパラベン、ブチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン等の防腐剤;ビオチン、パントテン酸誘導体等の賦活剤;γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタン等の希釈剤;カルボキシビニルポリマー等のアニオン性高分子;カチオン化セルロース;カチオン化グアガム、ポリクオタニウム−10等のカチオン性高分子、会合性増粘剤、薬剤、香料、色剤、上述したカチオン界面活性剤以外の界面活性剤等を必要に応じて敵宜配合してもよい。
【0040】
[毛髪化粧料の剤形と態様]
本発明の毛髪化粧料の剤形は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限されず、可溶化系、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系等いずれでも構わない。これら剤形とするには、常法に従って製造すればよい。
【0041】
また、本発明の毛髪化粧料の内容は、毛髪に使用する任意の化粧料に適用可能であり、シャンプー等のいわゆる毛髪洗浄剤や、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等のいわゆる毛髪処理剤等が挙げられる。また、その使用形態も、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含み得るが、本発明の毛髪化粧料は塗布後すすぎ流して使用するタイプのヘアコンディショナーは、特に好適である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。また、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【0043】
1.脂肪族アルコールの混合物
本実施例において用いる脂肪族アルコールの混合物は、「アルコール1〜3」及び「比較アルコール1〜3」の計6種類である。これらのうち、アルコール1と2及び比較アルコール2は、上述した脂肪族アルコール混合物(I)の製造方法において適宜反応条件を調整して製造を行った。また、アルコール3は、市販品(EMALEX602 日本エマルジョン社製)である。さらに、比較アルコール1は、ステアリルアルコールの市販品(ステアリルアルコールNX 高級アルコール工業社製)であり、比較アルコール3は、市販品(ペグノールS-4DV 東邦化学社製)である。なお、「アルコール1〜3」と「比較アルコール1〜3」は、いずれも製造出発物質である高級脂肪酸はステアリン酸である(Rの炭素原子数はいずれも18である)。
【0044】
上記の(1)〜(6)の脂肪族アルコールの混合物について、ガスクロマトグラフィーで組成比を分析した。その結果を表1に示す。
【0045】
<測定条件>
・カラム:OV-17 uniport HP 2% 1m
・温度条件:150℃×0分→325℃×42.5分 昇温速度 10℃/分
インジェクション 360℃ 検出器 FID 360℃
・キャリアー:N 30ml/分
【0046】
【表1】

【0047】
2.本発明品の評価
表2に開示された組成に従って、ヘアコンディショナー組成物を調製した 。下記に示す、ヘアコンディショナー組成物の評価の結果も併せて、表2に示す。表中、PGとは、ピリジニウムを表すものとする。
【0048】
【表2】

【0049】
(1)試験品の調製方法
1)水以外の組成物を75℃にて、混合しながら、融解させる。
2)75℃に温めた水を、攪拌中の1)に添加する。
3)常温まで冷却する。
【0050】
(2)評価項目と評価方法
評価項目と評価方法は、次の通りである。
【0051】
(a)評価項目
評価1:コンディショナー塗布時の伸びの良さ
評価2:塗布時の毛髪のしなやかさ
評価3:塗布時の毛髪のなめらかさ
評価4:すすぎ時の毛髪のなめらかさ
評価5:乾燥直後の毛髪の指通りの良さ
評価6:乾燥直後の毛髪のサラサラ感
評価7:乾燥翌日の毛髪のうるおい感
【0052】
(b)評価方法
上記の評価項目1〜3、6と7に関して、専門パネル10名に依頼を行い、評価を行った。また、評価項目4と5に関しては、指定の毛髪束を用いてコーミング試験を行った。
【0053】
なお、当該コーミング試験は、毛髪クシ通り試験機(コーミング テスター(テクノハシモト社製))を用いて、毛髪束にコンディショナーを適用しながら、毛髪ブラッシング時の変位−荷重特定を測定した。各場面において、10回ブラッシングを行い、3〜10回目の各最大荷重応力の平均値にて比較を行った。
【0054】
評価項目1:コンディショナー塗布時の伸びの良さ
上記専門パネル10名による試験品の洗髪実使用テストにおいて、洗髪後のコンディショナー塗布時の試験品の毛髪における伸びの良さについて官能評価を行った。
【0055】
判定基準は以下の通りである。
◎ : 10名中8名以上が、コンディショナー塗布時の伸びが良いと回答
○ : 10名中6名以上7名以下が、コンディショナー塗布時の伸びが良いと回答
△ : 10名中3名以上5名以下が、コンディショナー塗布時の伸びが良いと回答
× : 10名中2名以下が、コンディショナー塗布時の伸びが良いと回答
【0056】
評価項目2:塗布時のしなやかさ
上記専門パネル10名による試験品の洗髪実使用テストにおいて、洗髪後のコンディショナー塗布時の髪のしなやかさについて官能評価を行った。
【0057】
判定基準は以下の通りである。
◎ : 10名中8名以上が、塗布時の毛髪がしなやかさであると回答
○ : 10名中6名以上7名以下が、塗布時の毛髪がしなやかさであると回答
△ : 10名中3名以上5名以下が、塗布時の毛髪がしなやかさであると回答
× : 10名中2名以下が、塗布時の毛髪がしなやかさであると回答
【0058】
評価項目3:塗布時のなめらかさ
上記専門パネル10名による試験品の洗髪実使用テストにおいて、洗髪後のコンディショナー塗布時の髪のなめらかさについて官能評価を行った。
【0059】
判定基準は以下の通りである。
◎ : 10名中8名以上が、塗布時の毛髪がなめらかであると回答
○ : 10名中6名以上7名以下が、塗布時の毛髪がなめらかであると回答
△ : 10名中3名以上5名以下が、塗布時の毛髪がなめらかであると回答
× : 10名中2名以下が、塗布時の毛髪がなめらかであると回答
【0060】
評価項目4:すすぎ時の毛髪のなめらかさ
ブリーチ処理した毛髪束20gにコンディショナー1gを塗布後、水道水で濯ぎながら、毛髪束に10回クシを通した時のクシにかかる平均応力を測定した。
◎ : コーミングの平均応力が3.5N以下である。
○ : コーミングの平均応力が3.5Nより大きく、4.0N以下である。
△ : コーミングの平均応力が4.0Nより大きく、5.0N以下である。
× : コーミングの平均応力が5.0Nより大きい。
【0061】
評価項目5:乾燥直後の毛髪の指通りの良さ
上記の評価項目4「すすぎ時のなめらかさ測定」に続いて、ブリーチ処理した毛髪束に付いている水をタオルでふき取った後、毛髪束に10回クシを通した時のクシにかかる平均応力を測定した。
◎ : コーミングの平均応力が4.5N以下である。
○ : コーミングの平均応力が4.5Nより大きく、5.5N以下である。
△ : コーミングの平均応力が5.5Nより大きく、6.5N以下である。
× : コーミングの平均応力が6.5Nより大きい。
【0062】
評価項目6:乾燥直後の毛髪のサラサラ感
各試験品を、洗髪後の毛髪に塗布した後、すすぎ流し、タオルドライ後、ヘアドライヤーで乾燥直後の毛髪のさらさら感について、上記10名の専門パネラーにおいて官能評価を行った。
【0063】
判定基準は以下の通りである。
◎: 10名中8名以上が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
○: 10名中6名が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
△: 10名中3名が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
×: 10名中2名以下が、コントロールよりもさらさら感があると回答。
【0064】
評価項目7:乾燥翌日の毛髪のうるおい感
各試験品を洗髪後の毛髪に塗布後、すすぎ流し、乾燥後24時間経過後の毛髪のうるおい感(しっとり感)について、上記10名の専門パネラーにおいて官能評価を行った。
【0065】
判定基準は以下の通りである。
◎: 10名中8名以上が、コントロールよりもうるおい感があると回答。
○: 10名中6名が、コントロールよりもうるおい感があると回答。
△: 10名中3名が、コントロールよりもうるおい感があると回答。
×: 10名中2名以下が、コントロールよりもうるおい感があると回答。
【0066】
以下に、本発明の毛髪化粧料の処方例を記載する。
【0067】
[処方例1] ヘアコンディショナー
配合成分 配合量(質量%)
(1)セトステアロキシPGジメチルアミン 1.5
(2)ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート 0.2
(3)アルコール1(ノニオンS-200.5S 日本油脂社製) 3.0
(4)ステアリルアルコール 2.0
(5)ステアリン酸 0.5
(6)モノステアリン酸グリセリン 0.5
(7)ピロリドンカルボン酸 0.4
(8)乳酸ナトリウム 0.2
(9)ヒドロキシエチル尿素 0.4
(10)トウツバキ種子油 0.1
(11)ポリクオタニウム−61 0.1
(12)ジメチコン(20mPa・s) 5.0
(13)ジメチコノール(1万mPa・s) 1.0
(14)ミネラルオイル 0.3
(15)パルミチン酸オクチル 0.3
(16)ソルビトール 10.0
(17)ジグリセリン 3.0
(18)イソプレングリコール 4.0
(19)POE(10)POP(7)ジメチルエーテル(ランダム共重合体) 0.2
(20)高重合ポリエチレングリコール(Mw400万) 0.1
(21)カチオン化デンプン 0.1
(22)トウガラシチンキ 0.05
(23)メントール 0.1
(24)バニリルブチルエーテル 0.02
(25)カラスムギ抽出液 0.1
(26)タウリン 1.0
(27)フェノキシエタノール 0.4
(28)ベンジルオキシエタノール 0.3
(29)香料 0.6
(30)精製水 残余
【0068】
<製造方法>
精製水以外を70℃に温めて、固形分を融解させる。70℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。
【0069】
[処方例2] ヘアコンディショナー
配合成分 配合量(質量%)
(1)ベヘロキシPGジメチルアミン 2.5
(2)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.5
(3)アルコール2(ノニオンS-2001S 日本油脂社製) 6.0
(4)固形パラフィン 0.5
(5)モノオレイン酸グリセリン 0.4
(6)グルタミン酸 0.6
(7)コハク酸 0.4
(8)L−アルギニン 0.2
(9)ジメチコン(1000mPa・s) 0.5
(10)アモジメチコン(1000mPa・s) 1.0
(11)ジメチコノール(4000mPa・s) 2.0
(12)イソステアリン酸イソセチル 1.0
(13)グリセリン 5.0
(14)イソプレングリコール 2.0
(15)POE(35)POP(40)ジメチルエーテル(ブロック共重合体) 0.3
(16)カチオン化セルロース 0.5
(17)ビワ抽出液 0.2
(18)メチルパラベン 0.3
(19)ベンジルアルコール 0.3
(20)香料 0.4
(21)精製水 残余
【0070】
<製造方法>
精製水以外を80℃に温めて、固形分を融解させる。80℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。
【0071】
[処方例3] ヘアトリートメント
配合成分 配合量(質量%)
(1)ステアロキシPGジメチルアミン 1.0
(2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1
(3)アルコール1(ノニオンS-200.5S 日本油脂社製) 5.0
(4)ステアリン酸 0.3
(5)コハク酸 0.3
(6)ピロリドンカルボン酸 0.05
(7)ジメチコン(6mPa・s) 10.0
(8)高重合メチルポリシロキサン(100万mPa・s) 1.0
(9)アモジメチコン(1000mPa・s) 2.0
(10)パルミチン酸オクチル 1.0
(11)POE(5)イソステアリルグリセリルエーテル 0.2
(12)ソルビトール 15.0
(13)ジグリセリン 2.0
(14)ジプロピレングリコール 10.0
(15)高重合ポリエチレングリコール(Mw200万) 0.2
(16)ヒドロキシエチルセルロース 0.2
(17)メントール 0.1
(18)バラ抽出液 0.4
(19)大豆レシチン 0.2
(20)フェノキシエタノール 0.8
(21)香料 0.4
(22)精製水 残余
【0072】
<製造方法>
精製水以外を70℃に温めて、固形分を融解させる。70℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。
【0073】
[処方例4] リンスインシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
(1)POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
(2)N−ヤシ油メチルタウリンナトリウム 3.0
(3)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
(4)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 0.4
(5)カチオン化グアガム 0.2
(6)カチオン化ローカストビーンガム 0.2
(7)ステアロキシPGジメチルアミン 0.5
(8)ステアリン酸 1.0
(9)アルコール1(ノニオンS-200.5S 日本油脂社製) 1.0
(10)ジメチコン
(1万mPa・s、粒径400nm、濃度30%のエマルジョン) 1.5
(11)コハク酸 0.4
(12)1,3−ブチレングリコール 5.0
(13)グリセリン 10.0
(14)POE(20)グリセリルエーテル 0.3
(15)安息香酸ナトリウム 0.5
(16)フェノキシエタノール 0.5
(17)加水分解コムギ蛋白 0.1
(18)エデト酸2ナトリウム 0.1
(19)香料 0.7
(20)精製水 残余
【0074】
<製造方法>
精製水に、カチオン化グアガム、カチオン化ローカストビーンガムを溶解させる。70℃に温めてから、他の成分を順次添加して、最後に常温まで冷却する。
【0075】
[処方例5] 脱色剤
配合成分 配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 5.0
(2)ジメチコン(6mPa・s) 2.0
(3)アルコール2(ノニオンS-2001S 日本油脂社製) 5.0
(4)ベヘロキシヒドロキシプロピルアミン 0.8
(5)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.1
(6)コハク酸 0.4
(7)フェノキシエタノール 0.3
(8)ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.15
(9)精製水 残余
(10)過酸化水素水(30%水溶液) 10.0
【0076】
<製造方法>
(5)〜(9)を80℃で混合して均一にしたものに、(1)〜(4)を混合したものを加えて乳化する。さらに攪拌しながら(10)を添加して、室温まで冷却する。
【0077】
[処方例6] ヘアリンス
配合成分 配合量(質量%)
(1)イソペンチルジオール 10.0
(2)エリスリトール 5.0
(3)アミノプロピルメチコン(100万mPa・s) 1.0
(4)ジメチコノール(2000mPa・s) 5.0
(5)アルコール1(ノニオンS-200.5S 日本油脂社製) 7.0
(6)ベヘロキシPG(2)ジメチルアミン 1.0
(7)クエン酸 0.02
(8)リンゴ酸 0.3
(9)2−エチルヘキサン酸オクチル 1.0
(10)イソオクタン酸セチル 1.0
(11)ヒドロキシエチルセルロース 0.5
(12)アルギニン 0.01
(13)グリシン 0.1
(14)ツバキ油 0.02
(15)ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.05
(16)水添ポリイソブテン 0.3
(17)フェノキシエタノール 1.0
(18)調合香料 適量
(19)大豆レシチン 0.1
(20)加水分解小麦タンパク・加水分解小麦でんぷん 0.02
(21)N-ラウロイルグルタミン酸
ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル) 0.1
(22)精製水 残余
【0078】
<製造方法>
水溶性成分を加熱溶解して均一とする。これに油溶性成分を混合して加熱溶解したものを添加して、乳化した後、冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(1)〜(3)を含有する、毛髪化粧料。
(1) 一般式(I):
-O-(C24O)-H (I)
〔式中、Rは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、エチレンオキサイドの付加分子数であるmは、0又は正の整数を示す。〕
にて表される脂肪族アルコールの混合物であって、当該nの平均値が3以下の正の数である、脂肪族アルコールの混合物を、組成物の0.1〜15質量%
(2) カチオン界面活性剤の1種又は2種以上を、組成物の0.01〜10質量%
(3) 水
【請求項2】
脂肪族アルコール(I)の混合物における、エチレンオキサイドの付加分子数であるmが0、1又は2の脂肪族アルコールの存在比(質量比)が、当該混合物の60質量%以上である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
脂肪族アルコール(I)の混合物における、mが0の脂肪族アルコールが当該混合物の30〜70質量%、mが1の脂肪族アルコールが同18〜25質量%、mが2の脂肪族アルコールが同8〜18質量%、である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに、下記平均組成式(IV)で示される高重合オルガノポリシロキサンを、組成物の0.01〜5質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
[RSiO]x (IV)
[式(IV)中、Rはメチル基又はアリール基、Rはメチル基又は水酸基である。Xは、当該オルガノポリシロキサンが25℃で100万mPa・s以上の粘度を示す範囲のシロキサン重合度を表す正の整数である。]

【公開番号】特開2010−1249(P2010−1249A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161484(P2008−161484)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】