説明

毛髪化粧料

【課題】塗布時ののびが良く、伸ばしたときに白くならず、整髪性に優れ、毛髪に適度なしなやかさとつや感を付与することができ、かつ保存安定性に優れた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステル、(B)ポリオキシアルキレン誘導体、(C)非イオン性皮膜形成樹脂、(D)水を含有し、(E)炭素数が12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いる毛髪化粧料であって、(A)成分が植物ステロール骨格を持つエステルであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関し、更に詳細には、(A)20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステル、(B)ポリオキシアルキレン誘導体、(C)非イオン性皮膜形成樹脂、(D)水を含有し、(E)炭素数が12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いる毛髪化粧料であり、さらには、(F)高級アルコールを含有することを特長とする毛髪化粧料であり、塗布時ののびが良く、伸ばしたときに白くならず、整髪性に優れ、毛髪に適度なしなやかさとつや感を付与することができ、かつ保存安定性に優れた毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料には、液状、乳液状、ゲル状、クリーム状、スティック状など様々な形態があり、中でもゲル状およびクリーム状化粧料は手に取り出しやすい、適度な整髪性がでるなどの理由により汎用されている。
【0003】
一般にこのようなゲル状化粧料にはカルボキシビニルポリマーに代表されるカルボキシル基含有増粘性高分子を水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ性物質で中和して配合、あるいは、セルロース誘導体、グアーガム誘導体などの天然系高分子を配合して、その粘性を調整しているものが使いやすいので汎用されている。また、クリーム状化粧料には、キャンデリラワックス、パラフィンワックスなどの高融点油剤を用いて高い整髪力を持たせることが多い。またこれらの化粧料は、従来、油性成分として油脂類、炭化水素油、脂肪酸エステル、高級アルコール、シリコーン油などの油性成分を配合し、様々な感触(しっとり感、さらさら感)の調整をおこない、さらには、皮膜形成樹脂を配合し、より優れた整髪力の付与を行っている。
【0004】
これらのことから、例えば、カルボキシル基含有増粘性高分子化合物と水溶性アルコールと油性成分を含有したゲル状化粧料(例えば、特許文献1、2参照)や、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとワックス成分あるいはジグリセリンを含有した毛髪化粧料(例えば、特許文献3、4参照)が知られている。髪のまとまりや落ち着きを高めるためには油性成分を多く配合することが必要であるが、これらの従来の技術では、多量に油性成分を配合すると油性成分の安定性が損なわれ、油浮きや化粧料が分離する問題があった。そこで、増粘性高分子化合物を高配合したり、セタノールなどの高級アルコール成分を配合し、安定性を向上させようとしたが、塗布時の伸びが悪くなったり、伸ばしたときに白くなりすぎて、髪の外観を損ねることがあった。
【0005】
そのほかにも、整髪力を向上させるべく、皮膜形成樹脂とワックス成分を配合する毛髪化粧料(例えば、特許文献5参照)が知られているが、高融点のワックス成分を用いるため、伸びが悪く使用しにくくなる場合や、髪にごわつきを感じる場合もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−187814号公報
【特許文献2】特開2002−167308号公報
【特許文献3】特開平11−263914号公報
【特許文献4】特開2003−12467号公報
【特許文献5】特開2005−239555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
斯かる状況下、本発明の目的とするところは、塗布時ののびが良く、伸ばしたときに白
くならず、整髪性に優れ、毛髪に適度なしなやかさとつや感を付与することができ、かつ保存安定性に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は(A)20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステル、(B)ポリオキシアルキレン誘導体、(C)非イオン性皮膜形成樹脂、(D)水を含有し、(E)炭素数が12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いる毛髪化粧料であり、さらには、(F)高級アルコールを含有することを特徴とする毛髪化粧料である。また(A)成分が植物ステロール骨格を持つエステルであることが好ましく、更に(A)成分が、植物ステロール骨格を持つエステルと、それ以外の脂肪属エステルとの配合比が1:3〜5:1となる組合せであるとより好ましい、(E)成分としては、ステアリン酸、ミリスチン酸から選ばれる脂肪酸をアルカリで中和した脂肪酸石鹸成分を乳化剤として用いると好ましい、としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステル、ポリオキシアルキレン誘導体、非イオン性皮膜形成樹脂、水を含有し、炭素数12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いることで、塗布時ののびが良く、伸ばしたときに白くならず、整髪性に優れ、毛髪に適度なしなやかさとつや感を付与することができ、かつ保存安定性に優れた毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0011】
本発明における(A)成分である20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステルとしては、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、リシノール酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、レオイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等が例示され、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。市販されているものとしては、KAK 182、818、816(高級アルコール工業社製)、Nikkol N−SP、BS(日本サーファクタント社製)、Plandool−H、S(日本精化社製)、Lusplan PI−DA(日本精化社製)が挙げられる。
【0012】
これらの(A)成分の中でも、植物ステロール(フィトステロール)骨格を持つエステルが毛髪にしなやかさを付与する効果に高いため、特に好ましい。その具体例としては、イソステアリン酸フィトステリル、レオイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。市販されているものとしては、Nikkol N−SP(日本サーファクタント社製)、Plandool−H(日本精化社製)、フィトステリルイソステアレート(日本サーファクタント社製)が挙げられる。
【0013】
さらに本発明において(A)成分の配合量は、髪のまとまりやしなやかさの効果を良好に得るために、毛髪化粧料の総量を基準として2〜20%が好ましく、より好ましくは、5〜10%である。さらに好ましくは、植物ステロール骨格をもつ脂肪属エステルと、(
A)成分のその他の脂肪属エステル(例えばパルミチン酸セチルやミリスチン酸セチル等)とを1:3〜5:1の比で組み合わせることで、より好ましい整髪力を有しながら、ごわつかない、優れた感触を得ることができる。
【0014】
本発明における(B)ポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシアルキレングリコール類、またはポリオキシアルキレンエーテル類が挙げられる。具体的にはポリオキシアルキレングリコール類としては、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレングリコール(30)、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレングリコール(35)、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレングリコール(17)、ポリオキシエチレン(150)ポリオキシプロピレングリコール(35)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレングリコール(30)、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングリコール(40)等が例示できる。またポリオキシアルキレンエーテル類としては、ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(52)ブチルエーテル等が例示され、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。市販されているものとしては、Siponic1173(Alcolac社製)、ユニルーブ50MB−26、ユニルーブMB−700、ユニルーブ10MS−250KB(日油社製)、アデカカーポールGH−200(旭電化(株)社製)、エパン410、420、450、485、710、720、740、750、785(第一工業製薬社製)、ニューポールPE−64、74(三洋化成社製)、ユニルーブ20DP15B、40DP25B、30DP25B、50DP16KB、10DP30B、40DP60B、50DP50B、70DP950B(日本油脂社製)、トーホー#200(東邦化学(株)社製)等が挙げられる。
【0015】
これらの(B)成分の中でも、ポリオキシアルキレンエーテル類が好ましく、特にポリオキシエチレンポリオシキプロピレンブチルエーテルが毛髪にしなやかさを付与する効果が高いため好ましい。その具体例としては、ユニルーブ50MB−26、ユニルーブ10MS−250KBが挙げられる。
【0016】
本発明において(B)成分の配合量は、髪のつや感の効果を良好に得るために、毛髪化粧料の総量を基準として5〜30%が好ましく、より好ましくは、10〜20%である。
【0017】
本発明における(C)非イオン性皮膜形成樹脂としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体等が例示され、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
これらの(C)成分の中でも、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、あるいはビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体が整髪力を付与する効果に高いため、特に好ましいが、これらのものに限定されるものではない。
【0019】
本発明において(C)成分の配合量は、ごわつきのない適度な整髪力を得るために、毛髪化粧料の総量を基準として1〜8%が好ましく、より好ましくは、2〜5%である。
【0020】
本発明に用いられる成分(D)の水は、通常、化粧料に配合することが可能な水であれば特に限定されず、例えば精製水、温泉水、深層水、又は植物等の水蒸気蒸留水等が挙げられる。
【0021】
本発明における(D)成分の配合量は特に限定されるものではないが、本発明に用いら
れる(A)、(B)、(C)の種類や配合量に応じて、配合量を適宜調整する必要がある。
【0022】
本発明における(E)成分は、炭素数12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いるとしたもので、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩等が挙げられる。中でも炭素数14〜18である脂肪酸塩であることが好ましく、さらにステアリン酸、ミリスチン酸から選ばれる脂肪酸をアルカリで中和した脂肪酸石鹸成分を乳化剤としたものがより好ましい。ステアリン酸、ミリスチン酸から選ばれる脂肪酸をアルカリで中和した脂肪酸石鹸成分を乳化剤としたものとしては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸AMP、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸AMPが例示され、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
これらの(E)成分の中でも、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミンが乳化安定性に優れているため特に好ましいが、これらのものに限定されるものではない。
【0024】
本発明において、さらに、(F)高級アルコールを含有させることが好ましい。通常高級アルコールは、乳化助剤として使われるが、本発明においては、整髪性、毛髪のしなやかさを向上させる付与効果を得ることができる。
【0025】
(F)成分として、セタノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、フィトステロール等が例示され、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
また本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、各種毛髪栄養剤、香料、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0027】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進薬剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、サイコ抽出物、イブキジャコウ抽出物、ヒオウギ抽出物、アセンヤク抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB2類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、実施例に記載の官能試験(塗布時ののび、塗布時の外観、整髪性、しなやかさ、つや感)、保存安定性に関する試験法を下記に示す。
【0029】
(1)官能試験 20名の専門パネルを対象に実施例および比較例の毛髪化粧料を使用してもらい、塗布時ののび、塗布時の外観、整髪性、しなやかさ、つや感について官能試験を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
判定基準
『塗布時ののび』
◎:パネルの15名以上がのびが良いと判断
○:パネルの10名以上15名未満がのびが良いと判断
△:パネルの5名以上10名未満がのびが良いと判断
×:パネルの5名未満がのびが良いと判断

『塗布時の外観』
◎:パネルの15名以上が白くならないと判断
○:パネルの10名以上15名未満が白くならないと判断
△:パネルの5名以上10名未満が白くならないと判断
×:パネルの5名未満が白くならないと判断

『整髪性』
◎:パネルの15名以上が整髪力が高いと判断
○:パネルの10名以上15名未満が整髪力が高いと判断
△:パネルの5名以上10名未満が整髪力が高いと判断
×:パネルの5名未満が整髪力が高いと判断

『しなやかさ』
◎:パネルの15名以上がしなやかさがあると判断
○:パネルの10名以上15名未満がしなやかさがあると判断
△:パネルの5名以上10名未満がしなやかさがあると判断
×:パネルの5名未満がしなやかさがあると判断

『つや感』
◎:パネルの15名以上がつや感があると判断
○:パネルの10名以上15名未満がつや感があると判断
△:パネルの5名以上10名未満がつや感があると判断
×:パネルの5名未満がつや感があると判断
【0030】
(2)保存安定性 実施例および比較例の毛髪化粧料を100mLの透明ガラス製容器に入れて密封し、45℃の恒温槽ならびに往復恒温槽(5℃〜30℃のサイクル恒温槽)に1ヶ月保存し、視覚判定により下記の基準で評価を行った。
○:外観の変化が全くなく、油浮きや分離などが観察されない。
△:僅かに油浮きや分離が認められる。
×:明らかに油浮きや分離が認められる。
【0031】
表1に示す実施例1〜10、比較例1〜8の毛髪化粧料を常法に従って作成し、前記の諸試験を実施して評価を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1から明らかなように、本発明の毛髪化粧料は、比較例と比べて明らかに官能試験(塗布時ののび、塗布時の外観、整髪性、しなやかさ、つや感)、保存安定性に関する試験のいずれの評価においても優れていた。
【0034】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の官能試験(塗布時ののび、塗布時の外観、整髪性、しなやかさ、つや感)、保存安定性を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0035】
実施例11(スタイリングワックス)
(1)ダイマージリノール酸 5
(フィトステアリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)
〔Plandool−H:日本精化社製〕・・・(A)
(2)パルミチン酸セチル・・・(A) 2
〔Nikkol SP:日本サーファクタント社製〕
(3)ステアリン酸グリセリル・・・(A) 7
〔エステロールEG−S:ナショナル美松社製〕
(4)パルミチン酸グリコール・・・(A) 5
〔エステロールEG−S:ナショナル美松社製〕
(5)水添ロジン酸トリグリセリル・・・(A) 0.2
(6)PPG−34ステアレス−3・・・(B) 12
〔ユニルーブ10MS−250KB:日油社製〕
(7)ステアリルアルコール・・・(F) 8
(8)ジメチコン 1
(9)ステアリン酸トリエタノールアミン・・・(E) 2.5
(10)(ビニルピロリドン/VA)コポリマー・・・(C) 3
〔PVP/VA(S−630):I.S.P社製〕
(11)1,3−ブチレングリコール 5
(12)セチル硫酸ナトリウム 1
(13)ハチミツ 1
(14)ツバキエキス 0.001(15)加水分解シルク 0.1
(16)フェノキシエタノール 0.5
(17)精製水・・・(D) 残 部
(18)香料 0.2
※A成分における(植物ステロール骨格を持つエステル)と(その他のエステル)との配合比は1:2.84
【0036】
(製法)1〜9、10〜17を85℃にて溶解し、混合、ホモミキサーを用いて十分に混合乳化後、冷却する。18の香料は冷却途中60℃にて投入しさらに混合を行い、毛髪化粧料を得た。
【0037】
実施例12(スタイリングクリーム)
(1)イソステアリン酸フィトステリル・・・(A) 2
〔フィトステリルイソステアレート:日本サーファクタント社製〕
(2)ミリスチン酸酸イソセチル・・・(A) 2
〔Nikkol ICM−R:日本サーファクタント社製〕
(3)モノステアリン酸グリセリル・・・(A) 4
〔Nikkol MGS−BSEV:日本サーファクタント社製〕
(4)PPG−34ステアレス−3・・・(B) 10
〔ユニルーブ10MS−250KB:日油社製〕
(5)ステアリルアルコール・・・(F) 6
(6)ジメチコノール 2
(7)ステアリン酸トリエタノールアミン・・・(E) 3
(8)ビニルピロリドン/メタクリルアミド 3
/ビニルイミダゾール共重合体・・・(C)
〔ルビセットクリア:BASF社製〕
(9)プロピレングリコール 6
(10)N−ステアロイル−グルタミン酸ナトリウム 2
(11)加水分解コラーゲン 0.1
(12)加水分解コンキオリン 0.1
(13)レモンエキス 1
(14)ローヤルゼリーエキス 0.001(15)フェノキシエタノール 0.5
(16)精製水・・・(D) 残 部
(17)香料 0.1
※A成分における(植物ステロール骨格を持つエステル)と(その他のエステル)との配合比は1:3
【0038】
(製法)1〜9、10〜16を85℃にて溶解し、混合、ホモミキサーを用いて十分に混合乳化後、冷却する。17の香料は冷却途中60℃にて投入しさらに混合を行い、毛髪化粧料を得た。
【0039】
実施例13(スタイリングフォーム)
(1)ダイマージリノール酸 1
(フィトステアリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)
〔Plandool−H:日本精化社製〕・・・(A)
(2)パルミチン酸セチル・・・(A) 0.5
〔Nikkol SP:日本サーファクタント社製〕
(3)ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン
(17)ブチルエーテル・・・(B) 3
〔ユニルーブ50MB−26:日油社製〕
(4)ビニルピロリドン/メタクリルアミド
/ビニルイミダゾール共重合体・・・(C) 0.5
〔ルビセットクリア:BASF社製〕
(5)セタノール・・・(F) 0.2
(6)ヒマシ油 2
(7)ジメチコン 4
(8)ポリシリコーン−13 0.8
(9)水添ポリイソブテン 1.5
(10)セテス−6 0.3
(11)PEG−60水添ヒマシ油 0.2
(12)セテス−15 0.5
(13)PPG−2コカミド 0.1
(14)プロピレングリコール 3
(15)ミリスチン酸トリエタノールアミン・・・(E) 1.8
(16)D−パントテニルアルコール 0.3
(17)レンゲエキス 0.1
(18)エチルグルコシド 0.1
(19)フェノキシエタノール 0.3
(20)精製水・・・(D) 残 部
(21)エタノール 8
(22)香料 0.05
※原液ガス比
原液 96
LPG(0.43) 4

※A成分における(植物ステロール骨格を持つエステル)と(その他のエステル)との配合比は2:1
【0040】
(製法)1〜15、16〜20を80℃にて溶解し、混合、ホモミキサーを用いて十分に混合乳化後、冷却する。21、22は冷却途中35℃にて投入しさらに混合を行い、毛髪化粧料を得た。また得られた毛髪化粧料をエアゾール缶に充填し、原液ガス比を記載の通りとしてスタイリングフォームを得た。
【0041】
尚、実施例で使用した香料を表2に示す。
【0042】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0043】
以上記載の如く、本発明は塗布時ののびが良く、伸ばしたときに白くならず、整髪性に優れ、毛髪に適度なしなやかさとつや感を付与することができ、かつ保存安定性に優れた毛髪化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)20℃でペースト状から固形状の脂肪属エステル、(B)ポリオキシアルキレン誘導体、(C)非イオン性皮膜形成樹脂、(D)水を含有し、(E)炭素数が12〜22である脂肪酸塩を乳化剤として用いる毛髪化粧料。
【請求項2】
(A)成分が、植物ステロール骨格を持つエステルであることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
さらに、(F)高級アルコールを含有することを特徴とする請求項1,2いずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
(A)成分が、植物ステロール骨格を持つエステルと、それ以外の脂肪属エステルとの配合比が1:3〜5:1であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
(E)成分が、ステアリン酸、ミリスチン酸から選ばれる脂肪酸をアルカリで中和した脂肪酸石鹸成分を乳化剤として用いることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−1271(P2010−1271A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163875(P2008−163875)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】