説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪に対してしっとり感とやわらかさの両方を良好に付与することができる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、[A]ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、[B]メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、[C]炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール、及び[D]水が配合されており、[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部以上90質量部以下の毛髪化粧料である。[A]成分として、塩化アルキルトリメチルアンモニウムと臭化アルキルトリメチルアンモニウムとが配合されることが好ましい。[E]ステロール誘導体がさらに配合されることが好ましい。[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、20質量部以上60質量部以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に毛髪は、熱、化学物質、紫外線等の外部からの刺激や加齢により本来有するしっとり感ややわらかさを失う傾向にある。近年においては多様なヘアスタイルが提案されているところ、そのようなヘアスタイルを付与するための処理によって毛髪がダメージを受けることが多くなり、上記傾向はますます強くなっている。
【0003】
特に、パーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理を繰り返すと、毛髪へのダメージが蓄積し、毛髪の乾燥や硬化が進みやすくなる。これらの副次的な作用はヘアスタイルの変化を望む人たちにとって大きな抵抗となっている。
【0004】
上述のような副次的な作用を抑制しつつ毛髪を補修するために、種々の毛髪化粧料が提案されている。例えば、特開2004−83521号公報には、アミノ変性シリコーン、揮発性直鎖状シリコーン、環状シリコーン及び第四級アンモニウムアルキル硫酸塩を含有する毛髪化粧料組成物が開示されており、この毛髪化粧料組成物により毛髪を処理すると、しっとり感に優れる結果となることが記載されている。また、特開2004−107218号公報には、脂肪酸エステル、アルミニウム塩、水及び第四級アンモニウム塩を含有する毛髪化粧料組成物が開示されており、この毛髪化粧料組成物により毛髪を処理することにより、毛髪の滑らかさに優れる結果となることが記載されている。
【0005】
このように、毛髪にしっとり感とやわらかさの両方を付与することが一般的に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−83521号公報
【特許文献2】特開2004−107218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、毛髪に対してしっとり感とやわらかさの両方を良好に付与することができる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、配合成分として、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール及び水を用い、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとメチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウムとの配合比を特定範囲とすることによって、毛髪に対して良好なしっとり感及びやわらかさを付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る毛髪化粧料は、
[A]ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、
[B]メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、
[C]炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール、及び
[D]水
が配合されており、
[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部以上90質量部以下の毛髪化粧料である。
【0010】
当該毛髪化粧料によれば、上記特定の配合成分と配合比とを有していることから、毛髪に対してしっとり感とやわらかさの両方を良好に付与することができる。なお、[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部未満である場合又は90質量部を超える場合、毛髪のしっとり感とやわらかさが大幅に低下して本発明の効果を享受することができなくなる。
【0011】
当該毛髪化粧料では、[A]成分として、塩化アルキルトリメチルアンモニウムと臭化アルキルトリメチルアンモニウムとが配合されることが好ましい。[A]成分として上記アンモニウム塩を併用することにより、毛髪に対してしっとり感を与えることができると共に、特にやわらかさをより高いレベルにすることができる。
【0012】
当該毛髪化粧料では、[B]成分の好ましいものの一例としては、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0013】
当該毛髪化粧料には、[E]ステロール誘導体がさらに配合されることが好ましい。これにより、当該毛髪化粧料の毛髪へのしっとり感及びやわらかさの付与の程度をさらに向上させることができる。
【0014】
当該毛髪化粧料では、[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、20質量部以上60質量部以下であることが好ましい。[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比を上記特定範囲とすることで、毛髪においてさらに高いしっとり感及びやわらかさを達成することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明による毛髪化粧料は、[A]ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、[B]メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、[C]炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール及び[D]水が配合されており、上記[A]成分と上記[B]成分との配合比を特定範囲としていることから、毛髪に対してしっとり感とやわらかさの両方を良好に付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の毛髪化粧料は、[A]ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、[B]メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、[C]炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール及び[D]水が配合されており、[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部以上90質量部以下である。以下、これらの成分について順次説明する。
【0017】
([A]成分:ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム)
[A]成分は、アルキルトリメチルアンモニウムのハロゲン化物(塩)からなるカチオン界面活性剤であり、当該毛髪化粧料による毛髪へのしっとり感及びやわらかさの付与のために配合される。
【0018】
上記アルキルトリメチルアンモニウムのアルキル基としては、通常、炭素数12以上24以下のアルキル基であり、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、イコサニル基、ベヘニル基等が挙げられる。また、上記ハロゲンとしては、例えば塩素、臭素等が挙げられる。
【0019】
[A]成分の具体例としては、上記に代表される構造を有する限り特に限定されず、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。[A]成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
当該毛髪化粧料では、塩化アルキルトリメチルアンモニウムと臭化アルキルトリメチルアンモニウムとを組み合わせた配合が、当該毛髪化粧料による処理後の毛髪のやわらかさをより高めることができる点で好ましい。この場合の[A]成分の具体的な組み合わせ例としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウムと臭化セチルトリメチルアンモニウムとの組み合わせ、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムと臭化ステアリルトリメチルアンモニウムとの組み合わせ等が挙げられる。
【0021】
当該毛髪化粧料における[A]成分の配合量は特に限定されないが、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。[A]成分が上記範囲で配合されることによって、当該毛髪化粧料は毛髪に対してしっとり感を与えることができ、併せてやわらかさをバランス良く高いレベルに維持することができる。なお、[A]成分を2種以上組み合わせて用いる場合は、[A]成分全体の配合量を上記範囲とすればよい。
【0022】
([B]成分:メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム)
[B]成分は、アルキルトリメチルアンモニウムのメチル硫酸塩であり、これもカチオン界面活性剤の概念に含まれる。当該毛髪化粧料に[B]成分が配合されることで、カチオン界面活性剤である[A]成分と相俟って、当該毛髪化粧料による処理後の毛髪のしっとり感及びやわらかさを向上させることが可能となる。
【0023】
上記アルキルトリメチルアンモニウムのアルキル基としては、上記[A]成分に記載のものが挙げられる。[B]成分は、このようなアンモニウムとメチル硫酸とで塩を形成する。
【0024】
[B]成分の具体例としては、上記に代表される構造を有する限り特に限定されず、例えば、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ステアリルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸セチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。上記[B]成分は単独で配合されてもよく、二種以上を組み合わせて配合されてもよい。[B]成分の好適例としては、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0025】
当該毛髪化粧料中における[B]成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、0.05質量%以上4.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上4.0質量%以下であることがより好ましい。[B]成分の配合量を上記範囲に設定することで、当該毛髪化粧料による毛髪へのしっとり感及びやわらかさの付与を高いレベルで実現することができる。
【0026】
当該毛髪化粧料では、[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部以上90質量部以下である。上記配合比の好適な範囲は、20質量部以上60質量部以下である。[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比を上記範囲とすることにより、毛髪に対してやわらかさと共に、しっとり感をバランスよく良好に付与することができる。
【0027】
([C]成分:炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール)
[C]成分は、炭素数12以上24以下の炭化水素鎖を有する一価アルコールである。上記[C]成分としては、毛髪化粧料に用いられる公知のアルコールであれば特に限定されるものではなく、直鎖状アルコール、分枝状アルコール、不飽和アルコール等が挙げられる。[C]成分の具体例としては、例えば、セチルアルコール(セタノール)、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール等が挙げられ、このうちセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数が16以上22以下の直鎖状アルコールが好ましい。これらの[C]成分は、単独で用いてもよく、複数種類を併用(例えば、セチルアルコール及びベヘニルアルコール)してもよい。
【0028】
当該毛髪化粧料における[C]成分の配合量は特に限定されないが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。[C]成分の配合量を上記範囲とすることで、当該毛髪化粧料の乳化状態を良好にでき、特に毛髪のしっとり感を向上させることができる。
【0029】
([D]成分:水)
当該毛髪化粧料において、[D]成分は他の成分の分散媒であり、上記[A]成分〜[C]成分と共に[D]成分として水が配合されることにより、好適に水中油型エマルジョンが形成される。なお、他の成分の一部は水に溶解していてもよい。用いられる水の種類としては、このような水中油型エマルジョンを形成することが可能である限り特に限定されるものではないが、イオン交換水、蒸留水などの精製水を用いることができる。
【0030】
当該毛髪化粧料における[D]成分の使用量は特に限定されないが、60質量%以上97質量%以下であることが好ましい。当該毛髪化粧料における[D]成分の配合量を上記範囲とすることによって、安定した水中油型エマルジョン形態の毛髪化粧料が得られる。
【0031】
本発明に係る毛髪化粧料には、上記[A]〜[D]成分以外に、所望の特性を阻害しない範囲内において、以下の任意成分が適宜配合されていてもよい。
【0032】
([E]成分:ステロール誘導体)
当該毛髪化粧料へ、任意に[E]成分のステロール誘導体が配合されることによって、当該毛髪化粧料の毛髪へのしっとり感及びやわらかさの両方の付与をさらに高いレベルで実現することができる。
【0033】
[E]成分は、ステロール骨格を有し、かつ化粧料原料として公知の化合物であれば特に限定されない。好適なステロール誘導体としては、ステロール類と脂肪酸とのエステルが挙げられる。ステロール類としては、コレステロール、フィトステロールが好適であり、脂肪酸としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、マカデミアナッツ脂肪酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0034】
上記[E]成分の具体例としては、例えばラノリン脂肪酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等のコレステロール誘導体、ラノリン脂肪酸フィトステリル、ステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル等のフィトステロール誘導体が挙げられる。[E]成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
当該毛髪化粧料における[E]成分の配合量は特に限定されないが、0.005質量%以上5質量%以下が好ましい。[E]成分が上記範囲で適宜配合されることによって、当該毛髪化粧料は毛髪に対してしっとり感とやわらかさとを高いレベルで付与することができる。
【0036】
(他の任意成分)
当該毛髪化粧料には分散媒として上記[D]成分以外に、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(炭素数が2以上6以下のアルコール)等の有機溶媒を併用してもよい。この場合の有機溶媒の配合量としては、分散媒全量に対して5質量%以下とすればよい。
【0037】
当該毛髪化粧料には、界面活性剤としてノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤(上記[A]成分及び[B]成分を除く)、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が配合されていてもよい。さらに、当該毛髪化粧料には、毛髪の補修剤又は保湿剤として、多価アルコール、糖アルコール、アミノ酸、タンパク質誘導体、植物・海藻エキス、セラミド又はその誘導体、リン脂質誘導体等を配合することができる。その他、当該毛髪化粧料には、必要に応じて、紫外線防御剤、有機又は無機粉体、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、香料などを適宜配合することができる。例えば、防腐剤としては、フェノキシエタノールを配合することができる。
【0038】
(毛髪化粧料)
本発明の「毛髪化粧料」は、ヘアコンディショナーやヘアトリートメントとして、また化学処理前後に好適に用いられる。特に、化学処理による毛髪へのダメージの抑制ないし補修という観点から、化学処理前に用いることが好ましい。当該毛髪化粧料の使用時の剤型は、クリーム状、ワックス状、フォーム状及び乳液状のいずれであってもよい。当該毛髪化粧料のpHは使用態様や対象とする毛髪の状態に応じて適宜変更すればよいが、2以上7以下が好ましい。
【0039】
(毛髪化粧料の製造方法)
当該毛髪化粧料の製造方法としては、得られる毛髪化粧料において充分な乳化状態を達成することができる限り特に限定されず、[A]〜[C]成分及び必要に応じて[E]成分等の他の成分と[D]成分とを合わせ、充分攪拌するという手順を採用することができる。この際、要求される作業効率等を考慮して、攪拌系内を加温してもよい。
【0040】
(毛髪化粧料の使用方法)
本発明に係る毛髪化粧料の使用態様は特に限定されないものの、例えば以下に挙げるような方法で用いることができる。当該毛髪化粧料を例えばヘアコンディショナーとして用いる場合は、毛髪に当該毛髪化粧料を塗布し、必要に応じて所定時間その状態を維持した後、洗い流して使用することができる。また、化学処理前に用いる場合は、当該毛髪化粧料を毛髪に塗布し、洗い流すことなく化学処理剤を塗布し、適切な時間放置した後、洗い流して使用してもよく、毛髪への塗布後に洗い流してから化学処理剤を塗布するようにしてもよい。化学処理後に用いる場合は、ヘアコンディショナーに準ずる方法で使用することができる。
【0041】
なお、化学処理剤とはパーマネントウェーブ又は縮毛矯正剤第1剤および酸化型染毛剤であって、パーマネントウェーブ又は縮毛矯正剤については2剤式でも1剤式でもよい。
【0042】
上述のように、本発明に係る毛髪化粧料は、上記[A]〜[D]成分を含むと共に、[A]成分と[B]成分との比を特定範囲とすることにより、また、適宜選定した任意成分を適宜含むことによって、毛髪に対して高いレベルでしっとり感及びやわらかさの両方を付与することができる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお特に示さない限り、実施例における毛髪化粧料原料の数値は表を含め「質量%」である。
【0044】
(毛髪化粧料の調製)
[実施例1]
[A]成分として塩化ステアリルトリメチルアンモニウム1.0質量%及び臭化セチルトリメチルアンモニウム0.8質量%、[B]成分としてメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム0.7質量%、[C]成分としてセタノール(セチルアルコール)6.0質量%、その他、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット2.0質量%、キレート剤としてヒドロキシエタンジホスホン酸0.1質量%、防腐剤としてフェノキシエタノール0.3質量%、香料0.1質量%、及び[D]成分の水を残部として、これらを充分攪拌することにより水中油型エマルジョン形態のクリーム状毛髪化粧料を調製した。
【0045】
[実施例2〜5、比較例1〜4]
これらの例においても、表1に記載されているとおり成分及び量を変更した以外は実施例1と同様にして、毛髪化粧料の調製を行った。
【0046】
(毛髪化粧料の特性評価)
〔しっとり感及びやわらかさの評価〕
同一人物から採取した毛束(長さ20cm、重さ1.5g)を準備し、10%ラウレス硫酸Na水溶液で洗浄した。洗浄した毛束に実施例1〜5及び比較例1〜4の毛髪化粧料1.0gを塗布し、洗い流した後、乾燥させた。このときの毛束のしっとり感とやわらかさについて、以下の評価基準で専門の評価者5名が評点した。結果を表に示す。
(しっとり感及びやわらかさの評価基準)
優れている・・・ 2点
よい ・・・ 1点
普通 ・・・ 0点
悪い ・・・−1点
【0047】
〔剛性率の評価〕
毛髪のやわらかさの指標として剛性率を以下の手順で測定した。まず、毛髪化粧料による処理後の上記の毛束から毛髪をランダムに採取し、長さ2cmの測定サンプルをそれぞれ作製した。これらの測定サンプルについて、ねじり回転速度120°/秒、ねじり回転数±3回転の条件でねじり応力を測定した。このねじり応力は、カトーテック社製のトルク感知式ねじり測定装置「KES−YN−1」を用いて測定した。下記式に基づき、得られたねじり応力の値と、毛髪径測定により得られた断面二次極モーメントの値から剛性率を求めた。なお、ねじり角θは2πとして求めた。また、測定は全て25℃、50%RHで行った。剛性率の値が小さい方がやわらかいといえる。結果を表に示す。
剛性率G=(B×L)/(θ×Ip)
(式中、Bはねじり応力であり、Lは毛髪サンプル長さであり、Ipは断面二次極モーメントであり、θはねじり角である。)
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示された結果から明らかなように、実施例1〜5に係る毛髪化粧料により処理した毛髪では、高いレベルでのしっとり感及びやわらかさを実現することができた。また、実施例1〜5に係る毛髪化粧料では、やわらかさの指標である剛性率も比較例に対して小さく、毛髪のやわらかさに優れる結果となった。一方、[B]成分が配合されていない比較例1及び比較例4、[A]成分と[B]成分との配合比が本発明に規定の範囲から外れる比較例2及び比較例3では、しっとり感及びやわらさかのいずれも劣る結果となった。なお、ステロール誘導体であるマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルが配合された実施例4の毛髪化粧料では、実施例1の毛髪化粧料と比べてしっとり感及びやわらかさに優れる結果となった。
【0050】
[実施例6]
表2に示す処方で毛髪化粧料を実施例1と同様に調製した。
【表2】

【0051】
上記で調製した毛髪化粧料を縮毛矯正の前処理剤として用いた。縮毛矯正の手順は以下のとおりである。縮毛矯正剤としてはミルボン社製「リシオノチュールSH」(商品名)第1剤および第2剤を用いた。まず、実施例6の毛髪化粧料40gを毛髪のダメージが大きい毛先部分などを中心に塗布する。その後、洗い流すことなく第1剤120gを塗布する。10分程度放置したのち、毛髪が適切に軟化されていることを確認した後に十分洗い流す(中間水洗)。その後毛髪を乾燥させ、180度に設定したヘアー用ストレートアイロンによる施術を行う。その後、第2剤を塗布し5分程度放置した後に洗い流し、ミルボン社製「ディーセス ノイ ウィローリュクスへアートリートメント」(商品名)を6g塗布して、洗い流し乾燥させて仕上げた。仕上げ後の毛髪はしっとり感もやわらかさも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明の毛髪化粧料は、毛髪に対してしっとり感及びやわらかさを良好に付与することができることから、特に縮毛矯正を行う際の前処理剤としても好適に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、
[B]メチル硫酸アルキルトリメチルアンモニウム、
[C]炭素数12以上24以下の脂肪族アルコール、及び
[D]水
が配合されており、
[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、5質量部以上90質量部以下である毛髪化粧料。
【請求項2】
[A]成分として、塩化アルキルトリメチルアンモニウムと臭化アルキルトリメチルアンモニウムとが配合される請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
[B]成分として、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが配合される請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
[E]ステロール誘導体がさらに配合される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
[A]成分100質量部に対する[B]成分の配合比が、20質量部以上60質量部以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。



【公開番号】特開2011−173871(P2011−173871A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14191(P2011−14191)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】