説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪に対して優れたコンディショニング性・カールヘアをつくるうえで必要な優れたセット性・キープ力を有し、さらに、再整髪が容易にできる毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】次の成分(A)〜(E)を含有する毛髪化粧料。
(A)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体
(B)酸化アルキレン付加重合体
(C)ポリエーテル変性シリコーン
(D)アミンオキシド基含有共重合体
(E)植物由来タンパク質

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関するものであり、より詳しくは、毛髪に対して優れたコンディショニング性、カールヘアをつくる上で必要な優れたセット性・キープ力を有し、再整髪が容易にできる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルは、時代によって様々な流行がある。近年は、「ナチュラル」「浮き」「透け」といった言葉をキーワードにした、ゆるやかなウェーブヘアやストレートヘアが流行している。そして、その浮き・透け感を出すために、髪色を明るくして軽く見せるヘアカラーが日常的に施術されるようになった。さらには、ゆるやかなウェーブヘアのためにパーマ・カーラー・ホットカーラーやアイロンを日常的に用いることとなった。そのため多くの女性は毛髪のダメージに悩まされており、さらには思い通りのヘアスタイルにセットできない、またセットしたスタイルが長時間持続しない、再整髪ができないといった問題を抱えている。
【0003】
従って、これまでにもセット力を付与する樹脂とその他の成分の組み合わせでコンディショニング効果やウェーブのキープ力を期待する毛髪化粧料の開発がなされてきたが、コンディショニング成分を配合すると、コンディショニング成分の影響によって、樹脂が可塑効果を受け、ウェーブのキープ力が十分得られなくなるという問題があった。また、キープ力を向上させようとすると、大量に配合した樹脂の影響によって、髪にごわつきや樹脂感を感じ、コンディショニング効果において満足できなくなった。さらに、キープ力を付与する樹脂は、その特性として高い皮膜形成能があるため、その樹脂を配合した毛髪化粧料でつくったヘアスタイルは、外的要因によって一度崩れてしまうと戻らないという問題があり、再整髪性に優れたスタイリング剤が必要とされている。再整髪性があるスタイリング剤としてワックスがあるが、製剤中に配合されている油分などによる重みやべたつきがあるため、近年のトレンドにあるヘアスタイルをつくるのに適していない。
【0004】
これまでに開発されたセット性やキープ力を併せ持つ樹脂として、アミンオキシド基含有樹脂(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)がある。さらに、このアミンオキシド基含有樹脂を応用した例として、アミンオキシド基含有樹脂とシリコーン化合物と組合せることによって、キープ力、セット性、コンディショニング効果に優れた毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照)、アミンオキシド基含有樹脂と多価アルコールなどの複数のOH基を有する化合物を組み合わせて、セット性やキープ力に優れた化粧料(例えば、特許文献4参照)、アミンオキシド基含有樹脂と酸化プロピレン共重合体を含む化合物を組み合わせて、セット性・コンディショニング効果のある毛髪化粧料(例えば、特許文献5参照)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3520674号明細書
【特許文献2】特開2001−310915号公報
【特許文献3】特開2000−336018号公報
【特許文献4】特開2000−327522号公報
【特許文献5】特開2007−31307号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】The Cosmetic Toiletry and Fragrance Association発行,「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook 第9版」2002年,volume1,p.31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの方法によりアミンオキシド基含有樹脂とシリコーンや多価アルコール、酸化プロピレン共重合体を組み合わせた場合、高いコンディショニング性等を付与することは出来るが、カーラー、ホットカーラーやアイロンを用いてウェーブをつくり、そのウェーブをキープし、外的要因により崩れたヘアスタイルを再整髪できる毛髪化粧料はなかった。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、毛髪に対して優れたコンディショニング性・カールヘアをつくるうえで必要な優れたセット性・キープ力を有し、さらに、再整髪が容易にできる毛髪化粧料を提供することを課題とする。従って本発明では、これまで問題のあったセット性やキープ力とコンディショニング性の両立という点が課題であり、さらに、再整髪できるという点が課題である。具体的には、毛髪に対してコンディショニング性に優れていながら、パーマもしくはカーラーやホットカーラーを用いて作ったウェーブに対するセット性、キープ力が優れていて、さらに、スタイルの再整髪性にも優れている毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記事情に鑑み鋭意研究した結果、アミンオキシド基含有樹脂、酸化アルキレン付加重合体、ポリエーテル変性シリコーン及び植物由来タンパク質の三成分を含有する組成物に、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体を組み合せた毛髪化粧料が、前記三成分系にポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体等の他の皮膜形成性ポリマーを配合した場合に比べて顕著に優れたコンディショニング性、セット性、キープ力、再整髪性を奏することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、(A)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体、(B)酸化アルキレン付加重合体、(C)ポリエーテル変性シリコーン、(D)アミンオキシド基含有樹脂、(E)植物由来タンパク質を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪に対して優れたコンディショニング性を有し、カールヘアをつくる上で必要な優れたセット性・キープ力を有し、さらに、再整髪が容易にできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0012】
本発明の(A)成分である、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体は、ノニオン性のヘアケア用ポリマーであり、市販されている原料を使用することができる。具体的には、BASF社製のルビセットClear等が挙げられる。
【0013】
本発明における(A)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜4質量%(以下、単に「%」と記する)であり、より好ましくは0.05〜3%、特に好ましくは0.05〜2%である。これら範囲内であれば、セット性・キープ力においてより望ましい効果が得られる。
【0014】
本発明の(B)成分である、酸化アルキレン付加重合体は、下記一般式(I)で表されるものを使用する。
【0015】
【化1】

(式中、R1及びR2は水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示し、m及びnは0以上の整数であり、m+nは20以上である)
【0016】
一般式(I)中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示すが、水素原子、C1-24直鎖又は分岐鎖アルキル基、C1-24直鎖又は分岐鎖アルケニル基、ヒドロキシ−C1-24−直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。R1及びR2のうち、いずれか一方又は両方が炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であるのが好ましい。m及びnはそれぞれ0以上の整数であるが、R1及びR2がともに水素原子の場合は、n=0で、mが20以上であるのが好ましい。また、m≧nであるのがセット状及びまとまり感の点で好ましい。また、特にm及びnがいずれも1以上の場合が特に好ましい。m+nは20以上であるが、セット性及びまとまり感の点で20〜200が好ましく、さらに30〜200が好ましく、特に30〜150が好ましい。
【0017】
(A)成分の具体例としては、例えばポリプロピレングリコール(付加モル数20以上);ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール,ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(35)グリコール,ポリオキシエチレン(6)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(55)グリコール,ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(65)グリコール、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(35)グリコール、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(65)グリコール、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(55)グリコール、ポリオキシエチレン(19)ポリオキシプロピレン(21)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(60)グリコール、ポリオキシエチレン(22)ポリオキシプロピレン(25)グリコール、ポリオキシエチレン(26)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン(30)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(33)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(52)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)オレイルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)リシノイルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)イソセチルエーテル等のポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(35)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(40)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジアルキルエーテルが挙げられる。
【0018】
本発明で使用される上記の酸化アルキレン付加重合体は市販されており、例えば旭電化(株)から販売されているアデカプルロニックLシリーズ、三洋化成工業(株)から販売されているニューポールPEシリーズ、日本油脂(株)から販売されているユニルーブ10MSシリーズやユニセーフシリーズ、ユニルーブ50MBシリーズ、東邦化学(株)から販売されているベポールシリーズ、NOFアメリカ社から販売されているマクビオブライドEシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0019】
本発明において(B)成分は、上記一般式(I)で表されるものから1種又は2種以上を適宜選択して用いることができ、その含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.05〜5%であり、特に好ましくは0.1〜5%である。これらの範囲内であれば、セット性・キープ力においてより望ましい効果が得られる。
【0020】
本発明の(C)成分であるポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体であるポリ(オキシエチレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル基の結合様式により、ポリエーテル基を側鎖に有するペンダント型ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテルとシリコーンが交互に結合したブッロク共重合タイプのABn型ポリエーテル変性シリコーン、シリコーンの片末端又は両末端にポリエーテルを有する末端ポリエーテル変性シリコーン等に分けられるが、本発明では特にペンダント型ポリエーテル変性シリコーンが好ましく用いられる。
【0021】
本発明では(C)成分として、市販されている原料を使用することができ、例えば、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体としては信越化学工業社製のKF−351A、KF−353A、KF−354A、KF−355A、KF−945A等があり、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体としては信越化学工業社製のKF−625A等が、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体としては信越化学工業社製のKF−352A,KF−615A等が挙げられ、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては信越化学工業社製のKF−6011、KF−6015、東レ・ダウコーニング社製のSS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SF3775M、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、XF42−B5370等があり、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては信越化学工業社製のKF−6012、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4452、XF42−B5371等が、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体としてはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4460等が挙げられ、そしてポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体であるポリ(オキシエチレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、東レ・ダウコーニング社製のFZ2222、FZ2250、FZ2231、FZ2233等が挙げられる。
【0022】
本発明において(C)成分は、上記の各種のものから1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。(C)成分の含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として、0.01〜10%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5%である。これらの範囲であれば、コンディショニング性を付与する点において、より優れるだけでなく、他の成分との組み合わせにより、より優れたセット性が付与できる。
【0023】
本発明の(D)成分であるアミンオキシド基含有樹脂は、アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であり、構造中にアミンオキシド基を含有するものである。ここでアクリル酸長鎖アルキルエステルとしては、アクリル酸の炭素数6〜24のアルキルエステルが挙げられ、具体的にはヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート等が挙げられる。このうち、アクリル酸の炭素数8〜20のアルキルエステル、特にラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレートが好ましい。また、メタクリル酸アルキルアミンオキシドとしては、メタクリル酸C1-6アルキルアミンオキシドが好ましく、特にメタクリル酸エチルアミンオキシドが好ましい。
【0024】
(D)成分の例としては、Acrylates/LaurylAcrylate/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer、Acrylates/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer、Acrylates/LaurylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer等が挙げられ、これらの中でも、Acrylates/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymerが特に好適に使用される。これらのアミンオキシド基含有樹脂は、The Cosmetic Toiletry and Fragrance Association発行の「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。
【0025】
本発明で使用される上記のアミンオキシド基含樹脂は市販されており、例えば、三菱化学社製のダイヤフォーマーZ711、ダイヤフォーマーZ712、ダイヤフォーマーZ631、ダイヤフォーマーZ732、ダイヤフォーマーZ651、ダイヤフォーマーZ731、ダイヤフォーマーZ751等が挙げられる。
【0026】
本発明において(D)成分は、上記の各種のものから1種又は2種以上を適宜選択して用いることができ、その含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として、0.1〜10%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5%である。これらの範囲であれば所望のセット性およびそのキープ力が付与できる。
【0027】
本発明の(E)成分である植物由来タンパク質としては、具体的には、マメ科植物、小麦、トウモロコシ等の植物から得られるタンパク質やその加水分解物を使用することができる。マメ科植物としては、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、ライマメ、エンドウ、ベニバナインゲン、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ、イナゴマメ、ラッカセイ、クラスタマメ、ナタマメ、キマメ等の植物が挙げられ、その産地や品種等は特に限定されない。本発明では、特にダイズ、インゲンマメ、エンドウから抽出されたタンパク質が好ましく用いられる。また、植物からのタンパク質調製のための処理方法や抽出方法、誘導体化処理法については限定されず、公知のいずれの方法も採用することができる。
【0028】
本発明では植物由来タンパク質として、加水分解されたタンパク質が好ましく用いられる。具体的には、加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解コメタンパク、加水分解エンドウタンパクなどが例示でき、中でも加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパクが好ましく用いられる。加水分解は、酸、アルカリ又は酵素によるいずれの方法を用いてもよい。本発明では、平均分子量300〜2000の植物由来タンパク質加水分解物が好ましく、特に平均分子量300〜1000の植物由来タンパク質加水分解物が好ましく用いられる。これらの範囲であれば毛髪に対してトリートメント効果の付与に優れている。
【0029】
植物由来タンパク質の加水分解物は市販されており、例えば成和化成社から販売されているプロモイスシリーズ、その他を使用することができる。
【0030】
(E)成分の含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.001〜10%が好ましく、特に好ましくは0.01〜5%である。これらの範囲とすると、毛髪にごわつきを与えることなく、より優れたコンディショニング効果を付与することができる。
【0031】
本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加え、必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種毛髪栄養剤、香料、植物エキス等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0032】
配合できる成分の具体例を示せば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパルミ、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸時パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【0033】
本発明の毛髪化粧料は、スタイリング、トリートメント等の目的で使用するのが好ましく、その形態としてはヘアミスト、ヘアローション、ヘアジェル、ヘアミルク、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム、ヘアスプレー等とすることができる。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、実施例における配合量は全て質量%である。
【0035】
表1に示す処方の毛髪化粧料を常法に従って製造し、以下の官能評価を実施した。結果を表1に併せて示す。
【0036】
(官能試験)
20名の専門パネルを対象に表1の実施例及び比較例の毛髪化粧料を使用してもらい、「コンディショニング性」「セット性」「キープ力」「再整髪性」について官能評価を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
【0037】
<判定基準>
・コンディショニング性
◎:非常に良好〔良いと答えたパネルが16名以上〕
○:良好〔良いと答えたパネルが12名以上16名未満〕
△:やや悪い〔良いと答えたパネルが8名以上12名未満〕
×:悪い〔良いと答えたパネルが8名未満〕
【0038】
・セット性
◎:非常に良好〔良いと答えたパネルが16名以上〕
○:良好〔良いと答えたパネルが12名以上16名未満〕
△:やや悪い〔良いと答えたパネルが8名以上12名未満〕
×:悪い〔良いと答えたパネルが8名未満〕
【0039】
・キープ力
◎:非常に良好〔良いと答えたパネルが16名以上〕
○:良好〔良いと答えたパネルが12名以上16名未満〕
△:やや悪い〔良いと答えたパネルが8名以上12名未満〕
×:悪い〔良いと答えたパネルが8名未満〕
【0040】
・再整髪性
◎:非常に良好〔良いと答えたパネルが16名以上〕
○:良好〔良いと答えたパネルが12名以上16名未満〕
△:やや悪い〔良いと答えたパネルが8名以上12名未満〕
×:悪い〔良いと答えたパネルが8名未満〕
【0041】
実施例及び比較例
【0042】
【表1】

【0043】
表1から明らかなように、本発明の毛髪化粧料は、比較例と比べて明らかにカールヘアをつくるうえで必要な優れたコンディショニング性・セット性・キープ力、さらに、再整髪性の全ての官能性において優れていた。一方、本発明の必須成分を1つでも欠く比較例の毛髪化粧料は、前記官能性のいずれかが劣っていた。
特にビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体に代えて、被膜成形性ポリマーとして知られているポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体を配合した場合には、本発明の効果を奏さなかった(比較例2〜4)。また、m+nが20以上の酸化アルキレン付加重合体に代えて、m+nが20未満のポリエチレングリコールを配合した場合には、十分なセット性及び再整髪性が得られなかった(比較例6)。
【0044】
以下、本発明の毛髪化粧料について、その他の処方例を実施例として挙げる。なお、これら実施例の毛髪化粧料についても、上記官能性に関する試験を行ったところ、いずれも良好であった。
【0045】
実施例5
下記処方のセットローションを下記製法に従って製造した。
(1)アミンオキシド基含有樹脂 3.0(質量%、以下同じ)
(ダイヤフォーマーZ732;三菱化学社製、樹脂分40%)
(2)POP(1)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 0.8
(アミゼット1PC;川研ファインケミカル社製)
(3)ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(KF−6011;信越化学工業社製、純分35%)
(4)ツバキ抽出物 0.1
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.) 0.5
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.3
(7)酸化アルキレン付加重合体 0.3
(ユニセーフ20P8;日本油脂社製)
(8)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体 0.1
(ルビセット Clear;BASF社製)
(9)エデト酸二ナトリウム 0.1
(10)加水分解コムギタンパク 0.2
(GLUADIN WLM;コグニスジャパン社製)
(11)95度エタノール 15.0
(12)精製水 残 部
・製法
(11)〜(12)を均一に混合し、(1)〜(10)を加え均一に混合し、組成物を得た。
【0046】
実施例6
下記処方のスタイリングブローウォーターを下記製法に従って製造した。
(1)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0(質量%、以下同じ)
(レボンTM−18;三洋化成社製)
(2)ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(SS−2804;東レ・ダウコーニング社製)
(3)酸化アルキレン重合体 4.0
(ユニルーブMB−370;日油社製)
(4)ビニルピロリドン・メタアクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体 0.5
(ルビセット Clear;BASF社製)
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.) 0.5
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.3
(7)ポリオキシエチレンホホバ油 0.1
(PEG−80JOJOBA;フローラテック社製)
(8)パンテノール 0.2
(9)加水分解ダイズタンパク 0.2
(プロモイスWS;成和化成社製)
(10)香料 適 量
(11)アミンオキシド基含有樹脂 3.0
(ダイヤフォーマーZ732;三菱化学社製、樹脂分40%)
(12)95度エタノール 15.0
(13)精製水 残 部
・製法
(12)〜(13)を均一に混合し、(1)〜(11)を加え均一に混合し、組成物を得た。
【0047】
実施例7
下記処方のトリートメントウォーター(ウェーブタイプ)を下記製法に従って製造した。
(1)アミンオキシド基含有樹脂 1.0(質量%、以下同じ)
(ダイヤフォーマーZ732;三菱化学社製)
(2)塩化セチルトリメチルアンモニウム 1.0
(レボンTM−16;三洋化成社製)
(3)ポリエーテル変性シリコーン 0.3
(SS−2802;東レ・ダウコーニング社製)
(4)酸化アルキレン重合体 1.0
(ユニルーブ50MB−11;日油社製)
(5)ポリオキシエチレンホホバ油 0.2
(PEG−120JOJOBA;フローラテック社製)
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.) 0.2
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
(8)フェノキシエタノール 0.3
(9)カチオン化ハチミツ誘導体 0.1
(ハニーコート50;ARCH社製)
(10)加水分解シルク 0.2
(11)加水分解ダイズタンパク 0.2
(プロモイスWS;成和化成社製)
(12)ハチミツ 0.2
(13)ビニルピロリドン・メタアクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体 0.5
(ルビセット Clear;BASF社製)
(14)95度エタノール 5.0
(15)精製水 残 部
・製法
(14)〜(15)を均一に混合し、(1)〜(13)を加え均一に混合し、組成物を得た。
【0048】
実施例8
下記処方のトリートメントウォーター(さらさらタイプ)を下記製法に従って製造した。
(1)アミンオキシド基含有樹脂 3.0(質量%、以下同じ)
(ダイヤフォーマーZ732;三菱化学社製)
(2)酸化アルキレン付加重合体 1.0
(ユニルーブ50MB−168;日油社製)
(3)酸化アルキレン重合体 1.0
(ユニルーブMB−38;日油社製)
(4)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体 0.5
(ルビセット Clear;BASF社製)
(5)ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(シリコーンKF−351;信越化学工業社製)
(6)1,3−ブチレングリコール 15.0
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.5
(8)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.1
(ユビナールAプラス;BASF社製)
(9)ユキノシタエキス 0.2
(10)加水分解ダイズタンパク 0.2
(プロモイスWS;成和化成社製)
(11)アラニン 0.001
(12)95度エタノール 20.0
(13)精製水 残 部
・製法
(12)〜(13)を均一に混合し、(1)〜(11)を加え均一に混合し、組成物を得た。
【0049】
上記実施例で用いた香料は下記のものである。
【0050】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0051】
以上詳述したように、本発明は、毛髪に対して優れたコンディショニング性を有し、カールヘアをつくるうえで必要な優れたセット性・キープ力を有する。さらに、再整髪が容易にできる毛髪化粧料を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E)を含有する毛髪化粧料。
(A)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体
(B)酸化アルキレン付加重合体
(C)ポリエーテル変性シリコーン
(D)アミンオキシド基含有共重合体
(E)植物由来タンパク質
【請求項2】
(E)植物由来タンパク質が、植物に由来するタンパク質の加水分解物である請求項1に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−246360(P2011−246360A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118716(P2010−118716)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】