説明

毛髪化粧料

【課題】ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつきや熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりがべたつかず、潤い感とまとまり感を付与でき、適度なセット性を有し、さらには洗浄性にも優れた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であるアミンオキシド基含有樹脂と、(B)下記一般式(I):


(式(I)中、R1及びR2は水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示し、m及びnは0以上の整数であり、m+nは20以上である)で示される酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上と、(C)カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関し、詳しくは、ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつき、熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりにべたつかず、潤い感とまとまり感を付与し、適度なセット性に優れ、さらには洗浄性にも優れた毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアスタイルの変遷に伴い、柔らかなウェーブや内巻き、外巻きカールなどのフェミニンな髪形が増加する傾向にあるが、そのセットには作り込みすぎない剤が望まれている。一方でパーマ、ブリーチ、ヘアカラーなどの化学処理を実施する消費者が増加したことから、毛髪が損傷し、髪がまとまらない、指通りが悪い、パサつく、ごわつくなどの髪の悩みを抱えている消費者が増加している。さらには、日々の美容行為である、ヘアアイロン、ヘアドライヤーによる整髪行為からも、熱による損傷を毛髪に対し与えており、さらに毛髪の損傷を深刻なものにしている。したがって、ヘアブローなどの美容行為において、ダメージを与えず、さらには、作り込みすぎない適度なセット性を持った、柔らかなウェーブや内巻き、外巻きカールを提供することができる毛髪化粧料が要求されている。
【0003】
柔らかなウェーブや内巻き、外巻きカールにセットする製剤としては、ヘアミスト、ヘアローション、ヘアジェル、ヘアミルク、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム、ヘアスプレーなどが挙げられる。これらの製剤には、カール、ウェーブのセット性向上のために、皮膜形成樹脂や高融点のワックス成分が配合されることが多く、さらに指通り性の向上のため、カチオン活性剤や種々のシリコーンやシリコーン誘導体が併用されることが多い。
【0004】
中でも、ヘアアイロンやホットカーラーを用いてウェーブを作成する場合に使用される毛髪化粧料には、柔軟性を持つ樹脂が使われている。例えば、アミンオキシド基含有樹脂を含有する毛髪化粧料(特許文献1)が報告されており、熱を与えてセットするウェーブ用として熱による毛髪損傷防止、セット性、セット保持力に優れていることが示されている。また、毛髪固定用樹脂と毛髪水分浸透性物質と水とを含有する毛髪用化粧料(特許文献2)が報告されており、寝ぐせ等の形状を直して整髪でき、ヘアスタイルを長時間保持できることが示されている。
【0005】
しかしながら、従来の毛髪化粧料では、セット性、セット保持力に優れているものの、ブロー時の櫛通り性、ぱさつき改善、熱からの損傷を防止する効果の付与に満足する効果が得られず、使用者が感じる潤い感やまとまり感が乏しくなることもあった。
【0006】
また、毛髪への櫛通り性、使用後のまとまりやすさを付与するために、カチオン性界面活性剤、多価アルコール、シリコーン化ペプチド、ポリシロキサン化合物共重合体と高重合シリコーンを配合する毛髪化粧料(特許文献3)が知られているが、毛髪のセット性、潤い感を付与するという面では満足いかないものであった。
【0007】
さらに、皮膜形成樹脂にシリコーンやシリコーン誘導体を単純に組み合わせただけでは、まとまり、ツヤを与える効果はあるものの、塗布後の手触りで潤い感、洗浄性において満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−232117号公報
【特許文献2】特開2002−020239号公報
【特許文献3】特開2006−028113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情において、本発明の課題は、皮膜形成樹脂にシリコーンやシリコーン誘導体を単純に組み合わせただけでは得られない、ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつきや熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりがべたつかず、潤い感とまとまり感を付与でき、適度なセット性を有し、さらには洗浄性にも優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記事情に鑑み鋭意研究した結果、アミンオキシド基を含有する特定樹脂と特定構造を有する酸化アルキレン付加重合体とカチオン性ポリマーを組合わせることで、ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつきや熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりがべたつかず、潤い感とまとまり感を付与でき、適度なセット性を有し、さらには洗浄性にも優れる毛髪化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であるアミンオキシド基含有樹脂と、(B)下記一般式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R1及びR2は水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示し、m及びnは0以上の整数であり、m+nは20以上である。)で示される酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上と、(C)カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の毛髪化粧料は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることで、ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつきや熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりがべたつかず、潤い感とまとまり感を付与でき、適度なセット性を有し、さらには洗浄性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0016】
本発明の(A)成分であるアクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であるアミンオキシド基含有樹脂は、アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であり、構造中にアミンオキシド基を含有するものである。ここでアクリル酸長鎖アルキルエステルとしては、アクリル酸の炭素数6〜24のアルキルエステルが挙げられ、具体的にはヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート等が挙げられる。このうち、アクリル酸の炭素数8〜20のアルキルエステル、特にラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレートが好ましい。また、メタクリル酸アルキルアミンオキシドとしては、メタクリル酸C1-6アルキルアミンオキシドが好ましく、特にメタクリル酸エチルアミンオキシドが好ましい。
【0017】
(A)成分としては、具体的には、Acrylates/LaurylAcrylate/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer、Acrylates/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer、Acrylates/LaurylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer等が挙げられ、これらの中でも、Acrylates/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymerが特に好適に使用される。これらのアミンオキシド基含有樹脂は、The Cosmetic Toiletry and Fragrance Association発行の「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。
【0018】
本発明で使用される上記のアミンオキシド基含有樹脂は市販されており、例えば、三菱化学社製のダイヤフォーマーZ−711、ダイヤフォーマーZ−712、ダイヤフォーマーZ−631、ダイヤフォーマーZ−632、ダイヤフォーマーZ−651、ダイヤフォーマーZ−731、ダイヤフォーマーZ−732、ダイヤフォーマーZ−751等を用いることができる。
【0019】
(A)成分の含有量は、毛髪のまとまり感、セット性の観点から、毛髪化粧料の総量を基準として0.001〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜4質量%であり、特に好ましくは0.3〜4質量%である。これらの範囲内にあれば、より適度な毛髪のまとまり感とセット性が付与される。
【0020】
本発明の(B)成分は、上記一般式(I)で表される酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上である。一般式(I)中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示すが、水素原子、C1-24直鎖又は分岐鎖アルキル基、C1-24直鎖又は分岐鎖アルケニル基、ヒドロキシ−C1-24−直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。R1及びR2のうち、いずれか一方又は両方が炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であるのが好ましい。m及びnはそれぞれ0以上の整数であるが、R1及びR2がともに水素原子の場合は、n=0で、mが20以上であるのが好ましい。また、m≧nであるのがセット状及びまとまり感の点で好ましい。また、特にm及びnがいずれも1以上の場合が特に好ましい。m+nは20以上であるが、セット性及びまとまり感の点で20〜200が好ましく、さらに30〜200が好ましく、特に30〜150が好ましい。
【0021】
(B)成分の具体例としては、例えばポリプロピレングリコール(付加モル数20以上);ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール,ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(35)グリコール,ポリオキシエチレン(6)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(55)グリコール,ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(65)グリコール、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(35)グリコール、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(65)グリコール、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(55)グリコール、ポリオキシエチレン(19)ポリオキシプロピレン(21)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(60)グリコール、ポリオキシエチレン(22)ポリオキシプロピレン(25)グリコール、ポリオキシエチレン(26)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン(30)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(33)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(52)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)オレイルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)リシノイルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)イソセチルエーテル等のポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(35)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(40)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジアルキルエーテルが挙げられる。
【0022】
本発明で使用される上記の酸化アルキレン付加重合体は市販されており、例えば旭電化(株)から販売されているアデカプルロニックLシリーズ、三洋化成工業(株)から販売されているニューポールPEシリーズ、日本油脂(株)から販売されているユニルーブ10MSシリーズやユニセーフシリーズ、ユニルーブ50MBシリーズ、東邦化学(株)から販売されているベポールシリーズ、NOFアメリカ社から販売されているマクビオブライドEシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0023】
(B)成分の含有量は、毛髪のまとまり感の観点から、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜5質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.3〜2質量%である。また一般式(I)において、m+nが30以上、且つm≧nであるものは、特に良好なセット性とまとまり感を付与する効果に優れる。
【0024】
本発明の(C)成分であるカチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化フェヌグリークガム誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、カチオン化タラガム誘導体、カチオン化ローカストビーンガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体、ジアリル四級アンモニウム塩/ビニルポリピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体等が挙げられる。本発明では、櫛通りの点から、ジアリル四級アンモニウム塩/ビニルポリピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体等のビニルイミダゾール基を有する四級カチオン化ポリマーが好ましく用いられる。
【0025】
本発明で使用される上記のカチオン性ポリマーは市販されており、例えば、NALCO社から販売されているマーコートシリーズ、BASF社のルビカットシリーズ、IPS社のガフクァットシリーズ、アマーコール社のUcareポリマーJR及び同LRシリーズ、花王社のポイズシリーズ、ローディア社のジャガーシリーズ、東邦化学社のカチナールシリーズ等を使用することができる。
【0026】
(C)成分の含有量は、櫛通りの観点から、毛髪化粧料の総量を基準として0.0001〜4質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.001〜3質量%、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
【0027】
また、(A)成分と(C)成分の含有量に関して、質量比で(A)/(C)を20以上とすると、毛髪のまとまり感やセット性において、より優れた効果が付与される。さらに好ましい(A)/(C)は、20〜300であり、特に好ましくは30〜100である。
【0028】
本発明では、さらに(D)成分として植物由来タンパク質を含有させることにより、毛髪に対してべたつきを与えずに潤い感を付与することができる。具体的には、マメ科植物や小麦等の植物から得られるタンパク質やその加水分解物を使用することができる。本発明では植物由来タンパク質として、加水分解されたタンパク質が好ましく用いられる。また植物由来タンパク質として、タンパク質や加水分解タンパク質をカチオン化、アシル化、シリル化等により処理したタンパク質の誘導体等を使用することも可能である。植物からのタンパク質調製のための処理方法や抽出方法、誘導体化処理法については限定されず、公知のいずれの方法も採用することができる。
【0029】
マメ科植物としては、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、ライマメ、エンドウ、ベニバナインゲン、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ、イナゴマメ、ラッカセイ、クラスタマメ、ナタマメ、キマメ等の植物が挙げられ、その産地や品種等は特に限定されない。本発明では、特にダイズ、インゲンマメ、エンドウから抽出されたタンパク質を用いると毛髪への潤い感の付与に加え、櫛通り性にも優れるため好ましい。
【0030】
植物由来タンパク質は市販されており、例えば成和化成社から販売されているプロモイスシリーズ、その他を使用することができる。
【0031】
(D)成分の含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.001〜1質量%、特に0.01〜1質量%の範囲とすると、毛髪への潤い感の付与により好ましい効果が得られる。
【0032】
本発明では、さらに(E)成分としてパントテニルアルコールを含有させることで、潤い感と共により優れた損傷防止効果を付与することができる。パントテニルアルコールは、パンテノールとも称され、D−パントテニルアルコールやL−パントテニルアルコール、又はこれらの混合体を使用することができる。例えばBASF社から市販されている原料であるPanthenol(USP)を使用することができる。
【0033】
(E)成分の含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.1〜3質量%、特に0.1〜2質量%の範囲とすると、毛髪への潤い感の付与と損傷防止により優れるため好ましい。
【0034】
一般に、毛髪化粧料では、櫛通り性向上やぱさつきを抑える目的でポリエーテル変性シリコーンを配合することが多い。しかしながら、本発明の(A)〜(C)の特定成分を組合わせる系では、逆に、毛髪にぱさつき感を与えたり、毛髪化粧料のセット性を損なうといった悪影響が出てしまう場合があった。そこで、そのような悪影響を及ぼすおそれのあるポリエーテル変性シリコーンは、本発明の毛髪化粧料には含有させないことが好ましい。尚、ここで含有させないとは、感触調整成分として積極的には含有させないことを意味し、他の配合成分に由来するキャリーオーバーとしてのポリエーテル変性シリコーンの含有までをも排除するものではない。
【0035】
また本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、防腐剤、粉末成分、色材、香料、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0036】
本発明の毛髪化粧料は、スタイリング、トリートメント等の目的で使用するのが好ましく、その形態としてはヘアミスト、ヘアローション、ヘアジェル、ヘアミルク、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム、ヘアスプレー等とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。尚、実施例に記載の櫛通り性試験、熱損傷抑制試験、官能試験(ぱさつき、べたつき、潤い感、まとまり感、セット性、洗浄性)に関する試験法を下記に示す。
【0038】
(1)櫛通り性試験
パーマやブリーチなどの処理を施したことの無い、長さ20cm、重さ3gのアジア人黒髪(株式会社ビューラックスより購入)にパーマ処理後ブリーチ処理を行い、これを標準毛とした。この標準毛に対し、実施例又は比較例の毛髪化粧料を塗布、塗布直後からブラッシングテスター(テクノ・ハシモト社製)にて2000回ブラッシングを行った(n=3)。尚、評価はブラッシング時の負荷を積算し、その積算量をブランクと比較して、以下の基準で判定した。
【0039】
判定基準
◎:ブランクに対し有意差がある(p<0.01)
○:ブランクに対し有意差がある(p<0.05)
△:ブランクに対し有意な傾向がある(p<0.1)
×:ブランクに対し有意差が無い
【0040】
(2)熱損傷抑制試験
櫛通り性試験と同様の処理を行った測定用の標準毛を用い、毛髪を2.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、タオルドライにて乾燥する。その後、実施例又は比較例の毛髪化粧料を塗布、ドライヤーにて10分乾燥する。この工程を30回繰り返した後、走査電子顕微鏡(SEM)にて毛髪のキューティクルの状態を観察し、キューティクルのリフトアップ、剥離の程度を指標にして、熱損傷抑制効果を以下の基準で判定した。
【0041】
判定基準
◎:ブランクと比較してリフトアップ、剥離が非常に少ない
○:ブランクと比較してリフトアップ、剥離が少ない
△:ブランクと比較してリフトアップ、剥離が少ない傾向がある
×:ブランクと比較してリフトアップ、剥離に差が無い、逆に多い傾向がある
【0042】
(3)官能検査
20名の専門パネルを対象に実施例及び比較例の毛髪化粧料を使用してもらい、ぱさつき、べたつき、潤い感、まとまり感、セット性、洗浄性について官能評価を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
【0043】
判定基準
・ぱさつき
◎:パネルの15名以上が、ぱさつきがないと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、ぱさつきがないと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、ぱさつきがないと判断
×:パネルの5名未満が、ぱさつきがないと判断
【0044】
・べたつき
◎:パネルの15名以上が、べたつきがないと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、べたつきがないと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、べたつきがないと判断
×:パネルの5名未満が、べたつきがないと判断
【0045】
・潤い感
◎:パネルの半数以上が、8時間以上潤い感が続くと判断
○:パネルの半数以上が、4時間以上潤い感が続くと判断
△:パネルの半数以上が、2時間以上潤い感が続くと判断
×:パネルの半数以上が、潤い感が無いと判断
【0046】
・まとまり感
◎:パネルの15名以上が、まとまり感があると判断
○:パネルの10名以上15名未満が、まとまり感があると判断
△:パネルの5名以上10名未満が、まとまり感があると判断
×:パネルの5名未満が、まとまり感があると判断
【0047】
・セット性
◎:パネルの15名以上が、セット性があると判断
○:パネルの10名以上15名未満が、セット性があると判断
△:パネルの5名以上10名未満が、セット性があると判断
×:パネルの5名未満が、セット性があると判断
【0048】
・洗浄性
◎:パネルの15名以上が、洗浄性に優れると判断
○:パネルの10名以上15名未満が、洗浄性に優れると判断
△:パネルの5名以上10名未満が、洗浄性に優れると判断
×:パネルの5名未満が、洗浄性に優れると判断
【0049】
実施例1〜7、比較例1〜9
表1及び表2に示す処方の毛髪化粧料を常法に従って作成し、前記の諸試験を実施して評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
表1及び表2から明らかなように、本発明の毛髪化粧料は、比較例と比べて明らかに櫛通り性試験、熱損傷抑制試験、官能試験(ぱさつき、べたつき、潤い感、まとまり感、セット性、洗浄性)に関する試験のいずれの評価においても優れていた。
【0053】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の櫛通り性試験、熱損傷抑制試験、官能試験(ぱさつき、べたつき、潤い感、まとまり感、セット性、洗浄性)に関する試験を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0054】
実施例8(へアトリートメントミスト)
(1)Acrylates/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer
(ダイヤフォーマーZ732;三菱化学社製) 3.0(質量%、以下同じ)
(2)ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル
(ユニルーブ50MB−26;日本油脂社製) 1.0
(3)ジアリル四級アンモニウム塩/ビニルポリピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体
(Luviquat Sensation;BASF社製) 0.03
(4)D−パントテニルアルコール 0.2
(5)加水分解ダイズタンパク
(プロモイスWS;成和化成社製) 0.01
(6)POP(5)フィトステロール
(PSR−5;日光ケミカルズ社製) 0.01
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)
(HCO−80;日光ケミカルズ社製) 0.3
(8)混合植物抽出液(オトギリソウ、カミツレ、シナノキ、トウキンセンカ、ヤグルマソウ、ローマカミツレ)
(フィテレンEGX−244PG;一丸ファルコス社製)0.01
(9)混合果実抽出液(レモン、リンゴ、モモ、オレンジ)
(混合果実抽出液P;香栄興業社製) 0.01
(10)混合植物抽出液(アルニカ、オトギリソウ、カモミラ、シナノキ、スギナ、ノコギリソウ、セージ、ゼニアオイ、トウキンセンカ)
(混合植物抽出液22;香栄興業社製) 0.03
(11)エデト酸ニナトリウム 0.005
(12)クエン酸 0.002
(13)クエン酸ナトリウム 0.0008
(14)メトキシケイ皮酸オクチル
(ユビナールMC−80;BASF SE社製) 0.0001
(15)エタノール 25.0
(16)香料 0.2
(17)純水 残余
【0055】
(製法)
エタノールに、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)、香料、POP(5)フィトステロールを溶解させる。その後、攪拌しながら純水を加え、残りを順次添加し、均一に混合し目的の化粧料を得た。
【0056】
実施例9(へアミストスプレー)
(原液処方)
(1)Acrylates/LaurylAcrylate/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymer(ダイヤフォーマーZ711;三菱化学社製) 1.0(質量%、以下同じ)
(2)ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル
(ユニルーブ50MB−26;日本油脂社製) 3.0
(3)ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体
(ガフカット755N;ISP社製) 0.05
(4)D−パントテニルアルコール 1.0
(5)加水分解エンドウタンパク
(プロモイスWJ;成和化成社製) 0.01
(6)ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク
(プロモイスWG−Q;成和化成社製) 0.01
(7)エタノール 30.0
(8)香料 0.02
(9)純水 残余
(原液/噴射剤比)
(1)原液 99.5
(2)噴射剤(窒素) 0.5
【0057】
(製法)
純水を攪拌しながら、残りを順次添加し、均一に混合し原液を得る。原液を耐圧容器に充填し、上記比率でガスを充填し、目的の毛髪化粧料を得た。
【0058】
上記実施例で用いられた香料は下記のものである。
【0059】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0060】
以上記載の如く、本発明は、アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であるアミンオキシド基含有樹脂と、特定の酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上と、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料に、さらに好ましくは、植物由来タンパク質やパントテニルアルコールを含有させ、ポリエーテル変性シリコーンを含有しないことで、ブロー時の櫛通り性に優れ、ぱさつきや熱からの損傷を防止する効果に優れ、仕上がりがべたつかず、潤い感とまとまり感を付与でき、適度なセット性を有し、さらには洗浄性にも優れた毛髪化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリル酸長鎖アルキルエステルとメタクリル酸アルキルアミンオキシドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であるアミンオキシド基含有樹脂と、(B)下記一般式(I):
【化1】

(式(I)中、R1及びR2は水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基を示し、m及びnは0以上の整数であり、m+nは20以上である)で示される酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上と、(C)カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
さらに(D)植物由来タンパク質を含有する請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
さらに(E)パントテニルアルコールを含有する請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
ポリエーテル変性シリコーンを含有しない請求項1〜3のいずれか1項記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−246361(P2011−246361A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118717(P2010−118717)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】