説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪化粧料の其剤として乳化力が高く、櫛通り性の改善効果の高い毛髪化粧料を提供する。その目的とする所は油性原料の乳化を向上し毛髪に対して高級アルコールの収着が高い毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】本発明は次の成分(A)〜(C)からなり(A)第4級アンモニウム塩(B)炭素数14〜22の直鎖のアルキル基を有する高級アルコール(C)油性原料(A)で表される第4級アンモニウム塩の一種又は二種以上を含有する毛髪化粧料であって、(A)の量が毛髪化粧料に対して0.1〜10.0重量%であり、(A)に対する(B)の重量比が0.1以上、10.0未満の範囲であり、且つ(C)の配合量が1.0〜20.0重量%である毛髪化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性原料の乳化を向上し毛髪に対して高級アルコールの収着が高いヘアコンディショナーやヘアトリートメント等の毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料としてトリートメントには毛髪への収着性がよく、かつ毛髪をなめらかにして櫛通り性を改善する作用を有するために、タンパク質加水分解物やその誘導体を毛髪化粧料に含有させることが広く行われている。(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02−142712号公報
【特許文献2】特開2009−161519号公報
【特許文献3】特開2006−282637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、毛髪化粧料の其剤として乳化力を高め、より櫛通り性改善効果の高い毛髪化粧料を提供する。その目的とする所は油性原料の乳化を向上し毛髪に対して高級アルコールの収着が高いヘアコンディショナーやヘアトリートメント等の毛髪化粧料に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は次の成分(A)〜(C)からなり
(A)第4級アンモニウム塩であり、図1に表される式中R1は炭素数14〜22のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R2、3及びR4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はベンジル基を示し、Xは炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。
(B)炭素数14〜22の直鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)油性原料
(A)で表される第4級アンモニウム塩の一種又は二種以上を含有する毛髪化粧料であって、(A)の量が毛髪化粧料に対して0.1〜10.0重量%であり、(A)に対する(B)の重量比が0.1以上、10.0未満の範囲であり、且つ(C)の配合量が1.0〜20.0重量%である毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は鋭意研究した結果、特定の第4級アンモニウム塩を用いる事によって油性原料の優れた乳化力を有し、かつ、高級アルコールの毛髪への高い収着性が得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明で使用する成分(A)は図1の式中R1の炭素数が14〜22のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R2、3及びR4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はベンジル基を示し、Xは炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。そして、配合量は毛髪化粧料に対して0.1〜10.0重量%であり、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0008】
本発明で使用する成分(A)に該当する市販されている成分名はベヘントリモニウムメトサルフェートが挙げられる。
【0009】
本発明で使用する成分(B)は炭素数14〜22の直鎖のアルキル基を有する高級アルコールであり、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びその他の高級アルコールが挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用する。成分(A)に対する(B)の重量比は0.1以上、10.0であり、好ましくは1.0以上5.0である。
【0010】
本発明で使用する成分(C)である油性原料としては特に限定はなく、例えば流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、2−エチルヘキサン酸セチル等のエステル類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等のトリグリセライド類、オリブ油、ホホバ油、月見草油、メドウフォーム油、マカデミアナッツ油等の植物油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状メチルポリシロキサン等のシリコーン油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の分岐の高級アルコール等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用する。成分(C)の配合量は1.0〜20.0重量%であり、好ましくは1以上10。0重量%である。
【0011】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合される成分、例えばグリセリンやジグリセリン等のポリオール類、ヒアルロン酸、マルチトール等の糖類、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、クエン酸やコハク酸等の有機酸類及びその塩類、グリシンやアラニン等のアミノ酸類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、高重合メチルポリシロキサンやアミノ変性シリコーンのエマルジョン製品、加水分解コラーゲン誘導体、加水分解シルク誘導体、加水分解ケラチン誘導体、植物抽出液、生薬、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、消炎剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、色素、香料等を一種又は二種以上組合せて適宜配合することができる。
【0012】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従って製造することができ、例えば水相と油相とをアンカーミキサー等の撹拌機を用いて、均一撹拌することにより得ることができる。
【0013】
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1中の処方にて、ヘアコンディショナーを調製し、調製したヘアコンディショナーの乳化能を評価するために粒度分布測定装置にて平均粒径を測定した。本発明による実施例1〜4は比較例1〜4よりも平均粒径が細かい結果が得られ、ジメチコンの乳化に優れた効果がある。
【0015】
(調整方法)
精製水の一部(2%)を油相に添加して温度80℃で均一に溶解する。
同じ温度の精製水をアンカー型ミキサーで攪拌(300rpm)しながら油相を添加して乳化する。
均一になれば攪拌を行いながら室温まで冷却を行う。
(評価基準)
○:平均粒系が30μm以下
△:平均粒系が30μm以上50μm以下
×:平均粒系が50μm以上
【0016】
表1

【0017】
(実施例5、比較例5)
表2で調整したヘアコンディショナー処方において第4級アンモニウム塩と高級アルコールの毛髪への収着性を検証するために第4級アンモニウム塩は高速液体クロマトグラフ質量分析、高級アルコールは高速液体クロマトグラフを用いて分析を行った。分析結果から得られた定量値は表2示す。高級アルコールのチャート図は図1〜2に示し第4級アンモニウム塩のチャート図は図3〜4に示した通り、実施例5は比較例5よりも毛髪に対する高い収着性を認めた。特に高級アルコールの収着性が高く、其剤として指通り性の高い効果が得られる。
【0018】
(調整方法)
精製水の一部(2%)を油相に添加して温度80℃で均一に溶解する。
同じ温度の精製水をアンカー型ミキサーで攪拌(300rpm)しながら油相を添加して乳化する。
均一になれば攪拌を行いながら室温まで冷却を行う。
【0019】
表2

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】化学構造式
【図2】実施例5の高速液体クロマトグラフ質量分析結果
【図3】比較例5の高速液体クロマトグラフ質量分析結果
【図4】実施例5の高速液体クロマトグラフ分析結果
【図5】比較例5の高速液体クロマトグラフ分析結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は次の成分(A)〜(C)からなり
(A)第4級アンモニウム塩であり、図1に表される式中R1は炭素数14〜22のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R2、3及びR4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はベンジル基を示し、Xは炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す。
(B)炭素数14〜22の直鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)油性原料
(A)で表される第4級アンモニウム塩の一種又は二種以上を含有する毛髪化粧料であって、(A)の量が毛髪化粧料に対して0.1〜10.0重量%であり、(A)に対する(B)の重量比が0.1以上、10.0未満の範囲であり、且つ(C)の配合量が1.0〜20.0重量%である毛髪化粧料。
【請求項2】
請求項1のXがメチル硫酸である事を特徴とする毛髪化粧料。
【請求項3】
請求項1に記載の油性原料がシリコーン油である事を特徴とする毛髪化粧料。
【請求項4】
請求項1から3に記載の毛髪化粧料におけるエマルジョンの粒子径が30μ以下であり乳化力が向上することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項5】
請求項1から4に記載の毛髪化粧料がエマルジョンの粒子径が小さく、乳化力が向上するとともに高級アルコールの収着性が高くコンディショニング効果を与えることを特徴とする毛髪化粧料。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−167074(P2012−167074A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31393(P2011−31393)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000104995)クローダジャパン株式会社 (35)
【Fターム(参考)】