説明

毛髪化粧料

【課題】乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、フケ・かゆみだけでなく、吹き出物・かさつきも抑制する地肌ケア効果に優れる毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜4.5である毛髪化粧料。
(A) ヒドロキシ基を有していてもよい有機ジカルボン酸若しくはヒドロキシモノカルボン酸又はそれらの塩 0.1〜20重量%
(B) 少なくとも1種の消炎剤 0.001〜10重量%
(C) 高級アルコール 0.1〜20重量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の有機酸及び消炎剤を含み、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、フケ・かゆみ・吹き出物・かさつき抑制などの地肌ケア効果に優れる毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアリンスやヘアトリートメントなどの毛髪化粧料は、洗浄剤とは異なり、カチオン活性剤やシリコーン類、油剤、高級アルコールなどの成分を毛髪に吸着、残留させることによって、柔軟性や油性感を与え、なめらかな使用感を付与している。しかしながら、個人の体質によっては、各種の吸着成分が毛髪だけでなく頭皮に残留してしまい、頭皮の刺激やかゆみを引き起こし、また炎症等の症状の要因になりえる可能性がある。従って、このような成分の吸着や残留は、毛髪ケアにとっては効果的な方法である一方、頭皮ケアにとっては決して好ましい方法とはいえない。
【0003】
一方、フケ・かゆみ等は菌の繁殖に起因すると考えられ、それらの菌の繁殖に由来するフケやかゆみの抑制にはジンクピリチオンに代表されるピリジンチオン塩や、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックスなどの抗菌剤又は殺菌剤を含む抗フケ用毛髪化粧料が使用されてきた(例えば、特許文献1及び2を参照)。しかしながら近年では、洗髪頻度の向上により、菌の繁殖に主たる原因を持つフケ自体よりも、地肌の乾燥に主たる原因を持つフケやかゆみ、かさつきが、地肌トラブルの主流になってきている。そこで、頭皮ケアと毛髪ケアが同時にできる毛髪化粧料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3753916号明細書
【特許文献2】特開昭58-196300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、フケ・かゆみだけでなく、吹き出物・かさつきも抑制する地肌ケア効果に優れる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の有機酸、消炎剤と、高級アルコールを併用し、更に一定の低pH領域に調整することにより、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、フケ・かゆみ・吹き出物・かさつき抑制などの地肌ケア効果に優れる毛髪化粧料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜4.5である毛髪化粧料を提供するものである。
(A) ヒドロキシ基を有していてもよい有機ジカルボン酸若しくはヒドロキシモノカルボン酸又はそれらの塩 0.1〜20重量%
(B) 少なくとも1種の消炎剤 0.001〜10重量%
(C) 高級アルコール 0.1〜20重量%
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪化粧料は、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、頭皮のふけ・かゆみ、吹き出物、かさつきなどの抑制効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが1〜4.5であるが、頭皮のふけ・かゆみ、吹き出物、かさつきなどの抑制効果又は改善効果(以下、頭皮症状改善効果という)の点から、上記pHが2〜4、特に3〜4であるのが好ましい。
【0010】
成分(A)のヒドロキシ基を有してもよいジカルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸等のヒドロキシ基を有しないジカルボン酸、及びリンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸が挙げられる。また、ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸等が挙げられる。なかでも、乳酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸が好ましい。また、これら有機カルボン酸の塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
【0011】
本発明において、成分(A)は、単にpHを調整する目的で使用されるのではなく、有効成分として必須であり、本発明の毛髪化粧料中に0.1〜20重量%配合することが必要であるが、十分な頭皮症状改善効果の点から、0.2〜15重量%含まれることが好ましく、特に0.2〜10重量%含まれることが好ましい。
【0012】
成分(B)の消炎剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、それらの誘導体等の抗炎症剤のほか、消炎機能を有する成分、例えばε-アミノカプロン酸、アラントイン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、d-カンフル、l-メントール、尿素、ジパルミチン酸ピリドキシン、ステアリン酸グリチルレチニル、トラネキサム酸、ビタミンA油、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、塩酸ピリドキシン、感光素301号、酸化亜鉛、酢酸ヒドロコーチゾン等が含まれる。グリチルレチン酸又はグリチルリチン酸の誘導体としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等の塩類、グリセリンエステル、ステアリルエステル等のエステル類が挙げられる。具体的には、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。成分(B)の消炎剤は、本発明の毛髪化粧料中に0.001〜10重量%含まれるが、0.005〜5重量%、特に0.01〜1重量%含有するのが好ましい。
【0013】
成分(C)の高級アルコールとしては、炭素数12〜28のアルキル基を有するものが好ましく、更には炭素数16〜24、特に22のアルキル基を有するものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖アルキル基であるのが好ましい。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、特にベヘニルアルコールが好ましい。
【0014】
成分(C)の高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.1〜20重量%であるが、滑らかさ、使いやすさ、安定性等の向上の点から、0.5〜15重量%、特に1〜10重量%が好ましい。
【0015】
本発明の毛髪化粧料には、乾燥後の仕上がり向上のため、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩及び第3級アミン型の塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤、シリコーン類及び油剤から選ばれるコンディショニング剤を含むことができる。
【0016】
【化1】

【0017】
〔式中、R1及びR2は、水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示すが、同時に水素原子又はベンジル基となることはなく、少なくとも1つは炭素数8以上のアルキル基である。R3及びR4は、炭素数1〜5のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、An-は、陰イオンを示す。〕
【0018】
特に、モノ長鎖アルキル(C12〜22)四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル(C12〜22)四級アンモニウム塩、分岐鎖アルキル(C12〜28)四級アンモニウム塩等の四級アンモニウム塩、又はアルキルオキシアルキレン三級アミン塩、アルキルアミドアルキレン三級アミン塩等が使用可能である。具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられる。更に、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン(及びその塩)、ステアリルアミドエチルジエチルアミン(及びその塩)、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが使用できる。カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさ、指通りの良さ、ツヤの付与の点から、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜15重量%が好ましく、更には0.2〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0019】
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0020】
(シリコーン類-1) ジメチルポリシロキサン
5(CH3)2SiO−[(CH3)2SiO]a-Si(CH3)25
〔式中、R5はメチル基又はヒドロキシ基を示し、aは3〜20000の数を示す。〕
【0021】
例えば、BY11-026、BY22-19〔東レ・ダウコーニング(株)〕、FZ-3125〔日本ユニカー(株)〕等が挙げられる。高重合ジメチルポリシロキサンは、液状油(例えば、低重合ジメチルポリシロキサンオイル、環状シリコーン等の液状シリコーン油、またイソパラフィン等の液状炭化水素油)に溶解又は分散したものを使用することができる。
【0022】
(シリコーン類-2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM8704C〔東レ・ダウコーニング(株)〕、DC 929〔ダウ・コーニング社〕等が挙げられる。
【0023】
その他のアミノ変性シリコーンとしては、例えば次の式で表されるような化合物が挙げられ、市販品としては、ダウ・コーニング社の「8500 Conditioning Agent」(CAS No.237753-63-8)が挙げられる。
【0024】
【化2】

【0025】
〔式中、R6は炭素数13〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Xのうち75%は基−CH2CH(OH)CH2OHを、25%は水素原子を示す。〕
【0026】
アミノ変性ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体の好ましい例としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
【0027】
【化3】

【0028】
〔式中、bは2以上の数を示し、cは1以上の数を示し、dは4以上の数を示し、eは0〜30の数を示し、fは2以上の数を示す。〕
【0029】
上記一般式において、好ましくは、bは2〜1,000の数、cは1〜50の数、dは4〜200の数、fは2〜100の数を示す。また、−O(C24O)d(C36O)e−はブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよい。市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)のFZ-3789、シリコーンSS-3588を挙げることができる。
【0030】
(シリコーン類-3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
これらシリコーン類は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、髪の滑らかさ、指通りの良さ、ツヤの付与の点から、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜15重量%が好ましく、更には0.2〜10重量%、特に0.5〜8重量%が好ましい。
【0032】
油剤とは、シリコーン類を除く油性物質をいい、例えば、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、グリセリン等のアルコール類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類、その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、エステル類が好ましく、特に2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル等が好ましい。これら油剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜15重量%が好ましく、更には0.05〜10重量%、特に0.1〜7重量%が好ましい。
【0033】
本発明の毛髪化粧料には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えばソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、粘土鉱物等の粘度調整剤;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸等のpH調整剤:植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0034】
本発明の毛髪化粧料は、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾール等の所望の形態にすることができ、たとえばヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、リーブオントリートメント等に適用できる。特にヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の洗い流して使用する剤形として好適である。
【0035】
本発明の毛髪化粧料は、頭皮のフケ、かゆみ、吹き出物、かさつきなどの抑制効果に優れ、抗フケリンスとして有用である。
【実施例】
【0036】
以下の実施例及び比較例におけるpHは、水で20重量倍に希釈したときの25℃における値である。
【0037】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に示すリンスを調製し、その評価を行った。
【0038】
(頭皮症状改善効果の評価)
20〜40代の一般男女から、目視により頭皮にフケ症状の見られる群50名(男性25名、女性25名)、頭皮に吹出物症状のみられる群50名(男性25名、女性25名)、及びそれらの症状の見られない健常群50名(男性25名、女性25名)の計150名の被験者を選抜した。これら被験者に対し、1ヶ月間、コントロールシャンプーとコントロールリンスを使用させた後、試験リンスを約6週間使用させ、その前後の頭皮状態変化を目視により評価した。コントロールシャンプーとコントロールリンスの組成を以下に示す。
(1) コントロールシャンプー (重量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 13.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 0.5
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 2
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 1.5
カチオン化セルロース 0.5
pH調整剤(クエン酸,48重量%水酸化ナトリウム水溶液) pH5.5に調整
精製水 残量
(2) コントロールリンス (重量%)
塩化アルキルトリメチルアンモニウム 1.33
ステアリルアルコール 0.4
ベヘニルアルコール 3.6
パルミチン酸イソプロピル 0.5
プロピレングリコール 0.5
高分子量ジメチルポリシロキサン(重合度1000〜2700) 2
pH調整剤(クエン酸,48重量%水酸化カリウム水溶液) pH5.1に調整
精製水 残量
【0039】
フケ症状は、頭皮を12の領域に分け、各領域ごとにレベル0〜6の7段階、合計0〜72の段階にレベル分けをし、レベル10以上をフケ群の対象とした。吹き出物症状は、頭皮全体の吹き出物数が3個以上を吹き出物群の対象とした。健常群は、フケ及び吹き出物の症状が、フケ群、吹き出物群の基準未満である場合とした。
【0040】
フケ及び吹き出物の評価は、ダブルブラインドの条件下で熟練した研究員により行い、使用前後のフケレベル、吹き出物個数の変化量の平均からランク分けし、表1に示した。
かゆみ、かさつきの評価は、被験者に記入式5段階(改善5点、やや改善4点、変化なし3点、やや悪化2点、悪化1点)のアンケートを行い、評価点の平均(小数点以下第2位を四捨五入)からランク分けし、表1に示した。
【0041】
<吹き出物ランク>
◎(有効) :使用前後で平均吹き出物数が5個以上減少
○(やや有効):使用前後で平均吹き出物数が3個以上減少
△(変化なし):使用前後で平均吹き出物数が±3個未満の変化
×(悪化) :使用前後で平均吹き出物数が3個以上増加
【0042】
<かさつきランク>
◎(有効) :平均評価点が3.5以上
○(やや有効):平均評価点が3.2〜3.4
△(変化なし):平均評価点が2.8〜3.1
×(悪化) :平均評価点が2.7以下
【0043】
<かゆみランク>
◎(有効) :平均評価点が3.5以上
○(やや有効):平均評価点が3.2〜3.4
△(変化なし):平均評価点が2.8〜3.1
×(悪化) :平均評価点が2.7以下
【0044】
<フケランク>
◎(有効) :使用前後で平均フケレベルが10以上減少
○(やや有効):使用前後で平均フケレベルが5以上減少
△(変化なし):使用前後で平均フケレベルが±5未満の変化
×(悪化) :使用前後で平均フケレベルが5以上増加
【0045】
乾燥後の毛髪の柔軟性については、パネラー5名により、0〜4の5段階で評価を行い、その平均値からランク分けを行い、表1に結果を示した。
<乾燥後の毛髪の柔軟性ランク>
◎(非常に柔らかい) :平均評価点が3.5以上
○(柔らかい) :平均評価点が2.5〜3.4
△(やや柔らかくない):平均評価点が1.5〜2.4
×(柔らかくない) :平均評価点が1.4以下
【0046】
【表1】

【0047】
実施例1〜3のリンスは、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与し、頭皮のフケ・かゆみ・吹出物・かさつきの抑制効果に優れるものであった。これに対し、消炎剤を含まない比較例1、及び本発明の有機酸を含まず、クエン酸を使用している比較例2は、フケの抑制及び吹き出物やかさつきの改善効果に劣るものであった。pH5以上で使用する汎用的な抗菌剤であるジンクピリチオンを用いた比較例3は、吹き出物やかさつきの抑制効果が低かった。本発明の有機酸を含むがpHの高い比較例4は、フケ、かゆみ、吹き出物やかさつき改善効果が認められなかった。
【0048】
実施例4〜7及び比較例5〜7
実施例1〜3及び比較例1〜4と同様に表2に示すコンディショナーを調製し、その評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例4〜7のコンディショナー(pH3.7)は、頭皮のフケ・かゆみ・吹出物・かさつきの抑制・改善効果に優れ、また、乾燥後の毛髪に良好な柔軟性を付与するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜4.5である毛髪化粧料。
(A) ヒドロキシ基を有していてもよい有機ジカルボン酸若しくはヒドロキシモノカルボン酸又はそれらの塩 0.1〜20重量%
(B) 少なくとも1種の消炎剤 0.001〜10重量%
(C) 高級アルコール 0.1〜20重量%
【請求項2】
更に、成分(D)として、以下の一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩及び第3級型アミンの塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤を含む毛髪化粧料。
【化1】

〔式中、R1及びR2は、水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示すが、同時に水素原子又はベンジル基となることはなく、少なくとも1つは炭素数8以上のアルキル基である。R3及びR4は、炭素数1〜5のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、An-は、陰イオンを示す。〕
【請求項3】
成分(B)消炎剤が、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の抗炎症剤である請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
抗フケリンスである請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料
【請求項5】
次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが1〜5である毛髪化粧料を、頭皮に適用した後、洗い流す吹き出物・かさつきの改善方法。
(A) ヒドロキシ基を有していてもよい有機ジカルボン酸若しくはヒドロキシモノカルボン酸又はそれらの塩 0.1〜20重量%
(B) 少なくとも1種の消炎剤 0.001〜10重量%
(C) 高級アルコール 0.1〜20重量%

【公開番号】特開2012−176995(P2012−176995A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140091(P2012−140091)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2006−80813(P2006−80813)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】