説明

毛髪化粧料

【課題】湿潤時の滑らかさや乾燥後の滑らかさを付与しつつ、充分な毛髪のハリ・コシが得られる毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明は、次の成分(A)〜(C):
(A)第3級アミン化合物又はその塩 0.3〜5質量%
(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤 0.01〜1質量%
21O(CH2CH(CH3)O)mH (1)
(上記一般式(1)中、R21は炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体 0.01〜4質量%
及び水を含有する毛髪化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアコンディショナーは毛髪に湿潤時の滑らかさや乾燥後の滑らかさ、まとまりを付与するものとして広く使用されている。例えば、特許文献1には、特定の第3級アミン化合物と有機酸と脂肪族アルコールとを組み合わせた毛髪用ヘアコンディショナー組成物が記載されている。
【0003】
一方、毛髪にハリやコシを与える技術として、特許文献2には、ユーカリ抽出物を毛髪化粧料に配合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290796号公報
【特許文献2】特開2007−238635号公報
【特許文献3】特開平6−48916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2記載の技術では、湿潤時の滑らかさや乾燥後の滑らかさを付与しつつ、充分な毛髪のハリ・コシを得るという点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、第3級アミン化合物又はその塩、特定のポリオキシアルキレンエーテル型ノニオン界面活性剤、及びN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体を特定の範囲内で組み合わせて使用することにより、コンディショナーとしての性能を損なうことなく、湿潤時の滑らかさや乾燥後の滑らかさを付与し、充分な毛髪のハリ・コシが得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(A)〜(C):
(A)第3級アミン化合物又はその塩 0.3〜5質量%
(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤 0.01〜1質量%
21O(CH2CH(CH3)O)mH (1)
(上記一般式(1)中、R21は炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体 0.01〜4質量%
及び水を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、湿潤時の滑らかさや乾燥後の滑らかさを付与しつつ、充分な毛髪のハリ・コシが得られる毛髪化粧料が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(毛髪化粧料)
本発明で使用される毛髪化粧料の成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0011】
成分(A)は、第3級アミン化合物又はその塩である。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。第3級アミン化合物としては、一般式(2)で表されるものが挙がられる。
【0012】
【化1】

【0013】
(上記一般式(2)中、R1は総炭素数8〜35の−OCO−、−COO−、−O−若しくは−CONH−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、又は脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、R2は炭素数1〜22のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、若しくは合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、2個のR2は同一でも異なってもよい。)
【0014】
一般式(2)で表される第3級アミン化合物としては、第3級アミンを有機酸及び/又は無機酸によって塩としたものを用いてもよいし、本発明の毛髪化粧料に酸を配合して、pH調整と共に組成物中で塩を形成させてもよい。かかる酸としては、例えば、アルキルリン酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸等の短鎖アルキル基を有する酸;L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピログルタミン酸;安息香酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族酸;グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;その他リン酸、塩酸、酢酸、コハク酸などが挙げられる。中でも毛髪に対する保湿及び柔軟化効果をもたらす点から、有機酸が好ましく、特に、酸性アミノ酸、ピログルタミン酸、ヒドロキシ酸が好ましく、ヒドロキシ酸がより好ましい。
【0015】
成分(A)の第3級アミン化合物のより具体的な例としては、例えば、以下の(i)〜(iii)の第3級アミン化合物(またはその塩)等の少なくともいずれか1つが挙げられる。
【0016】
(i)ヒドロキシエーテルアルキルアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(3)で表される化合物及びその塩が挙げられる。
【0017】
【化2】

【0018】
(上記一般式(3)中、R3は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R4及びR5は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)fH(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、fは1〜6の数を示し、f個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示す。eは1〜5の数を示す。)
【0019】
具体的には、ヘキサデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンおよびその塩、オクタデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンおよびその塩が挙げられる。
【0020】
(ii)エーテルアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(4)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0021】
【化3】

【0022】
(上記一般式(4)中、R6は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R7及びR8は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)gH(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示す。)
【0023】
具体的には、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミンおよびその塩、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンおよびその塩が挙げられる。
【0024】
(iii)アルキルアミドアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(5)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0025】
【化4】

【0026】
(上記一般式(5)中、R9は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R10は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。)
【0027】
具体的には、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミドおよびその塩、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミドおよびその塩が挙げられる。
【0028】
上記の(i)〜(iii)に挙げた第3級アミン化合物の中でも、塗布時、すすぎ時の滑らかさの観点から(ii)エーテルアミン(またはその塩)、及び(iii)アルキルアミドアミン(またはその塩)が好ましい。その中でも特に、(ii)エーテルアミン(またはその塩)が好ましい。これにより頭皮のマッサージの際に、毛髪がさらにからまりにくい。さらに、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミンまたはその塩、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンまたはその塩が好ましい。
【0029】
成分(A)は、1種または2種以上の第3級アミン化合物を併用してもよい。
【0030】
成分(A)の含有量は、滑らか性付与の観点から、毛髪化粧料全体中、0.3質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、良好な使用感を得る観点から、毛髪化粧料は成分(A)を5質量%以下含有し、3質量%以下含有することが好ましい。
【0031】
次に、成分(B)について説明する。
成分(B)は、下記一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。これにより、毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。また、毛髪がサラサラになり、べたつきを低減するとともに、毛髪にハリ・コシが得られる。
【0032】
21O(CH2CH(CH3)O)mH (1)
(上記一般式(1)中、R21は炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
【0033】
この中でも特に、すばやい泡立ちとすすぎ時、乾燥後の滑らかさ、および原料としての異臭抑制の観点から、上記一般式(1)中のR21が炭素数8のアルキル基、mが質量平均で2〜3の数を示す、ポリオキシプロピレンオクチルエーテルが好ましい。市販品としては、例えば、ソフケアGP−1(花王社製)が挙げられる。
【0034】
成分(B)の含有量は、滑らか性付与の観点から、毛髪化粧料全体中、0.01質量%以上であって、すすぎ後のきしみ感、毛髪の滑らか性、及び乾燥後のまとまり性とのバランスの観点から、0.05質量%以上がより好ましい。また、滑らか性付与、サラサラ感付与の観点から、毛髪化粧料は成分(B)を1質量%以下含有し、0.5質量%以下含有することが好ましい。
【0035】
次に、成分(C)について説明する。
成分(C)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体は、下記一般式(6)で表される。これにより、毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。また、毛髪がサラサラになり、べたつきを低減し、毛髪にハリ・コシが得られる。
【0036】
【化5】

【0037】
(上記一般式(6)中、R22はC25を示し、qは20〜10,000の数を示し、rは20〜10,000の数を示し、sは5〜100の数を示し、An-は陰イオンを示す。)
【0038】
上記一般式(6)中の陰イオンAn-は、エチルスルフェート陰イオン等が好ましい。
【0039】
成分(C)の重量平均分子量(MWt)は、毛髪がべたつかない感触になることから、35,000〜130,000、なかでも85,000〜120,000が好ましい。
【0040】
成分(C)のポリ(N−プロピオニルポリエチレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは700〜3,000、より好ましくは1,000〜2,800である。これにより、毛髪を滑らかにし、ハリ・コシを付与することができる。
【0041】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は30,000〜110,000であるが、毛髪を滑らかにし、ハリ・コシを付与する観点から、好ましくは80,000〜100,000が好ましい。
【0042】
重量平均分子量は、GPC測定法により下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0043】
成分(C)の重量平均分子量(MWt)中の主鎖であるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)の質量含有率が50〜98%のものが、毛髪を滑らかにし、ハリ・コシを付与する。なかでも80〜95%が好ましい。
【0044】
成分(C)の含有量は、毛髪にハリ・コシ付与の観点から、毛髪化粧料全体中、0.01質量%以上であって、さらに乾燥後のハリ・コシ付与の観点から、0.2質量%以上がより好ましい。また、すすぎ時の滑らかさや乾燥後の滑らかさ、また、毛髪がサラサラになり、べたつきを低減の観点から、毛髪化粧料は成分(C)を4質量%以下含有し、2質量%以下含有することが好ましい。
【0045】
また、成分(B)と成分(C)との質量比率は、(B)/(C)=0.03〜5が好ましく、毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。また、毛髪にハリ・コシを与え、頭皮の柔軟性付与する観点から、0.4〜3.3がより好ましい。また、すすぎ後のきしみ性の観点から、0.4〜2.0がさらに好ましい。
また、水の含有量は、本発明における毛髪化粧料中、50〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましい。
【0046】
また、本発明における毛髪化粧料は、成分(A)〜(C)および水以外に、(D)有機カルボン酸をさらに含んでもよい。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。有機カルボン酸としては、炭素数2〜8のものが好ましく、例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等のα−ヒドロキシ酸;レブリン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。なかでもグリコール酸、リンゴ酸、乳酸等のα−ヒドロキシ酸が好ましく、特にリンゴ酸、乳酸が好ましい。また、有機カルボン酸は、塩であってもよい。これらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物等との塩が挙げられる。有機酸又はその塩は2種以上を併用することもできる。
【0047】
有機カルボン酸の含有量は、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにする観点から、毛髪化粧料全体中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、良好な使用感を得る観点から、有機カルボン酸の含有量は、毛髪化粧料全体中、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0048】
本発明の毛髪化粧料を20質量倍に希釈後のpHは、1〜5が好ましい。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにできる。特にpHは、3〜4がより好ましい。
【0049】
本発明の毛髪化粧料は、第3級アミン化合物又はその塩、特定のポリオキシアルキレンエーテル型ノニオン界面活性剤、及びN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体を特定の範囲内で組み合わせて使用することにより、毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにし、さらに頭皮に柔軟性を付与し、毛髪にはハリ・コシを与える。さらに、毛髪にサラサラ感を付与することもできる。本発明の毛髪化粧料によれば、柔軟性、ハリ・コシ、サラサラ感のバランスが良好となる。また、ハリ・コシを与えるために用いられる従来のコンディショナーでは、即時にハリ・コシを得ることができなかったのに対し、本発明の毛髪化粧料では、第3級アミン化合物又はその塩、特定のポリオキシアルキレンエーテル型ノニオン界面活性剤、及びN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体を特定の範囲内で組み合わせて使用することにより、即時にハリ・コシを得ることができる。
【0050】
(その他)
本発明の毛髪化粧料には、上記成分以外の、界面活性剤、油性成分、カチオン性ポリマー、高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸類、グリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、液晶形成基剤、芳香族スルホン酸類、色素、香料、噴射剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、抗フケ剤等を、適宜配合することができる。抗フケ剤としては、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等が挙げられる。
【0051】
上記の成分以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含んでもよく、これらの界面活性剤を2種以上併用してもよい。
【0052】
アニオン性界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系及びアミノ酸系のものが好ましく、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アルキルアラニン誘導体が好ましく、特に一般式(7)又は(8)で表されるものが好ましい。
【0053】
23O(CH2CH2O)pSO3M (7)
24OSO3M (8)
【0054】
(上記一般式(7)および(8)中、R23は例えば炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R24は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、pはエチレンオキサイド平均付加モル数で1〜5の数を示す。)
【0055】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレンC8−C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。アルキルグリコシド類としては、アルキル基の炭素数8〜14で、糖(グルコース)の縮合度1〜2のものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベイタン及びアルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。
【0057】
上記の成分以外の油性成分としては、脂肪族アルコール、シリコーン類、及びエステル油、炭化水素類、グリセリド類、植物油、動物油、ラノリン誘導体、高級脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0058】
脂肪族アルコールとしては、炭素数12〜26の脂肪族アルコールである。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。
さらに、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時、乾燥後の毛髪に対する滑らか性付与の観点から、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、中でも、炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましい。特に炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールがより好ましい。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。さらには、セチルアルコールが好ましい。
脂肪族アルコールは、水酸基を1つ含むものであり、水酸基を2以上含まない。
【0059】
エステル油としては、総炭素数8〜40のエステル油、好ましくは総炭素数8〜20の脂肪酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル等が挙げられ、特にパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。
【0060】
シリコーン類としては、特開平6−48916号公報に記載されている(a)ジメチルポリシロキサン、(b)メチルフェニルポリシロキサン、(c)アミノ変性シリコーン(水性乳濁液としては、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、DC939(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。)、(d)脂肪酸変性ポリシロキサン、(e)アルコール変性シリコーン、(f)脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、(g)ポリエーテル変性シリコーン、(h)エポキシ変性シリコーン、(i)フッ素変性シリコーン、(j)環状シリコーン、(k)アルキル変性シリコーン、(l)オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体などが挙げられる。この中でも、特に、一般式(I)又は(II)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、一般式(III)又は(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体が好ましい。
【0062】
【化6】

【0063】
(上記一般式(I)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0064】
【化7】

【0065】
(上記一般式(II)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式−(CH2m−(mは2〜6の整数を示す。)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH2−基を示す。)
【0066】
【化8】

【0067】
(上記一般式(III)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R14及びR15は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R16は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH2−又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH2−のときは炭素数0〜3)の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【0068】
【化9】

【0069】
(上記一般式(IV)中、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、R19及びR20は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【0070】
さらに、カチオン性基含有共重合体の好ましい一態様として、下記式(V)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体が挙げられる。
【0071】
【化10】

【0072】
(上記一般式(V)中、x、y、zは同一又は異なって正の数であり、モル比でx/y=1/9〜5/5、(x+y+z)/z=1/0.1〜1/0.002である。)
【0073】
市販品としては、例えば、ソフケアKG−301W(花王社製)やソフケアKG−101W−E(花王社製)が挙げられる。
【0074】
カチオン性ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、ボリューム感を与える観点から、毛髪化粧料中の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.1〜2重量%が好ましい。
【0075】
本発明の毛髪化粧料のより好ましい態様の一例は、毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにし、さらに頭皮に柔軟性付与しつつ、充分な毛髪のハリ・コシをえる観点から、成分(A)としてエーテルアミン又はその塩、成分(B)としてポリオキシプロピレン(3)オクチルエーテル、成分(C)としてN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体である。
【0076】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従って製造でき、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾールフォーム、スプレー等の所望の剤型にすることができる。また、毛髪洗浄剤組成物としては、ヘアシャンプー等の製品とすることができ、毛髪洗浄剤組成物以外の毛髪化粧料としては、へアリンス、へアコンディショナー、へアトリートメント、へアパック、へアクリーム、ヘアカラー、コンディショニングムース、へアムース、へアスプレー、リーブオントリートメント、ワックス、トニック、染毛剤等の製品とすることができる。
【0077】
毛髪化粧料の使用方法は、特に限定されないが、例えば、毛髪化粧料を頭皮上に塗布し、その後、指やブラシ等を用いて、頭皮上でジグザグ状に押し広げながら毛髪と接触させて、毛髪と毛髪化粧料とをなじませてもよい。
【0078】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における「%」は、特記しない限り「質量%」を意味する。また各処方は全量を100質量%とする。
【0080】
N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(C1)を以下の方法で作製した。
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2,700のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100,000、アミン当量20,000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。
【0081】
最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114,000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0082】
得られたN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(C1)の物性を、下記に示す。
【0083】
(C1の物性)
MWsi/MWt:N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の全重量中のオルガノポリシロキサンセグメント(MWsi)の含有率:88%
MWsi:主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量:100,000
MWox:ポリ(N−プロピオニルポリエチレンイミン)セグメントの数平均分子量:2,700
MWt:N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の重量平均分子量:114,000
【0084】
(実施例及び比較例)
表1に示す毛髪化粧料を、常法により調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは水で20質量倍希釈した際の25℃での値である。
【0085】
(評価方法)
(1)すすいだ後の仕上がりがきしまない
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。その後、毛髪化粧料が人毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎ、すすいだ後の人毛束の仕上がりがきしまないことを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:きしまない
4:あまりきしまない
3:普通にきしむ
2:ややきしむ
1:きしむ
【0086】
(2)毛髪のすべり性
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。塗布時の毛髪のすべり性を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくすべる
4:ややすべる
3:普通にすべる
2:あまりすべらない
1:すべらない
【0087】
(3)乾燥後の毛髪の滑らかさ
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を用いてなじませた。その後、毛髪化粧料が付いた人毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎ、ドライヤーで乾燥させ、充分に乾燥した後の人毛束の滑らかさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくすべる
4:ややすべる
3:普通にすべる
2:あまりすべらない
1:すべらない
【0088】
(4)乾燥後の毛髪のまとまり
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を用いてなじませた。その後、毛髪化粧料が付いた人毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎ、ドライヤーで乾燥させ、充分に乾燥した後の人毛束のまとまりを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:良くまとまる
4:ややまとまる
3:ふつうと感じる
2:あまりまとまらない
1:まとまらない
【0089】
(5)乾燥後の毛髪のハリ・コシ
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を用いてなじませた。その後、毛髪化粧料が付いた人毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎ、ドライヤーで乾燥させ、充分に乾燥した後の人毛束のハリ・コシを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:良くハリ・コシを感じる
4:ややハリ・コシを感じる
3:ふつうと感じる
2:あまりハリ・コシを感じない
1:ハリ・コシを感じない
【0090】
【表1】

【0091】
表1より、実施例では、毛髪が滑らかになるとともに、充分なハリ・コシが得られた。また、すすぎ後の仕上がりがきしみにくく、毛髪のべたつきが抑制され、かつ乾燥後のまとまり性も得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C):
(A)第3級アミン化合物又はその塩 0.3〜5質量%
(B)下記一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤 0.01〜1質量%
21O(CH2CH(CH3)O)mH (1)
(上記一般式(1)中、R21は炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体 0.01〜4質量%
及び水を含有する毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(B)と成分(C)との質量比率が(B)/(C)=0.03〜5である請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(A)が、エーテルアミン化合物又はその塩を含む請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
(D)有機カルボン酸
をさらに含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
20質量倍に希釈後のpHが1〜5である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2012−31168(P2012−31168A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151689(P2011−151689)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】