説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減する毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)メドウフォーム種子油のラクトン誘導体
(B)アミンオキシド基含有樹脂 全組成物中0.1〜5質量%
(C)HLB値が13〜15であるポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体 全組成物中0.1〜5質量%
(D)下記一般式(1)で示される酸化プロピレン重合体から選ばれる一種以上
【化1】


(前記式中、Rは炭素数4〜24のアルキル基,アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、mが17以上、nが0以上、かつm+nが20以上の整数を表す)
を含有し、熱発生ヘアケア器具の使用前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関し、詳細には、毛髪の乾燥及びセットを目的として用いられる熱発生ヘアケア器具の使用前に塗布する毛髪化粧料であって、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルはファッションのひとつであり多様化している。若年層においては、毛先に軽くウェーブを持たせたナチュラル感のあるウェーブヘアや、ヘアアイロンを用いてスタイルを形成するストレートヘア、巻き髪ヘアなどの髪型が流行している。特に近年ではボブスタイルが流行し、ドライヤーやブラシ付きドライヤーを用いてブローをすることで、ふんわり感のあるスタイルに仕上げることが多い。
【0003】
しかしながら、ドライヤーやブラシ付きドライヤーは約70℃〜100℃の熱を発生し、更には絡まること等により毛髪に物理的負荷がかかるため、ブローをすることで毛髪に損傷を与える恐れがある。そのため熱発生ヘアケア器具を繰り返し使用すると、熱および過剰な水分蒸散によって毛髪のパサつきなどの損傷を誘発し、毛髪ダメージが徐々に進行することで枝毛や切れ毛が発生してしまう。
【0004】
加熱処理やブローに伴う毛髪損傷を防止又は低減するために、熱発生ヘアケア器具を使用する前に塗布する様々な毛髪化粧料が提案されている。例えば、水分散性ポリエステル樹脂及び植物抽出物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照。)、シリル化ペプチドを配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献2参照。)、シロキサン化合物、エタノール可溶性タンパク質誘導体及び低級アルコールを組み合わせて配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照。)、アミンオキシド基含有樹脂に、酸化アルキレン付加重合体や、アミノ酸などを組み合わせた毛髪化粧料(例えば、特許文献4,5参照。)、カチオン性界面活性剤、脂肪酸多価アルコールエステル及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体を組み合わせた毛髪化粧料(例えば、特許文献6参照。)などが提案されている。
【0005】
なお、本発明者らは、ガラス転移点が180℃以上の水溶性高分子化合物、引火点が180℃以上のジメチコンコポリオール及び低級アルコールを組み合わせた毛髪化粧料(例えば、特許文献7参照。)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−187965号公報
【特許文献2】特開2000−302648号公報
【特許文献3】特開2004−59487号公報
【特許文献4】特開2005−232117号公報
【特許文献5】特開2005−232120号公報
【特許文献6】特開2006−28114号公報
【特許文献7】特開2010−189306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記背景技術において、毛髪の損傷をある程度低減できるとしても、べたつき感があり、
ふんわり感のあるスタイルに仕上がらないという欠点があった。また、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが悪いことがあり、毛髪に物理的負荷がかかることにより損傷を与える恐れがあった。そのため、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減する毛髪化粧料が強く所望されていた。
【0008】
すなわち、本発明の目的とするところは、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減する毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、メドウフォーム種子油のラクトン誘導体、アミンオキシド基含有樹脂、特定のポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体及び特定の酸化プロピレン重合体を含有した毛髪化粧料が前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記成分(A)〜(D)を含有し、熱発生ヘアケア器具の使用前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料である。
(A)メドウフォーム種子油のラクトン誘導体
(B)アミンオキシド基含有樹脂 全組成物中0.1〜5質量%
(C)HLB値が13〜15であるポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体 全組成物中0.1〜5質量%
(D)下記一般式(1)で示される酸化プロピレン重合体から選ばれる一種以上
【化1】

(前記式中、Rは炭素数4〜24のアルキル基,アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、mが17以上、nが0以上、かつm+nが20以上の整数を表す)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減する毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いられる(A)成分のメドウフォーム種子油のラクトン誘導体は、例えばメドウフォーム−δ−ラクトンなどが挙げられ、市販品として具体的にはメドウラクトンVE〔一丸ファルコス社製〕が挙げられる。
【0012】
前記ラクトン誘導体の毛髪化粧料における含有量としては、本発明の組成物全量に対して0.001〜5質量%(以下、特に記載のあるもの以外は、質量%を単に「%」で示す)である。0.001%未満では加熱処理に伴う毛髪損傷を低減する効果が得られず、また5%を超えるとふんわり感のあるスタイルに仕上がらない。
【0013】
本発明で用いられる(B)成分のアミンオキシド其含有樹脂は、長鎖脂肪酸アクリルエステルとメタクリル酸エチルアミンオキシドとアクリル酸及び/またはメタクリル酸を構成成分に有する共重合体であり、構造単位としてアミンオキシド基を含有したものである。具体的には、Acrylates/LaurylAcrylate/StearylAc
rylate/Ethlamine Oxide Methacrylate copolymer((アクリル酸/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー)、Acrylates/StearylAcrylate/Ethlamine Oxide Methacrylate copolymer((アクリル酸/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー)、Acrylates/LaurylAcrylate/Ethlamine Oxide Methacrylate copolymer((アクリル酸/アクリル酸ラウリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー)等が挙げられ、これらの中でも、Acrylates/StearylAcrylate/Ethlamine Oxide Methacrylate copolymer((アクリル酸/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー)が特に好適に使用される。これらのアミンオキシド基含有樹脂は、「The Cosmetic Toiletry and Fragrance Association」発行の「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されており、また、これらのアミンオキシド基含有樹脂は市販されている。例えば、クラリアント(CLALIANT)社製のDiaformer
Z−711、Diaformer Z―712、Diaformer Z―731、Diaformer Z―751、三菱化学社製のダイヤフォーマーZ−711、ダイヤフォーマーZ−712、ダイヤフォーマーZ―631、ダイヤフォーマーZ−732、ダイヤフォーマーZ−651、ダイヤフォーマーZ−731、ダイヤフォーマーZ−751等が挙げられる。
【0014】
前記アミンオキシド基含有樹脂は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができ、その配合量は、本発明の組成物全量に対して0.1〜5%である。0.1%未満では、ふんわり感のあるスタイルに仕上がらず、また5%を超えるとべたつき、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが悪い。
【0015】
本発明で用いられる(C)成分は、HLB値が13〜15のポリエーテル変性シリコーンであり、例えばポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が挙げられ、市販品として具体的にはKF−6011〔信越化学工業社製〕、SS−2801、SS−2802、SS−2804〔いずれも東レ・ダウコーニング社製〕等が挙げられる。
【0016】
前記ポリエーテル変性シリコーンは、一種単独又は二種以上を混合して用いることができ、その配合量は、本発明の組成物全量に対して0.1〜5%である。0.1%未満では毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが悪く、また5%を超えるとふんわり感のあるスタイルに仕上がらない。
【0017】
本発明で用いられる(D)成分の酸化プロピレン重合体は、下記一般式(1)
【0018】
【化1】

【0019】
(前記式中、Rは炭素数4〜24のアルキル基,アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、mが17以上、nが0以上、かつm+nが20以上の整数を表す)で示される。炭素数2〜24のアルキル基としては、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、12−ヒドロキシステアリル基等であり、好ま
しいRとしては、ブチル基及び炭素数16〜22のアルキル基である。またm(酸化プロピレンの付加モル数)は17以上、n(酸化エチレンの付加モル数)は0以上であり、これらmとnの合計が20以上である。また、好ましくはm+nの値が30以上であり、且つm≧nであるものが毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止又は低減し、好ましい。
【0020】
前記一般式(1)で用いられる酸化プロピレン重合体の例としては、例えばポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール,ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(35)グリコール,ポリオキシエチレン(6)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(55)グリコール,ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(65)グリコール,ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(35)グリコール,ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(65)グリコール,ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(55)グリコール,ポリオキシエチレン(19)ポリオキシプロピレン(21)グリコール,ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(60)グリコール,ポリオキシエチレン(22)ポリオキシプロピレン(25)グリコール,ポリオキシエチレン(26)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン(30)ブチルエーテル,ポリオキシプロピレン(33)ブチルエーテル,ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル,ポリオキシプロピレン(52)ブチルエーテル,ポリオキシプロピレン(30)オレイルエーテル,ポリオキシプロピレン(40)リシノイルエーテル,ポリオキシプロピレン(30)イソセチルエーテル等のポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(35)ステアリルエーテル,ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(20)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(40)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。これらの市販品としては、アデカプルロニックLシリーズ〔ADEKA社製〕、ニューポールPEシリーズ〔三洋化成工業社製〕、ベポールシリーズ〔東邦化学社製〕、プロノンシリーズ、ユニルーブ10MSシリーズ、ユニセーフシリーズ、ユニルーブ50MBシリーズ〔いずれも日油社製〕等が挙げられる。
【0021】
前記酸化プロピレン重合体は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができ、その配合量は、本発明の組成物全量に対して0.1〜5%が好ましい。この好ましい配合量の範囲であれば、毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げることができる。
【0022】
本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品に一般的に配合される他の成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤、乳化剤、色材、各種毛髪栄養剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0023】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進薬剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエ
ステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、サイコ抽出物、イブキジャコウ抽出物、ヒオウギ抽出物、アセンヤク抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB2類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアローション、ヘアリキッド、ヘアミスト、ウォーター、ブロー等の毛髪化粧料、ヘアクリーム、ヘアトリートメント、ヘアミルク、ヘアジェル等の乳液・クリーム状毛髪化粧料、ヘアフォーム、ヘアスプレー等のエアゾール状毛髪化粧料等に用いることができる。
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、実施例に記載の各種試験(熱発生ヘアケア器具の滑り性、べたつき、ふんわり感、加熱処理における毛髪損傷低減効果)に関する試験法を下記に示す。また、以下の表に示す毛髪化粧料の組成物の配合量は、それぞれ質量%で示す。
【0026】
(1)熱発生ヘアケア器具の滑り性試験
市販のパーマ剤を用いてウェーブ処理を施した毛髪(10g、20Cm)に実施例および比較例の毛髪化粧料を3g塗布し、10名の専門パネルを対象に市販のブラシ付きドライヤーを用いて、80℃にてブローを実施し、滑り具合を評価し、下記に示す判断基準により評価を行なった。
【0027】
判定基準
◎:パネルの8名以上が滑りについて良いと判断
○:パネルの6名以上8名未満が滑りについて良いと判断
△:パネルの4名以上6名未満が滑りについて良いと判断
×:滑りについて良いと判断したパネルが5名未満
【0028】
(2)官能試験
20名の専門パネルを対象に実施例及び比較例の毛髪化粧料を使用してもらい、次に市販のブラシ付きドライヤーを用いてブローを実施し、べたつき、ふんわり感の項目について官能試験を行い、下記に示す判定基準により評価を行なった。
【0029】
判定基準
(a)べたつき
◎:パネルの15名以上がべたつかないと判断
○:パネルの10名以上15名未満がべたつかないと判断
△:パネルの5名以上15名未満がべたつかないと判断
×:べたつかないと判断したパネルが5名未満
(b)ふんわり感
◎:パネルの15名以上がふんわり仕上がると判断
○:パネルの10名以上15名未満がふんわり仕上がると判断
△:パネルの5名以上15名未満がふんわり仕上がると判断
×:ふんわり仕上がると判断したパネルが5名未満
【0030】
(3)加熱処理における毛髪損傷低減効果
アジア人のバージン毛の毛束(10g、20Cm)に実施例および比較例の毛髪化粧料を3g塗布し、次に市販のブラシ付きドライヤーを用いて、80℃にてブローを実施し、以下の試験を行なった。
【0031】
(a)毛髪引張強度の測定
毛束から80±5μmの太さの毛髪を50本選別し、毛髪の直径をマイクロメーターにて計測した。次いで、テクスチャーアナライザー(Stevens/Mechtric社)を用いて引張強度を測定し、毛髪が破断した時の荷重を測定した。毛髪直径と破断荷重の値から毛髪引張強度を算出して平均値を求めた。尚、毛髪引張強度が高い程、切れにくく枝毛や切れ毛の発生が少なく毛髪損傷が低減していることを示す。
【0032】
実施例1〜7及び比較例1〜4(ヘアミスト)
表1に記載の配合組成よりなる毛髪化粧料を常法により調製し、前記各種試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜7はいずれも優れた性能を示していた。一方、比較例1〜4では、熱発生ヘアケア器具の滑り性、べたつき、ふんわり感、加熱処理における毛髪損傷低減効果のいずれかの点で劣っており、本発明の目的を達しなかった。
【0035】
以下、本発明の毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、熱発生ヘアケア器具の滑り性試験、官能試験(べたつき、ふんわり感)、加熱処理における毛髪損傷低減効果(毛髪引張強度)について各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0036】
実施例8(ヘアローション)
配合量(%)
(1)メドウフォーム−δ−ラクトン 0.1
(商品名:メドウラクトンVE、一丸ファルコス社製)
(2)(アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチル
アミンオキシド)コポリマー 1.5
(商品名:ダイヤフォーマーZ−732、三菱化学社製)
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(商品名:SS−2804、東レ・ダウコーニング社製)
(4)ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)
ブチルエーテル 0.5
(商品名:ユニルーブ50MB−26、日油社製)
(5)エタノール 20.0
(6)ジプロピレングリコール 2.0
(7)ポリエチレングリコール200 1.5
(8)グリコシルトレハロース・水添デンプン分解物混合物 0.3
(9)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
(10)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.3
(11)(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール)コポリマー 0.1
(12)グリセリル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)
カルバメート/ステアリルメタクリレート)共重合体 0.1
(13)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.02
(14)L−アルギニン 0.05
(15)香料 0.05
(16)精製水 残 部
【0037】
(製法)(1)〜(16)を均一に混合溶解した後、トリガー容器に充填してヘアローションを得た。
【0038】
実施例9(ヘアミスト)
配合量(%)(1)メドウフォーム−δ−ラクトン 0.1
(商品名:メドウラクトンVE、一丸ファルコス社製)
(2)(アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチル
アミンオキシド)コポリマー 3.0
(商品名:ダイヤフォーマーZ−732、三菱化学社製)
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2.0
(商品名:KF−6011、東レ・信越化学工業社製)
(4)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンステアリルエーテル 1.0
(商品名:ユニルーブ10MS−250KB、日油社製)
(5)エタノール 50.0
(6)1,3−ブチレングリコール 2.0
(7)ポリエチレングリコール1000 1.5
(商品名:PEG#1000、日油社製)
(8)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
(9)ノバラエキス 0.1
(10)N−[2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)
プロポキシ]プロピル]加水分解シルク 0.1
(11)L−グルタミン酸ナトリウム 0.05
(12)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.05
(13)香料 0.15
(14)精製水 残 部
【0039】
(製法)(1)〜(14)を均一に混合溶解した後、ポンプミスト容器に充填してヘアミストを得た。
【0040】
実施例10(ヘアスプレー)
<原液> 配合量(%)(1)メドウフォーム−δ−ラクトン 0.3
(商品名:メドウラクトンVE、一丸ファルコス社製)
(2)(アクリル酸/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル
/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー 3.0
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(商品名:SS−2802、東レ・ダウコーニング社製)
(4)ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)
ブチルエーテル 0.5
(商品名:ユニルーブ50MB−26、日油社製)
(5)エタノール 60.0
(6)プロピレングリコール 1.5
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.05
(8)香料 0.1
(9)精製水 残 部
<ガス充填>
原液 50.0
噴射剤 液化石油ガス 50.0
【0041】
(製法)(1)〜(9)を均一に混合溶解して原液を調整し、原液と噴射剤をエアゾール耐圧容器に充填しヘアスプレーを得た。
【0042】
また、いずれの実施例の毛髪化粧料を使用した場合にも、頭皮に炎症、その他副作用と考えられる症状は発現せず、本発明に係る毛髪化粧料は安全性にも優れることが明らかであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上記載のごとく、本発明が毛髪に対してブラシ及び熱発生ヘアケア器具の滑りが良く、べたつかず、ふんわり感のあるスタイルに仕上げ、加熱処理に伴う毛髪損傷を防止及び/又は低減する毛髪化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有し、熱発生ヘアケア器具の使用前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)メドウフォーム種子油のラクトン誘導体
(B)アミンオキシド基含有樹脂 全組成物中0.1〜5質量%
(C)HLB値が13〜15であるポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体 全組成物中0.1〜5質量%
(D)下記一般式(1)で示される酸化プロピレン重合体から選ばれる一種以上
【化1】

(前記式中、Rは炭素数4〜24のアルキル基,アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、mが17以上、nが0以上、かつm+nが20以上の整数を表す)

【公開番号】特開2013−1697(P2013−1697A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137093(P2011−137093)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】