説明

毛髪化粧料

【課題】湿った髪に適用しても乾いた髪に適用しても仕上げ後の毛髪に高いまとまり性と滑らかで柔らかな感触を付与でき、しかもべたつき感のない毛髪化粧料の提供。
【解決手段】成分(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料。
(A):オルガノポリシロキサンセグメントのSi原子の少なくとも1つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、式(1)


〔R1はH、C1-22のアルキル基等、nは2又は3。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜40/60、重量平均分子量が1万〜50万であるオルガノポリシロキサン0.1〜7質量%
(B):アクリロイルジメチルタウリン塩とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体0.01〜1.2質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアカラー等による化学処理や、ブロー等による物理処理の影響で、毛髪表面のキューティクルの剥離や、毛髪内部脂質の流出による毛髪内部の空洞化などが起こり、結果として、毛髪がパサつく、指通りが悪い、髪がまとまらない、ツヤがなくなるといったことが生じることが指摘されている。
【0003】
また、損傷を受けていない毛髪であっても、元々生まれ持った髪質(たとえばクセやうねりの多い髪)、加齢変化等によっても、髪がまとまらない、ツヤがなくなるといったことが生じることも一般的に知られている。
【0004】
このような毛髪に対してまとまり効果や滑らかな感触を得るために、毛髪化粧料にシリコーン油、炭化水素油、エステル油等が配合されている。しかし、このような毛髪化粧料は、油由来のべたつき感があるといった問題を有する。
【0005】
一方、皮膜形成ポリマーを含有するジェルなどの毛髪化粧料には、まとまり効果が高いレベルで得られるものも存在するが、皮膜形成ポリマーにより高いまとまりを得ようとすると滑らかさが損なわれ、硬くゴワつき指通り性が悪く、外観も毛髪が固まったような不自然なものとなるという不具合があった。
【0006】
これに対し、オルガノポリシロキサンは、多くの優れた特徴を有していることから、様々な形態のものが、シャンプー、ヘアコンディショナー等に感触向上剤等として多用されている。さらに、毛髪に伸ばしやすく滑らかな感触を付与する目的で、特定の構造のオルガノポリシロキサンと増粘剤として特定のカチオン性ポリマーを使用する毛髪化粧料が開示されている(特許文献1、2)。しかし、特許文献1に記載の毛髪化粧料は、実施例に記載のように、洗髪後タオルで水分を軽くふき取り、自然乾燥した毛髪に適用する場合には、優れたセット力によるまとまり効果と滑らかな感触が得られるが、湿った髪に適用してブロードライヤーの温風にて乾燥させながら仕上げる場合には、指通り性が十分でなく髪を整えにくいため、仕上がりのまとまり性に満足のいくものではなかった。
【0007】
特許文献2に記載の実施例においても特許文献1と同様、自然乾燥した毛髪に適用した場合の評価を行っているが、特許文献2に記載の毛髪化粧料は、湿った髪に適用してブロードライヤーの温風にて乾燥させながら仕上げた場合にも、同様の滑らかな感触とべたつきのなさが得られる。しかしながら、ひどく損傷をうけた毛髪に対して適用した場合には、まとまり感、柔らかさの付与といった性能については必ずしも満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-138099号公報
【特許文献2】特開2010-184907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の課題は、湿った髪に適用しても乾いた髪に適用しても仕上げ後の高い毛髪のまとまり性が得られ、毛髪に滑らかで柔らかな感触を付与することができ、しかもべたつき感のない毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、特定のオルガノポリシロキサンと共に、特定の構造を有するポリマーを使用することにより、上記要求を満たす毛髪処理剤が得られることを見出した。
【0011】
すなわち本発明は、成分(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
(A): オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、該オルガノポリシロキサンセグメントと該ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜40/60であり、重量平均分子量が10,000〜500,000である、オルガノポリシロキサン 0.1〜7質量%
(B): アクリロイルジメチルタウリン塩とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体 0.01〜1.2質量%
【0014】
また本発明は、上記の毛髪化粧料を湿った頭髪又は乾いた頭髪に適用した後、自然乾燥又は加熱により毛髪化粧料を乾燥後、洗い流さずに少なくとも3時間放置する毛髪処理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪化粧料は、湿った髪に適用しても乾いた髪に適用しても、仕上げ後の高い毛髪のまとまり性、滑らかな感触、柔らかな仕上がり、べたつき感のなさを同時に満たすものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔(A):オルガノポリシロキサン〕
成分(A)は、オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)
【0017】
【化2】

【0018】
〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、該オルガノポリシロキサンセグメントと該ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜40/60であり、重量平均分子量が10,000〜500,000であるオルガノポリシロキサンである。
【0019】
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、
【0020】
【化3】

【0021】
等が挙げられる。特に、窒素原子を含む炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。また、一般式(1)中のR1で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、R1で示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが挙げられ、アラルキル基としてはフェニルアルキル、ナフチルアルキル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル、アルキル置換フェニル等が挙げられる。
【0022】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、公知の方法により製造することができ、例えば特開平7-133352号公報に記載の方法に従って、下記一般式(2)
【0023】
【化4】

【0024】
〔式中、R2は同一又は異なって、炭素数1〜22の飽和アルキル基又はフェニル基を示し、R3及びR4はそれぞれR2と同一の基を示すか又は下記式
【0025】
【化5】

【0026】
で表される基を示し、R5は上記式で表される基を示し、aは100〜4000の整数を示し、bは1〜300の整数を示す。〕
で表されるオルガノポリシロキサンと、下記一般式(3)
【0027】
【化6】

【0028】
〔式中、R1及びnは前記一般式(1)のR1及びnとそれぞれ同義である。〕
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0029】
ここで、環状イミノエーテル(3)の開環重合は、例えばLiebigs Ann. Chem., p996〜p1009(1974)に記載の方法に従って行うことができる。重合開始剤は、求電子反応性の強い化合物、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等の強酸のメチル、エチル、3-プロペニル、ベンジルエステルなどを用いることができる。特に、トルエンスルホン酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル等を好ましく用いることができる。環状イミノエーテル(3)として例えば2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、ポリ(N-アシルエチレンイミン)(式(1)中、n=2に相当)が得られ、2-置換-ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、ポリ(N-アシルプロピレンイミン)(式(1)中、n=3に相当)が得られる。
【0030】
上記ポリ(N-アシルアルキレンイミン)鎖とシリコーン鎖との連結方法には、カルボキシ基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応;カルボキシル基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応;ハロゲン化アルキル基と1級、2級あるいは3級アミノ基とによる2級、3級あるいは4級アンモニウムの形成反応;Si−H基のビニル基への付加反応;エポキシ基とアミノ基とによるβ-ヒドロキシアミン形成反応など多くの手法を利用することができる。このうち、特開平2-276824号公報、特開平4-85334号公報、特開平4-85335号公報、特開平4-96933号公報等に開示されているように、環状イミノエーテルをカチオン開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)に式(2)で表されるオルガノポリシロキサン、すなわち側鎖に前記置換基を有する変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法が簡便かつ有効である。
【0031】
アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンと、環状イミノエーテルのカチオン重合で得たポリ(N-アシルアルキレンイミン)の反応性末端との反応は、例えば以下のようにして行うことができる。開始剤を極性溶媒、好適にはアセトニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、酢酸エチル、酢酸メチル等の単独溶媒、あるいは必要に応じて他の溶媒との混合溶媒に溶かし、40〜150℃、好適には60〜100℃に昇温する。そこに上記一般式(3)で表される環状イミノエーテルを一括投入、あるいは反応が激しい場合には滴下し、重合を行う。重合の進行はガスクロマトグラフィーなどの分析機器でモノマーである環状イミノエーテルの残存量を定量することにより追跡することができる。環状イミノエーテルが消費され重合が終了しても、生長末端の活性種は反応性を維持している。ポリマーを単離することなく、引き続き、このポリマー溶液と分子内にアミノ基を含有するオルガノポリシロキサンとを混合し、5〜100℃、好ましくは20〜60℃の条件で反応させる。混合割合は所望により適宜選ぶことができるが、オルガノポリシロキサン中のアミノ基1モルに対してポリ(N-アシルアルキレンイミン)0.1〜1.3モル当量の割合で反応させるのが好ましい。以上の如き反応によって、ポリジメチルシロキサンにポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの付いたブロックコポリマー又はグラフトポリマーを得ることができる。
【0032】
成分(A)のオルガノポリシロキサンにおいて、オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比は98/2〜40/60であるが、高いまとまり性と高い滑らかな感触を得る観点から、98/2〜46/54、更には97/3〜65/35、更には95/5〜82/18が好ましい。なお、この質量比は、成分(A)のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0033】
また、成分(A)のオルガノポリシロキサンの隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は、まとまり性と滑らかさの向上の観点から、1,000〜40,000、更には1,300〜35,000、更には1,700〜32,000が好ましい。
【0034】
ここで、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR2SiO単位と、1つのA4と、y+1個のR22SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0035】
【化7】

【0036】
〔式中、R2は前記一般式(2)のR2と同じ意味を示し、R6はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、Wはポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R7は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。〕
【0037】
MWgは、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0038】
MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)とポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)を用いて下記式により求めることができる。
【0039】
【数1】

【0040】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは500〜10000、より好ましくは800〜6000、更に好ましくは900〜4000である。これにより、毛髪のまとまり効果と滑らかさをより一層向上させることができる。
【0041】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は好ましくは10,000〜200,000であるが、なめらかな感触とべたつきのなさを同時に満たす観点から、より好ましくは15,000〜160,000、更に好ましくは20,000〜120,000である。MWsiは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの平均分子量は、下記測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0042】
カラム :Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液 :1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :UV
サンプル :50μL
【0043】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、10,000〜500,000であるが、まとまり性、および滑らかさ、べたつきのなさをより一層向上させる観点から、20,000〜400,000、更には30,000〜300,000、更には40,000〜200,000が好ましい。なお、成分(A)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、原料化合物であるオルガノポリシロキサン(2)の重量平均分子量と、前述のオルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント)との質量比から求めることができる。
【0044】
これら成分(A)のオルガノポリシロキサンは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、高いまとまり効果を確保する一方で、滑らかさとべたつきのなさを両立する観点より、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜7質量%含有し、好ましくは0.1〜6質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%含有する。
【0045】
〔(B):アクリロイルジメチルタウリン塩とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体〕
成分(B)は、アクリロイルジメチルタウリン塩とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体である。成分(B)としては、下記一般式(4)で示されるものが挙げられる。
【0046】
【化8】

【0047】
〔式中、X+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示し、pは3〜90を、qは10〜97を示す。〕
【0048】
一般式(4)中、X+のアルカリ金属イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が;アルカリ土類金属イオンとしては、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン等が;有機アンモニウムイオンとしては、例えばモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属イオンが好ましく、特にナトリウムイオンが好ましい。
【0049】
成分(B)の市販品としては、セピノブEMT10、シマルゲルNS(以上、セピック社)等を用いることができる。
【0050】
成分(B)の含有量は、良好な毛髪への塗布性、柔らかな仕上がり、べたつきのなさ、保存安定性の観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜1.2質量%の範囲内とし、好ましくは0.04〜1質量%、更に好ましくは0.1〜0.8質量%である。
【0051】
成分(A)と成分(B)との質量比(A)/(B)は、まとまり効果、滑らかさ、柔らかな仕上がり、べたつきのなさの観点から、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.2〜75、更に好ましくは0.5〜50である。
【0052】
〔(C):疎水性シリコーン〕
本発明の毛髪化粧料は、更に成分(C)として、成分(A)のオルガノポリシロキサン以外のシリコーン類から選ばれる疎水性シリコーンを含有することができる。疎水性シリコーンは、乾いた頭髪や湿った頭髪の表面摩擦抵抗を下げることで髪をなめらかにするため、頭髪を送風により乾燥する過程において、頭髪の根元及び全体を乾燥させる際の指通りを向上し、手の動きをなめらかにすることができる。その結果、根元から毛先までまとまりのよい、美しいヘアスタイルのベースをつくることができる。
【0053】
ここで、疎水性シリコーンとは、室温において、評価液(精製水、好ましくは50質量%エタノール水溶液、最も好ましくは95質量%エタノール水溶液)と1:1の質量比で混合して、5分間静置後に透明とはならない(分離、ゲル化又は白濁)シリコーンをいうものとする。なお、市販されているシリコーンのうち、エマルジョンタイプのもの、有機溶剤と混合されているものは、疎水性シリコーンであるものとする。
【0054】
疎水性シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン(HLBが11未満)、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。この中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン(HLBが11未満、好ましくは8未満、最も好ましくは5未満)、アミノ変性シリコーンが好ましく、特にアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0055】
ジメチルポリシロキサンとしては、一般式(c1)で表されるものが挙げられる。
【0056】
【化9】

【0057】
〔式中、R8はSi(CH3)3又は水素原子を示し、n1は3〜20000の数を示す。〕
【0058】
ジメチルポリシロキサンには、シリコーンオイル(数平均重合度1000未満)とシリコーンガム(数平均重合度1000以上)がある。シリコーンオイルの市販品としては、SH200シリーズ(SH200 C Fluid 1CS、同2CS、同5CS、同10CS、同20CS、同30CS、同50CS、同100CS、同200CS、同350CS、同500CS、同1,000CS、同5,000CS、SH200 Fluid 1.5CS、同3,000CS、同10,000CS、同12,500CS、同30,000CS等)(東レ・ダウコーニング社)、TSF-451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、KF-96シリーズ(信越化学社)等が挙げられる。また、これらのシリコーンオイルをエマルションとしたものも使用できる。
【0059】
シリコーンガムの市販品としては、SH200シリーズ(SH200 Fluid 60,000CS、同100,000CS、同1,000,000CS等;東レ・ダウコーニング社)、TSF451-100MA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越化学社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越化学社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等が挙げられる。
【0060】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等の総称であり、一般式(c2)又は(c3)で表されるものが挙げられる。
【0061】
【化10】

【0062】
〔式中、R9は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、n2は1〜2000、m2は1〜1000、a1は0〜10、b1は0〜50、c1は0〜50を示し、b1+c1≧1である。〕
【0063】
HLBが11未満のポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、SH3775M、SS-2805(以上、東レ・ダウコーニング社)、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6029(以上、信越化学社)等が挙げられる。
【0064】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有していればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーンのどちらでもよく、以下の一般式(c4)又は(c5)で表されるものが挙げられる。
【0065】
【化11】

【0066】
〔式中、R10はSi(CH3)3又は水素原子を示し、R11は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、n3は1〜20000の数を示し、m3は1〜2000の数を示し、a2は0〜3の数を示す。〕
アミノ変性シリコーンの一分子中に含まれる窒素原子の含有量(窒素含量)は好ましくは0.02〜4質量%、特に0.1〜1質量%である。
【0067】
アミノ変性シリコーンの市販品としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング社,粘度600mm2/s,窒素含量0.8質量%)、SF8452C(東レ・ダウコーニング社,粘度700mm2/s,窒素含量0.2質量%)、SF8457C(東レ・ダウコーニング社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8003(信越化学社,粘度1850mm2/s,窒素含量0.7質量%)、KF8005(信越化学社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.1質量%)、KF867(信越化学社,粘度1300mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8012(信越化学社,粘度90mm2/s,窒素含量0.6質量%)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.8質量%)、SM8904C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.3質量%)、BY22-079(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.6質量%)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。また、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度550)、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度2700)及びアミノ変性シリコーンの混合物(質量比は10:3.7:2.9)であるCF1046(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.14質量%)等も好適に使用できる。
【0068】
疎水性シリコーンの含有量は、指通り性や、べたつき感のなさの観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%が好ましく、更には0.03〜6質量%、特に0.1〜4質量%が好ましい。
【0069】
〔(D):カチオン界面活性剤〕
本発明の毛髪化粧料には、頭髪になめらかさを付与することにより、頭髪を乾燥させる際の指通りと手の動きをなめらかにしてヘアスタイルを整えやすくし、滑らかさと高いまとまり性を得る観点から、更に成分(D)としてカチオン界面活性剤を含有させることができる。カチオン界面活性剤としては、次の一般式(d1)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0070】
【化12】

【0071】
〔式中、R12及びR13は各々独立して水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示し、同時に水素原子又はベンジル基となる場合、及び、炭素数1〜3の低級アルキル基となる場合を除く。An-はアニオンを示す。〕
【0072】
ここでR12及びR13は、その一方が炭素数16〜24、更には22のアルキル基、特に直鎖アルキル基であるのが好ましく、また他方は炭素数1〜3の低級アルキル基、特にメチル基であるのが好ましい。アニオンAn-としては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
【0073】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0074】
これらカチオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。これによって、頭髪を乾燥させる際の指通りと手の動きを滑らかにしてヘアスタイルを整えやすくし、毛髪の滑らかさやまとまり性を一層向上させることができる。
【0075】
本発明の毛髪化粧料には、成分(D)のカチオン界面活性剤以外の界面活性剤として、通常毛髪化粧料に使用される、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれをも使用できる。
【0076】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
【0077】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。中でも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0078】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0079】
これらのうち、感触の点から非イオン界面活性剤が好ましい。
【0080】
〔油剤〕
本発明の毛髪化粧料には、乾燥後の毛髪のまとまり感向上のため、油剤を含有させることができる。また、油剤として、固体脂及び/又は半固体脂(成分(E))を使用すると、乾燥した毛髪に対し、べたつかせることなくまとまりの持続性を付与できるため、より好ましい。
【0081】
成分(E)において、固体脂、半固体脂とは、それぞれ25℃で固体状又は半固体状の油剤のことをいう。この固体脂及び/又は半固体脂としては、炭化水素、脂肪族高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪族アルコールと脂肪酸のエステル、脂肪族高級アルコールのグリセリンモノエーテル及びその高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のトリグリセライドが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
炭化水素としては、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、ワセリン等が挙げられ、脂肪族高級アルコールとしては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、高級脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。また、脂肪族アルコールと脂肪酸のエステルとしては、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸セチル、オクタン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル等が挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのグリセリンモノエーテルとしては、キミルアルコール、バチルアルコール等が挙げられ、その高級脂肪酸エステルとしては、バチルステアレート等を挙げることができ、高級脂肪酸のトリグリセライドとしては、グリセリルトリステアレート、水添牛脂等が例示できる。また、コレステロール、コレステリルイソステアレート、スフィンゴ脂質等の固体脂、各種動植物油脂、例えば、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、カカオ脂等、各種ロウ、鯨ロウ、ラノリン、ミツロウ、カルナウバロウ等、その他イソステアリルグリセリルエーテルを挙げることができる。
【0083】
成分(E)以外の油剤、すなわち、25℃で液状の油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素;ヒマシ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール;ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;その他、ホホバ油、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中で、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー等の分岐炭化水素が特に好ましい。
【0084】
成分(E)を含めた油剤全体としての含有量は、まとまりの良さや、べたつき感のなさの点から、毛髪化粧料中の0.1〜25質量%が好ましく、更には0.5〜25質量%、特に1〜20質量%が好ましい。また、成分(E)の含有量は、乾燥した毛髪に対し、べたつかせることなくまとまりの持続性を付与する観点より、0.05〜10質量%が好ましく、更には0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%が好ましい。
【0085】
〔媒体〕
本発明の毛髪化粧料には、媒体として、水及び必要により上記特定有機溶剤以外の有機溶剤が使用される。このような有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0086】
〔その他の成分〕
本発明の毛髪化粧料には、以上の各成分のほか、通常毛髪化粧料に使用される各種成分を目的、用途、剤型に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば、エデト酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、グルコン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩等のキレート剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;パラアミノ安息香酸系、アントラニル系、サリチル酸系、桂皮酸系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤;アスコルビン酸、α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;染料、顔料等の着色剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;ビタミン類、蛋白質、アミノ酸類、生薬類、冷涼感付与剤(メントール等)、各種動植物抽出物、ビタミン剤、保湿剤、パール化剤、香料等が挙げられる。
【0087】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従い各種剤型に調製することができ、例えば、エアゾール(エアゾールスプレー、エアゾールフォーム)、ポンプ(ポンプスプレー、ポンプフォーム)、ジェル、ワックス、ローション、ミスト、ミルク、クリーム等が挙げられる。これらの中でも、ポンプスプレー、ポンプフォーム、エアゾールフォーム、ミルク、クリームが好ましい。
【0088】
本発明の毛髪化粧料は、エアゾール形態として用いる場合、噴射剤を含有する液状又は泡状のエアゾール型毛髪化粧料としてもよい。噴射剤としては、通常エアゾール型化粧料に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、プロパン、ブタン又はそれらの混合物(液化石油ガスを含む)等の低級飽和炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等を使用することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。噴射剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜70質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。
【0089】
本発明の毛髪化粧料は、ポンプフォームとして用いる場合、泡吐出容器に充填することにより、ノンエアゾール型毛髪化粧料とすることができる。泡吐出容器としては、組成物を空気と混合し、泡状態として吐出させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、ポンプ機構を備えたキャップの頭を手指で押圧することにより使用されるポンプフォーマー、トリガータイプ等が挙げられる。
【0090】
スクイズフォーマーとしては、実公昭62-042785号公報、実公昭62-042786号公報、実公昭62-042787号公報に記載のもの、またそれに準ずるものが挙げられ、また、ポンプフォーマーとしては特開平7-315463号公報、特開平08-230961号公報等に記載のもの、またそれに準ずるものが挙げられる。これらの容器は、より泡質を向上させる目的で、吐出部に網体を装着させる場合が多く、その中でも100〜300メッシュの網体を1枚ないし2枚装着させたものが好ましい。
【0091】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアスタイリング剤、ヘアコンディショニング剤、ヘアリンス剤、ヘアパック剤、ヘアクリーム剤、ヘアローション剤、ヘアトリートメント剤等として用いることができる。これらの中でも、毛髪に適用後、洗い流さずに使用するタイプの毛髪化粧料、即ちヘアスタイリング剤、又はヘアコンディショニング剤として用いることが好ましい。一つの好ましい使用形態として、本発明の毛髪化粧料は、湿った頭髪又は乾いた頭髪に適用した後、自然乾燥又は加熱により毛髪化粧料を乾燥後、洗い流さずに少なくとも3時間放置することにより、使用することができる。放置時間は特に制限はないが、1日以下が好ましい。
【実施例】
【0092】
合成例1 オルガノポリシロキサンA
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.8g(0.14モル)を脱水した酢酸エチル29gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを33%酢酸エチル溶液として一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、アミノ基は残存していなかった。
【0093】
合成例2 オルガノポリシロキサンB
合成例1と同様の方法により、硫酸ジエチル19.0g(0.12モル)と2-エチル-2-オキサゾリン81.0g(0.82モル)を脱水した酢酸エチル203.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)300gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(390g、収率97%)として得た。最終生成物のシリコーンセグメントの含有率は75質量%、重量平均分子量は40000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、約20モル%のアミノ基が残存していた。
【0094】
合成例3:オルガノポリシロキサンC
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン93.8g(0.947モル)を脱水した酢酸エチル203gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2500であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gを33%酢酸エチル溶液として一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(190g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は50質量%、重量平均分子量は60000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、約20モル%のアミノ基が残存していた。
【0095】
実施例1〜8・比較例1〜7
表1に示す毛髪化粧料を常法に従い調製した。
【0096】
(評価毛束の作製)
化学的処理履歴の無い日本人毛で20cm、10gの毛束を作製し、花王社製「プリティアふんわり泡ブリーチ ハイブリーチ」の第1剤と第2剤との混合原液に浴比1:1で浸し、40℃で30分放置した後、水ですすぐ。次いでこの毛束を一般的なプレーンシャンプーで処理し水ですすぎ、さらに一般的なプレーンリンスで処理し水ですすいだ後、タオルで水分を軽く拭き取り、自然乾燥した。この処理を5回繰り返してダメージを付与した毛束を評価用毛束とした。
【0097】
(1)「仕上げやすさ」
シャンプー後、タオルドライした評価用毛束に対し、表1に示す組成の各整髪剤組成物0.3gを均一に塗布した後、ドライヤー(National製:EH5311)で毛束を整えながら乾燥させた。このときの仕上げやすさ(評価毛束への剤の拡げやすさ、べたつきのなさ、髪の整えやすさ)について、専門パネラー5名により下記の5段階で官能評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:あまり良くない
1点:良くない
【0098】
(2)「髪のまとまり」
(1)の評価後、毛束全体のまとまり感について、専門パネラー5名により下記の5段階で目視評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:あまり良くない
1点:良くない
【0099】
(3)「髪の滑らかさ」
(2)の評価後、髪の滑らかさについて手で触って評価した。専門パネラー5名により下記の5段階で官能評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:あまり良くない
1点:良くない
【0100】
(4)「髪の柔らかさ」
(3)の評価後、髪の柔らかさについて手で触って評価した。専門パネラー5名により下記の5段階で官能評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:あまり良くない
1点:良くない
【0101】
(5)「乾燥した髪に塗布した際のべたつきのなさ」
評価毛束をシャンプー後、タオルドライし、ドライヤー(National製:EH5311)で毛束を整えながら乾燥させた。表1に示す組成の各整髪剤組成物0.3gを手のひらに伸ばし、上記毛束に対し塗布した際のべたつきのなさについて、専門パネラー5名により下記の5段階で官能評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:べたつかない
4点:ややべたつかない
3点:どちらともいえない
2点:ややべたつく
1点:べたつく
【0102】
(6)「乾燥した髪に塗布した後のまとまりの持続性」
評価毛束をシャンプー後、タオルドライし、ドライヤー(National製:EH5311)で毛束を整えながら乾燥させた。表1に示す組成の各整髪剤組成物0.3gを手のひらに伸ばし、上記毛束に対し塗布した後、25℃,RH65%条件下に12時間放置したときの毛束のまとまり感について、専門パネラー5名により下記の5段階で目視評価を行い、平均値で示した(絶対評価)。
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらともいえない
2点:あまり良くない
1点:良くない
【0103】
【表1】

【0104】
処方例1(ヘアミルク)
(質量%;アクティブ量)
オルガノポリシロキサンA(合成例1) 0.6
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー(シマルゲルNS,セピック社) 0.4
アモジメチコン(SM8904CE,東レ・ダウコーニング社) 0.4
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
PEG-1540 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
エタノール 10.0
香料 0.1
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
(BASF社,ユビナールA PLUS) 0.01
EDTA-2Na 0.2
精製水 残量
【0105】
処方例2(ヘアクリーム)
(質量%;アクティブ量)
オルガノポリシロキサンA(合成例1) 0.6
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー(シマルゲルNS,セピック社) 0.4
ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸ナトリウム
(SPS-S-SA,花王) 0.3
高重合メチルポリシロキサン(BY22-060,東レ・ダウコーニング社) 0.6
水添ポリイソブテン 10.0
パルミチン酸イソプロピル 2.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 2.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 0.2
グリセリン 1.0
エタノール 10.0
香料 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
メトキシ桂皮酸エチルヘキシル 0.05
EDTA-2Na 0.2
精製水 残量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料。
(A): オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【化1】

〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなり、該オルガノポリシロキサンセグメントと該ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜40/60であり、重量平均分子量が10,000〜500,000である、オルガノポリシロキサン 0.1〜7質量%
(B): アクリロイルジメチルタウリン塩とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体 0.01〜1.2質量%
【請求項2】
成分(A)と成分(B)の質量比(A)/(B)の値が0.1〜100である請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に成分(C)を含有する請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
成分(C):疎水性シリコーン
【請求項4】
更に成分(D)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
成分(D):カチオン界面活性剤
【請求項5】
更に成分(E)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
成分(E):固体脂及び/又は半固体脂
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料を湿った頭髪又は乾いた頭髪に適用した後、自然乾燥又は加熱により毛髪化粧料を乾燥後、洗い流さずに少なくとも3時間放置する毛髪処理方法。

【公開番号】特開2013−40162(P2013−40162A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130232(P2012−130232)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】