説明

毛髪強化剤、該毛髪強化剤を含有する毛髪化粧料組成物およびそれを用いた毛髪強化方法

【課題】 損傷を受けた毛髪に十分な毛髪強化効果を付与するとともに、その効果の持続性も良好である毛髪強化剤、毛髪化粧料組成物およびこれらを用いた毛髪強化方法を提供する。
【解決手段】 シトルリン類を有効成分とする毛髪強化剤および該毛髪強化剤を含有する毛髪化粧料組成物、並びにそれを毛髪に適用することによる毛髪強化方法を提供する。この毛髪化粧料組成物は、更にカチオン化セルロース誘導体、ジメチルジアリル4級アンモニウム塩誘導体、アミノ変性シリコーン、ポリペプチドなどの窒素含有重合体を含有することがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪強化剤、該毛髪強化剤を含有する毛髪化粧料組成物およびそれを用いた毛髪強化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアスタイルの多様化に伴って、染毛剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤等の毛髪処理剤で毛髪が処理される機会が多くなり、毛髪は損傷を受け、切れやすくなるなど脆弱化する傾向にある。そうした毛髪に適用し、脆弱化した毛髪を強化する効果を発揮する毛髪化粧料組成物が知られている。例えば、特許文献1は、アスパラギン酸またはグルタミン酸から選ばれるプロトン放出可能なアニオン性官能基を有するアミノ酸、およびL−アルギニン、クレアチン、クレアチニン等から選ばれるプロトン受容可能なカチオン性官能基を有するアミノ酸を共に含有する毛髪化粧料を開示する。特許文献2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸および塩基性側鎖を有するアミノ酸の組合わせを含有する毛髪処理組成物を開示する。
【特許文献1】特開2004−346040号公報
【特許文献2】特表2003−500345号公報
【0003】
他方、シトルリンを含有する毛髪用の化粧料としては、特許文献3〜5に記載されたような頭髪成長促進剤および毛髪の保湿剤、活性酸素除去作用に基づくメラニン生成抑制剤などが知られている。この他、特許文献6にはシトルリンを側鎖に有する高分子によって毛髪の損傷部分を修復する技術も開示されている。
【特許文献3】特表平8−502509号公報
【特許文献4】特開2002−226370号公報
【特許文献5】特開2007−197360号公報
【特許文献6】国際公開2000/032560号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1〜2の毛髪化粧料組成物においては、毛髪強化効果は得られるものの、その強化効果は一時的なものに過ぎず、持続性について満足できるものではないという課題が存在する。上記特許文献3は毛髪の発生にかかわる毛包における尿素回路の代謝中間体としてのシトルリンの使用に関するものであって、損傷を受けた毛髪に対して適用することを一切示唆しておらず、当然その作用についても一切開示しない。上記特許文献4、5は、シトルリンが有効成分として毛髪に及ぼす作用について一切開示しない。上記特許文献6には、タンパク質への吸着性が高いアミノ酸残基をペンダント状に配した(メタ)アクリル酸系高分子を、皮膚や毛髪の損傷部に良好に吸着させることにより皮膚や毛髪の修復を図るという技術が開示されている。しかしこの技術は、結果的に皮膚および毛髪に(メタ)アクリル酸系高分子を効率よく吸着させ、高分子により補修作用を発揮するものであって、アミノ酸は一切関与していない。またシトルリンは、多種のアミノ酸のうちの一例として挙げられているに過ぎず、多種のアミノ酸類の中でも、シトルリンが有効成分として毛髪に及ぼす作用については一切開示しない。加えて、主鎖が(メタ)アクリル酸系高分子という、造膜性が高いことが知られている高分子なので、毛髪適用後の感触の悪化も懸念される。
【0005】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、損傷を受け脆弱化した毛髪を、感触を損なうことなく強化するとともに、強化効果の持続性が良好な毛髪強化剤および該強化剤を含有する毛髪化粧料組成物と、その毛髪化粧料組成物を用いることによる毛髪強化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪強化剤は、シトルリンおよびその塩類から選ばれる1種または2種以上を有効成分とすることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明の毛髪化粧料組成物は、請求項1記載の毛髪強化剤を含有することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明の毛髪化粧料組成物は、窒素含有重合体を含有する請求項1記載の毛髪化粧料組成物であることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明の毛髪強化方法は、請求項2または3記載の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用することによるものであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、損傷を受け脆弱化した毛髪を強化するとともに、その効果の持続性を向上させる毛髪強化剤、毛髪化粧料組成物および毛髪強化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
【0012】
本実施形態の毛髪強化剤は、シトルリンおよびその塩類から選ばれる1種または2種以上(以下、シトルリン類と称する)を有効成分とする。シトルリンは、動物において窒素代謝の過程で生成する事が広く知られている物質である。シトルリンは尿素の生合成に関与し、尿素回路の中間体の一つであることが知られ、またスイカ等のウリ科植物にも含まれる、下記式(I)で表されるアミノ酸の一種である。
【0013】
【化1】

【0014】
本発明で使用するシトルリン類としては、これらシトルリンを含有する植物から取得する天然由来の他、化学的な合成によって得る合成由来のものも使用できる。
【0015】
本発明で使用するシトルリン類としては、L体が好ましく使用されるが、D体あるいはラセミ体も使用できる。
【0016】
本発明で使用するシトルリン類としては、遊離体、酸付加塩、塩基塩のいずれも使用できる。酸付加塩としては塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩などの有機酸塩が挙げられる。塩基性塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、銅塩などの金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等の弱塩基塩が挙げられる。
【0017】
本実施形態の毛髪化粧料組成物は、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類を含有する。シトルリン類の合計含有量は任意であるが、好ましくは0.0001〜3質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。この含有量が0.0001質量%未満であると、毛髪強化効果を十分付与することができないおそれがある。一方、3質量%を超えて含有すると、毛髪の感触を損なうおそれがある。
【0018】
本実施形態の毛髪化粧料組成物は、毛髪強化剤に加え窒素含有重合体を含有する。窒素含有重合体は、シトルリン類との相乗効果により毛髪強化効果を更に向上させるとともに、毛髪強化効果の持続性を向上させるため、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類に加えて毛髪化粧料組成物に含有することが好ましい。
【0019】
この窒素含有重合体とは、重合体主鎖上に窒素原子を有するか、または側鎖に結合した修飾基中にアミノ基又はアンモニウム基、アミド基等として窒素原子を含む重合体を意味し、天然由来及び合成由来のいずれのものも使用できる。窒素含有重合体の具体例としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、ジメチルジアリル4級アンモニウム塩誘導体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、アミノ変性シリコーン、ポリペプチド等が挙げられる。
【0020】
カチオン化セルロース誘導体としては、塩化o−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられ、その市販品としてはライオン(株)製のレオガード(商品名)G、同GP、ユニオンカーバイド社製のポリマーJR−125、同JR−400、同JR−30M、同LR−400、同LR−30M等が挙げられる。さらに、カチオン化セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられ、その市販品としてはナショナルスターチアンドケミカル社製のセルコート(商品名)H−100、同L−200等が挙げられる。
【0021】
カチオン化グアーガム誘導体としては、特公昭58−35640号公報、特公昭60−46158号公報及び特開昭58−53996号公報に記載されており、その市販品としてはローヌ・プーラン社製のジャガー(商品名)C−13S、同C−14S、同C−17、同C−210、同C−162、HI−CARE1000が挙げられる。
【0022】
ジメチルジアリル4級アンモニウム塩誘導体としては、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムやその誘導体が挙げられ、市販品としてはオンデオ・ナルコ社製のマーコート(商品名)100、550、280、295、プラス3330、プラス3331等が挙げられる。
【0023】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩等が挙げられ、その市販品としては、アイエスピー・ジャパン(株)製のガフコート(商品名)734、同755、同755N等が挙げられる。
【0024】
アミノ変性シリコーンとしては、アモジメチコン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、アミノプロピルジメチコン、高重合アミノプロピルジメチコン、クオタニウム−80(INCI名)等が挙げられる。
【0025】
ポリペプチドとしては、コラーゲン、ケラチン、シルク、小麦、ダイズ、ゴマ、アーモンド、卵殻膜などの各種動植物由来のタンパク質およびそれらの加水分解物、前記加水分解物の4級化誘導体、シリル化誘導体、アシル化誘導体等が挙げられる。
【0026】
その他の窒素含有重合体としては、カチオン化澱粉、メタクリル酸エステル重合体類、キチン・キトサン類が挙げられる。メタクリル酸エステル重合体類としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、塩化メタクリル酸コリン重合体等が挙げられる。メタクリル酸エステル重合体類を含有する市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のサルケア(商品名)SC95、同SC96、日油(株)製のリピジュア(商品名)HM、PMB、C等が挙げられる。
【0027】
これらの窒素含有重合体は、毛髪化粧料組成物に単独で含有してもよく、二種以上を組み合わせて含有してもよい。これらの窒素含有重合体の中でも、シトルリン類との相乗効果による毛髪強化効果を更に向上させるとともに、持続性を向上させる効果がより高いことから、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アモジメチコン、高重合アミノプロピルジメチコン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、加水分解ケラチン、シリル化加水分解ケラチン、4級化加水分解小麦タンパク質から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0028】
毛髪化粧料組成物中の窒素含有重合体含有量は任意であるが、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。この含有量が0.001質量%未満であると、シトルリン類との相乗効果を十分に発揮できないおそれがある。一方、5質量%を超えて含有した場合、毛髪がゴワつくなど感触の悪化を招くおそれがある。
【0029】
毛髪化粧料組成物は、その他の成分として、油性成分、界面活性剤、pH調整剤等毛髪化粧料組成物に通常使用される成分を、本発明の目的を損なわない範囲で任意に含有することができる。
【0030】
毛髪化粧料組成物は、毛髪にしっとり感を付与するという観点から、油性成分を含有することが好ましい。油性成分としては、シリコーン誘導体、多価アルコール、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、炭化水素等が挙げられる。
【0031】
シリコーン誘導体の具体例としては、前記窒素含有重合体に該当する成分を除いた、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。具体的には、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、高重合ジメチルポリシロキサン(シリコーンガム)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロへキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ステアロキシトリメチルシラン、トリス(トリブトキシシロキシ)メチルシラン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン(INCI名)等が挙げられる。
【0032】
毛髪化粧料組成物は、これらのシリコーン誘導体を単独で含有してもよく、二種以上を組み合わせて含有してもよい。これらのシリコーン誘導体の中でも、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類の作用を阻害せずに、毛髪のツヤ感などを改善することができることから、ジメチルポリシロキサン、高重合ジメチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0033】
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0034】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0035】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0036】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0037】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0038】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0039】
毛髪化粧料組成物はこれらの油性成分を単独で含有してもよく、二種以上を組み合わせて含有してもよい。油性成分の含有量は好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。
【0040】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0041】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル、POEセチルエーテル,POEステアリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0042】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0043】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0044】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0045】
pH調整剤としては、クエン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。その他、毛髪化粧料組成物は、上記各成分の溶媒又は分散媒として水を含有し、各成分の濃度が調整される。毛髪化粧料組成物のpHは、弱酸性、すなわちpH3以上7未満(25℃)であることが好ましい。pHを弱酸性にすることにより、シトルリン類の効果を十分に発揮させることができる。
【0046】
毛髪化粧料組成物は、その他の成分として、さらに前記窒素含有重合体を除いた水溶性ポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等)、安息香酸ナトリウムやメチルパラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、オキシベンゾンやメトキシ桂皮酸オクチル等の紫外線吸収剤、エデト酸塩やヒドロキシエタンジホスホン酸塩などのキレート剤、香料等を含有することができる。
【0047】
毛髪化粧料組成物は、液状、ミスト状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等の剤型にすることが可能である。この毛髪化粧料組成物は、シャンプー、リンス、トリートメント、スタイリング剤、ヘアトニック等のヘアケア剤として使用される。この毛髪化粧料組成物は、毛髪に適用した後に水や温水で洗い流して使用してもよく、毛髪に付着した同組成物を水や温水で洗い流さないで使用してもよい。毛髪強化効果の持続性を十分に発揮させることができるという観点から、毛髪化粧料組成物を毛髪に適用した後、同組成物を水や温水で洗い流さないで使用することが好ましい。
【0048】
この毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤等の毛髪処理剤によって損傷を受けた毛髪に適用される他、毛髪処理剤以外の要因、例えば紫外線等によって損傷を受けた毛髪に適用することによって、毛髪強化効果を発揮することができる。また、酸化染毛剤、酸性染毛料等の染毛前後処理剤として使用した場合、毛髪強化効果を発揮すると同時に、毛髪中の染料保持力が向上し、毛髪染色性向上効果、および退色抑制効果も発揮する。
【0049】
さて、毛髪化粧料組成物は、シトルリン類を毛髪強化剤の有効成分として含有する他、必要に応じて窒素含有重合体等を含有し、各成分を混合することで調製される。この毛髪化粧料組成物は、例えば酸化染毛剤による染毛処理等によって損傷を受けた毛髪に適量塗布されて使用される。そうした毛髪は、例えばシスチン結合の還元開鎖に代表されるアミノ酸の変質、毛髪ケラチンの分解によるアミノ酸の溶出等によって、毛髪ケラチンが損傷を受けている。このとき、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類は、毛髪ケラチンの損傷部分に作用する。すなわち、シトルリン類は損傷を受けた毛髪ケラチンに対し、水素結合、疎水結合等の結合力を発揮することで、毛髪内部で毛髪強化成分として有効に作用すると推測される。更に、その毛髪ケラチンに対するシトルリン類の結合状態は安定していると推測される。
【0050】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0051】
・本実施形態の毛髪強化剤は、シトルリン類を有効成分とする。このシトルリン類は、毛髪ケラチンが損傷を受けた部分に有効に作用すると推測され、損傷を受けた毛髪に対し毛髪強化効果を発揮する。更に、そうした毛髪に対するシトルリン類の結合状態は安定していると推測され、毛髪強化効果の持続性も良好である。
【0052】
・本実施形態の毛髪強化剤は、染毛前後処理剤として毛髪に対して適用した場合、毛髪強化効果及びその持続性を十分に発揮すると同時に、その染毛性を向上させたり、退色防止効果を発揮することができる。
【0053】
・本実施形態の毛髪強化剤を含有した毛髪化粧料組成物は、更に窒素含有重合体を含有することが好ましい。このように構成した場合、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類とともに含有することで、窒素含有重合体が毛髪に対し相乗的に効果を発揮すると推測され、毛髪強化効果の持続性がより向上する。
【0054】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
【0055】
・ 前記毛髪化粧料組成物は、シトルリン類以外のアミノ酸、それらの塩類およびそれらの誘導体を含有してもよい。アミノ酸、それらの塩類およびそれらの誘導体としては、グリシン、サルコシン、ジメチルグリシン、ベタイン、アラニン、β−アラニン、α−アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−オキソ酪酸、L−テアニン、バリン、β−アミノイソ吉草酸、γ−アミノイソ吉草酸、ノルバリン、β−アミノ吉草酸、γ−アミノ吉草酸、δ−アミノ吉草酸、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、セリン、α−メチルセリン、イソセリン、α−メチルイソセリン、シクロセリン、ホモセリン、トレオニン、o−メチルトレオニン、アロトレオニン、o−メチルアロトレオニン、ロセオニン、トランス−3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、シス−3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、ε−アミンカプロン酸、ω−アミノドデカン酸、β−ヒドロキシバリン、α−ヒドロキシ−β−アミノイソ吉草酸、システイン、シスチン、S−メチルシステイン、S−メチルシステイン−S−オキシド、システイン酸、ホモシステイン、ホモシスチン、メチオニン、ペニシラミン、タウリン、α,β−ジアミノプロピオン酸、オルニチン、リジン、L−アルギニン、カナリン、カナバニン、δ−ヒドロキシリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、イソアスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、イソグルタミン、α−メチルグルタミン酸、β−ヒドロキシグルタミン酸、γ−ヒドロキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、エクトイン、ランチオニン、シスタチオニン、フェニルアラニン、α−メチルフェニルアラニン、o−クロロフェニルアラニン、m−クロロフェニルアラニン、p−クロロフェニルアラニン、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン、p−フルオロフェニルアラニン、β−(2−ピリジル)アラニン、チロシン、チロニン、ジクロロチロシン、ジブロモチロシン、ジヨードチロシン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、α−メチル−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、トリプトファン、アブリン、ヒスチジン、1−メチルヒスチジン、2−メルカプトヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アントラニル酸、パラミノール及びこれらの塩等が挙げられる。
【実施例】
【0056】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜14、比較例1〜4)
実験用毛束として、過硫酸塩含有ブリーチ剤で処理したヒト黒毛束を準備した。過硫酸塩含有ブリーチ剤は、過硫酸塩を含有する粉末状の第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とから構成されている市販品(ホーユー株式会社製 ホーユーパウダーブリーチ)を用い、ヒト黒毛束を常法に従い脱色処理し、実験用毛束を得た。なお、これら実験用毛束は金色となった。また後述の引張試験機を用い、引っ張り強度が処理前よりも低下したことを確認した。次に、表1に示す各例の洗い流さないヘアトリートメントを調製し、実験用毛束にそれぞれ適量塗布しなじませ、恒温恒湿槽(25℃、相対湿度30%)の雰囲気下で60分放置したのち、後述の実験に供した。なお、表1をはじめ以下に記載する処方中の各成分の含有量を示す数値の単位は、特記のない限り全て質量%を意味する。
【0057】
前記実験用毛束を用い、毛髪強化効果及び感触に関する以下の評価をおこなった。それらの評価結果を表1に併記した。
【0058】
<毛髪強化効果>
(強度増加率)
各例の洗い流さないヘアトリートメントで処理する前後に、実験用毛束について、引張試験機(テンシロン(商品名)UTM−II、東洋ボールドウィン社製)を用いて破断応力値を測定し、その値の増加率を強度増加率(%)とした。求めた強度増加率について、次の基準で評価した。
優れる(◎):強度増加率が9%以上、良好(○):強度増加率が7%以上9%未満、やや不良(△):強度増加率が5%以上7%未満、不良(×):強度増加率が5%未満。
【0059】
(強度持続率)
各例の洗い流さないヘアトリートメントで処理した実験用毛束を、恒温恒湿槽(25℃、相対湿度55%)にて5日間保存後、上記の強度増加率評価と同様に破断応力値を測定した。それらの破断応力値から次式により強度持続率を求めた。
強度持続率(%)=[(5日後の破断応力値)/(処理直後の破断応力値)]×100
求めた強度持続率について、次の基準で評価した。
優れる(◎):強度持続率が98%以上、良好(○):強度持続率が97%以上98%未満、やや不良(△):強度持続率が95%以上97%未満、不良(×):強度持続率が95%未満。
【0060】
<感触>
(うるおい感)
各例の洗い流さないヘアトリートメントで処理した実験用毛束について、5名のパネラーが指を通し、うるおい感が非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、及び悪い場合を1点とする4段階で採点した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点を次の基準で評価した。
優れる(◎):平均点が3.6点以上、良好(○):平均点が2.6点以上3.5点以下、やや不良(△):平均点が1.6点以上2.5点以下、不良(×):1.5点以下。
【0061】
(指通り性)
各例の洗い流さないヘアトリートメントで処理した実験用毛束について、5名のパネラーが指を通し、指通りが非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、及び悪い場合を1点とする4段階で採点した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点を次の基準で評価した。
優れる(◎):平均点が3.6点以上、良好(○):平均点が2.6点以上3.5点以下、やや不良(△):平均点が1.6点以上2.5点以下、不良(×):1.5点以下。
【0062】
【表1】

【0063】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜14の洗い流さないヘアトリートメントは本発明の毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類を含有しているため、毛髪強化効果、および感触に関するいずれの評価結果も、優れる又は良好であった。特に実施例2〜14は、さらに窒素含有重合体を含有しているため、毛髪強化効果、および感触に関するいずれの評価結果も優れるであった。一方、比較例1の洗い流さないヘアトリートメントは、毛髪強化剤の有効成分であるシトルリン類を含有していないため、毛髪強化効果の各評価結果はいずれも不良であった。比較例2〜4は、実施例2のL−シトルリンに代えて従来知られている毛髪強化成分である各種アミノ酸を含有しているが、毛髪強化効果の持続性がいずれも不良であった。このように、アミノ酸の中でもシトルリン類は、毛髪の強度増加率と共に強度持続率にも優れるという、従来技術では得られない優れた毛髪強化効果を発揮することがわかる。
【0064】
(実施例15、比較例5)
次に、実施例15として以下に示す組成の洗い流すへアトリートメントを調製し、実施例1〜14で用いたものと同じ実験用毛束にそれぞれ適量塗布しなじませ、1分放置後洗い流し乾燥させた。また、下記組成のうちL−シトルリンのみ省略した比較例5のヘアトリートメントも調製し、同様の処理をおこなった。
【0065】
(洗い流すヘアトリートメント) 質量%
L−シトルリン・・・・・・・・・・・・・・・0.05
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・・5.0
セトステアリルアルコール・・・・・・・・・・5.0
パルミチン酸イソプロピル・・・・・・・・・・0.5
オリーブ油・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5
アモジメチコン・・・・・・・・・・・・・・・3.0
流動パラフィン・・・・・・・・・・・・・・・1.0
ジグリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・4.0
メトキシ桂皮酸オクチル・・・・・・・・・・・0.05
安息香酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・1.2
香料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2
精製水・・・・・・・・・・・全部で100%とする量
【0066】
実施例15および比較例5の洗い流すヘアトリートメントで処理した毛束について、実施例1〜14と同様の評価基準で評価した結果、実施例15のヘアトリートメントで処理した場合の毛髪強化効果に関する評価は良好で、感触に関する評価は優れるであった。一方比較例5のヘアトリートメントで処理した場合、感触に関する評価は良好であったが、毛髪強化効果に関する各評価はいずれも不良であった。
【0067】
(実施例16、比較例6)
次に、実施例16として以下に示す組成の毛髪化粧料を調製し、染毛前処理剤として使用した。この毛髪化粧料を実施例1〜14で用いたものと同じ実験用毛束にそれぞれ適量塗布しなじませた後、すぐにドライヤーで乾燥させた。また、下記組成のうちL−シトルリンのみ省略した比較例6の毛髪化粧料も調製し、同様の処理をおこなった。
【0068】
(毛髪化粧料) 質量%
L−シトルリン・・・・・・・・・・・・・・・0.5
エタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0
シリル化加水分解コラーゲン・・・・・・・・・0.3
ヒドロキシエチルセルロース・・・・・・・・・0.5
グリシン・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5
ジプロピレングリコール・・・・・・・・・・・3.0
メチルパラベン・・・・・・・・・・・・・・・1.2
精製水・・・・・・・・・・・全部で100%とする量
乾燥後、次いで市販の酸化染毛剤(ホーユー株式会社製 ビューティラボヘアカラー ナチュラルブラウン)を用い常法に従い染毛処理し、市販のシャンプー(ホーユー株式会社製 ビゲントリートメントシャンプー)で洗浄し乾燥させた。
【0069】
実施例16および比較例6の毛髪化粧料で前処理したのち染毛処理した毛束について、実施例1〜14と同様の評価基準で評価した結果、実施例16の毛髪化粧料で前処理した場合の毛髪強化効果に関する評価は良好で、感触に関する評価は優れるであった。一方比較例6の毛髪化粧料で前処理した場合、感触に関する評価は良好であったが、毛髪強化効果に関する各評価はいずれも不良であった。
【0070】
さらに、これら毛束の染まりを目視で確認した結果、実施例16の毛髪化粧料で前処理した毛束と比べ、比較例6の毛髪化粧料で前処理した毛束は明らかに染まりが浅かった。
【0071】
(実施例17、比較例7)
次に、実施例17および比較例7として、それぞれ実施例16および比較例6で用いた毛髪化粧料を、染毛後処理剤として使用した。実施例1〜14で用いたものと同じ実験用毛束を、市販の酸化染毛剤(ホーユー株式会社製 ビューティラボヘアカラー ナチュラルブラウン)を用い常法に従い染毛処理し、市販のシャンプー(ホーユー株式会社製 ビゲントリートメントシャンプー)で洗浄後、濡れた状態のまま実施例16および比較例6で用いた毛髪化粧料を適量塗布しなじませた後、すぐにドライヤーで乾燥させた。
【0072】
実施例16および比較例6の毛髪化粧料で後処理した毛束について、実施例1〜14と同様の評価基準で評価した結果、実施例16の毛髪化粧料で後処理した場合の毛髪強化効果に関する評価は良好で、感触に関する評価は優れるであった。一方比較例6の毛髪化粧料で後処理した場合、感触に関する評価は良好であったが、毛髪強化効果に関する各評価はいずれも不良であった。なお、本実施例での強度増加率評価における処理前の強度は、染毛処理前に測定したものである。
【0073】
さらに、これら毛束につき、別途50℃のラウリル硫酸ナトリウム1%水溶液に浸漬させた。10分間放置後に毛束を水洗し、乾燥させたのち目視で染まりを確認した。その結果、実施例16の毛髪化粧料で後処理した毛束と比べ、比較例6の毛髪化粧料で後処理した毛束は明らかに色が褪せていた。
【0074】
実施例16および17の結果のとおり、本願発明の毛髪強化剤は、毛髪強化効果を発揮すると同時に、染毛前処理剤または後処理剤としても優れた作用を発揮することが分かった。これは、毛髪強化に伴なって毛髪の染料保持能力が高まったものと推測される。
【0075】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・シトルリンおよびその塩類から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする染毛用前後処理剤。このように構成した場合、毛髪強化効果はもとより、染毛前処理剤としては染毛性を高める効果を発揮することができ、染毛後処理剤としては退色防止効果を発揮することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シトルリンおよびその塩類から選ばれる1種または2種以上を有効成分とすることを特徴とする毛髪強化剤。
【請求項2】
請求項1記載の毛髪強化剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
窒素含有重合体を含有することを特徴とする請求項2記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
請求項2または3記載の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用することによる毛髪強化方法。

【公開番号】特開2010−6724(P2010−6724A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165382(P2008−165382)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】