説明

毛髪染色剤用の活性成分混合物

【課題】ケラチン繊維染色製剤の提供。
【解決手段】(A)少なくとも1種のシリコーン油および/またはシリコーンガム、および(B)式(I):


[式中、nは1〜3の整数であり、Yは生理適合性アニオンである。]に相当する少なくとも1種のモノマー単位を有する少なくとも1種のポリマー、から構成されるヘア・ケア成分の組合せを、染料および/または染料前駆物質の他に含有する染色製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘア・ケア成分の組合せを含有する毛髪色素、およびこの組合せを用いる染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ヒトの毛髪はヘア・ケア製剤を用いて多くの異なった方法で処理される。そのような処理には、例えばシャンプーによる洗髪、リンスやトリートメントによるケアおよび再生、染色着色製剤、ウェーブ製剤およびスタイリング製剤による毛髪の漂白、染色および整髪が含まれる。これらの中で、毛髪の色調を変化させシェードをつけるための製剤が優勢的な地位を占めている。
【0003】
所謂酸化染料は、相当する堅牢特性により色落ちのない強い色彩用に使用される。酸化染料は通常、酸化染料前駆物質、所謂第一中間体および第二中間体を含む。第一中間体は、相互に、または酸化剤または大気中での酸素環境の影響下で1種またはそれ以上の第二中間体とカップリングして実際の色素を形成する。酸化染料と直接染料の組合せは、特別なシェードを得るためにもしばしば用いられる。酸化染料は、優れた長続きする着色結果により区別される。
直接染料を着色成分として含有する染料または染色剤は、一時的な着色用に通常用いられる。直接染料は、直接毛髪へ吸収され、顕色するための酸化工程を必要としない染料分子をベースとする。このような染料は、例えばヘンナであり、これは古代より身体や毛髪を染色するために用いられてきた。相当する色調は一般にシャンプーに対して敏感であるため、望ましくない変色や目立った「脱色」さえ起こり得る。
【0004】
この種の一時的着色で不都合なことは、これらは天然の毛髪色調上に添加され、それ故に最初の色調より暗い色合いにしかならないことである。このため、直接染料をベースとする染料は、実際の着色に加えて繊維当初の色調を明るくするために、しばしば酸化剤と組合せて使用される。
そこで、いずれの方法でも、例えば過酸化水素溶液のような強い酸化剤を用いることが必要となる。これは染色される毛髪にダメージを与え得るので、ダメージを妨げるために、相当するヘア・ケア製品で毛髪を処理しなければならない。
従って、毛髪を特別な後処理に付すことが、長く行なわれてきた標準的技法であった。この特別な後処理では、通常リンスとして処方された、例えば第四級アンモニウム塩或いは特別なポリマーなどの特別な活性物質で毛髪を処理する。その処方に応じて、この処理は、毛髪の櫛通り、保持および嵩高さを改善し、枝毛の数を減少させる。
【0005】
更に、通常の多段階工程(特に使用者が直接適用する場合)に関与する労力を減らすため、所謂組合せ製剤がごく最近開発されてきた。
例えば毛髪の染色用では、これらの製剤は通常の成分のほかに、従前は後処理製剤用に確保されていた活性物質を追加的に含有する。その結果、使用者が行なう工程が一つ少なくなる。同時に、使用する製品が一つ少なくなるので、包装にかかる費用が低減する。
そのような組合せ製剤中の活性物質は、特にその安定性に関して厳しい要件を満たさなければならない。なぜなら染料クリームのpHは通常高く、酸化剤製剤のpHは低いからである。更に、様々な活性物質間の不親和性それ故の貯蔵安定性の悪さを避けなければならない。
【0006】
特許出願 DE-A-199 14 927、 DE-A-199 14 926 および DE-A-44 08 506 は、酸化染料中で使用するための活性物質のそのような組合せを開示する。それにもかかわらず、相当する製剤はそのヘア・ケア特性、特に例えば日本人の毛髪のようにケアが容易でない毛髪に対するヘア・ケア特性に関して未だ満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、良好なヘア・ケア特性と容易な生分解性を兼ね備え、毛髪への望ましくない蓄積傾向のない活性物質または活性物質の組合せに対する要請が今もなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、シリコーン油と特別なポリマーの組合せは、上述の不都合を何ら有さず、同時に、処理した繊維の手触り、湿った櫛通り性および光沢を、特にアジア人の毛髪の場合に改善することが判明した。
本発明の製剤は、その適用の容易さによっても区別される。即ち、その製剤は、繊維に対し良好な接着を与え、薄過ぎない堅さ(コンシステンシー)を有する。本発明による活性物質の組合せは、その増粘特性に関し驚くべき相乗作用も示すことを見出した。
【0009】
よって、第一の実施態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のシリコーン油および/またはシリコーンガム、および
(B)式(I):
【化1】

[式中、nは1〜3の数であり、Yは生理適合性アニオンである。]
に相当する少なくとも1種のモノマー単位を有する少なくとも1種のポリマー、
から構成されるヘア・ケア成分の組合せを、染料および/または染料前駆物質の他に含有するケラチン繊維染色製剤に関する。
本発明において、ケラチン繊維は、毛皮、羊毛、羽毛、特にヒトの毛髪であるものと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によると、生理適合性アニオンは、例えば、クロリド、ブロミド、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩および乳酸塩である。本発明による好ましいアニオンはクロリドである。
本発明の好ましい態様では、活性物質組合せの両成分は染料クリーム中に組み込まれるが、別の態様では成分(A)は酸化剤製剤中でさえ存在してよい。この態様では、本発明の活性物質組合せを含有する製剤は、その2つの成分の混合後にのみ得られる。
【0011】
本発明によると、適当なシリコーンまたはシリコーンガムは、とりわけ、ジアルキルおよびアルキルアリルシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン並びにそれらのアルコキシル化、第四級化およびアニオン性誘導体である。
そのようなシリコーンの例は:
・ポリジメチルシクロシロキサンオリゴマー (INCI 名: シクロメチコン)、とりわけ DC 344 および DC 345 の名称で Dow Corning から市販されている四量体および五量体化合物、
・ヘキサメチルジシロキサン (INCI 名: ヘキサメチルジシロキサン)、例えば Abil(登録商標) K 520 の名称の市販製品、
・ポリジメチルシロキサンポリマー (INCI 名: ジメチコン)、例えば DC 200 の名称の Dow Corning による市販製品、
・ポリフェニルメチルシロキサン (INCI 名: フェニルトリメチコン)、例えば DC 566 Fluid の名称の Dow Corning による市販製品、
・シリコーン/グリコール共重合体 (INCI 名: ジメチコンコポリオール)、例えば DC 190 および DC 193 の名称の Dow Corning による市販製品、
・シリコーン/グリコール共重合体のエステルおよび部分エステル: Fancorsil(登録商標) LIM の名称で Fanning により市販されている (INCI 名: ジメチコンコポリオール メドーフォーメート)、
・ヒドロキシ末端化ジメチルシロキサン (INCI 名: ジメチコノール)、例えば Dow Corning による市販製品であるDC 1401 および Q2-1403 、
・網の官能性ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシアミノ変性シリコーン (INCI 名: とりわけアモジメチコンおよびクオタニウム-80)、例えば市販製品 XF42-B1989 (製造業者: GE 東芝シリコーン)、 Q2-7224 (製造業者: Dow Corning、安定化トリメチルシリルアモジメチコン)、 Dow Corning(登録商標) 939 Emulsion (アモジメチコンとしても既知のヒドロキシアミノ変性シリコーンを含有する)、 SM-2059 (製造業者: General Electric)、 SLM-55067 (製造業者: Wacker) および Abil(登録商標)-Quat 3270 および 3272 (製造業者: Th. Goldschmidt)、
・アニオン性シリコーン油、例えば、製品 Dow Corning(登録商標) 1784。
【0012】
好ましい態様では、本発明の製剤は、揮発性および不揮発性のシリコーンを含有する。本発明における揮発性シリコーンは、環状五量体ジメチルシロキサンの揮発性と同じかそれより高い揮発性を有するシリコーンである。そのような組合せは市販製品 (例えば、それぞれシクロメチコンおよびジメチコノールの混合物である Dow Corning(登録商標) 1401、 Dow Corning(登録商標) 1403 および Dow Corning(登録商標) 1501)としても得ることができる。
【0013】
特に好ましい態様では、ジアルキルポリシロキサンまたはその誘導体の1種を成分(A)として用いる。アルキル基であるメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルが好ましい。ジメチルポリシロキサンまたはその誘導体の1種は特に好ましい。ジアルキルポリシロキサンのアミノ官能性誘導体は好ましく;ジメチルポリシロキサンのアミノ官能性誘導体は特に好ましい。最も好ましい誘導体はアモジメチコンの INCI 名で市販されている。
【0014】
本発明の製剤は、好ましくは0.05〜10重量%、とりわけ0.1〜5重量%の量のシリコーンを全製剤に対して含有する。
第一の好ましい態様では、本発明によるヘア・ケア成分の組合せの成分(B)はカチオン性ポリマーである。これらは特に、ジメチルジアリルアンモニウム塩(式(I)のモノマー単位に相当する)のホモポリマーおよびジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルおよびアミドとの共重合体である。Merquat(登録商標) 100 (ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド)) および Merquat(登録商標) 550 (ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体)の名称の市販製品がそのようなカチオン性ポリマーの例である。
【0015】
第二の好ましい態様では、本発明によるヘア・ケア成分の組合せの成分(B)は両性ポリマーである。これらは特に、ジメチルジアリルアンモニウム塩(式(I)のモノマー単位に相当する)とアクリル酸および/またはメタクリル酸との共重合体である。アクリル酸との共重合体は特に好ましい。 Merquat(登録商標) 280 (ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、 INCI 名: ポリクオタニウム-22) がそのようなポリマーの例である。
【0016】
特に好ましい他の両性共重合体は、式(I)のモノマー単位とアクリル酸および/またはメタクリル酸単位に加えて、少なくとも一種のノニオン性子モノマーを含有するものである。そのようなノニオン性コモノマーの例は、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルまたはアミドである。Merquat(登録商標) Plus 3330 (ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸/アクリルアミド三元重合体、 INCI 名: ポリクオタニウム-39)として市販されている製品がそのような好ましいポリマーの例である。
【0017】
第一の好ましい態様では、本発明の染料は少なくとも1種の染料前駆物質を含有する。本発明は、本発明の染料中に用いられる染料前駆物質に関し、決して限定されるものではない。本発明の染料は、
・第一および第二中間体タイプの酸化染料前駆物質、および
・インドールおよびインドリン誘導体のような「天然−類似」色素の前駆体、
並びにこれらの群の典型例の混合物を染料前駆物質として含有してよい。
【0018】
本発明の染料は、少なくとも1種の第一中間体を染料前駆物質として含有することが好ましい。通常用いられる第一中間体は、別の遊離または置換ヒドロキシまたはアミノ基をパラ位或いはオルト位に有する第一級芳香族アミン、ジアミノピリジン誘導体、複素環式ヒドラゾン、 4-アミノピラゾール誘導体および 2,4,5,6-テトラアミノピリミジン並びにそれらの誘導体である。
【0019】
本発明の特に好ましい態様では、p−フェニレンジアミン誘導体またはその生理適合性の塩の1種を第一中間体として用いる。式(E1):
【化2】

[式中、
・G1 は水素原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 (C1-4)-アルコキシ-(C1-4)-アルキル基、 4'-アミノフェニル基、または窒素含有基、フェニル基或いは 4'-アミノフェニル基により置換されたC1-4 アルキル基を表わし;
・G2 は水素原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 (C1-4)-アルコキシ-(C-1-4)-アルキル基、または窒素含有基により置換された C1-4 アルキル基を表わし;
・G3 は水素原子、塩素、臭素、ヨウ素或いはフッ素原子のようなハロゲン原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 C1-4 ヒドロキシアルコキシ基、 C1-4 アセチルアミノアルコキシ基、 C1-4 メシルアミノアルコキシ基または C1-4 カルバモイルアミノアルコキシ基を表わし;
・G4 は水素原子、ハロゲン原子または C1-4 アルキル基であるか、または
・G3 および G4 が互いにオルト位にある場合、それらは一緒になって例えば、エチレンジオキシ基のような架橋α,ω-アルキレンジオキソ基を形成してよい。]
に相当するp−フェニレンジアミン誘導体が特に好ましい。
【0020】
本発明の化合物中で置換基として言及される C1-4 アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチル基である。エチルおよびメチル基が好ましいアルキル基である。本発明によると、好ましい C1-4 アルコキシ基は、例えば、メトキシまたはエトキシ基である。C1-4 ヒドロキシアルキル基の他の好ましい例は、ヒドロキシメチル、 2-ヒドロキシエチル、 3-ヒドロキシプロピルまたは 4-ヒドロキシブチル基である。 2-ヒドロキシエチル基は特に好ましい。本発明によると、ハロゲン原子の例はF、ClまたはBr原子である。Cl原子が最も好ましい。本発明によると、使用される他の用語は、ここに与えられた定義に由来する。式(E1)に相当する窒素含有基の例は、とりわけ、アミノ基、 C1-4 モノアルキルアミノ基、 C1-4 ジアルキルアミノ基、 C1-4 トリアルキルアンモニウム基、 C1-4 モノヒドロキシアルキルアミノ基、イミダゾリニウムおよびアンモニウムである。
【0021】
式(E1)に相当する特に好ましいp−フェニレンジアミンは、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、 2-クロロ-p-フェニレンジアミン、 2,3-ジメチル-p-フェニレンジアミン、 2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、 2,6-ジエチル-p-フェニレンジアミン、 2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、 N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、 N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン、 N,N-ジプロピル-p-フェニレンジアミン、 4-アミノ-3-メチル-(N,N-ジエチル)-アニリン、 N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、 4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-メチルアニリン、 4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-クロロアニリン、 2-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、 2-フルオロ-p-フェニレンジアミン、 2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、 N-(β-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、 2-ヒドロキシメチル-p-フェニレンジアミン、 N,N-ジメチル-3-メチル-p-フェニレンジアミン、 N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、 N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、 N-(4'-アミノフェニル)-p-フェニレンジアミン、 N-フェニル-p-フェニレンジアミン、 2-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-p-フェニレンジアミン、 2-(β-アセチルアミノエチルオキシ)-p-フェニレンジアミン、 N-(β-メトキシエチル)-p-フェニレンジアミンおよび 5,8-ジアミノベンゾ-1,4-ジオキサンおよびそれらの生理適合性の塩から選択される。
本発明によると、式(E1)に相当する最も好ましいp−フェニレンジアミン誘導体は、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、 2-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミンおよび N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミンである。
【0022】
本発明の別の好ましい態様において、アミノ基および/またはヒドロキシル基により置換された少なくとも2つの芳香核を含む化合物を、第一中間体として用いてよい。
本発明の染料組成物中に用い得る二核の第一中間体は、特に式(E2):
【化3】

[式中、
・Z1 および Z2 は互いに独立して、ヒドロキシルまたは NH2 基を表わし、場合により、 C1-4 アルキル基、 C1-4 ヒドロキシアルキル基および/または架橋基 Y により置換され、或いは場合により架橋環系の一部であってよく、
・架橋基 Y は、 C1-14 アルキレン基、例えば、直鎖または分枝のアルキレン鎖またはアルキレン環であり、1またはそれ以上の窒素含有基および/または酸素、硫黄または窒素原子などの1またはそれ以上のヘテロ原子により分断化または末端化されてよく、場合により1またはそれ以上のヒドロキシル基または C1-8 アルコキシ基または直接結合で置換されていてよく、
・G5 および G6 は互いに独立して、水素またはハロゲン原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 C1-4 アミノアルキル基または架橋基 Y への直接結合を表わし、
・G7, G8, G9, G10,G11 および G12 は互いに独立して、水素原子、架橋基 Y への直接結合または C1-4 アルキル基を表わす。
(但し、
・式(E2)の化合物は、1分子当たり唯1個の架橋基 Y を有し、
・式(E2)の化合物は、少なくとも1個の水素原子を有する少なくとも1個のアミノ基を有する。)]
に相当する化合物およびこれらの生理適合性の塩を含む。
本発明によると、式(E2)中に用いられる置換基は、先に定義した通りである。
【0023】
式(E2)に相当する好ましい二核の第一中間体は、特に、 N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、 N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、 N,N'-ビス-(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、 N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、 N,N'-ビス-(4-メチルアミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、 N,N'-ジエチル-N,N'-ビス-(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)-エチレンジアミン、ビス-(2-ヒドロキシ-5-アミノフェニル)-メタン, N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,4-ジアザシクロヘプタン、 N,N'-ビス-(2-ヒドロキシ-5-アミノベンジル)-ピペラジン、 N-(4'-アミノフェニル)-p-フェニレンジアミンおよび 1,10-ビス-(2',5'-ジアミノフェニル)-1,4,7,10-テトラオキサデカンおよびこれらの生理適合性の塩である。
【0024】
式(E2)に相当する最も好ましい二核の第一中間体は、 N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパン-2-オール、ビス-(2-ヒドロキシ-5-アミノフェニル)-メタン、 N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,4-ジアザシクロヘプタンおよび 1,10-ビス-(2',5'-ジアミノフェニル)-1,4,7,10-テトラオキサデカンまたはこれらの生理適合性の塩である。
【0025】
本発明の別の好ましい態様において、p-アミノフェノール誘導体またはその生理適合性の塩を第一中間体として用いる。特に好ましいp-アミノフェノール誘導体は、式(E3):
【化4】

[式中、
・G13 は、水素原子、ハロゲン原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 (C1-4)-アルコキシ-(C1-4)-アルキル基、 C1-4 アミノアルキル基、 ヒドロキシ-(C1-4)-アルキルアミノ基、 C1-4 ヒドロキシアルコキシ基、 C1-4 ヒドロキシアルキル-(C1-4)-アミノアルキル基または (ジ-C1-4-アルキルアミノ)-(C1-4)-アルキル基を表わし、
・G14 は、水素原子またはハロゲン原子、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 (C1-4)-アルコキシ-(C1-4)-アルキル基、 C1-4 アミノアルキル基または C1-4 シアノアルキル基を表わし、
・G15 は、水素、 C1-4 アルキル基、 C1-4 モノヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表わし、
・G16 は、水素またはハロゲン原子を表わす。]
に相当する。
本発明によると、式(E3)中に用いられる置換基は、先に定義した通りである。
【0026】
式(E3)に相当する好ましいp-アミノフェノールは、特に、p-アミノフェノール、 N-メチル-p-アミノフェノール、 4-アミノ-3-メチルフェノール、 4-アミノ-3-フルオロフェノール、 2-ヒドロキシメチルアミノ-4-アミノフェノール、 4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、 4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエトキシ)-フェノール、 4-アミノ-2-メチルフェノール、 4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、 4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、 4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、 4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)-フェノール、 4-アミノ-2-フルオロフェノール、 4-アミノ-2-クロロフェノール、 4-アミノ-2,6-ジクロロフェノール、 4-アミノ-2-((ジエチルアミノ)メチル)フェノールおよびこれらの生理適合性の塩である。
式(E3)に相当する最も好ましい化合物は、p-アミノフェノール、 4-アミノ-3-メチルフェノール、 4-アミノ-2-アミノメチルフェノールおよび 4-アミノ-2-(ジエチルアミノメチル)フェノールである。
【0027】
更に、第一中間体は、o-アミノフェノールおよびその誘導体、例えば 2-アミノ-4-メチルフェノール、 2-アミノ-5-メチルフェノールまたは 2-アミノ-4-クロロフェノールから選択してよい。
第一中間体はまた、複素環式第一中間体、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、ピラゾール-ピリミジン誘導体およびこれらの生理適合性の塩から選択することもできる。
好ましいピリジン誘導体は、特に、 GB 1,026,978 および GB 1,153,196 に記載された化合物、例えば 2,5-ジアミノピリジン、 2-(4'-メトキシフェニル)-アミノ-3-アミノピリジン、 2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、 2-(β-メトキシエチル)-アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジンおよび 3,4-ジアミノピリジンである。
好ましいピリミジン誘導体は、特に、 DE 2359399, JP 02019576 A2 および WO 96/15765 に記載された化合物、例えば 2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、 4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、 2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、 2-ジメチルアミノ-4,5,6-トリアミノピリミジン、 2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジンおよび 2,5,6-トリアミノピリジンである。
【0028】
好ましいピラゾール誘導体は、特に、特許 DE 3843892 および DE 4133957 並びに特許出願 WO 94/08969, WO 94/08970, EP 740931 および DE 19543988 に記載された化合物、例えば 4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-ピラゾール、 3,4-ジアミノピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、 4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、 4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、 1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-3-tert.ブチル-1-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-tert.ブチル-3-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)-ピラゾール、 4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、 4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、 4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、 4-アミノ-5-(β-アミノエチル)-アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、 3,4,5-トリアミノピラゾール、 1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、 3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾールおよび 3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルピラゾールである。
【0029】
好ましいピラゾール-ピリミジン誘導体は、特に、下式(E4):
【化5】

[式中、
・G17, G18, G19 および G20 は互いに独立して、水素原子、 C1-4 アルキル基、アリル基、 C1-4 ヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 (C1-4)-アルコキシ-(C1-4)-アルキル基、 C1-4 アミノアルキル基(場合により、アセチルウレイドまたはスルホニル基により保護されていてよい)、 (C1-4)-アルキルアミノ-(C1-4)-アルキル基、ジ[(C1-4)-アルキル]-(C1-4)-アミノアルキル基(ジアルキル基は場合により、5或いは6連鎖の炭素環または複素環を形成する)、 C1-4 ヒドロキシアルキルまたはジ-(C1-4)-[ヒドロキシアルキル]-(C1-4)-アミノアルキル基を表わし、
・ X 基は互いに独立して、 stand for a水素原子、 C1-4 アルキル基、アリル基、 C1-4 ヒドロキシアルキル基、 C2-4 ポリヒドロキシアルキル基、 C1-4 アミノアルキル基、 (C1-4)-アルキルアミノ-(C1-4)-アルキル基、ジ[(C1-4)-アルキル]-(C1-4)-アミノアルキル基(ジアルキル基は場合により、5或いは6連鎖の炭素環または複素環を形成する)、 C1-4 ヒドロキシアルキルまたはジ-(C1-4)-[ヒドロキシアルキル]-(C1-4)-アミノアルキル基、アミノ基、 C1-4 アルキルまたはジ-(C1-4 ヒドロキシアルキル)-アミノ基、ハロゲン原子、カルボン酸基またはスルホン酸基を表わし、
・i は、 0, 1, 2 または 3 の値を有し、
・p は、 0 または 1 の値を有し、
・q は、 0 または 1 の値を有し、
・n は、 0 または 1 の値を有する。
(但し、
・p + q の合計は 0 ではなく、
・p + q = 2 の場合、 n は 0 の値を有し、 NG17G18 および NG19G20 の基は (2,3); (5,6); (6,7); (3,5) または (3,7) の位置を占め、
・p + q = 1 の媒、 n は 1 の値を有し、 NG17G18 (または NG19G20) および OH 基は (2,3); (5,6); (6,7); (3,5) または (3,7) の位置を占める。)]
に相当するピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン誘導体およびこれらの互変異性型(互変異性平衡が存在する場合)である。
本発明によると、式(E4)中に用いられる置換基は、先に定義した通りである。
【0030】
前記式(E4)に相当するピラゾール-[1,5-a]-ピリミジンが、環系の 2, 5 または 7 位の1つにヒドロキシ基を含む場合、例えば下記スキーム:
【化6】

に説明されるように互変異性平衡が存在する。
【0031】
前記式(E4)に相当するピラゾール-[1,5-a]-ピリミジンの中で、次のものを特に言及し得る:
・ピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;
・2,5-ジメチルピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;
・ピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,5-ジアミン;
・2,7-ジメチルピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,5-ジアミン;
・3-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-7-オール;
・3-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-5-オール;
・2-(3-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-7-イルアミノ)-エタノール;
・2-(7-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3-イルアミノ)-エタノール;
・2-[(3-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ]-エタノール;
・2-[(7-アミノピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ]-エタノール;
・5,6-ジメチルピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;
・2,6-ジメチルピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;
・2,5,N7,N7-テトラメチルピラゾール-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;
およびこれらの生理適合性の塩並びにこれらの互変異性型(互変異性平衡が存在する場合)。
【0032】
前記式(E4)に相当するピラゾール-[1,5-a]-ピリミジンは、報文に記載されているように、アミノピラゾールまたはヒドラジンからの環化により調製し得る。
【0033】
更に、本発明による製剤は、第一中間体および/または第二中間体タイプのカチオン性染料前駆物質を含有してよく、例えば、 WO-A1-99/03 819, WO-A2-99/03 834, WO-A1-99/03 836, WO-A1-99/48 856, WO-A1-99/48 874, WO-A1-99/48 875, WO-A2-00/42 971, WO-A1-00/42 979, WO-A1-00/42 980, WO-A1-00/43 356, WO-A1-00/43 367, WO-A1-00/43 368, WO-A1-00/43 386, WO-A1-00/43 388, WO-A1-00/43 389, WO-A1-00/43 396, EP-A1-0 984 006, EP-A1-0 984 007 および EP-A1-0 989 128 に記載されている。
特に好ましいカチオン性染料前駆物質は、
[2-(2',5'-ジアミノフェノキシ)-エチル]-ジエチルメチルアンモニウムクロリド、
[2-(4'-アミノフェニルアミノ)-プロピル]-トリメチルアンモニウム クロリド、
[4-(4'-アミノフェニルアミノ)-ペンチル]-ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)-アンモニウムクロリド、
1-{[5'-アミノ-2'-(2''-ヒドロキシエチルアミノ)-フェニルカルバモイル]-メチル}-1,4-ジメチルピペラジン-1-イウムクロリド、
1,4-ビス-l-{3-[3'-(2'',5''-ジアミノフェノキシ)-プロピル]-3H-イミダゾール-1-イウム}-ブタンジクロリド、
1,3-ビス-[3'-(2'',5''-ジアミノフェノキシ)-プロピル]-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
N,N'-ビス-[3-N-メチル-4-N-(4'-アミノアニリン)-エチル]-1,1,4,4-テトラメチルジアンモニウム 1,3-プロパンジブロミド、
1,3-ビス-1-{3-{3'-[(4"-アミノ-3"-メチルアニリン)-N-プロピル]}-3H-イミダゾール-1-イウム}-プロパンジクロリド、
1,3-ビス-1-{3-{3'-[(4"-アミノアニリン)-N-プロピル]}-3H-イミダゾール-1-イウム}-プロパンジクロリド、
1,3-ビス-1-{3-{3'-[(4"-アミノ-2"-メチルアニリン)-N-プロピル]}-3H-イミダゾール-1-イウム}-プロパンジクロリド、
3-[3-(4'-アミノフェニルアミノ)-プロピル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド,
[3-(2',5'-ジアミノフェノキシ)-プロピル]-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[3-(4'-アミノ-3'-メチルフェニルアミノ)-プロピル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[3-(4'-アミノ-2'-メチルフェニルアミノ)-プロピル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1-[2-(4'-アミノ-2'-メトキシフェニルアミノ)-エチル]-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド,
3-[3-(4'-アミノ-2'-フルオロフェニルアミノ)-プロピル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[3-(4'-アミノ-2'-シアノフェニルアミノ)-プロピル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[2-(2',5'-ジアミノフェニル)-エチル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1-{2-[(4'-アミノフェニル)-エチルアミノ]-エチル}-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
N,N-ビス-[2-(3'-メチル-3H-イミダゾール-1-イウム)-エチル]-4-アミノアニリン クロリド、
3-[2-(4'-アミノフェニルアミノ)-ブチル]-l-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
[2-(2',4'-ジアミノフェノキシ)-エチル]-ジエチルメチルアンモニウム クロリド,
1-[3-(2',4'-ジアミノフェノキシ)-プロピル]-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1-[(3'-ヒドロキシ-4'-メチルフェニルカルバモイル)-メチル]-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1,4-ビス-1-{3-[3-(2',4'-ジアミノフェノキシ)-プロピル]-3H-イミダゾール-1-イウム}-ブタンジクロリド、
3-[(3'-ヒドロキシ-4'-メタンスルホニルアミノフェニルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[(3',5'-ジクロロ-2'-ヒドロキシ-4'-メチルフェニルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1-[(3',5'-ジクロロ-2'-ヒドロキシ-4'-メチルフェニルカルバモイル)-メチル]-1,4-di-メチルピペラジン-1-イウムクロリド、
3-[(4'-アセチルアミノ-2'-ヒドロキシフェニルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
4-{3-[(3'-ヒドロキシナフタレン-2'-カルボニル)-アミノ]-プロピル}-4-メチル-モルホリン-4-イウムイオジド、
3-[(1'-ヒドロキシナフタレン-2'-イルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[(5'-アセチルアミノ-1'-ヒドロキシナフタレン-2'-イルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[(1'-ヒドロキシ-5'-メタンスルホニルアミノナフタレン-2'-イルカルバモイル)-メチル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
[3-(4'-アミノ-2',5'-ジメチル-2H-ピラゾール-3'-イルアミノ)-プロピル]-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムクロリド、
1,3-ビス-[(2'-ヒドロキシ-4'-メチルフェニルカルバモイル)-メチル]-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1-[2-(6'-アミノベンゾ[1,3]ジオキソール-5'-イルアミノ)-エチル]-3-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
3-[2-(6'-アミノベンゾ[1,3]ジオキソール-5'-イルアミノ)-エチル]-1-(4-{3-[2-(6''-アミノ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5''-イルアミノ)-エチル]-3H-イミダゾール-1-イウム}-ブチル)-3H-イミダゾール-1-イウムジクロリド、
3-[3-(3'-アミノ-5'-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7'-イルアミノ)-プロピル]-1-(2-ヒドロキシエチル)-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
1,3-ビス-1-{3-{3-[(2'-アミノ-アニリン)-N-プロピル]}-3H-イミダゾール-1-イウム}-プロパンジブロミド、
N,N'-ビス-[3-N-(2'-アミノ-アニリン)-N-プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルジアンモニウム 1,3-プロパンジブロミド、
3-[3-(2'-アミノフェニルアミノ)-プロピル]-1-メチル-3H-イミダゾール-1-イウムクロリド、
[2-(2'-アミノフェニルアミノ)-エチル]-トリメチルアンモニウムクロリド、および
3-(4'-ヒドロキシ-1'-メチル-1H-インドール-5'-イルメチル)-1-メチル-ピリジニウムメトサルフェートである。
【0034】
本発明によると、他の好ましい染料は、少なくとも1つの第二中間体を染料前駆物質として含有する。m-フェニレンジアミン誘導体、ナフトール、レゾルシノールおよびレゾルシノール誘導体、ピラゾロンおよびm-アミノフェノール誘導体は、第二中間体として一般に用いられる。特に適した第二中間体は、 1-ナフトール、 1,5-, 2,7- および 1,7-ジヒドロキシナフタレン、 5-アミノ-2-メチルフェノール、 m-アミノフェノール、レゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、 1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、 2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、 1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、 2-クロロレゾルシノール、 4-クロロレゾルシノール、 2-クロロ-6-メチル-3-アミノフェノール、 2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、 2-メチルレゾルシノール、 5-メチルレゾルシノールおよび 2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノールである。
【0035】
本発明によると、好ましい第二中間体は、
・m-アミノフェノールおよびその誘導体、例えば、 5-アミノ-2-メチルフェノール、 3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、 2-ヒドロキシ-4-アミノフェノキシエタノール、 2,6-ジメチル-3-アミノフェノール、 3-トリフルオロアセチルアミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、 5-アミノ-4-クロロ-2-メチルフェノール、 5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、 5-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-メチルフェノール, 3-(ジエチルアミノ)-フェノール、 N-シクロペンチル-3-アミノフェノール、 1,3-ジヒドロキシ-5-(メチルアミノ)-ベンゼン、 3-(エチルアミノ)-4-メチルフェノールおよび 2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、
・o-アミノフェノールおよびその誘導体、
・m-ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、 2,4-ジアミノフェノキシエタノール、 1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、 1-メトキシ-2-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)-ベンゼン、 1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェニル)-プロパン、 2,6-ビス-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メチル-ベンゼンおよび 1-アミノ-3-ビス-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノベンゼン、
・o-ジアミノベンゼンおよびその誘導体、例えば、 3,4-ジアミノ安息香酸および 2,3-ジアミノ-1-メチルベンゼン、
・ジ- およびトリ ヒドロキシベンゼン誘導体、例えば、レゾルシノール、レゾルシノールモノメチルエーテル、 2-メチルレゾルシノール、 5-メチルレゾルシノール、 2,5-ジメチルレゾルシノール、 2-クロロレゾルシノール、 4-クロロレゾルシノール、ピロガロールおよび 1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、
・ピリジン誘導体、例えば、 2,6-ジヒドロキシピリジン、 2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、 2-アミノ-5-クロロ-3-ヒドロキシピリジン、 3-アミノ-2-メチルアミノ-6-メトキシピリジン、 2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチル-ピリジン、 2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、 2,6-ジアミノピリジン、 2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジンおよび 3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシ-ピリジン、
・ナフタレン誘導体、例えば、 1-ナフトール、 2-メチル-1-ナフトール、 2-ヒドロキシメチル-1-ナフトール、 2-ヒドロキシエチル-1-ナフトール、 1,5-ジヒドロキシナフタレン、 1,6-ジヒドロキシナフタレン、 1,7-ジヒドロキシ-ナフタレン、 1,8-ジヒドロキシナフタレン、 2,7-ジヒドロキシナフタレンおよび 2,3-ジヒドロキシナフタレン、
・モルホリン誘導体、例えば、 6-ヒドロキシベンゾモルホリンおよび 6-アミノベンゾモルホリン、
・キノキサリン誘導体、例えば、 6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、
・ピラゾール誘導体、例えば、 1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、
・インドール誘導体、例えば、 4-ヒドロキシインドール、 6-ヒドロキシインドールおよび 7-ヒドロキシインドール、
・ピリミジン誘導体、例えば、 4,6-ジアミノピリミジン、 4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、 2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、 2,4,6-トリヒドロキシピリミジン、 2-アミノ-4-メチルピリミジン、 2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジンおよび 4,6-ジヒドロキシ-2-メチルピリミジン、または
・メチレンジオキシベンゼン誘導体、例えば、 1-ヒドロキシ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、 1-アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼンおよび 1-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-3,4-メチルレンジオキシベンゼン、
である。
【0036】
特に好ましい第二中間体は、 1-ナフトール、 1,5-, 2,7- および 1,7-ジヒドロキシナフタレン、 3-アミノフェノール、 5-アミノ-2-メチルフェノール、 2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、レゾルシノール、 4-クロロ-レゾルシノール、 2-クロロ-6-メチル-3-アミノフェノール、 2-メチルレゾルシノール、 5-メチルレゾルシノール、 2,5-ジメチルレゾルシノール および 2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジンである。
【0037】
染料前駆物質がアミノ化合物である場合、それらから通常の方法で既知の添加塩を調製してよい。従って、本明細書の全記載、つまりクレームされた保護範囲は、遊離形態で存在する化合物とそれらの水溶性生理適合性の塩の両方に関する。そのような塩の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩および乳酸塩である。
第一/第二中間体タイプの酸化染料前駆物質は、本発明の製剤中で、好ましくは全製剤に対し0.01〜20重量%、とりわけ0.1〜5重量%の量で存在する。
【0038】
本発明によると、他の好ましい染料前駆物質は、「天然類似」色素の前駆物質である。「天然類似」色素の好ましい前駆物質は、少なくとも1つのヒドロキシ基またはアミノ基を好ましくは六環上の置換基として含むインドールおよびインドリンである。これらの基は、例えばヒドロキシ基のエーテル化またはエステル化の形態で、またはアミノ基のアルキル化の形態で、更に置換基を有してよい。第二の好ましい態様において、染料は少なくとも1つのインドールおよび/またはインドリン誘導体を含む。
「天然類似」毛髪色素の特に適した前駆物質は、式(Ia):
【化7】

[式中、互いに独立して、
・R1 は水素、 C1-4 アルキル基、 C1-4 ヒドロキシアルキル基または C2-4 ポリヒドロキシアルキル基であり、
・R2 は水素または -COOH 基であり、 -COOH 基は場合により、生理適合性カチオンとの塩として存在し、
・R3 は水素または C1-4 アルキル基であり、
・R4 は水素、 C1-4 アルキル基または-CO-R6 基( R6 は C1-4 アルキル基)であり、
・R5 はR4 について記した基の1つである。]
に相当する 5,6-ジヒドロキシインドリン誘導体およびこれらの化合物と有機或いは無機酸との生理適合性の塩である。
【0039】
特に好ましいインドリン誘導体は、 5,6-ジヒドロキシインドリン、 N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、 N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、n−プロピル-5,6-ジヒドロキシインドリン、 N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、 5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸および 6-ヒドロキシインドリン、 6-アミノインドリンおよび 4-アミノインドリンである。
この群の中で特に強調するものは、 N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、 N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、n−プロピル-5,6-ジヒドロキシインドリン、 N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドリンであって、特に、 5,6-ジヒドロキシインドリンである。
【0040】
「天然類似」毛髪色素の他の特に適した前駆物質は、式(Ib):
【化8】

[式中、互いに独立して、
R1 は水素、 C1-4 アルキル基または C1-4 ヒドロキシアルキル基であり、
R2 は水素または -COOH 基であり、-COOH 基は場合により、生理適合性カチオンとの塩として存在し、
R3 は水素または C1-4 アルキル基であり、
R4 は水素、 C1-4 アルキル基または -CO-R6 基( R6 は C1-4 アルキル基)であり、
R5 はR4 について記した基の1つである。]
に相当する 5,6-ジヒドロキシインドール誘導体およびこれらの化合物と有機或いは無機酸との生理適合性の塩である。
【0041】
特に好ましいインドール誘導体は、 5,6-ジヒドロキシインドール、 N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、 N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール、n−プロピル-5,6-ジヒドロキシインドール、 N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドール、 5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、 6-ヒドロキシインドール、 6-アミノインドールおよび 4-アミノインドールである。
この群の中で特に強調するものは、 N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、 N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール、n−プロピル-5,6-ジヒドロキシインドール、 N-ブチル-5,6-ジヒドロキシインドールであって、特に、 5,6-ジヒドロキシインドールである。
【0042】
インドリンおよびインドール誘導体は、本発明の方法において用いられる染料中で、遊離塩基として使用してもよいし、それらの無機或いは有機酸との生理適合性の塩、例えば塩酸塩、硫酸塩および臭化水素酸塩の形態で使用してもよい。インドールまたはインドリン誘導体は、これらの染料中に通常0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の量で存在する。
【0043】
本発明の別の好ましい態様において、インドリンまたはインドール誘導体は、毛髪色素中で少なくとも1つのアミノ酸またはオリゴペプチドと組合せて用いてよい。アミノ酸は、有利にはα-アミノ酸である。最も好ましいα-アミノ酸は、アルギニン、オルニチン、リジン、セリンおよびヒスチジン、特にアルギニンである。
【0044】
本発明の第二の好ましい態様において、染料は少なくとも1つの直接染料を含有する。染料が直接染料のみをベースとするのか、求められる着色効果を得る目的で直接染料と前記染料前駆物質を組合せて含むのかは、本発明の教示には無関係である。
【0045】
直接染料は通例、ニトロフェニレンジアミン類、ニトロアミノフェノール類、アゾ染料、アントラキノン類およびインドフェノール類である。好ましい直接染料は下記国際名または商品名で知られる化合物である: HC Yellow 2, HC Yellow 4, HC Yellow 5, HC Yellow 6, HC Yellow 12, HC Orange 1, Disperse Orange 3, HC Red 1, HC Red 3, HC Red 10, HC Red 11, HC Red 13, HC Red BN, HC Blue 2, HC Blue 12, Disperse Blue 3, HC Violet 1, Disperse Violet 1, Disperse Violet 4, Acid Violet 43, Disperse Black 9 および Acid Black 52 、並びに 1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、 2-アミノ-4-ニトロフェノール、 1,4-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、 3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール、 2-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-4,6-ジニトロフェノール、 1-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-4-メチル-2-ニトロ-ベンゼン、 1-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、 4-アミノ-3-ニトロフェノール、 1-(2'-ウレイドエチル)-アミノ-4-ニトロベンゼン、 4-アミノ-2-ニトロジフェニルアミン-2'-カルボン酸、 6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、 2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、 ヒドロキシエチル-2-ニトロトルイジン、ピクラミン酸およびその塩、 2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、 4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および 2-クロロ-6-エチルアミノ-1-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼン。
【0046】
更に、本発明の製剤は、カチオン性直接染料を含有してよい。特に好ましいものは、
(i)カチオン性トリフェニルメタン染料、例えば、 Basic Blue 7, Basic Blue 26, Basic Violet 2 および Basic Violet 14、
(ii)第四級窒素基により置換された芳香族系、例えば、 Basic Yellow 57, Basic Red 76, Basic Blue 99, Basic Brown 16 および Basic Brown 17、
(iii)少なくとも1つの第四級窒素原子を有する複素環を含有する直接染料であって、例えば、 EP-A2 998 908 に開示されたもの(この際、特に請求項6〜11に言及する)、
である。
【0047】
好ましい(iii)群のカチオン性直接染料は、特に、以下の化合物:
【化9】

【化10】

である。
【0048】
式 (DZ1)、 (DZ3) および (DZ5) に相当する化合物が、特に好ましい(iii)群のカチオン性直接染料である。
本発明のこの態様による製剤は、直接染料を、好ましくは染料全体に対して0.01〜20重量%の量で含有する。
本発明の製剤は、天然染料、例えば、ヘンナレッド、ヘンナニュートラル、ヘンナブラック、カミツレ、白檀、紅茶、黒ハンノキ樹皮、セージ、ロッグウッド、あかね根、カテキュー、セドレおよびアルカンナを含んでもよい。
酸化染料前駆物質または直接染料は、単一化合物である必要はない。むしろ、本発明の毛髪染料は、個々の色素を製造するのに使用される方法の故に、少量の他の成分を含んでいることがある。ただし、他の成分は、染色結果に悪影響を及ぼすものではなく、また別の理由、例えば毒物学的理由により排除されるものでない。
【0049】
本発明の毛髪染料および着色製剤に使用するのに適した色素に関しては、Ch. Zviak著、The Science of Hair Care,第7章(248−250頁:Substantive Dyes)および第8章(264−267頁:Oxidation Dye Precursors)("Dermatology"(編者:Ch. Culnan及びH. Maibach)の第7巻として発行)(Marcel Dekker Inc. New York/Basel、1986)及び"Europaeische Inventar der Kosmetik-Rohstoffe"(Europaeische Gemeinschaft発行)(Bundesverband Deutscher Industrie- und Handelsunternehmen fuer Arzneimittel, Reformwaren und Koeperpflegemittel e.V., Mannheim, Germanyよりディスケットの形式でも発行)を参照することができる。
【0050】
空気中の酸素または他の酸化剤(例えば過酸化水素)で酸化的に染色を行なう場合は特に、毛髪染料を通例、弱酸性ないしアルカリ性のpH(すなわちpH約5〜11)に調節する。この目的のために、染料はアルカリ性化剤を含有し、これは通例、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアまたは有機アミンである。好ましいアルカリ性化剤は、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3-ジオール、2−アミノ−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2−アミノ−2−メチルブタノール、およびトリエタノールアミン、並びにアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である。この群のうち、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールおよび2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオールが好ましい。ω−アミノ酸、例えばω−アミノカプロン酸も、アルカリ性化剤として使用し得る。アンモニアは最も部分的に好ましいアルカリ性化剤である。
【0051】
実際の髪の色調を酸化的方法で形成する場合、通例の酸化剤、例えば特に、過酸化水素またはその尿素、メラミン或いはホウ酸ナトリウムとの付加物を使用し得る。しかしながら、空気中の酸素を唯一の酸化剤とする酸化が好ましい場合がある。酸化を酵素により行なうこともできる。この場合、化合物の酸化を引き起こす目的で、および少量存在する酸化剤の作用を向上させる目的で、酵素を使用し得る。このように、酵素(酵素群1:酸化還元酵素)は、適当な第一中間体(還元剤)から電子を空気中の酸素に移すことができる。好ましい酵素はオキシダーゼ、例えばチロシナーゼおよびラッカーゼであるが、グルコースオキシダーゼ、ウリカーゼまたはピルビン酸オキシダーゼを使用してもよい。少量(例えば、組成物全体に対して1%またはそれ以下)の過酸化水素の作用を、ペルオキシダーゼによって向上する方法もある。
【0052】
毛髪が染色困難であるという特別な場合には、酸化染料前駆物質を含有する製剤を、予め酸化成分と混合することなく毛髪に適用し得る。酸化成分は、20〜30分間の接触時間後に、場合により濯いだ後で、適用する。更に10〜20分間の接触時間後、毛髪を濯ぎ、要すればシャンプーする。毛髪への浸透を改善することを意図して染料前駆物質を先に適用するこの態様の一方法においては、そのような製剤をpH約4〜7に調節する。別法においては、空気による酸化をまず行い、好ましくはpH7〜10の製剤を適用する。その後の後酸化促進相において、酸化剤として酸性化ペルオキシジスルフェート溶液を使用することが有利であり得る。
【0053】
本発明の方法をいずれの方法で適用するとしても、ある種の金属イオンを染料に添加することによって発色を補助および向上し得る。そのような金属イオンの例は、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Mn4+、Li+、Mg2+、Ca2+およびAl3+である。Zn2+、Cu2+およびMn2+が特に適当である。基本的に、金属イオンを生理学的適合性塩の形態で使用し得る。好ましい塩は、酢酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、乳酸塩および酒石酸塩である。そのような金属塩の使用によって、毛髪色の発色を促進し、色調に所望の影響を与えることができる。
【0054】
染料の性質に関わりなく、本発明に従って、染料を酸化剤製剤と適用直前に混合することが好ましい。
従って、第二の態様では、本発明は、本発明の製剤の1つを適用直前に酸化剤製剤と混合し、得られた製剤を繊維に適用し、次いで接触時間後に、さらに完全に濯ぐケラチン繊維の染色方法に関する。
【0055】
本発明の別の態様では、純粋染料クリームをまず毛髪へ適用し、接触時間後に、実際の染料クリームを酸化剤製剤と混合することにより得られる製剤を適用する。
従って、第三の態様では、本発明は、ケラチン繊維の染色方法であって、本発明の製剤の1つを繊維に適用し、接触時間後に、本発明の製剤の1つを酸化剤製剤と適用直前に混合することによって得られる第二製剤を該繊維に適用し、更なる接触時間後に、該繊維を完全に濯ぐ方法に関する。
【0056】
原則として、毛髪染色において知られる任意の酸化剤を使用できるが、過酸化水素を本発明に従い好ましく用いる。過酸化水素をベースとする酸化剤製剤は、好ましくはpHが 1〜6 、とりわけ 2〜4 である。染料(前駆物質)製剤と酸化剤製剤を、通例、 4:1〜1:3 、とりわけ 2:1〜1:1 の量比で適用直前に混合する。得られた毛髪へ適用するための製剤は、好ましくはpHが 6〜12 、とりわけ 9〜11 である。特に好ましい態様では、毛髪色素を弱アルカリ溶剤へ適用する。適用温度は、10〜60℃の範囲であってよく、ある特定の態様では15〜40℃の範囲である。製剤を頭皮の温度で適用することが好ましい。接触時間を短縮化したり染色結果を向上させるために、製剤を熱の存在下、例えば乾燥フード下で適用してよい。約5〜60分間(好ましくは15〜30分間)の接触時間後、染色される毛髪から毛髪染料をリンスにより濯ぎ落とす。界面活性剤含量の高い担体(例えば染料シャンプー)を使用した場合には、毛髪をシャンプーで洗う必要はない。
【0057】
本発明の好ましい態様では、毛髪へ適用する製剤は、少なくとも1つの他の第四級アンモニウム化合物を含有する。本発明によると、この第四級アンモニウム化合物は、染料クリームおよび/または酸化剤製剤の構成成分であってよい。しかしながら、好ましい態様では、他の第四級アンモニウム化合物は、酸化剤製剤の構成成分である。
【0058】
好ましい第四級アンモニウム化合物は、ハロゲン化アンモニウム(とりわけ塩化物および臭化物)、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリアセチルメチルアンモニウムクロリド並びにクオタニウム-27およびクオタニウム-83のINCI名で知られるイミダゾリウム化合物である。前記界面活性剤の長鎖アルキルは、好ましくは10〜18個の炭素原子を有する。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
【0059】
しかしながら、他の好ましい第四級アンモニウム化合物には所謂エステルクォートがある。エステルクォートは、少なくとも1つのエステル官能基と少なくとも1つの第四級アンモニウム基の両方を構造要素として含む既知の物質である。好ましいエステルクォートは、脂肪酸のトリエタノールアミンとの第四級化エステル塩、脂肪酸と ジエタノールアルキルアミンとの第四級化エステル塩および脂肪酸と 1,2-ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンとの第四級化エステル塩である。そのような製品は、例えば、 Stepantex(登録商標)、 Dehyquart(登録商標)および Armocare(登録商標)の名称で市販されている。製品 Armocare(登録商標) VGH-70、 N,N-ビス-(2-パルミトイルオキシエチル)-ジメチルアンモニウムクロリド、および Dehyquart(登録商標) F-75、 Dehyquart(登録商標) C-4046、 Dehyquart(登録商標) L80 および Dehyquart(登録商標) AU-35 が、そのようなエステルクォートの例である。
【0060】
本発明によると、他の好ましい第四級アンモニウム化合物はアルキルアミドアミンである。アルキルアミドアミンは通例、天然または合成脂肪酸および脂肪酸画分のジアルキルアミノアミンによりアミド化して調整される。この群の中で本発明の目的に特に適した化合物は、 Tegoamid(登録商標) S 18 の名称で入手可能なステラミドプロピルジメチルアミンである。
【0061】
第四の態様において、本発明は、請求項1〜18のいずれかに記載の第一製剤と、少なくとも1つの酸化剤および少なくとも1つの他の第四級アンモニウム化合物を含有する第二製剤とを含んでなるケラチン繊維染色用二成分キットに関する。
この第四の態様で使用するのに適する酸化剤および他の第四級アンモニウム化合物に関する限り、前記見解が参照される。
【0062】
本発明の製剤は、そのような配合物中に通常存在する任意の既知の活性物質、添加剤および助剤を更に含有し得る。多くの場合、製剤は contain 少なくとも1つの界面活性剤、基本的に適当な、アニオン性と双性イオン性の両方、両性、ノニオン性およびカチオン性界面活性剤を含有する。しかしながら、多くの場合、アニオン性、双性イオン性またはノニオン性界面活性剤から界面活性剤を選択すると有利であることが判明している。
【0063】
本発明の製剤用に適当なアニオン性界面活性剤は、人体に対する使用に適した任意のアニオン性界面活性物質である。そのような物質は、水可溶化アニオン基、例えばカルボキシレート、スルフェート、スルホネートまたはホスフェート基と、炭素数約10〜22の親油性アルキル基とを有する。更に、グリコールまたはポリグリコールエーテル基、エステル、エーテルおよびアミド基、およびヒドロキシル基も、分子中に存在し得る。ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩並びにモノ−、ジ−およびトリアルカノールアンモニウム塩(アルカノール基の炭素数2または3)の形態の、適当なアニオン性界面活性剤の例を次に挙げる:
【0064】
・炭素数10〜22の直鎖脂肪酸(石鹸)、
・式: R−O−(CH2−CH2O)x−CH2−COOH[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖アルキル基であり、x=0または1〜16である。]で示されるエーテルカルボン酸、
・アシル基の炭素数10〜18のアシルサルコシド、
・アシル基の炭素数10〜18のアシルタウリド、
・アシル基の炭素数10〜18のアシルイセチオネート、
・アルキル基の炭素数8〜18のスルホコハク酸モノ−およびジアルキルエステル、およびアルキル基の炭素数8〜18/オキシエチル基数1〜6のスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、
・炭素数12〜18の直鎖アルカンスルホネート、
・炭素数12〜18の直鎖α−オレフィンスルホネート、
・炭素数12〜18の脂肪酸のα−スルホ脂肪酸メチルエステル、
・式: R−O−(CH2−CH2O)x−SO3H[式中、Rは好ましくは炭素数10〜18の直鎖アルキル基であり、x=0または1〜12である。]で示されるアルキルスルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルスルフェート、
・DE−A−3725030による界面活性ヒドロキシスルホネートの混合物、
・DE−A−3723354による硫酸化ヒドロキシアルキルポリエチレンおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル、
・DE−A−3926344による炭素数12〜24/二重結合数1〜6の不飽和脂肪酸のスルホネート、
・炭素数8〜22の脂肪アルコールにエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド約2〜15モルが付加した生成物の形態のアルコールと酒石酸およびクエン酸とのエステル。
【0065】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルポリグリコールエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸(アルキル基の炭素数10〜18、分子中のグリコールエーテル基数12までのもの)、並びにとりわけ、飽和および特に不飽和のC8-22カルボン酸(例えばオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸)の塩である。
【0066】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール/ポリグリコールエーテル基組み合わせを、親水性基として有する。そのような化合物の例を、次に挙げる:
・炭素数8〜22の直鎖脂肪アルコール、炭素数12〜22の脂肪酸、およびアルキル基の炭素数8〜15のアルキルフェノールの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モル付加物、
・グリセロールのエチレンオキシド1〜30モル付加物の、C12-22脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
・C8-22アルキルモノ−およびオリゴグリコシド並びにそれらのエトキシル化類似体、
・ヒマシ油および水素化ヒマシ油のエチレンオキシド5〜60モル付加物。
【0067】
好ましいノニオン性界面活性剤は、一般式RO−(Z)に示されるアルキルポリグリコシドである。これらの化合物は次のパラメータによって特徴付けられる。
アルキル基 R1 は 6 〜 22 個の炭素原子を有し、直鎖状および分枝状のいずれであってもよい。第一級直鎖および 2-メチル-分枝の脂肪族基が好ましい。そのようなアルキル基は、例えば、 1-オクチル、 1-デシル、 1-ラウリル、 1-ミリスチル、 1-セチルおよび 1-ステアリルである。 1-オクチル、 1-デシル、 1-ラウリルおよび 1-ミリスチル が特に好ましい。所謂「オキソアルコール」を出発物質として使用する場合には、アルキル鎖中の炭素原子数が奇数である化合物が支配的である。
【0068】
本発明による使用に適当なアルキルポリグリコシドは、例えば、例えば、ただ1個の特定のアルキル基 R1を含んでよい。しかしながら、そのような化合物は、天然油脂または鉱物油から製造するのが通例である。この場合、その出発化合物に相当する混合物或いはその出発物質を後処理した混合物がアルキル基 R1 として存在する。
特に好ましいアルキルポリグリコシドは、 R1 が、
・C8 および C10 アルキル基、
・C12 および C14 アルキル基、
・C8 〜 C16 アルキル基、または
・C12 〜 C16 アルキル基
から実質的になるものである。
【0069】
任意のモノ- またはオリゴ糖を、糖単位 Z として用いることができる。5または6個の炭素原子を有する糖および相当するオリゴ糖を通常用いる。そのような糖の例は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースである。好ましい糖単位は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースであり、グルコースが特に好ましい。
【0070】
本発明による使用に適当なアルキルポリグリコシドは、平均 1.1 〜 5 個の糖単位を有する。x値が 1.1 〜 1.6 のアルキルポリグリコシドが好ましい。xが 1.1 〜 1.4 のアルキルオリゴグリコシドが特に好ましい。
アルキルポリグリコシドまたはアルキルオリゴグリコシドは、界面活性剤として作用するほか、芳香成分の毛髪への固定を促進するために用いてもよい。従って、毛髪上の鉱油の作用をヘアートリートメントの持続期間よりも長く持続させたい場合には、アルキルポリ- またはオリゴグリコシドを本発明の製剤の別の成分として使用することが好ましい。
記載のアルキルポリグリコシドのアルコキシル化同族体を、本発明に従い使用することもできる。これらの同族体は、アルキルグリコシド単位当たり平均10個までのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含んでよい。
【0071】
双性イオン性界面活性剤もまた、特に CO-界面活性剤として使用してよい。本発明において、双性イオン性界面活性剤は、少なくとも1個の第四級アンモニウム基および少なくとも1個の−COO-または−SO3-基を分子中に有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、所謂ベタイン、例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、アルキルまたはアシル基の炭素数8〜18のもの、並びにヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名Cocamidopropyl Betaineとして知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0072】
両性界面活性剤もまた、特にCO-界面活性剤として適当である。両性界面活性剤は、C8-18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOHまたは−SO3H基を分子中に有し、分子内塩を形成し得る界面活性化合物である。適当な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(アルキル基の炭素数約8〜18のもの)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12-18アシルサルコシンである。
【0073】
前記の第四級アンモニウム化合物に加え、本発明に従って使用するのに適した他のカチオン性界面活性剤を代表するものは、第四級化タンパク質加水分解物である。
カチオン性界面活性剤として使用するのに適した第4級糖誘導体の一例は、市販品Glucquat(登録商標)100(INCI名:Lauryl Methyl Gluceth-10 Hydroxypropyl ジモニウム Chloride)である。
【0074】
界面活性剤として使用されるアルキル基含有化合物は、単一化合物であってよい。しかし、一般的には、このような化合物は天然の植物性または動物性原料から製造されるので、特定の原料に依存した異なるアルキル鎖長の混合物が得られる。
【0075】
脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加生成物もしくは付加生成物の誘導体である界面活性剤は、「通常の」同族体分布を有する生成物および狭い同族体分布の生成物の両方であり得る。「通常の」同族体分布を有する生成物は、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコラートを触媒として用いて脂肪アルコールとアルキレンオキシドとを反応させて得られる同族体の混合物である。対照的に、狭い同族体分布は、例えば、ヒドロタルサイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはアルコラートを触媒として用いた場合に得られる。狭い同族体分布を有する生成物を使用するのが有利で有り得る。
【0076】
更に、本発明の染料は、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、アルキルアミドアミン、パラフィン油、植物油および合成油よりなる群から選ばれる別の調整剤を好ましく含有してよい。
好ましい調整剤には、カチオン性ポリマーが含まれる。これらは一般に、第四級窒素原子を例えばアンモニウム基の形態で含有するポリマーである。
好ましいカチオン性ポリマーは、例えば、以下のものである:
・Celquat(登録商標)および Polymer JR(登録商標)の名称で市販されている第四級化セルロース誘導体(化合物 Celquat(登録商標) H 100、 Celquat(登録商標) L 200 および Polymer JR(登録商標) 400 は、好ましい第四級化セルロース誘導体である)、
・ビニルピロリドンとジアルキルアミノアクリレートおよびメタクリレートの第四級化誘導体との共重合体、例えば、ジエチルサルフェートで第四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体など(そのような化合物は、Gafquat(登録商標) 734 および Gafquat(登録商標) 755 の名称で市販されている)、
・ビニルピロリドン/ビニルイミダゾリニウムメトクロリド共重合体(Luviquat(登録商標)の名称で市販されている)、
・第四級化ポリビニルアルコール;および
・ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18およびポリクオタニウム-27の名称で知られるポリマー主鎖に第四級窒素原子を有するポリマー。
【0077】
前記最初の4群に属するカチオン性ポリマーが特に好ましいく、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-10 およびポリクオタニウム-22 が最も好ましい。
他の適当な調整剤はパラフィン油、合成的に製造されるアルケンオリゴマーおよび植物油、例えばホホバ油、ヒマワリ油、オレンジ油、アーモンド油、小麦麦芽油および杏仁油である。
【0078】
リン脂質、例えば大豆レシチン、卵レシチンおよびケファリンも適当なヘアコンディショニング化合物であって、これらは、リノールアミドプロピル PG-ジモニウムクロリドホスフェート、コカミドプロピル PG-ジモニウムクロリドホスフェートおよびステラミド PG-ジモニウムクロリドホスフェートのINCI名として既知の物質である。これらの物質は、例えば、 Monaから Phospholipid EFA(登録商標)、 Phospholipid PTC(登録商標)および Phospholipid SV(登録商標)の名称で市販されている。
【0079】
他の活性物質、助剤および添加剤は、例えば、
・ノニオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/ビニルアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体およびポリシロキサン、
・双性イオン性および両性ポリマー、例えば、アクリルアミドプロピル/トリメチルアンモニウムクロリド/アクリレート共重合体およびオクチルアクリルアミド/メチル メタクリレート/tert.ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体、
・アニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸、酢酸ビニル/クロトン酸 共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアクリレート共重合体、酢酸ビニル/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレート共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体およびアクリル酸/エチルアクリレート/N-tert.ブチルアクリルアミド三元重合体、
・増粘剤、例えば寒天、グアーガム、アルギネート、キサンタンガム、アラビアガム、インドガム、イナゴマメガム、アマニガム、デキストラン、セルロース誘導体(例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース)、デンプンフラクションおよび誘導体(例えばアミロース、アミロペクチンおよびデキストリン)、クレー(例えばベントナイト)、または純合成ヒドロコロイド(例えばポリビニルアルコール)、
・構造剤、例えばマレイン酸および乳酸、
・タンパク質加水分解物、とりわけエラスチン、コラーゲン、ケラチン、ミルクタンパク質、大豆タンパク質および小麦タンパク質の加水分解物、これらと脂肪酸との縮合生成物、並びに第四級化タンパク質加水分解物、
・香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン、
・溶剤および可溶化剤、例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびジエチレングリコールなど、
・繊維構造改善剤、とりわけ単糖、二糖およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトースおよびラクトース、
・第四級化アミン、例えばメチル-1-アルキルアミドエチル-2-アルキルイミダゾリニウムメトサルフェート、
・消泡剤、例えばシリコーン、
・製剤着色用染料、
・フケ防止剤、例えばピロクトン・オラミン、Zinc Omadine およびクリムバゾールなど、
・UVフィルター、とりわけ誘導体化ベンゾフェノン、ケイ皮酸誘導体およびトリアジン、
・pH値調節のための物質、例えば典型的な酸、とりわけ食品用酸および塩基、
・活性物質、例えばアラントイン、ピロリドンカルボン酸およびその塩並びにビサボロール、
・ビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆物質、とりわけA、B、B、B、C、E、FおよびH群のもの、
・植物抽出物、例えばとりわけ、緑茶、オーク樹皮、イラクサ、ハマメリス、ホップ、カモミール、ゴボウ根、ホースウィロー、サンザシ、ライム花、アーモンド、アロエベラ、松葉、セイヨウトチノキ、白檀、杜松、ココナツ、マンゴ、アプリコット、レモン、小麦、キウィ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ、セージ、ローズマリー、樺、マロー、タネツケバナ、イブキジャコウソウ、ノコギリソウ、タイム、バルム、ハリシュモク、フキタンポポ、ハイビスカス、メリステム、チョウセンニンジンおよびショウガ根などの抽出物、
・コレステロール、
・コンシステンシー調整剤、例えば糖エステル、ポリオールエステルまたはポリオールアルキルエーテル、
・脂肪およびワックス、例えば鯨蝋、蜜蝋、モンタンワックスおよびパラフィン、
・脂肪酸アルカノールアミド
・錯化剤、例えばEDTA、NTA、β−アラニン二酢酸およびホスホン酸、
・膨潤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、並びに1級、2級および3級ホスフェート、
・乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミド共重合体、
・真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート並びにPEG-3-ジステアレート、
・顔料、
・例えば過酸化水素および他の酸化剤用の安定剤、
・噴射剤、例えばプロパン/ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気、
・抗酸化剤。
【0080】
用いる他の任意成分および量範囲については、当業者に既知の便覧、例えばKh. Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika, 第2版,Huethig Buch Verlag, Heidelberg, 1989を参照することができる。
以下の実施例は、本発明を説明することを意図したものである。
【実施例】
【0081】
以下の実施例にける量は、特記しない限り重量%を示す。
下記の染料クリーム1〜8を調製した。
【0082】
【表1】

【0083】
1 セチルステアリルアルコール硫酸ナトリウム塩 (INCI 名: セテアリル硫酸ナトリウム) (Cognis)
2 約20のEO単位を有するセチルステアリルアルコール (INCI 名: セテアレス-20) (Cognis)
3 2-オクチルドデシルアルコール (INCI 名: オクチルドデカノール) (Cognis)
4 エチレングリコールジステアレート (INCI 名: グリコールジステアレート) (Cognis)
5 植物原料由来のグリセロールモノ-/ジステアレート / ステアリン酸カリウム混合物 (INCI 名: ステアリン酸グリセリル SE) (Cognis)
6 アミノ官能性シリコーン (INCI 名:アモジメチコン) (GE 東芝シリコーン)
7 ジメチルジアリルアンモニウム クロリド/アクリル酸/アクリルアミド三元重合体 (約 9.5% 活性物質含量; INCI 名: ポリクオタニウム-39) (Nalco)
8 発熱性(pyrogene)シリカ (INCI 名: Silica) (Degussa)
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
実施例1〜3および5〜8の染料クリームを、適用直前に実施例9の酸化剤製剤と1:1の比率で混合した。実施例4の場合、染料クリームと実施例9の酸化剤製剤の混合比率を1:2に調節した。得られた製剤をライトブラウンで50%グレーの標準的な一房の髪(Normal-haartraehne)にそれぞれ適用した。25℃で30分の接触時間後に、髪を水で濯ぎ、シャンプーし、ヘアドライアーで乾燥した。
得られた色調を表Iに示す。全ての髪は、その良好な乾湿の櫛通り性が顕著であり、もつれを解くのが容易で、好適な嵩と高い光沢を有していた。
【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

【0091】
【表8】

【0092】
【表9】

【0093】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のシリコーン油および/またはシリコーンガム、および
(B)式(I):
【化1】

[式中、nは1〜3の数であり、Yは生理適合性アニオンである。]
に相当する少なくとも1種のモノマー単位を有する少なくとも1種のポリマー、
から構成されるヘア・ケア成分の組合せを、染料および/または染料前駆物質の他に含有するケラチン繊維染色製剤。
【請求項2】
ジアルキルポリシロキサンまたはその誘導体の1種を成分(A)として用いることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
ジメチルポリシロキサンまたはその誘導体の1種を成分(A)として用いることを特徴とする請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
成分(A)が、ジアルキルポリシロキサンのアミノ官能性誘導体であることを特徴とする請求項2または3に記載の製剤。
【請求項5】
成分(A)が、アモジメチコンであることを特徴とする請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
成分(B)が、カチオン性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
成分(B)が式(I)に相当するモノマー単位のホモポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
成分(B)が、式(I)のモノマー単位とアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのコポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の製剤。
【請求項9】
成分(B)が、式(I)のモノマー単位とアクリルアミドのコポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
成分(B)が、両性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
成分(B)が、式(I)のモノマー単位とアクリル酸および/またはメタクリル酸のコポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
成分(B)が、式(I)のモノマー単位とアクリル酸のコポリマーであることを特徴とする請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
成分(B)が、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルまたはアミドから選択される少なくとも1種のモノマー単位を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
成分(B)が、式(I)のモノマー単位、アクリル酸およびアクリルアミドのコポリマーであることを特徴とする請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
染料前駆物質として少なくとも1種の第一中間体を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の製剤。
【請求項16】
染料前駆物質として少なくとも1種のインドールおよび/またはインドリン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の製剤。
【請求項17】
少なくとも1種の第二中間体を含有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の製剤。
【請求項18】
少なくとも1種の直接染料を含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の製剤。
【請求項19】
請求項1〜18に記載の製剤の1種を酸化剤製剤と適用直前に混合し、得られた製剤を繊維に適用し、接触時間後にさらに濯ぎ落とすことを特徴とするケラチン繊維の染色方法。
【請求項20】
請求項1〜18に記載の製剤の1種を繊維に適用し、
接触時間後に、請求項1〜18に記載の製剤の1種を酸化剤製剤と適用直前に混合して得た第二製剤を、該繊維に適用し、
接触時間後に、該繊維を完全に濯ぐ
ことを特徴とするケラチン繊維の染色方法。
【請求項21】
適用される製剤が、少なくとも1種の他の第四級アンモニウム化合物を含有することを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
他の第四級アンモニウム化合物が酸化剤製剤中に存在することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれかに記載の第一製剤と、少なくとも1種の酸化剤と少なくとも1種の他の第四級アンモニウム化合物を含有する第二製剤とを含んでなるケラチン繊維染色用二成分キット。

【公開番号】特開2012−153703(P2012−153703A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−74745(P2012−74745)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【分割の表示】特願2008−271202(P2008−271202)の分割
【原出願日】平成14年4月18日(2002.4.18)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】