説明

毛髪洗浄評価用装置および毛髪洗浄評価方法

【課題】構造が比較的シンプルで、スペースを必要せず、人が洗浄する形態に近い形で洗浄評価し、さらに、洗浄から乾燥という日常的に毛髪に与えられる影響を評価することのできる毛髪洗浄評価用装置を提供する。
【解決手段】洗浄液を貯留する貯留装置1と、傾斜とした台座に固定された毛髪13を洗浄する毛髪固定用台座2と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置3とを備えた毛髪洗浄評価用装置であって、毛髪固定用台座2は台座可動軸5を中心に一方の端部が上昇して傾斜可能であり、毛髪固定用台座2の上昇する端部側に毛髪13が固定され、貯留装置1から流失し供給された洗浄液が傾斜面を毛髪固定側から毛髪他端側に毛髪固定用台座2を流下して毛髪を洗浄し、温風乾燥装置3が洗浄毛髪を乾燥させる毛髪洗浄評価用装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄評価用装置および毛髪洗浄評価方法に関する。詳しくは、本発明は、洗浄液を貯留する貯留装置と、固定された毛髪を洗浄する毛髪固定用台座と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置とを備えた毛髪洗浄評価用装置および日常生活で毛髪を洗浄する条件に近い形で洗浄の影響を評価する毛髪洗浄の影響評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤で染色した毛髪の、シャンプーなどの洗浄処理による色落(変色)などの影響をみるためには例えば、特許文献1においては、試験シャンプーの水溶液を充填したガラス瓶に、染毛した毛束を浸漬し、振蕩攪拌器中に放置して、所定時間毎に毛髪を取り出し、軽く水洗後ドライヤー乾燥し、色差計を用い、毛髪の色合いを計測することが行われている。このように、従来の毛髪の洗浄処理の評価は、手作業による評価が主流であった。
これに対し、毛髪の洗浄処理を自動的に行うためには、ポンプなどの駆動装置を介したノズルなどにより洗浄液が供給されるような毛髪洗浄評価用装置が考えられる。しかし、このような装置では、ポンプの制御やポンプ自身の設置スペースなどの問題から、装置全体が複雑化、大型化するといった問題があった。
【0003】
また、毛髪の洗浄工程を評価する装置としては、例えば、特許文献2には、毛髪の洗浄、すすぎ、リンスなどの一連の毛髪の洗浄工程をシミュレーションし、各工程での起泡性、消泡性、毛髪の潤滑性等をなど測定、評価できる装置が記載されている。しかし、日常生活で実際に人が、毛髪を洗浄、乾燥することにより、毛髪に与える影響を評価する装置はこれまで知られていなかった。
【特許文献1】特開2007−169165号公報
【特許文献2】特開平10−73584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、構造が比較的シンプルで、スペースを必要せず、人が洗浄する形態に近い形で洗浄し、さらに、洗浄から乾燥という日常的に毛髪に与えられる影響を評価することのできる毛髪洗浄評価用装置、および日常生活で毛髪を洗浄する条件に近い形で洗浄し、さらに、洗浄から乾燥という日常的な毛髪に対して生じる影響の程度を評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、洗浄液を貯留する貯留装置と、傾斜とした台座に固定された毛髪を洗浄する毛髪固定用台座と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置とを備えた毛髪洗浄評価用装置であって、前記毛髪固定用台座は台座可動軸を中心に一方の端部が上昇して傾斜可能であり、前記毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪の端部が固定され、前記貯留装置から流出し供給された洗浄液が傾斜面を毛髪固定側から毛髪他端側に前記毛髪固定用台座を流下して毛髪を洗浄し、前記温風乾燥装置が洗浄毛髪を乾燥させることを特徴とする毛髪洗浄評価用装置、および、
毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪の端部を固定し、洗浄液を毛髪固定側から毛髪他端側に向かって、毛髪固定用台座を傾斜することにより前記毛髪固定用台座と接合した貯留装置から流出させて毛髪を洗浄する洗浄工程と、前記毛髪固定用台座をさらに回動させ毛髪に対して温風を送風する乾燥工程を含むことを特徴とする毛髪洗浄評価方法により解決された。
【発明の効果】
【0006】
本発明の装置は、比較的シンプルな構成とすることができ、また、大きなスペースを必要しないものとすることができる。
また、本発明の装置および方法は、洗浄液は、重力による流水という形で毛髪に作用するので、人が日常生活で毛髪を洗浄する条件に近い形で洗浄及び洗浄評価することができる。また、複数回、洗浄を行う際の洗浄効果評価においては、噴流ノズルといった流水圧がかかる洗浄では見られない微妙な差異を確認することができる。さらに、洗浄から乾燥という日常的な毛髪の影響を、長期にわたり定量的に評価することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の毛髪洗浄評価方法を実施することのできる本発明の毛髪洗浄評価用装置の1例の斜視図である。
図示の装置は、洗浄液を貯留する貯留装置1と、固定された毛髪を洗浄する毛髪固定用台座2と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置3と、洗浄液を保持するタンク4とを備えている。
毛髪固定用台座2は台座可動軸5を中心に一方の端部が上昇して傾斜可能に形成されている。毛髪固定用台座2の上面の端部側には、毛髪13の一方が毛髪固定具15で固定される。そして、貯留装置1から洗浄液が流出し傾斜面を毛髪固定側から毛髪他端側に毛髪固定用台座2を流下して毛髪を洗浄する。対象となる毛髪は特に制限されるものではなく、染毛剤で染色した毛髪でも、天然の毛髪でも良い。
【0008】
図示の装置では、貯留装置1は、洗浄液を貯留できる箱型形をしており、その内部に洗浄液が流入したり、毛髪固定側から毛髪他端側に洗浄液が流出したりするように、開口部1aが設けられている。貯留装置1と毛髪固定用台座2とは分離して設置してもよいが、図示されるように、貯留装置1は毛髪固定用台座2の可動軸側と相対する端部側に接合されたものであることが好ましい。
図示の温風乾燥装置3は、台座2側が開口した箱状に形成された乾燥装置本体3aと、それに配管3bで接続された温風発生装置3cからなり、毛髪固定用台座2に対して温風を送風できるよう形成されている。この温風発生装置は空気加熱器と送風機を有しており、加熱温度や風量を調整することができる。温風発生装置に、一般に入手可能なドライヤーを用いた場合は、日常の乾燥による影響をより良く再現することができる。
【0009】
毛髪固定用台座2は、温風乾燥装置側に傾斜したとき、温風乾燥装置側から温風が固定用台座2を通過できるように、少なくとも一つの貫通孔2aを有している。この貫通孔は、毛髪固定用台座2を構成する板状部材にドリルなどで穴を開けたものでも良いし、枠状部材の開口面に、任意の開口径と開口率を有する網状体を貼り合わせて形成しても良い。この貫通孔2aにより、温風乾燥装置3からの温風が流れやすくなる効果や、タンク4に毛髪固定用台座2を沈めやすくする効果がある。ここで、毛髪固定用台座2の貫通孔2aの孔径や孔数(開口程度)は少なくとも、毛髪固定用台座2が傾斜したときに洗浄液が台座にそって流れる程度であることが好ましい。また、毛髪固定用台座2の貫通孔2aの孔径や孔数を調整する機構により、洗浄工程と乾燥工程と浸漬工程(後述)の途中で、開口程度を変化させることもできる。つまり、流水、乾燥、浸漬といった各工程の機能をより高めることができる。
【0010】
図2は、毛髪固定用台座2の貫通孔の開口程度を変化させる機構の1例を毛髪固定用台座2のタンク4側面を見た斜視図により示す説明図である。図示のものでは、毛髪固定用台座2の枠状部材の開口面に、複数の孔2aが設けられたプレート22が貼り合わせて貫通孔が形成され、複数の孔23が設けられたプレート24が、プレート22にスライド可能な状態で設置され、図2(a)で示す状態から、図2(b)に示すように、プレート22とプレート24をずらすことで、開口程度を変化させることができる。
【0011】
図3は、毛髪固定用台座2の貫通孔の開口程度を変化させる他の1例を斜視図により示す説明図である。図示のものでは、毛髪固定用台座2の枠状部材の開口部に、回転軸24を中心に回転自在な複数(図示のものでは5枚)のプレート25で形成され、図3(a)で示す状態から、図3(b)に示すように、プレート25を回転することで、開口程度を変化することができる。
【0012】
貯留装置1、毛髪固定用台座2、乾燥装置本体3a、配管3b、タンク4、台座可動軸5を形成する材料は特に限定は無く、通常、同種のものに用いられる任意の金属や樹脂から形成することができる。
【0013】
図4は、本発明の好ましい毛髪洗浄評価用装置の概略側面図による動作説明図である。
台座2はAで示される直立した状態から、台座可動軸5を中心にBで示す傾斜された状態を経て、Cで示され水平の位置まで回動できる。
【0014】
台座2をCで示される位置(状態)にすると、タンク4に保持された洗浄液11は箱型形状の貯留装置1の開口部から貯留装置1の内部に流入し貯留される。ここで洗浄液11としては、毛髪の汚れを洗浄できるものであればよく、各種濃度のシャンプー溶液、各種濃度の界面活性剤溶液、及び水など(純水、水道水など)を用いることができる。
洗浄液11は毛髪固定用台座2を例えばBに示す位置に回動して、傾斜させることにより、貯留装置1から流出し、毛髪固定用台座2に固定された毛髪固定側から毛髪他端側に向かって流下して毛髪が洗浄される。
また、貯留装置1の内部に仕切板などを設けることにより、台座2の傾斜角度が一定以上となったとき、例えば、Cの位置からBの位置になったときに実質的に初めて、貯留装置1から洗浄液が台座2上の毛髪に供給されるようにしてもよい。
【0015】
続いて、台座2はAに示す位置の直立された状態に移動され、温風乾燥装置3から矢印で示すように温風が送風され、洗浄毛髪が乾燥させられる。送風(熱風)の温度や風量は、評価対象項目により適宜決定することができる。また、温風が送風される台座2の位置は、Aの位置に限定されるものではなく、A−B間の途中の位置であっても良い。
【0016】
毛髪固定用台座2のA−BおよびB−C間の回転移動を複数回数実施して、毛髪に液がかかりその後乾燥される動作を複数回行ってから、毛髪評価を行うことが好ましい。毛髪に液がかかり、その後乾燥される動作を実施する回数は、評価する項目に応じて適宜決定することができる。
【0017】
毛髪固定用台座2には複数の毛髪束が固定されていてもよい。この時、隣り合う毛髪が絡み合わないように、仕切り板を設けてもよい。
図5は、図1に示す装置の貯留装置1および毛髪固定用台座2の概略平面図である。毛髪固定用台座2は仕切り板12により長手方向に区切られている。図示のものでは、仕切り板12に沿って毛髪束13を図中では左側を毛髪根側にして置かれている。毛髪束13の毛髪根側は、例えば、クリップ状の毛髪固定手段(図示せず)により固定されている。毛髪束13は毛髪固定台座2と平面状に構成されたメッシュ体14にはさむことができる。
【0018】
毛髪固定用台座2の毛髪先端部側には台座可動軸5が設けられ、この台座可動軸5を中心に、毛髪固定用台座2は、水平状態から垂直状態までの間を回動させることができ、図1に示すような傾斜状態とすることができる。
台座可動軸5の駆動は、例えば、電源に接続された通常のモータで行うことができる。台座可動軸5を駆動する角度や速度、および回数などは、コンピュータとモータを接続することで、自動的に制御することができる。また、乾燥装置3の温風発生装置をコンピュータに接続することで、毛髪の乾燥条件も自動的に制御することができる。
【0019】
また、本発明の装置は、貯留装置1に洗浄液を供給する手段を別途設けるなどすれば、タンク4を省略してもよいが、図示されるようにタンク4を設け、タンク4に保持された洗浄液が貯留装置1に供給されることが好ましい。タンク4には、ヒーターおよび自動温度調節器を設けることで、恒温槽として作用させ、複数回繰り返させる毛髪の洗浄において、毛髪にかかる液の温度を一定とすることができる。また、タンク4には、液供給口や液排出口を設けて、配管を介して、目的とする洗浄液に適宜交換することができる。
【0020】
本発明の毛髪洗浄評価方法の好ましい実施態様は、毛髪の少なくとも一方を毛髪固定用台座に固定し、洗浄液を毛髪固定側から毛髪他端側に向かって、毛髪固定用台座を傾斜することにより前記毛髪固定用台座と接合した貯留装置から流出させて毛髪を洗浄する洗浄工程と、前記毛髪固定用台座をさらに回動させ毛髪に対して温風を送風する乾燥工程を含む毛髪洗浄評価方法である。洗浄工程と乾燥工程を経た後の毛髪の状態を評価することにより、洗浄や乾燥による影響を評価することができる。毛髪の状態の評価項目としては、毛髪の形状や、引張強度、摩擦係数、水分率、光透過率などが挙げられる。
洗浄工程および乾燥工程の好ましい態様は、上記の装置について説明した洗浄および乾燥の態様と同様である。前記洗浄工程と、前記乾燥工程とは、評価の目的に応じて、それぞれ複数回繰り返されることが好ましい。
【0021】
本発明の洗浄評価方法では、上記洗浄工程の前に、毛髪固定用台座2が、図4中のCの位置にあるときに、毛髪が膨潤する程度まで洗浄液に毛髪を浸漬する工程を行うことが好ましい。洗浄液の種類や温度によって毛髪が膨潤する時間は異なるが、通常の浸漬工程の浸漬時間は、(1〜10)分であり、好ましくは(3〜5)分である。図6は、浸漬工程を設けた本発明の方法の工程を説明する説明図である。図6(a)、6(c)、6(e)は、貯留装置1と毛髪固定用台座2とタンク4を概略的に示す斜視図であり、図6(b)、6(d)、6(f)は毛髪固定用台座2における水の流れを概略的に示す平然図である。また、図6(a)、6(b)は浸漬工程における状態を示し、図6(c)、6(d)は洗浄工程における状態を示し、図6(e)、6(f)は乾燥工程における状態を示す。
本実施態様では、図6(a)、6(b)に示すように、浸漬工程において、毛髪束13が固定された毛髪固定用台座2が、タンク4に保持された洗浄液11に浸漬される。
次いで、図6(c)に示すように、毛髪固定用台座2を傾斜して洗浄工程に移ると、図6(d)に示すように、貯留装置1から、洗浄液11が矢印方向に流下する。
次いで、図6(e)に示すように、毛髪固定用台座2をさらに傾斜して乾燥工程に移ると、図6(f)に示すように、毛髪束13が固定された毛髪固定用台座2を、洗浄液11が矢印方向に流下するとともに、温風が送風され、毛髪束13が乾燥される。
【0022】
上記の浸漬工程を設けた毛髪洗浄評価方法においては、本発明の装置における貯留装置を省略して、貯留装置を未使用とすることもできる。図7は、この貯留装置を未使用とした本発明の方法の工程を説明する説明図である。図7(a)、7(c)、7(e)は、毛髪固定用台座2とタンク4を概略的に示す斜視図であり、図7(b)、7(d)、7(f)は毛髪固定用台座2における水の流れを概略的に示す平然図であり。また、図7(a)、7(b)は浸漬工程における状態を示し、図7(c)、7(d)は洗浄工程における状態を示し、図7(e)、7(f)は乾燥工程における状態を示す。
本実施態様では、図7(a)、7(b)に示すように、浸漬工程において、毛髪束13が固定された毛髪固定用台座2が、タンク4に保持された洗浄液11に浸漬される。
次いで、図7(c)に示すように、毛髪固定用台座2を傾斜して洗浄工程に移ると、図7(d)に示すように、台座2上から洗浄液11が流下し、次いで、図7(e)に示すように、毛髪固定用台座2をさらに傾斜して乾燥工程に移ると、図7(f)に示された状態の毛髪固定用台座2に、温風が送風され、毛髪束13が乾燥される。
【0023】
本発明の装置および方法では、毛髪固定用台座2における毛髪13は、例えば毛髪根側が固定され、洗浄液11は例えば毛髪根側から毛髪先端部に向かって、毛髪固定用台座2の傾斜面を流下し、供給される。更に洗浄液11は、ポンプなどの駆動を要せず、台座可動軸5を中心に傾斜されることで供給するものとすることができる。
洗浄液11は、毛髪固定側に貯留装置1を設けることにより、洗浄液11の使用する量を、実際の系に近い形で容易に行うことができることもできる。
本発明において、洗浄評価の対象となる項目は特に限定されないが、例えば、染毛、脱色などの毛髪ダメージを与えた後に、定量的に洗浄、乾燥を行うことで、毛髪にさらに加わるダメージの評価に非常に有効である。本発明により、評価日数分の洗浄・乾燥(例えば365回)によって、擬似的な経時テスト(年間テスト)を行うことが可能である。
また、水以外の成分を含む洗浄液を水や温水に変える事によって、毛髪に付着した洗浄液成分を洗い流すことで、洗髪からすすぎ、そして乾燥といったより日常生活に近い評価を行う事も可能である。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
図1に示す装置において、毛髪として、中国人白髪(パーマ処理毛)100〜110mmを市販の染毛剤との比率が毛髪:染毛剤=1:1となる量に調整し、染毛した毛髪を用いた。40℃温水50mlによる洗浄と熱風乾燥(温度70℃、風速1m/min)の15分の乾燥の組合せを10回行った。
染色前の毛髪と、染色直後の毛髪、及び上記の本発明の装置を使用後の毛髪について、色彩計(コニカミノルタ製 CR−400)を用いてCIE表色系(L、a、b)で計測し、染色前の毛髪色との色差ΔEを算出した。
ここで、ΔEは式
【0026】
【数1】

【0027】
(式中、Lは染色前の毛髪色の明度、Lは染色後の毛髪色の明度、または、染色後に洗浄した毛髪色の明度、aは染色前の毛髪色の色度(赤味)、aは染色後の毛髪色、または、染色後に洗浄した毛髪色の色度(赤味)、bは染色前の毛髪色の色度(黄味)、bは染色後の毛髪色、または、染色後に洗浄した毛髪色の色度(黄味)を示す。)
で表されるもので、ΔEが大きいほど、染色性が大きいものである。図8に、染色前の毛髪と染色後の毛髪の色差、および、染色前の毛髪と染色後に本発明の装置で洗浄した毛髪との色差を示す。図8のグラフに示されるように、染色直後の色差に比べて、染色後に洗浄した髪の色差が小さくなっており、本装置を用いることで、洗浄による色落ちを簡便に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の装置の斜視図である。
【図2】本発明における毛髪固定用台座下部の開口機構の1例を示す説明図である。
【図3】本発明の毛髪固定用台座下部の開口機構の別の例の説明図である。
【図4】本発明の装置の概略側面図による説明する動作説明図である。
【図5】本発明の装置の平面図である。
【図6】貯留装置使用時の本発明の毛髪洗浄評価方法の1例の工程の説明図である。
【図7】貯留装置未使用時の本発明の毛髪洗浄評価方法の1例の工程の説明図である。
【図8】実施例1の染色性の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0029】
1 貯留装置
1a 開口部
2 毛髪固定用台座
2a 貫通孔
3 温風乾燥装置
3a 乾燥装置本体
3b 配管
3c 温風発生装置
4 タンク
5 台座可動軸
11 洗浄液
12 窪み
13 毛髪束
14 メッシュの袋体
15 毛髪固定具
21 孔
22,23 プレート
24 回転軸
25 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留する貯留装置と、傾斜した台座に固定された毛髪を洗浄する毛髪固定用台座と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置とを備えた毛髪洗浄評価用装置であって、前記毛髪固定用台座は台座可動軸を中心に一方の端部が上昇して傾斜可能であり、前記毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪の端部が固定され、前記貯留装置から流出し供給された洗浄液が傾斜面を毛髪固定側から毛髪他端側に前記毛髪固定用台座を流下して毛髪を洗浄し、前記温風乾燥装置が洗浄毛髪を乾燥させることを特徴とする毛髪洗浄評価用装置。
【請求項2】
前記洗浄液を保持するタンクを備え、該タンクに保持された洗浄液が前記貯留装置に供給されることを特徴とする請求項1記載の毛髪洗浄評価用装置。
【請求項3】
前記毛髪固定用台座が回動することにより、前記毛髪固定用台座の毛髪固定側に接合された前記貯留装置から洗浄液が毛髪に供給されることを特徴とする請求項1または2記載の毛髪洗浄評価用装置。
【請求項4】
傾斜した台座に固定された毛髪を洗浄する毛髪固定用台座と、洗浄後の毛髪を乾燥させる温風乾燥装置と、洗浄液を保持するタンクを備えた毛髪洗浄評価用装置であって、前記毛髪固定用台座は台座可動軸を中心に一方の端部が上昇して傾斜可能であり、前記毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪の端部が固定され、洗浄液が傾斜面を毛髪固定側から毛髪他端側に前記毛髪固定用台座を流下して毛髪を洗浄し、前記温風乾燥装置が洗浄毛髪を乾燥させることを特徴とする毛髪洗浄評価用装置。
【請求項5】
毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪を固定し、洗浄液を毛髪固定側から毛髪他端側に向かって、毛髪固定用台座を傾斜することにより前記毛髪固定用台座と接合した貯留装置から流出させて毛髪を洗浄する洗浄工程と、前記毛髪固定用台座をさらに回動させ毛髪に対して温風を送風する乾燥工程を含むことを特徴とする毛髪洗浄評価方法。
【請求項6】
タンクに保持された洗浄液中に該毛髪固定用台座に固定された毛髪を浸漬する浸漬工程を含むことを特徴とする請求項5記載の毛髪洗浄評価方法。
【請求項7】
毛髪固定用台座の上昇する端部側に毛髪を固定し、タンクに保持された洗浄液中に該毛髪固定用台座を浸漬する浸漬工程、毛髪固定用台座を傾斜することにより、毛髪を洗浄する洗浄工程、前記毛髪固定用台座をさらに回動させ毛髪に対して温風を送風する乾燥工程の各工程順からなる毛髪洗浄評価方法。
【請求項8】
前記浸漬工程と、前記洗浄工程と、前記乾燥工程の内少なくとも2工程以上がそれぞれ複数回繰り返されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の毛髪洗浄評価方法。
【請求項9】
水以外の成分を含む洗浄液を水または温水に交換することによって、毛髪に付着した水以外の洗浄成分を洗い流す工程を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の毛髪洗浄評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−127826(P2010−127826A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304532(P2008−304532)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)