説明

毛髪測定器具および毛髪測定方法

【課題】毛剃りなしに、毛髪の生え角である仰角を測定することのできる測定器具および測定方法を提供する。
【解決手段】毛髪測定器具10は、毛髪50の生えた皮膚60に押し当てて用いる第一平板12と、第一平板12より起立して設けられた第二平板14と、第二平板14の一方側より視認可能に設けられた位置指標20と、位置指標20を基準として第一平板12に対する毛髪50の生え角φを測定するための仰角測定用目盛32と、を備えている。そして、毛髪測定器具10は、第一平板12の少なくとも一部が、位置指標20よりも一方側に延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪測定器具および毛髪測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルや頭髪の見え方は毛髪特性によって決定され、個人の毛髪特性に適したヘアケア行動やヘアケア製品を選択することが大切である。毛髪特性には種々があるが、毛髪の見え方に与える影響の大きい因子として、毛髪の生え向きを挙げることができる。毛髪の生え向きとは、毛髪が皮膚から突出する三次元的な向きである。
毛髪の生え向きは、生え角と回転角とに分けて定義することができる。生え角とは、毛髪が皮膚から突き出る点で皮膚に接する接平面に当該毛髪を投影した線分と、毛髪自身との間のなす仰角である。また、毛髪の回転角とは、毛髪を上記接平面に投影した線分と、所定の基準方向とのなす、接平面内の角度をいう。このうち、特に毛髪の生え角(仰角)は、毛髪の長さや剛性とのバランスによって毛髪の嵩高さを決定する重要な因子である。
【0003】
しかしながら、個人の毛髪特性の評価は美容技術者の経験に頼っておこなわれることが多く、美容技術者が顧客に対してカットやパーマ、スタイリングなどを行う際は、太さや毛髪量に加えて、毛髪の生え角を見ながら施術を行っているのが現状である。
これに対し、毛髪の生え角を客観的な数値データとして取得することにより、これを考慮したヘアケア行動、ヘアスタイルのセットやボリュームのコントロール、および毛髪化粧料の研究開発が可能になる。
【0004】
ここで、従来の毛髪特性の測定方法としては、毛刈り後に写真もしくはビデオ撮影を行うフォトトリコグラム法が知られている。下記特許文献1では、毛刈りした部位を押え板で押さえ、ビデオカメラの画像データから毛髪パラメータとして成長速度や毛髪径、密度を算出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−218735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、毛髪の生え角を簡易に数値データとして取得することはおこなわれていなかった。上記特許文献に記載の毛髪測定方法に関しても、毛髪の生え角を測定するものではない。また、かりにフォトトリコグラム法を応用して毛髪の生え角を測定する場合にも、測定対象となる毛髪の根元を観察しやすくするために毛剃りが必要であることが問題となる。毛剃りは測定に要する手間と時間を増やすだけでなく、特に頭髪の毛剃りは被験者にとって苦痛が大きく、測定者と被験者の双方にとって負担が大きいためである。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、毛剃りなしに、毛髪の生え角である仰角を測定することのできる測定器具および測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の毛髪測定器具は、毛髪の生えた皮膚に押し当てて用いる第一平板と、
前記第一平板より起立して設けられた第二平板と、
前記第二平板の一方側より視認可能に設けられた位置指標と、
前記位置指標を基準として前記第一平板に対する前記毛髪の生え角を測定するための仰角測定部と、を備えるとともに、
前記第一平板の少なくとも一部が、前記位置指標よりも前記一方側に延在していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の毛髪測定方法は、第一平板を測定対象の毛髪の生え位置の皮膚に押し当てて、前記毛髪に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪を押し倒す押当工程と、
前記第一平板より起立して設けられた第二平板の面内方向を前記生え向きに合わせる回転工程と、
前記毛髪の根元部位と前記第一平板との為す角度に基づいて前記毛髪の生え角を測定する仰角測定工程と、
を含む。
【0010】
なお、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0011】
また、本発明の毛髪測定方法は、複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の毛髪測定方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。さらに、本発明の毛髪測定方法は、複数の工程が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある工程の実行中に他の工程をおこなうこと、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
具体的には、本発明の毛髪測定方法においては、回転工程と押当工程の順番は特に限定されず、また両工程の一部または全部が同時におこなわれてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪測定技術によれば、第二平板の面内方向を測定対象の毛髪の生え向きに合わせた状態で第一平板を皮膚に押し当てることにより、測定対象の毛髪に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪を第一平板で押し倒した状態を形成する。これにより、測定対象の毛髪の根元近傍が観察可能に露出するとともに、測定対象の毛髪に対して他の毛髪が及ぼす影響を排除して、生え角を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる毛髪測定器具の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)は毛髪測定器具の使用状態を説明するための斜視図、(b)は毛髪および生え角の目視状態を示す正面図である。
【図3】毛髪の生え角および回転角を説明する図である。
【図4】第二実施形態にかかる毛髪測定器具およびその使用状態を説明する斜視図である。
【図5】第三実施形態にかかる毛髪測定器具およびその使用状態を説明する斜視図である。
【図6】第四実施形態にかかる毛髪測定器具およびその使用状態を説明する斜視図である。
【図7】(a)は第五実施形態にかかる毛髪測定器具およびその使用状態を説明する斜視図であり、(b)はマイクロカメラによる取得画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる毛髪測定器具10の一例を示す斜視図である。図2(a)は毛髪測定器具10の使用状態を説明するための斜視図であり、同図(b)は毛髪50および生え角φの目視状態を示す正面図である。図3は、毛髪50の生え向き(生え角φおよび回転角θ)を説明する図である。これらの図を用いて、本実施形態の毛髪測定器具10および毛髪測定方法を説明する。
はじめに、本実施形態の毛髪測定器具10の概要について説明する。
【0016】
本実施形態の毛髪測定器具10は、毛髪50の生えた皮膚60に押し当てて用いる第一平板12と、第一平板12より起立して設けられた第二平板14と、第二平板14の一方側(図1,2における手前側)より視認可能に設けられた位置指標20と、位置指標20を基準として第一平板12に対する毛髪50の生え角φを測定するための仰角測定部30と、を備えている。
そして、毛髪測定器具10は、第一平板12の少なくとも一部が、位置指標20よりも一方側に延在している。
【0017】
はじめに、毛髪50の仰角(生え角φ)と回転角θの測定方法について図3を用いて説明する。
毛髪50としては、人間の頭髪や体毛のほか、動物の毛を例示することができる。本実施形態では、毛髪50として人間の頭髪を測定するものとする。
毛髪50は、付け根53より皮膚(頭皮)60の外部に突出している。毛髪50は付け根53よりも皮膚60の内部に毛根(図示せず)を有する。付け根53は毛髪50が皮膚60から表面に突き出る点である。
【0018】
仮想平面64は、付け根53を含み皮膚60に接する接平面である。また、仮想立面66は、毛髪50の根元部位52を面内に含み仮想平面64に直交する平面である。
生え角φは、根元部位52を仮想平面64に投影した投影線分54と、根元部位52のなす仰角である。
また、回転角θは、基準方向Gと投影線分54とが、仮想平面64内でなす角度として表現される。
したがって、生え角φは仮想立面66内における投影線分54と根元部位52とのなす角であり、回転角θは仮想平面64内における仮想立面66と基準方向Gとのなす角である。
なお、基準方向Gとしては、回転角θを客観的に定義できる向きである限り、特に限定されない。代表的には、重力方向や被験者の視線方向などを例示することができる。
以下、本実施形態において、毛髪50の生え向きとは、付け根53の近傍で直線に近似可能な一部長さ領域である根元部位52が、皮膚60から突出する三次元的な向きを意味する。根元部位52の具体的な領域としては、一例として、毛髪50の付け根53から先端側に10mmとすることができる。かかる領域は、一般に高い精度で直線近似することができ、毛髪50の生え向きが好適に測定可能である。また、根元部位52として、毛髪50の付け根53から先端側に5mmと設定することで、より高い精度で根元部位52を直線近似することができる。
【0019】
本実施形態の毛髪測定器具10は、かかる生え向き(生え角φおよび回転角θ)を簡易に測定する器具である。
ここで、本発明者の検討により、毛髪固有の生え向きを測定したい時には1本1本の毛髪50を自然な生え向きになるように毛流れを整えた上で測定することで、当該毛髪50の自重の影響をほとんど受けずに生え向きが測定可能であることがわかっている。また、特定のヘアスタイルにした時や、剤を使用した時の生え向きの変化を知りたい時は、毛髪50をそれらの状態に整えた上で、毛髪測定器具10を用いて生え向きを測定しても良い。
【0020】
次に、本実施形態の毛髪測定器具10について詳細に説明する。
図1に示す毛髪測定器具10は、仮想平面64に相当する第一平板12と、仮想立面66に相当する第二平板14と、生え角φを測定するための仰角測定部30と、回転角θを測定するための回転角測定部(回転角測定用目盛40)および方向指示部42とを備えている(図3を参照)。
【0021】
第一平板12は、その下面121を、毛髪50の生えた皮膚60(図3を参照)に押し当てて、測定対象の毛髪50の近傍における接平面を構成する部材である。第一平板12の板厚や形状は特に限られるものではない。また、皮膚60への押し当てを阻害しない限りにおいて、第一平板12の上下面には凹凸が形成されていてもよい。
本実施形態では、第一平板12より第二平板14が起立する側の面を上面122、その反対側の面を下面121とする。本実施形態においては、下面121における所定の領域が平坦に形成されて、第一平板12の押し当てにより下面121が皮膚60の接平面を構成する部材を第一平板12と呼称する。そして、第一平板12としては、いわゆる板状のほか、ブロック状や塊状であってもよい。
【0022】
第二平板14は、図2を参照して後述するように、皮膚60から突出する毛髪50に対して表面141または裏面142の少なくとも一方を添えることにより、その面内方向を毛髪50の回転角θに合わせて用いられる部材である。第二平板14の板厚や形状は特に限られるものではなく、いわゆる板状のほか、ブロック状や塊状であってもよい。また、毛髪50の回転角θと第二平板14の面内方向とを合わせる作業を阻害しない限りにおいて、第二平板14の表面141または裏面142には凹凸が形成されていてもよい。
【0023】
第一平板12および第二平板14の材料は特に限定されないが、成形性や軽量さ、汚れ、例えば汗や整髪料の付着した頭髪でも繰り返し使用可能なものが好ましく、例えば金属、プラスチック、ガラス、木材等を挙げることができる。
第一平板12および第二平板14の大きさは、持ち運びが容易で観察時に手で支えやすく、かつ頭部で使用しやすいサイズが好ましく、縦横それぞれ10mm〜200mmの寸法を例示することができる。
【0024】
第一平板12と第二平板14とは、直接連結されていても、他の部材を介在して互いに連結していてもよい。本実施形態では、第一平板12と第二平板14とはヒンジ18で接合されている。
ヒンジ18はラッチ機構(図示せず)を有し、毛髪の測定時には第二平板14が第一平板12より立設された状態に固定される。そして、本実施形態の毛髪測定器具10は、収納時や搬送時にはヒンジ18を畳んで全体に平板状に変形することができる。
本実施形態では、第一平板12と第二平板14とはそれぞれの一辺を近接させて互いに連結されている。
【0025】
ヒンジ18により辺同士が連結された第一平板12と第二平板14との連結部16は、毛髪の測定時には所定角αで固定されている。連結部16の角度αとは、第二平板14のうち、毛髪50の回転角θを合わせる基準となる表面141または裏面142と、第一平板12の下面121とのなす角をいう。本実施形態では、所定角αを略直角としている。
本実施形態の毛髪測定器具10においては、角度αが厳密に直角(90度)であることを要するものではない。回転角θの測定には角度αが80〜100度、好ましくは85〜95度であれば、実用的な測定精度にて毛髪50の回転角θを測定することが可能である。毛髪50の生え角φの測定には、第一平板12の前縁と後縁とが重なるような角度に視線をおいたときに、第二平板14の正面から仰角測定部30(後述する仰角測定用目盛32)を読み取ることになるので、正確な測定が容易となることを考えると、連結部16の所定角αは直角であることが好ましい。
具体的な角度αは、毛髪測定器具10による生え角φと回転角θの測定精度の要求に応じて決めればよい。
【0026】
毛髪測定器具10は、第二平板14の面直方向の一方側より視認可能に設けられた位置指標20を有している。位置指標20は、毛髪50の生え角φを測定するための基準となる目印である。
なお、位置指標20としては、第一平板12または第二平板14の頂点や交差点など、第一平板12または第二平板14自体を用いてもよく、または他のマークを第一平板12または第二平板14に対して直接または間接に設けてもよい。
本実施形態では、第二平板14の表面141に、より具体的には表面141における連結部16の中央に、位置指標20としてのマークが設けられている。位置指標20は、第二平板14の表面側(図1における手前側)から視認可能である。
【0027】
仰角測定部30は、位置指標20を基準として、第二平板14の面内方向と毛髪50の生え向きとを合わせた状態における、第一平板12に対する毛髪50の生え角φを測定するものである。
仰角測定部30としては、位置指標20を基準とする第一平板12からの仰角を示す角度指標や、毛髪50の根元部位52を位置指標20とともに撮影して画像処理により生え角φを求めるマイクロカメラを例示することができる。
【0028】
図1に示す本実施形態では、角度指標として、第二平板14に仰角測定用目盛32が放射状に形成されている。
仰角測定用目盛32は、第一平板12と第二平板14との連結部16上に設けられた位置指標20を中心とする半円放射状に形成されている。また、仰角測定用目盛32は第二平板14の表面141に形成されている。
そして、測定者は、毛髪50と仰角測定用目盛32とを目視観察にて対照することにより、毛髪50の生え角φと略一致する仰角測定用目盛32の角度方向を知得することができる。
【0029】
第一平板12と第二平板14とが互いに連結される辺の長さは、第一平板12の方が第二平板14よりも長く形成されている。したがって、第一平板12と第二平板14との連結部16を含む第一平板12の直線部13は、連結部16の長さよりも長い。本実施形態の直線部13は、仰角測定用目盛32に正対した場合に第一平板12の奥行側に位置する辺にあたる。
そして、第一平板12の直線部13と、第二平板14の縁143,144とは互いに直交して交差部15が形成されている。
【0030】
ここで、測定者は、毛髪50の根元部位52(図1を参照)と位置指標20とを合わせた状態で毛髪50を観察してもよく、または根元部位52と位置指標20とが離間した状態で観察してもよい。すなわち、毛髪50の根元部位52を、位置指標20、またはここから第一平板12の面内方向に平行移動した点(例えば交差部15)にセットして毛髪測定をおこなう。
【0031】
第一平板12の少なくとも一部は、位置指標20を視認可能な側(以下、「観察側」という)に向かって第二平板14より延在している。本実施形態では、第一平板12は第二平板14の表面側に設けられている。なお、図4を参照して後述するように、第一平板12は第二平板14の表裏両側に延在して設けられていてもよい。
【0032】
図2(a)に示すように、本実施形態の毛髪測定器具10は、第一平板12を皮膚60に押し当てて仮想平面64を構成するとともに、毛髪50の生え向きを第二平板14の面内方向に合わせることで第二平板14にて仮想立面66を構成するものである(図3を参照)。
そして、第二平板14から観察側に延在した第一平板12は、測定対象の毛髪50に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪56aを押し倒すことができる。これにより、毛髪50の根元部位52が他の毛髪56から露出するとともに、毛髪50の生え角φおよび回転角θに対する他の毛髪56a,56bの影響を排除することができる。
【0033】
(生え角φの測定方法について)
図2(a)、(b)を用いて、本実施形態の毛髪測定方法(以下、本方法という場合がある)を説明する。
本方法は、押当工程と、回転工程と、仰角測定工程とを少なくとも含む。
押当工程では、第一平板12を測定対象の毛髪50の生え位置の皮膚60に押し当てて、毛髪50に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪56aを押し倒す。
回転工程では、第一平板12より起立して設けられた第二平板14の面内方向を毛髪50の生え向きに合わせる。
仰角測定工程では、毛髪50の根元部位52と第一平板12との為す角度に基づいて毛髪50の生え角φを測定する。
【0034】
人間の頭皮などの皮膚60には、多数の毛髪50,56(56a,65b)が生えている。このうち、生え角φを測定する対象となる毛髪50を選定する。
毛髪50は、皮膚60から突出した基端部にあたる根元部位52では皮膚60に対して直線状に伸びており、先端に近づくにつれて毛髪50の自重や他の毛髪56との相互作用、癖、撫で付けなどの影響によって三次元的に湾曲する。
【0035】
押当工程では、測定対象の毛髪50に毛髪測定器具10が接触することのないよう、毛髪50の付け根53から僅かに離間した近傍位置に第一平板12の交差部15を押し当てる。これにより、交差部15を接点として、第一平板12は皮膚60の接平面となる。
第一平板12と付け根53との距離は特に限定されないが、毛髪50の自然な生え角を変化させないよう0.1mm以上であって、毛髪50の生え角φの測定精度が有意に低下しないよう5mm以下が好ましい。
なお、本実施形態において第一平板12を皮膚60に押し当てるとは、第一平板12によって毛髪56aを押し倒すことを意味し、第一平板12の下面121(図1を参照)が皮膚60に直接に接触することを必ずしも要しない。
【0036】
押圧工程では、毛髪50よりも観察側に隣接する他の毛髪56を第一平板12で押し倒す。本実施形態の第一平板12は直線部13が連結部16よりも長いため、毛髪50の生え向きの前方に位置する毛髪56も押し倒すことができる。
【0037】
回転工程では、第二平板14の縁143を回転軸AXとして、第一平板12を皮膚60に軽く押し当てた状態で毛髪測定器具10を回転させる。そして、目視により、毛髪50の根元部位52が含まれる仮想立面66(図3を参照)に第二平板14を一致させる。なお、生え角φの測定にあたり、仮想立面66と第二平板14との一致度は厳密さを要するものではなく、数度から10度程度の誤差を許容する。
【0038】
押当工程と回転工程をおこなう先後は特に限定されない。すなわち、第二平板14の面内方向を毛髪50の生え向きに一致させた状態から第一平板12を皮膚60に押し当ててもよい。または押当工程と回転工程とを同時におこなってもよい。
【0039】
仰角測定工程では、位置指標20を中心として放射状に形成された複数の仰角測定用目盛32のうち、毛髪50の根元部位52にもっとも平行に目視される角度目盛32aを選択する。そして、角度目盛32aと直線部13とのなす角は既知であるため、毛髪50の生え角φが測定される。
なお、仰角測定用目盛32の目盛間隔は20度刻み以下、特に10度刻み以下が望ましい。また、仰角測定用目盛32の少なくとも一部は、図1、2に示すように、第二平板14の幅方向(図1における左右方向)の両側の縁143および144まで到達する長さに形成されていることが好ましい。これにより、本方法のように毛髪50を第二平板14の縁143の外側に配置した状態で目視観察した場合でも、生え角φの測定精度を高めることができる。
【0040】
なお、上記回転工程においては、毛髪50の根元部位52が位置指標20に対して縁143から離れる側(以下、前方という)に立ち上がっている状態で第一平板12を皮膚60に押し当てているが、本発明はこれに限られない。すなわち、毛髪50が交差部15の近傍より位置指標20の側(後方)に立ち上がるようにして毛髪測定器具10を皮膚60に押し当ててもよい。
【0041】
第一平板12および第二平板14の厚みは、成形が容易で軽くて持ち運びしやすく、かつ使用時に変形しない範囲にあることが好ましく、0.1mm〜5mmが望ましい。
ここで、毛髪50は、第一平板12の上面122よりも上方にあらわれた長さ領域において生え角φが測定されることとなるため、第一平板12の板厚は小さいことが好ましい。第一平板12の板厚が大きいと、毛髪50の付け根53よりも相当程度に高い位置の角度をもって生え角φとみなすことになるためである。したがって、第一平板12は0.1mm〜2mmの範囲にあることが特に望ましい。
【0042】
本実施形態の毛髪測定器具10は、連結部16の両側に直線部13が延在している。これにより、毛髪50の生え向きが測定者にとって左右どちらに向かっていても、毛髪50の根元部位52が位置指標20に対して離れる側に立ち上がっている状態で第一平板12を皮膚60に押し当てることが可能である。これにより、交差部15を付け根53に極限まで近づけることが可能である。さらに、生え角φの読み取りの際に参照する目盛刻みが位置指標20を介して根元部位52とは同じ側の目盛になるため、第二平板14が透明であるか不透明であるかを問わず、より高精度な測定が可能である。
【0043】
(回転角θの測定方法について)
【0044】
本実施形態の毛髪測定器具10は、図1、2に示すように、基準方向Gを示す方向指示部42と、毛髪50の回転角θと基準方向Gとのなす角度を測定する回転角測定部(回転角測定用目盛40)と、を有している。
また、第一平板12と第二平板14とは略直交している。
【0045】
本実施形態の毛髪測定器具10は基準方向Gを重力方向としている。
毛髪測定器具10は回転角測定部として、第一平板12に放射状に設けられた回転角測定用目盛40を備えている。方向指示部42は、回転角測定用目盛40の放射中心43に回転可能に取り付けられている。そして、第一平板12を皮膚60に対して接平面となるようにこれに押し当てた際に、方向指示部42は重力で真下に引っ張られる。これにより、方向指示部42は基準方向Gである重力方向を第一平板12に投影した線分を描く。
なお、測定対象の毛髪50が皮膚60の天頂に位置している場合、方向指示部42の回転軸が重力方向と一致してしまい、方向指示部42は基準方向Gを示すことができない。したがって、本実施形態の毛髪測定器具10を用いて回転角θを測定する場合は、皮膚60における天頂をのぞく部位を対象にするとよい。
【0046】
回転角測定用目盛40は、第一平板12と第二平板14との連結部16から離間した点を放射中心43としている。これにより、かかる放射中心に一端が取り付けられる方向指示部42が第二平板14と干渉することはない。
本実施形態の回転角測定用目盛40は、かかる放射中心の周囲に360度にわたって形成されている。回転角測定用目盛40の目盛間隔は20度刻み以下、特に10度刻み以下が望ましい。回転角測定用目盛40の形成角度を360度とすることにより、毛髪50の生え向きと毛髪測定器具10との位置関係によらず、任意の方向に向かって生えている毛髪50の回転角θを測定することができる。
【0047】
方向指示部42は、回転角測定用目盛40の読み取りを容易にするために、形状が直線状であることが望ましい。材質は自重で下向きに真直ぐ引っ張られる程度の密度を有するもの、例えば金属やガラス、プラスチック、木材等を一例として用いることができる。このほか、方向指示部42としては、基端を回転角測定用目盛40の放射中心43に固定し、先端に錘をつけた糸を用いてもよい。
【0048】
本実施形態の方向指示部42は、回転角測定用目盛40の放射中心43を回転中心として第一平板12内での自由な回転が可能である。さらに、被験者の頭部全体での回転角θの測定を可能にするため、上に凸な部位(頭頂部近傍)と下に凸部位(後頭部の下方)の両方で、回転角測定用目盛40の読み取りができることが望ましい。
下に凸の部位に第一平板12を押し当てたときにも、回転角測定用目盛40によって方向指示部42の指示方向が読み取れるよう、方向指示部42自体が形態保持性を有する所定の硬度を有するとよい。または、方向指示部42の一部または全体を覆う透明のカバー(図示せず)を第一平板12に設けて、方向指示部42の先端が第一平板12から離間することを防止してもよい。
【0049】
方向指示部42の長さは、測定の際に毛髪50,56に引っ掛かることのないよう、第一平板12からはみ出ない長さであることが望ましい。方向指示部42の幅および厚みは、仰角測定用目盛32の読み取りを邪魔しない大きさであることが好ましく、0.1mm〜10mm程度とするとよい。
なお、基準方向Gを重力方向以外とする場合については図6を参照して後述する。
【0050】
毛髪50の生え角φを測定する本方法においては、基準方向Gと毛髪50の根元部位52とのなす角度(回転角θ)を測定する回転角測定工程をさらに含む。
【0051】
すなわち、上記の回転工程では、第二平板14の面内方向が毛髪50の根元部位52の向きに合わせられている。そして、押当工程では第一平板12が毛髪50の近傍における皮膚60の接平面を描いている。
これにより、第二平板14は、図3に示す仮想立面66に一致し、第一平板12は仮想平面64に一致している。また、第一平板12の直線部13は投影線分54に一致している。さらに、方向指示部42は基準方向Gを第一平板12に投影している。
そして、本実施形態の回転角測定工程では、回転角測定用目盛40によって、方向指示部42の指示方向を読みとることにより、第一平板12にそれぞれ投影された、第二平板14の面内方向と基準方向G(重力方向)とのなす角度を測定することができる。
具体的には、方向指示部42の指示方向と、第一平板12と第二平板14の連結部16を含む直線部13とのなす角度を、回転角測定用目盛40を利用して測定すればよい。
【0052】
このように、生え角φのみならず回転角θを客観的に知得することで、より正確に毛髪の向きを把握できるだけでなく、最適なヘアケア行動やヘアケア製品のより詳細な考察も可能となる。
【0053】
<第二実施形態>
図4は、本発明の第二実施形態にかかる毛髪測定器具10およびその使用状態を説明する斜視図である。
本実施形態の毛髪測定器具10は、仰角測定部30として、第一平板12からの高さを示す高さ指標34が第二平板14に設けられている。
高さ指標34は第二平板14の縁143に所定の間隔で設けられている。高さ指標34同士の間隔は0.1mm〜2mm程度とすることができる。
【0054】
本実施形態の毛髪測定器具10は、第一平板12がスリット部19を有している。スリット部19は第二平板14に沿って切り込み形成されている。スリット部19のスリット幅は特に限定されないが、その間に毛髪50を収容した場合に毛髪50の自然状態の回転角θや生え角φが影響を受けないよう、0.5mm〜10mm程度とすることができる。そして、スリット部19の最奥部にあたる位置には、第二平板14上に位置指標20が設けられている。
なお、スリット幅は第二平板14の板厚よりも大きく、スリット部19は第二平板14に関して観察方向の両側に形成されている。これにより、毛髪50は第二平板14に対して手前側と奥行側のいずれにも挿通可能である。
【0055】
図4に矢印にて示すように、測定対象の毛髪50をスリット部19の最奥部にセットした状態で第一平板12を皮膚60に押し当てることにより、観察側から毛髪50を目視したときに、付け根53と位置指標20とを一致させることができる。毛髪50の付け根53と位置指標20との一致度は特に限定されないが、1mm以下とすることが可能である。
【0056】
そして、毛髪50の根元部位52が縁143を通過する位置における高さ指標34の高さを測定することにより、縁143と位置指標20との既知の水平距離との正接(tan)から、毛髪50の生え角φを知得することができる。
このように、仰角測定部30としては、図1に示す放射方向の仰角測定用目盛32のみならず、図4に示す直線方向の高さ指標34によっても生え角φを求めることができる。
【0057】
また、本実施形態の毛髪測定器具10では、第一平板12にスリット部19を設けて毛髪50を挿入可能にしたことにより、連結部16を仰角の基準線(生え角φ=0度)として毛髪50の生え角φを測定することができる。このため、連結部16の両側に直線部13を延在させる必要がない。また、本実施形態の毛髪測定器具10では、スリット部19の少なくとも一部が、第二平板14よりも観察側に形成されている。このため、毛髪50を第二平板14の観察側に配置した状態で位置指標20に一致させることができ、第二平板14が不透明であっても毛髪50の視認性が損なわれることがない。
【0058】
さらに、本実施形態の毛髪測定器具10では、毛髪50の最高到達点にあたる嵩高さを高さ指標34によって知得することもできる。すなわち、本実施形態の高さ指標34は、根元部位52の生え角φを測定するスケールとしての機能と、毛髪50の嵩高さを測定するスケールとしての機能を併せもつ。
<第三実施形態>
【0059】
図5は、本発明の第三実施形態にかかる毛髪測定器具10およびその使用状態を説明する斜視図である。
本実施形態は、第二平板14の少なくとも位置指標20の周囲が透明である点で第一実施形態と相違する。
すなわち、本実施形態では、毛髪50を第二平板14の裏面142側に配置した状態で、図中手前側から根元部位52を目視することができる。
【0060】
これにより、第二実施形態と同様に、観察側から毛髪50を目視したときに付け根53(図5では図示せず)と位置指標20とを一致させることができるため、生え角φの測定精度が向上する。
なお、第二平板14としては、ガラスや透明樹脂材料を用いることができる。
【0061】
本実施形態の毛髪測定器具10によれば、毛髪50の生え向きの一方の側方に生える他の毛髪56のうち、毛髪50の前方および後方に生えるものをいずれも押し倒すことができる。また、かかる押し倒しは、第一平板12の直線部13の全長にわたって十分におこなわれる。このため、本実施形態の毛髪測定器具10においては、さらなる変形例として、第一平板12と第二平板14を直線部13において等しい長さとすることができる。
【0062】
<第四実施形態>
図6は、本発明の第四実施形態にかかる毛髪測定器具10およびその使用状態を説明する斜視図である。
本実施形態の毛髪測定器具10は、図中左方を基準方向Gとする。かかる基準方向Gは重力方向ではなく、例えば被験者の視線方向、または後頭部方向などと定めることができる。
そして、本実施形態の毛髪測定器具10は、以下の点で第二実施形態と相違する。
まず、方向指示部として、第一平板12に固定的に設けられた矢印記号などの方向指標46を有している。また、本実施形態の毛髪測定器具10は、第二平板14が第一平板12に対する鉛直軸44のまわりに回転可能である。そして、第一平板12には、回転角測定用目盛40が鉛直軸44の基端45を中心として放射状に設けられている。
なお、本実施形態の高さ指標34は、鉛直軸44の基端45を位置指標20として付されている。すなわち、本実施形態では鉛直軸44の基端45が位置指標20を兼ねている。
【0063】
以上の構成を備える本実施形態の毛髪測定器具10では、以下のように毛髪測定方法をおこなうことができる。
押当工程では、方向指標46を目視により基準方向Gに一致させた状態で、スリット部19に毛髪50を挿通する。スリット部19の最奥部に毛髪50の付け根53をセットして、第一平板12を皮膚60に押し当てる。
回転工程では、基準方向Gに方向指標46を一致させたまま、第二平板14を鉛直軸44まわりに回転させて、毛髪50の根元部位52の向きを第二平板14の面内方向に一致させる。
仰角測定工程では、毛髪50の根元部位52が通過する高さ指標34を目視することにより、毛髪50の生え角φが換算されて測定される。
回転角測定工程では、第二平板14と回転角測定用目盛40との関係から、鉛直軸44を中心とする第二平板14の回転角θが測定される。具体的には、第二平板14の延長上に位置する角度目盛を読み取ることにより、第二平板14と基準方向Gとのなす角度を求めることができる。
【0064】
本実施形態の毛髪測定器具10によれば、基準方向Gを重力方向の上下を除く任意方向に定めることにより、皮膚60の天頂に位置する毛髪50に対しても回転角θを測定することができる。
<第五実施形態>
【0065】
図7(a)は、本発明の第五実施形態にかかる毛髪測定器具10およびその使用状態を説明する斜視図である。
本実施形態の毛髪測定器具10は、仰角測定部30として、第一平板12または第二平板14に設置されたマイクロカメラ36を備えている点で第一実施形態と相違している。
同図(b)は、マイクロカメラ36による取得画像の一例を示す模式図である。
【0066】
本実施形態の毛髪測定器具10は、第二平板14の縁143と第一平板12との交差部15の近傍領域をマイクロカメラ36で画像取得する。
位置指標20はマイクロカメラ36の側に設けられており、取得画像上にて確認される。
マイクロカメラ36は、第二平板14と第一平板12との連結部16およびこれを含む直線部13と、第二平板14の縁143を、ともに視野内に含めて設置されている。より具体的には、位置指標20と交差部15とを合わせた状態でマイクロカメラ36は毛髪測定器具10に取り付けられている。
なお、マイクロカメラ36は第一平板12に直接に設置されてもよく、台座37を介して第一平板12または第二平板14に固定して設けられていてもよい。
【0067】
そして、毛髪50の付け根53を交差部15の近傍に配置し、根元部位52の向きを第二平板14の面内方向に一致させた状態でマイクロカメラ36により根元部位52の画像を撮影する。
かかる画像は汎用コンピュータまたは専用の画像処理装置に取り込んで画像処理に供される。
そして、直線部13または連結部16を基準とする根元部位52の角度を演算するか、または取得画像を表示するディスプレイ上で読み取ることにより、毛髪50の生え角φを求めることができる。
【0068】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、毛髪測定器具10の第一平板12と第二平板14とは毛髪測定時に連結していればよく、両者を分離可能に別体として設けてもよい。または、一続きの一枚の平板を折り曲げ加工して、第一平板12および第二平板14としてもよい。
【0069】
また、マイクロカメラによる取得画像の画像処理による毛髪特性の測定は、毛髪50の生え角φに限られず、回転角θについておこなってもよい。すなわち、上記第一から第四実施形態において、回転角測定用目盛40を第一平板12の面直方向から画像処理するマイクロカメラを毛髪測定器具10に設けてもよい。
また、上記各実施形態では第一平板12と第二平板14とのなす角度αが90度である場合を説明したが、本発明はこれに限られない。マイクロカメラによる毛髪50の観察を組み合わせることにより、角度αが任意であっても、第一平板12および第二平板14を用いて生え角φと回転角θを測定することができる。
【0070】
また、上記各実施形態の要素は、本発明の趣旨を損なわない限り、適宜組み合わせることができる。例えば、第二平板14を透明にする第三実施形態(図5)と、第二平板14を第一平板12に対して回転可能にする第四実施形態(図6)とを組み合わせてもよい。または、第一平板12にスリット部19を設けて毛髪50を位置指標20に一致させる第二実施形態(図4)と、毛髪50の根元部位52をマイクロカメラ36で画像取得して生え角φを算出する第五実施形態(図7)とを組み合わせてもよい。
【0071】
なお、本発明は以下の技術思想を包含するものである。
(1)第一平板を測定対象の毛髪の生え位置の皮膚に押し当てて、前記毛髪に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪を押し倒す押当工程と、
前記第一平板より直立して設けられた第二平板の面内方向を前記生え向きに合わせる回転工程と、
基準方向と前記生え向きとのなす角度を測定する回転角測定工程と、
を含む毛髪の生え向きの測定方法。
(2)前記回転角測定工程において、前記第一平板にそれぞれ投影された前記第二平板の前記面内方向と重力方向とのなす角度を測定する上記記載の毛髪の生え向きの測定方法。
【符号の説明】
【0072】
10 毛髪測定器具
12 第一平板
13 直線部
14 第二平板
15 交差部
16 連結部
17 交差部
18 ヒンジ
19 スリット部
20 位置指標
30 仰角測定部
32 仰角測定用目盛
32a 角度目盛
34 高さ指標
36 マイクロカメラ
37 台座
40 回転角測定用目盛
42 方向指示部
43 放射中心
44 鉛直軸
46 方向指標
50,56 毛髪
52 根元部位
53 付け根
54 投影線分
60 皮膚
64 仮想平面
66 仮想立面
θ 回転角
φ 生え角
G 基準方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の生えた皮膚に押し当てて用いる第一平板と、
前記第一平板より起立して設けられた第二平板と、
前記第二平板の一方側より視認可能に設けられた位置指標と、
前記位置指標を基準として前記第一平板に対する前記毛髪の生え角を測定するための仰角測定部と、を備えるとともに、
前記第一平板の少なくとも一部が、前記位置指標よりも前記一方側に延在していることを特徴とする毛髪測定器具。
【請求項2】
前記仰角測定部が、前記位置指標を基準とする前記第一平板からの仰角を示す角度指標を含む請求項1に記載の毛髪測定器具。
【請求項3】
前記角度指標が、前記第二平板に放射状に形成された仰角測定用目盛を含む請求項2に記載の毛髪測定器具。
【請求項4】
前記角度指標が、前記第一平板からの高さ位置を示す、前記第二平板に設けられた高さスケールを含む請求項2または3に記載の毛髪測定器具。
【請求項5】
前記仰角測定部が、前記第一平板または前記第二平板に設置されたマイクロカメラを含む請求項1または2に記載の毛髪測定器具。
【請求項6】
前記第二平板は、少なくとも前記位置指標の周囲が透明である請求項1から5のいずれかに記載の毛髪測定器具。
【請求項7】
前記第一平板と前記第二平板との連結部を含む前記第一平板の直線部が、前記連結部の長さよりも長いことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の毛髪測定器具。
【請求項8】
基準方向を示す方向指示部と、
前記毛髪の生え向きと前記基準方向とのなす角度を測定する回転角測定部と、をさらに有する請求項1から7のいずれかに記載の毛髪測定器具。
【請求項9】
前記回転角測定部が、前記第一平板に放射状に設けられた回転角測定用目盛であって、
前記基準方向が重力方向であり、かつ、
前記方向指示部が、前記回転角測定用目盛の放射中心に回転可能に取り付けられている請求項8に記載の毛髪測定器具。
【請求項10】
第一平板を測定対象の毛髪の生え位置の皮膚に押し当てて、前記毛髪に対して生え向きの側方に位置する他の毛髪を押し倒す押当工程と、
前記第一平板より起立して設けられた第二平板の面内方向を前記生え向きに合わせる回転工程と、
前記毛髪の根元部位と前記第一平板との為す角度に基づいて前記毛髪の生え角を測定する仰角測定工程と、
を含む毛髪測定方法。
【請求項11】
基準方向と前記生え向きとのなす角度を測定する回転角測定工程をさらに含む請求項10に記載の毛髪測定方法。
【請求項12】
前記回転角測定工程にて、前記第一平板にそれぞれ投影された、前記第二平板の前記面内方向と重力方向とのなす角度を測定することを特徴とする請求項11に記載の毛髪測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−396(P2011−396A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148100(P2009−148100)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】