毛髪用化粧料生成剤およびその製造方法
【課題】ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供する。
【解決手段】複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤は、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤とを含み、複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる。
【解決手段】複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤は、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤とを含み、複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪用化粧料生成剤に関し、特に、互いに混合されると自己発泡して泡状の毛髪用化粧料となる複数の剤からなる毛髪用化粧料生成剤、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤や染毛剤といった毛髪用化粧料として、液状またはクリーム状のものが普及している。しかし、現在では、液状またはクリーム状の毛髪用化粧料と比較して、手軽に塗布でき、かつ、塗布時のムラが少ないという利点がある泡状の毛髪用化粧料の普及が進んでいる。泡状の毛髪用化粧料としては、例えば、エアゾール型の毛髪用化粧料(例えば、特許文献1)と、ノンエアゾール型の毛髪用化粧料(例えば、特許文献2)とが知られている。
【0003】
エアゾール型の毛髪用化粧料は、噴射剤を使用して毛髪用化粧料を泡状とするため、特殊な容器を必要とし、耐圧容器の腐食や内圧の上昇の恐れがあると共に、使用後の容器を廃棄しづらいという問題があった。また、ノンエアゾール型の毛髪用化粧料では、泡状の毛髪用化粧料を手軽に得るために毛髪用化粧料の混合薬剤の粘度が低く調整されており、使用時にたれ落ちが生じやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−287534号公報
【特許文献2】特開2004−339216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤であって、
前記複数の剤には、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、前記炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤と、を含み、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、前記毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれるため、複数の剤の混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くすることができる。この結果、ノンエアゾール型であって、使用時(塗布時や放置時)のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記増粘剤は、会合型増粘剤である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤うちの少なくともいずれか1つの剤には、会合型増粘剤が含まれるため、複数の剤の各々については粘度を低く保ったまま毛髪用化粧料生成剤を製造することができ、かつ、複数の剤の混合時に、適したpH領域となって増粘した毛髪用化粧料を生成することができる毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または2記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含む、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、第1の剤には、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含むため、水に対する溶解性と、酸との反応性が良好な第1の剤を提供することができる。この結果、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤の混合時における発泡性をさらに向上させることができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料に占める前記炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%であるため、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際の自己発泡を実現することができる。
【0011】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪の染色に用いる毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内となるため、高い染毛力と適切な粘度を得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となるため、きめ細かい毛髪用化粧料の泡を得ることができる。
【0012】
[適用例6]
適用例1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色または漂白・脱色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪の染色または漂白・脱色に用いる毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内となるため、高い染毛力および脱色力と、適切な粘度を得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となり、きめ細かい毛髪用化粧料の泡を得ることができる。
【0013】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、さらに、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、
炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる。高級アルコールは、毛髪用化粧料に硬さを付与することができるため、毛髪用化粧料生成剤の混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くすることができる。また、きめ細かい泡を得ることができる。
【0014】
[適用例8]
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法であって、
非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合する第1の工程と、
前記第1の工程により生成した乳化混合物に対して、前記炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加する第2の工程と、
前記第2の工程により生成した乳化混合物に対して、酸性の基剤の成分を添加する第3の工程と、
を含む、第1の剤の製造方法。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法の製造方法では、非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合した乳化混合物に対して、炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加した後、酸性の基剤の成分を添加するため、乳化混合物をアルカリ性の状態に保ちつつ、アルカリ剤の成分、すなわち炭酸塩を添加することができる。この結果、第1の剤の製造時において、炭酸塩が酸性状態の乳化混合物と接触することによる発泡を抑制することができる。従って、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、毛髪用化粧料生成剤、毛髪用化粧料生成剤の製造方法、毛髪用化粧料生成剤を用いた毛髪用化粧料、および、毛髪用化粧料生成剤を用いた毛髪用化粧料の生成方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における毛髪用化粧料セットの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【図4】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【図5】毛髪用化粧料生成剤のうちの第1の剤の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】毛髪用化粧料生成剤のうちの第2の剤の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図8】毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図9】毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果を示す説明図である。
【図10】増粘剤の種類に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図11】増粘剤の種類に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図12】増粘剤の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【図13】増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図14】増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図15】増粘剤の種類に関する他の実験結果を示す説明図である。
【図16】炭酸塩の種類に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図17】炭酸塩の種類に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図18】炭酸塩の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【図19】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図20】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図21】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【図22】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【図23】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図24】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図25】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【図26】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【図27】高級アルコールに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図28】高級アルコールに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図29】高級アルコールに関する実験結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
【0018】
A.実施形態:
A−1.毛髪用化粧料セットの構成:
図1は、本発明の実施形態における毛髪用化粧料セット10の構成を概略的に示す説明図である。毛髪用化粧料セット10は、混合用容器100と、混合用器具200と、第1の剤300と、第2の剤400と、を含んでいる。以降、第1の剤300と、第2の剤400とを総称して「毛髪用化粧料生成剤」とも呼ぶ。
【0019】
第1の剤300および第2の剤400は、それぞれ個別に収容容器(例えばチューブ状の容器)に収容された液状またはクリーム状の剤である。第1の剤300および第2の剤400の組成は、互いに混合されたときに毛髪用化粧料(染毛剤または脱色剤)となるように設定されている。また、第1の剤300は、成分として炭酸塩(例えば重曹)を含んでおり、第2の剤400は、成分として炭酸塩を分解する酸を含んでいる。そのため、第1の剤300と第2の剤400とを混合すると、第1の剤300に含まれる炭酸塩と第2の剤400に含まれる酸とが反応して、気泡(二酸化炭素)が発生する。なお、第1の剤300と、第2の剤400の成分についての詳細は後述する。
【0020】
混合用容器100は、第1の剤300と第2の剤400とを混合する際に収容するコップ状の容器であり、樹脂(例えばPP)により形成されている。混合用器具200は、混合用容器100に収容された第1の剤300および第2の剤400を混合するための平板状(ヘラ状)の器具であり、樹脂(例えばPP)により形成されている。
【0021】
A−2.毛髪用化粧料製造処理:
図2は、毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理の流れを示すフローチャートである。また、図3および図4は、毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【0022】
最初に、図1に示すように、混合用容器100と混合用器具200と第1の剤300と第2の剤400とを含む毛髪用化粧料セット10が準備される(ステップS110)。次に、第1の剤300および第2の剤400が、収容容器から混合用容器100内に移される(ステップS120)。図3には、第1の剤300および第2の剤400が、収容容器から混合用容器100内に移される様子を示している。
【0023】
次に、混合用容器100内に移された第1の剤300および第2の剤400が、混合用器具200を用いて混合される(ステップS130)。図3には、第1の剤300および第2の剤400が、混合用器具200を用いて混合される様子を示している。混合用器具200を用いて第1の剤300および第2の剤400が混合されると、第1の剤300に含まれる炭酸塩と第2の剤400に含まれる酸とが反応して、気泡(二酸化炭素)が発生する。これにより、混合用容器100内において泡状の毛髪用化粧料が生成される。図4には、混合用容器100内に泡状の毛髪用化粧料FOが生成された様子を示している。なお、図4に示すように、混合用器具200は、混合用容器100内に生成された泡状の毛髪用化粧料FOをすくい取るための器具としても使用される。使用者は、混合用器具200を用いて毛髪用化粧料FOをすくい取り、混合用器具200上の毛髪用化粧料FOを手にとって毛髪に塗布する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理では、互いに混合されると自己発泡して泡状の毛髪用化粧料となる複数の剤を混合することによって、特殊な容器や噴射剤を使用することなく泡状の毛髪用化粧料を得ることができる。このとき、使用者は、剤を収容した容器を振とうしたりする作業を行う必要はなく、混合用器具200を用いて混合用容器100内に収容された第1の剤300および第2の剤400をかき混ぜるという簡単な作業を行うだけでよい。また、本実施形態の毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理では、複数の剤が混合されることにより気泡が発生し、液状またはクリーム状であった複数の剤が徐々に泡状の毛髪用化粧料FOとなる様子を使用者が観察することができるため、演出性(楽しさ、わくわく感)を向上させることができる。
【0025】
A−3.毛髪用化粧料生成剤の製造方法:
図5は、毛髪用化粧料生成剤のうちの第1の剤300の製造工程を示すフローチャートである。まず、第1の剤300の原料となる成分を、アルカリ剤(A)、非酸性の基剤(B)、酸性の基剤(C)、還元剤(D)、に分けてそれぞれ選択する(ステップS210)。
【0026】
アルカリ剤(A)の成分としては、炭酸塩を選択する。アルカリ剤(A)の成分としては、例えば、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1つ以上の炭酸塩を選択することができる。また、毛髪用化粧料(すなわち、第1の剤300と、第2の剤400を混合した混合薬剤)の炭酸塩の含有量は、1.0〜30.0質量%であることが好ましく、1.5〜20.0質量%であることがより好ましい。なお、炭酸塩に加えて、適宜、アンモニア水等を添加してもよい。
【0027】
非酸性の基剤(B)の成分は、酸性でないことを除き特に限定されない。非酸性の基剤(B)の成分は、目的とする毛髪用化粧料の用途(染毛剤・脱色剤等)および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。非酸性の基剤(B)の成分としては、例えば、酸化染料、炭化水素、エステル、シリコーン、高級アルコール、動植物油、界面活性剤、植物抽出物、アルコール類、天然または合成高分子、香料、精製水等を使用することができる。高級アルコールとして、特に、炭素数が値10〜30(好ましくは12〜24、特に好ましくは14〜22)の直鎖アルキル基、または、炭素数が値10〜30(好ましくは12〜24、特に好ましくは14〜22)のアルケニル基を有する1種類以上の高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール)を含むことが好ましい。
【0028】
酸性の基剤(C)の成分は、酸性であることを除き特に限定されない。酸性の基剤(C)の成分は、目的とする毛髪用化粧料生成剤の用途および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。本実施形態では、第1の剤300に増粘剤を含む構成を採用するため、酸性の基剤(C)の成分として、例えば、L−アスコルビン酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、リン酸、硫酸等の無機酸等や、増粘剤としてのカルボキシビニルポリマーを選択することができる。なお、増粘剤としては任意の種類の増粘剤を使用することができるが、特に、特定のpH領域において増粘する性質を持つ会合型増粘剤(中和型の増粘剤)を用いることが好ましい。また、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料(混合薬剤)の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする分量が好ましく、1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内とする分量であればさらに好ましい。
【0029】
還元剤(D)の成分としては、例えば、システインまたはその誘導体、チオリンゴ酸等のメルカプトカルボン酸、チオグリセロール等のメルカプトアルコール類、グリセロールモノチオグリコレート等のメルカプトカルボン酸エステル類、システアミン、システインアミド等のメルカプト化合物、亜硫酸、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩、アスコルビン酸またはその誘導体等から少なくとも1つ以上の成分を選択することができる。
【0030】
次に、ステップS210で選択した非酸性の基剤(B)、還元剤(D)の各剤を、油溶性成分からなる油相、水溶性成分からなる水相、高温化では不安定な成分からなる添加剤相に分類して、秤量する。また、アルカリ剤(A)、酸性の基剤(C)の各剤についても秤量する(ステップS212)。その後、秤量した油相成分と、水相成分とをそれぞれ加温溶解する(ステップS214)。所定温度に調節した水相を、所定温度に調節した油相に加えて乳化混合する(ステップS216)。なお、上記の所定温度とは、各剤を構成する成分の特性等を考慮した上で、任意に定めることができる。このことは、以下についても同様である。
【0031】
ステップS216において生成した乳化混合物を所定温度に調節した上で、添加剤相の成分を加える(ステップS218)。その後、ステップS218で得た乳化混合物を所定温度に調節した上で、秤量したアルカリ剤(A)の成分を加える(ステップS220)。なお、アルカリ剤(A)の成分の添加は低温で行うことが好ましい。この段階において、乳化混合物全体がアルカリ性となる。その後、ステップS220で得たアルカリ性の乳化混合物を所定温度に調節した上で、秤量した酸性の基剤(C)の成分を加える(ステップS222)。なお、酸性の基剤(C)の成分の添加は低温で行うことが好ましい。最後に、ステップS222で得た乳化混合物を、所定の容器に収容する(ステップS224)。なお、ステップS216を第1の工程、ステップS220を第2の工程、ステップS222を第3の工程とも呼ぶ。
【0032】
このように、本実施形態における第1の剤300の製造工程においては、乳化混合物に対して、アルカリ剤(A)の成分を添加した後、酸性の基剤(C)の成分を添加している。乳化混合物に対して、上記のような順序で成分を添加することによって、アルカリ性の状態を保ちつつ、アルカリ剤(A)の成分、すなわち炭酸塩を添加することができるため、炭酸塩が酸性状態の乳化混合物と接触することによる発泡を抑制することができる。
【0033】
図6は、毛髪用化粧料生成剤のうちの第2の剤400の製造工程を示すフローチャートである。まず、第2の剤400の原料となる成分を、基剤(E)、pH調整剤(F)、酸化剤(G)、に分けてそれぞれ選択する(ステップS310)。
【0034】
基剤(E)の成分としては、特に限定されない。基剤(E)の成分としては、目的とする毛髪用化粧料生成剤の用途および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。基剤(E)の成分としては、例えば、炭化水素、エステル、シリコーン、高級アルコール、動植物油、界面活性剤、植物抽出物、アルコール類、天然または合成高分子、香料、精製水等を使用することができる。
【0035】
pH調整剤(F)の成分としては、第1の剤300に含有される炭酸塩を分解可能な酸を選択する。例えば、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、リン酸、硫酸等の無機酸等から選択された少なくとも1つ以上の酸を選択することができる。また、毛髪の明度を下げるための染色に用いる毛髪用化粧料の場合、pH調整剤は、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを1.0〜9.0の範囲内とする分量を選択することが好ましく、pHを3.0〜7.0の範囲内とする分量を選択することがより好ましい。一方、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いる毛髪用化粧料の場合、pH調整剤は、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを6.0〜9.0の範囲内とする分量を選択することが好ましく、pHを7.0〜8.5の範囲内とする分量を選択することがより好ましい。なお、「毛髪の漂白・脱色」とは、毛髪中のメラニン色素の脱色を行うことを意味する。また、「毛髪の染色」とは、酸化染料の酸化により毛髪の色味と明度とを変化させることを意味する。なお、「毛髪の染色」の際には、毛髪の漂白・脱色を行いつつ、酸化染料の酸化により毛髪の色味と明度とを変化させてもよい。
【0036】
(G)酸化剤の成分としては、例えば、過酸化水素、過酸化水素または酸素の発生剤である過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸カリウム等を選択することができる。
【0037】
次に、ステップS310で選択した基剤(E)、pH調整剤(F)、酸化剤(G)の各剤を、油溶性成分からなる油相、水溶性成分からなる水相、高温化では不安定な成分からなる添加剤相に分類して、秤量する(ステップS312)。その後、秤量した油相成分と、水相成分とをそれぞれ加温溶解する(ステップS314)。所定温度に調節した水相を、所定温度に調節した油相に加えて乳化混合する(ステップS316)。ステップS316において生成した乳化混合物を所定温度に調節した上で、添加剤相の成分を加える(ステップS318)。最後に、ステップS318で得た乳化混合物を、所定の容器に収容する(ステップS324)。
【0038】
B.実験結果:
上記実施形態において説明した毛髪用化粧料生成剤について、毛髪用化粧料生成剤に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。
【0039】
以下の各種実験では、内容量550mlの混合用容器(図1)と、混合用器具200(図1)とを用いて、図5で説明した方法により製造した第1の剤300のサンプルと、図6で説明した方法により製造した第2の剤400のサンプルとを、混合比(重量比)1:1で混合し、得られた毛髪用化粧料(混合薬剤)について評価した。なお、混合は、図2で説明した毛髪用化粧料製造処理の手順に沿って実施した。
【0040】
B−1.実験結果1(毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果):
図7は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図8は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図9は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果を示す説明図である。なお、図中では便宜上、第1の剤を単に「1剤」、第2の剤を単に「2剤」と表記している。また、図中のサンプル番号が同一のものは対応している(すなわち、例えば、図9に示すサンプル#10の評価結果は、図7のサンプル#10の第1の剤と、図8のサンプル#10の第2の剤とを混合して得られる毛髪用化粧料についての評価結果を示している。)。これらのことは、以降に示す他の実験結果についても同様である。
【0041】
この実験では、まず、第1の剤の炭酸塩(炭酸カリウムおよび炭酸水素アンモニウム)の含有量と、増粘剤(カルボキシビニルポリマー)の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)の粘度を変化させた複数のサンプル(サンプル#10〜#19)を準備した。そして、サンプル#10〜#19について、(1−1)混合薬剤の泡の保持、(1−2)塗布時の液ダレ、(1−3)放置時の液ダレ、(1−4)塗布時の髪へのなじみ、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度は、20℃条件下で、混合薬剤を脱泡(真空状態で泡を脱気する)し、B型回転粘時計のローターNo.4を用い、6rpmで1分間回転させた後の値を用いる。評価方法と評価基準とを以下に示す。
【0042】
(1−1)混合薬剤の泡の保持は、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとの混合時の状況について、目視で確認して評価した。なお、ここで、「泡がしぼむ」とは、炭酸塩と酸との反応により一旦生成された泡が減少傾向を示すことを意味する。また、攪拌回数は、混合用器具(図1)を用いて、混合用容器(図1)の内周を1周させた際に「1回」と数える。
混合薬剤の泡の保持の評価基準
A:100回以上攪拌しても、泡がしぼまなかった
B:50回攪拌しても、泡がしぼまなかった
C:50回攪拌するまでに、泡がしぼみはじめた
D:泡立たなかった、もしくは攪拌してすぐ泡がしぼみはじめた
【0043】
(1−2)塗布時の液ダレは、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した際の液ダレについて評価した。
塗布時の液ダレの評価基準
A:頭へ塗布時、液ダレは全くなかった
B:頭へ塗布時、液ダレはほぼなかった
C:頭へ塗布時、わずかに液ダレがあった
D:頭へ塗布時、かなりの液ダレがあった
【0044】
(1−3)放置時の液ダレは、35℃条件下で、混合薬剤の泡150gを染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布して放置したものを評価した。
放置時の液ダレの評価基準
A:液ダレは全く起こらなかった
B:放置30分以内の液ダレはなかった
C:放置30分以内の液ダレがわずかにあった
D:放置30分以内にかなりの液ダレがあった
【0045】
(1−4)髪へのなじみは、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡を、染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布した際の髪への馴染み具合について評価した。なお、ここで、「髪へのなじみ」とは、毛髪間へ混合薬剤が素早く浸透することを意味する。
髪へのなじみの評価基準
A:髪へのなじみが優れている
B:髪へのなじみが良好である
C:髪へのなじみが悪い
D:髪へ全くなじまない
【0046】
この評価試験の結果において、混合薬剤の粘度が1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内であるサンプル#10〜#13では、全ての評価項目においてA評価を得た。すなわち、サンプル#10〜#13では、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず(すなわち、泡もちが良く)、塗布時および放置時の液ダレも全く起こらず、髪へのなじみも優れていた。また、混合薬剤の粘度が75400mPa・sのサンプル#15と、混合薬剤の粘度が82600mPa・sのサンプル#18では、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、髪へのなじみが悪いものの、塗布時および放置時の液ダレは全く起こらなかった。
【0047】
一方、混合薬剤の粘度が750mPa・sのサンプル#14と、混合薬剤の粘度が1200mPa・sのサンプル#17では、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、塗布時および放置時にかなりの液ダレが生じた。混合薬剤の粘度が10万mPa・s以上のサンプル#16、#19では、混合薬剤の泡が泡立たないと共に、髪へのなじみも全くなかった(換言すれば、髪への浸透性が悪く使用性に乏しかった)。
【0048】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする分量が好ましいことがわかる。毛髪用化粧料の粘度を上記範囲内とすれば、第1の剤と第2の剤との混合(すなわち、炭酸塩と酸との混合)により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡が適切な粘度によって抑制されるため、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能となる。
【0049】
この評価試験の結果より、さらに、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内とする分量であることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料の粘度を上記範囲内とすれば、適切な粘度によって毛髪用化粧料の泡もちがよく、かつ、塗布時の指通りがより良好で、使用性の良い毛髪用化粧料を得ることが可能となるためである。
【0050】
B−2.実験結果2(増粘剤の種類に関する実験結果1):
図10は、増粘剤の種類に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図11は、増粘剤の種類に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図12は、増粘剤の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【0051】
この実験では、まず、第1の剤に含まれる増粘剤の種類(カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#20〜#24)を準備した。そして、サンプル#20〜#24について、混合薬剤の粘度を求めると共に、(2−1)混合薬剤の泡の保持、(2−2)第1の剤の生成時における増粘剤の分散性、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度の測定方法は、B−1.実験結果1において説明したものと同じである。
【0052】
(2−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0053】
(2−2)第1の剤の生成時における増粘剤の分散性は、第1の剤の製造工程中の増粘剤を加えて混合する工程において、増粘剤が製剤中に容易に分散するか否かについて目視で確認して評価した。
第1の剤の生成時における増粘剤の分散性の評価基準
A:増粘剤が製剤に容易に分散可能
B:増粘剤が製剤に分散可能
C:増粘剤が製剤に分散可能だが、ままこができる
D:増粘剤が製剤に全く分散不可能
【0054】
この評価試験の結果において、混合薬剤の泡の保持力は、全てのサンプルについてA評価(100回以上攪拌しても、泡がしぼまなかった)を得た。また、会合型増粘剤を用いたサンプル#20〜#22では、増粘剤を加えて混合した際に、増粘剤が製剤中に容易に分散した。一方、会合型増粘剤でない増粘剤を使用したサンプル#23では、増粘剤を加えて混合した際、製剤中に増粘剤によるままこが発生した。同様に、会合型増粘剤でない増粘剤を用いたサンプル#24では、増粘剤を加えて混合した際、増粘剤が製剤の全体に分散しなかった。
【0055】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料生成剤に含まれる増粘剤は、会合型増粘剤(特定のpH領域となってはじめて増粘効果を発揮する増粘剤)を使用することが好ましいことがわかる。会合型増粘剤を使用すれば、第1の剤の製造工程中の、増粘剤を加えて混合する工程において、製剤に対する良好な分散性を得ることができるためである。
【0056】
B−3.実験結果3(増粘剤の種類に関する他の実験結果):
図13は、増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図14は、増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図15は、増粘剤の種類に関する他の実験結果を示す説明図である。
【0057】
この実験では、第1の剤の水酸化カリウムの含有量と、第2の剤のリン酸の含有量を変化させることによって、第1の剤および第2の剤のpHを変化させつつ、さらに、増粘剤としてのカルボキシビニルポリマーまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合する剤を変化させた複数のサンプル(サンプル#30〜#33)を準備した。そして、サンプル#30〜#33について、第1の剤の粘度と、第2の剤の粘度と、混合薬剤の粘度と、混合薬剤のpHとを求めると共に、(3−1)混合薬剤の泡の保持、(3−2)増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度の測定方法は、B−1.実験結果1において説明したものと同じである。また、第1の剤および第2の剤の粘度は、20℃条件下で、B型回転粘時計のローターNo.4を用い、6rpmで1分間回転させた後の値を用いる。
【0058】
(3−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0059】
(3−2)増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性についての評価方法および評価基準は、B−2.実験結果2の(2−2)と同様である。
【0060】
この評価試験の結果において、第1の剤に含まれる水酸化カリウムの分量を同じにしたサンプル#30、#32のうち、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#30は、会合型でない増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用いたサンプル#32に比べて、第1の剤の粘度を低く、かつ、増粘剤の含有量を少なくすることができた。また、第2の剤に含まれるリン酸の分量を同じにしたサンプル#31、#33のうち、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#31は、会合型でない増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用いたサンプル#33に比べて、第2の剤の粘度を低く、かつ、増粘剤の含有量を少なくすることができた。
【0061】
さらに、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#30、#31では、増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の製造工程中の、増粘剤を加えて混合する工程において、製剤に対して増粘剤が容易に分散した。一方、会合型でない増粘剤を用いたサンプル#32、#33では、増粘剤が製剤中に分散しなかった。
【0062】
この評価試験の結果からも、毛髪用化粧料生成剤(混合薬剤)に含まれる増粘剤は、会合型増粘剤(特定のpH領域となってはじめて増粘効果を発揮する増粘剤)を使用することが好ましいことがわかる。会合型増粘剤を使用すれば、増粘剤の含有量を低配合量に抑えて、増粘剤を配合する剤や他の剤の粘度を低く保ったまま毛髪用化粧料生成剤を製造することができ、かつ、複数の剤(第1の剤、第2の剤)の混合時に、炭酸塩と酸とが反応することで起こる中和反応により、毛髪用化粧料(混合薬剤)が増粘に適したpH領域となって増粘効果を発揮することができる。また、増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性を向上させることができる。なお、上記評価試験の結果から、会合型増粘剤は、第1の剤と、第2の剤とのどちらに配合してもよいことがわかる。
【0063】
B−4.実験結果4(炭酸塩の種類に関する実験結果):
図16は、炭酸塩の種類に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図17は、炭酸塩の種類に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図18は、炭酸塩の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【0064】
この実験では、第1の剤の炭酸塩の種類(炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸プロピレン、炭酸エチレン)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#40〜#50)を準備した。そして、サンプル#40〜#50について、(4−1)混合時の発泡性について評価した。さらに、サンプル#40〜#50に用いた炭酸塩のそれぞれについて(4−2)炭酸塩の溶解性を別途評価した。
【0065】
(4−1)混合時の発泡性は、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとの混合時の発泡の状況について目視で確認して評価した。
混合時の発泡性の評価基準
A:優れた発泡性を示した
B:良好な発泡性を示した
C:弱い発泡性を示した
D:ほぼ発泡性を示さなかった
【0066】
(4−2)炭酸塩の溶解性は、炭酸塩を水の中へ投入し、攪拌した際の溶解性について目視で確認して評価した。
炭酸塩の溶解性の評価基準
A:優れた水への溶解性を示した
B:良好な水への溶解性を示した
C:弱い水への溶解性を示した
D:ほぼ水への溶解性を示さなかった
【0067】
この評価試験の結果において、炭酸塩として、炭酸水素アンモニウムを含むサンプル#40および#43と、炭酸カリウムと炭酸水素アンモニウムを含むサンプル#41と、炭酸カリウムを含むサンプル#42と、炭酸ナトリウムを含むサンプル#44と、炭酸水素ナトリウムを含むサンプル#45と、炭酸水素カリウムを含むサンプル#46と、炭酸カルシウムを含むサンプル#47と、炭酸バリウムを含むサンプル#48とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に、優れた発泡性を示した。一方、炭酸塩として炭酸プロピレンを含むサンプル#49と、炭酸塩として炭酸エチレンを含むサンプル#50とは、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。
【0068】
また、サンプル#40〜#46に使用された炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)は、水に対する溶解性が優れていた。一方、サンプル#50に使用された炭酸塩(炭酸エチレン)は、水に対して弱い溶解性を示した。サンプル#47に使用された炭酸塩(炭酸カルシウム)と、サンプル#48に使用された炭酸塩(炭酸バリウム)と、サンプル#49に使用された炭酸塩(炭酸プロピレン)とは、ほぼ水に対する溶解性を示さなかった。
【0069】
この評価試験の結果より、第1の剤に含まれる炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含むことが好ましいことがわかる。このようにすれば、水に対する溶解性と、酸との反応性が良好な第1の剤を提供することができるため、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤の混合時における発泡性をさらに向上させることができる。
【0070】
B−5.実験結果5(毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果):
図19は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図20は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図21は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【0071】
この実験では、まず、第1の剤のアンモニア水の含有量と、第2の剤のリン酸の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを変化させた複数のサンプル(サンプル#60〜#64)を準備した。そして、サンプル#60〜#64について、(5−1)明度、(5−2)混合時の発泡性、の各項目について評価を行った。なお、本実験における各サンプルは、いずれも、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる(すなわち、暗い髪の色を明るくするための)毛髪用化粧料を生成する。
【0072】
(5−1)明度は、パネラー20名による実際の染毛で評価した。具体的には、25℃条件下で、混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した状態で20分放置し、混合薬剤を洗い流した後、乾かした後の毛髪の明度について目視で確認して評価した。
明度の評価基準
A:優れた明度を示した
B:良好な明度を示した
C:弱い明度を示した
D:ほぼ明度を示さなかった
【0073】
(5−2)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0074】
この評価試験の結果において、混合薬剤のpHが6.0であったサンプル#60と、pHが7.5であったサンプル#61とは、良好な明度を示すと共に、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示した。また、混合薬剤のpHが9.0であったサンプル#62は、優れた明度を示すと共に、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示した。一方、混合薬剤のpHが5.0であったサンプル#63は、ほぼ明度を示さなかった。混合薬剤のpHが10.0であったサンプル#64は、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。
【0075】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料においては、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHは6.0〜9.0の範囲内とすることが好ましいことがわかる。このようにすれば、毛髪用化粧料において、高い染毛力および脱色力と、適切な粘度とを得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となる。適切な粘度と炭酸塩と酸との効率のよい反応の結果、きめ細かくもっちりとしたクリーミィな毛髪用化粧料の泡を得ることができ、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0076】
B−6.実験結果6(毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果):
図22は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【0077】
この実験では、B−5.実験結果5のサンプル#61において、炭酸塩としての炭酸カリウムと炭酸水素アンモニウムの含有量の合計を1.0質量%〜40.0質量%まで変化させた複数のサンプル(サンプル#610〜#615)を準備した。そして、サンプル#610〜#615について、(6−1)混合時の発泡性、(6−2)容器からのあふれ出し、(6−3)使用感、の各項目について評価を行った。
【0078】
(6−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0079】
(6−2)容器からのあふれ出しは、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとを混合した場合における混合用容器からの泡のあふれ出しの有無について、目視で確認して評価した。
容器からのあふれ出しの評価基準
A:どのように混合しても、全くあふれなかった
B:混合に注意は必要だったが、あふれなかった
C:注意して混合したが、わずかにあふれた
D:注意して混合しても、激しくあふれた
【0080】
(6−3)使用感は、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡を、染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布した際の塗りやすさについて評価した。
使用感の評価基準
A:とてものびがよく、塗りやすかった
B:のびは普通だが、問題なく塗れた
C:塗りにくかった
【0081】
この評価試験の結果において、炭酸塩の含有量が10.0質量%であるサンプル#612は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合時の注意は要するものの、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#612は、毛髪に塗布する際にとてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が20.0質量%であるサンプル#613は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#613は、毛髪に塗布する際に、とてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が30.0質量%であるサンプル#614は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示すと共に、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#614は、毛髪に塗布する際ののびは問題なく塗布することができる程度だった。
【0082】
一方、炭酸塩の含有量が1.0質量%であるサンプル#610は、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。炭酸塩の含有量が5.0質量%であるサンプル#611は、第1の剤と第2の剤とを混合しても弱い発泡性しか示さなかったが、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#610は、毛髪に塗布する際ののびは良好であった。炭酸塩の含有量が40.0質量%であるサンプル#615は、第1の剤と第2の剤とを混合時に注意を払っても混合用容器から泡が激しくあふれ、毛髪に塗布する際ののびも悪かった。
【0083】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料の場合、毛髪用化粧料(混合薬剤)に占める炭酸塩の含有量は、1.0〜30.0質量%とすることが好ましく、10.0〜20.0質量%とすることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量を上記範囲内とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際に、適度な自己発泡効果を得ることができる。
【0084】
B−7.実験結果7(毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果):
図23は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図24は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図25は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【0085】
この実験では、まず、第1の剤のアンモニア水の含有量と、第2の剤のリン酸の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを変化させたサンプル(サンプル#70〜#75)を準備した。そして、サンプル#70〜#75について、(7−1)混合時の発泡性、(7−2)頭皮への刺激、の各項目について評価を行った。なお、本実験における各サンプルは、いずれも、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる(すなわち、明るい髪の色を暗くするための)毛髪用化粧料を生成する。
【0086】
(7−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0087】
(7−2)頭皮への刺激は、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した際の頭皮への刺激(痛み、かゆみ)の有無について評価した。
頭皮への刺激の評価基準
A:頭皮の刺激を全く感じない
B:頭皮の刺激をほとんど感じない
C:頭皮の刺激を感じる
D:頭皮の刺激を非常に感じる
【0088】
この評価試験の結果において、混合薬剤のpHが3.25であったサンプル#71と、pHが6.80であったサンプル#72とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示すと共に、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激も全くなかった。また、混合薬剤のpHが1.0であったサンプル#70は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示したものの、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激があった。混合薬剤のpHが8.80であったサンプル#73は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示し、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激も全くなかった。
【0089】
一方、混合薬剤のpHが0.57であったサンプル#74は、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への強い刺激があった。また、混合薬剤のpHが9.30であったサンプル#75は、第1の剤と第2の剤とを混合した際にほぼ発泡しなかった。
【0090】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料においては、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHは1.0〜9.0の範囲内とすることが好ましく、pHを3.0〜7.0の範囲内とすることが特に好ましいことがわかる。このようにすれば、毛髪用化粧料において、高い染毛力と、適切な粘度とを得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となる。適切な粘度と炭酸塩と酸との効率のよい反応の結果、きめ細かくもっちりとしたクリーミィな毛髪用化粧料の泡を得ることができ、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0091】
B−8.実験結果8(毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果):
図26は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【0092】
この実験では、B−7.実験結果7のサンプル#71において、炭酸塩としての炭酸水素アンモニウムの含有量を1.0質量%〜10.0質量%まで変化させた複数のサンプル(サンプル#710〜#715)を準備した。そして、サンプル#710〜#715について、(7−1)混合時の発泡性、(7−2)容器からのあふれ出し、(7−3)使用感、の各項目について評価を行った。
【0093】
(7−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0094】
(7−2)容器からのあふれ出しについての評価方法および評価基準は、B−6.実験結果6の(6−2)と同様である。
【0095】
(7−3)使用感についての評価方法および評価基準は、B−6.実験結果6の(6−3)と同様である。
【0096】
この評価試験の結果において、炭酸塩の含有量が1.5質量%であるサンプル#711と、2.0質量%であるサンプル#712とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合時の注意は要するものの、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#711、#712は、毛髪に塗布する際にとてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が3.0質量%であるサンプル#713は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示したが、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#713は、毛髪に塗布する際に、とてものびがよく塗りやすかった。
【0097】
一方、炭酸塩の含有量が1.0質量%であるサンプル#710は、第1の剤と第2の剤とを混合しても弱い発泡性しか示さなかったものの、混合用容器からの泡のあふれは見られず、毛髪に塗布する際ののびは良好であった。炭酸塩の含有量が5.0質量%であるサンプル#714と、10.0質量%であるサンプル#715とは、第1の剤と第2の剤とを混合する時に注意しても混合用容器から泡が激しくあふれた。
【0098】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料の場合、毛髪用化粧料(混合薬剤)に占める炭酸塩の含有量は、1.5〜10.0質量%とすることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量を上記範囲内とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際に、適度な自己発泡効果を得ることができる。
【0099】
B−9.実験結果9(高級アルコールに関する実験結果):
図27は、高級アルコールに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図28は、高級アルコールに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図29は、高級アルコールに関する実験結果を示す説明図である。
【0100】
この実験では、第1の剤に含まれるアルコール類の種類(ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、カルナービルアルコール、ミリシルアルコール、カプリリルアルコール、ラクセリルアルコール)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#80〜89)を準備した。そして、サンプル#80〜#89について、(9−1)混合薬剤の泡の保持、(9−2)塗布時の液ダレ、(9−3)放置時の液ダレ、(9−4)明度、(9−5)染色性、の各項目について評価を行った。
【0101】
(9−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0102】
(9−2)塗布時の液ダレについての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−2)と同様である。
【0103】
(9−3)放置時の液ダレについての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−3)と同様である。
【0104】
(9−4)明度についての評価方法および評価基準は、B−5.実験結果5の(5−1)と同様である。
【0105】
(9−5)染色性は、パネラー20名による実際の染毛で評価した。具体的には、25℃条件下で、混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した状態で20分放置し、混合薬剤を洗い流した後、乾かした後の毛髪の染色性について目視で確認して評価した。
染色性の評価基準
A:優れた染色性を示した
B:良好な染色性を示した
C:弱い染色性を示した
D:ほぼ染色性を示さなかった
【0106】
この評価試験の結果において、ミリスチルアルコールを含んだサンプル#80と、セチルアルコールを含んだサンプル#81と、ステアリルアルコールを含んだサンプル#82とは、全ての評価項目においてA評価を得た。すなわち、サンプル#80〜#82では、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず(すなわち、泡もちが良く)、塗布時および放置時の液ダレも発生せず、優れた明度と、優れた染色性を示した。ベヘニルアルコールを含んだサンプル#83においても、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず、塗布時および放置時の液ダレも発生せず、良好な明度と、優れた染色性を示した。
【0107】
ラウリルアルコールを含んだサンプル#85と、カルナービルアルコールを含んだサンプル#86とは、全ての評価項目においてB評価を得た。すなわち、サンプル#85、#86では、混合薬剤の泡が50回程度攪拌してもしぼまず、塗布時の液ダレもほぼ見られず、放置30分以内の液ダレも見られなかった。また、良好な明度と、良好な染色性を示した。カプリルアルコールを含んだサンプル#84と、ミリシルアルコールを含んだサンプル#87とは、混合薬剤の泡が50回程度攪拌してもしぼまず、塗布時の液ダレもほぼ見られず、放置30分以内の液ダレも見られなかったものの、弱い明度と、弱い染色性しか示さなかった。
【0108】
カプリリルアルコールを含んだサンプル#88と、ラクセリルアルコールを含んだサンプル#89とは、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、塗布時および放置時に液ダレが生じるとともに、明度は殆ど示さず、染色性についても弱かった。
【0109】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールを含むことが好ましいことがわかる。高級アルコールは、毛髪用化粧料に硬さを付与することができるため、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸との混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くする。また、高級アルコールが含まれることにより、毛髪用化粧料の泡をきめ細かくすることができるため、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0110】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、以下のような変形が可能である。
【0111】
C1.変形例1:
上記実施形態と実験例では、毛髪用化粧料生成剤は2剤(第1の剤、第2の剤)から構成されるものとした上で、各剤に配合される成分の一例を挙げて説明した。しかし、毛髪用化粧料生成剤は、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、炭酸塩を分解可能な酸を含有する第2の剤とを含んでいれば足り、上記例示の態様に限定されない。具体的には、毛髪用化粧料生成剤に含まれる成分、およびその含有量は任意に変更することができる。
【0112】
例えば、上記実施形態では、第1の剤に増粘剤を含むものとして記載したが、増粘剤は、毛髪用化粧料生成剤を構成する複数の剤のうちの、少なくともいずれか1つの剤に含まれていれば足りる。具体的には、毛髪用化粧料生成剤が3剤から構成される場合に、第3の剤に増粘剤が配合されるものとしてもよいし、毛髪用化粧料生成剤が2剤から構成される場合に、第2の剤に増粘剤が配合されるものとしてもよい。さらに、複数の剤の全てに増粘剤が配合される態様とすることもできる。
【0113】
例えば、上記実施形態では、第1の剤に高級アルコールを含むものとして記載したが、高級アルコールは、毛髪用化粧料生成剤を構成する複数の剤のうちの、少なくともいずれか1つの剤に含まれていれば足りる。具体的には、毛髪用化粧料生成剤が3剤から構成される場合に、第3の剤に高級アルコールが配合されるものとしてもよいし、毛髪用化粧料生成剤が2剤から構成される場合に、第2の剤に高級アルコールが配合されるものとしてもよい。さらに、複数の剤の全てに高級アルコールが配合される態様とすることもできる。
【0114】
C2.変形例2:
上記実施形態(図1)では、毛髪用化粧料セットの構成の一例を示した。しかし、毛髪用化粧料セットの構成は、種々の変形が可能である。例えば、混合用容器や、混合用器具の形状、材質等を変更することができる。例えば、混合用容器と、混合用器具とを一体化した容器等を用いても良い。
【0115】
C3.変形例3:
上記実施形態(図2)では、毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料製造処理の流れの一例を示した。しかし、毛髪用化粧料製造処理の流れは、種々の変形が可能である。
【0116】
C4.変形例4:
上記実施形態(図5、図6)では、第1の剤と、第2の剤との製造工程について説明した。しかし、この製造工程はあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、第1の剤の製造工程におけるステップを一部省略することや、ステップの並び順を変えることが可能である。ただし、炭酸塩の発泡を抑制する観点からは、(A)アルカリ剤の成分を添加する工程(ステップS220)と、(C)酸性の基剤の成分を添加する工程(ステップS222)との順番は変更しないことが好ましい。
【0117】
C5.変形例5:
上記実施形態では、髪に塗布し、毛髪の明度を変えるための毛髪用化粧料を例示して説明した。しかし本発明は、上記実施形態に限らず他の態様を採ることもできる。具体的には、例えば、体毛に塗布し、体毛の明度を変えるための泡状の化粧料を構成するための生成剤としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…毛髪用化粧料セット
100…混合用容器
200…混合用器具
300…第1の剤
400…第2の剤
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪用化粧料生成剤に関し、特に、互いに混合されると自己発泡して泡状の毛髪用化粧料となる複数の剤からなる毛髪用化粧料生成剤、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤や染毛剤といった毛髪用化粧料として、液状またはクリーム状のものが普及している。しかし、現在では、液状またはクリーム状の毛髪用化粧料と比較して、手軽に塗布でき、かつ、塗布時のムラが少ないという利点がある泡状の毛髪用化粧料の普及が進んでいる。泡状の毛髪用化粧料としては、例えば、エアゾール型の毛髪用化粧料(例えば、特許文献1)と、ノンエアゾール型の毛髪用化粧料(例えば、特許文献2)とが知られている。
【0003】
エアゾール型の毛髪用化粧料は、噴射剤を使用して毛髪用化粧料を泡状とするため、特殊な容器を必要とし、耐圧容器の腐食や内圧の上昇の恐れがあると共に、使用後の容器を廃棄しづらいという問題があった。また、ノンエアゾール型の毛髪用化粧料では、泡状の毛髪用化粧料を手軽に得るために毛髪用化粧料の混合薬剤の粘度が低く調整されており、使用時にたれ落ちが生じやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−287534号公報
【特許文献2】特開2004−339216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤であって、
前記複数の剤には、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、前記炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤と、を含み、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、前記毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれるため、複数の剤の混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くすることができる。この結果、ノンエアゾール型であって、使用時(塗布時や放置時)のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記増粘剤は、会合型増粘剤である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤うちの少なくともいずれか1つの剤には、会合型増粘剤が含まれるため、複数の剤の各々については粘度を低く保ったまま毛髪用化粧料生成剤を製造することができ、かつ、複数の剤の混合時に、適したpH領域となって増粘した毛髪用化粧料を生成することができる毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または2記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含む、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、第1の剤には、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含むため、水に対する溶解性と、酸との反応性が良好な第1の剤を提供することができる。この結果、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤の混合時における発泡性をさらに向上させることができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料に占める前記炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%であるため、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際の自己発泡を実現することができる。
【0011】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪の染色に用いる毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内となるため、高い染毛力と適切な粘度を得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となるため、きめ細かい毛髪用化粧料の泡を得ることができる。
【0012】
[適用例6]
適用例1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色または漂白・脱色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪の染色または漂白・脱色に用いる毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内となるため、高い染毛力および脱色力と、適切な粘度を得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となり、きめ細かい毛髪用化粧料の泡を得ることができる。
【0013】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、さらに、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、
炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる。高級アルコールは、毛髪用化粧料に硬さを付与することができるため、毛髪用化粧料生成剤の混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くすることができる。また、きめ細かい泡を得ることができる。
【0014】
[適用例8]
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法であって、
非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合する第1の工程と、
前記第1の工程により生成した乳化混合物に対して、前記炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加する第2の工程と、
前記第2の工程により生成した乳化混合物に対して、酸性の基剤の成分を添加する第3の工程と、
を含む、第1の剤の製造方法。
このような構成とすれば、毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法の製造方法では、非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合した乳化混合物に対して、炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加した後、酸性の基剤の成分を添加するため、乳化混合物をアルカリ性の状態に保ちつつ、アルカリ剤の成分、すなわち炭酸塩を添加することができる。この結果、第1の剤の製造時において、炭酸塩が酸性状態の乳化混合物と接触することによる発泡を抑制することができる。従って、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能な毛髪用化粧料生成剤を提供することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、毛髪用化粧料生成剤、毛髪用化粧料生成剤の製造方法、毛髪用化粧料生成剤を用いた毛髪用化粧料、および、毛髪用化粧料生成剤を用いた毛髪用化粧料の生成方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における毛髪用化粧料セットの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【図4】毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【図5】毛髪用化粧料生成剤のうちの第1の剤の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】毛髪用化粧料生成剤のうちの第2の剤の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図8】毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図9】毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果を示す説明図である。
【図10】増粘剤の種類に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図11】増粘剤の種類に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図12】増粘剤の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【図13】増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図14】増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図15】増粘剤の種類に関する他の実験結果を示す説明図である。
【図16】炭酸塩の種類に関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図17】炭酸塩の種類に関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図18】炭酸塩の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【図19】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図20】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図21】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【図22】毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【図23】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図24】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図25】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【図26】毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【図27】高級アルコールに関する実験において用いた第1の剤のサンプルを示す説明図である。
【図28】高級アルコールに関する実験において用いた第2の剤のサンプルを示す説明図である。
【図29】高級アルコールに関する実験結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
【0018】
A.実施形態:
A−1.毛髪用化粧料セットの構成:
図1は、本発明の実施形態における毛髪用化粧料セット10の構成を概略的に示す説明図である。毛髪用化粧料セット10は、混合用容器100と、混合用器具200と、第1の剤300と、第2の剤400と、を含んでいる。以降、第1の剤300と、第2の剤400とを総称して「毛髪用化粧料生成剤」とも呼ぶ。
【0019】
第1の剤300および第2の剤400は、それぞれ個別に収容容器(例えばチューブ状の容器)に収容された液状またはクリーム状の剤である。第1の剤300および第2の剤400の組成は、互いに混合されたときに毛髪用化粧料(染毛剤または脱色剤)となるように設定されている。また、第1の剤300は、成分として炭酸塩(例えば重曹)を含んでおり、第2の剤400は、成分として炭酸塩を分解する酸を含んでいる。そのため、第1の剤300と第2の剤400とを混合すると、第1の剤300に含まれる炭酸塩と第2の剤400に含まれる酸とが反応して、気泡(二酸化炭素)が発生する。なお、第1の剤300と、第2の剤400の成分についての詳細は後述する。
【0020】
混合用容器100は、第1の剤300と第2の剤400とを混合する際に収容するコップ状の容器であり、樹脂(例えばPP)により形成されている。混合用器具200は、混合用容器100に収容された第1の剤300および第2の剤400を混合するための平板状(ヘラ状)の器具であり、樹脂(例えばPP)により形成されている。
【0021】
A−2.毛髪用化粧料製造処理:
図2は、毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理の流れを示すフローチャートである。また、図3および図4は、毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理の概要を示す説明図である。
【0022】
最初に、図1に示すように、混合用容器100と混合用器具200と第1の剤300と第2の剤400とを含む毛髪用化粧料セット10が準備される(ステップS110)。次に、第1の剤300および第2の剤400が、収容容器から混合用容器100内に移される(ステップS120)。図3には、第1の剤300および第2の剤400が、収容容器から混合用容器100内に移される様子を示している。
【0023】
次に、混合用容器100内に移された第1の剤300および第2の剤400が、混合用器具200を用いて混合される(ステップS130)。図3には、第1の剤300および第2の剤400が、混合用器具200を用いて混合される様子を示している。混合用器具200を用いて第1の剤300および第2の剤400が混合されると、第1の剤300に含まれる炭酸塩と第2の剤400に含まれる酸とが反応して、気泡(二酸化炭素)が発生する。これにより、混合用容器100内において泡状の毛髪用化粧料が生成される。図4には、混合用容器100内に泡状の毛髪用化粧料FOが生成された様子を示している。なお、図4に示すように、混合用器具200は、混合用容器100内に生成された泡状の毛髪用化粧料FOをすくい取るための器具としても使用される。使用者は、混合用器具200を用いて毛髪用化粧料FOをすくい取り、混合用器具200上の毛髪用化粧料FOを手にとって毛髪に塗布する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理では、互いに混合されると自己発泡して泡状の毛髪用化粧料となる複数の剤を混合することによって、特殊な容器や噴射剤を使用することなく泡状の毛髪用化粧料を得ることができる。このとき、使用者は、剤を収容した容器を振とうしたりする作業を行う必要はなく、混合用器具200を用いて混合用容器100内に収容された第1の剤300および第2の剤400をかき混ぜるという簡単な作業を行うだけでよい。また、本実施形態の毛髪用化粧料セット10を用いた毛髪用化粧料生成処理では、複数の剤が混合されることにより気泡が発生し、液状またはクリーム状であった複数の剤が徐々に泡状の毛髪用化粧料FOとなる様子を使用者が観察することができるため、演出性(楽しさ、わくわく感)を向上させることができる。
【0025】
A−3.毛髪用化粧料生成剤の製造方法:
図5は、毛髪用化粧料生成剤のうちの第1の剤300の製造工程を示すフローチャートである。まず、第1の剤300の原料となる成分を、アルカリ剤(A)、非酸性の基剤(B)、酸性の基剤(C)、還元剤(D)、に分けてそれぞれ選択する(ステップS210)。
【0026】
アルカリ剤(A)の成分としては、炭酸塩を選択する。アルカリ剤(A)の成分としては、例えば、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムから選択された少なくとも1つ以上の炭酸塩を選択することができる。また、毛髪用化粧料(すなわち、第1の剤300と、第2の剤400を混合した混合薬剤)の炭酸塩の含有量は、1.0〜30.0質量%であることが好ましく、1.5〜20.0質量%であることがより好ましい。なお、炭酸塩に加えて、適宜、アンモニア水等を添加してもよい。
【0027】
非酸性の基剤(B)の成分は、酸性でないことを除き特に限定されない。非酸性の基剤(B)の成分は、目的とする毛髪用化粧料の用途(染毛剤・脱色剤等)および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。非酸性の基剤(B)の成分としては、例えば、酸化染料、炭化水素、エステル、シリコーン、高級アルコール、動植物油、界面活性剤、植物抽出物、アルコール類、天然または合成高分子、香料、精製水等を使用することができる。高級アルコールとして、特に、炭素数が値10〜30(好ましくは12〜24、特に好ましくは14〜22)の直鎖アルキル基、または、炭素数が値10〜30(好ましくは12〜24、特に好ましくは14〜22)のアルケニル基を有する1種類以上の高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール)を含むことが好ましい。
【0028】
酸性の基剤(C)の成分は、酸性であることを除き特に限定されない。酸性の基剤(C)の成分は、目的とする毛髪用化粧料生成剤の用途および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。本実施形態では、第1の剤300に増粘剤を含む構成を採用するため、酸性の基剤(C)の成分として、例えば、L−アスコルビン酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、リン酸、硫酸等の無機酸等や、増粘剤としてのカルボキシビニルポリマーを選択することができる。なお、増粘剤としては任意の種類の増粘剤を使用することができるが、特に、特定のpH領域において増粘する性質を持つ会合型増粘剤(中和型の増粘剤)を用いることが好ましい。また、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料(混合薬剤)の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする分量が好ましく、1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内とする分量であればさらに好ましい。
【0029】
還元剤(D)の成分としては、例えば、システインまたはその誘導体、チオリンゴ酸等のメルカプトカルボン酸、チオグリセロール等のメルカプトアルコール類、グリセロールモノチオグリコレート等のメルカプトカルボン酸エステル類、システアミン、システインアミド等のメルカプト化合物、亜硫酸、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩、アスコルビン酸またはその誘導体等から少なくとも1つ以上の成分を選択することができる。
【0030】
次に、ステップS210で選択した非酸性の基剤(B)、還元剤(D)の各剤を、油溶性成分からなる油相、水溶性成分からなる水相、高温化では不安定な成分からなる添加剤相に分類して、秤量する。また、アルカリ剤(A)、酸性の基剤(C)の各剤についても秤量する(ステップS212)。その後、秤量した油相成分と、水相成分とをそれぞれ加温溶解する(ステップS214)。所定温度に調節した水相を、所定温度に調節した油相に加えて乳化混合する(ステップS216)。なお、上記の所定温度とは、各剤を構成する成分の特性等を考慮した上で、任意に定めることができる。このことは、以下についても同様である。
【0031】
ステップS216において生成した乳化混合物を所定温度に調節した上で、添加剤相の成分を加える(ステップS218)。その後、ステップS218で得た乳化混合物を所定温度に調節した上で、秤量したアルカリ剤(A)の成分を加える(ステップS220)。なお、アルカリ剤(A)の成分の添加は低温で行うことが好ましい。この段階において、乳化混合物全体がアルカリ性となる。その後、ステップS220で得たアルカリ性の乳化混合物を所定温度に調節した上で、秤量した酸性の基剤(C)の成分を加える(ステップS222)。なお、酸性の基剤(C)の成分の添加は低温で行うことが好ましい。最後に、ステップS222で得た乳化混合物を、所定の容器に収容する(ステップS224)。なお、ステップS216を第1の工程、ステップS220を第2の工程、ステップS222を第3の工程とも呼ぶ。
【0032】
このように、本実施形態における第1の剤300の製造工程においては、乳化混合物に対して、アルカリ剤(A)の成分を添加した後、酸性の基剤(C)の成分を添加している。乳化混合物に対して、上記のような順序で成分を添加することによって、アルカリ性の状態を保ちつつ、アルカリ剤(A)の成分、すなわち炭酸塩を添加することができるため、炭酸塩が酸性状態の乳化混合物と接触することによる発泡を抑制することができる。
【0033】
図6は、毛髪用化粧料生成剤のうちの第2の剤400の製造工程を示すフローチャートである。まず、第2の剤400の原料となる成分を、基剤(E)、pH調整剤(F)、酸化剤(G)、に分けてそれぞれ選択する(ステップS310)。
【0034】
基剤(E)の成分としては、特に限定されない。基剤(E)の成分としては、目的とする毛髪用化粧料生成剤の用途および剤型等によって、1種類またはそれ以上の成分の組合せを選択することができる。基剤(E)の成分としては、例えば、炭化水素、エステル、シリコーン、高級アルコール、動植物油、界面活性剤、植物抽出物、アルコール類、天然または合成高分子、香料、精製水等を使用することができる。
【0035】
pH調整剤(F)の成分としては、第1の剤300に含有される炭酸塩を分解可能な酸を選択する。例えば、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、リン酸、硫酸等の無機酸等から選択された少なくとも1つ以上の酸を選択することができる。また、毛髪の明度を下げるための染色に用いる毛髪用化粧料の場合、pH調整剤は、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを1.0〜9.0の範囲内とする分量を選択することが好ましく、pHを3.0〜7.0の範囲内とする分量を選択することがより好ましい。一方、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いる毛髪用化粧料の場合、pH調整剤は、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを6.0〜9.0の範囲内とする分量を選択することが好ましく、pHを7.0〜8.5の範囲内とする分量を選択することがより好ましい。なお、「毛髪の漂白・脱色」とは、毛髪中のメラニン色素の脱色を行うことを意味する。また、「毛髪の染色」とは、酸化染料の酸化により毛髪の色味と明度とを変化させることを意味する。なお、「毛髪の染色」の際には、毛髪の漂白・脱色を行いつつ、酸化染料の酸化により毛髪の色味と明度とを変化させてもよい。
【0036】
(G)酸化剤の成分としては、例えば、過酸化水素、過酸化水素または酸素の発生剤である過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸カリウム等を選択することができる。
【0037】
次に、ステップS310で選択した基剤(E)、pH調整剤(F)、酸化剤(G)の各剤を、油溶性成分からなる油相、水溶性成分からなる水相、高温化では不安定な成分からなる添加剤相に分類して、秤量する(ステップS312)。その後、秤量した油相成分と、水相成分とをそれぞれ加温溶解する(ステップS314)。所定温度に調節した水相を、所定温度に調節した油相に加えて乳化混合する(ステップS316)。ステップS316において生成した乳化混合物を所定温度に調節した上で、添加剤相の成分を加える(ステップS318)。最後に、ステップS318で得た乳化混合物を、所定の容器に収容する(ステップS324)。
【0038】
B.実験結果:
上記実施形態において説明した毛髪用化粧料生成剤について、毛髪用化粧料生成剤に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。
【0039】
以下の各種実験では、内容量550mlの混合用容器(図1)と、混合用器具200(図1)とを用いて、図5で説明した方法により製造した第1の剤300のサンプルと、図6で説明した方法により製造した第2の剤400のサンプルとを、混合比(重量比)1:1で混合し、得られた毛髪用化粧料(混合薬剤)について評価した。なお、混合は、図2で説明した毛髪用化粧料製造処理の手順に沿って実施した。
【0040】
B−1.実験結果1(毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果):
図7は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図8は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図9は、毛髪用化粧料の粘度に関する実験結果を示す説明図である。なお、図中では便宜上、第1の剤を単に「1剤」、第2の剤を単に「2剤」と表記している。また、図中のサンプル番号が同一のものは対応している(すなわち、例えば、図9に示すサンプル#10の評価結果は、図7のサンプル#10の第1の剤と、図8のサンプル#10の第2の剤とを混合して得られる毛髪用化粧料についての評価結果を示している。)。これらのことは、以降に示す他の実験結果についても同様である。
【0041】
この実験では、まず、第1の剤の炭酸塩(炭酸カリウムおよび炭酸水素アンモニウム)の含有量と、増粘剤(カルボキシビニルポリマー)の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)の粘度を変化させた複数のサンプル(サンプル#10〜#19)を準備した。そして、サンプル#10〜#19について、(1−1)混合薬剤の泡の保持、(1−2)塗布時の液ダレ、(1−3)放置時の液ダレ、(1−4)塗布時の髪へのなじみ、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度は、20℃条件下で、混合薬剤を脱泡(真空状態で泡を脱気する)し、B型回転粘時計のローターNo.4を用い、6rpmで1分間回転させた後の値を用いる。評価方法と評価基準とを以下に示す。
【0042】
(1−1)混合薬剤の泡の保持は、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとの混合時の状況について、目視で確認して評価した。なお、ここで、「泡がしぼむ」とは、炭酸塩と酸との反応により一旦生成された泡が減少傾向を示すことを意味する。また、攪拌回数は、混合用器具(図1)を用いて、混合用容器(図1)の内周を1周させた際に「1回」と数える。
混合薬剤の泡の保持の評価基準
A:100回以上攪拌しても、泡がしぼまなかった
B:50回攪拌しても、泡がしぼまなかった
C:50回攪拌するまでに、泡がしぼみはじめた
D:泡立たなかった、もしくは攪拌してすぐ泡がしぼみはじめた
【0043】
(1−2)塗布時の液ダレは、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した際の液ダレについて評価した。
塗布時の液ダレの評価基準
A:頭へ塗布時、液ダレは全くなかった
B:頭へ塗布時、液ダレはほぼなかった
C:頭へ塗布時、わずかに液ダレがあった
D:頭へ塗布時、かなりの液ダレがあった
【0044】
(1−3)放置時の液ダレは、35℃条件下で、混合薬剤の泡150gを染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布して放置したものを評価した。
放置時の液ダレの評価基準
A:液ダレは全く起こらなかった
B:放置30分以内の液ダレはなかった
C:放置30分以内の液ダレがわずかにあった
D:放置30分以内にかなりの液ダレがあった
【0045】
(1−4)髪へのなじみは、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡を、染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布した際の髪への馴染み具合について評価した。なお、ここで、「髪へのなじみ」とは、毛髪間へ混合薬剤が素早く浸透することを意味する。
髪へのなじみの評価基準
A:髪へのなじみが優れている
B:髪へのなじみが良好である
C:髪へのなじみが悪い
D:髪へ全くなじまない
【0046】
この評価試験の結果において、混合薬剤の粘度が1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内であるサンプル#10〜#13では、全ての評価項目においてA評価を得た。すなわち、サンプル#10〜#13では、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず(すなわち、泡もちが良く)、塗布時および放置時の液ダレも全く起こらず、髪へのなじみも優れていた。また、混合薬剤の粘度が75400mPa・sのサンプル#15と、混合薬剤の粘度が82600mPa・sのサンプル#18では、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、髪へのなじみが悪いものの、塗布時および放置時の液ダレは全く起こらなかった。
【0047】
一方、混合薬剤の粘度が750mPa・sのサンプル#14と、混合薬剤の粘度が1200mPa・sのサンプル#17では、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、塗布時および放置時にかなりの液ダレが生じた。混合薬剤の粘度が10万mPa・s以上のサンプル#16、#19では、混合薬剤の泡が泡立たないと共に、髪へのなじみも全くなかった(換言すれば、髪への浸透性が悪く使用性に乏しかった)。
【0048】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする分量が好ましいことがわかる。毛髪用化粧料の粘度を上記範囲内とすれば、第1の剤と第2の剤との混合(すなわち、炭酸塩と酸との混合)により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡が適切な粘度によって抑制されるため、ノンエアゾール型であって、使用時のたれ落ちを抑制可能な粘度を有する泡状の毛髪用化粧料を、手軽に得ることが可能となる。
【0049】
この評価試験の結果より、さらに、毛髪用化粧料(混合薬剤)中の増粘剤の含有量は、毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜30000mPa・sの範囲内とする分量であることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料の粘度を上記範囲内とすれば、適切な粘度によって毛髪用化粧料の泡もちがよく、かつ、塗布時の指通りがより良好で、使用性の良い毛髪用化粧料を得ることが可能となるためである。
【0050】
B−2.実験結果2(増粘剤の種類に関する実験結果1):
図10は、増粘剤の種類に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図11は、増粘剤の種類に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図12は、増粘剤の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【0051】
この実験では、まず、第1の剤に含まれる増粘剤の種類(カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#20〜#24)を準備した。そして、サンプル#20〜#24について、混合薬剤の粘度を求めると共に、(2−1)混合薬剤の泡の保持、(2−2)第1の剤の生成時における増粘剤の分散性、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度の測定方法は、B−1.実験結果1において説明したものと同じである。
【0052】
(2−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0053】
(2−2)第1の剤の生成時における増粘剤の分散性は、第1の剤の製造工程中の増粘剤を加えて混合する工程において、増粘剤が製剤中に容易に分散するか否かについて目視で確認して評価した。
第1の剤の生成時における増粘剤の分散性の評価基準
A:増粘剤が製剤に容易に分散可能
B:増粘剤が製剤に分散可能
C:増粘剤が製剤に分散可能だが、ままこができる
D:増粘剤が製剤に全く分散不可能
【0054】
この評価試験の結果において、混合薬剤の泡の保持力は、全てのサンプルについてA評価(100回以上攪拌しても、泡がしぼまなかった)を得た。また、会合型増粘剤を用いたサンプル#20〜#22では、増粘剤を加えて混合した際に、増粘剤が製剤中に容易に分散した。一方、会合型増粘剤でない増粘剤を使用したサンプル#23では、増粘剤を加えて混合した際、製剤中に増粘剤によるままこが発生した。同様に、会合型増粘剤でない増粘剤を用いたサンプル#24では、増粘剤を加えて混合した際、増粘剤が製剤の全体に分散しなかった。
【0055】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料生成剤に含まれる増粘剤は、会合型増粘剤(特定のpH領域となってはじめて増粘効果を発揮する増粘剤)を使用することが好ましいことがわかる。会合型増粘剤を使用すれば、第1の剤の製造工程中の、増粘剤を加えて混合する工程において、製剤に対する良好な分散性を得ることができるためである。
【0056】
B−3.実験結果3(増粘剤の種類に関する他の実験結果):
図13は、増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図14は、増粘剤の種類に関する他の実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図15は、増粘剤の種類に関する他の実験結果を示す説明図である。
【0057】
この実験では、第1の剤の水酸化カリウムの含有量と、第2の剤のリン酸の含有量を変化させることによって、第1の剤および第2の剤のpHを変化させつつ、さらに、増粘剤としてのカルボキシビニルポリマーまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合する剤を変化させた複数のサンプル(サンプル#30〜#33)を準備した。そして、サンプル#30〜#33について、第1の剤の粘度と、第2の剤の粘度と、混合薬剤の粘度と、混合薬剤のpHとを求めると共に、(3−1)混合薬剤の泡の保持、(3−2)増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性、の各項目について評価を行った。なお、混合薬剤の粘度の測定方法は、B−1.実験結果1において説明したものと同じである。また、第1の剤および第2の剤の粘度は、20℃条件下で、B型回転粘時計のローターNo.4を用い、6rpmで1分間回転させた後の値を用いる。
【0058】
(3−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0059】
(3−2)増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性についての評価方法および評価基準は、B−2.実験結果2の(2−2)と同様である。
【0060】
この評価試験の結果において、第1の剤に含まれる水酸化カリウムの分量を同じにしたサンプル#30、#32のうち、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#30は、会合型でない増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用いたサンプル#32に比べて、第1の剤の粘度を低く、かつ、増粘剤の含有量を少なくすることができた。また、第2の剤に含まれるリン酸の分量を同じにしたサンプル#31、#33のうち、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#31は、会合型でない増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を用いたサンプル#33に比べて、第2の剤の粘度を低く、かつ、増粘剤の含有量を少なくすることができた。
【0061】
さらに、会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)を用いたサンプル#30、#31では、増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の製造工程中の、増粘剤を加えて混合する工程において、製剤に対して増粘剤が容易に分散した。一方、会合型でない増粘剤を用いたサンプル#32、#33では、増粘剤が製剤中に分散しなかった。
【0062】
この評価試験の結果からも、毛髪用化粧料生成剤(混合薬剤)に含まれる増粘剤は、会合型増粘剤(特定のpH領域となってはじめて増粘効果を発揮する増粘剤)を使用することが好ましいことがわかる。会合型増粘剤を使用すれば、増粘剤の含有量を低配合量に抑えて、増粘剤を配合する剤や他の剤の粘度を低く保ったまま毛髪用化粧料生成剤を製造することができ、かつ、複数の剤(第1の剤、第2の剤)の混合時に、炭酸塩と酸とが反応することで起こる中和反応により、毛髪用化粧料(混合薬剤)が増粘に適したpH領域となって増粘効果を発揮することができる。また、増粘剤が含まれる剤(第1の剤、第2の剤)の生成時における増粘剤の分散性を向上させることができる。なお、上記評価試験の結果から、会合型増粘剤は、第1の剤と、第2の剤とのどちらに配合してもよいことがわかる。
【0063】
B−4.実験結果4(炭酸塩の種類に関する実験結果):
図16は、炭酸塩の種類に関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図17は、炭酸塩の種類に関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図18は、炭酸塩の種類に関する実験結果を示す説明図である。
【0064】
この実験では、第1の剤の炭酸塩の種類(炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸プロピレン、炭酸エチレン)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#40〜#50)を準備した。そして、サンプル#40〜#50について、(4−1)混合時の発泡性について評価した。さらに、サンプル#40〜#50に用いた炭酸塩のそれぞれについて(4−2)炭酸塩の溶解性を別途評価した。
【0065】
(4−1)混合時の発泡性は、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとの混合時の発泡の状況について目視で確認して評価した。
混合時の発泡性の評価基準
A:優れた発泡性を示した
B:良好な発泡性を示した
C:弱い発泡性を示した
D:ほぼ発泡性を示さなかった
【0066】
(4−2)炭酸塩の溶解性は、炭酸塩を水の中へ投入し、攪拌した際の溶解性について目視で確認して評価した。
炭酸塩の溶解性の評価基準
A:優れた水への溶解性を示した
B:良好な水への溶解性を示した
C:弱い水への溶解性を示した
D:ほぼ水への溶解性を示さなかった
【0067】
この評価試験の結果において、炭酸塩として、炭酸水素アンモニウムを含むサンプル#40および#43と、炭酸カリウムと炭酸水素アンモニウムを含むサンプル#41と、炭酸カリウムを含むサンプル#42と、炭酸ナトリウムを含むサンプル#44と、炭酸水素ナトリウムを含むサンプル#45と、炭酸水素カリウムを含むサンプル#46と、炭酸カルシウムを含むサンプル#47と、炭酸バリウムを含むサンプル#48とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に、優れた発泡性を示した。一方、炭酸塩として炭酸プロピレンを含むサンプル#49と、炭酸塩として炭酸エチレンを含むサンプル#50とは、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。
【0068】
また、サンプル#40〜#46に使用された炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)は、水に対する溶解性が優れていた。一方、サンプル#50に使用された炭酸塩(炭酸エチレン)は、水に対して弱い溶解性を示した。サンプル#47に使用された炭酸塩(炭酸カルシウム)と、サンプル#48に使用された炭酸塩(炭酸バリウム)と、サンプル#49に使用された炭酸塩(炭酸プロピレン)とは、ほぼ水に対する溶解性を示さなかった。
【0069】
この評価試験の結果より、第1の剤に含まれる炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含むことが好ましいことがわかる。このようにすれば、水に対する溶解性と、酸との反応性が良好な第1の剤を提供することができるため、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤の混合時における発泡性をさらに向上させることができる。
【0070】
B−5.実験結果5(毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果):
図19は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図20は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図21は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【0071】
この実験では、まず、第1の剤のアンモニア水の含有量と、第2の剤のリン酸の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを変化させた複数のサンプル(サンプル#60〜#64)を準備した。そして、サンプル#60〜#64について、(5−1)明度、(5−2)混合時の発泡性、の各項目について評価を行った。なお、本実験における各サンプルは、いずれも、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる(すなわち、暗い髪の色を明るくするための)毛髪用化粧料を生成する。
【0072】
(5−1)明度は、パネラー20名による実際の染毛で評価した。具体的には、25℃条件下で、混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した状態で20分放置し、混合薬剤を洗い流した後、乾かした後の毛髪の明度について目視で確認して評価した。
明度の評価基準
A:優れた明度を示した
B:良好な明度を示した
C:弱い明度を示した
D:ほぼ明度を示さなかった
【0073】
(5−2)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0074】
この評価試験の結果において、混合薬剤のpHが6.0であったサンプル#60と、pHが7.5であったサンプル#61とは、良好な明度を示すと共に、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示した。また、混合薬剤のpHが9.0であったサンプル#62は、優れた明度を示すと共に、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示した。一方、混合薬剤のpHが5.0であったサンプル#63は、ほぼ明度を示さなかった。混合薬剤のpHが10.0であったサンプル#64は、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。
【0075】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料においては、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHは6.0〜9.0の範囲内とすることが好ましいことがわかる。このようにすれば、毛髪用化粧料において、高い染毛力および脱色力と、適切な粘度とを得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となる。適切な粘度と炭酸塩と酸との効率のよい反応の結果、きめ細かくもっちりとしたクリーミィな毛髪用化粧料の泡を得ることができ、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0076】
B−6.実験結果6(毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果):
図22は、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【0077】
この実験では、B−5.実験結果5のサンプル#61において、炭酸塩としての炭酸カリウムと炭酸水素アンモニウムの含有量の合計を1.0質量%〜40.0質量%まで変化させた複数のサンプル(サンプル#610〜#615)を準備した。そして、サンプル#610〜#615について、(6−1)混合時の発泡性、(6−2)容器からのあふれ出し、(6−3)使用感、の各項目について評価を行った。
【0078】
(6−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0079】
(6−2)容器からのあふれ出しは、第1の剤のサンプルと、第2の剤のサンプルとを混合した場合における混合用容器からの泡のあふれ出しの有無について、目視で確認して評価した。
容器からのあふれ出しの評価基準
A:どのように混合しても、全くあふれなかった
B:混合に注意は必要だったが、あふれなかった
C:注意して混合したが、わずかにあふれた
D:注意して混合しても、激しくあふれた
【0080】
(6−3)使用感は、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡を、染毛用試験ドールの毛髪全体に塗布した際の塗りやすさについて評価した。
使用感の評価基準
A:とてものびがよく、塗りやすかった
B:のびは普通だが、問題なく塗れた
C:塗りにくかった
【0081】
この評価試験の結果において、炭酸塩の含有量が10.0質量%であるサンプル#612は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合時の注意は要するものの、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#612は、毛髪に塗布する際にとてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が20.0質量%であるサンプル#613は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#613は、毛髪に塗布する際に、とてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が30.0質量%であるサンプル#614は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示すと共に、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#614は、毛髪に塗布する際ののびは問題なく塗布することができる程度だった。
【0082】
一方、炭酸塩の含有量が1.0質量%であるサンプル#610は、第1の剤と第2の剤とを混合してもほぼ発泡しなかった。炭酸塩の含有量が5.0質量%であるサンプル#611は、第1の剤と第2の剤とを混合しても弱い発泡性しか示さなかったが、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#610は、毛髪に塗布する際ののびは良好であった。炭酸塩の含有量が40.0質量%であるサンプル#615は、第1の剤と第2の剤とを混合時に注意を払っても混合用容器から泡が激しくあふれ、毛髪に塗布する際ののびも悪かった。
【0083】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を上げるための染色または漂白・脱色に用いられる毛髪用化粧料の場合、毛髪用化粧料(混合薬剤)に占める炭酸塩の含有量は、1.0〜30.0質量%とすることが好ましく、10.0〜20.0質量%とすることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量を上記範囲内とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際に、適度な自己発泡効果を得ることができる。
【0084】
B−7.実験結果7(毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果):
図23は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図24は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図25は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料のpHに関する実験結果を示す説明図である。
【0085】
この実験では、まず、第1の剤のアンモニア水の含有量と、第2の剤のリン酸の含有量とを変化させることによって、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHを変化させたサンプル(サンプル#70〜#75)を準備した。そして、サンプル#70〜#75について、(7−1)混合時の発泡性、(7−2)頭皮への刺激、の各項目について評価を行った。なお、本実験における各サンプルは、いずれも、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる(すなわち、明るい髪の色を暗くするための)毛髪用化粧料を生成する。
【0086】
(7−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0087】
(7−2)頭皮への刺激は、パネラー20名により、25℃条件下において混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した際の頭皮への刺激(痛み、かゆみ)の有無について評価した。
頭皮への刺激の評価基準
A:頭皮の刺激を全く感じない
B:頭皮の刺激をほとんど感じない
C:頭皮の刺激を感じる
D:頭皮の刺激を非常に感じる
【0088】
この評価試験の結果において、混合薬剤のpHが3.25であったサンプル#71と、pHが6.80であったサンプル#72とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示すと共に、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激も全くなかった。また、混合薬剤のpHが1.0であったサンプル#70は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示したものの、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激があった。混合薬剤のpHが8.80であったサンプル#73は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示し、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への刺激も全くなかった。
【0089】
一方、混合薬剤のpHが0.57であったサンプル#74は、混合薬剤を頭皮に塗布した際の頭皮への強い刺激があった。また、混合薬剤のpHが9.30であったサンプル#75は、第1の剤と第2の剤とを混合した際にほぼ発泡しなかった。
【0090】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料においては、毛髪用化粧料(混合薬剤)のpHは1.0〜9.0の範囲内とすることが好ましく、pHを3.0〜7.0の範囲内とすることが特に好ましいことがわかる。このようにすれば、毛髪用化粧料において、高い染毛力と、適切な粘度とを得ることができる。また、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸とを効率よく反応させることが可能となる。適切な粘度と炭酸塩と酸との効率のよい反応の結果、きめ細かくもっちりとしたクリーミィな毛髪用化粧料の泡を得ることができ、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0091】
B−8.実験結果8(毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果):
図26は、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量に関する実験結果を示す説明図である。
【0092】
この実験では、B−7.実験結果7のサンプル#71において、炭酸塩としての炭酸水素アンモニウムの含有量を1.0質量%〜10.0質量%まで変化させた複数のサンプル(サンプル#710〜#715)を準備した。そして、サンプル#710〜#715について、(7−1)混合時の発泡性、(7−2)容器からのあふれ出し、(7−3)使用感、の各項目について評価を行った。
【0093】
(7−1)混合時の発泡性についての評価方法および評価基準は、B−4.実験結果4の(4−1)と同様である。
【0094】
(7−2)容器からのあふれ出しについての評価方法および評価基準は、B−6.実験結果6の(6−2)と同様である。
【0095】
(7−3)使用感についての評価方法および評価基準は、B−6.実験結果6の(6−3)と同様である。
【0096】
この評価試験の結果において、炭酸塩の含有量が1.5質量%であるサンプル#711と、2.0質量%であるサンプル#712とは、第1の剤と第2の剤とを混合した際に良好な発泡性を示すと共に、混合時の注意は要するものの、混合用容器からの泡のあふれは見られなかった。また、サンプル#711、#712は、毛髪に塗布する際にとてものびがよく塗りやすかった。炭酸塩の含有量が3.0質量%であるサンプル#713は、第1の剤と第2の剤とを混合した際に優れた発泡性を示したが、混合に注意を払った場合であっても混合用容器からのわずかな泡のあふれが見られた。また、サンプル#713は、毛髪に塗布する際に、とてものびがよく塗りやすかった。
【0097】
一方、炭酸塩の含有量が1.0質量%であるサンプル#710は、第1の剤と第2の剤とを混合しても弱い発泡性しか示さなかったものの、混合用容器からの泡のあふれは見られず、毛髪に塗布する際ののびは良好であった。炭酸塩の含有量が5.0質量%であるサンプル#714と、10.0質量%であるサンプル#715とは、第1の剤と第2の剤とを混合する時に注意しても混合用容器から泡が激しくあふれた。
【0098】
この評価試験の結果より、毛髪の明度を下げるための染色に用いられる毛髪用化粧料の場合、毛髪用化粧料(混合薬剤)に占める炭酸塩の含有量は、1.5〜10.0質量%とすることが特に好ましいことがわかる。毛髪用化粧料に占める炭酸塩の含有量を上記範囲内とすれば、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤を混合した際に、適度な自己発泡効果を得ることができる。
【0099】
B−9.実験結果9(高級アルコールに関する実験結果):
図27は、高級アルコールに関する実験において用いた第1の剤300のサンプルを示す説明図である。図28は、高級アルコールに関する実験において用いた第2の剤400のサンプルを示す説明図である。図29は、高級アルコールに関する実験結果を示す説明図である。
【0100】
この実験では、第1の剤に含まれるアルコール類の種類(ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、カルナービルアルコール、ミリシルアルコール、カプリリルアルコール、ラクセリルアルコール)と、その含有量を変化させた複数のサンプル(サンプル#80〜89)を準備した。そして、サンプル#80〜#89について、(9−1)混合薬剤の泡の保持、(9−2)塗布時の液ダレ、(9−3)放置時の液ダレ、(9−4)明度、(9−5)染色性、の各項目について評価を行った。
【0101】
(9−1)混合薬剤の泡の保持についての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−1)と同様である。
【0102】
(9−2)塗布時の液ダレについての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−2)と同様である。
【0103】
(9−3)放置時の液ダレについての評価方法および評価基準は、B−1.実験結果1の(1−3)と同様である。
【0104】
(9−4)明度についての評価方法および評価基準は、B−5.実験結果5の(5−1)と同様である。
【0105】
(9−5)染色性は、パネラー20名による実際の染毛で評価した。具体的には、25℃条件下で、混合薬剤の泡150gを毛髪全体に塗布した状態で20分放置し、混合薬剤を洗い流した後、乾かした後の毛髪の染色性について目視で確認して評価した。
染色性の評価基準
A:優れた染色性を示した
B:良好な染色性を示した
C:弱い染色性を示した
D:ほぼ染色性を示さなかった
【0106】
この評価試験の結果において、ミリスチルアルコールを含んだサンプル#80と、セチルアルコールを含んだサンプル#81と、ステアリルアルコールを含んだサンプル#82とは、全ての評価項目においてA評価を得た。すなわち、サンプル#80〜#82では、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず(すなわち、泡もちが良く)、塗布時および放置時の液ダレも発生せず、優れた明度と、優れた染色性を示した。ベヘニルアルコールを含んだサンプル#83においても、混合薬剤の泡が100回以上攪拌してもしぼまず、塗布時および放置時の液ダレも発生せず、良好な明度と、優れた染色性を示した。
【0107】
ラウリルアルコールを含んだサンプル#85と、カルナービルアルコールを含んだサンプル#86とは、全ての評価項目においてB評価を得た。すなわち、サンプル#85、#86では、混合薬剤の泡が50回程度攪拌してもしぼまず、塗布時の液ダレもほぼ見られず、放置30分以内の液ダレも見られなかった。また、良好な明度と、良好な染色性を示した。カプリルアルコールを含んだサンプル#84と、ミリシルアルコールを含んだサンプル#87とは、混合薬剤の泡が50回程度攪拌してもしぼまず、塗布時の液ダレもほぼ見られず、放置30分以内の液ダレも見られなかったものの、弱い明度と、弱い染色性しか示さなかった。
【0108】
カプリリルアルコールを含んだサンプル#88と、ラクセリルアルコールを含んだサンプル#89とは、混合薬剤の泡が50回攪拌するまでにしぼみ、塗布時および放置時に液ダレが生じるとともに、明度は殆ど示さず、染色性についても弱かった。
【0109】
この評価試験の結果より、毛髪用化粧料生成剤としての複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールを含むことが好ましいことがわかる。高級アルコールは、毛髪用化粧料に硬さを付与することができるため、毛髪用化粧料生成剤に含まれる炭酸塩と酸との混合により発生する炭酸ガスからなる泡の破泡を抑制し、毛髪用化粧料の泡もちを良くする。また、高級アルコールが含まれることにより、毛髪用化粧料の泡をきめ細かくすることができるため、使用時(塗布時、放置時)の液ダレの抑制効果や、染めムラの抑制効果が得られる。
【0110】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、以下のような変形が可能である。
【0111】
C1.変形例1:
上記実施形態と実験例では、毛髪用化粧料生成剤は2剤(第1の剤、第2の剤)から構成されるものとした上で、各剤に配合される成分の一例を挙げて説明した。しかし、毛髪用化粧料生成剤は、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、炭酸塩を分解可能な酸を含有する第2の剤とを含んでいれば足り、上記例示の態様に限定されない。具体的には、毛髪用化粧料生成剤に含まれる成分、およびその含有量は任意に変更することができる。
【0112】
例えば、上記実施形態では、第1の剤に増粘剤を含むものとして記載したが、増粘剤は、毛髪用化粧料生成剤を構成する複数の剤のうちの、少なくともいずれか1つの剤に含まれていれば足りる。具体的には、毛髪用化粧料生成剤が3剤から構成される場合に、第3の剤に増粘剤が配合されるものとしてもよいし、毛髪用化粧料生成剤が2剤から構成される場合に、第2の剤に増粘剤が配合されるものとしてもよい。さらに、複数の剤の全てに増粘剤が配合される態様とすることもできる。
【0113】
例えば、上記実施形態では、第1の剤に高級アルコールを含むものとして記載したが、高級アルコールは、毛髪用化粧料生成剤を構成する複数の剤のうちの、少なくともいずれか1つの剤に含まれていれば足りる。具体的には、毛髪用化粧料生成剤が3剤から構成される場合に、第3の剤に高級アルコールが配合されるものとしてもよいし、毛髪用化粧料生成剤が2剤から構成される場合に、第2の剤に高級アルコールが配合されるものとしてもよい。さらに、複数の剤の全てに高級アルコールが配合される態様とすることもできる。
【0114】
C2.変形例2:
上記実施形態(図1)では、毛髪用化粧料セットの構成の一例を示した。しかし、毛髪用化粧料セットの構成は、種々の変形が可能である。例えば、混合用容器や、混合用器具の形状、材質等を変更することができる。例えば、混合用容器と、混合用器具とを一体化した容器等を用いても良い。
【0115】
C3.変形例3:
上記実施形態(図2)では、毛髪用化粧料セットを用いた毛髪用化粧料製造処理の流れの一例を示した。しかし、毛髪用化粧料製造処理の流れは、種々の変形が可能である。
【0116】
C4.変形例4:
上記実施形態(図5、図6)では、第1の剤と、第2の剤との製造工程について説明した。しかし、この製造工程はあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、第1の剤の製造工程におけるステップを一部省略することや、ステップの並び順を変えることが可能である。ただし、炭酸塩の発泡を抑制する観点からは、(A)アルカリ剤の成分を添加する工程(ステップS220)と、(C)酸性の基剤の成分を添加する工程(ステップS222)との順番は変更しないことが好ましい。
【0117】
C5.変形例5:
上記実施形態では、髪に塗布し、毛髪の明度を変えるための毛髪用化粧料を例示して説明した。しかし本発明は、上記実施形態に限らず他の態様を採ることもできる。具体的には、例えば、体毛に塗布し、体毛の明度を変えるための泡状の化粧料を構成するための生成剤としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…毛髪用化粧料セット
100…混合用容器
200…混合用器具
300…第1の剤
400…第2の剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤であって、
前記複数の剤には、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、前記炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤と、を含み、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、前記毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項2】
請求項1記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記増粘剤は、会合型増粘剤である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含む、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料に占める前記炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色または漂白・脱色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、さらに、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、
炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項8】
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法であって、
非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合する第1の工程と、
前記第1の工程により生成した乳化混合物に対して、前記炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加する第2の工程と、
前記第2の工程により生成した乳化混合物に対して、酸性の基剤の成分を添加する第3の工程と、
を含む、第1の剤の製造方法。
【請求項1】
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤であって、
前記複数の剤には、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤と、前記炭酸塩の全量を分解可能な酸を含有する第2の剤と、を含み、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、前記毛髪用化粧料の粘度を1500mPa・s〜83000mPa・sの範囲内とする増粘剤が含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項2】
請求項1記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記増粘剤は、会合型増粘剤である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の毛髪用化粧料生成剤であって、前記炭酸塩は、炭酸イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸水素イオンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムによりなる群から選択された少なくとも1つの炭酸塩を含む、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料に占める前記炭酸塩の含有量は1.0質量%〜30.0質量%である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは1.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、
前記毛髪用化粧料は毛髪の染色または漂白・脱色に用いられる化粧料であり、
前記毛髪用化粧料のpHは6.0〜9.0の範囲内である、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の毛髪用化粧料生成剤であって、さらに、
前記複数の剤のうちの少なくともいずれか1つの剤には、
炭素数が値10〜30の直鎖アルキル基または炭素数が値10〜30のアルケニル基を有する高級アルコールが含まれる、毛髪用化粧料生成剤。
【請求項8】
複数の剤の混合により自己発泡して、泡状の毛髪用化粧料を生成するための毛髪用化粧料生成剤のうち、少なくとも炭酸塩を含有する第1の剤の製造方法であって、
非酸性の基剤の成分と、還元剤の成分とを乳化混合する第1の工程と、
前記第1の工程により生成した乳化混合物に対して、前記炭酸塩を含むアルカリ剤の成分を添加する第2の工程と、
前記第2の工程により生成した乳化混合物に対して、酸性の基剤の成分を添加する第3の工程と、
を含む、第1の剤の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
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【図23】
【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−106954(P2012−106954A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257659(P2010−257659)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(502439647)株式会社ダリヤ (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(502439647)株式会社ダリヤ (10)
【Fターム(参考)】
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