説明

毛髪用組成物

【課題】ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の良好なキシミ感のなさを付与することができ、更に乾燥後のしっとり感、まとまり感を付与することができる毛髪用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)下記一般式(1)
【化1】


(式中、Rは直鎖又は分岐した炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を表し、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)高級アルコール及び(C)芳香族アルコールを含有する毛髪用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用組成物に関し、更に詳しくは、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の良好なキシミ感のなさを付与することができ、更に乾燥後のしっとり感、まとまり感に優れる毛髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪の汚れを除去する目的で、アニオン界面活性剤を主成分とするシャンプーで洗髪するが、シャンプーで洗髪すると毛髪の汚れのみならず、毛髪表面を保護している油分も同時に除去されてしまい、毛髪の柔軟性が失われ、艶のないくし通りの悪い髪となり、毛髪の損傷、枝毛、切れ毛が発生し易くなる。そこで毛髪にコンディショニング効果(柔軟性、しっとり感、サラサラ感、滑り性)を付与する目的で、カチオン界面活性剤である第4級アンモニウム塩を主成分とする毛髪用組成物で処理するが、第4級アンモニウム塩を主成分とする毛髪用組成物を使用した場合、毛髪に対する柔軟性は優れているものの、乾燥後の滑り性、しっとり感が十分でない場合がある。そこで、乾燥後の滑り性を向上させるためにシリコーン等を配合する方法が知られているが、シリコーン等を配合する場合、配合量により系の安定性等に影響を及ぼすことがあり、配合量の制約を受けることもある。
【0003】
一方、カチオン界面活性剤を配合し、平滑性、柔軟性を付与する目的で、特許文献1及び特許文献2には、高級アルコールにエチレンオキサイドを付加したエーテル基を有するエーテル型第4級アンモニウム塩が提案されている。また、特許文献3及び特許文献4には、アルキル基に水酸基を有する2−ヒドロキシアルキル型第4級アンモニウム塩を用いた、柔軟性、平滑性に優れたヘアリンス剤が提案されているが、これらの提案では、十分満足のいくしっとり感、まとまり感は得られていない。
【0004】
また特許文献5にはヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤と高級アルコールと油性物質を用いた、乾燥後の滑り性、しっとり感が良好な毛髪用組成物が提案されているが、ダメージヘアに対して十分満足のいく塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時のキシミ感のなさは得られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平6−107524号公報(1−7頁)
【特許文献2】特開平6−178928号公報(1−4頁)
【特許文献3】特開昭49―81550号公報(1−3頁)
【特許文献4】特開昭50―121443号公報(1−4頁)
【特許文献5】特開2004−323496号公報(1−12頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の良好なキシミ感のなさを付与することができ、更に乾燥後のしっとり感、まとまり感を付与することができる毛髪用組成物を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは直鎖又は分岐した炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を表し、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)高級アルコール及び(C)芳香族アルコールを配合することにより、上記要件を満たす毛髪用組成物が得られることを見出し本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明によれば、(A)上記特定のカチオン界面活性剤、(B)高級アルコール及び(C)芳香族アルコールを配合してなる毛髪用組成物が、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の良好な滑り性を付与することができ、更に乾燥後のしっとり感、まとまり感を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の毛髪用組成物について詳述する。
本発明に使用される(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤の具体例としては特に限定されないが、ラウリルPGトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムエトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムエトサルフェート、セチルPGトリモニウムエトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、アラキルPGトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムエトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムエトサルフェート、オレイルPGトリモニウムエトサルフェート、エライジルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムエトサルフェート、ラウリルPGトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムメトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムメトサルフェート、セチルPGトリモニウムメトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、アラキルPGトリモニウムメトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムメトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムメトサルフェート、オレイルPGトリモニウムメトサルフェート、エライジルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0010】
(A)成分の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の手順で合成することができる。まず、高級アルコール(1モル)とBFエーテル錯体(BF純分高級アルコール対0.5%)を仕込み、50〜90℃に加熱撹拌しながらエピクロロヒドリン1〜1.5モル)を1〜2時間かけて滴下し、そのままの温度で約5時間熟成を行い、1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパンを得る。また、得られた1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパンは減圧蒸留等を行い精製することも出来る。次に、1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパン(1モル)と25%NaOH(1.5〜2モル)を仕込み50〜90℃で8時間熟成を行う。熟成後撹拌を止め2層分離し、水層をカット後必要で有れば更に温水で洗浄し、脱水して1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパン得る。また、得られた1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパンは減圧蒸留等を行い精製することも出来る。
【0011】
次に、1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパン(1モル)にジメチルアミン(1〜1.5モル)のガス或いは水溶液を常温〜120℃で添加し、同温度で5時間〜20時間熟成する。本反応にはアセトン等のケトン類或いはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコールなどの溶剤を用いても良い。更に、同温で過剰の2級アミン及び溶剤、水を用いた場合はそれらを水洗或いは/及び減圧留去等により除き、N−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミンを得る。また、得られたN−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミンは減圧蒸留等で精製することも出来る。更に、N−(3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミンにエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール或いは水、低級アルコール/水混合液を加え、70〜100℃でジメチル硫酸等の4級化剤を5〜10時間かけて加え、目的のヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤が得られる。得られたヒドロキシエーテル型カチオンは、そのまま本発明品の配合成分として用いることもできるが、通常の精製方法により精製し用いることもできる。
【0012】
(A)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。0.01重量%未満では毛髪に十分なコンディショニング効果が得られず、10重量%を越えても効果が向上せず好ましくない。
【0013】
本発明に使用される(B)高級アルコールとしては、具体的には、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられ、これらの中でもステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好適に用いられる。本発明では、これらの高級アルコールの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0014】
(B)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.1〜20重量%、特に3〜8重量%が好ましい。0.1重量%未満では、期待される効果が不十分となり、また20重量%を越えて配合しても使用後の感触が悪くなり好ましくない。
【0015】
本発明に使用される(C)成分の芳香族アルコールとしては、具体的にはフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p-クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェネチルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキシキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノールなどが挙げられ、これらの中で、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが特に好適に用いられる。本発明ではこれらの芳香族アルコールの中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0016】
(C)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜2重量%が特に好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎると、毛髪に十分なコンディショニング効果、配合品の防腐効果が十分に得られず、多すぎても効果が向上せず好ましくない。
【0017】
本発明に使用される(D)成分の一般式(1)で表される化合物以外のカチオン界面活性剤及び/又は3級アミンとしては、下記一般式(2)で表される4級カチオン及び/又は一般式(3)で表される3級アミンからなる群より選ばれる化合物が好適に用いられる。
【化2】

(式中、Rは、炭素数8〜36の−O−、−COO−、−OCO−、もしくは−CONH−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基、R、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はベンジル基、Yはハロゲンイオン又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオン等の一価のアニオンを表す。)
【0018】
【化3】

(式中、Rは、炭素数8〜36の−O−又は−CONH−で表される官能基で分断もしくは−OHで置換されていてもよい、直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基、R10、R11は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基を表す。)
【0019】
上記一般式(2)で表される4級カチオンのRが直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有する4級カチオンとしては、Rが炭素数12〜24の直鎖のアルキル基、R、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Yはハロゲンイオン又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンが好ましく、具体的には、ラウリルトリモニウムクロリド、ミリスチルトリモニウムクロリド、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベヘニルトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムブロミド、ミリスチルトリモニウムブロミド、セチルトリモニウムブロミド、ステアリルトリモニウムブロミド、ベヘニルトリモニウムブロミド、ラウリルトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルトリモニウムメトサルフェート、セチルトリモニウムメトサルフェート、ステアリルトリモニウムメトサルフェート、ベヘニルトリモニウムメトサルフェート、ラウリルトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルトリモニウムエトサルフェート、セチルトリモニウムエトサルフェート、ステアリルトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルトリモニウムエトサルフェート等が挙げられ、特にステアリルトリモニウムクロリド、ベヘニルトリモニウムクロリドが好ましい。
【0020】
また、上記一般式(2)で表される4級カチオンのRが−O−で表される官能基で分断されていてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する4級カチオンの具体例としては、ラウロキシプロピルトリモニウムクロリド、ミリスチロキシプロピルトリモニウムクロリド、セチロキシプロピルトリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ベヘニロキシプロピルトリモニウムクロリド、ラウロキシプロピルトリモニウムブロミド、ミリスチロキシプロピルトリモニウムブロミド、セチロキシプロピルトリモニウムブロミド、ステアロキシプロピルトリモニウムブロミド、ベヘニロキシプロピルトリモニウムブロミド、ラウロキシプロピルトリモニウムメトサルフェート、ミリスチロキシプロピルトリモニウムメトサルフェート、セチロキシプロピルトリモニウムメトサルフェート、ステアロキシプロピルトリモニウムメトサルフェート、ベヘニロキシプロピルトリモニウムメトサルフェート、ラウロキシプロピルトリモニウムエトサルフェート、ミリスチロキシプロピルトリモニウムエトサルフェート、セチロキシプロピルトリモニウムエトサルフェート、ステアロキシプロピルトリモニウムエトサルフェート、ベヘニロキシプロピルトリモニウムエトサルフェート等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(2)で表される4級カチオンのRが−CONH−で表される官能基で分断されていてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する4級カチオンの具体例としては、ラウラミドプロピルトリモニウムクロリド、ミリスタミドプロピルトリモニウムクロリド、セタミドプロピルトリモニウムクロリド、ステアラミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルトリモニウムクロリド、ラウラミドプロピルトリモニウムブロミド、ミリスタミドプロピルトリモニウムブロミド、セタミドプロピルトリモニウムブロミド、ステアラミドプロピルトリモニウムブロミド、ベヘナミドプロピルトリモニウムブロミド、ラウラミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ミリスタミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、セタミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ステアラミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ベヘナミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ラウラミドプロピルトリモニウムエトサルフェート、ミリスタミドプロピルトリモニウムエトサルフェート、セタミドプロピルトリモニウムエトサルフェート、ステアラミドプロピルトリモニウムエトサルフェート、ベヘナミドプロピルトリモニウムエトサルフェート等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(2)で表される4級カチオンのRが−COO−で表される官能基で分断されていてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する4級カチオンの具体例としては、ラウロイルエチルトリモニウムクロリド、ミリスチロイルエチルトリモニウムクロリド、セチロイルエチルトリモニウムクロリド、ステアロイルエチルトリモニウムクロリド、ベヘニロイルエチルトリモニウムクロリド、ラウロイルエチルトリモニウムブロミド、ミリスチロイルエチルトリモニウムブロミド、セチロイルエチルトリモニウムブロミド、ステアロイルエチルトリモニウムブロミド、ベヘニロイルエチルトリモニウムブロミド、ラウロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、ミリスチロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、セチロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、ステアロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、ベヘニロイルエチルトリモニウムメトサルフェート、ラウロイルエチルトリモニウムエトサルフェート、ミリスチロイルエチルトリモニウムエトサルフェート、セチロイルエチルトリモニウムエトサルフェート、ステアロイルエチルトリモニウムエトサルフェート、ベヘニロイルエチルトリモニウムエトサルフェート等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(2)で表される4級カチオンのRが−OHで置換されていてもよい、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する4級カチオンの具体例としては、Rが、下記一般式(4)で表されるヒドロキシエーテルカチオンが挙げられる。
【化4】

(式中、R12は直鎖又は分岐した炭素数6〜24のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、nは1〜5の整数を表す。)
【0024】
一般式(2)のRが、一般式(4)で表される基であるヒドロキシエーテルカチオンとしては、R12が炭素数12〜24のアルキル基、特に炭素数18〜22のアルキル基、R、R、Rが炭素数1〜3のアルキル基、nが1〜3、特に1、Yはハロゲンイオン又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンであるものが好ましい。具体的には、ラウリルPGトリモニウムクロリド、ミリスチルPGトリモニウムクロリド、パルミチルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セトステアリルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、アラキルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、カルナービルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、エライジルPGトリモニウムクロリド、リノレイルPGトリモニウムクロリド、リノレニルPGトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムブロミド、ミリスチルPGトリモニウムブロミド、パルミチルPGトリモニウムブロミド、セチルPGトリモニウムブロミド、セトステアリルPGトリモニウムブロミド、ステアリルPGトリモニウムブロミド、アラキルPGトリモニウムブロミド、ベヘニルPGトリモニウムブロミド、カルナービルPGトリモニウムブロミド、オレイルPGトリモニウムブロミド、エライジルPGトリモニウムブロミド、リノレイルPGトリモニウムブロミド、リノレニルPGトリモニウムブロミド等のヒドロキシエーテル型カチオンが挙げられる。
【0025】
製造方法としては、例えば特開2004−323496号公報に記載されている方法で製造することもできるが、その他公知の方法を用いても良い。本発明では、上記一般式(2)で表される4級カチオンの1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0026】
上記一般式(3)で表される3級アミンのRが直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有する3級アミンの具体例としては、例えばラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、イソステアリルジメチルアミン、アラキルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、上記一般式(3)で表される3級アミンのRが−O−で表される官能基で分断されていてもよい、直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有する3級アミンの具体例としては、ラウロキシプロピルジメチルアミン、ミリスチロキシプロピルジメチルアミン、セチロキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ベヘニロキシプロピルジメチルアミン等が挙げられる。
【0028】
また、上記一般式(3)で表される3級アミンのRが−CONH−で表される官能基で分断されていてもよい、直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有する3級アミンの具体例としては、下記一般式(5)で表されるアミドアミンが挙げられる。
【化5】

(式中、R13COは炭素数8〜24の脂肪酸残基、mは1〜5の整数を表す。)
【0029】
一般式(3)のRが、一般式(5)で表されるアミドアミンとしては、R12が炭素数12〜24の直鎖のアルキル基、R10、R11が炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、具体例としては、例えばラウラミドプロピルジメチルアミン、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、アラキナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン、パーム脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、アラキナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン等が挙げられ、特にステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミンが好ましい。
【0030】
また、上記一般式(3)で表される3級アミンのRが−O−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい、直鎖又は分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有する3級アミンの具体例としては、Rが、下記一般式(6)で表されるヒドロキシエーテルアミンが挙げられる。
【化6】

(式中、R14は直鎖又は分岐した炭素数6〜24のアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、nは1〜5の整数を表す。)
【0031】
一般式(3)のRが、一般式(6)で表される基であるヒドロキシエーテルアミンとしては、R13が炭素数12〜24のアルキル基、特に炭素数18〜22のアルキル基で、R10、R11が炭素数1〜3のアルキル基、nが1〜3、特に1であるものが好ましい。具体的には、ラウリルPGジメチルアミン、ミリスチルPGジメチルアミン、パルミチルPGジメチルアミン、セチルPGジメチルアミン、セトステアリルPGジメチルアミン、ステアリルPGジメチルアミン、アラキルPGジメチルアミン、ベヘニルPGジメチルアミン、カルナービルPGジメチルアミン、オレイルPGジメチルアミン、エライジルPGジメチルアミン、リノレイルPGジメチルアミン、リノレニルPGジメチルアミンが挙げられる
【0032】
製造方法としては、例えば特開2004−323495号公報に記載されている方法で製造することもできるが、その他公知の方法を用いても良い。本発明では、3級アミンの1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0033】
3級アミンは無機酸及び/又は有機酸で中和され塩として用いられるが、無機酸及び/又は有機酸の具体例としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等が挙げられ、これらの中から1種又は2種を任意に用いることができる。
【0034】
(D)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。0.01重量%未満では毛髪に十分なコンディショニング効果が得られず、20重量%を越えても効果が向上せず好ましくない。
【0035】
本発明に使用される(E)成分の油性成分としては、エステル油、シリコーン及び/又はシリコーン誘導体、炭化水素、グリセリド類等が挙げられ、特にエステル油及び/又はシリコーン及び/又はシリコーン誘導体が好ましい。具体的にエステル油としては、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オレイル、テトラ2−エチルへキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等のエステル油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
エステル油の毛髪用組成物中の配合量は、0.1〜10重量%、0.5〜3重量%が好ましい。0.1重量%未満では、期待される効果が不十分となり、また10重量%を越えて配合しても、べとつくなど感触が悪くなり好ましくない。
【0037】
また、シリコーン及び/又はシリコーン誘導体としては、トリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロペンタシロキサン等の環状シリコーン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、ジメチコン、ジメチコノール、側鎖変性タイプ、直鎖共重合ABnタイプ等のポリエーテル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、脂肪族変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0038】
シリコーン及び/又はシリコーン誘導体の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜25重量%、0.5〜3重量%が好ましい。0.01重量%未満では、期待される効果が不十分となり、また25重量%を越えて配合しても、安定性が悪くなり好ましくない。
【0039】
本発明は、以上の各成分を特定の配合組成で混合することによって製造される。その配合組成は、開発担当者が通常行っている配合試験によって決定することができる。
【0040】
本発明の毛髪用組成物には、さらに化粧料、医薬品などに通常使用される界面活性剤、保湿剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、粘度調整剤、色素などを必要に応じて配合することができる。また、発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油分を加えることができる。具体的には、化粧料などで通常使用されるものでよく、使用目的や要求機能などにより適宜選択され、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン等の炭化水素類、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、トリオクタン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油等の動植物油脂類、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ジアリルジメチルアンモニウム系高分子等の陽イオン変性水溶性高分子類、香料、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サンフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油等のトリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p-クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェネチルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキシキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノール等の芳香族アルコールなどが挙げられる。
【0041】
本発明の毛髪用組成物は、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸を用い、使用性を考慮し、pH2〜8、特にpH3〜6に調整されるのが好ましい。本発明ではこれらの無機酸/有機酸の中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0042】
本発明の毛髪用組成物は、毛髪に使用する任意の組成物に適用可能であり、シャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等の毛髪処理剤等が挙げられ、使用形態も毛髪に塗布し全体になじませた後すすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含まれるが、本発明の毛髪用組成物は塗布後すすぎ流して使用するヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメントに特に好適である。
【実施例】
【0043】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、表1に本明細書記載の方法で合成したヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤1〜6を示した。また、実施例1〜7及び比較例1〜3を常法により調製し、効果の測定を実施し、結果を表2に示した。含有量は重量%である。
【0044】
【表1】

【0045】
本実施例中で用いた試験方法は下記の通りである。
【0046】
試験方法1(塗布時の伸び広がり易さ/すすぎ時及び湿潤時のキシミ感のなさ/乾燥後のしっとり感、まとまり感)
健康黒髪にブリーチ処理を30分行った損傷毛髪束20g(長さ20cm)を束ねて、アニオン界面活性剤を主成分とする市販のシャンプーで洗浄した。ヘアリンス剤1.0gを均一に塗布し、30秒間40℃の流水ですすぎ、タオルドライ後ドライヤーで乾燥した時の塗布時の伸び広がり易さ、すすぎ時のキシミ感のなさ、タオルドライ後(湿潤時)のキシミ感のなさ、並びに乾燥後のしっとり感、まとまり感を10名の専門パネラーにて、官能的に比較し、下記基準で評価した。
◎:良いと答えた人が9人以上の場合
○:良いと答えた人が6〜8人の場合
△:良いと答えた人が3〜5人の場合
×:良いと答えた人が2人以下の場合
【0047】
【表2】

【0048】
実施例1〜7及び比較例1〜3より明らかなように、 本発明の毛髪用組成物は、ダメージヘアに対しても塗布時、すすぎ時、湿潤時及び乾燥後の使用性で、いずれも優れた性能を示した。
【0049】
上記記載のごとく、本発明の毛髪用組成物は、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の良好なキシミ感のなさを付与することができ、特に乾燥後のしっとり感、まとまり感を与えることは明らかである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは直鎖又は分岐した炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を表し、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤、(B)高級アルコール及び(C)芳香族アルコールを含有する毛髪用組成物。
【請求項2】
(C)芳香族アルコールがフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
更に、一般式(1)で表される化合物以外の(D)カチオン界面活性剤及び/又は3級アミンを含有する請求項1又は2に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
更に、(E)油性成分を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪用組成物。

【公開番号】特開2013−28579(P2013−28579A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167700(P2011−167700)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】