説明

毛髪移植用具並びに毛髪移植用ハンドピース

【課題】 患者の毛根およびその周部領域の毛髪をドナーとして効率的に採取することを可能とし、採取されたドナーを効率的に同じ患者の頭皮に移植することを目的にしている。
【解決手段】 毛髪移植用具33により、患者の頭皮のうち比較的生命力の強い毛髪11を含むドナー24を吸引・採取し、これを毛髪移植用ハンドピース35に給送管路34へと給送する。ハンドピース35は頭皮のうち毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に予め穿開された移植床に先端のドナー供給口52を位置決めし、該移植床へドナー24を移植するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚を、ドナーとして採取して移植する際に使用する毛髪移植用具並びに毛髪移植用のハンドピースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、かつらや人工毛植毛法に替わる薄毛に対する処置として、自毛植毛法が注目されている。自毛植毛法とは後頭部や側頭部など患者の毛髪のうち、比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取し、該ドナーを同じ患者の頭皮のうち毛髪の少ない領域や毛髪のない領域に移植する施術法に係る。自毛植毛は、かつらや人工毛植毛と異なり患者自身の毛髪を脱毛部に移植して再生するものであることから、移植先での毛髪の生着率が高く、いわゆる拒否反応がほとんど見られないという利点がある。
【0003】
一般に自毛植毛の施術法としては、図14から図17に示す方法が採用されている。先ず図14に示すように毛髪の密生した後頭部などからメスを用いて毛髪群1を帯状に切除し、この毛髪群1をメス2により各毛根およびその周部領域に裁断して株分けし、ドナー3を生成するようにする(図5参照)。こうして株分けし、生成されたドナー3を図16に示すように同じ患者の頭皮のうち、毛髪の少ない領域や毛髪のない領域の皮膚に移植するところであるが、移植は図16に示すように、予めメス2で移植先の皮膚を切開して移植床4を形成し、この部分にピンセット5で保持されたドナー3を植え付けることにしていた。こうして図17に示すように、例えば髪の毛が少ない前頭部にドナー3が移植されることとなり、一方帯状に切除された部位については縫合して皮膚として再生されることとなる。こうした施術を何度が繰り返すことにより図18に示すように患者の頭部全体に髪の毛が再生されることとなり、自毛による植毛が完成されることとなる。
【0004】
しかしながらこうした施術方法においては、メス2により切除した毛髪群1を株分けする必要性があり、その分時間がかかる不具合がある。すなわち、毛髪群1を株分けしてドナー3を生成するのに多くの時間がかかると、その分皮膚細胞の鮮度が低下することとなり、ドナー3の生着率の低下を招くものとされていた。
【0005】
こうしたことから、従来特開平6−315493号に係る採毛植毛器などに見られるように、直接個々の患者の毛髪の毛根およびその周部領域をドナーとして採取し、採取されたドナーを移植される皮膚に1本1本植毛する採毛植毛器が提案されていた。この採毛植毛器によれば、採取されたドナーをすぐに移植先に移植できる利点がある。
【特許文献1】特開平6−315493号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に係る採毛植毛器では、1本1本ドナーを採取して、これを植毛しなければならないため、効率的な植毛ができず、1回の施術で植毛できるドナーの本数が限られていた。
【0007】
本発明は、こうした従来の自毛植毛法の施術や採毛植毛器の不具合に着目してなされたものである。すなわち本発明は、患者の毛根およびその周部領域の毛髪をドナーとして効率的に採取することを可能とし、採取されたドナーを効率的に同じ患者の頭皮に移植することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、を備えたことを特徴とする毛髪移植用具としたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、を備えたことを特徴とする毛髪移植用具としたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引される複数のドナーを貯留可能とし、内部に吸引手段により吸引される吸引エアを通過させるとともに、吸引エアとともに吸引されたドナーを捕集する捕集網を備えた貯留体と、を備えたことを特徴とする毛髪移植用具としたものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、回転手段は切込口を構成する管状体と一体に構成され、または管状体と接続して構成される回転軸を備えたモータとされ、該モータの回転軸は吸引手段により吸引されるドナーを吸引エアとともに内部を通過可能とする管状体としてなる請求項2または請求項3のいずれかに記載の毛髪移植用具としたものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の領域が円形に穿開されたドナー領域の皮膚を、先端に形成された吸引口より管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引される複数のドナーを貯留可能とし、内部に吸引手段により吸引される吸引エアを通過させるとともに、吸引エアとともに吸引されたドナーを捕集する捕集網を備えた貯留体と、を備えたことを特徴とする毛髪移植用具としたものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引されるドナーを、吸引エアとともに患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚で、穿開処理された移植先の皮膚のポイントに位置決めされた毛髪移植用ハンドピースに給送する給送管路と、を備えたことを特徴とする毛髪移植用具としたものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、全体管状をなすシリンダ内にピストンを内挿し、該ピストンはシリンダの一端側に接続されるエアポンプの吸排動作によりシリンダ内を軸線方向に往復動し、シリンダの他端側においてピストンに取着され、シリンダの他端に配設される筒状部内に内挿されて、筒状部内の先端に形成されるドナー供給口より、該筒状部に供給されたドナーを押し出して、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚で穿開処置された移植先の皮膚のポイントに位置決めされたドナー供給口より、ドナーを供給して移植する移植ロッドを備えた毛髪移植用ハンドピースであって、シリンダの他端側の筒状部に、ドナーを筒状部内に対して毛髪がピストン側に向き、かつ毛根およびその周部領域がドナー供給口に向く姿勢で供給する給送管路を接続させることとした毛髪移植用ハンドピースとしたものである。
【0015】
請求項8に記載の発明は、シリンダの一端側には、シリンダ内を往復動するピストンの一端側のストローク端の位置を規制し、シリンダの軸線方向にスライド可能とされる調整部材を備えることとした請求項7に記載の毛髪移植用ハンドピースとしたものである。
【0016】
請求項9に記載の発明は、給送管路は患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚からなるドナーを吸引・採取する毛髪採取用の毛髪移植用具に接続され、採取された状態のドナーをシリンダの他端側の筒状部に給送するものである請求項7に記載の毛髪移植用ハンドピースとしたものである。
【0017】
請求項10に記載の発明は、シリンダの他端側の筒状部には、給送されたドナーに付着された血液、不純物を吸引・除去する吸引管路を接続することとした請求項7、請求項8、請求項9のいずれかに記載の毛髪移植用ハンドピースとしたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、ドナー領域の皮膚を簡単に穿開することができ、患者の毛根およびその周部領域の毛髪をドナーとして効率的に採取することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果を一層確実に得ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、ドナーを効率的に捕集し、捕集されたドナーを効率的に移植できる効果がある。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果を一層確実に得ることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果を一層確実に得ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ドナーを効率的に移植領域まで給送し、効率的な移植を行うことができるという効果がある。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、採取されたドナーを効率的に同じ患者の頭皮に移植することができるという効果がある。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の効果を一層確実に得ることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7に記載の効果を一層確実に得ることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、請求項7に記載の効果を一層確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各毛髪移植用具に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係り、患者の頭皮のうち、後頭部や側頭部などに生えた髪の毛等、比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚を、ドナーとして採取する際に使用する皮膚の穿開用の毛髪移植用具10に関する(請求項1に対応)。
【0030】
すなわち、毛髪移植用具10は、患者の頭皮のうち、比較的生命力の強い毛髪11が生えた部分の毛根12並びにその周部領域の皮膚を採取する際、毛髪11を中心とする周部領域を円形に穿開するのに使用するためのものである(図2参照)。
【0031】
毛髪移植用具10による皮膚の穿開施術を行うに際しては、図1に示すように髪の毛の長さをL1と、比較的短く刈り込んでおくようにする。
【0032】
毛髪移植用具10は、先端尖鋭な管状体13を備え、該管状体13は先端の円形の切込口14を皮膚に穿刺可能としている。この管状体13は、毛髪移植用具10の基端部側に配設されるモータ(回転手段)の軸15と連結され、該軸15はモータの駆動により連結される管状体13の全体を矢印A方向に軸回りに回転駆動させることを可能にしている。
【0033】
すなわち、毛髪移植用具10は、円形の切込口14を図2に示すように、毛髪11を中心とする皮膚の周部領域に対して矢印B方向に穿刺することとし、この際切込口14の全体を矢印A方向に回転するようにする。切込口14を深さD1(およそ3〜4mm程度)穿刺したら、切込口14を矢印Cに示すように皮膚から抜くようにする。すると毛髪11を中心とする毛根12を含む皮膚の周部領域が、幅W1のドナー領域として画成されることとなり、この作業を毛髪移植用具10により、図1の矢印方向に順次行うことで、ドナー領域の皮膚を順次毛髪11を中心として穿開することが可能となる。
【0034】
次に、図1に示すように、ドナー領域の皮膚に関し、毛髪11を中心として穿開された部分を、矢印方向に順次吸引し、採取するための毛髪移植用具16の実施形態(請求項5に対応)を図3ないし図6に基づき、説明する。
【0035】
毛髪移植用具16は、図1に示すようにして、毛髪11の周部が穿開された状態にある皮膚を図3の矢印方向に順次吸引・採取するためのものである。
【0036】
この用具16は、把持部17の先端部に吸引ノズル18を備えてなり、該吸引ノズル18には、把持部17の基端側に延設される輸送チューブ19(管状体)が接続される。
【0037】
把持部17の基端部にはホルダ20が取付けられ、該ホルダ20には貯留体21が取着される。この貯留体21には、一端側が吸引ノズル18と接続される前記輸送チューブ19の他端部側が接続される。また、貯留体21には不図示の吸引ポンプに接続される吸引チューブ22が接続される。
【0038】
すなわち、吸引チューブ22は吸引ポンプの作動により、円筒形の貯留体21の内部に矢印D方向の吸引力を及ぼすこととし(図3、図5参照)、この結果、貯留体21の内部において、輸送チューブ19の接続部から吸引エアを矢印E方向(図5参照)に吸引して通過させ、吸引チューブ22へと給送する負圧力を付与可能にしている。
【0039】
矢印E方向に内部に吸引エアを吸引する輸送チューブ19は、その一端部と接続される吸引ノズル18の吸引口23において吸引エアを吸引することとなり、施術者は図3に示すように把持部11を持つ状態で吸引口23を順次矢印方向(図3参照)に穿開された皮膚の部分に近づけることで、吸引エアとともに毛髪11を中心とするその周部領域を、ドナー24として吸引・採取可能とする。
【0040】
図4に示すように吸引口23より吸入されるドナー24は、吸引ノズル18内、並びにノズル18と接続される輸送チューブ19内において、吸引方向(矢印E方向)における吸引源側に毛髪11の先端が向き、また毛根12がノズル18側に向く姿勢で給送されることとなる。この姿勢はノズル18並びにチューブ19の内径サイズから貯留体21へ給送されるまで維持される。
【0041】
図5に示す貯留体21は、全体円筒形のプラスチック材で形成され、一端側に配設される開閉蓋25を開けることで内部の支持部26に支持される捕集網27を取出し可能としている。
【0042】
すなわち、貯留体21は、その内部において接続する輸送チューブ19から吸引チューブ22へと矢印E方向に吸引エアを通過させることで支持部26に配設される捕集網27で順次吸引されるドナー24を捕集し、貯留可能にしている。
【0043】
この結果、頭皮においてこの用具16を用いて多数本のドナー24の吸引、採取作業が行われた段階で、開閉蓋25を開け、中から捕集網27を取り出すことにより、図6に示すように、その表面に採取された多数本のドナー24を収集・配置させることが可能となる。
【0044】
次に、図7および図8に基づき、患者の頭皮のうち、比較的生命力の強い毛髪11が生えた部分の毛根12並びにその周部領域の皮膚を採取する際、毛髪11を中心とする周部領域を円形に穿開し、さらに穿開された皮膚の領域部分を吸引し、採取するタイプの毛髪移植用具28を説明する(請求項2、3、4に対応)。
【0045】
この毛髪移植用具28は、先端尖鋭な管状体29を備え、該管状体29は先端の円形の切込口30を皮膚に穿刺可能としている。この管状体29は、毛髪移植用具28内の基端部側に配設されるモータ31(図8参照)の軸と一体のものとされ、モータ31の駆動により、モータ軸としての管状体29の全体は、矢印F方向に軸回りに回転駆動可能とされる。
【0046】
すなわち、毛髪移植用具28は、円形の切込口30を図7に示すように、毛髪11を中心とする皮膚の周部領域に対して矢印G方向に穿刺することとし(図7・図8参照)、この際切込口30の全体を矢印F方向に回転するようにする。切込口30を深さ3〜4mm程度穿刺したら、切込口30を矢印Hに示すように皮膚から抜くようにする。すると毛髪11を中心とする毛根12を含む皮膚の周部領域が、ドナー領域I(図7参照)として画成されることとなり、この作業を毛髪移植用具28により、図7の矢印方向に順次行うことで、ドナー領域の皮膚を順次毛髪11を中心として穿開することが可能となる。
【0047】
加えてこの毛髪移植用具28は、毛髪11の周部が穿開された状態にある皮膚を図8の矢印方向に順次ドナー24として吸引し、モータ軸を兼ねる管状体29の内部を通過させ、毛髪移植用具28の基端側に接続される輸送チューブ19(管状体)へと給送可能にしている。
【0048】
すなわちこの毛髪移植用具28は、先端の切込口30の部分を吸引ノズルの吸引口として兼ねるものであり、施術者は図7に示すように用具28の把持部32を把持する状態で先端の切込口30を順次皮膚に穿刺し、その部分をドナー24として吸引・採取可能にしている。
【0049】
把持部32の基端部にはホルダ20が取付けられ、該ホルダ20には図3あるいは図5で示す貯留体と同じ構造の貯留体21が取着される。この貯留体21には、一端側が毛髪移植用具28の基端部と接続される前記輸送チューブ19の他端部側が接続される。また、貯留体21には不図示の吸引ポンプに接続される吸引チューブ22が接続される。なお、貯留体の構造については、図5に示すものと同じであるため、以下図5を参照してその説明を行う。
【0050】
すなわち、吸引チューブ22は吸引ポンプの作動により、円筒形の貯留体21の内部に図7に示す矢印D方向の吸引力を及ぼすこととし、この結果、貯留体21の内部において、輸送チューブ19の接続部から吸引エアを矢印E方向(図5参照)に吸引して通過させ、吸引チューブ22へと給送する負圧力を付与可能にしている。
【0051】
矢印E方向に内部に吸引エアを吸引する輸送チューブ19は、その一端部と接続される毛髪移植用具28内において管状体29を介して切込口30において吸引エアを吸引することとなり、施術者は図7に示すように把持部32を持つ状態で切込口30を順次皮膚に穿刺することで、吸引エアとともに毛髪11を中心とするその周部領域を、ドナー24として吸引・採取可能とする。
【0052】
図8に示すように切込口30より吸入されるドナー24は、モータ軸兼用の管状体29内、並びに管状体29と対向配置される輸送チューブ19内において、吸引方向(矢印E方向)における吸引源側に毛髪11の先端が向き、また毛根12が切込口30側に向く姿勢で給送されることとなる。この姿勢はモータ軸を兼ねる管状体29の内部(図8の拡大部参照)並びにチューブ19の内径サイズから貯留体21へ給送されるまで維持される。
【0053】
図5に示す貯留体21は、全体円筒形のプラスチック材で形成され、一端側に配設される開閉蓋25を開けることで内部の支持部26に支持される捕集網27を取出し可能としている。
【0054】
すなわち、貯留体21は、その内部において接続する輸送チューブ19から吸引チューブ22へと矢印E方向に吸引エアを通過させることで支持部26に配設される捕集網27で順次吸引されるドナー24を捕集し、貯留可能にしている。
【0055】
この結果、頭皮においてこの用具28を用いて皮膚を穿開し、多数本のドナー24の吸引、採取することができ、ある程度のドナー24が採取された段階で、開閉蓋25を開け、中から捕集網27を取り出すことにより、図6に示すように、その表面に採取された多数本のドナー24を収集・配置させることが可能となる。
【0056】
次に、図9および図10に基づき、患者の頭皮のうち、比較的生命力の強い毛髪11が生えた部分の毛根12並びにその周部領域の皮膚を採取する際、毛髪11を中心とする周部領域を円形に穿開し、さらに穿開された皮膚の領域部分を吸引し、採取して、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域に位置された移植用ハンドピースに給送可能とするタイプの毛髪移植用具33を説明する(請求項6に対応)。
【0057】
この毛髪移植用具33は、図9に示すように例えば患者の頭皮のうち、生命力の強い後頭部の毛根12並びにその周部領域の皮膚をドナー24として採取し、これを給送管路34により毛髪移植用ハンドピース35に給送するためのものである。
【0058】
ここで毛髪移植用ハンドピース35は、患者の頭皮のうち、例えば毛髪が少ない前頭部側の移植先ポイントに位置決めされ、該ポイントにおいては、予めドナー24を移植するための移植床を穿開して形成する施術が行われる。
【0059】
図10に示す毛髪移植用具33は、図7に示す毛髪移植用具28と略同一の構造とされ、その内部構造については以下図8に基づいて説明する。
【0060】
すなわち、この毛髪移植用具33は、先端尖鋭な管状体29を備え、該管状体29は先端の円形の切込口30を皮膚に穿刺可能としている。この管状体29は、毛髪移植用具33内の基端部側に配設されるモータ31(図8参照)の軸と一体のものとされ、モータ31の駆動により、モータ軸としての管状体29の全体は、矢印F方向に軸回りに回転駆動可能とされる。
【0061】
すなわち、毛髪移植用具33は、円形の切込口30を図7に示すように、毛髪11を中心とする皮膚の周部領域に対して矢印G方向に穿刺することとし(図10・図8参照)、この際切込口30の全体を矢印F方向に回転するようにする。切込口30を深さ3〜4mm程度穿刺したら、切込口30を矢印Hに示すように皮膚から抜くようにする。すると毛髪11を中心とする毛根12を含む皮膚の周部領域が、ドナー領域I(図10参照)として画成されることとなり、この作業を毛髪移植用具33により、図10の矢印方向に順次行うことで、ドナー領域の皮膚を順次毛髪11を中心として穿開することが可能となる。
【0062】
加えてこの毛髪移植用具33は、毛髪11の周部が穿開された状態にある皮膚を図8の矢印方向に順次ドナー24として吸引し、モータ軸を兼ねる管状体29の内部を通過させ、毛髪移植用具33の基端側に接続される給送管路34へと給送可能にしている。
【0063】
すなわちこの毛髪移植用具33は、先端の切込口30の部分を吸引ノズルの吸引口として兼ねるものであり、施術者は図10に示すように用具33の基端部を把持する状態で先端の切込口30を順次皮膚に穿刺し、その部分をドナー24として吸引・採取可能にしている。
【0064】
移植用具33に接続される給送管路34においては、間に給送ポンプ36が介装され、管路34内においては、給送ポンプ36の作動により、図10の矢印D方向の吸引力を移植用具33内の管状体29に及ぼすこととし、これにより切込口30において吸引エアを吸引することとなる。すなわち施術者は図10に示すように移植用具33を持つ状態で切込口30を順次皮膚に穿刺することで、吸引エアとともに毛髪を中心とするその周部領域を、ドナー24として吸引・採取可能とする。
【0065】
図9の拡大部に示すように、切込口30より吸入されるドナー24は、移植用具33内のモータ軸兼用の管状体29内、給送管路34内においても、給送先である毛髪移植用ハンドピース35側にも毛髪11の先端が向き、また毛根12が切込口30側に向く姿勢で給送が行われることとなる。こうして移植用具33は、穿開・吸引して採取したドナー24を給送管路34により、直接毛髪移植用ハンドピース35へと順次供給することが可能となり、例えば一人の施術者が移植用具33を把持してドナー24を採取し、もう一人の施術者がハンドピース35を把持して採取されたばかりのドナー24を移植することが可能となる。
【0066】
次に、図9に示された毛髪移植用ハンドピース(請求項7ないし10に対応)の詳細を図11ないし図13に基づいて説明する。毛髪移植用ハンドピース35は図11に示すように施術者が手に把持する状態で使用され、図12、図13に示すように基端部に全体管状のシリンダ37を備えるようにしている。
【0067】
シリンダ37はその一端である上端側に、シリンダ37内の上端にエアを吸排するためのエアチューブ38が接続される。エアチューブ38は不図示のエアポンプの作動によりシリンダ37内にエアを吸排させることを可能とし、これによりシリンダ37内に配設される円柱形状のピストン39をシリンダ37内においてその軸線方向(X方向)に往復動させることを可能にしている。
【0068】
エアポンプの作動は、施述者が不図示のフットペダルを操作し、シリンダ37に対してエアを吸排動作させることで実行され、フットペダルにおいてはシリンダ37にエアを吸入操作するためのものと、シリンダ37からエアを排出操作するためのものがそれぞれ存在する。
【0069】
シリンダ37内に配設されるピストン39は、その外周部2ヶ所にOリング40が外装され、シリンダ37の他端である下端例には、シリンダ37内に内挿される状態で筒状部材41が取着される。すなわち、この筒状部材41はシリンダ37の軸線方向(X方向)の中心にそってロッド挿通孔42を備えるものとされ、該ロッド挿通孔42には、ピストン39の下端中心から下方に延設される移植ロッド43が内挿される。
【0070】
シリンダ37の一端である上端側には、その中心にシリンダ37の軸先方向(X方向)にスライド調整可能とされる調整ネジ44A(調整部材)が配設される。調整ネジ44Aは、上端のツマミ44Bを螺動調整33することで下端の衝合ロッド45のX方向における位置を調整可能にしている。すなわち、調整ネジ44Aは、シリンダ37内をX方向に往復移動するピストン39の上端側のストローク位置を規制するようにしている。一方、シリンダ内をX方向に往復移動されるピストン39は、下方にスライドされた状態において筒状部材41の上端部と衝合し、下端側のストローク位置が規制される。
【0071】
筒状部材41は図12および図13に示すように、下端側において給送管路34の他端側に配設されるコネクタ46が接続される。すなわち、このコネクタ45は図12に示すように、給送管路34から毛髪11をハンドピース35側に、毛根12をポンプ36側に向ける姿勢でドナー24を給送可能とし、給送されるドナー24はロッド挿通孔42内に対し、毛髪11が上方に、毛根12が下方に向く姿勢で供給されることとなる。
【0072】
さらに筒状部材41のコネクタ46が接続される上方側には、吸引管路47から延設されるコネクタ48が接続される。このコネクタ48はシリンダ37の下端に形成される切欠部49に位置決めされ、該切欠部49に位置決めされる部分において、シリンダ37の下端に内挿される筒状部材41との間に外ネジ部50を備えるようにしている。この外ネジ部50には取付ネジ51が螺着され、シリンダ37の下端に内挿される筒状部材41は、取付ネジ51をシリンダ37側に螺動し、間の切欠部49のギャップを締付けることによりシリンダ37に固定することを可能としている。すなわち、切欠部49の部分において、筒状部材41と接続されるコネクタ48は、取付ネジ51の締付けを締めることで上下にスライド可能とされ、該スライドにより筒状部材41のシリンダ37に対する内挿取付位置を微調整可能としている。
【0073】
ここで接続されるコネクタ48は、矢印J方向にエアを吸引する吸引管路47の作用により、筒状部材41のロッド挿通孔42内に供給されるドナー24に付着される血液、不純物を矢印J方向に吸引し、除去可能とし、これにより給送され、移植するドナー24を清浄にすることを可能にしている。
【0074】
図12に示すように給送管路34から給送され、ロッド挿通孔42に供給されるドナー24は、不図示のフットペダルによりピストン39の上方側のシリンダ37内にエアを供給させることでピストン39を下方に移動させ、これにより図13に示すように移植ロッド43を下降操作して、挿通孔42内を下方に移動可能にする。
【0075】
ピストン39が筒状部材41の上端部に衝合する下降ストローク端まで移動すると、ロッド挿通孔42の下端に開口されたドナー供給口52より、ロッド挿通孔42に供給されたドナー24を押し出すことが可能となる。この結果、図11並びに図13に示すように予め穿開具により頭皮に形成された移植床53にドナー24を供給し、移植することが可能となる。
【0076】
ここで移植床53の形成は、図3に示す穿開、吸引用の毛髪移植用具を用い、毛髪のない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚を穿開処理して行うのが好適とされる。こうして形成されたドナー24の移植先のポイントである各移植床53に、毛髪移植用ハンドピース35のドナー供給口52を順次位置決めすることにより(図11参照)、筒単に移植床53にドナー24の移植を行うことが可能となる。
【0077】
さらに実施形態に係る毛発移植用ハンドピース35においては、取付ネジ51を緩めて筒状部材41のシリンダ37に対する内挿、取付位置を調整したり、また調整ネジ44Aのツマミ44Bを螺動調整して移植ロッド43とドナー供給口52との位置関係を調整することも可能となる。例えば施述者がドナー供給口52からドナー242を移植床53に押し出し、供給する際、移植ロッド43の先端のドナー供給口52からの突出状態を微調整したい場合、こうした調整作業を行うようにしている。
【0078】
このように実施形態に係る毛髪移植用ハンドピース35によれば、フットペダルの操作により順次筒状部材41のロッド挿通孔42内に供給されるドナー24を移植床53に移植することができ、この際ドナー24はロッド挿通孔42内で毛髪11を上方に、毛根12を下方に向けた状態で位置決めされるので単に移植ロッド43を上昇・下降させるだけで、ドナー24の姿勢を制御することなく移植を行うことが可能となる。
【0079】
なお、上記毛髪移植用ハンドピース35において給送管路34は、図10に示すように毛髪移植用具33より吸引され、圧送されるドナー24を、順次移植するようにしているが、例えば給送管路34を図6に示す状態で捕集網27上に配設されたドナー24を吸引するための吸引具に接続し、該吸引具から順次ロッド挿通孔42へとドナー24を給送させるようにしてもよい。これにより上記毛髪移植用具16、32で採取されてドナー24についてもこれを給送管路34でハンドピース35に供給し、移植することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】移植元の頭皮における各毛根並びにその周部を、穿開用の毛髪移植用具により穿開する状態を示す断面図である。
【図2】穿開用の毛髪移植用具により毛根並びにその周部を穿開した状態を示す拡大断面図である。
【図3】吸引用の毛髪移植用具により、穿開された毛根並びにその周部をドナーとして吸引する状態を示す断面図である。
【図4】吸引用の毛髪移植用具により、吸引されるドナーの状態を示す正面図である。
【図5】吸引用の毛髪移植用具により吸引されたドナーを貯留する貯留体の内部を示す断面図である。
【図6】貯留体の捕集網に捕集されたドナーを示す斜視図である。
【図7】穿開吸引用の毛髪移植用具により、移植元の頭皮における毛根並びにその周部を順次穿開・吸引する状態を示す断面図である。
【図8】穿開吸引用の毛髪移植用具の内部構造を示す断面図である。
【図9】穿開吸引用の毛髪移植用具により移植元より吸引されたドナーを移植先の頭皮に移植する状態を示す側面図である。
【図10】穿開吸引用の毛髪移植用具により移植元の毛根並びにその周部を穿開・吸引する状態を示す断面図である。
【図11】移植先の頭皮に対し、移植元より給送されたドナーを毛髪移植用ハンドピースにより移植する状態を示す断面図である。
【図12】毛髪移植用ハンドピースの内部構造を示す断面図である。
【図13】移植用ハンドピース内の移植ロッドの下降により、穿開処理された移植先の皮膚にドナーを移植させる状態を示す断面図である。
【図14】従来実施されていた移植元からの移植毛の採取方法を示す側面図である。
【図15】採取された移植毛の株分け方法を示す断面図である。
【図16】移植先の頭皮において、穿開処理された移植床を形成し、ドナーを移植する従来の方法を示す断面図である。
【図17】ドナーが移植された頭皮の状態を示す側面図である。
【図18】移植され、自毛が再生された頭部の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 毛髪群
2 メス
3 ドナー
4 移植床
5 ピンセット
10 毛髪移植用具(穿開用)
11 毛髪
12 毛根
13、29 管状体
14、30 切込口
15 モータ軸
16 毛髪移植用具(吸引・採取用)
17、32 把持部
18 吸引ノズル
19 輸送チューブ(管状体)
20 ホルダ
21 貯留体
22 吸引チューブ
23 吸引口
24 ドナー
25 開閉蓋
26 支持部
27 捕集網
28 毛髪移植用具(穿開・吸引用)
31 モータ
33 毛髪移植用具(穿開・吸引・給送用)
34 給送管路
35 毛髪移植用ハンドピース
36 給送ポンプ
37 シリンダ
38 エアチューブ
39 ピストン
40 Oリング
41 筒状部材
42 ロッド挿通孔
43 移植ロッド
44 調整ネジ(調整部材)
45 衝合ロッド
46,48 コネクタ
49 切欠部
51 取付ネジ
52 ドナー供給口
53 移植床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、
を備えたことを特徴とする毛髪移植用具。
【請求項2】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、
回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、
を備えたことを特徴とする毛髪移植用具。
【請求項3】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、
回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、
管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引される複数のドナーを貯留可能とし、内部に吸引手段により吸引される吸引エアを通過させるとともに、吸引エアとともに吸引されたドナーを捕集する捕集網を備えた貯留体と、
を備えたことを特徴とする毛髪移植用具。
【請求項4】
回転手段は切込口を構成する管状体と一体に構成され、または管状体と接続して構成される回転軸を備えたモータとされ、該モータの回転軸は吸引手段により吸引されるドナーを吸引エアとともに内部を通過可能とする管状体としてなる請求項2または請求項3のいずれかに記載の毛髪移植用具。
【請求項5】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の領域が円形に穿開されたドナー領域の皮膚を、先端に形成された吸引口より管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、
管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引される複数のドナーを貯留可能とし、内部に吸引手段により吸引される吸引エアを通過させるとともに、吸引エアとともに吸引されたドナーを捕集する捕集網を備えた貯留体と、
を備えたことを特徴とする毛髪移植用具。
【請求項6】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
ドナーとして採取する毛髪を中心として、その周部の皮膚に穿刺される先端尖鋭な管状の切込口と、該切込口が対応する皮膚領域に穿刺された状態において、該管状の切込口の全体を軸回りに回転駆動させ、ドナー領域の皮膚を穿開可能とする回転手段と、
回転手段により軸回りに回転駆動された切込口内に留置されるドナー領域の皮膚を、吸引エアにより切込口を形成する管状体の内部にドナーとして吸引・採取する吸引手段と、
管状体に接続され、順次吸引手段にて吸引されるドナーを、吸引エアとともに患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚で、穿開処理された移植先の皮膚のポイントに位置決めされた毛髪移植用ハンドピースに給送する給送管路と、
を備えたことを特徴とする毛髪移植用具。
【請求項7】
患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚に対し、その患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚をドナーとして採取して移植する際に使用され、
全体管状をなすシリンダ内にピストンを内挿し、該ピストンはシリンダの一端側に接続されるエアポンプの吸排動作によりシリンダ内を軸線方向に往復動し、シリンダの他端側においてピストンに取着され、シリンダの他端に配設される筒状部内に内挿されて、筒状部内の先端に形成されるドナー供給口より、該筒状部に供給されたドナーを押し出して、患者の頭皮のうち、毛髪がない領域あるいは毛髪の少ない領域の皮膚で穿開処置された移植先の皮膚のポイントに位置決めされたドナー供給口より、ドナーを供給して移植する移植ロッドを備えた毛髪移植用ハンドピースであって、
シリンダの他端側の筒状部に、ドナーを筒状部内に対して毛髪がピストン側に向き、かつ毛根およびその周部領域がドナー供給口に向く姿勢で供給する給送管路を接続させることとした毛髪移植用ハンドピース。
【請求項8】
シリンダの一端側には、シリンダ内を往復動するピストンの一端側のストローク端の位置を規制し、シリンダの軸線方向にスライド可能とされる調整部材を備えることとした請求項7に記載の毛髪移植用ハンドピース。
【請求項9】
給送管路は患者の他の領域にある比較的生命力の強い毛髪の毛根およびその周部領域を含む皮膚からなるドナーを吸引・採取する毛髪採取用の毛髪移植用具に接続され、採取された状態のドナーをシリンダの他端側の筒状部に給送するものである請求項7に記載の毛髪移植用ハンドピース。
【請求項10】
シリンダの他端側の筒状部には、給送されたドナーに付着された血液、不純物を吸引・除去する吸引管路を接続することとした請求項7、請求項8、請求項9のいずれかに記載の毛髪移植用ハンドピース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−229330(P2007−229330A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57142(P2006−57142)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(503468112)株式会社トシュカ (2)
【Fターム(参考)】