説明

気体に対する減少された透過性を有するシーリング材組成物を備えた断熱ガラスユニット

本発明は、とりわけ、湿気硬化型シリル化された樹脂を含む硬化された組成物でシールされた、高い熱効率の断熱ガラスユニット構造体に関し、この硬化された組成物は気体に対する低い透過性を示す。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、熱的に遮断している構造体に関し、そして特に、気体もしくは気体の混合物に対する低い透過性を有する室温硬化組成物でシールされた、高い熱効率の断熱ガラスユニット構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
室温硬化型(RTC)組成物は、シーリング材としての用途がよく知られている。断熱ガラスユニット(IGU)の製造では、ガラスのパネルを互いに平行に並べ、そしてパネルの間の空間もしくは内部空間が完全に密閉されるように周囲をシールする。この内部空間は典型的には空気で満たされる。この典型的な構造の断熱ガラスユニットを通り抜けるエネルギーの移動は、ガラスの一枚パネルに比較して、内部空間にある空気の断熱層を取り込むことによって減少する。エネルギー移動は、パネルの間の間隔を広げて、空気の断熱層を厚くすることによって、さらに減少させてもよい。最大の間隔には限度があり、それを超えるとパネルの間の空気内の対流が、エネルギー移動を増加させることがある。エネルギー移動は、内部空間を増やす形で断熱層を増やし、そしてガラスパネルを取り囲むことによってさらに減少できよう。例えば、二つの内部空間によって分離し、そしてその周囲をシールした、三つの平行に間隔をあけて配置したガラスのパネルである。この方法では、パネルの間隔は、空気の空間における対流効果によって強いられた最大限度よりも狭いままで、しかも全エネルギー移動はさらに減少されることになる。エネルギー移動をさらに減少させたい場合は、内部空間をさらに増やせばよい。
【0003】
その上、シールされた断熱ガラスユニットのエネルギー移動は、シールされた断熱ガラス窓の中の空気を、より高い密度の、より低い伝導率の気体に置き換えることによって減少させてもよい。適切な気体は、無色、非毒性、非腐食性、不燃性であり、紫外線照射に影響されず、そして空気より密度が高く、さらに空気より低い伝導率の気体でなくてはならない。アルゴン、クリプトン、キセノン、および六フッ化硫黄は、エネルギー移動を減少するために断熱ガラス窓の中の空気を一般に置き換える気体の例である。
【0004】
種々のタイプのシーリング材は、硬化系と非硬化系の両方を含む断熱ガラスユニットの製造に広く利用されている。液体のポリスルフィド、ポリウレタンおよびシリコーンは硬化系を代表し、これらは一般に使われており、一方、ポリブチレン−ポリイソプレン共重合体ゴム系のホットメルト型シーリング材が一般に用いられる非硬化系である。
【0005】
液体のポリスルフィドおよびポリウレタンは、ガラスに使用する直前に混合される基剤と硬化剤とを含有する、一般的には二成分系である。シリコーンは、二成分系と同様に一成分系でもよい。二成分系は、断熱ガラスユニットが次の製造段階に移る前に、所定の混合比率、二成分の混合装置、と硬化時間を必要とする。
【0006】
しかしながら、流通しているRTC(室温硬化型)シリコーンシーリング材組成物は、ある程度は効果的であるが、IGUの内部空間から、低い熱伝導率の気体、例えばアルゴン、の損失を防ぐには、依然として限られた能力しか有していない。この透過性の結果として、ガラスのパネル間にある気体によって維持されている減少されたエネルギー移動は、時間の経過と共に失われる。
【0007】
それ故、既知のRTC組成物の気体透過性と比較して、減少された気体透過性のRTC組成物を備えたIGUへの要求が存在する。IGU用シーリング材として用いたとき、減少された気体透過性のRTC組成物は、より透過性のあるRTC組成物に比較して、より長時間IGUのパネル内の断熱気体を保ち続け、そしてそれ故に、より長時間にわたってIGUの断熱性を引き延ばすことになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
互いの空間関係において、少なくとも二つの、間隔をあけて配置したガラスのシート(窓ガラス)、または他の機能的に等価な物質のシートと、それらの間にある低い熱伝導率の気体と、下記を含有する湿気硬化型シリル化された樹脂含有組成物の硬化から生成する硬化されたシーリング材組成物を含む気体シーリング材要素とを含有する断熱ガラスユニット:
a)湿気硬化型シリル化された樹脂、これは硬化によって気体に対す
る透過性を示す硬化された樹脂を生成し;そして
b)硬化された樹脂(a)の透過性よりも気体に対するより小さな透
過性を有する、少なくとも一つの他の重合体、および、任意選択で、
c)触媒、充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、接着促進剤、硬化加
速剤、チキソトロピー試剤、湿気捕集剤、顔料、染料、溶媒、界
面活性剤、および殺生物剤からなる群から選択される少なくとも
一つの付加成分。
【0009】
IGUの気体シーリング材の成分として用いたとき、前述の硬化されたシーリング材組成物はIGUから気体が損失するのを減少させ、従ってその有用な製品寿命を延長させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、互いの空間関係において、少なくとも二つの、間隔をあけて配置したガラスのシートと、それらの間にある低い熱伝導率の気体と、以下を含有する湿気硬化型シリル化された樹脂含有組成物の硬化から生じた、硬化された、すなわち、架橋された、もしくは加硫された、シーリング材組成物を含有する気体シーリング材要素とを含有する断熱ガラスユニットを提供する;a)湿気硬化型シリル化された樹脂、これは硬化によって気体に対する透過性を示す硬化された樹脂を生成し;そしてb)硬化された樹脂(a)の透過性よりも気体に対するより小さな透過性を有する、少なくとも一つの他の重合体、ならびに、任意選択で、c)充填剤、接着促進剤、触媒、界面活性剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、硬化加速剤、チキソトロピー試剤、湿気捕集剤、顔料、染料、溶媒、および殺生物剤からなる群から選択される少なくとも一つの付加成分。
【0011】
図1を参照すると、既知で汎用の構造の断熱ガラスユニット10は、主要な気体シーリング材部材4を有する気体シーリング材要素によって間隔をあけて配置した関係に保たれたガラスシート1と2と、連続的なスペーサー部材5と、以下に記述されるように調製された低い気体透過性のシーリング材組成物7と、アルゴンのような断熱気体または気体混合物で満たされているシート1と2の間の空間6とを含む。ガラス押し縁8は、技術上既知であるが、ガラスシート1と2、と窓枠9との間に配置される。窓ガラス1と2は、ガラス、例えば、透明なフロートガラス、アニールガラス、強化ガラス、ソーラーガラス、ティンテッドガラス、例えば、低エネルギーガラスなど、アクリル樹脂、およびポリカーボナート樹脂、などのような、種々の材料のいずれからも製作してよい。
【0012】
前述の気体シーリング材要素に、硬化されたシーリング材組成物7を含ませることにより、既知で汎用の気体シーリング材に比較して、改良されたガスバリア性と湿気の漏洩特性を与える。その結果、硬化されたシーリング材組成物7は、特に上で記載したことも含み、あらゆる種類の構造の断熱ガラスユニットに、より長期間の製品性能を与える。
【0013】
断熱ガラスユニットの主要なシーリング材部材4は、技術上公知である高分子物質、例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリスルフィド、EPDMゴム、ニトリルゴム、などのようなゴム基材で構成してよい。他の有用な物質は、ポリイソブチレン/ポリイソプレン共重合体、ポリイソブチレン重合体、臭素化されたオレフィン重合体、ポリイソブチレンとパラ−メチルスチレンとの共重合体、ポリイソブチレンと臭素化されたパラ−メチルスチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとのブチルゴム共重合体、エチレン−プロピレン重合体、ポリスルフィド重合体、ポリウレタン重合体、スチレンブタジエン重合体、などを含む。
【0014】
上で示したように、主要な気体シーリング材部材4は、非常によい密封性を有するポリイソブチレンのような物質から製作してよい。ガラス押し縁8は、時にはガラスパテとも呼ばれ、そしてシリコーンまたはブチルゴムの形で提供されうるシーリング材である。窓ガラス1と2の間の空間を占める断熱気体から湿気を取り除くために、乾燥剤を連続スペーサー5に含ませてよい。有用な乾燥剤は、断熱ガラスユニットの内部を満たす断熱気体/気体混合物を吸着しない乾燥剤である。
【0015】
断熱ガラスユニットに使用する適切な低い熱伝導率の気体と、そのような気体の混合物は、よく知られており、そして、空気、二酸化炭素、六フッ化硫黄、窒素、アルゴン、クリプトン、キセノンなど、および、それらの混合物のような透明な気体を含む。
【0016】
本発明に用いることができる湿気硬化型シリル化された樹脂(a)は既知の物質であり、そして、(i)イソシアナート末端ポリウレタン(PUR)プレポリマーを適切なシランと反応させることによって、例えばアルコキシなどのような加水分解可能な官能性と、メルカプタン、第一級および第二級アミンなど、好ましくは後者であるが、このような活性水素含有官能性の両者を有するシランなどと反応させることによって、もしくは、(ii)水酸基末端PURプレポリマーを、適切なイソシアナート末端シランと、例えば一つから三つのアルコキシ基を有するイソシアナート末端シランと反応させることによって、一般に得ることができる。これらの反応の詳細は、および、ここで用いられるイソシアナート末端および水酸基末端PURプレポリマーの調製するための詳細は、他にもいろいろあるが、次の文献に見出される:米国特許第4,985,491号公報、第5,919,888号公報、第6,207,794号公報、第6,303,731号公報、第6,359,101号公報、そして第6,515,164号公報、および米国特許出願公開第2004/0122253号公報そして第2005/0020706号公報(イソシアナート末端PURプレポリマー);米国特許第3,786,081号公報および第4,481,367号公報(水酸基末端PURプレポリマー);米国特許第3,627,722号公報、第3,632,557号公報、第3,971,751号公報、第5,623,044号公報、第5,852,137号公報、第6,197、912号公報、および第6,310,170号公報(イソシアナート末端PURプレポリマーと、反応性シラン、例えばアミノアルコキシシランとの反応から得られる湿気硬化型SPUR);そして、米国特許第4,345,053号公報、第4,625,012号公報、第6,833,423号公報、および米国特許出願公開第2002/0198352号公報(水酸基末端PURプレポリマーとイソシアナトシランとの反応から得られる湿気硬化型SPUR)である。前述の米国特許文書を援用することにより、総ての内容は本明細書の一部としてここに組み込まれる。
【0017】
本発明の湿気硬化型シリル化された樹脂(a)は、また(iii)イソシアナトシランをポリオールと直接反応させることによって得てもよい。
【0018】
(a)イソシアナート末端PURプレポリマーから得られる湿気硬化型SPUR樹脂
イソシアナート末端PURプレポリマーは、生成するプレポリマーがイソシアナートで末端化されるような割合で、一つ以上のポリオールを、有利にはジオールを、一つ以上のポリイソシアナートと、有利にはジイソシアナートと反応させることによって得られる。ジオールをジイソシアナートと反応させる場合には、1モル過剰のジイソシアナートが用いられる。
【0019】
イソシアナート末端PURプレポリマーの調製に利用できるポリオールには、ポリエーテルポリオール、水酸基末端ポリカプロラクトンのようなポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとe−カプロラクトンとの反応から得られる化合物のようなポリエーテルエステルポリオール、水酸基末端ポリカプロラクトンと、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのような一つ以上のアルキレンオキシドとの反応から得られる化合物のようなポリエステルエーテルポリオール、水酸基末端ポリブタジエンなどが含まれる。
【0020】
具体的で適切なポリオールは、特にポリ(オキシエチレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、およびポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジオールのようなポリエーテルジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリラート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、およびポリヒドロキシポリチオエーテル、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトントリオールなどを含む。本発明の1つの実施態様において、イソシアナート末端PURプレポリマーの製造に使われるポリオールは、約500と25,000の間の当量重量(equivalent weights)を有するポリ(オキシエチレン)ジオールである。本発明の別の実施態様において、イソシアナート末端PURプレポリマーの製造に使用されるポリオールは、約1,000から20,000までの間の当量重量を有するポリ(オキシプロピレン)ジオールである。種々の構造、分子量、および/もしくは官能性のポリオールの混合物を使用してもよい。
【0021】
ポリエーテルポリオールは、約8つまでの官能性を有することができるが、有利には、約2つから4つまでの官能性を有し、そして更に有利には2つの官能性(すなわち、ジオール)を有することができる。特に適切なものは、複合金属シアン化物(DMC)触媒、水酸化アルカリ金属触媒、もしくはアルカリ金属アルコキシド触媒の存在下で調製されたポリエーテルポリオールであり;参照先は、例えば、米国特許第3,829,505号公報、第3,941,849号公報、第4,242,490号公報、第4,335,188号公報、第4,687,851号公報、第4,985,491号公報、第5,096,993号公報、第5,100,997号公報、第5,106,874号公報、第5,116,931号公報、第5,136,010号公報、第5,185,420号公報、および第5,266,681号公報であり、これらを援用することにより、総ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。そのような触媒の存在下で製造されたポリエーテルポリオールは、高分子量および低い不飽和度(levels of unsaturation)になる傾向があり、これらの性質は、創造性に富んだ逆反射製品の改善された性能の原因であると考えられる。ポリエーテルポリオールは、好ましくは約1,000から約25,000まで、より好ましくは約2,000から約20,000まで、そして、さらに好ましくは約4,000から約18,000までの数平均分子量を有する。ポリエーテルポリオールは、好ましくは、ポリオールのグラム当たり、約0.04ミリ当量より大きくない末端基不飽和度を有する。より好ましくは、ポリエーテルポリオールは、ポリオールのグラム当たり、約0.02ミリ当量より大きくない末端基不飽和度を有する。イソシアナート末端PURプレポリマーを作製するのに適した市販のジオールの例は、ARCOL R−1819(数平均分子量が8,000)、E−2204(数平均分子量が4,000)、およびARCOL E−2211(数平均分子量が11,000)を含む。
【0022】
多数のポリイソシアナート、有利にはジイソシアナート、および、それの混合物のいずれもイソシアナート末端プレポリマーを得るのに使用してよい。一つの実施態様において、ポリイソシアナートは、ジフェニルメタンジイソシアナート(「MDI」)、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート(「PMDI」)、パラフェニレンジイソシアナート、ナフチレンジイソシアナート、液体のカルボジイミドで修飾されたMDI、および、それの誘導体、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、トルエンジイソシアナート(「TDI」)、特に、2,6−TDI異性体、同様に、当業者において充分確立された種々の他の脂肪族および芳香族ポリイソシアナート、ならびに、それらの組み合わせでよい。
【0023】
上に記載したイソシアナート末端PURプレポリマーとの反応用のシリル化反応物は、イソシアナートとの反応性がある官能性、および少なくとも一つの容易に加水分解可能で、続いて架橋可能な基、例えばアルコキシ、を含まねばならない。特に有用なシリル化反応物は、アミノシラン、特に下記の一般式の化合物であり:
【0024】
【化1】

式中、Rは、水素、炭素原子数が8までのアルキルもしくはシクロアルキル、または炭素原子数が8までのアリール基であり、Rは、炭素原子数が12までのアルキレン基であり、選択的に一つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、Rは、それぞれが同一の、もしくは異なる、炭素原子数が8までのアルキル基もしくはアリール基であり、Rは、それぞれが同一の、もしくは異なる、炭素原子が6までのアルキル基であり、そしてxは0、1もしくは2である。一つの実施態様において、Rは、水素またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、もしくはフェニル基であり、Rは炭素原子数1から4を有し、Rは、それぞれが同一の、もしくは異なるメチル基、エチル基、プロピル基、もしくはイソプロピル基であり、そしてxは0である。
【0025】
ここで使われる具体的なアミノシランは、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、アミノウンデシルトリメトキシシラン、およびアミノプロピルメチルジエトキシシランを、例えば含む。他の適切なアミノシランは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、t−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルマレアートアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルマレアート置換4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルジエトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチル−3−アミノ−1−メチル−1−エトキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、およびN−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシランを含むが、しかしこれらに限定されない。
【0026】
触媒は、イソシアナート末端PURプレポリマーの調製に通常使われる。縮合触媒はまた、本発明の硬化型組成物のSPUR樹脂成分の硬化(加水分解と、それに続く架橋)にも触媒作用を及ぼすので、有利にはこの触媒が使われる。適切な縮合触媒は、ジブチルスズラウラートおよびジブチルスズアセタートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、第三級アミン、第一スズオクトアートおよび第一スズアセタートのようなカルボン酸の第一スズ塩、などを含む。本発明の一つの実施態様において、ジブチルスズジラウラート触媒はPURプレポリマーの製造に使用される。他の有用な触媒は、キングインダストリーズ社(King Industries, Inc.)から入手可能なジルコニウム錯体、KATXC6212、K−KATXC−A209、デュポン社(DuPont company)から入手可能なアルミニウムキレート、TYZER(登録商標)タイプ、そしてケンリッチペトロケミカル社(Kenrich Petrochemical, Inc.)から入手可能なKRタイプ、およびZn、Co、Ni、そしてFeのような他の有機金属、などを含む。
【0027】
(b)水酸基末端PURプレポリマーから得られる湿気硬化型SPUR樹脂
湿気硬化型SPUR樹脂は、先に示したように、水酸基末端PURプレポリマーをイソシアナトシランと反応させることによって調製できる。水酸基末端PURプレポリマーは、イソシアナート末端PURプレポリマーの調製用に上で記載したのと実質的に同じ物質、すなわちポリオール、ポリイソシアナートおよび含んでもよい成分としての触媒(好ましくは縮合触媒)、を用いた実質的に同じ方法で得ることができるが、一つの主要な差異は、ポリオールとポリイソシアナートの比率が、生成するプレポリマー中に水酸基末端を生じるような比率である点にある。それ故、例えばジオールとジイソシアナートの場合、前者の過剰なモル比が使われ、これにより、水酸基末端PURプレポリマーが生成することになる。
【0028】
水酸基末端SPUR樹脂用の有用なシリル化反応物は、イソシアナート末端と、加水分解が容易に可能な官能性、例えば1つから3つのアルコキシ基、を含む化合物である。適切なシリル化反応物は、下記の一般式のイソシアナトシランである:
【0029】
【化2】

式中、Rは炭素原子数が12までのアルキレン基であり、選択的に一つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、Rはそれぞれ、炭素原子数が8までの、同一の、もしくは異なるアルキル基もしくはアリール基であり、Rはそれぞれ、炭素原子数が6までの、同一の、もしくは異なるアルキル基であり、そしてyは0、1もしくは2である。一つの実施態様において、Rは1から4の炭素原子を有し、Rはそれぞれ、同一の、もしくは異なるメチル基、エチル基、プロピル基、もしくはイソプロピル基であり、yは0である。
【0030】
前述の水酸基末端PURプレポリマーと反応して湿気硬化型SPUR樹脂を与える具体的なイソシアナトシランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリメトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリエトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリエトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリエトキシシランなどを含む。
【0031】
(c)イソシアナトシランを直接ポリオールと反応させて得られる湿気硬化型SPUR樹脂
本発明の湿気硬化型SPUR樹脂は、ポリウレタンプレポリマーの初期生成なしに、一つ以上のポリオール、有利にはジオールを直接的にイソシアナトシランと反応させて得ることができる。
【0032】
湿気硬化型SPUR樹脂を製造する方法に有用である物質、すなわち、ポリオールおよびシラン、例えば加水分解が可能な官能性、およびイソシアナート官能性の両方を有するシランは、上に記載されている。そのようなものとして、適切なポリオールは、約4,000から20,000の間の分子量を有する水酸基末端ポリオールを含む。しかし、種々の構造、分子量、および/もしくは官能性のポリオールの混合物もまた使用してよい。湿気硬化型SPUR樹脂を得るために前述のポリオールとの反応に用いられる適切なイソシアナトシランは、上に記載されている。
【0033】
ウレタンプレポリマー合成、それに続くシリル化反応、同様にポリオールとイソシアナトシランとの直接反応は、アルコキシシラン基の早すぎる加水分解を避けるために、無水の条件下、そして好ましくは窒素の層のような不活性雰囲気下で行われる。両方の反応ステップ用の典型的な温度範囲は、0℃から150℃であり、より好ましくは60℃と90℃との間である。典型的には、シリル化されたポリウレタンの合成ための全反応時間は、4時間から8時間の間である。
【0034】
合成は、標準滴定法(ASTM2572−87)、もしくは赤外線分析を使って追跡される。残っている−NCOがどちらかの方法で検出されないとき、ウレタンプレポリマーのシリル化が完了したと考えられる。
【0035】
硬化型シーリング材組成物は、硬化された樹脂(a)の透過性よりも小さい、気体または気体の混合物に対する透過性を示す、少なくとも一つの他の重合体(b)を含む。適切な重合体は、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)のようなポリエチレン;ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルアセタート(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVoH)、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート(PETG)のようなポリエステル;ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリアミド(ナイロン)、ポリメチルペンテン、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エチレンクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、セルロースアセタート、セルロースアセタートブチラート、可塑化されたポリ塩化ビニル、アイオノマー(Surtyn)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、スチレン−無水マレイン酸、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、など、および、それらの混合物を含む。
【0036】
重合体(b)は、性状がゴム弾性であってもよく、その例はエチレン−プロピレンゴム(EPDM)、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリウレタン(TPU)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEEBS)、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
これらの重合体は、単独で、もしくは組み合わせて、または共重合体の形態で、例えば、ポリカーボナート−ABSブレンド、ポリカーボナートポリエステルブレンド、シラン−グラフトポリエチレン、そしてシラン−グラフトポリウレタンのようなグラフト重合体のように、ブレンドしてよい。
【0038】
本発明の一つの実施態様において、重合体(b)は、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、および、それらの混合物からなる群から選択される重合体である。本発明の他の実施態様において、重合体(b)は、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、および、それらの混合物からなる群から選択される。本発明のさらに他の実施態様において、重合体(b)は、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
【0039】
任意選択で、硬化型シーリング材組成物は、ステアリン酸またはステアリン酸エステルのような化合物で処理された、沈降およびコロイド状の炭酸カルシウム;フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、および疎水化処理されたシリカ、疎水化処理されたシリカゲルのような強化シリカ;粉砕したおよび粉末にした石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、雲母、滑石、など、および、それらの混合物のような一つ以上の充填剤をも含んでもよい。
【0040】
本発明の一つの実施態様において、硬化型組成物の充填剤成分は、炭酸カルシウム、シリカ、もしくは、それらの混合物である。添加される充填剤のタイプおよび量は、硬化されたシリコーン組成物用の望まれる物理的性質に依存する。そのようなものとして、充填剤は単一種、または二つ以上の種の混合物であってよい。
【0041】
他の有用な充填剤は、ナノメートルの領域に存在する一次元の特異な形態を有するナノ粘土(nanoclays)でよい。ナノ粘土は、粘土粒子を形成する層のあいだの面にイオン結合する層間挿入物質との化学錯体を生成することができる。層間挿入物質と粘土粒子との、この会合によって多くの異なった種類のホスト樹脂と共存できる物質を生じ、粘土充填剤がそこに分散できることになる。
【0042】
本発明のナノ粘土充填剤を説明する際、下記の用語は、注記がない限り下記の意味を有する。
【0043】
ここで使われる用語「層間剥離(exfoliation)」は、ナノ粘土のプレートレット(nanoclay platelets)の小さい束が重合体のマトリックス中で互いに分離するプロセスをいう。層間剥離の間、各束の最も外側の領域でプレートレットがへき開し、分離のためにより多くのプレートレットを露出させる。
【0044】
ここで使われる用語「ギャラリー(gallery)」は、粘土のプレートレットの平行な層のあいだの空間をいう。ギャラリー空間は、空間を占める分子や重合体の性質に依存して変化する。個々のナノ粘土のプレートレットのあいだの層間空間もまた、空間を占める分子のタイプに依存して変化する。
【0045】
ここで使われる用語「層間挿入物質(intercalant)」は、粘土のギャラリーに入り、その表面に結合することが可能である任意の有機または無機の化合物を含む。
【0046】
ここで使われる用語「層間挿入体(intercalate)」は、粘土のギャラリー空間が表面修飾のプロセスに起因して増大した粘土−化学錯体(clay−chemical complex)を指す。温度およびせん断の適切な条件下で、層間挿入体は樹脂マトリックス中で層間剥離することが可能である。
【0047】
ここで使われる語句「修飾された粘土(modified clay)」は、粘土の層間の面に存在する陽イオンとのイオン交換反応を行うことが可能な任意の無機または有機の化合物で処理された粘土物質を指す。
【0048】
ここで使われる「有機粘土(organoclay)」は、粘土の層間の面に存在する陽イオンとイオン交換反応を行うことのできる有機分子(「層間剥離剤(exfoliating agents)」、「表面修飾剤(surface modifiers)」、もしくは「層間挿入物質(intercalants)」、とさまざまに言及される)で処理された粘土、または他の層状物質を指す。
【0049】
ここで使われる用語「有機ナノ粘土(organic nanoclay)」は、有機の、または半有機の層間挿入物質、例えば粘土粒子を形成する層のあいだの面にイオン結合するジオルガノポリシロキサン、で処理された、または修飾されたナノ粘土をいう。
【0050】
本発明の組成物の有機ナノ粘土充填剤成分を得るのに有用なナノ粘土は、天然の、もしくは合成したフィロケイ酸塩鉱物(phyllosilicates)、特に、モンモリロナイト(montmorillonite)、ナトリウムモンモリロナイト(sodium montmorillonite)、カルシウムモンモリロナイト(calcium montmorillonite)、マグネシウムモンモリロナイト(magnesium montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、ベイデルライト(beidellite)、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポーナイト(saponite)、ソーコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケンヤイト(kenyaite)、ソボカイト(sobockite)、スビンドルダイト(svindordite)、スチーブンサイト(stevensite)、滑石(talc)、雲母(mica)、カオリナイト(kaolinite)、バーミキュライト(vermiculite)、ハロイサイト(halloysite)、アルミナートオキシド(aluminate oxides)、またはハイドロタルサイト(hydrotalcites)のようなスメクチック粘土(smectic clays)など、ならびに、それらの混合物を含む。他の実施態様において、有用なナノ粘土は、イライト(illite)のような雲母質鉱物および、レクトライト(rectorite)、タロソバイト(tarosovite)、レディカイト(ledikite)、そしてイライトと、上に名前を挙げた粘土鉱物の一つ以上との混和材のような混合層状イライト/スメクタイト鉱物を含む。有機分子を十分に吸着して、隣接するフィロケイ酸塩鉱物のプレートレットのあいだの層間空間を(フィロケイ酸塩鉱物を乾燥状態で測定したとき)少なくとも約5オングストローム、もしくは少なくとも約10オングストロームに増大させる、任意の膨潤可能な層状物質は、本発明の硬化された型シーリング材組成物を得るために充填剤成分を製造する際に使用してよい。
【0051】
ナノ粘土は、天然の、もしくは合成した物質でよい。この区別は、粒子サイズに影響し、そして本発明では、粒子は、約0.01μmと約5μmとの間で、そして好ましくは約0.05μmと約2μmとの間で、そしてより好ましくは約0.1μmと約1μmとの間で、横寸法を有すべきである。粒子の厚さ、もしくは縦寸法は、約0.5nmと約10nmとの間で、そして好ましくは約1nmと約5nmとの間で一般に変えることができる。
【0052】
本発明の一つの実施態様において、ナノ粘土および層状物質を処理して充填剤成分を得るのに有用な有機および無機化合物は、アンモニウム、塩化アンモニウム、アルキルアンモニウム(第一級、第二級、第三級および第四級)、または脂肪族、芳香族、もしくは芳香族基置換脂肪族(arylaliphatic)のアミン、ホスフィン、もしくはスルフィドの、ホスホニウム誘導体もしくはスルホニウム誘導体、のような陽イオン性界面活性剤を含む。
【0053】
ここで用いることのできるナノ粘土用の、他の有機処理試剤は、アミン化合物、および/もしくは第四級アンモニウム化合物、Rを含み、式中、それぞれ独立して炭素原子数が60までのアルコキシシラン基、アルキル基、またはアルケニル基であり、そしてXは、Cl、F、SOなどのような陰イオンである。
【0054】
硬化型シーリング材組成物は、接着促進剤として、一つ以上のアルコキシシランもまた含んでもよい。有用な接着促進剤は、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、β−シアノエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、およびN−エチル−3−トリメトキシシリル−2−メチルプロパンアミン、などを含む。一つの実施態様において、接着促進剤は、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび1,3,5−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌラートの組み合せでよい。
【0055】
上に記載したウレタンプレポリマーと同様に、関連するシリル化されたポリウレタン(SPUR)の調製において典型的に使われる触媒は、シリコーンシーリング材組成物の架橋を促進するのに有用であると知られた化合物を含む。触媒は金属および非金属触媒を含んでよい。本発明に有用な金属縮合触媒の金属部分の例は、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄、コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマス、および亜鉛の化合物を含む。
【0056】
本発明の一つの実施態様において、シリコーンシーリング材組成物の架橋を促進するのに有用なスズ化合物は、以下のとおりである:ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトアート、イソブチルスズトリセロアート、ジブチルスズオキシド、可溶性ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビス(ジイソオクチルフタラート)、ビス(トリプロポキシシリル)ジオクチルスズ、ジブチルスズビス(アセチルアセトン)、シリル化されたジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリス(ウベラート)、イソブチルスズトリセロアート、ジメチルスズジブチラート、ジメチルスズジ(ネオデカノアート)、トリエチルスズタルタラート、ジブチルスズジベンゾアート、スズオレアート、スズナフテナート、ブチルスズトリ(2−エチルヘキシルヘキソアート)、およびスズブチラート、などのスズ化合物を含む。さらに別の実施態様において、シリコーンシーリング材組成物の架橋を促進するのに有用なスズ化合物は、キレート化されたチタン化合物、例えば、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセタート);ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセタート);およびテトラアルキルチタナート、例えば、テトラ(n−ブチル)チタナート、そしてテトラ(イソプロピル)チタナートである。本発明のもう一つの実施態様において、ジオルガノスズビス(β−ジケトナート)は、シリコーンシーリング材組成物における架橋を促進するのに使われる。
【0057】
本発明の一つの態様において、触媒は金属触媒である。本発明の別の態様において、金属触媒は、スズ化合物からなる群から選択され、そして本発明のさらに別の態様において、金属触媒はジブチルスズジラウラートである。
【0058】
本発明の組成物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシ化されたヒマシ油、オレイン酸エトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、エチオレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)との共重合体、そしてシリコーンとポリエーテルとの共重合体(シリコーンポリエーテル共重合体)、シリコーンと、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体との共重合体、および、それらの混合物のような一つ以上の非イオン性界面活性剤もまた含んでもよい。
【0059】
本発明の硬化型組成物は、着色剤、顔料、可塑剤、硬化加速剤、チキソトロピー試剤、湿気捕集剤、染料、溶媒、酸化防止剤、紫外線安定剤、殺生物剤、などのようなRTCシリコーン含有組成物において汎用的に用いられる他の成分も、硬化された組成物に望ましい特性を妨げない限り、既知の、そして汎用の量で含んでもよい。
【0060】
湿気硬化型シリル化された樹脂(a)、他のポリマー(b)、そしてここで開示された、充填剤、接着促進剤、架橋触媒、およびイオン性界面活性剤のような、含んでもよい成分の量は、広く変えることができ、そして有利には次の表に示される範囲から選ぶことができる。
【0061】
【表1】

【0062】
硬化されたシーリング材組成物は、技術上周知である操作、例えば、溶融ブレンド、押出しブレンド、溶液ブレンド、乾式混合、バンバリーミキサ(Banbury mixer)中でのブレンドなど、を湿気の存在下で行うことによって実質的に均一な混合物を得るのがよい。
【0063】
本発明の好ましい実施態様を詳細に説明し、そして記載したが、例えば、成分、物質、およびパラメータのさまざまな変形は、当業者にとっては明白であろうから、本発明の範囲の中に入る、そのような変形や変更の総てを添付した請求項でカバーすることを意図するものである。

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明に従った、硬化されたシーリング材組成物を含む気体シーリング材要素を有する二重ガラスの断熱ガラスユニット(IGU)の側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの空間関係において、少なくとも二つの、間隔をあけて配置したガラスのシート、もしくは他の機能的に等価な物質のシートと、それらの間にある低い熱伝導率の気体、もしくは気体の混合物と、下記を含有する湿気硬化型シリル化された樹脂含有組成物の硬化から生成する硬化されたシーリング材組成物を含む気体シーリング材要素と、を含有する断熱ガラスユニット:
a)湿気硬化型シリル化された樹脂、これは硬化によって気体に対す
る透過性を示す硬化された樹脂を生成し;そして
b)硬化された樹脂(a)の透過性よりも気体に対するより小さな透
過性を有する、少なくとも一つの他の重合体、および、任意選択で、
c)充填剤、接着促進剤、触媒、界面活性剤、紫外線安定剤、酸化防
止剤、硬化加速剤、チキソトロピー試剤、湿気捕集剤、顔料、染料、
溶媒、および殺生物剤からなる群から選択される少なくとも一つ
の付加成分。
【請求項2】
湿気硬化型シリル化された樹脂(a)が、(i)イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーと活性水素含有有機官能性シランとの反応から得られるシリル化された樹脂;(ii)水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとイソシアナトシランとの反応から得られるシリル化された樹脂;および(iii)ポリオールとイソシアナトシランとの反応から得られるシリル化された重合体、からなる群から選択される少なくとも一つの要素である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項3】
湿気硬化型シリル化された樹脂(a)が、全組成物の約1重量%から約99重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項4】
湿気硬化型シリル化された樹脂(a)が、全組成物の約10重量%から約50重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項5】
湿気硬化型シリル化された樹脂(a)が、全組成物の約20重量%から約30重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項6】
重合体(b)が、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラートのようなポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリフッ化ビニル、ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エチレンクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセタート、セルロースアセタートブチラート、可塑化されたポリ塩化ビニル、アイオノマー、ポリフェニレンスルフィド、スチレン−無水マレイン酸、変性ポリフェニレンオキシド、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、ポリメチルフェニルシロキサン、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項7】
重合体(b)が、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の断熱ガラスユニット
【請求項8】
重合体(b)が、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項9】
重合体(b)が、全組成物の約1重量%から約99重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項10】
重合体(b)が、全組成物の約5重量%から約50重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項11】
重合体(b)が、全組成物の約10重量%から約20重量%までの範囲である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項12】
前記充填剤が、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、コロイド状の炭酸カルシウム、ステアリン酸エステルもしくはステアリン酸の化合物で処理された炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、疎水化処理されたシリカ、親水性シリカゲル、粉砕した石英、粉末にした石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、粘土、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラックそしてグラファイト、雲母、滑石、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項13】
前記充填剤が、モンモリロナイト、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデルライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポーナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケンヤイト、ソボカイト、スビンドルダイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミナートオキシド、ハイドロタルサイト、イライト、レクトライト、タロソバイト、レディカイト、カオリナイト、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項14】
前記充填剤が、少なくとも一つの第三級アミン化合物、RN、および/もしくは第四級アンモニウム化合物、R、で修飾され、式中、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれ独立して炭素原子数が60までのアルキル基、アルケニル基、もしくはアルコキシシラン基であり、そしてXが陰イオンである、請求項13に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項15】
前記充填剤が、アンモニウム、第一級アルキルアンモニウム、第二級アルキルアンモニウム、第三級アルキルアンモニウム、第四級アルキルアンモニウム、脂肪族、芳香族、もしくは芳香族基置換脂肪族のアミン、ホスフィン、もしくはスルフィドのホスホニウム誘導体、または、脂肪族、芳香族、もしくは芳香族基置換脂肪族のアミン、ホスフィン、もしくはスルフィドのスルホニウム誘導体で修飾される、請求項13に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項16】
前記接着促進剤が、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌラート、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、β−シアノエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、n−エチル−3−トリメトキシシリル−2−メチルプロパンアミン、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項17】
前記触媒がスズ触媒である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項18】
前記触媒が、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトアート、イソブチルスズトリセロアート、ジブチルスズオキシド、可溶性ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビス(ジイソオクチルフタラート)、ビス(トリプロポキシシリル)ジオクチルスズ、ジブチルスズビス(アセチルアセトン)、シリル化されたジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリス(ウベラート)、イソブチルスズトリセロアート、ジメチルスズジブチラート、ジメチルスズジ(ネオデカノアート)、トリエチルスズタルタラート、ジブチルスズジベンゾアート、スズオレアート、スズナフテナート、ブチルスズトリ(2−エチルヘキシルヘキソアート)、スズブチラート、ジオルガノスズビス(β−ジケトナート)、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項19】
前記界面活性剤が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシ化されたヒマシ油、オレイン酸エトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、エチオレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、およびシリコーンとポリエーテルとの共重合体、シリコーンと、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体との共重合体、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項20】
前記非イオン性界面活性剤が、エチオレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、シリコーンとポリエーテルとの共重合体、シリコーンと、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体との共重合体、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項21】
前記断熱気体が、空気、二酸化炭素、六フッ化硫黄、窒素、アルゴン、クリプトン、キセノン、および、それらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。


【図1】
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【公表番号】特表2009−525255(P2009−525255A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553286(P2008−553286)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/002385
【国際公開番号】WO2007/089698
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】