説明

気体を分析するための装置および方法ならびに関連測定ステーション

本発明は、分析されるべき気体の濃度を判定するための気体分析装置を備える、半導体基板の輸送容器内の気体の汚染を測定するためのステーションであって、前記分析装置が、希釈係数(D)によって分析されるべき気体の流れ(Q)を希釈するように構成された希釈ユニット(3)と、ポンピングによって希釈された気体の流れ(Qa)をサンプリングするためにサンプリングパイプ(7)を介して希釈ユニット(3)と連通しており、サンプリングされた希釈された気体の流れ(Qa)を分析し、前記分析された希釈された気体の流れ(Qa)および希釈係数(D)によって分析されるべき気体の流れ(Q)の濃度(C)を判定するための少なくとも1つの処理手段を備える分析ユニット(5)とを備える、気体の汚染を測定するためのステーションに関する。本発明はさらに、関連する気体分析方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を分析するための装置および方法に関する。本発明はまた、関連測定ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
知られている気体分析装置は、例えば、半導体基板の搬送および大気中保管のための輸送容器の出口において、またはさらに1「ppb」(十億分率)程度の微量の気体の存在を検出するためのフィルタの入口もしくは出口において、分析されるべき特定の気体の流れをサンプリングする。
【0003】
知られているやり方では、分析装置は、サンプリングされた気体の流れを分析ユニットまたは分析器に搬送するためのサンプリングポンプを備える。
【0004】
これらの分析装置は、その動作範囲および不確実性が、使用される分析技術によってならびに校正手段によって決められる。さらに、これらの分析装置は、分析されるべき気体のそれぞれの範囲の濃度に関してしか正しく機能しない。したがって、各分析装置の最適動作範囲は、分析されるべき気体の性質に応じて変わる。
【0005】
これは、所望の測定範囲に応じていくつかの分析装置を必要とするという欠点を有する。この欠点からコストの問題および全体の大きさの問題が生じる。さらに、これは、分析装置の選択を最適化するために気体の濃度範囲を非常に正確に知ることを必要とする。
【0006】
さらに、所与の範囲の濃度では、分析装置は、一般に、1つまたは複数のマルチウェイバルブを介してマルチプレックスすることによって、様々な気体の流れを分析することができる。例えば、分析装置は、第1の気体の流れの濃度が第2の気体の流れの濃度より高い、第1の気体の流れおよび第2の気体の流れの分析を実行することができる。
【0007】
しかし、分析ユニットが最初により高い濃度の第1の気体の流れを受け取った場合は、分析ユニットおよびサンプリングポンプは、例えば、分析されるべき気体の流れを汚染することになる、ポンプ内の詰まりまたはポンプ内に蓄積された化合物の脱気のために、汚染される可能性がある。この汚染は、分析の品質の低下を引き起こす可能性がある。
【0008】
さらに、第2の気体の流れの分析を実行する前に残留気体を除去するために、比較的長い応答時間が必要である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、拡大された動作範囲および縮小された応答時間を有し、様々な範囲の濃度を有する気体の分析によるその汚染の問題が低減される、最適化された性能を有する気体分析装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、分析されるべき気体の濃度を判定するための気体分析装置を備えた、半導体基板用の輸送容器内の気体の汚染を測定するためのステーションであって、前記分析装置が、
− 希釈係数によって分析されるべき気体の流れを希釈するように構成された希釈ユニットと、
− ポンピングによって希釈された気体の流れをサンプリングするためにサンプリングパイプを介して希釈ユニットと連通しており、
サンプリングされた希釈された気体の流れを分析し、
前記分析された希釈された気体の流れおよび希釈係数から、分析されるべき気体の流れの濃度を判定する
ための少なくとも1つの処理手段を備える分析ユニット(5)と
を備える、気体の汚染を測定するためのステーションに関する。
【0011】
分析されるべき気体の流れの希釈を多様にすることによって一定の流れおよび比較的低い濃度が分析ユニットのレベルにおいて維持され、これは、様々な範囲の濃度を有するいくつかの気体のために同じ分析ユニットを使用することを可能にする。
【0012】
さらに、純粋の希釈されていない気体の流れを分析する装置に比べてサンプリングパイプ内の残留気体を除去するために必要な待ち時間が短いので、ユニットの応答時間の改善が観察される。
【0013】
そのような分析装置は、さらに、そこを通過する気体の流れが常に希釈されているので、分析ユニットおよびサンプリングパイプの汚染のリスクを低減することを可能にする。
【0014】
半導体基板用の輸送容器の気体の汚染を測定するためのステーションは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、別々にまたは組み合わせて、さらに備えることができる気体分析装置を備える:
− 分析ユニットが、1ppb(十億分率)程度の濃度を測定する気体分析器を備えること。
− 希釈ユニットが、前記パイプに関してブランチとして接続されていること。
− 希釈ユニットが、前記パイプに関してブランチとして接続されている複数の希釈チャンネルを備え、各希釈チャンネルがそれぞれ希釈係数に関連付けられていること。
− 各稀釈チャンネルが、
分析されるべき前記気体の流れを希釈するために中性気体の流れを前記パイプに注入する手段と、
希釈された気体の流れをポンピングして、それを前記パイプ内の一定の流れを維持するようなやり方で前記パイプから抽出する手段と
を有すること。
− 各希釈チャンネルがそれぞれ分析されるべき気体の流れの希釈に関連すること。
− 少なくとも2つの希釈チャンネルが分析されるべき気体の流れの希釈のために結合されること。
− 前記分析装置が、一方では、フィルタの入口において気体の流れを分析し、他方では、フィルタの出口において気体の流れを分析するように構成されること。
【0015】
本発明はまた、以下のステップを備える、分析されるべき気体の濃度を判定するための気体分析方法に関する:
− 希釈係数が判定されるステップ。
− 分析されるべき気体の流れを希釈するようなやり方で、予め決められた中性気体の流れが注入され、希釈された気体の流れがポンピングされるステップ。
− 希釈された気体の流れがポンピングによってサンプリングされるステップ。
− サンプリングされた希釈された気体の流れが分析されるステップ。
− 分析されるべき気体の流れの濃度が、前記分析された希釈された気体の流れおよび希釈係数から判定されるステップ。
【0016】
前記分析方法は、希釈係数が、分析されるべき気体の濃度の範囲の濃度の最大値の関数として判定される準備ステップを備えることができる。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照することによって、本来、例としてであって限定としてではなく提供される、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態による気体分析装置を示す図である。
【図2】第2の実施形態による気体分析装置を示す図である。
【図3】第3の実施形態による気体分析装置を示す図である。
【図4】気体を分析するための方法の様々なステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの図では、事実上同一の要素は、同じ参照符号を有する。
【0020】
図1は、分析されるべき気体、例えば5000ppb程度の濃度を有するアンモニア気体の濃度を判定するための分析装置1を示す。より正確には、気体混合物では、そのような分析装置1は、低い比率でも、気体の流れQから所与の気体の濃度を判定することができる。気体の流れQの値は、以下の等式(1)によって確認される。
(1) Q=S*P(ここで、Q=気体の流れ、S=ポンピング速度、P=圧力)。
【0021】
例として、分析装置1は、0から50ppbの動作範囲を有する分析ユニット5を備える。したがって、例えばアンモニア気体の分析は、気体が少なくとも100倍で希釈されることを必要とする。
【0022】
これを実行するために、分析装置1は、サンプリングパイプ7を介して分析装置5と連通する、希釈係数Dによって分析されるべき気体の流れQを希釈するためのユニット3を備える。
【0023】
分析のための希釈された気体の流れQaをサンプリングするために、図示されていないポンプが提供され、このポンプはパイプ7に接続されていてもよく、分析ユニット5と統合されていてもよく、分析ユニット5の上流または下流に配置されていてもよい。分析のためのサンプリングされた希釈された気体の流れQaは、分析ユニット5によって課される。
【0024】
分析ユニット5は、少なくとも以下のことのための処理手段を備える:
− サンプリングされた希釈された気体の流れQaを分析すること、および
− 分析された希釈された気体の流れQaおよび希釈係数Dから、分析されるべき気体の流れQの濃度を判定すること。
【0025】
例えば、分析ユニット5は、サンプリングされた希釈された気体の流れQaの濃度Cm(図4)を測定するための気体分析器(図示せず)を備える。
【0026】
リアルタイムで、すなわち、非常に短い時間で、および(1ppb程度の)微量状態の非常に低いレベルの気体汚染を検出するのに十分に敏感なやり方で、分析を実行するために、1つの可能性は、イオンの移動度が、例えば、IMS(イオン移動度分光計)計測原理によって、またはIAMS(イオン付着質量分析装置)技術によって測定される、気体分析器を使用することである。
【0027】
さらに、分析ユニット5は、サンプリングされた希釈された気体の流れQaの測定された濃度Cmに希釈係数Dを乗ずることによって、分析されるべき気体の流れQの濃度Cを計算するための手段(図示せず)を備える。
【0028】
この希釈係数Dは、分析ユニット5によって分析されたサンプリングされた希釈された気体の流れQaが分析ユニット5の動作範囲に対応するように判定される。これを実行するために、有することが可能である分析されるべき気体の濃度の範囲の最大濃度値が判定され、希釈係数Dがこの値によって決められる。
【0029】
したがって、希釈係数Dは、分析されるべき気体の濃度の範囲ごとに適応されることが可能であることが理解される。したがって、様々な範囲の濃度を有する分析されるべきいくつかの気体では、希釈は、1つの同じ分析ユニットが使用されることが可能であるようなやり方で、様々である。
【0030】
さらに、希釈された気体しか分析ユニット5のポンプおよび分析ユニット5を通過せず、これは分析ユニットの測定品質を低下させるリスクを低減する。さらに、比較的低い濃度値がこの分析ユニット5内で維持されるので、希釈は、分析ユニット5の重大な汚染を回避することを可能にする。
【0031】
図1から3を参照すると、希釈ユニット3は、パイプ7に関してブランチ接続された1つまたは複数の希釈チャンネル9を有することができる。これらの希釈チャンネル9は、図1から3に破線で描かれたボックス内に示されている。
【0032】
図1に示されている例では、希釈ユニット3は、単一の希釈チャンネル9を備える。この希釈チャンネル9は、パイプ7に接続されている2つのブランチを備える。
【0033】
第1のブランチは、分析されるべき気体の流れQを希釈するために中性気体の流れQiをパイプ7に注入する手段11を有する。用語「中性気体」は、ここでは、窒素などの不活性気体であると解釈される。注入された中性気体の流れQiの値は、装置がセットアップされている設置環境から利用可能な流れによって限定される。中性気体の流れQiの値は、動作コストおよび設置環境の大きさを考慮しながらできるだけ大きいように判断して選択される。さらに、分析器の近くに注入される流れが多すぎると、分析器は妨害される。
【0034】
第2のブランチは、分析されるべき気体の流れQをパイプ7から排出することを可能にするポンピング手段13を有する。分析されるべき気体の流れQの値は、等式(2)によって希釈係数Dおよび中性気体の流れQiから得られる。
【数1】

【0035】
一方、ポンピング手段13は、パイプ7内で一定の流れを維持するようなやり方で、パイプ7から希釈された気体の流れQpを抽出することを可能にする。
【0036】
次いで、ポンピングされた希釈された気体の流れQpが等式(3)を使用して計算される。
(3)Q=−(Qi+Qp+Qa)
【0037】
例として、4.5slmの注入された中性気体の流れQi(slm=「標準リットル/分」、すなわちL.min−1、1slm=1.6883Pa.M.s−1の流れ)、−4.5slmのポンピングされた希釈された気体の流れQp、および0.5slmの分析されるべきサンプリングされた気体の流れQaでは、分析されるべき気体の流れQは、等式(3)によって0.5slmに等しい。
【0038】
希釈係数Dに関しては、これは等式(2)によって10に等しい。
【0039】
分析装置1は、注入された中性気体の流れQi、ポンピングされた希釈された気体の流れQp、および分析のためにサンプリングされた希釈された気体の流れQaをそれぞれ調整することを可能にする流量計15をさらに備えることができる。
【0040】
これらの様々な流れを制御し変更するための制御手段(図示せず)によって、これらの流量計15の自動制御を提供することが可能である。
【0041】
変形形態として、これらの流れは、マイクロリークによって判定されることが可能である。
【0042】
図2は、希釈ユニット3が、分析装置1の第1のブランチ1a上に第1の希釈チャンネル9aを備え、分析装置1の第2のブランチ1b上に第2の希釈チャンネル9bを備え、これら2つの希釈チャンネル9aおよび9bがパイプ7に関してブランチ接続されている、第2の実施形態を示す。
【0043】
図2に見られるように、これら2つのブランチ1aおよび1bは、平行して接続されており、分析されるべき気体の流れQ1またはQ2の導入のために共通点Aから始まり、分析ユニット5の入口における共通点において再度相互に結合する。
【0044】
この目的のために、分析装置1は:
− 実行されるべき分析によって、分析されるべき気体の流れQ1またはQ2を対応するブランチに送り込むための第1のマルチウェイバルブ17a、および
− 実行されるべき分析によって、第1のブランチ1aまたは第2のブランチ1bから、分析されるべき希釈された気体の流れQa1およびQa2をサンプリングすることを可能にする第2のマルチウェイバルブ17b、を備える。
【0045】
各希釈チャンネル9a、9bは、それぞれ第1の関連希釈係数D1および第2の関連希釈係数D2によって、分析されるべき気体の流れを希釈するように構成されることが可能である。この場合、分析されるべき気体ごとに、関連する希釈チャンネル9aまたは9bが使用され、同じ分析ユニット5が使用される。したがって、分析されるべき気体の流れQの濃度を判定するために、使用される希釈チャンネル9aまたは9bに関連付けられた希釈係数D1またはD2が考慮される。
【0046】
例として、分析ユニット5は、Qa=0.3slmの分析されるべき希釈された流れを課す。
【0047】
第1の希釈チャンネル9aが、分析されるべき気体の第1の範囲の濃度に関連付けられているときは、第1の希釈係数D1は、この範囲の濃度の最大濃度に基づいて判定され、例えばD1=10である。
【0048】
希釈のために注入されるべき中性気体の流れQi1が課され、例えばQi1=2.7slmである。
【0049】
流れQ1の値は、第1の希釈係数D1および中性気体の流れQi1から得られ(等式(2))、この例では、Q1=0.3slmである。
【0050】
次いで、気体の流れQ1を希釈するためにポンピングされるべき希釈された流れの値Qp1が計算され(等式(3))、この例では、Qp1=−2.7slmである。
【0051】
希釈されたサンプリングされた気体の流れQa1が分析された後は、分析されるべき気体の流れQ1の濃度は、第1の希釈係数D1から判定される。
【0052】
同様に、第2の希釈チャンネル9bが第2の範囲の濃度に関連付けられているときは、第2の希釈係数D2は、この範囲の濃度の最大濃度から判定され、例えばD2=20である。
【0053】
希釈のために注入されるべき中性気体の流れQi2が課され、例えばQi2=5.4slmである。
【0054】
流れQ2の値は、第2の希釈係数D2および中性気体の流れQi2から得られ(等式(2))、この例では、Q2=0.3slmである。
【0055】
次いで、気体の流れQ2を希釈するためにポンピングされるべき希釈された流れQp2の値が計算され(等式(3))、この例では、Qp2=−5.4slmである。
【0056】
希釈されたサンプリングされた気体の流れQa2が分析された後は、分析されるべき気体Q2の濃度は、第2の希釈係数D2から判定される。
【0057】
変形形態として、分析されるべき気体ごとに、より正確には濃度の範囲ごとに、1つまたは複数の希釈チャンネルに関連付けられるように提供することが可能である。
【0058】
図3に示されている第3の実施形態によれば、所与の範囲の気体濃度では、
パイプ7に関してブランチ接続されている希釈チャンネルのすべて、例えば第1の希釈チャンネル9aおよび第2の希釈チャンネル9bを結合することが可能である。この場合、希釈チャンネルは、共通のブランチ、この場合は分析装置1のブランチ1b上で、連続して接続される。
【0059】
さらに、分析されるべき気体の流れQが希釈されてはならないときは、分析装置1は、分析されるべき気体の流れQのための希釈チャンネルを有しないバイパスブランチ1aを備える。
【0060】
例えば、気体の濃度の範囲が知られていない場合は、希釈チャンネル9aおよび9bは2つとも最初から結合され、希釈された気体のサンプリングされた流れQaの濃度Cmが低すぎるので判定されることが不可能な場合は、気体の流れQは、希釈チャンネルを備えないバイパスブランチに送り込まれる。
【0061】
この場合、第1のバルブ17aは、気体の流れQまたはQ’を対応するブランチ1aまたは1bに分配することを可能にし、第2のバルブ17bは、分析のために流れQ’または希釈された流れQaをサンプリングすることを可能にする。
【0062】
いくつかの希釈チャンネルが連続して使用されるときは、全希釈係数Dは、等式(3)によって、使用される各希釈チャンネルの希釈係数の積に等しいと判定される。
【数2】

【0063】
例えば、分析されるべき気体の第3の範囲の濃度では、分析されるべき気体Qを希釈するために両方の希釈チャンネル9aおよび9bを結合することが可能である。この場合、等式(4)によって、全希釈係数Dは、第1の希釈係数D1と第2の希釈係数D2の積である。
【0064】
さらに、この第3の実施形態によれば、様々な希釈係数は等しい(等式5)。
(5)Di=Dj(すべての値i、jに関して)
【0065】
結果として、等式(6)によって、全希釈係数Dから希釈係数Diの値を判定することが可能である。
(6)Di=√D(n=希釈チャンネルの数)
【0066】
したがって、等式(5)および(6)によって、図3に示されている例では、D1=D2=√Dである。
【0067】
したがって、そのような分析装置は、一方では、フィルタの入口における気体の流れを分析し、他方では、フィルタの出口における気体の流れを分析するように構成される。実際、気体の濃度がフィルタの入口および出口において異なり、入口濃度が出口濃度よりずっと低くても、同じ分析装置が両方の測定を提供することができる。
【0068】
代替形態として、そのような分析装置は、半導体基板の搬送および大気中保管のための輸送容器に入っている気体を分析するように構成されることが可能である。分析装置は、例えば、容器の汚染を測定するためのステーションの一部でよく、測定のためにそのような容器と結合される。
【0069】
実際、半導体または電気機械マイクロシステム(MEMS)を製造するためのプロセスにおいては、ウェハなどの基板およびマスクは、通常、プロセスの段階間で、FOUP(フロントオープニングユニファイドポッド)タイプの横の開口部、またはSMIF(スタンダードメカニカルインターフェース)タイプの底部の開口部を有する標準化された輸送および/または保管容器に入れて輸送および/または保管される。
【0070】
これらの輸送および/または保管容器は、空気または窒素の大気圧にある。
【0071】
容器に入っている気体は、基板またはさらに容器そのものの気体の汚染をモニタリングするための分析装置を備える、例えば半導体製造装置のための制御ステーションまたはさらに入口/出口室を形成するためにクリーンルームに配置された測定ステーションによって、分析されることが可能である。
【0072】
したがって、前述の分析装置は、分析されるべき気体の濃度を判定するために気体を分析するための方法を使用する(図4)。
【0073】
この分析方法は、1つまたは複数の希釈チャンネルの希釈係数Dが、分析されるべき気体の流れQの濃度の範囲の最大濃度値の関数として判定される準備ステップ100を備えることができる。分析されるべき気体の流れQは、この希釈係数Dおよび注入されるべき中性気体の流れQiから判定される(等式(2))。
【0074】
次いで、ステップ110中に、分析されるべき気体の流れQが希釈係数Dによって希釈される。これを行うために、ステップ112において、予め決められた中性気体の流れQiが注入され、ステップ114において、希釈された気体の流れQpが事実上一定の圧力を維持するためにポンピングされる。ポンピングされた希釈された気体の流れQpは、等式(3)から計算される。
【0075】
次いで、ステップ120において、分析装置5によって課された希釈された気体の流れQaが、ポンピングによってサンプリングされ、次いで、ステップ130において、サンプリングされた希釈された気体の流れQaが、例えばサンプリングされた希釈された気体の流れQaの濃度Cmを測定することによって分析され、その後で、ステップ140において、分析された希釈された気体の流れQaおよび希釈係数Dから、例えば測定された濃度Cmに希釈係数Dを乗ずることによって、分析されるべき気体Qの濃度Cを判定する。
【0076】
したがって、希釈ユニットを有するそのような分析装置は、様々な範囲の濃度を有する複数の気体を分析することを可能にすることが理解される。さらに、分析されるべき気体の希釈は、汚染のリスクを防止し、分析ユニットの応答時間を低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析されるべき気体の濃度を判定するための気体分析装置を備える、半導体基板用の輸送容器内の気体の汚染を測定するためのステーションであって、前記分析装置が、
希釈係数(D)によって分析されるべき気体の流れ(Q)を希釈するように構成された希釈ユニット(3)と、
ポンピングによって希釈された気体の流れ(Qa)をサンプリングするためにサンプリングパイプ(7)を介して希釈ユニット(3)と連通しており、
サンプリングされた希釈された気体の流れ(Qa)を分析し、
前記分析された希釈された気体の流れ(Qa)および希釈係数(D)から分析されるべき気体の流れ(Q)の濃度(C)を判定する
ための少なくとも1つの処理手段を備える分析ユニット(5)と
を備える、気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項2】
希釈ユニット(3)が前記パイプ(7)に関してブランチとして接続される、請求項1に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項3】
希釈ユニット(3)が、前記パイプ(7)に関してブランチとして接続された複数の希釈チャンネル(9a、9b)を備え、各希釈チャンネル(9a、9b)がそれぞれ希釈係数(D1、D2)に関連付けられる、請求項1または2に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項4】
各希釈チャンネルが、
分析されるべき前記気体の流れ(Q)を希釈するために中性気体の流れ(Qi)を前記パイプ(7)に注入する手段(11)と、
前記パイプ(7)において一定の流れを維持するようなやり方で、希釈された気体の流れ(Qp)を前記パイプ(7)から抽出するために希釈された気体の流れ(Qp)をポンピングする手段(13)と
を有する、請求項3に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項5】
各希釈チャンネル(9a、9b)が、それぞれ分析されるべき気体の流れの希釈に関連する、請求項3または4に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項6】
少なくとも2つの希釈チャンネル(9a、9b)が分析されるべき気体の流れの希釈のために結合される、請求項3から5のいずれか一項に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項7】
一方では、フィルタの入口において気体の流れを分析し、他方では、フィルタの出口において気体の流れを分析するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の気体の汚染を測定するためのステーション。
【請求項8】
分析されるべき気体の濃度を判定するための気体分析方法であって、
希釈係数(D)が判定されるステップと、
分析されるべき気体の流れ(Q)を希釈するようなやり方で、予め決められた中性気体の流れ(Qi)が注入され、希釈された気体の流れ(Qp)がポンピングされるステップと、
分析されるべき希釈された気体の流れ(Qa)がポンピングによってサンプリングされるステップと
サンプリングされた希釈された気体の流れ(Qa)が分析されるステップと、
分析されるべき気体の流れ(Q)の濃度(C)が前記分析された希釈された気体の流れ(Qa)および希釈係数(D)から判定されるステップと
を備える、気体分析方法。
【請求項9】
希釈係数(D)が分析されるべき気体の濃度の範囲の濃度の最大値の関数として判定される準備ステップを備える、請求項8に記載の気体分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−529639(P2012−529639A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514485(P2012−514485)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058251
【国際公開番号】WO2010/142792
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511148259)
【Fターム(参考)】