説明

気体センサとこれを用いた気体センシング装置

【課題】真空計に使用できる気体センサとこれを用いた真空計測装置を提供する。
【解決手段】周囲気体の流れを遮断したチャンバ内に設置した半導体の基板1を用い、この基板1から熱分離した薄膜4a上に薄膜のヒータ6と温度センサを個別に設け、薄膜のヒータ6から距離を隔てた位置に空隙300を挟んで、基板1から熱分離した薄膜4b上に温度センサとを、集積化させ、薄膜4aの温度センサTSaと薄膜4bの温度センサTSbの出力を利用して、周囲気体の気圧もしくはその成分を計測する気体センサと、周囲気体の気圧もしくはその成分、及び、温度を算出する計測手段とを備えた計測装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲気体の流れを遮断したチャンバ内に設置し、基板から熱分離した薄膜に、形成したヒータと温度センサとを個別に備え、温度計測、温度制御を高感度かつ高精度で実現する気体センサと、これを用いて、チャンバ内の真空度や気体の成分の分析が出来るようにした気体センシング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体センサを熱伝導型の真空センサとして使用する従来の真空センサには、ピラニー真空計と熱電対真空計がある。ピラニー真空計では、ヒータである金属細線(以下細線ヒータ)に電流を流すと発熱し、その熱は気体分子の熱伝導や細線ヒータを伝わる固体伝導、輻射によって放熱され、気体分子が奪う熱量が圧力に依存することを利用している。この気体センサは、金属円筒の内部に金属細線ヒータを張り、細線ヒータの温度を一定に保つために、細線ヒータに流す電流を制御する。気体分子が奪う熱量で細線ヒータに流れる電流が変化し、この変化量を利用して圧力を表示する。
【0003】
また、熱電対真空計においては、細線ヒータと熱電対が熱的に分離した気体センサと、細線ヒータと熱電対が密着した気体センサがある。細線ヒータと熱電対が熱的に分離した気体センサは、周囲気体分子の熱伝導を利用し、細線ヒータに一定の電流を流し、熱的に分離した細線ヒータと熱電対間の熱伝導が圧力に対して依存することを利用した気体センサである。この細線ヒータと熱電対が熱的に分離した気体センサの装置は、熱電対の起電力を利用して圧力を表示した装置である。
【0004】
一方、細線ヒータと熱電対が密着した気体センサは、細線ヒータから気体分子が奪う熱量を利用し、熱電対が密着した細線ヒータに一定の電流を流し、圧力に対して熱電対の起電力が依存することを利用した気体センサであり、熱電対の起電力を利用して圧力を表示した装置である。
【0005】
ピラニー真空装置においては、金属の抵抗値が温度に対してほぼ比例して増加することを利用するので、抵抗値の変化を検出する回路は、交流ブリッジ回路或は、直流ブリッジ回路が用いられ、細線ヒータの所要の温度を一定に保つために、負帰還回路で、細線ヒータに流す電流を制御して、抵抗値が一定値になるように制御している。ブリッジ回路の出力を圧力に換算し表示している。
熱電対真空装置においては、細線ヒータと熱電対が熱的に分離した真空センサと、細線ヒータと熱電対が密着した真空センサがあるが、両真空センサ共に、細線ヒータに定電流回路で所要の一定電流を流し、気体分子が奪う熱量が圧力に対して依存した温度変化を熱電対で検知し、その起電力を電圧変換し、圧力に換算し表示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属円筒の内部に細線ヒータを張った真空センサは、細線ヒータである金属の小さな抵抗温度係数を利用するので、温度変化に対する出力変化が小さく、感度が小さい。また、細線ヒータと熱電対が一定の距離をおいて配置した真空センサは、細線ヒータと熱電対を均一に接近させているので熱輻射も寄与し、精度が劣り、気体の熱伝導を主に利用したいが、細線ヒータの表面積は小さいので、温度変化が小さく感度が劣る。細線ヒータと熱電対が接着した真空センサは、細線ヒータの接触している表面積が小さく、細線ヒータの一部に熱電対を接着し、固体熱伝導をも利用するので細線ヒータ全体の温度変化の一点を熱電対で検出するので感度が劣る。細線ヒータの部材には主に、白金あるいはタングステンの細線ヒータが用いられ、所要の抵抗値を得るのに細線ヒータを直線、あるいは蛇行させて配置し、所要の温度を得ているので形状が大きくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために本発明の請求項1に係わる気体センサのセンサチップを図1に示した。基板1から熱分離した2個の薄膜(4a,4b)を空隙300を介して対向させる構造とした。薄膜4aにはヒータ6とこのヒータの近傍に温度センサTSaを個別に設けている。薄膜4aと対向している薄膜4bには測定用の温度センサTSbが設置してある。薄膜4a上のヒータ6によって上げられた温度を温度センサTSaで測定し、一定の温度に制御する。この熱が空隙300を介して熱伝導により薄膜4bに伝えられ、この温度を温度センサTSbで測定して、空隙を満たしている気体の種類や密度の情報を得る構造とした。周囲気体の流れを遮断したチャンバ内に設置して、基板から熱分離した薄膜にヒータと薄膜状の温度センサを、個別に形成した。
【0008】
また、請求項2に係わるセンシングデバイスとしては、熱伝導型の温度センサであり、前記の薄膜4a,薄膜4bとこれらの間の空隙300との関係では、薄膜4aのヒータ6は所要の温度に設定し、温度センサTSaでヒータ6の温度を測定と同時に、負帰還の回路により、所要の温度で一定に制御する。この熱が空隙300の幅を薄膜4aと薄膜4bの幅のいずれよりも小さくすることにより、熱が空隙300を介しての熱伝達がよくなり、薄膜4bに伝えられる。この温度を温度センサTSbで測定して、空隙を満たしている気体の種類や密度の情報を得る構造とした。消費電力が小さく高速応答、小型でより高感度の真空センサを可能にした。そして、これを用いた気体センシング装置を提供することができるようにした。
【0009】
また、請求項3に係わるセンシングデバイスとしては、請求項1と請求項2の気体センサのおいて、温度センサTSaと温度センサTSbとの出力を利用して、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測できるようにした気体センサおいて、周囲気体温度の変化により、温度センサTSaと温度センサTSbの温度出力に影響を与える。これを小さくするために周囲気体温度Tcを検出する温度センサTScを、基板1に設けた。これにより、温度センサTSaと温度センサTSbの温度出力に補正を行うことで影響を小さくした。これにより、消費電力が小さく高速応答、小型でより高感度と高精度の真空センサを可能にした。また、これを用いた気体センシング装置を提供することができるようにした。
【0010】
また、請求項4に係わるセンシングデバイスとしては、請求項1から請求項3の気体センサのおいて、温度センサTSaおよび温度センサTSb、温度センサTScをバイポーラトランジスタもしくは半導体ダイオードとし、半導体ダイオードの主に順方向特性を一定電圧駆動を行い、温度に対する電流変化を電圧変換後、温度に換算する。半導体ダイオードを一定電圧駆動するので電流変化が温度変化に対して大きい変化する。バイポーラトランジスタはベース、エミッタのダイオード特性を使用することにより、半導体ダイオードと同等の特性を得ることができる。これにより、消費電力が小さく高速応答、小型でより高感度と高精度の真空センサを可能にした。また、これを用いた気体センシング装置を提供することができるようにした。
【0011】
また、請求項5に係わる気体センシング装置としては、請求項1から請求項4のいずれかに記載の気体センサを使用して、温度センサTSaと温度センサTSb、温度センサTScの温度を信号増幅回路、駆動電源回路で制御出力し、この温度信号を、演算回路、メモリ回路、表示部で信号処理を行い、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測できるようにした。これにより、高速応答で、小型でより高感度と高精度の気体センシング装置を提供することができるようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。それぞれの基板から熱分離された薄膜4aと薄膜4bが、互いに空隙と周囲気体を介して、面として熱伝達を行うために、感度が上がるようにできる。さらに、小型で固体熱伝導や輻射による放熱量が少なくできるので、消費電力が小さく高速応答、小型で高感度の真空センサを可能にした。ヒータと温度センサを個別に形成することによりそれぞれの最良なものを使うことが可能であり、また、互いの影響がないように性能を上げて測定できる。
基板から熱分離した薄膜4aと薄膜4b、空隙300に薄膜のヒータ6と温度センサが集中して集積化されているので、薄膜のヒータ6の熱容量が小さくてすみ、低消費電力で、小型の気体センサを用いた計測装置が形成できる。また、薄膜を4aと薄膜4bに分割したので、ヒータからの熱が、周囲気体を通じてのみ熱伝達されるから高感度の真空センサ等の熱型の気体センサが提供できる。周囲気体の温度を検出する温度センサを設けているので周囲温度の影響を補正でき、より精度の高い計測装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記の目的を達成する為に本発明の請求項1に係わる気体センサは、周囲気体の流れを遮断したチャンバ内に設置した基板1と、この基板1から熱分離した2個の薄膜4a、薄膜4bを空隙300を介して配置し、一方の薄膜4aには、少なくとも1個のヒータ6とこのヒータ6の場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaとを個別に設けてあり、他方の薄膜4bには、温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、薄膜4bに接する周囲気体の熱伝導により、場所Bの温度が上昇するように構成し、温度センサTSaと温度センサTSbとの出力を利用して、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測するようにしたものと、周囲気体の流れを遮断した円筒または、多角形筒の中に気体センサを配置し周囲気体の気圧もしくはその成分を周囲気体の流れに影響されないで計測するようにしたものもある。また、周囲気体の流れを遮断した円筒または、多角形筒に気体センサ検知面上に周囲気体雰囲気と同じになるように小さな穴をあけ、高感度で計測するようにしたものもある。
【0014】
本発明の請求項2に係わる気体センサは、請求項1において薄膜4aの場所Aの温度センサTSaから、距離を隔てた空隙300の幅を、薄膜4aと薄膜4bの幅のいずれよりも小さくなるようにしたものであり、薄膜4aと薄膜4bが近接するから被測定周囲気体を通して薄膜4aから薄膜4bに熱伝達しやすいので高感度である。
【0015】
本発明の請求項3に係わる気体センサは請求項1と請求項2において周囲気体の温度Tcを検出する温度センサTScを、基板1に設けた場合で、計測により周囲気体の温度Tcよりも所定の温度を数十度温度が高くなるようにヒータを制御するとよい。
【0016】
本発明の請求項4に係わる気体センサは、請求項1から請求項3の気体センサの構造において、そこに用いる温度センサとして高感度、高精度であり、かつ単純で集積可能な温度センサとして、バイポーラトランジスタもしくは半導体ダイオードとした場合である。
【0017】
本発明の請求項5に係わる気体センシング装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の気体センサと、該気体センサの温度センサTSaと温度センサTSbとの出力を利用し、信号増幅回路、演算回路、メモリ回路、駆動電源回路、表示部を必要に応じて設け、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測できるようにした気体センシング装置である。
【発明の実施の形態】
【0018】
以下、本発明の気体センサとこれを用いた気体センシング装置の実施例について図面を参照して詳しく説明する。
図1の(a)は気体センサの気体センシング部であるセンサチップの平面概略図で、図1の(b)は図1の(a)におけるX−X‘から見た断面形状図で、図2は気体センサを含めた気体センシング装置の系統図を示す。
【実施例1】
【0019】
図1の(a)は気体センサの気体センシング部であるセンサチップの平面概略図で、図1の(b)は図1の(a)におけるX−X‘から見た断面形状図で、図2は気体センサを含めた気体センシング装置の系統図を示す。
このセンサチップはシリコンSOI基板である基板1を用いた場合の実施例で下地基板2には空洞3が形成されてあり、空洞3の上部には、基板1から熱分離するのに、溝40を設け、このためために残された薄膜4a、薄膜4bは、4箇所にある梁5aで支えられた薄膜4aと、空隙300を介して3箇所にある梁5bで支えられた薄膜4bで形成されてあり、この薄膜4a、薄膜4bとこれらの梁5a、梁5bはSOI基板のBOX層10と単結晶シリコン薄膜20とを主構成材料としている。このため薄膜4a、薄膜4bは、宙に浮いた構造で、基板から熱分離された構造になっている。
【0020】
また、単結晶シリコン薄膜20はp型層210の場合であり、ここにn型の不純物拡散により形成したn型層220を薄膜のヒータ6として利用できるようにしている。このn型層220の薄膜のヒータ6は、周囲のp型層210に対して異なる導電型なので、これらの間にpn接合が形成されており、このヒータ6を周囲のp型層210から電気的に絶縁分離されている構造である。従って、ヒータ電極140に電流を流した時、ヒータ6だけに電流が流れるようにすることができ、ヒータ6だけをジュール加熱できる。
【0021】
また、薄膜のヒータ6と同時にn型層220が、薄膜4a、薄膜4bに形成さたpn接合ダイオードが存在し、場所Aにあるヒータ6の温度Taを検出する温度センサTSaとし、場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとして用いている。また、周囲気体の温度Tcを検出する温度センサTScも薄膜のヒータ6と同時に形成されたn型層220領域が存在し、pn接合ダイオードが形成されている。
【0022】
また、配線150やpn接合ダイオードのp型電極120とpn接合ダイオードのn型電極130に電流を印加するので、配線150やpn接合ダイオードのp型電極120とpn接合ダイオードのn型電極130と単結晶シリコン薄膜20の間にシリコン酸化膜51を形成して絶縁している。
【0023】
上述では、pn接合ダイオード7aを温度センサTSa、pn接合ダイオード7bを温度センサTSb、pn接合ダイオード7cを温度センサTScとして、pn接合ダイオードを用いた場合であるが、これをバイポーラトランジスタのベースとエミッタのpn接合を用いてもよい。また、温度係数を持つ素子を用いてもよい。
【0024】
図1のa、図1のbに示すセンサチップは、単結晶シリコンの公知の半導体微細加工技術、異法性エッチング技術を用いて形成でき、不純物拡散工程、熱酸化工程などを用いことで、配線150やpn接合ダイオードのp型電極120、pn接合ダイオードのn型電極130の形成なども既成技術で容易に形成できる。また、電極などの金属化は基板1にある空洞3の形成時に用いる異方性エッチングであるアルカリエッチング溶液に対して耐性のある金属を用いるのがよい。しかし、アルミニウムなどの耐性の無い金属を使用するときは、アルミニウムとシリコンの合金として、耐性を持たせるか、または、その上に保護膜を形成しておいてから異法性エッチングを行う必要がある。ここでは、シリコン酸化膜52を用いている。
【0025】
次にヒータ6で熱せられた薄膜4aと、場所Aのpn接合ダイオード7aからなる温度センサTSaの温度Taと、場所Aから離れ、空隙300を介して、薄膜4bの場所Bが、空隙300の熱伝導により熱せられた薄膜4bの場所Bのpn接合ダイオード7bからなる温度センサTSbの温度Tbによる周囲気体の気圧計測、及び装置について説明する。
【0026】
基板1であるシリコンSOI基板のSOI薄膜部分の薄膜4a、4b(単結晶シリコン薄膜20を含む)の厚みを6μm、溝40で囲まれた薄膜の大きさは(薄膜4a、4b合わせた)400μm×1500μm、BOX層10の厚みを1μmとし、n型層220の形成のためn型の不純物拡散をした場合、不純物拡散温度やその時間にも依るが、薄膜のヒータ6の抵抗値はほぼ60Ωであった。ヒータ電極140に直流電流を数十mA流した時200℃以上に温度上昇した。ヒータ6は基板1から熱分離した薄膜4aの場所Aの近傍にヒータ6と温度センサTSaとを個別に設けて配置されており、場所Aの周囲気体への熱伝導による放熱も合わせて、温度センサTSa(pn接合ダイオード7a)で検出した温度Taと、場所Aから離れ、空隙300を介しての熱伝導と周囲気体の熱伝導により熱せられた薄膜4bの場所Bの温度センサTSb(pn接合ダイオード7b)で検出した温度Tbの温度とは、熱伝導による放熱と空隙300を介しての熱伝導で温度勾配ができ、必ず、温度Taより温度Tbが低くなる。
【0027】
本実施例を図2の系統図を含めた実施例は、温度Taを計測する「温度センサTSa」に「信号増幅回路」から、温度センサTSaを動作させるために所要のバイアス電圧を供給し、「信号増幅回路」で所定の温度に相当する電圧に変換し、場所A点の温度Taを所定の温度になるように「信号増幅回路」から「ヒータ6」へ電力供給し、所定の温度を維持するようにする。
【0028】
場所Bの温度Tbを計測する「温度センサTSb」に「信号増幅回路」から温度センサTSbを動作させるための所要のバイアス電圧を供給し、周囲気体の気圧が大気圧から、周囲気体の気圧が低くなると、場所A点の温度Ta及び場所Bの温度Tbにおける周囲気体の熱伝導率が低下して放熱が悪くなり、場所A及び場所Bの冷却効果が低下するので、場所Aの温度Taを所定の温度に維持させるためには、「ヒータ6」の供給電力を下げなければならない。場所A点の温度Taは所定温度に維持しているので、ヒータ6から主に薄膜4aと空隙300の熱伝導により、薄膜4bの場所Bが熱せらるが、周囲気体の熱伝導率が大きいほど、ヒータ6の場所A点の温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差大きくなる。
【0029】
これらの温度差の検出を「信号増幅回路」で行い、この温度差情報と、周囲気体の温度Tcの情報(温度Tcを計測する系統は、温度Ta及び温度Tbと同様である)を利用して、温度差に相当する電圧を真空度に換算した真空度計として、また温度Tcの情報をチャンバ内の温度情報として、「演算回路」、「メモリ回路」で信号処理を行い「表示回路」で表示させることができる。
【0030】
また、ヒータ6に短形波で電圧を印加されるように、温度設定を短形波で設定し、少消費電力の真空計にすることもできる。「信号増幅回路」の出力電圧を、「演算回路」でデジタル化し、「メモリ回路」で所要のデータを記憶しておき、所要の信号処理などを行い「表示回路」表示することができる。「駆動電源回路」は各回路に動作に必要な電力を供給する回路である。
【0031】
また、単結晶シリコン薄膜20はp型層210の場合であり、ここにn型の不純物拡散により形成したn型層220を薄膜のヒータ6として利用できるようにしている。このn型層220の薄膜のヒータ6は、周囲のp型層210に対して異なる導電型なので、これらの間にpn接合が形成されており、このヒータ6を周囲のp型層210から電気的に絶縁分離されている構造である。従って、ヒータ電極140に電流を流した時、ヒータ6だけに電流が流れるようにすことができ、ヒータ6だけをジュール加熱できる。
【0032】
基板1をシリコン半導体基板に形成できるので、気体センシングシステムに必要な回路、及び計測装置の一部として必要な回路を集積化できるので、きわめて小型で電力消費が微小で、信頼性の高い計測装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)本発明の気体センサの一実施例を示す概略図である。 (b)図1(a)のX−X‘での断面図である。
【図2】本発明の気体センシング装置の一実施例を示す系統図である。
【符号の説明】
【0034】
1 基板
2 下地基板
3 空洞
4a、4b 薄膜
5a、5b 梁
6 ヒータ
7a、7b、7c pn接合ダイオード(温度センサ)
10 BOX層
20 単結晶シリコン薄膜
40 溝
51、52 シリコン酸化膜
120 pn接合ダイオードのp型電極
130 pn接合ダイオードのn型電極
140 ヒータ電極
150 配線
210 p型層
220 n型層
300 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲気体の流れを遮断したチャンバ内に設置した基板(1)と、該基板(1)から熱分離した2個の薄膜(4a、4b)を空隙(300)を介して配置し、一方の薄膜(4a)には、少なくとも1個のヒータ(6)と該ヒータ(6)の場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaとを個別に設けてあり、他方の薄膜(4b)には、温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、薄膜(4b)に接する周囲気体の熱伝導により、場所Bの温度が上昇するように構成し、温度センサTSaと温度センサTSbとの出力を利用して、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測できるようにしたことを特徴とする気体センサ。
【請求項2】
空隙(300)の幅を薄膜(4a)と薄膜(4b)の幅のいずれよりも小さくなるようにした請求項1記載の気体センサ。
【請求項3】
周囲気体の温度Tcを検出する温度センサTScを、基板(1)に設けた請求項1と請求項2のいずれかに記載の気体センサ。
【請求項4】
温度センサTSaおよび温度センサTSb、温度センサTScをバイポーラトランジスタもしくは半導体ダイオードとした請求項1から請求項3のいずれかに記載の気体センサ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の気体センサと、該気体センサの温度センサTSaと温度センサTSbとの出力を利用し、信号増幅回路、演算回路、メモリ回路、駆動電源回路、表示部を必要に応じて設け、前記チャンバ内の周囲気体の気圧もしくはその成分を計測できるようにしたことを特徴とする気体センシング装置。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−153769(P2006−153769A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347707(P2004−347707)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(391025741)
【出願人】(599026946)株式会社テクノファイン (6)
【出願人】(302000081)株式会社メムス・コア (19)
【Fターム(参考)】