説明

気体注入装置および気液接触装置

【課題】汚水が収容される圧力容器にオゾンガスをより効率的に低コストで注入することができる気体注入装置を提供すること。
【解決手段】溶解タンク1内に加圧下で収容される汚水9を溶解タンク1から導出管31を介して導出させ、導出させた汚水9を循環ポンプ46でさらに加圧した後、オゾンガス61が収容されているバッファタンク41aに導入し、その汚水9の圧力によりバッファタンク41a内のオゾンガス61を加圧する。オゾンガス61の圧力が溶解タンク1内の圧力を超えると、バッファタンク41a内のオゾンガス61が気体導出管54aを介して溶解タンク1内に注入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器に加圧気体を注入する気体注入装置およびこれを備える気液接触装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の産業や水処理設備にて液体に気体を接触させて溶解または反応させる用途が多く存在する。例えば、工場などから排出される汚水にオゾンガスを溶解させて汚水を浄化する場合などがある。
汚水にオゾンガスを溶解させる場合、汚水をある程度の圧力のかかった圧力容器内に収容して、その圧力容器内にオゾンガスを注入する方法がある。液体(汚水)に気体(オゾンガス)を気液間の接触により溶解させる場合、ヘンリーの法則により汚水とオゾンガスをある程度の圧力下においた方が単位時間当たりにより多くの量のオゾンガスを溶解させることができ、汚水の浄化を効率良く行えるからである。
【0003】
圧力容器に気体を注入しようとすると、気体を圧力容器内の圧力よりも高める必要があり、気体の圧力を高める方法としては、例えばロータリー式などのコンプレッサーを用いる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−143659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オゾンガスのように自己分解性の高い気体は、コンプレッサーによる瞬時の圧縮を受けると、気体温度が急上昇して、オゾンが酸素に変わるといった現象が発生し易い。このようになると、酸素混じりの気体を注入することになり、汚水浄化の効率が低下したり、一定の水質まで浄化するのに必要になるオゾンガスの量が増えて、オゾンガスにかかる費用が高くなったりするという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、汚水のような液体が収容される圧力容器にオゾンガスのような気体をより効率的に低コストで注入することができる気体注入装置、およびこれを備える気液接触装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体注入装置は、圧力容器内に加圧気体を注入する気体注入装置であって、被加圧気体が収容される密閉容器と、前記密閉容器内に加圧液体を導入させ、加圧液体の導入により前記密閉容器内に収容されている被加圧気体の圧力を高める導入手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記密閉容器内で圧力が高められた加圧気体を前記圧力容器内に送る気体注入路と、前記気体注入路に設けられ、前記密閉容器から前記圧力容器に向かう方向に加圧気体の流れを許し、逆方向の流れを阻止する弁手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記導入手段は、前記密閉容器に接続される導入路と、前記導入路に設けられ、当該導入路を流れる被加圧液体を加圧して、当該加圧液体を前記密閉容器に送るポンプと、を備えることを特徴とする。
また、前記密閉容器内の液体を導出する導出手段を備えることを特徴とする。
ここで、前記密閉容器内からの液体の導出により前記密閉容器内の圧力が下がることに伴って、前記密閉容器内に被加圧気体を流入させる気体導入手段を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記気体導入手段は、前記密閉容器内に被加圧気体を流入させるための流入路と、前記流入路に設けられ、被加圧気体が前記密閉容器に向かう方向に被加圧気体の流れを許し、逆方向の流れを阻止する弁手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記導入手段と導出手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、加圧液体の前記密閉容器内への導入が行われている間には、当該密閉容器内からの液体の導出を禁止し、前記密閉容器内の液体の量が第1の所定量に達すると、加圧液体の導入を停止させ、前記密閉容器内から液体を導出させることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記制御手段は、加圧液体の前記密閉容器内への導入の停止後、前記密閉容器内からの液体の導出により、前記密閉容器内における液体の残量が第2の所定量まで低下すると、加圧液体の導入を再開させることを特徴とする。
本発明に係る気液接触装置は、液体が収容されている圧力容器内に加圧気体を注入して、前記圧力容器内の液体に加圧気体を接触させて溶解または反応させる気液接触装置であって、加圧気体を前記圧力容器内に注入する請求項1に記載の1つ以上の気体注入装置と、前記圧力容器内に液体を供給する液体供給手段と、前記圧力容器内の液体を排出させ、排出された液体を前記気体注入装置に設けられる導入手段に導く液体導出手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記液体導出手段は、前記圧力容器から排出される液体を当該圧力容器内の圧力により加圧された状態で前記導入手段に導き、前記導入手段は、前記液体導出手段により送られてくる液体をさらに加圧して、その加圧液体を前記気体注入装置に設けられる密閉容器に導くことを特徴とする。
ここで、前記液体導出手段は、前記圧力容器に接続され、当該圧力容器内の液体を導出するための導出路を備え、前記導入手段は、一端が前記導出路に接続され、他端が前記密閉容器に接続される導入路と、前記導入路に設けられ、前記圧力容器から前記導出路を介して当該導入路を流れる液体を加圧するポンプと、を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記導入路における前記ポンプよりも下流側の分岐位置から分岐し、前記ポンプによる加圧液体の一部を前記圧力容器に戻すための循環路を備えることを特徴とする。
ここで、前記液体供給手段は、前記圧力容器に接続される供給路と、前記供給路の途中に設けられ、当該供給路内の液体を加圧して前記圧力容器内に供給する加圧ポンプと、を備え、前記循環路は、前記分岐位置側とは反対側の端部が、前記供給路における前記加圧ポンプよりも下流側の合流位置で接続され、前記循環路を流れる液体が当該合流位置で前記供給路を流れる液体と合流することを特徴とする。
【0013】
また、前記気体注入装置を複数、有し、複数の気体注入装置のそれぞれの、前記導入手段による前記密閉容器内への加圧液体の導入動作を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、気体注入装置ごとに、前記加圧液体の導入動作をその開始タイミングをずらして実行することを特徴とする。
ここで、前記気体注入装置は、それぞれが、前記密閉容器内の液体を導出する導出手段と、前記密閉容器内からの液体の導出により前記密閉容器内の圧力が下がることに伴って、被加圧気体を前記密閉容器内に流入させる気体導入手段と、を備え、前記制御手段は、前記気体注入装置のそれぞれに対し、前記密閉容器内への加圧液体の導入の開始から当該導入を行っている間には、前記密閉容器内からの液体の導出を禁止し、前記密閉容器内の液体の量が第1の所定量に達すると、加圧液体の導入を停止して、前記密閉容器内の液体を導出させ、前記密閉容器内からの液体の導出により、前記密閉容器内における液体の残量が第2の所定量まで低下すると、加圧液体の導入を再開させるまでの動作を、前記密閉容器内への加圧液体の導入開始のタイミングを相互にずらして実行させることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記複数は、2であり、前記制御手段は、一方と他方のそれぞれの気体注入装置に対して、一方の気体注入装置が前記密閉容器内への加圧液体の導入を行っている間に、他方の気体注入装置が前記密閉容器内からの液体の導出を行う動作を、交互に切り替えて実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成すれば、密閉容器内の被加圧気体が密閉容器内に導入された加圧液体の導入量の増加に伴って徐々に加圧されるようになり、コンプレッサーのような瞬時の圧縮による気体温度の急上昇により被加圧気体の分解を抑制して、より効率的に低コストで加圧気体を圧力容器内に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】気体溶解装置の全体構成を示す図である。
【図2】制御部と他のセンサ等の部材との信号のやりとりを説明するための図である。
【図3】制御部によるオゾンガスの注入制御のタイミングチャートを示す図である。
【図4】注入制御によるバッファタンク内の汚水量の変化の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る気体注入装置および気液接触装置の実施の形態を、気体溶解装置を例に図面を参照しながら説明する。
(1)気体溶解装置10の全体構成
図1は、気体溶解装置10の全体構成を示す図である。
同図に示すように、気体溶解装置10は、溶解タンク1と、汚水供給部2と、汚水導出部3と、気体注入部4と、制御部5(図2参照)を備える。
【0018】
溶解タンク1は、汚水9が収容される圧力容器であり、気体注入部4により注入されるオゾンガス61を汚水9に溶解させて、汚水9を浄化させるためのタンクである。
汚水9は、ここでは汚水槽7に収容されている工場廃水であり、汚水供給部2により溶解タンク1内に供給される。溶解タンク1に設けられているLS3Lは、溶解タンク1内の汚水9の水位が下がったときの下限を検出するためのセンサであり、LS3Uは、水位が上がったことを検出するためのセンサである。各センサの検出に基づく制御内容については、後述する。
【0019】
(汚水供給部2の構成)
汚水供給部2は、加圧ポンプ21と、ストレーナ22と、逆止弁23と、供給管24を備える。加圧ポンプ21と、ストレーナ22と、逆止弁23は、供給管24の途中に設けられており、供給管24の一端は、汚水槽7に接続され、供給管24の他端はノズル11を介して溶解タンク1の頂部の開口12に接続されており、汚水槽7の汚水9を溶解タンク1に供給する供給路を構成する。
【0020】
加圧ポンプ21が駆動されると、加圧ポンプ21により汚水槽7内の汚水9が供給管24内に吸い込まれる。供給管24内に吸い込まれた汚水9は、矢印aで示す方向に流れ、ストレーナ22を通過する際に濾過され、ストレーナ22を通過した後、加圧ポンプ21で例えば0.3〔MPa〕よりもある程度高い圧力まで加圧されて、逆止弁23に送られる。
【0021】
逆止弁23は、矢印bで示す方向にだけ汚水9の流れを許し(可能とし)、その逆の方向には流れを阻止するものであり、加圧ポンプ21で加圧された汚水9は、逆止弁23を通過した後、矢印cで示す方向に流れてノズル11に送られる。
ノズル11は、1または複数の穴が設けられてなり、供給管24内を流れる汚水9をシャワー状にして溶解タンク1内に噴射させる。これにより、汚水9が溶解タンク1内に供給される。
【0022】
(汚水導出部3の構成)
汚水導出部3は、導出管31と、導出管31に設けられる絞り弁32とを備える。
導出管31は、一端が溶解タンク1の底部に設けられた開口13に接続され、他端が汚水槽7に開口してなる汚水9の導出路である。絞り弁32が開けられると、溶解タンク1内の汚水9が導出管31内を矢印dで示す方向に流れる。
【0023】
導出管31における絞り弁32よりも上流側の分岐位置Bからは、導入管50が分岐している。この分岐により、溶解タンク1から導出管31に導出された汚水9は、分岐位置Bを通過してそのまま導出管31内を流れて絞り弁32を介して汚水槽7に排出されるものと、分岐位置Bで導出管31から分かれて導入管50内を矢印eに示す方向に流れて、気体注入部4に導かれるものとに分かれる。導入管50の内容については、後述する。
【0024】
溶解タンク1から導出管31に導出された汚水9の圧力は、絞り弁32よりも上流側の分岐位置Bでは、溶解タンク1の内圧、例えば0.3〔MPa〕と略等しいので、分岐位置Bから導入管50に流れる汚水9の圧力もその圧力に略等しくなる。
絞り弁32は、溶解タンク1内からの汚水9の導出量を調整する弁であり、汚水供給部2により溶解タンク1内に導入される汚水9の単位時間の供給量に応じて、溶解タンク1内の圧力が0.3〔MPa〕程度に維持されるように、絞り弁32の開口量が調整される。なお、溶解タンク1内の圧力を略一定に維持させることができるものであれば、絞り弁に限られず、例えば圧力制御弁などを用いるとしても良い。
【0025】
(気体注入部4の構成)
気体注入部4は、第1注入部40aと、第2注入部40bと、循環ポンプ46と、逆止弁47と、導入管50と、循環配管51を備える。
導入管50は、溶解タンク1からの汚水9の導入路であり、循環ポンプ46は、当該導入管50に設けられており、導入管50を流れる汚水9(溶解タンク1内の圧力に略等しいもの)を、例えば0.05〜1〔MPa〕程度、さらに加圧して矢印fで示す方向に送り出す。以下、溶解タンク1内の圧力をP1、循環ポンプ46により加圧された汚水(加圧液体)9の圧力をP2(>P1)という。
【0026】
循環配管51は、導入管50における、循環ポンプ46よりも下流の分岐位置Cで、導入管50から分岐し、供給管24における逆止弁23よりも下流側の合流位置Aで合流する流路である。
循環ポンプ46により加圧された汚水9は、分岐位置Cで、そのまま導入管50を流れるものと循環配管51を流れるものとに分かれる。
【0027】
逆止弁47は、循環配管51に設けられており、矢印gで示す方向にだけ汚水9の流れを許し、その逆の方向には流れを阻止するものである。
循環ポンプ46を通過後、循環配管51を流れる汚水9は、逆止弁47を通過して供給管24の合流位置Aで供給管24を流れる汚水9と合流した後、ノズル11を介して溶解タンク1内に戻される。循環配管51は、溶解タンク1から導出された汚水9の一部を、再度、溶解タンク1に戻す循環路を構成する。
【0028】
このような循環路の構成をとることにより、溶解タンク1から一旦、導出された汚水9の一部を溶解タンク1内に戻してオゾンガス61と接する機会を増やすことができ、オゾンガス61による汚水9の浄化の効率を高めることができる。
循環ポンプ46による加圧力は、循環ポンプ46からノズル11の出口までの流路が有する抵抗の大きさと溶解タンク1に戻すべき汚水の量とから決めることができるが、本実施の形態では、溶解タンク1の圧力P1を利用して、その圧力P1にさらに、必要な圧力を足し合わせる構成をとっているので、循環ポンプ46だけで圧力P2まで加圧する構成よりも、循環ポンプ46を小容量の小型のものを用いることができる。循環される汚水9の量を調整するための絞り弁などを循環配管51に設けるとしても良い。
【0029】
(第1注入部40aの構成)
第1注入部40aは、密閉容器であるバッファタンク41aと、電磁弁42a,43aと、逆止弁44a,45aと、第1導入管52aと、第1導出管53aと、気体導出管54aと、気体導入管55aを備える。
バッファタンク41aは、(a)汚水9の導入とオゾンガス61の加圧、排出、(b)汚水9の導出とオゾンガス61の導入の動作を交互に繰り返させるためのタンクである。
【0030】
第1導入管52aは、一端が導入管50に接続位置Dで接続されると共に、他端がバッファタンク41aの底部の開口62aに接続され、途中には電磁弁42aが設けられており、汚水導出部3からの汚水9をバッファタンク41aに導く導入路を形成する。
電磁弁42aは、第1導入管52aの汚水9の流路を開閉することにより、汚水導出部3からバッファタンク41aへの汚水9の導入とその禁止とを切り替える。
【0031】
気体導出管54aは、一端がバッファタンク41aの頂部の開口64aに接続されると共に、他端が溶解タンク1の上部の開口14に接続され、途中には逆止弁44aが設けられており、バッファタンク41a内のオゾンガス61を溶解タンク1に注入する気体注入路を形成する。
逆止弁44aは、オゾンガス61の、バッファタンク41aから溶解タンク1に向かう方向(矢印jで示す方向)の流れを許し、その逆の方向には流れを阻止する。
【0032】
第1導出管53aは、一端がバッファタンク41aの底部の開口63aに接続されると共に、他端が汚水槽7に開口してなり、途中には電磁弁43aが設けられており、バッファタンク41a内の汚水9を汚水槽7に排出する導出路を形成する。
電磁弁43aは、第1導出管53aの汚水9の流路を開閉することにより、バッファタンク41aから汚水槽7への汚水9の導出とその禁止とを切り替える。
【0033】
気体導入管55aは、一端がバッファタンク41aの頂部の開口65aに接続されると共に、他端がオゾンガス発生器6に接続され、途中には逆止弁45aが設けられており、オゾンガス発生器6からのオゾンガス61をバッファタンク41aに流入させる流入路を形成する。
オゾンガス発生器6は、被加圧気体としてのオゾンガス61を発生させる装置であり、発生させたオゾンガス61を例えば0.1〔MPa〕程度の圧力で出力する。出力されたオゾンガス61は、気体導入管55a内に導入される。逆止弁45aは、気体導入管55a内のオゾンガス61の、オゾンガス発生器6からバッファタンク41aに向かう方向の流れを許し、その逆の方向には流れを阻止する。
【0034】
このような構成において、バッファタンク41a内に汚水9が収容されておらず、バッファタンク41a内に被加圧気体としてのオゾンガス61が充満している状態で、電磁弁42aを開けて、電磁弁43aを閉じると、導入管50を矢印hで示す方向に流れる汚水9が第1導入管52aを介してバッファタンク41a内に導入される(汚水9の導入)。
例えば、バッファタンク41aの容積が0.04〜0.05〔m〕程度の大きさの場合、バッファタンク41a内への汚水9の単位時間当たりの導入量を0.022〜0.026〔m/s〕程度の範囲とすることができる。
【0035】
なお、汚水9の導入開始時には、バッファタンク41a内の圧力は、溶解タンク1内の圧力P1よりも小さくなっているが、気体導出管54aに設けられている逆止弁44aにより、溶解タンク1内のオゾンガス61を含む空気が気体導出管54aを通ってバッファタンク41aに流れ込むことはない。
バッファタンク41a内に導入される汚水9の量の増加に伴って、バッファタンク41a内の汚水9の液面9aが上昇し、汚水9の液面9aの上昇によりバッファタンク41a内のオゾンガス61を含む空気が加圧されて、その圧力が徐々に高くなる(オゾンガス61の加圧)。なお、バッファタンク41aの頂部に接続される気体導入管55aには、逆止弁45aが設けられているので、バッファタンク41a内のオゾンガス61の圧力が高くなっても気体導入管55aを通ってオゾンガス発生器6の方に逆戻りすることはない。
【0036】
バッファタンク41a内に導入される汚水9の圧力は、P2であり、溶解タンク1内の圧力P1よりも高いので、バッファタンク41a内における汚水9の量の増加により、やがてバッファタンク41a内の圧力がP1を超える。
バッファタンク41a内の圧力がP1を超えると、バッファタンク41a内で加圧されたオゾンガス61(加圧気体)がバッファタンク41aから導出されて、気体導出管54aを流れ始め、溶解タンク1内に注入される。
【0037】
溶解タンク1に注入されたオゾンガス61は、溶解タンク1内において、大気圧よりも高い圧力P1、上記例では0.3〔MPa〕の圧力が維持された状態で、溶解タンク1内の汚水9に接することにより、汚水9に溶解し、オゾンガス61の殺菌力で汚水9が浄化される。
このようにバッファタンク41a内のオゾンガス61は、バッファタンク41a内の汚水9の水位が徐々に上昇することにより加圧される。従って、コンプレッサーのような瞬時の圧縮により気体温度が急上昇することがなく、また汚水9の水温によってオゾンガス61が冷やされることにより、自己分解性が高いオゾンガス61が酸素に分解されることを抑制することができる。
【0038】
さらに、バッファタンク41a内におけるオゾンガス61の加圧を、オゾンガス61で浄化されるべき汚水9自身が行うので、その加圧の際にも汚水9がオゾンガス61に接することになり、汚水9がオゾンガス61に接する時間をより長くとれ、汚水9の浄化を促進することができる。
バッファタンク41a内の汚水9の水位が上昇し、その液面9aが液面上限検出センサLS1Uにより検出されたことを契機に、電磁弁42aを閉じて、電磁弁43aを開ける動作を行うと、バッファタンク41aへの汚水9の導入が停止し、バッファタンク41a内の汚水9のバッファタンク41aからの導出が始まる。
【0039】
この時点では、バッファタンク41a内の圧力がP1よりも高くなっており、第1導出管53aの汚水槽7側の端部が大気圧に開放されているので、バッファタンク41a内の圧力と汚水9に作用する重力とによりバッファタンク41a内の汚水9が第1導出管53aを介して汚水槽7に排出される(汚水9の導出)。これにより、汚水導出部3から気体注入部4に送られた汚水9が汚水槽7に戻され、再び汚水槽7から汚水供給部2により溶解タンク1内に導入されることになる。
【0040】
バッファタンク41a内の汚水9の導出が進むに連れて、バッファタンク41a内の圧力が徐々に低下していき、バッファタンク41a内の圧力が気体導入管55a内のオゾンガス61の圧力よりも低くなると、気体導入管55a内のオゾンガス61がバッファタンク41a内に吸引されるように逆止弁45aを通過してバッファタンク41a内に導入される(オゾンガス61の導入)。
【0041】
バッファタンク41a内の汚水9の液面9aが液面下限検出センサLS1Lにより検出されたことを契機に、電磁弁43aを閉じて、電磁弁42aを開ける動作を行うと、第1導出管53aによる汚水9の導出が停止し、導入管50を流れる汚水9が第1導入管52aを介してバッファタンク41a内に導入され始める。この時点で、バッファタンク41a内の汚水9の残量がほとんどなく、オゾンガス61が充満した状態になっている。
【0042】
バッファタンク41a内の汚水9の収容量が増えるに連れて、バッファタンク41a内のオゾンガス61の圧力が高くなり、加圧されたオゾンガス61がバッファタンク41aから導出され、溶解タンク1に注入される。
以下、上記と同様に、(1)バッファタンク41aからの汚水9の導出、(2)バッファタンク41aへのオゾンガス61の導入、(3)バッファタンク41aへの汚水9の導入、(4)汚水9によるオゾンガス61の加圧、(5)加圧されたオゾンガス61の溶解タンク1への注入の後、(1)バッファタンク41aからの汚水9の導出に戻るというサイクルが繰り返されることにより、オゾンガス発生器6からのオゾンガス61がバッファタンク41aを介して溶解タンク1に注入されることになる。
【0043】
(第2注入部40bの構成)
第2注入部40bは、密閉容器であるバッファタンク41bと、電磁弁42b,43bと、逆止弁44b,45bと、第2導入管52bと、第2導出管53bと、気体導出管54bと、気体導入管55bを備える。第2注入部40bは、基本的に第1注入部40aと同じ構成である。例えば、バッファタンクの容量や各管の径などが同じにされる。
【0044】
バッファタンク41bは、汚水9の導入、排出とオゾンガス61の導入、加圧、排出の動作を行うためのタンクである。
第2導入管52bは、一端が導入管50と第1導入管52aとの接続位置Dで導入管50と接続されており、他端がバッファタンク41aの底部に接続され、導入管50を流れる汚水9をバッファタンク41bに導く導入路を形成する。
【0045】
電磁弁42bは、第2導入管52bの汚水9の流路を開閉することにより、汚水導出部3からバッファタンク41bへの汚水9の導入とその禁止とを切り替える。
気体導出管54bは、一端がバッファタンク41bの頂部に接続されると共に、他端が気体導出管54aにおける逆止弁44aから溶解タンク1までの間の接続位置Eで気体導出管54aと接続されており、バッファタンク41b内のオゾンガス61を溶解タンク1に注入する気体注入路を形成する。
【0046】
逆止弁44bは、オゾンガス61の、バッファタンク41bから溶解タンク1に向かう方向の流れを許し、その逆の方向には流れを阻止する。
第2導出管53bは、一端がバッファタンク41bの底部に接続されると共に、他端が第2導出管53bにおける電磁弁43aから汚水槽7までの間の接続位置Fで第1導出管53aと接続されており、バッファタンク41b内の汚水9を汚水槽7に排出する導出路を形成する。
【0047】
電磁弁43bは、第2導出管53bの汚水9の流路を開閉することにより、バッファタンク41bから汚水槽7への汚水9の導出とその禁止とを切り替える。
気体導入管55bは、一端がバッファタンク41bの頂部に接続されると共に、他端が気体導入管55aにおけるオゾンガス発生器6から逆止弁45aまでの間の接続位置Gで気体導入管55aと接続されており、オゾンガス発生器6からオゾンガス61をバッファタンク41aに流入させる流入路を形成する。
【0048】
バッファタンク41b内に汚水9が収容されておらず、オゾンガス61が充満している状態で、電磁弁42bを開けて、電磁弁43bを閉じると、導入管50を流れる汚水9が第2導入管52bを介してバッファタンク41bに導入される。
バッファタンク41b内の汚水9の量が増えるに伴って、バッファタンク41b内の圧力が徐々に上がり、その圧力がP1を超えると、バッファタンク41b内のオゾンガス61(加圧気体)が気体導出管54bを流れて、気体導出管54aとの接続位置Eで気体導出管54aによる注入路に合流して、溶解タンク1内に注入される。
【0049】
バッファタンク41b内の汚水9の水位が上昇し、その液面9bが液面上限検出センサLS2Uにより検出されたことを契機に、電磁弁42bを閉じて、電磁弁43bを開ける動作を行うと、バッファタンク41bへの汚水9の導入が停止し、バッファタンク41b内の汚水9の導出が始まる。
バッファタンク41bから導出された汚水9は、第2導出管53bを流れ、第1導出管53aとの接続位置Fで第1導出管53aによる排出路に合流して、汚水槽7に排出される。汚水9の導出が進むに連れて、バッファタンク41b内の圧力が徐々に低下し、バッファタンク41b内の圧力が気体導入管55b内のオゾンガス61の圧力よりも低くなると、気体導入管55b内のオゾンガス61がバッファタンク41b内に導入される。
【0050】
バッファタンク41b内の汚水9の液面9bが液面下限検出センサLS2Lにより検出されたことを契機に、電磁弁43bを閉じて、電磁弁42bを開ける動作を行うと、第2導出管53bによる汚水9の導出が停止し、導入管50を流れる汚水9が第2導入管52bによりバッファタンク41b内に導入される。
バッファタンク41b内の汚水9の収容量が増えるに連れて、バッファタンク41b内のオゾンガス61の圧力が徐々に高くなり、加圧されたオゾンガス61がバッファタンク41bから導出され、溶解タンク1に注入される。
【0051】
このように第1注入部40aと第2注入部40bは、同じ動作を実行可能であるが、本実施の形態では、第1注入部40aと第2注入部40bのうち、一方が溶解タンク1へのオゾンガス61の注入(バッファタンクへの汚水9の導入)を実行中に、他方がバッファタンクへのオゾンガス61の導入(バッファタンクからの汚水9の導出)を実行する動作を交互に切り替えながら繰り返す注入制御を行う構成をとっている。
【0052】
この注入制御により、一方のバッファタンクにオゾンガス61が導入されている間にも他方のバッファタンクからオゾンガス61が溶解タンク1に注入されるので、溶解タンク1へのオゾンガス61の注入が一方のバッファタンクへのオゾンガス61の導入の間、全く行われないとした構成に比べて、溶解タンク1へのオゾンガス61の注入量の変動(脈動)が極めて少なくなり、溶解タンク1内で汚水9がオゾンガス61に接する機会が増えて、汚水9の浄化がより行われ易くなる。
【0053】
図1は、第1注入部40aが溶解タンク1へのオゾンガス61の注入を行いつつ、第2注入部40bではバッファタンク41bへのオゾンガス61の導入を行っている様子の例を示している。オゾンガスの注入制御は、制御部5により実行される。
(2)制御部5による処理内容
図2は、制御部5と他のセンサ等の部材との信号のやりとりを説明するための図であり、図3は、制御部5によるオゾンガスの注入制御のタイミングチャートを示す図であり、図4は、注入制御によるバッファタンク41a、41b内における汚水量の変化の様子を示す図である。
【0054】
図2に示すように、制御部5は、液面下限検出センサLS1L〜液面上限検出センサLS2Uからの信号を受け付け、受け付けた信号に基づき、電磁弁42a〜43bの開閉、オゾンガス発生器6の動作を制御する。
また、制御部5は、液面下限検出センサLS3Lにより溶解タンク1内の汚水9の水位が下限まで低下したことが検出されると、循環ポンプ46の空運転を防止するために循環ポンプ46を停止させる。その際、加圧ポンプ21を継続運転することにより、徐々に溶解タンク1内の汚水9の量が増加し、汚水9の水位が上がって、液面検出センサLS3Uにより検出されると、制御部5は、循環ポンプ46を再稼動する。これにより、溶解タンク1内の汚水9の量が安定した状態で循環ポンプ46を運転することができる。
【0055】
また、操作部からの動作指示信号を受け付ける。この動作指示信号は、オゾンガスの注入制御を開始させるための指示信号であり、ここでは操作部に設けられたスイッチなどが操作者により操作されたことにより発せられる。
制御部5は、動作指示信号を受け付けると、オゾンガスの注入制御を開始する。
(オゾンガスの注入制御)
図3に示すように、時点T1で動作指示信号を受け付けると、電磁弁42aと42bを開状態にすると共に電磁弁43aと43bを閉状態にする。なお、同図では、示していないが加圧ポンプ21と循環ポンプ46も稼動(オン)させる。加圧ポンプ21と循環ポンプ46のオンにより、汚水槽7の汚水9が溶解タンク1内に加圧された状態で導入されると共に、溶解タンク1から汚水9が導出され、導出された汚水9の一部がさらに加圧された状態で導入管50と循環配管51とに分かれ、循環配管51を流れる汚水9が溶解タンク1に戻されつつ、導入管50を流れる汚水9が気体注入部4に送られる。
【0056】
同図では、バッファタンク41aと41bの両方が空(汚水が入っていない)状態になっている場合を例にしており、この場合、オゾンガス発生器6によるオゾンガス61の発生の前にバッファタンク41aと41bの両方を汚水9で満たすべく、電磁弁42aと42bが開、43aと43bが閉にされる。
このようにバッファタンク41aと41bの両方を汚水9で満たす制御を行うのは、次の理由による、すなわち、この制御を行わずに、最初からバッファタンク41aに汚水9を導入させ、バッファタンク41bの汚水を導出させることを行う場合、仮にバッファタンク41bが空でありオゾンガス61が存在すれば、そのオゾンガス61が第2導出管53bの汚水槽7側の開放端から流出するおそれがあり、これを防止するためである。
【0057】
電磁弁42aと42bの開により、バッファタンク41aと41b内に汚水9が導入される。バッファタンク41aと41b内への汚水9の導入が開始され、液面下限検出センサLS1L,LS2Lにより汚水9の液面9a,9bが検出されると、液面下限検出センサLS1L,LS2LからON信号が出力される。
バッファタンク41aと41b内の汚水9の水位がさらに上昇して、汚水9の液面9a,9bが液面上限検出センサLS1U,LS2Uにより検出されると、液面上限検出センサLS1U,LS2UからON信号が出力される(時点T2:図4(a))。
【0058】
このON信号を受け付けると、汚水9がバッファタンク内に所定量収容されたとして、電磁弁42aを閉、43aを開、42bを閉に切り替える。また、オゾンガス発生器6によるオゾンガス61の発生を開始させる。
これにより、バッファタンク41aへの汚水9の導入が停止され、バッファタンク41a内からの汚水9の導出が開始される。バッファタンク41a内からの汚水9の導出に伴い、バッファタンク41a内にオゾンガス61が導入される。なお、バッファタンク41bの汚水9は、そのまま上限レベルが維持される。
【0059】
なお、図3では、汚水9の液面9a,9bが液面上限検出センサLS1U,LS2Uにより同時に検出される場合の例を示しているが、時間差がある場合には、先に液面が検出された方のバッファタンクへの汚水9の導入が停止され、その後に液面が検出された方のバッファタンクへの汚水9の導入が停止されると、時点T2以降の制御が行われる。
バッファタンク41a内の汚水9の水位が下がり、汚水9の液面9aが液面下限検出センサLS1Lの位置よりも下がると、液面下限検出センサLS1LからOFF信号が出力される(時点T3:図4(b))。このときバッファタンク41a内には汚水9が少し底部に残り、バッファタンク41aが空になることがないように液面下限検出センサLS1Lの位置が設定される。このことは、バッファタンク41bに設けられる液面下限検出センサLS2Lについて同じである。
【0060】
液面下限検出センサLS1LからのOFF信号を受け付けると、バッファタンク41a内における汚水9の残量が所定量まで低下したとして、電磁弁42aを開、43aを閉、43bを開に切り替え、42bを閉のまま維持する。
これにより、バッファタンク41aからの汚水9の導出が停止され、バッファタンク41a内への汚水9の導入が開始される。同時に、バッファタンク41b内からの汚水9の導出が開始される。バッファタンク41b内からの汚水9の導出に伴い、バッファタンク41b内にオゾンガス61が導入される。
【0061】
バッファタンク41a内への汚水9の導入量の増加に伴って、バッファタンク41a内のオゾンガス61の圧力が上がり、その圧力がP1を超えるとオゾンガス61がバッファタンク41aから導出されて、溶解タンク1内に注入される(図1の状態)。この注入動作に並行して、バッファタンク41b内からは汚水9が排出され続けており、汚水9の水位が下がるに伴って、バッファタンク41b内へのオゾンガス61の導入量が増える。
【0062】
バッファタンク41a内の汚水9の水位がさらに上昇して、液面9aが液面上限検出センサLS1Uにより検出されると、液面上限検出センサLS1UからON信号が出力される(時点T4:図4(c))。
このON信号を受け付けると、バッファタンク41a内の汚水9の量が所定量まで達したとして、電磁弁42aを閉に切り替える。これにより、バッファタンク41aへの汚水9の導入が停止される。
【0063】
そして、バッファタンク41bの汚水9の水位がさらに下がり、汚水9の液面9bが液面下限検出センサLS2Lの位置よりも下がると、液面下限検出センサLS2LからOFF信号が出力される(時点T5:図4(d))。このとき、バッファタンク41bの底部には汚水9が少し残っている状態になっている。
液面下限検出センサLS2LからのOFF信号を受け付けると、バッファタンク41b内の汚水9の残量が所定量まで低下したとして、電磁弁43aを開、42bを開、43bを閉に切り替える。
【0064】
これにより、バッファタンク41bからの汚水9の導出が停止され、バッファタンク41b内への汚水9の導入が開始される。同時に、バッファタンク41a内からの汚水9の導出が開始される。バッファタンク41a内からの汚水9の導出に伴い、バッファタンク41a内にオゾンガス61が導入される。
時点T6では、バッファタンク41b内の汚水9の液面9bが液面上限検出センサLS2Uにより検出されると、液面上限検出センサLS2UからON信号が出力される。このON信号を受け付けると、バッファタンク41b内の汚水9の量が所定量まで達したとして、電磁弁42bを閉に切り替える。これにより、バッファタンク41bへの汚水9の導入が停止される。
【0065】
時点T7では、バッファタンク41aの汚水9の液面9aが液面下限検出センサLS1Lの位置よりも下がったことが検出されると、液面下限検出センサLS1LからOFF信号が出力される。この状態は、図4(b)と同じである。
液面下限検出センサLS1LからのOFF信号を受け付けると、電磁弁42aを開、43aを閉、43bを開に切り替える。
【0066】
これにより、バッファタンク41aからの汚水9の導出が停止され、バッファタンク41a内への汚水9の導入が開始される。同時に、バッファタンク41b内からの汚水9の導出が開始され、バッファタンク41b内にオゾンガス61が導入される。時点T7〜T11間における動作は、上記の時点T3〜T7間における動作と同じである。この時点T3〜T7間における動作を繰り返すことにより、注入制御が継続される。
【0067】
以上、説明したように本実施の形態の気体溶解装置10は、密閉容器である2つのバッファタンクを有し、バッファタンクごとに、溶解タンク1内の圧力よりも高い圧力に加圧された汚水9を導入して、バッファタンク内に徐々に導入される汚水9の圧力により、バッファタンク内のオゾンガス61を溶解タンク1内に注入する構成とした。
これにより、バッファタンク内のオゾンガス61が汚水9の水位の上昇に伴って徐々に加圧されるようになり、コンプレッサーのような瞬時の圧縮による気体温度の急上昇によりオゾンガス61の分解を抑制することができる。
【0068】
従って、汚水浄化の効率を向上することができ、また、一定の水質まで浄化するのに必要になるオゾンガスの量を抑制して、オゾンガスにかかる費用を抑えて低コスト化を実現することができる。
なお、本発明は、気体注入装置および気体溶解装置に限られず、液体が収容されている圧力容器に気体を注入する方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、そのプログラムが、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたものであるとしても良い。
【0069】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、2つのバッファタンク41a,41bを備え、一方のバッファタンクへの汚水9の導入と、他方のバッファタンクからの汚水9の導出とが略同じ時間を要し、一方のバッファタンクへの汚水9の導入に並行して他方のバッファタンクからの汚水9の導出を行うことを一方と他方とで交互に切り替える制御を行うとしたが、例えば汚水9の導入と導出に要する時間が異なる場合には、時間の長くかかる方が終了するタイミングを待って、汚水9の導入と導出の切り替えを、バッファタンクごとに導入タイミングがずれるように制御することが行われる。
【0070】
また、バッファタンクを2つ備える構成例を説明としたが、これに限られない。
例えば、バッファタンクを1つ、または3以上としても良い。1つのバッファタンク41aだけを備える構成をとる場合、バッファタンク41aへの汚水の導入とその停止とを、例えば循環ポンプ46のオンとオフを切り替えて行うようにすれば、第1導入管52aに電磁弁42aを設けなくても良くなる。
【0071】
また、3以上とする場合、例えば、バッファタンクごとに、バッファタンクへの汚水9の導入タイミングを相互にずらすことにより、溶解タンク1へのオゾンガス61の注入量の脈動をより低減することができる。
(2)上記実施の形態では、溶解タンク1から導出された汚水9の一部を循環配管51を介して溶解タンク1に戻す構成をとったが、これに限られず、例えば循環配管51を設けない構成をとることもできる。
【0072】
この構成をとる場合、溶解タンク1から導出された汚水9は、バッファタンク41aまたは41bを経て、汚水槽7に戻り、汚水槽7から汚水供給部2により、溶解タンク1に戻されて、溶解タンク1内でオゾンガス61に触れることになる。
また、上記実施の形態の構成に対し、導入管50の位置B〜Cの部分と循環ポンプ46と逆止弁47とを設けない構成をとることもできる。この構成では、供給管24における逆止弁23よりも下流側の位置Aと、導入管50における位置Cとが、循環配管51を介して接続され、供給管24における位置Aから導入管50における位置Cまでの間に汚水9の流路が形成される。
【0073】
供給管24における位置Aの圧力は、ノズル11の抵抗により溶解タンク1内の圧力P1よりも高いために、供給管24を流れる汚水9は、位置Aで溶解タンク1に向かうものと循環配管51に向かうものとに分かれる。供給管24の位置Aから循環配管51に流入した汚水9は、循環配管51内を流れて導入管50における位置Cに至り、導入管50内を位置Cから位置Dに向かって流れ、バッファタンク41aと41bに供給される。
【0074】
ノズル11の抵抗が、供給管24における位置Aの圧力から導出管31における位置Bの圧力を差し引いた圧力に相当し、この圧力が循環ポンプ46の加圧圧力に等しいという関係が成立することに基づくものである。
循環配管51を介して導入管50内を位置Cから位置Dに向かって流れる汚水9の圧力は、供給管24における位置Aの圧力に略等しく、溶解タンク1内の圧力P1よりも高いので、バッファタンク41a、41b内でオゾンガス61を圧力P1よりも高い圧力に加圧することができる。このように循環ポンプ46を設けない構成によるコスト低減を図りつつ、加圧したオゾンガス61を溶解タンク1内に注入することができる。
【0075】
(3)上記実施の形態では、気体導出管54aに逆止弁44aを設ける構成としたが、これに限られない。バッファタンク41aから溶解タンク1に向かう方向にオゾンガス61の流れを許し(可能とし)、逆方向の流れを阻止する弁手段であれば良い。例えば、開閉を制御される電磁弁もその弁手段に含まれるとすることができる。
すなわち、バッファタンク41a内のオゾンガス61の圧力が溶解タンク1内の圧力よりも高くなったときにだけ電磁弁を開け(流れを許し)、それ以外には電磁弁を閉じる(逆方向の流れを阻止する)制御を行う場合が想定される。バッファタンク41a内のオゾンガス61の圧力は、例えばセンサなどの検出手段を設けることにより取得できる。
【0076】
このことは、気体導出管54aに設けられる逆止弁44b、気体導入管55a,55bに設けられる逆止弁45a,45bにも適用できる。
(4)上記実施の形態では、オゾンガス61を溶解させるべき汚水9をバッファタンクに導入して、バッファタンク内のオゾンガス61を汚水9の圧力により加圧する構成としたが、汚水9を用いて加圧する構成に限られず、例えば汚水9とは別の加圧液体をバッファタンク内に導入してこれによりオゾンガス61を加圧する構成とすることもできる。
【0077】
また、上記では、汚水9の流路を開閉する弁として電磁弁を用い、オゾンガス61の逆流を防止する弁として逆止弁を用いる構成としたが、同じ機能を有するものであれば、上記の弁部材に限られることはない。さらに、循環配管51の下流側の端部が、汚水供給部2の供給管24と合流位置Aで接続されるとしたが、これに限られず、圧力容器1に別のノズルや弁などを介して接続する構成としても良い。
【0078】
また、上記では気体を溶解させるべき液体を汚水9、その気体をオゾンガス61とした場合の例を説明したが、これに限られることはない。
さらに、上記の圧力や容積などの各数値が上記のものに限られないことはいうまでもなく、装置構成に応じて適した値が設定される。また、本発明に係る気液接触装置は、上記のような液体に気体を接触させて溶解させる気体溶解装置に限られず、液体を気体に接触させて反応させる装置にも適用できる。
【0079】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、圧力容器内に加圧気体を注入する気体注入装置およびこれを備える気液接触装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 溶解タンク
2 液体導入部
3 液体導出部
4 気体注入部
5 制御部
6 オゾンガス発生器
7 汚水槽
9 汚水
10 気体溶解装置
21 加圧ポンプ
23,44a,44b,45a,45b,47 逆止弁
32 絞り弁
40a 第1注入部
40b 第2注入部
41a,41b バッファタンク
42a,43a,42b,43b 電磁弁
46 循環ポンプ
50 導入管
51 循環配管
61 オゾンガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器内に加圧気体を注入する気体注入装置であって、
被加圧気体が収容される密閉容器と、
前記密閉容器内に加圧液体を導入させ、加圧液体の導入により前記密閉容器内に収容されている被加圧気体の圧力を高める導入手段と、
を備えることを特徴とする気体注入装置。
【請求項2】
前記密閉容器内で圧力が高められた加圧気体を前記圧力容器内に送る気体注入路と、
前記気体注入路に設けられ、前記密閉容器から前記圧力容器に向かう方向に加圧気体の流れを許し、逆方向の流れを阻止する弁手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の気体注入装置。
【請求項3】
前記導入手段は、
前記密閉容器に接続される導入路と、
前記導入路に設けられ、当該導入路を流れる被加圧液体を加圧して、当該加圧液体を前記密閉容器に送るポンプと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の気体注入装置。
【請求項4】
前記密閉容器内の液体を導出する導出手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の気体注入装置。
【請求項5】
前記密閉容器内からの液体の導出により前記密閉容器内の圧力が下がることに伴って、前記密閉容器内に被加圧気体を流入させる気体導入手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の気体注入装置。
【請求項6】
前記気体導入手段は、
前記密閉容器内に被加圧気体を流入させるための流入路と、
前記流入路に設けられ、被加圧気体が前記密閉容器に向かう方向に被加圧気体の流れを許し、逆方向の流れを阻止する弁手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の気体注入装置。
【請求項7】
前記導入手段と導出手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
加圧液体の前記密閉容器内への導入が行われている間には、当該密閉容器内からの液体の導出を禁止し、前記密閉容器内の液体の量が第1の所定量に達すると、加圧液体の導入を停止させ、前記密閉容器内から液体を導出させることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の気体注入装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
加圧液体の前記密閉容器内への導入の停止後、前記密閉容器内からの液体の導出により、前記密閉容器内における液体の残量が第2の所定量まで低下すると、加圧液体の導入を再開させることを特徴とする請求項7に記載の気体注入装置。
【請求項9】
液体が収容されている圧力容器内に加圧気体を注入して、前記圧力容器内の液体に加圧気体を接触させて溶解または反応させる気液接触装置であって、
加圧気体を前記圧力容器内に注入する請求項1に記載の1つ以上の気体注入装置と、
前記圧力容器内に液体を供給する液体供給手段と、
前記圧力容器内の液体を排出させ、排出された液体を前記気体注入装置に設けられる導入手段に導く液体導出手段と、
を備えることを特徴とする気液接触装置。
【請求項10】
前記液体導出手段は、
前記圧力容器から排出される液体を当該圧力容器内の圧力により加圧された状態で前記導入手段に導き、
前記導入手段は、
前記液体導出手段により送られてくる液体をさらに加圧して、その加圧液体を前記気体注入装置に設けられる密閉容器に導くことを特徴とする請求項9に記載の気液接触装置。
【請求項11】
前記液体導出手段は、
前記圧力容器に接続され、当該圧力容器内の液体を導出するための導出路を備え、
前記導入手段は、
一端が前記導出路に接続され、他端が前記密閉容器に接続される導入路と、
前記導入路に設けられ、前記圧力容器から前記導出路を介して当該導入路を流れる液体を加圧するポンプと、
を備えることを特徴とすることを特徴とする請求項10に記載の気液接触装置。
【請求項12】
前記導入路における前記ポンプよりも下流側の分岐位置から分岐し、前記ポンプによる加圧液体の一部を前記圧力容器に戻すための循環路を備えることを特徴とする請求項11に記載の気液接触装置。
【請求項13】
前記液体供給手段は、
前記圧力容器に接続される供給路と、
前記供給路の途中に設けられ、当該供給路内の液体を加圧して前記圧力容器内に供給する加圧ポンプと、を備え、
前記循環路は、前記分岐位置側とは反対側の端部が、前記供給路における前記加圧ポンプよりも下流側の合流位置で接続され、
前記循環路を流れる液体が当該合流位置で前記供給路を流れる液体と合流することを特徴とする請求項12に記載の気液接触装置。
【請求項14】
前記気体注入装置を複数、有し、
複数の気体注入装置のそれぞれの、前記導入手段による前記密閉容器内への加圧液体の導入動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
気体注入装置ごとに、前記加圧液体の導入動作をその開始タイミングをずらして実行することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の気液接触装置。
【請求項15】
前記気体注入装置は、それぞれが、
前記密閉容器内の液体を導出する導出手段と、
前記密閉容器内からの液体の導出により前記密閉容器内の圧力が下がることに伴って、被加圧気体を前記密閉容器内に流入させる気体導入手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記気体注入装置のそれぞれに対し、
前記密閉容器内への加圧液体の導入の開始から当該導入を行っている間には、前記密閉容器内からの液体の導出を禁止し、
前記密閉容器内の液体の量が第1の所定量に達すると、加圧液体の導入を停止して、前記密閉容器内の液体を導出させ、
前記密閉容器内からの液体の導出により、前記密閉容器内における液体の残量が第2の所定量まで低下すると、加圧液体の導入を再開させるまでの動作を、
前記密閉容器内への加圧液体の導入開始のタイミングを相互にずらして実行させることを特徴とする請求項14に記載の気液接触装置。
【請求項16】
前記複数は、2であり、
前記制御手段は、
一方と他方のそれぞれの気体注入装置に対して、
一方の気体注入装置が前記密閉容器内への加圧液体の導入を行っている間に、他方の気体注入装置が前記密閉容器内からの液体の導出を行う動作を、交互に切り替えて実行させることを特徴とする請求項15に記載の気液接触装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−10075(P2013−10075A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144341(P2011−144341)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【出願人】(508019012)
【Fターム(参考)】